【真・恋姫†無双if】〜死を与えることなかれ〜29話
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「…どうかしらん。ご主人様の容態は」

 

「貂蝉か。孫策達は如何したか?」

 

「春眠香をつかって、ぐっすりと夢の中」

 

「そうか。…北郷殿だが……」

 

「待ってくれ、卑弥呼。ここからは俺が話す」

 

「ダーリン」

 

「貂蝉。結論から言う。俺には北郷を治すのは…不可能に近い」

 

「…やっぱり、そうなの。薄々は予想していたけれど」

 

「北郷の身体に蔓延している悪しき毒は、侵攻を食い止めることは出来た。

 しかし、未だ浄化するのには至らず、治る見込みは無いに等しい。

 最悪、今の状態を保つ術を心得ているが、その治療を施すと、

 意識は完全に亡くなり、謂わば北郷は、

 植物人間と化してしまうだろう…」

 

「…脳は死ぬという事ね」

 

「ああ。…しかし、あの時俺は北郷を治せると確信していた。

 過去の症例に当て嵌まった、事例があったからな。

 だが、蓋を開けてみると、どうしても、治す事が出来ないんだ。

 何度も気を込めた針を刺そうとするが、直前で気が雲散してしまう。

 まるで、気針に抗体ができ、見えない防壁が俺の邪魔をして、北郷の治療をさせまいと

 しているかの様だ」

 

「…ダーリン。それは呪いだ」

 

「呪い…?」

 

「外史の呪い。運命を変えた代償として、もう、受け取った因果から逃れる事は出来ない。

 必ずや死に至らしめる。北郷一刀は、もう患者ではなく烙印を押された呪われし者。

 故にダーリンの気が北郷一刀に届かず、治療が施せないのだ。

 …もう、賽は投げ終えた後、出目は変えられはしない。万策は尽きた」

 

「…それじゃあ、駄目だ。何としても北郷を治療しなければ、孫呉の奴等はどうなる。

 俺は医術を心得ている師。あの、悲しみに満ちた瞳に光明を与えなければならない。

 だから、治す!!どんな病も、外傷も、毒も!!はあああああぁぁぁ……」

 

「…ダーリン」

 

「止めないでくれ、卑弥呼!!元気になれええええ!!!!!

 …くそ!!もう一度だ!!元気になれええええ!!!……まだだ!!」

 

「………」

 

「元気になれえええええ!!!!!……くそおおおおおおおおお!!!!!!」

 

「貂蝉!!貴様は知っていた筈だ、因果の瘴気を身に受けた末路を。

 だが、貴様は孫策と約束を交わしてしまった、北郷一刀を必ず助けると!!

 なのに、何故約束した、結局は悲しみを広げているだけではないか!!」

 

「…希望はまだ、残されているわ」

 

「…何じゃと」

 

「さっき、向こうのご主人様の話を終え、各々の将から可能性の光を感じたわ。

 誰一人、諦めないでご主人様を信じて止まなかった可能性の光。

 そして、その皆の光が想いの結晶となり空へと駆けて行ったわ。

 私は、まだ奇跡が起こると思っている。それと、もう一つ起こるという

 理由があるの、それは………」

 

 

 

 

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『………お待ち下さい』

 

『あら、まだ私に何か用なの?』

 

『…向こうの私は、もう助かる術はないのでしょうか?』

 

『…そうね。先程も言ったけど、二人分の因果を受け取るんだから、犠牲は免れず、

 手の施し様は最早無い。もう、結果は変わらないわ』

 

『それは、二人の因果が原因だからですか?』

 

『ええ。一般的な軽い風邪や熱、軽傷ですら、外史の因果が活発に働き、

 運命を変えし者に罰を与える。それ故、死に至らしめるのよ』

 

『…成る程。私に一計があるのですが…』

 

『………前例は無い。でも理論上は可能だと思う。

 けど、幾つもの弊害があるのも事実、貴方はそれをどうやって行うの?』

 

『…呪いに対抗する方法は一つしかない。貂蝉は直ぐ様、向こうの外史に華佗と共に赴いて

 頂きたい。私は、その方法の下準備に取り掛かります。

 …奇跡を起こしてみせますよ。もう一度…!!

 雪蓮と冥琳に私と同じく、残される悲しみを知って欲しくはありませんから…!!』

 

 

 

 

 

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「…向こうの北郷一刀がその様な事を」

 

「ええ。だから、私は信じる。最後まで諦めない意志がこそが、

 新たな扉の取っ手を掴むのだから」

 

「…俺も、まだ諦める訳にはいかないな。皆が奇跡を信じ、いや、起こそうとしているんだ。

 この腕が動く限り、何度でも立ち向かわないと、医師の名折れだ」

 

「…ダーリン」

 

「止めるなよ、卑弥呼。俺は今、猛烈に熱血しているんだ。

 触れたら火傷じゃすまされないかもな」

 

 

(…不思議ね。絶望の淵に立たされ、奈落の底に何度も突き落とされそうになっているのに、

 その都度、ご主人様が手を差し伸べ、微力ではあるが光差す場所へと引き寄せてくれる。

 先の雪蓮ちゃんが最後の最後で踏みとどまってくれた事や、今、心が折れ欠けていた

 華佗ちゃんだって、そう。ご主人様の意志が模範となり奇跡を信じ起こそうとしている。

 …やっぱり、ご主人様の居場所は恋姫武将の中心なのよ。

 私も外史とは関係なく私の意思で、ご主人様を信じる。だから、奇跡を起こして頂戴。

 私だって湿った終演よりハッピーエンドの方が好きなんだからん、ご主人様)

 

 

 

 

 

 

 

説明
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
向こうの一刀だって、こう言った結末は望んでなかった。
だから抗う。
稚拙な文章、展開、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
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コメント
本郷 刃さん>今こそ、見せてやるー。人の力を!!かっこよくない訳がないですねwコメントありがとうございます〜(南無さん)
tadanominatoさん>医者王は後退を知らない!!コメントありがとうございます〜(南無さん)
睦月さん>ここで燃えなきゃ男じゃない!!という訳ですね。こめんとありがとうございます〜(南無さん)
naoさん>調べてみたら「NG騎士ラムネ&40」というアニメでした。どこかで聞いた事があるなと思っていましたが、古いなコレ。コメントありがとうございました〜(南無さん)
心は永遠の中学二年生さん>無印も確かに湿った終演でしたね〜。選択肢がね。コメントありがとうございます〜(南無さん)
誰も彼もが暗き定めに抗う、カッコイイじゃないですか!(本郷 刃)
治せないとか聞いたら医者王が燃えるのは不可避(未奈兎)
華陀が、いつも以上に熱血だ…(睦月)
向こうの一刀何をする気なんだ?後華佗の「俺は今、猛烈に熱血しているんだ。」って聞いたことある台詞なんだが何の漫画だっけ?w(nao)
湿った終演って言われると、無印を連想するぜ(心は永遠の中学二年生)
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