超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス
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プラネテューヌの中央都市に来たのは三年ぶり、いまでも懐かしい鮮やかな記憶の中では女神達と肩を並べながら夢を語り合ったこの世界に一時の別れを告げたあの日を薄らと紅夜は思い出していた。

その記憶の中では、誰もが笑顔になっていた。国の源であるシェアエナジーを奪い合う関係だった女神、その仕組みでは当たり前のように引き起こされる女神同士の争いは((守護女神|ハード))戦争と呼ばれ、国の繁栄の為にと日頃人智を超えた女神同士の熾烈な争いは、この空の向こうで行われていたことだった。

女神自身も守護女神戦争は、宿命だと誰もが思っていた。自身が唯一の女神になることがゲイムギョウ界の為になると絶対的な自信を持っていた。だが、それは第三者の存在によってお互いに考えが変わっていき、異界から降りてきた者達によって、徐々に明かされていくゲイムギョウ界のシステムに女神達は共に異議ありと唱えた。女神の価値を永続させていくために繰り返される希望と絶望の螺旋。それを誰にも悟られず操る支配者にお互いを敵と見做していた女神同士は、初めてお互いに話し合い、そして手を合わせそのシステムを破壊することに成功した。

 

そして今は、自由を手にした人類、捉われた女神。

絶望の神へとなった奈落に墜ちた神は、多大な負担を負いながら再びこの地に立ち言葉を失う。

 

 

−−−−『負』。

誰もが当たり前に持つそれを目視できるようになってしまっている。

誰もが心の中で理由もない陰口を歌うように響きあっている世界。

 

 

−−−零崎 紅夜に見える世界は悪意に満ち溢れていた。

だからこそ、彼は決意する。正気を削られていき、狂気のパズルを無理やり組み込まれながら、女神達の夢を守るためにその黒ずんだ双眸で光ある未来を幻視する。

 

 

 

 

 

場所はプラネテューヌを象徴するゲイムギョウ界一高いと記録されているプラネタワーの中央区。一般人は立ち入りを禁止されている場所で、常日頃に職員が忙しそうにプラネテューヌ中の集まる情報を整理する為に闊歩しているそんな場所、そこには女神が集まりそれぞれの国の方針をお互いに意見を交換することが出来る特別な会議室も設けられている。そんな、神聖とも言える場所で右貌と髪以外を包帯で撒いた姿の紅夜、児童が持っているような可愛らしい人形のような姿と容姿をしているがすと、胸が大きく露出しているライダースーツに真紅の長いマフラーを撒いた一見男のような印象を受ける少女日本一は、女神の次に発言力を持っているとされる教祖を勤めている、プラネテューヌ代表のイストワールの元にやってきていた。

 

「……変わりました。いえ、もう別人になってしまいましたね零崎さん」

「…………」

 

懐かしそうで、悲しげに眼を細めたイストワールに紅夜は病的なまでに黒ずんだ瞳で何も語る事はない。否、情報だけ知っている偉人が、まるで知人の様に話しかけられても混乱するのは常識的だと言ってもいい。様子が可笑しいことはイストワールも理解していた。だが、あらかじめ何が起きても可笑しくない火のついた爆弾の様だと空から伝えられていた故に顔色を変えず、日本一とがすとの方に体を向けた。

 

「初めまして、プラネテューヌ教祖を勤めていますイストワールといいます」

「………か、可愛い」

「え?」

 

ぼそっと目を丸くした日本一から零れた言葉にイストワールは首を傾げる。

 

「噂でプラネテューヌの教祖は人間じゃないと聞いた事があるのですが、これは驚きですの」

 

がすとも、まさか本サイズの人間の形をした妖精のような小さな少女が、事実上この国の最高責任者だという事に思わずため息を漏らす。イストワールもあぁと手を叩いた。この頃の話し相手は自分の部下やアイエフ、コンパ等としか話す事がない。マジェコンヌに監禁されたり、解放されたと思ったら当たり前を破壊した結果の収拾したり、とどめに犯罪組織だったりその事態解決に向けて、とても外に出る余裕も無かったことを思い出した。

 

「がすと!お持ち帰りしていいかな!?」

「したらゲイムギョウ界指名手配されるですの。やったら絶交ですの」

「もう二度と考えません」

 

それでよし、と頷くがすと。早くも二人の上下関係が分かった瞬間である。

 

「えっと、話を始めてもよろしいでしょうか?」

『うん、いいと思うよ』

 

このままだと二人のコントで話が一向に始まりそうにない事を感じたイストワールは、わざとらしく咳をついて生温い空気を区切り、真剣な瞳で口を開く。

 

「まず、お二人には知っていただきたいことはあります。そして、これを知って上でもしよろしければ私達に協力をお願いしたいのです」

「勿論い「ちょっと待つですの」どうしたの?」

「教祖様も言っているのです。まずは話を聞くのですの……全く、日本一にはブレーキはないですの?」

「ご、ごめん…」

「……それでは、まず冥獄界と呼べれるモンスター誕生の地について−−−−−」

 

 ストワールが語り始めた内容は日本一、がすとにとって正気を疑う様な飛び抜けた内容だった。冥獄界と呼ばれる人の負が集まり、それが元になって生まれるモンスターについて、女神がギョウカイ墓場に調査してから行方が分からなくなっている事、シェアの低下によって引き起こされる女神の加護の弱体化によってモンスターの【汚染化】が始まった事。

そして、隣にいる零崎 紅夜こそが冥獄界の神、そしてモンスターの王である女神の対極なる存在であるブラッディハードだと言う事。

 

「………なるほど、状況は把握したですの」

 

全てを聞いたがすとは舌を丸めながら頷く。こんな事、確かに国家機密になる訳だと思いながら。

もし、この情報が洩れれば、間違いなくブラッディハードは誰からも魔王と呼ばれる存在になるだろう数年前に女神の手によって倒された魔王ユニミテスのように。しかし、ブラッディハードがもし倒されてしまえれば、冥獄界を管理する者はいなくなり、積もった負の制御できず無尽蔵にモンスターが溢れ出し大災害が引き起こされる。所謂、必要悪の存在はそこに在り続けなければならないが、負の象徴。全ての人類が自分と向きあう事は到底不可能に近く、ブラッディハードの存在は、隠されなければならない。

 

「そういえば、ちょっと前に突然モンスターが消えて時があったけどあれは貴方のお蔭だったの?」

『まぁ、一応僕等があれこれ働いたからの結果だね。でも、『何か』合ったんだ、『何か』が合ってモンスターはまたこちらの世界に沸く様になってしまった。女神がいなくなったのは原因じゃない、多分もっととんでもない存在が動いている』

「だから、こっちの世界に来たですの?」

 

紅夜の包帯で埋もれた手に浮き出ている宝玉が頷くように光る。因みにここに来るまでに自己紹介は済んでいる。

 

「……可笑しくない?話を聞く限り犯罪組織のやっていることって破滅を加速されているよ。まさかみんなが破滅を望むなんてありえないよ?」

「こういう時って誰かが人類そのものを無意識を意図的にそっちに寄せているとかありそうですけど……現実的じゃないですの……ブラッディハードが出来そうですけど」

『紅夜の見ている物は、女神と一緒だよ。……君達も見たでしょ、紅夜の体に浮き出ているアレを』

 

『アレ』まるで生きているかのように紅夜の体中にある((人の顔をした刺青|・・・・・・・・))のような物。それが何であるのかを理解した二人の顔が一気に青くなる。

 

「……無理を、したのですね」

『今も無理をして、無茶をしている所……だよ』

 

−−−それでも、こいつは辞める気はないと思うけれど。壊れかけそうな物を憐れんでいるような声音でデペアは一人愚痴る。

 

「それじゃ、ダメだよ」

 

ぼそっと日本一は紅夜に向けて言い放つ。

『正義のヒーロー』を目指してマジェコンヌという悪を倒し、困っている人がいれば助けるそんな人生の中で出会った紅夜と同じ黒いコートを羽織った闇のようなそいつは、大人気ない大人が子供を相手にするように日本一の完全に打ちのめした。道化師のような哄笑と共に。

 

 

《自らの発展の為に世界を汚して、問題起これば先送りして若い者に押し付ける人間か?

 人の正しさを餌するだけの女神か?

 全て生物の父であり母であるこの星か?

 −−−−−お前は『何の』正義のヒーローだ?

 それが定まらない限りはお前は俺の敵でもないぜ》

 

 

玩具を見つけた子供のようにはしゃぐように、そいつは精神を逆撫でされられる声音で解かれるその言葉に日本一は何も答えらず地面に握りしめることしか出来なかった。それから色々考えて、世間について色々調べる様にした。あいつの言うとおり、私一人がどれだけやっても世界は変わらない。いや、マジェコンヌに敵対することで目を白くされる事も合った。

でも、それでも、がすとはそれでも隣にいてくれた。無理をすれば、直ぐに気を掛けてくる。それ故に日本一は一つの答えを知っている。

 

「私もいろいろ合って、答えを探しているんだけどさ……少なくても、自分に優しく出来ない奴が、他人に優しくすることなんて……出来ないよ」

「((女神を要求する魔剣|ゲハバーン))」

 

始めて、紅夜がその虚ろな瞳で呟いた。

 

「……それがあれば、それさえあれば全てを終わらせる」

「突然、どうしたですの?」

「答えは既に出ている。あいつらの為に、あいつらと夢を語った時から、俺はもう((終わっている|・・・・・・)9」

 

浮世離れた言葉を口にして紅夜は背を向けて歩き出す。デペアさえ理解できない突然の行動に静止の言葉を掛けるがその足は止まらず、重苦しい扉が空けられ影のような紅夜は扉の奥の光の中に消えていった。

 

「あれ、もうダメじゃないですの?あの瞳は、もう女神以外の生命なんて有象無象と語っているですの。あれは最初からああなっていたのですの?」

「……あれは、女神の善意から作り出そうとした輝かしい理想の影なんです。人のように泣きたい時に泣けず、逃げたい時に逃げれず、そんな環境下で夢を叶える為に……ああなるしか無かったんです。」

 

既に零崎 紅夜は形を成していない。あるのは女神の宿敵であるブラッディハードとしての使命と夢を守るために自分自身を犠牲すら問わないドス黒い執念と既に手遅れまでに壊れた信念だけだった。

その背中を静かに見ていた日本一は力んでイストワールに紅夜の武器の場所を聞き、その場から直ぐに紅夜の後を追うように駆けだした。がすとは一瞬、目を丸くするとはぁとため息を放ち直ぐに後を追うように走り出す。

 

 

「………私は……いえ、私しか出来ない事をしましょう」

 

自分の目で、自分の傍でこの事態を解決したいその想いを強引に胸に閉じ込めイストワールはマジェコンヌついて、そして紅夜が零した((女神を要求する魔剣|ゲハバーン))について調べるために、自室へと戻った。

 

 

説明
今日新次元のバットエンドをした。
全ネプテューヌシリーズをしてきた身としては精神的にきつかった。(mk2のバットエンドよりかはマシだけど)
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超次元ゲイムネプテューヌ mk2 

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