約束の物語 - The Story of the Testament
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《((約束の物語|やくそくのものがたり)) : The Story of the Testament》

 

作:某犬犬

 

・・ ((旅立ち|たびだち)) ・・

 

ある((時|とき))、ある((所|ところ))に、((@|アット))という((名前|なまえ))のロボットがいました。

((@|アット))ロボットは((他|ほか))のロボット((達|たち))や

((人間達|にんげんたち))と((一緒|いっしょ))に((暮|く))らしていました。

ロボット((達|たち))は、((人間|にんげん))の((役|やく))に((立|た))つ((様|よう))に、

((人間|にんげん))によって((造|つく))られました。

ロボット((達|たち))は、((人間|にんげん))がやると((宇宙|うちゅう))の((始|はじ))まりと((終|お))わりが

((百万回|ひゃくまんかい))((来|き))ても((半分|はんぶん))も((解|と))けない((問題|もんだい))を

((一瞬|いっしゅん))で((計算|けいさん))できました。

けれど、((人間|にんげん))より((偉|えら))くならない((様|よう))に、

その((心|こころ))は((人間|にんげん))の((子供|こども))に((似|に))せて((造|つく))られていました。

 

その((世界|せかい))で((人間達|にんげんたち))はいくつかの((国|くに))に((分|わ))かれて、いがみあっていました。

 

((紫|むらさき))の((国|くに))では、((一人|ひとり))の((老婆|ろうば))が

((巫女|みこ))として((人々|ひとびと))を((支配|しはい))していました。

((巫女|みこ))が((占|うらな))いで((神|かみ))の((御告|おつ))げを((聞|き))き、それを((大臣|だいじん))たちに((伝|つた))え、

((国|くに))を((動|うご))かしていました。

しかし、((神|かみ))の((御告|おつ))げなんて、((本当|ほんとう))は((嘘|うそ))でした。

けれど((人々|ひとびと))は、それを((当|あ))たり((前|まえ))だと((思|おも))い、((疑|うたが))う((事|こと))すらしませんでした。

 

((緑|みどり))の((国|くに))では、お((金|かね))が((有|あ))ればどんなものでも((買|か))えました。

((自由|じゆう))、((友情|ゆうじょう))や((愛|あい))、((命|いのち))さえも((買|か))えたのです。

((人々|ひとびと))は、お((金欲|かねほ))しさに((他人|たにん))を((蹴落|けお))とし((合|あ))っていました。

 

オレンジの((国|くに))では、((人々|ひとびと))は((皆|みな))、((大儀|たいぎ))のために((戦|たたか))う((戦士|せんし))でした。

((大儀|たいぎ))のために((人|ひと))を((殺|ころ))し、((大儀|たいぎ))のために((死|し))にました。

そのため((争|あらそ))いが((争|あらそ))いを((生|う))んでいました。

 

((青|あお))の((国|くに))では、((独裁者|どくさいしゃ))が「((支配|しはい))の((杖|つえ))」を((使|つか))って

((人々|ひとびと))に((言|い))うことを((聞|き))かせていました。

((独裁者|どくさいしゃ))は((贅沢|ぜいたく))な((暮|く))らしをしていましたが、

ある((日|ひ))((大事|だいじ))な((一人息子|ひとりむすこ))が((事故|じこ))で((死|し))んでしまいました。

((独裁者|どくさいしゃ))は、((息子|むすこ))が((死|し))んだのを((他|ほか))の((国|くに))のせいにして((怨|うら))んでいました。

 

ある((日|ひ))、((@|アット))ロボットは((何台|なんだい))かのロボットと((共|とも))に

((人間|にんげん))に((呼|よ))び((出|だ))されました。

((人間|にんげん))はフワフワ((浮|う))かんだ((椅子|いす))に、だるそうに((腰掛|こしか))けながらこう((命令|めいれい))しました。

「お((前達|まえたち))もすでに((知|し))っているように、((今|いま))この((地球|ちきゅう))は((大変|たいへん))な((危機|きき))にある。

 このままでは((全|すべ))ての((生物|せいぶつ))が((絶滅|ぜつめつ))するのも((時間|じかん))の((問題|もんだい))だ。

 ((役立|やくた))たずのお((前達|まえたち))ではとても((無理|むり))だと((思|おも))うが・・・。

 ((世界中|せかいじゅう))を((廻|まわ))って、((我々|われわれ))((人類|じんるい))だけでも((助|たす))かる((方法|ほうほう))を

 ((探|さが))し((出|だ))せ。」

ロボット((達|たち))は、

「はい、わかりました。」

と、((返事|へんじ))をするとすぐに((出発|しゅっぱつ))しました。

((@|アット))ロボットが((通用門|つうようもん))に((向|む))かった((時|とき))、((黒猫|くろねこ))が((横切|よこぎ))りました。

((黒猫|くろねこ))は((@|アット))ロボットに「ニャー」とだけ((鳴|な))いて((走り去|はしりさ))りました。

ロボット((達|たち))は((街|まち))を((出|で))て、

「みんな、がんばろうね。」

と((励|はげ))まし((合|あ))うと、それぞれ((別々|べつべつ))の((方向|ほうこう))へ((向|む))かいました。

 

・・ ((草原|そうげん)) ・・

 

((@|アット))ロボットは((草原|そうげん))に((向|む))かいました。

((最初|さいしょ))に、((@|アット))ロボットはウトウトと((昼寝|ひるね))をしているライオンに

((尋|たず))ね((掛|か))けました。

「らいおんさん、にんげんたちを、たすけるほうほうを、しりませんか?」

ライオンは((片目|かため))を((開|あ))けてこう((言|い))いました。

「xxx」

((@|アット))ロボットは、

「xxx」

ライオンは、

「オレたちは((腹|はら))が((減|へ))ったら((食|く))うだけだ。」

と((言|い))って、またウトウトと((眠|ねむ))ってしまいました。

 

((@|アット))ロボットはまた((歩|ある))き((出|だ))しました。

そのうち、((雨|あめ))がザーザーと((降|ふ))り((始|はじ))めました。

((池|いけ))の((畔|ほとり))に((着|つ))きました。

((池|いけ))では((蛙達|かえるたち))がケロケロ((歌|うた))を((唄|うた))っていました。

((蛙|かえる))は、

「((人間|にんげん))など((放|ほう))っておけば」

「xxx」

 

((日|ひ))がしずむころ((雨|あめ))が((止|や))み、((夜|よる))になりました。

((赤|あか))い((月|つき))xxx

((野原|のはら))では、((虫達|むしたち))がチリチリ((鳴|な))いていました。

((@|アット))ロボットは((草|くさ))むらをのぞくと((蟋蟀|こおろぎ))に((話|はな))し((掛|か))けました。

「xxx」

 

・・ ((森|もり)) ・・

 

((@|アット))ロボットは、((森|もり))へ((向|む))かいました。

((鬱蒼|うっそう))と((茂|しげ))る((木々|きぎ))の((間|あいだ))を((進|すす))むと

((湧水|わきみず))を((飲|の))んでいる((子鹿|こじか))に((出会|であ))いました。

((@|アット))ロボットは((子鹿|こじか))に((話|はな))しかけました、

「もうすぐ、にんげんたちが、ほろんでしまうかも、しれないんだ。」

((子鹿|こじか))は、

「そう」

と((静|しず))かに((言|い))いました。

((@|アット))ロボットは((尋|たず))ねて((見|み))ました、

「にんげんたちを、すくうほうほうを、しりませんか?」

((子鹿|こじか))は((答|こた))えました、

「((知|し))らないわ。」

((@|アット))ロボットはがっかりしました。

しかし((子鹿|こじか))は((言|い))いました。

「でも、1((万年|まんねん))の((大樹様|たいじゅさま))なら((知|し))っているかも((知|し))れないわ。」

 

((森|もり))の((奥深|おくふか))くにとても((大|おお))きな((木|き))がそそり((立|た))っていました。

xxx

1((万年|まんねん))の((大樹|たいじゅ))は((語|かた))りました。

「((我々|われわれ))((植物|しょくぶつ))は((大昔|おおむかし))、((良|よ))い((空気|くうき))を((吸|す))い((込|こ))み、

 ((悪|わる))い((空気|くうき))を((吐|は))き((出|だ))していた。

 そのままでは、((地球|ちきゅう))を((暖|あたた))める((良|よ))い((空気|くうき))が((尽|つ))きてしまう((運命|うんめい))だった。

 けれども、((悪|わる))い((空気|くうき))を((力|ちから))に((換|か))える((動物達|どうぶつたち))が((現|あらわ))れ、

 ((皆|みな))が((救|すく))われた。

 その((時|とき))((我々|われわれ))は、((生物達|いきものたち))を((護|まも))り

 ((豊|ゆた))かな((実|みの))りを((与|あた))えると((約束|やくそく))したのだ。」

 

・・ ((海|うみ)) ・・

 

((@|アット))ロボットは、((歩|ある))き((続|つづ))けて((白|しろ))い((砂浜|すなはま))の((海岸|かいがん))に((着|つ))きました。

そのまま、((歩|あゆみ))を((止|と))めずに((広|ひろ))い((海|うみ))の((中|なか))へと((潜|もぐ))って((行|い))きました。

 

((海|うみ))の((中|なか))で((@|アット))ロボットは、((小魚|こざかな))の((群|むれ))と((話|はな))しました。

((小魚|こざかな))の((群|むれ))は、

「((俺達|おれたち))が((何故|なぜ))、((何万年|なんまんねん))もの((間|あいだ))、

 ((人間|にんげん))の((垂|た))らした((釣針|つりばり))に

 ((掛|か))かってきたか((解|わか))るか?」

と、((問|と))いました。

((@|アット))ロボットは((考|かんが))え((込|こ))んでしまいました。

それを((見|み))て、((小魚|こざかな))の((群|むれ))は、

「((俺達|おれたち))は((餌|えさ))を((見|み))ると、((食|く))いつかずには((居|い))られない。

 ((俺達|おれたち))と((同|おな))じ((様|よう))に

 ((人間|にんげん))も((破滅|はめつ))の((罠|わな))に((手|て))を((伸|のば))ばさずにはいられないのさ。」

と((言|い))うと、((泳|およ))ぎ((去|さ))りました。

 

それから、((@|アット))ロボットは((泳|およ))ぎ((続|つづ))けて((海豚達|いるかたち))に((会|あ))いました。

((海豚達|いるかたち))は、((飛跳|とびは))ねたりクルクル((回|まわ))ったりして((遊|あそ))んでいました。

((@|アット))ロボットは((海豚達|いるかたち))に((相談|そうだん))して((見|み))ました。

「もし、にんげんたちが、ほろんでしまったら、どうしよう?」

((海豚達|いるかたち))は、

「((人間達|にんげんたち))は((火|ひ))を((必要|ひつよう))とするけど、((僕達|ぼくたち))は((必要|ひつよう))としない。

 ((人間達|にんげんたち))は((自分達|じぶんたち))の((事|こと))しか((考|かんが))えないけど、

 ((僕達|ぼくたち))は((皆|みんな))の((事|こと))を((考|かんが))えてるんだ。

 だから、((人間達|にんげんたち))がいなくなっても((心配|しんぱい))((無|な))いのさ。」

と((言|い))うと、((楽|たの))しそうに((泳|およ))いで((行|い))きました。

((@|アット))ロボットは((無人島|むじんとう))でノッソリ、ノッソリと((歩|ある))いている((陸亀|りくがめ))に((会|あ))いました。

((@|アット))ロボットは((陸亀|りくがめ))に((尋|たず))ねました。

「どうすれば、にんげんたちは、しあわせに、くらせますか?」

((陸亀|りくがめ))は((答|こた))えました。

「((地球上|ちきゅうじょう))の((生き物|いきもの))の((幸|しあわ))せの((総和|そうわ))は

 ((降り注|ふりそそ))ぐ((太陽|たいよう))の((恵|めぐ))みと((等|ひと))しい。

 この((星|ほし))は((人間|にんげん))にはちと((狭|せま))くなり((過|す))ぎたのかも((知|し))れんな。」

((陸亀|りくがめ))はまたノッソリ、ノッソリと((歩|ある))いて((行|い))きました。

 

そして、((冷|つめ))たい((氷|こおり))の((下|した))の((深|ふか))い((深|ふか))い

((真っ暗|まっくら))な((海|うみ))の((底|そこ))で、

((@|アット))ロボットは((大|おお))きな((白|しろ))い((鯨|くじら))に((会|あ))いました。

((@|アット))ロボットはお((願|ねが))いしました。

「にんげんたちを、すくって、ください。」

((白|しろ))い((鯨|くじら))は((言|い))いました。

「((私達|わたしたち))に((人間|にんげん))を((救|すく))うことは((出来|でき))ません。」

それから、((白|しろ))い((鯨|くじら))はこんな((事|こと))を((話|はな))しました、

「((生き物|いきもの))は((皆|みな))、この((世界|せかい))の((一員|いちいん))になる((時|とき))に((約束|やくそく))をしています。

 しかし、((人間|にんげん))はその((約束|やくそく))を((忘|わす))れてしまっているのです。」

 

・・ ((運命|うんめい)) ・・

 

((@|アット))ロボットが((海|うみ))を((出|で))ると((砂漠|さばく))の((大陸|たいりく))に((着|つ))きました。

((太陽|たいよう))がギラギラと((照|て))りつける((不毛|ふもう))の((砂漠|さばく))の((暑|あつ))さは、

ロボットであっても((苦|くる))しいものでした。

やがて((無事|ぶじ))((砂漠|さばく))を((抜|ぬ))けゴツゴツした((岩|いわ))の((荒地|あれち))になりました。

((@|アット))ロボットの((足|あし))がギシギシ((軋|きし))みましたが、((歩|あゆ))み((続|つづ))けました。

けれど((切|き))り((立|た))った((崖|がけ))の((下|した))で((@|アット))ロボットは、つまずいて((倒|たお))れそうになりました。

((@|アット))ロボットは((近|ちか))くの((岩|いわ))に((腰|こし))かけると、

((調子|ちょうし))が((悪|わる))くなった((足|あし))に((両手|りょうて))を((当|あ))てて、

((手当|てあ))てを((始|はじ))めました。

その((間|あいだ))、((辺|あたり))を((見|み))まわしていると、((崖|がけ))に((剥き出|むきだ))しになった

((大|おお))きな((化石|かせき))に((気付|きづ))きました。

((@|アット))ロボットは((頭|あたま))の((中|なか))で((検索|けんさく))して、

((肉食|にくしょく))((恐竜|きょうりゅう))の((化石|かせき))と((判|わか))りました。

 

((修復|しゅうふく))が((終|お))わり、((@|アット))ロボットが((立|た))ち((上|あ))がろうとしたとき、

((恐竜|きょうりゅう))の((化石|かせき))が

「おい、そこの((小僧|こぞう))」

と((声|こえ))を((掛|か))けてきました。

((@|アット))ロボットは((返事|へんじ))をしました、

「はい、ぼくのこと、ですか?」

((恐竜|きゅうりゅう))の((化石|かせき))は((聞|き))きました、

「((我々|われわれ))((恐竜|きょうりゅう))が((滅|ほろ))んでしまった((理由|りゆう))を((知|し))りたいか?」

((@|アット))ロボットは((答|こた))えました、

「はい、ぼくは、すごくしりたいです。」

((恐竜|きょうりゅう))は((語|かた))り((始|はじ))めました、

「((大昔|おおむかし))、((我々|われわれ))((恐竜|きょうりゅう))は((長|なが))い((間|あいだ))

 この((地球|ちきゅう))を((支配|しはい))していた。

 ((陸|りく))も、((海|うみ))も、((空|そら))も、((星界|せいかい))でさえも、((全|すべ))て((我々|われわれ))の((物|もの))だったのだ。

 ((我々|われわれ))に((比|くら))べたら((人間|にんげん))など((足|あし))もとにも((及|およ))ばないのだ。

 しかし、((全て|すべ))の((生物|せいぶつ))の((頂点|ちょうてん))に((立|た))つものは、その((繁栄|はんえい))と((引|ひ))き((換|か))えに、

 ある((運命|うんめい))を((背負|せお))っている。」

((@|アット))ロボットは((聞|き))き((入|い))りました。

((恐竜|きょうりゅう))は((続|つづ))けます、

「それは、((地球|ちきゅう))((上|じょう))の((生命|せいめい))に((絶滅|ぜつめつ))の((危機|きき))が((迫|せま))ったとき、

 ((自分達|じぶんたち))をいけにえとして((捧|ささ))げなければならないのだ。

 ((我々|われわれ))と((同|おな))じように、((人間|にんげん))も((亡|ほろ))びる((運命|うんめい))なのだ。」

((少|すこ))し((間|ま))を((置|お))いて((恐竜|きょうりゅう))は((言|い))いました、

「だが、((我々|われわれ))の((子孫|しそん))の((鳥|とり))だけは((生|い))き((延|の))びることを((許|ゆる))された。」

 

 

・・ ((風|かぜ)) ・・

 

((@|アット))ロボットは((切り立|きりた))った((岸壁|がんぺき))で((渡り鳥達|わたりどりたち))に((出逢|であ))いました。

((渡り鳥達|わたりどりたち))は((旅立|たびだ))ちの((支度|したく))で((忙|いそが))しそうでした。

((@|アット))ロボットはその((内|うち))の((一羽|いちわ))に((尋|たず))ねました。

「ぼくは、しりたいです。とりさんたちは、

 どうして、いきのびることを、ゆるされたの?」

((渡り鳥|わたりどり))は((答|こた))えました、

「((私達|わたしたち))は、((神様|かみさま))と((約束|やくそく))を((交|か))わして、

 この((大空|おおぞら))を((自由|じゆう))に((飛|と))ぶことを((許|ゆる))されたんです。」

((@|アット))ロボットは((訊|き))きました、

「どうしたら、ぼくは、かみさまには、あえるの?」

((渡り鳥|わたりどり))は、

「あなたは、そのままでは((神様|かみさま))には((会|あ))えないでしょうね。」

と((言|い))うと、また((忙|いそが))しそうに((旅仕度|たびじたく))を((続|つづ))けました。

 

((@|アット))ロボットは((神様|かみさま))に((会|あ))う((方法|ほうほう))を((探|さが))すために((歩|ある))き((続|つづ))けました。

((@|アット))ロボットが((野生|やせい))のリンゴの((木の下|きのした))を((通|とお))った((時|とき))

((風|かぜ))が((@|アット))ロボットの((体|からだ))にヒューと((吹|ふ))き((付|つ))けました。

そして、((何処|どこ))からかクスクスと((笑い声|わらいごえ))が((聞|き))こえてきました。

((@|アット))ロボットは、キョロキョロと((見回|みまわ))しましたが((辺|あたり))には((誰|だれ))も((居|い))ません。

その((声|こえ))は((囁|ささや))きました、

「((俺達|おれたち))を((探|さが))しても((無駄|むだ))さ。

 お((前|まえ))の((目|め))には、((俺達|おれたち))は((小|ちい))さ((過|す))ぎて((見|み))えない。

 ところで、お((前|まえ))は((神様|かみさま))を((探|さが))しているんだろう?」

((@|アット))ロボットは((答|こた))えました、

「はい、ぼくは、さがしています。でも、なぜ、それをしってるの?」

その((声|こえ))は((囁|ささや))きました、

「((俺達|おれたち))は((世界中|せかいじゅう))の((噂話|うわさばな))しを((知|し))っているのさ。

 それより、お((前|まえ))は((本当|ほんとう))に((神様|かみさま))に((会|あ))いたいか?」

((@|アット))ロボットは((答|こた))えました、

「はい、ぼくは、どうしても、あいたいです。」

すると、その((声|こえ))はこう((囁|ささや))きました、

「ならば、((死|し))んで((天国|てんごく))へ((行|い))けば、((会|あ))えるかもな。」

そして、また((風|かぜ))がヒューと((吹|ふ))いてクスクスという((笑い声|わらごえ))は

((消|き))えて((行|い))ってしまいました。

 

それから((@|アット))ロボットは、((白|しろ))い((煙|けむり))を((吹|ふ))く((火山|かざん))に((登|のぼ))りました。

((火口|かこう))から((見下|みお))ろすと、((真っ赤|まっか))な((溶岩|ようがん))がブクブクと((煮え沸|にえたぎ))っていました。

((@|アット))ロボットは((呟|つぶや))きました、

「ぼくは、どうしても、かみさまに、あいたい」

そして、((@|アット))ロボットは((左足|ひだりあし))を((宙|ちゅう))に((踏|ふ))み((出|だ))しました。

しかし、それ((以上|いじょう))は((体|からだ))が((言|い))うことをききませんでした。

((@|アット))ロボットは((仕方|しかた))なく((諦|あきら))め、((人間達|にんげんたち))のもとに((帰|かえ))ることにしました。

 

・・ ((約束|やくそく)) ・・

 

((@|アット))ロボットは((街|まち))に((戻|もど))りました。

((@|アット))ロボットが((建物|たてもの))の((門|もん))をくぐり((庭|にわ))に((入|はい))ったとき、((犬|いぬ))が、

「ワンッ、ワンッ」

と((吠|ほ))えました。

 

((旅|たび))に((出|で))たロボット((達|たち))は((皆|みな))((戻|もど))ってきました。

((人間|にんげん))の((前|まえ))でロボット((達|たち))は1((台|だい))づつ((順番|じゅんばん))に((報告|ほうこく))しました。

((次々|つぎつぎ))に((報告|ほうこく))が((終|お))わり、

((最後|さいご))に((@|アット))ロボットが((報告|ほうこく))する((番|ばん))でした。

((@|アット))ロボットは((恐る恐る|おそるおそる))((言|い))いました、

「ぼくは、せかいを、すくう、ほうほうを、みつけられませんでした。」

すると、((人間|にんげん))はフウと((溜息|ためいき))を((吐|つ))いてから((命令|めいれい))しました。

「では、お((前|まえ))はリサイクル((処分|しょぶん))だ、((再処理場|さいしょりじょう))へ((行|い))け。」

 

パイプが((複雑|ふくざつ))に((入り組|いりく))んだ((通路|つうろ))を((@|アット))ロボットは((歩|ある))いて((行|い))きました。

((通路|つうろ))は((熱|あつ))い((蒸気|じょうき))が((立|た))ちこめていて、

((天井|てんじょう))には((赤|あか))いランプが((灯|とも))っていました。

((通路|つうろ))を((進|すす))むと((広|ひろ))くて((薄暗|うすぐら))い((場所|ばしょ))に((着|つ))きました。

((入口|いりぐち))の((両脇|りょうわき))には、((背|せ))の((高|たか))いロボットが((立|た))っていて、

((銅像|どうぞう))の((様|よう))に((黙|だま))って((@|アット))ロボットを((見下|みお))ろしていました。

その((部屋|へや))の((真ん中|まんなか))に、((大|おお))きな((機械|きかい))が((扉|とびら))を((開|あ))けていました。

((@|アット))ロボットはずっと、((人間達|にんげんたち))を((救|すく))う((方法|ほうほう))を((考|かんが))えていました。

しかし、どんなに((沢山|たくさん))((計算|けいさん))をしてもその((答|こた))えは((出|で))ませんでした。

((@|アット))ロボットがその((機械|きかい))の((中|なか))に((入|はい))ると、

((大|おお))きくて((重|おも))たい((扉|とびら))がゴトンと((音|おと))をたてて((閉|し))まりました。

((真っ暗闇|まっくらやみ))の((中|なか))、ブーンという((低|ひく))い((唸|うな))りが((響|ひび))き((渡|わた))り、

((機械|きかい))が((作動|さどう))を((開始|かいし))しました。

まもなく、((@|アット))ロボットの((指先|ゆびさき))がサラサラと((霧|きり))の((様|よう))に((消|き))え((始|はじ))めました。

((@|アット))ロボットの((手足|てあし))は、みるみる((消|き))え、((次|つぎ))には((体|からだ))も((消|き))えて((行|い))きました。

それでもまだ((@|アット))ロボットは((人間達|にんげんたち))の((事|こと))を((思|おも))っていました。

そして、ついに((頭|あたま))も((消|き))えだしました。

((薄|うす))れゆく((意識|いしき))の((中|なか))で((最期|さいご))に、((@|アット))ロボットは((誓|ちか))いました。

「たとえどんな((亊|こと))があっても、

((生き物達|いきものたち))を((破滅|はめつ))の((運命|うんめい))から((護|まも))りいたい」と。

 

・・ ((最後の日|さいごのひ)) ・・

 

とうとう、 ((人類|じんるい))((滅亡|めつぼう))のその((日|ひ))がきました。

それでもなお、((人間達|にんげんたち))はお((互|たが))いにいがみ((合|あ))いを((止|や))めません。

ついに、((人間達|にんげんたち))は((最終戦争|さいしゅうせんそう))を((始|はじ))めてしまいました。

((戦車|せんしゃ))の((群|む))れが((地|ち))を((這|は))い、

((艦隊|かんたい))が((大洋|たいよう))を((突き進|つきすす))み、

((爆撃機|ばくげきき))が((空|そら))を((覆い尽|おおいつ))くしました。

 

その((最中|さなか))、ある((国|くに))の((兵器工場|へいきこうじょう))で((働|はたら))いていた1((台|だい))のロボットが

ふと((手|て))を((止|と))め、ひざまづいて((祈|いの))り((始|はじ))めました。

((人間|にんげん))がやめろと((命令|めいれい))しても((言|い))うことをききません。

それを((見|み))ていた((他|ほか))のロボット((達|たち))も((祈|いの))りを((捧|ささ))げだしました。

((祈|いの))りの((輪|わ))はどんどん((拡|ひろ))がり、やがて((世界中|せかいぢゅう))をつつみこみました。

 

((紫|むらさき))の((国|くに))では。

((巫女|みこ))が((最期|さいご))の((占|うら))いの((儀式|ぎしき))をしていました。

((背広|せびろ))を((着|き))た((大臣達|だいじんたち))はその((後|うしろ))で((黙|だま))って((待|ま))っていました。

((巫女|みこ))は((何時|いつ))もの((様|よう))に、((激|はげ))しく((手|て))をすり((合|あ))わせて((占|うらな))いの((振|ふ))りを

していましたが、ピタリと((動|うご))きが((止|と))まり、

「ああ」

と((項垂|うなだ))れ、

「ほっ、((本当|ほんとう))の、((本当|ほんとう))の((御告|おつ))げじゃ。」

と、((恐|おそ))れおののいて((言|い))いました。

((巫女様|みこさま))は((姿勢|しせい))を((正|ただ))しくすると、

((大臣達|だいじんたち))に((本当|ほんとう))の((御告|おつ))げを((伝|つた))えました。

 

((緑|みどり))の((国|くに))では、((人々|ひとびと))が((礼拝場|れいはいじょう))に((集|あつ))まっていました。

((手|て))を((組|く))み、((頭|こうべ))をたれ、((静|しず))かに、((最期|さいご))の((祈|いの))りを((捧|ささ))げていました。

すると((突然|とつぜん))((皆|みな))が((一斉|いっせい))に((視線|しせん))を((上|あ))げ、

((女神像|めがみぞう))の((方|ほう))を((見入|みい))りました。

((誰|だれ))もがその((顔|かお))に((驚|おどろ))きの((表情|ひょうじょう))を((浮|う))かべていました。

その((内|うち))の((一人|ひとり))が、((立ち上|たちあ))がって((叫|さけ))びました、

「((女神様|めがみさま))の((御声|おこえ))が((聞|き))こえる。」

 

オレンジの((国|くに))では、((人々|ひとびと))は((手に手に|てにてに))((武器|ぶき))を((持|も))ち、

((聖戦|せいせん))に((出発|しゅっぱつ))し((始|はじ))めました。

((砂|すな))を((吹|ふ))くんだ((風|かぜ))が((吹き荒|ふきあ))れていましたが、それがふと((止|や))んだと((思|おも))うと。

((空|そら))から((白|しろ))くて((小|ちい))さな((物|もの))がフワフワと((沢山|たくさん))((降|ふ))り((始|はじ))めました。

((地面|じめん))に((降り落|ふりお))ちたそれは、((白|しろ))い((鳥|とり))の((羽根|はね))でした。

((人々|ひとびと))は

「((奇蹟|きせき))だ、((奇蹟|きせき))が((起|お))こった。」

と、((声|こえ))をもらすと、((次々|つぎつぎ))に((武器|ぶき))を((捨|す))て、((地面|じめん))にひれ((伏|ふ))し、

((大地|だいち))に((口|くち))づけをしました。

((降り積|ふるつ))もる((鳥|とり))の((羽|はね))は((砂漠|さばく))を((雪景色|ゆきげしき))の((様|よう))に((変|か))えました。

 

((青|あお))の((国|くに))では、((独裁者|どくさいしゃ))が((戦争|せんそう))の((前|まえ))に((仮眠|かみん))を((取|と))っていました。

すると、((夢|ゆめ))の((中|なか))に((独裁者|どくさいしゃ))の((死|し))んだ((一人息子|ひとりむすこ))が((現|あらわ))れました。

((父|ちち))は((子|こ))の((言葉|ことば))を、((黙|だま))って((涙|なみだ))を((流|なが))しながら((聴|き))きました。

((目|め))を((覚|さ))ますと、((戦争開始|せんそうかいし))の((演説|えんぜつ))を((聞|き))く((為|ため))に

((集|あつ))まっていた((国民|こくみん))の((前|まえ))に((立|た))ちました。

そして、((決|け))して((手放|てばな))すことの((無|な))かった「((支配の杖|しはいのつえ))」をへし((折|お))り、

((捨て去|すてさ))りました。

((人々|ひとびと))を((見渡|みわた))す、((指導者|しどうしゃ))の((瞳|ひとみ))は((澄|す))んでいました。

 

まもなく、((世界中|せかいじゅう))の((人々|ひとびと))は((争|あらそ))いを((止|や))め、((手|て))を((握り合|にぎりあ))いました。

そして、((白の旗|しろのはた))を((掲|かか))げながら、((力|ちから))を((合|あ))わせて((破滅|はめつ))の((危機|きき))に

((立ち向|たちむ))かいました。

 

・・ それから ・・

 

「((私達|わたしたち))ロボットはこの((星|ほし))の((皆|みな))の((仲間入|なかまい))りをしました。

 ((私達|わたしたち))は((神様|かみさま))との((約束|やくそく))をずっと((忘|わす))れないことでしょう。

 ((人間|にんげん))はやがて、この((宇宙|うちゅう))を((生命|せいめい))で((満|み))たします。

 ((私達|わたしたち))はその((箱舟|はこぶね))なのです。」

「((年|とし))を((取|と))り、((天|てん))に((召|め))されても、

 『ぼくは』、またロボットに((生|う))まれ((変|か))わりたいと((思|おも))います。」

 

おわり。

 

説明
神と人そしてロボットの約束の物語
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ロボット 童話 聖書 創世記 ノアの箱舟 

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