リリカル東方恋姫外伝 ネギま編 第8話 『レアな武具ほどレアな材料が必要』
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 リーファがヤンデレになって、一刀を奪略した事件から早数日がたった(全員のおかげで一刀は無事救助された)。

 ナギたち紅い翼は、『完全なる世界』に反撃するため、交渉や敵味方の判別など頭脳労働班と敵を殲滅する肉体労働班にわけ行動していた。ヘラスの将である一刀とマサトと剣呉とテオも、ヘラスの復興と改革の仕事と、紅い翼の仕事を両立して、反撃とアスナ救出の準備をしていた。幸いにも、連合の攻撃を受けたヘラスは、テオとスカイとディープを中心に政治的に立て直すことができ、再度の連合の進攻に備え戦闘準備も整っていた(帝国の国王の意見?そんな人いたっけ?)。

 一方で、マサトはラカンと一緒に、敵を殲滅する肉体労働班で活動し、剣呉は鈴たち『夜の偶像』と共に裏で情報収集し頭脳労働班をサポート。そして、一刀はブレイドとしてヘラスの仕事をしながら頭脳労働班と共に活動し、今までの経験と知識と人脈(おもに、キソの海賊経由)を使い、敵の配下であった悪組織や武器商など、ビジネスで解決し(詐欺紛いで)仲間に引き入れていた。また、休みの時には、ヘラスでテオやスカイたちの(性的な)相手したり、紅い翼ではナギたちの稽古相手を勤めたりと、休みでも忙しい身でもあった。

 

 

 紅い翼の隠れ家から、そう遠くない荒野にて、一刀はナギと遮那という最強コンビ相手に実践に近いガチバトルをしていた。

 

「呪文以下省略!雷の斧!」

「なんの、ザケルガ!!」

 

 ナギが放った雷の放電は一刀の雷のビームによって貫通された。

 

「げっ、俺の魔法が撃ち抜かれた!?うっわ!?(イナバウアーで回避)」

「だったらこれはどうだ!みずち!」

「甘いよ。ラシルド!」

 

 帯電の盾でみずちを防いだ。

 

「からの…」

 

 が、ラシルドを避けて17本のみずちが一刀を円周上に囲みこむ。

 

「っ!?最初のみずちは囮か!?」

「青龍!!」

 

 17本のみずちが一つになって青龍となり、一刀は青龍の竜巻により空中に飛ばされる。

 

「ぐっぅうう!?でもこれくらい…」

「+朱雀×4!」

 

 青龍を発動中に、遮那が朱雀を四体放った。

 

「青龍を放ってるときに朱雀四体同時に!?」

「ナギ!」

「オウ!呪文以下省略!千の雷!!」

「んで、こいつはオマケだ!白虎×3!!」

 

 追撃の千の雷と三体の白虎。

 天には青龍、横には朱雀、地には白虎と千の雷と、全方向同時攻撃により、回避不能であった。

 

「このコンボは避けても防げないぜ!」

「なら、まとめて吹き飛ばす!」

 

 一刀は両手を握り締め拳を作り、腕を平行に広げて構える。

 

「北郷流格闘術、巨門の型!」

 

 すると、一刀の両腕が黄色い気が覆われ巨大な腕を形成した。その大きさはまさに巨人の両腕であった。

 

「『轟神の爆陣壁』!!!」

 

 上下左右全方向から放たれる巨大な気の両腕。その巨体の物体である拳はまさに弾幕であり壁であった。

 襲い掛かる千の雷は黄色い壁によって弾かれ、青龍と四体の朱雀と三体の白虎は、巨人の拳に激突し、爆発したかのようにバラバラに散っていく。

 

「ギア3かよ!?」

「なに言ってんだ遮那?」

「いや、こっちの話…っ!?やばい!?」

 

 その光景に思わずネタを叫ぶ遮那だが、一刀が右の巨大な腕をこちらに振り下ろそうとしていた。

 あまりにも巨大なためこのままでは避けることはできない。

 

「遮那!」

「わかってるって!?」

 

 遮那は急いで最強の奥義で防ごうと刀を構える。同時に、一刀も巨大な気の右腕を構えた。

 

「『轟神の斉拳』!!」

「無明神風流奥義!『玄武』!!」

 

 振り下ろされた巨人の拳。対する絶対防御の神風の玄武。

 隕石が地面に落ちたかのように、巨人の拳は玄武の甲羅に激突し、衝撃が発生する。

 巨人の拳は玄武の強固な甲羅、その渦に阻まれ、玄武に纏まり付く蛇が巨人の拳を絡めとり動きを拘束する。

 このまま、巨人の拳は封殺すると思いきや…

 

「重てぇええええええええええええええ!?!?」

 

 気を増幅し、それを凝縮された気の巨人の拳は山の如く重かった。

 質量差負けで、徐々に玄武が大地に沈み、刀を上に構えて重さに耐えている遮那も重量で押し潰されかける。

 

「ちょっ、ナギ援護…――」

 

 このままでは潰れかねないため、後ろにいるナギに援護を頼む。

 が、そこにナギの姿がなかった。

 

「あのにゃろぉおおおおおおお逃げやがったなぁああああああああ!!」

 

 いつのまにか逃げたナギ。そして、玄武の蛇は巨人の拳に耐え切れず千切れ、玄武本体は甲羅がひび割れていき砕け散った。巨人の拳は遮那をそのままプチッと潰した。

 未だ宙に浮く一刀が気で出来た巨人の両腕を霧散させて解除すると、地面には巨大な拳の型をしたクレーターが出来上がり、中央にはどこぞの野菜人シリーズのやられ役みたく、遮那がズタボロに横たわっていた。

 

「ちょくっしょうぉおおお!遮那の仇ぃいいいいいいい!!」

 

 いつのまにか飛んでいたのか、一刀の右の死角からナギが叫びながら殴りにかかった。もっとも、敵討ち以前に、見捨てた人が言う資格はないだろう。

 一刀は冷静に対処して、腰のぶら下げた一騎当千を居合い抜きで、ナギを振り払った。

 木刀の刀身がナギの胴体に当たった瞬間、ナギは煙となって消えた。

 

「分身の術!?」

 

 さきほどのナギは分身・偽者であった。なら、本物はどこへ消えたのか。

 その答えは頭上にあった。一刀が上を見上げると、そこには杖に魔力と雷を集め、投げやりの構えを取るナギの姿があった。

 

「食らえやがれぇ!キョウスケに教えてもらった超電磁砲を応用した俺の新必殺技!その名も――」

 

 掲げた杖に魔力を限界まで込める。杖は紅く雷を走らせる紅く輝く巨槍へと変貌した。

 

「『紅帝の雷槍(レッド・ア・ライジング)』!!!」

 

 紅い槍は投射され、超高速に加速し、一刀を貫こうと一直線で襲い掛かる。

 早い。避けならないと理解し、正面から打ち破ることを選択。その間の思考まで、わずか一秒未満だった。

 

「バオウザケルガァアアアアア!!!」

 

バッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 

 紅い巨槍を飲み込もうとする顎を開くバオウ。されど、紅帝の雷槍はバオウを貫こうと、限界までためられた魔力と雷を徐々に開放し、魔力で作られた槍の原型を留めたながらも、巨大な紅い稲妻となり、バオウと激突した。

 衝撃と轟音、唸るバオウと紅帝の雷槍の甲高い摩擦の音が木霊する。

 そして、雷龍雷槍は互いに耐え切れず、対消滅し、散った。空気中に粒子となって散った光る魔力を目くらましに、ナギの眼前には、一騎当千を振り下ろそうとする一刀の姿があった。

 

「こいつで…」

「っ!?」

「しめぇぇだぁあああああああああああ!!!」

 

 

――北郷流剣術、大威徳ノ型『落華星盃』!!!

 

 

 膨大な気が込められた銀色に輝く刀身がナギの頭を、兜割りで叩き付けた。

 そのまま一刀はナギ、垂直に落下。まるで、隕石が落ちるように地面にズッドォォォオオオンと激突し、爆風と衝撃が荒野に舞う。

 衝撃で宙にまいた土煙が晴れると、そこには隕石が落ちたような、クレーターが出来上がり、表面は落下の衝撃で大地に含んだガラスが空気中に溶け出し、地面に漆のように定着し、クレーターは盃のようなきれいな表面にしやがった。

 中央には、一騎当千を腰に仕舞う一刀がいた。その足元には大の字で寝転がるズタボロのナギの姿もあった。

 

「フゥー今回も俺の勝ちだな」

「畜生〜〜連戦零勝連敗記録更新かよ〜;」

 

 そう言って悔しがるナギ。言葉道理、あれやこれらで一刀と勝負しては、未だ勝ち星をあげられていなかった。 

 もちろん、タイマンだけでなく、遮那のタッグによる一対二や、一刀もしくは剣呉とマサトとのヘラス側対紅い翼での団体戦でも、一刀たちヘラス側の全勝であった。

 

「でも、今回はいい線いってたぞ。協力奥義のコンビネーションに新必殺技の威力。さすがにびびったよ。なにより、俺の切り札の一つだった北郷流を今回初めて出させたんだ。確実に強くなってる証拠だから、あまり気を落とすなって♪」

「そんもん、勝者の嫌味にしかきこえねぇ〜よ!」

 

 勝者の言い分に、ナギが嫌な顔をする。しかし、一刀のいってることはホントであり、素直な感想をのべているにすぎない。なにより、ナギたちが弱いのではないし、一刀たちの楽勝でもない。その証拠に今回初めて、本気にしかつかわないはずの実家の北郷流を出したのだ。ナギの出鱈目な成長ぶりは、一刀の目ではもはや、化け物級であった。

 もっとも、勝負において経験では一刀のほうが優れていた。なにせ、数千ともおよぶ異世界を旅し、時間の流れを無視し、実年齢を超えるほどの時間を旅と鍛錬に費やした一刀の経験値はもはや測定不能レベルまでたっしていた。その点において、がむらしゃに猪の如く突っ込みナギを、牛闘士のごとくうまくかわしたり、剣を突き刺したりする、技術とセンスと経験と直感が、数十年戦場にいたナギたちとは桁が違う。

 

「あぁ〜死ぬかと思った〜」

 

 別のクレーターで倒れていた遮那が、肩をぐるぐるまわし間接をならして、やってきた。服が汚れている怪我などはみわたらない。

 大の字で寝ていたナギが、普通に起き上がる。あれだけの攻撃を受けてもピンピンしているとこは、バグ並み、いや、ギャグ補正といったところか。そこだけは、大技を決めた一刀もナギの異常な体質?に苦笑する。

 

「オッ、遮那、無事だったか?」

「おかげさまで。もっとも、お前にまた囮にされなかったらボロボロにならずにすんだかもしれんがな…」

「そうか?なら今度は囮にしないで、遮那カードでガードするわ」

「いっぺん、黄龍でぶちのめすぞテメェ?」

 

 あっはははと笑うナギを睨む遮那。冗談であったとしても、ナギならばやりかねない。

 ナギが立ち上がり、服についた土を払うと、一刀が遮那にあるこという。

 

「なぁ、遮那。いままで不思議に思っていたんだけど聞いてもいいか?」

「ん、なんだ?」

「おまえ…なんで本気にならないんだ?」

「っ!?」

 

 遮那の眉がぴっくんと動く。ナギは一刀がなに言ってるのか首をかしげるが、遮那にとってその言葉は図星であった。

 

「……いつから気づいてた…?」

「気づくも何も、無明神風流は最強最悪の紅の王を殺すために作られた最強の殺人剣だ。その奥義が簡単に敗れるわけがないのに、俺の技であっけなく破られたんだ。そのわけは…遮那おまえだ。おまえが技を放つ直前に手加減しているから。そうじゃないのか?」

「…そうかもしんねぇな」

 

 遮那は腰にぶら下げた村雨天狼の柄を撫でる。特典では、鬼神モードの狂の身体能力と戦闘力をもつが、その力を発揮することはせず、今日まで本気で剣を振ったことがないことを認めた。

 そのことに、ナギが強引に入る。

 

「ちょっとまて!じゃぁっ、いままで遮那は本気になってなかってことか!大会も戦場のときも!?」

「あぁ、なんでか知らんが、勝手にセーブしちまうんだ。あのときの大会たって本気で剣も拳もふるってねぇんだ俺は」

「ふざけんなよ!あの試合は尽力を尽くして戦ったと思ったのに、まだ実力を隠していましたってそんなの認めるか!もう一度勝負しやがれ!」

 

 遮那との最初の出会いであった麻帆良学園のまほろ武道会で、拳で交わし、互いに認め合ったはずの試合だったが、実際は遮那が本来の力を出していなかったという事実に、ナギは納得しなかった。再戦を申し込もうと騒ぎたちナギに、一刀が「ちょっと黙っててな…」といって、ナギの首を腕を絞めて押さえて黙らす。

 一刀は話を続ける。

 

「おそらく、それが喧嘩と真剣勝負の違いかもしれないな。喧嘩は節度ある勝負だけど、真剣勝負じゃぁ節度は枷になる。それが、殺人剣を鈍くする原因だよ」

「なるほど。一理あるな。けど、俺は前世じゃ喧嘩三昧の喧嘩屋だ。今じゃ戦場で大勢を斬り殺してきたけど、いまさら人殺しを正当化(あたりまえ)するほど鬼じゃねぇし…」

 

 遮那はゆっくりと天狼を鎖から抜いた。大量の人や人外を斬った刀身には、血や傷がなく、太陽の光を鈍く反射していた。

 

「元(原作)がどうあれ、この剣は俺の剣だ。生かすも殺すも未熟も俺自身。弱かったら強くなればいい、それだけのことだ」

「…まぁ、別に強さに活人も殺人も関係ないし、強いなら、こちらもそれ以上はいわないよ」

 

 実際、手加減しても戦場では遮那が刀を振って、死人がでている。が、遮那にとってはそれは勝手に死んだとしか実感がなかった。自分勝手な考えだが、これも弱肉強食の掟だ。弱いやつは死に、強いものが生きる。そのことに、本来の使い手である狂と、目の前にいる遮那を重ねてしまった一刀は、人の道徳とか口論する気はなかった。なにせ、それが遮那にとっての考えであり道。我が道を進むことを否定する権利なんって、今の一刀にはないのだから。

 

「あっ、なら、ナギみたいに新しい技考えたらどうだ?無明神風流の新たな必殺技とかさぁ?」

「オリジナルの必殺技か…おもしろそうけど、俺に出来るのか?」

「大丈夫だって。ナギも出来たんだしさ」

「たしかに」

「おまえら、どこまで俺を馬鹿扱いするんだよ!ってかいいかげん離せって!」

 

 いまだ、一刀の腕を首を絞められて窒素くしそうになったナギ。

 一刀は腕を緩めると、ナギの拘束が解かれた。

 

「げほげほ、オリジナルの必殺技作りたいんなら、この俺『千の必殺技の男』に任せな遮那!とっておきのかっこいい技を考えてやるぜ!」

「いつから二つ名が『千の必殺技の男』になった。千の呪文はどうしたんだよ?」

「今の時代は呪文に偏らず、ほかの流派を取り入るのが流行だぜ遮那!たとえば、分身の術とか、瞬身の術とか、あと、螺○丸とか」

「それ、忍術!?魔法使いのクラスからいつ忍者のクラスに鞍替えしたオマエ!?」

 

 先ほどの分身を使った身代わりといい、魔法使いとしてのプライドはあるのだろうか。

 彼の頭には国際という差別のなく、かっこいいならそれでよしというアメリカ並みのフリードな思考なのだろう。でなければ、ただの年相応のお調子者の馬鹿である。

 

「ところで、俺の杖はどこにいった?」

「……あれじゃないのか?」

 

 紅帝の雷槍の触媒として使った杖。バオウと衝突してどっかに飛んでいったらしく、ナギが杖を呼んでも来ないのだ。

 なにやら顔を引きずった一刀があるほうへ指を刺し、ナギと遮那が指差しの方角を見ると、まるで木炭のように黒く漕げた杖が地面に突き刺さっていた。ナギたちが冷や汗を流すと、そこへ、風が吹き、杖は灰のように風に乗って崩れ散った。

 

「お、お、お、俺の杖がぁあああああああああ!?!?」

 

 

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「あ、あたしの…最高傑作の杖がぁぁ……!?」

 

 紅い翼の隠れ家、その地下にある、一刀が予備施設として作った研究所兼リズベットの工房で、机の周りを囲むのは一刀とナギと遮那、それと、隠れ家居合わせていた詠春、ゼクト、アリカ、そしてリズベット。

 机の上には、ナギと遮那と一刀が集めるだけ集めたナギの杖だった灰と炭化した炭が置かれ、リズベットが灰と炭となったナギの杖を見て、机に手を置いて落ち込んでいた。どうやらナギが使っていた杖は彼女が作った杖だったらしい。

 製作者として自信作がただの炭と灰になったことに、落ち込むでしまうのは無理はない。

 

「で、杖、直せそうかリズ…?」

(この、あほぉおおおお!?)

(空気読んで!)

(このKYが!?)

 

 リズベットの重たい空気を無視して、ナギが容赦なく聞く。それに、遮那と一刀とアリカが内心でツッコンだ。

 リズベットはゆらりと、ナギのほう首を回し振り向いた。

 

「直せる…?炭化して消し炭になった杖をどう直せっていうのよ!馬鹿ナギ!!」

「そりゃ……お前が背負ってる槌でパァァと…」

『不可能だ。我、治せるのは命ある存在だけだ』

 

 工房の壁側に置かれたパルコーが緑の宝玉を点滅させて言う。

 前回のドタバタで省かれたが、管路とヒルヴァニックの説明によれば、パルコーこと、彩光の聖鎚はかつて、世界を破壊し狂わそうと進軍した邪神や人外などから、正史や外史、あらゆる世界を守った聖獣神であり、守った世界は千もくだらないらしい。今は天器(あまのうつわ)と呼ばれる姿、つまるところ、赤龍帝の籠手と同じ神滅器状態であり、使い手であるリズが成長、あるいはきっかけがあれば、その力が覚醒し、バヴィロンを倒すくらい造作もないらしいという。もっとも、今は関係のないはなしだが。

 

「まったく、子供の頃からかわっていないわね。いっつもあたしが丹精こめた武器とか道具とか壊して!?壊されたたび、あたしがどれだけ悲しんだか分かってるの!?」

「まぁまぁ、子供の頃は水を流せって。過去を引きずってると、夢だった鍛冶職人の道が進めねぇぞ」

「あんたのせいで夢だった鍛冶職人のプライドズタズタにされてるんですけど、今!?」

 

 壊した本人のずうずうしさに、リズベットは怒りに吼える。ナギのおちゃらかさに詠春もリズベットに同情の汗を流していた。

 

「ハァ、でも、この杖、今までで持ったものねぇ。手入れをしてたときにわかったるわ。あなた、そうとう使い込んでいたようね…」

「…そうだな」

 

 さきほどと打って変わって、シリアスな顔を浮かべて、灰と炭になった杖を見つめるナギ。

 リズベットの作品の中で特にお気に入りで、戦場をともに歩いた、もはや相棒というべき(名のない)杖だった。さすがのナギも杖が壊れた(焼失した)ことに多少落ち込んでいた。

 

「コイツと一緒に戦えないのが残念だぜ…」

「なら、もうちょっと丁重に使ってほしかったんだけど?」

「俺にできるとおもいで?」

「…ごめん。あたしが聞いた馬鹿だった」

 

 丁重という言葉が似合わない壊し屋もとい魔法使いに、その二文字を言うのは無理であった。

 

「んで、どうするんだよナギ?杖を使うのをやめて素手で魔法を使うのか?」

「うんや。魔法使いとして、やっぱ杖を通常装備だわ。そこは魔法使いのプライドとしてゆずれん」

(さっきまで忍術を使いたがってたやつがよくゆうな…)

「ならば、この前通販で買ったという杖を使いのかのぉ?」

「たしか、まだ一度もつかってないらしいですねぇ。あの杖…」

 

 ゼクトとアルが言ってるのは、連合軍の資金を勝手に使って買った通販の杖のこと。そのことはもと連合軍側であったガトウとこの場にいるアリカには内緒であった。

 

「あぁ、あれか。あれはもしものためスペアだから俺の相棒にはしないぞ。俺が使うのはリズが作った武器だけだ」

「あんた、そこまであたしの作品を…///」

「通販の商品って戦場で壊れたら保険が降りないけど、リズのだったら幼馴染でタダで代えてくれるしな♪」

「あたしの作品は使い捨てと!?」

 

 消耗品呼ばわりされたあげく、さらりと幼馴染の特権でタダで作ってもらうとするナギに、リズベットは床に四肢を着いて落ち込んだ。これにはひどいと思ったのはナギとリズベットを除くメンバー。詠春が「いいすぎですよナギ」と言おうとすると、リズベットがふつふつと怒りのオーラーを放出し立ち上がった。

 

「いいわ。あたしの作品が使い捨ての消耗品っていうのなら、旧世界から魔法世界にタダ一つの、アンタだけの最強無敵の杖を作ってやろうじゃない!!!」

 

 拳を固め、目には炎を燃やすリズベット。背中には鍛冶師としてのプライドが熱く燃え滾っていた。

 だが、なぜなろう。なにげにナギに誘導されたようなことが、一刀がおぼえてしょうがなかった。かくゆう、ナギは「おぉ〜」と声を上げてパチパチを手を叩いてた。

 

「でも、リズ。作るにしても、最終対戦まであと僅かだぞ。それまでに完成するのか?」

「心配ご無用よアリカ姫。パルコーを使えば三日くらいでできるわ」

『我の力と奏者の腕なら、魔具から神器程度、三日で作れます』

(大丈夫かなぁ…)

 

 と、自信を持っていうリズベットとパルコーに、一刀は不安であった。なにせ、別世界とはいえあのリズベットが三日で、ナギの杖をつくるのだ。不安になって不思議ではなかった。もっとも、そこは不思議でいまだ不明な力をもつパルコーの見せ所だろう。そう思った一刀であった。

 

「さって、まずは今のナギの馬鹿げた魔力に耐えられる強度は必然ね」

 

 さっそく、別の机に向かって紙と鉛筆で設計に取り掛かるリズベット。こうやって、生き生きと製作に取り組みのは彼女の魅力だろうか、ナギは懐かしそうに彼女の背中を見つめていた。

 

「あとは付属した魔力さらに増幅させる機能とかアーティファクト並みの特殊能力。あとは…ナギ、なんかリクエストとかある?」

「えっ、俺が決めていいのか?」

「あたりまえよ。なんたってあんただけのワン・オフ・ウェポンよ。あんた欲しい機能とかあったらじゃんじゃんいいなさい。あんたの注文、このあたしが答えたやるわ!」

『ザ・オーダーメイドです』

「ところで、おまえ、そんなおしゃべりキャラだったのか?」

『鎚がおしゃべりで悪いですか?』

「いえ、べつに…;」

 

 素で返されてしまい、一刀は黙る。

 

「うーん…だったらこんな感じで頼むわ」

 

 

 ナギの提案。

 

・自分の魔力を限界まで溜められ、また、触媒にできる。

・龍が千頭踏んでも、魔王を殴っても壊れない頑丈さ。

・魔法に合わせて形状が変化する。

・自身の成長に合わせて進化する。

・最強の龍の魂が入っている。

・ボディーは紅でかっこいいのを(これ重要)。

 

 

「なんか、マサトの赤龍帝の籠手みたいだなー」

「やっぱ、主人公としてドラゴンキラーとか、ドラゴン系か欠かせねぇ!マサトの龍みたいな奴が宿った真っ赤な籠手も興味あったしな♪」

「ドラクエとファイアーエンブレムネタか?」

 

 ナギが考える杖が、赤龍帝の籠手のように思える一刀と、杖なのになにげに、ダ○の剣をイメージしてしまう遮那であった。

 

「OK。じゃー材料集めに行くから、あんたらも準備しなさい」

 

 ある程度のイメージを固めたリズベットがナギたちに言って、ナギと一刀と遮那が「「「はっ?」」」と?マークを浮かべた。

 

「はっ?じゃないわよ。材料が無かったら作れないじゃんかぁー。そんなの当たり前のことでしょう?」

「だったら、俺が持ってる材料を使えばいいんじゃないのか?」

 

 紅い翼に入った一刀は、紅い翼に多くの資源などを配給していた。その中で、自身がストックしていた秘具や材料なども紅い翼、とくにリズベットの製作に使わせてあげていた。

 

「その手もあるけど、この杖を作る際には筋肉二号(マサト)のドライグっていうの?そんぐらいの最上級クラスのドラゴンの肉や鱗とかの材料…とくに魂が必要不可欠なのよ。一刀はそれ持ってるの?」

「たしか…下級から上級のドラゴンの鱗とかあるけど、長谷川――ドライグみたいな神を超えるほどのドラゴンの材料は無かったなぁ。そもそも魂、保存できないし…」

「たくっ、期待させといてできねぇのかよ。破壊魔に最強無敵の杖頼むんじゃなかったぜ」

「誰が破壊魔よ!?材料さえあれば最強無敵の杖なんてちょっちょいのちょいで作れるんだから!!本当よ!」

「そういう奴はほど、口だけが達者だったオチだぜリズ」

「なんですってー!!」

 

 ナギの売り言葉を買うリズベットがナギに怒鳴る。ナギも「やる気か…?」と大人気なくにらむが、二人の間に一刀が入り、仲介する。

 

「しかし、困りましたねぇ。肝心の龍の材料と魂が無ければ、ナギの新しい杖が作れないとわ…」

「ヘラスにおる龍樹はだめなのかのぉ?」

「あれはヘラス帝国守護聖獣じゃ。一刀とテオドラのお陰でヘラスと紅い翼が友好とはいえ、ナギの杖のために、一体犠牲するのはまず無理かろう…」

「古龍が駄目となる、どうしたものか…」

 

 アル、ゼクト、アリカ、詠春の順に、龍の材料を考えていると、

 

「フッフフフ、なにやらおもしろそうなことをしてるじゃないか君たち…」

 

 ナギたちが工房の扉のほうへみると、そこにはドアの淵に背中を預けているキョウスケがいた。

 

「話は聞かせてもらった。どうやら長谷長川もといドライグ並の龍の材料が必要のようだな」

「なにか、心当たりでもあるのですか?」

「あぁ、もしかしったら、古龍と同等かそれ以上のドラゴンの材料が手に入るかもしれん」

「古龍を超える龍!?」

「それはいったい…?」

「…キョウスケよ。もしや、おぬし、あの伝説を龍のことをいってるか…!?」

 

 ドライグ並の竜がいるとこtおを言うキョウスケ。

 そのことに、アリカはキョウスケが言っていることがなんなのか察した。

 

「この魔法世界誕生よりも前、世界の果ての地で生き、すべての生物に恐れられし龍の頂点に立つ伝説の神龍『深紅眼の赤翼龍皇(クリムゾンアイ・レッドバード・ドラゴン)』だ」

 

 

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 魔法世界の大陸より向こうに先、そこは赤い荒野と岩石の山が聳え立つ未踏の大地があった(いわゆる火星の裏側付近)。そんな場所に、キョウスケを先頭にナギ、リズベット、一刀、遮那、アリカ、アル、詠春、ゼクトが歩いていた。なお、この荒野までキソの海賊船に乗せてもらい、帰りもキソの海賊船に乗って変える予定である。

 

「なぁ、キョウスケ。そのクリムゾンアイ・RB(レットバード)・ドラゴンっていう神龍ほんとにいるのか?」

「ほぼ、間違いないだろう。魔法世界外の地形を調査していた調査団や冒険家が翼を持った赤い龍を見たっという目撃談がここ最近話題になってな。探す価値はあるはずだ」

「そいつなら、ナギの新しい杖の核に使えるはずかもしれないわね」

「クリムゾンアイ・RB・ドラゴンかぁ。子供のころよりその伝説を父より聞かされていたが、まさかソイツを探すことになろうとわな…」

「本当に居たとすれば、なぜ、このような時に姿を現したのでしょうかねぇ?」

「そんなもん、龍に言えよ」

「つれませんねぇ遮那は…いつになったらデレてくれるのやら…」

「一生ねぇし、おまえには絶対ねぇよ」

「ってか、船に乗ってて、いまさら気づかなかったけど、なんで姫さんがここにいんだ!?」

「なんじゃ、居て悪いか?」

「悪いですよ!私たちだけでなく、あなたも狙われる身なんですよ!ただでさえ、伝説の龍を探してるんです!危険なのですぐにキソさんの船におもどりください!」

「嫌じゃ。妾だって伝説の神龍をみたい。それに、妾の騎士が杖を新しく作るんであるんなら、主で人肌脱ぐのが勤めじゃ」

「ちっ、まったく、あんた俺のヤンママですかー」

「母でない、おぬしの主じゃ」

 

 嫌な顔をするナギと、美乳なる胸を張るアリカ。二人の会話に、一刀たちはくすくすと微笑するが、リズベットは不満げな顔をしていた。

 そして、海賊船から歩くこと三時間が経過したころ、キョウスケはいったん、足を止めた。

 

「よーし、ここからは二手に分かれて行動するぞ。そのほうが効率がいいだろうしな。もしも、クリムゾン・RB・ドラゴンみたいな奴を見つけたら、お互い、念波かこの照明弾で連絡するように」

 

 そういって、キョウスケがポケットから取り出したのは緊急連絡用の色つきの照明弾であった。

 

「相手は魔法世界創造まえから生きてる神龍だ。全員で挑んだほうがいい。とくにナギは勝手に突っ込むないように」

「へーい」

 

 キョウスケが教師ぽっく、ナギに深く釘を刺した。ナギは生返事で答えるが、絶対に猪か弾丸みたく特攻するのは間違い、ナギの保護者?である遮那と詠春とリズベットの三人がそう思った。

 

「それじゃー班分けはどう決めるの?」

「じゃんけんでいいじぇねぇの?」

「駄目でしょう遮那。ここは慎重に選んだほうが――」

「んじゃーいくぞ。じゃんけん…」

「えっえっちょっと!?」

「ポンッ」

 

 

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「ナギ!ちゃんとエスコートしないさいよ!」

「へいへい」

 

 じゃんけんの結果、一刀、ナギ、リズ、キョウスケの班は荒野で一番高い山で、RBを探していた。調査団や冒険家の話によれば目撃が多かったのは荒野で一番高い山と一番深い谷だという。

 険しい山の坂を、女であるリズベットにはきつくようで、ナギの手を必死に掴んで登っていた。ナギはいやいやリズベットを手を引いて上り、眼前には先に上っている一刀とキョウスケの姿があった。

 

「くっそー飛んでいけばいっきに頂上までいけるのに〜」

「しょうがないだろう。このメンバーで飛べるのは俺とキョウスケだけ…。リズはもとから飛べないし杖の持ってないお前も飛べないし無理だ。もしも、二人を俺たちで抱えて飛べば、飛行速度が遅くなって翼竜の餌食になるだけだし」

 

 山の頂上には、山に住むんでいるのか、赤黒い翼竜ことワイバーンが数十体、山のてっぺんをぐるぐると飛んでいた。もっとも、ナギたちが探す神龍でない。その証拠に、キョウスケがもっていた、調査団や冒険家がみた龍の自画像を見比べても、大きさや翼の形状、なにより色が違っていた。

 

「リズっ。おまえのパルコーの力でいっきに頂上にいけねぇか?」

「それなんだけど、この子が言うには…」

『現在の状態ではソレは無理です』

「と、まぁ、この子、今の状態じゃーそいうテレポート系は使えないらしいのよ」

「肝心なときに使えねぇな。千以上の世界を守った伝説の聖獣神の癖に、テンションが上がらないからやらないってそんなもん通じると思ってんの?どこぞの明日から頑張るわ系のニートかおまえは?」

『鳥頭系の紅マダオに言われたくありません』

「誰が鳥頭系の紅マダオだゴラァァ!?鳥頭系てなんだ?見た目か!?3歩進んだら記憶がリセットされるアホっていってるのかテメェ!」

 

 リズベットに背負らているパルコーに馬鹿さにされ、キレるナギ。

 最初の登場と比べて辛口なしゃべり方をするパルコーに、世界を守ったのか一刀とキョウスケは疑問に思った。

 

「どちらにせよ、飛べば見落とすことがあるかもしれんし、ここは歩いて調査するのは適切だ」

「ということよ。おしゃべりしてないで、とっとと頂上にいくわよナギ」

「おい、こらリズ!引っ張るなって!?つうか、そんだけ元気なら俺がエスコートしなくてよかったんじゃねーのか!?」

 

 さきほどとまで、険しい山の坂に苦難していたリズベットであったが、急に元気良くナギの手を引っ張りながら、一刀とキョウスケを通りすぎ、坂を上っていった。

 

「リズの奴、やたらとナギに積極的だなー」

「まっ、そうだろうな。原作崩壊がしたが、アリカルートは健在だ。ここいらで高感度(フラグ)をいっきにあげる気なんだろう。もっとも、リズルートは険しいものだろうが…」

「たしかに。俺もオリジナルのほうのリズ知ってるし、リズの幸せを応援したいけど…ナギがなねぇ・・・。あんなかわいい幼馴染の好意が気づかないなんって鈍感だな〜」

「それが幼馴染のマイナススキルってものだ。知り合いだからこそ恋愛対象されない、そいうこともあるものさ…(リーファをヤンデレにしたおまえに、鈍感といえる資格はないと思うが…?;)」

 

 そして、山を登って数時間後、一向やようやく山の頂上にたどり着いた。

 つくないなや、キョウスケたちは、RBもしくは、手掛かりとなるものを探し始めのだが、

 

「一刀、そっちに祠とかあやしい洞窟とかあるか?」

「無いなぁー。どこも岩だらけで、普通の山だぞー…」

 

 RPGみたく、テンプレなどはおきるはずもなかった。

 

「せっかく上ったのにはずれかよ。つまんねーの」

「こらっ!寝てないであんたも探しなさいよ!」

 

 一人だけ、大きな岩の上で寝転んで休憩するナギに、リズベットが注意した。

 

「いったい誰のために、みんなが伝説の龍探してると思ってるのよ?」

「おまえの作れない武器を作れるための材料集めだろう?」

「あんたの新しい杖を作るためでしょう!それに作れないないんじゃなくって、材料がないから作れないだけよ!そのすぐボケる態度、昔っから変わらないわね!ほんと、むかつくっ。何様のつもり!?」

「おまえの客で幼馴染です」

 

 と、つまらないのか、低い声で言った。だが、その言葉にリズベットは顔を伏せ、

 

「……もういい。勝手にしなさい」

「ちょっ、リズ。どこ行く気だよ?」

 

 ナギに背中を見せながら、その場から立ち去るように歩いて、ナギから遠ざかった。その光景を一刀とキョウスケは目撃し、ハラハラと心配して観望していた。

 

(どうせ、あたしはただの幼馴染で武器屋よ…人の気も知れないで…ナギの馬鹿…)

 

 リズベットが自分がナギにとって、ただの幼馴染であり、自身の好意に気づいてくれてないことに、今一度自覚した。

 さすがのナギもリズベットの様子がおかしいと感じ、すぐに起き上がってはリズベットに駆け寄った。

 

「おい、リズ。なにピリピリしてんだよ?カルシュウム不足か?それともアレの日か?」

「うるさい。セクハラで訴えるわよっ…」

「ちょっ、おまえどうしたんだよ。いつもらしくないぞ…」

「触るな!」

 

 ナギがリズベットの肩を触ろうとすると、リズベットが腕で払いよける。そのとき、彼女の顔が見え、涙目になってることに気がつく。

 

「ナギなんて…ナギなんて…」

「え、えぇ・・・と…リズ…?…リズベットさん?いったいどうしたんでしょうか…;」

 

 ふるふると震えながら、背中にあるパルコーを持つリズベット。彼女の異常な様子にナギは冷や汗を流し敬語でいうも、リズベットはパルコーを上段で構え……

 

「ナギなんて……潰れちゃええええええええええ!!!」

「どっわぁああああああああああ!?!?」

 

 きれいな弧線の軌跡を描きながら振り下ろした。ナギはとっさに避け、パルコーは地面に激突した。そのとき、地面が陥没し、ヒビが二人の足元まで広がりっていく。

 すると、

 

「へっ、キャァッ!?」

「うっわ!?」

「ナギ、リズ!?」

 

 ナギとリズベットの足元が陥落し、穴が出現、二人はその穴に落ちていった。

 一刀とキョウスケがいそいで駆け寄り、穴をのぞくとそこ底が見えなかった。

 

「ナギー!リーズ!返事をしろー!」

「お〜いここだ〜!」

 

 キョウスケが二人の名前を叫ぶと、ナギの声が聞こえた。一刀たちは目を凝らすと、穴の深いところで、穴の壁の凸を片腕で掴まり、もう片腕でリズベットの腰に腕を回して掴まえるナギの姿があった。

 

「二人とも無事かー!?」

「なんとかな…」

「うわわわ…///!?」

 

 ナギが大きな声で返事する。ナギに抱えられたリズベットは慌てるが、それが穴の深さの恐怖か、ナギと密着した状態なのか。もはや、前者のほうがつよい。

 

「まってろ!いま、引き上げるからな!」

「早いところ頼む!片腕じゃぁリズを持ち上がれねぇ!やばい、重すぎて腕がプルプル震えてきた!?」

「なっ、失礼ね!あたしそんなに重くないわよ!重いのはパルコーよ!?」

『失礼な。我の体重は奏者より30ほど軽いです!』

「嘘言わないでよ!大槌のあんたのほうが重いわよ絶対!」

「一刀、キョウスケ!早く救助してくれ〜っ!うるさいのにこの状態じゃー耳がとじられねぇ〜」

「はいはい、わかったって…」

 

 そう言って一刀は念動力もしくは磁界でひっぱろうと穴に乗り出そうとする。

 そのとき、ナギの耳に、なにやら穴の底のほうで物音が聞こえてきた。

 

「どうしたのナギ?」

「しっ、なにか聞こえねか?」

 

 徐々に音が大きくなり、一刀とキョウスケの耳にも届く。すると、暗闇で底が見えなかった穴に眼光のような光が多くにみえ、さらになにかが大量に這い上がろうとしていた。

 

「やばい、リズ、頭伏せろ!?」

 

 危険を察知したナギが叫ぶと、穴の底から這い上がってきたのは大量のワイバーンであった。

 ワイバーンは穴の壁を這い上がり、または、飛んでいるモノもいた。羽である腕と後ろ足の四肢で這い上がるワイバーンは、壁の凸の岩にぶら下がるナギたちに目をくれず上を目指す。

 リズベットは頭を手で覆い隠し、壁にしがみ付いたナギはリズベットをしっかり掴んで壁に身を寄せるも、ワイバーンたちの足音の振動で、凸の岩が壁から崩れてしまった。

 

「うっわぁあああああ!?!?」

「きゃっぁぁあああ!?!?」

「ナギ!?リズ!?」

「やばい!離れるぞ一刀!!」

 

 ナギとリズベットはワイバーンが這い出る底へと落ちていった。

 助け出そうとして飛び降りようとする一刀だが、ワイバーンが穴から大量にあふれ出すため穴に入ることができない。一刀とキョウスケは穴からすこし距離をとった。

 

「なんで、翼竜が…」

「たぶん、この風穴翼竜の巣に通じたんだろう。とつぜん、日の光が巣に入って驚いて出てきったというところか」

「早く、あいつらを助けないと…っ!?」

 

 無理にでも穴を入ろうとする一刀。しかし、目のまえには、一刀たちを警戒するワイバーンが大地で頭を低くし

、空には、先ほどまで飛んでたワイバーンも含め、今にも襲い掛かろうとするワイバーンもいた。

 

「まずい。どうやら、俺たちが巣を壊した原因だと勘違いしてるらしい…」

「ちっ、即効で片付けて、ナギたちを探しにいくぞ!」

 

 一刀は木刀・一騎当千を腰から抜き取り戦闘態勢をとった。

 

 

-5ページ-

 

 

 山の頂上で問題が発生してるその頃、遮那、アリカ、アル、詠春、ゼクトの班は荒野でもっとも深い谷を調査していた。

 

「ぜぇぜぇ…もうすこしゆっくり歩いてくれないか…」

「なんだ、もうへばったのかお姫さん?体力ねぇな」

「元皇女であった妾を、おぬしら現役の戦闘集団と一緒にするでない…」

 

 なにがあるかわからない為、下りで降りれる坂を歩いて谷を降りること数時間。アリカの体力は限界であった。

 

「いっそのこと姫様をここいらで置いていきましょう。大丈夫、おやさしい盗賊とかおサルのような白毛の人外が仏教面の姫様をやさしく輪姦して癒してくれますよ。R18がついて閲覧数が増えるので、まさに一石二鳥です♪」

「いやいやいや駄目でしょうそれ!?」

「アル。おぬし、妾のこと嫌いだろ?」

「ハイ、嫌いです。私の夢であるハーレム(ナギと遮那)を奪う大人の女はとくに。ですので、盗賊とか人外に輪姦されて堕ちてください姫様」

「鬼畜変態めっが」

「変態は認めますが、鬼畜はいいすぎですよ」

「アホらしい、先いってるぞ」

 

 下り坂というのに、地面や岩などを蹴りながら飛び降りる遮那。

 遮那の姿が見えなくなると、それを見計らって、アルがアリカにあることを聞いた。

 

「でっ、実のところどっちなのですか?」

「なにがじゃ…?」

「ナギと遮那、本命はどちらだということですよ?」

「ブッ!?な、何を馬鹿なことを言っておる!?誰があんな、チビで生意気で破天荒な奴と、少女に見えんのに中身が凶暴な奴を、妾が好かねばならぬのじゃ!?」

 

 顔を赤くしてオドオドするアリカ。もはや、バレバレであった。

 

「フッフフフフ、ならなぜナギと遮那、二人を騎士をしたのですか?ナギならともかく、遮那はある意味で可憐な少女の容姿を被った狂戦士。あなたにはとうてい扱えない人です。下手をすればあなたの首が飛びますよ」

「アル。仲間をなんだと思って…」

「いいや、アルの言うとおりだ詠春」

「ゼクト!?」

「長いとこ、あやつの戦いをこの眼で見てきてわかったが、あやつは心身ともに危険だ。ナギと同等かそれ以上の力量に闘志、そして、底なしの戦闘狂。今は力をセーブするほど理性があるが、いつ暴走するかわからん。そのとき奴は災いの鬼神になるやかもしれん」

 

 ゼクトの言葉に詠春も、あながち遮那の危険をすこし考えてしまう。しかし、アリカが戯言とばかりに言い返す。

 

「馬鹿馬鹿しい。貴様ら、あやつはそんな風になると本気で思っておるのか?」

「では、姫様は遮那はそうならないと信じているのですか?」

「信じるの信じないも、あやつは強者。強い者であるなら、快楽の殺戮者のようにはならん。なにより、おぬしらも妾やナギが認めた強者じゃ。真に強いものは強い者、強くなろうとするものに惹かれあうもの。その証拠におぬしらナギや遮那についきておるではなないか?それが、貴様らがあやつらを仲間として信じてるということだ。もしも、遮那が暴走することがあったら、おぬしらが止めればいい。それだけのことではないか?」

「…それも、そうですね。仲間をすこしでも疑った私が未熟でした…」

「ナギも前に言っておったな。遮那は遮那だと。危険であったとしても、ワシらが護ればいいだけだしな」

「さすがは、姫様。私も目から鱗です。いや〜やはり、小さな遮那の女顔に欲情するレズ未満で、その下のバベルの塔に興味津々のショコタン姫様の騎士を思う信頼度がケタが違いますねぇ〜」

「あたりまえだ。なにせ、妾はあやつら騎士の主。主が我が騎士を信じなくてどうする…って、誰がショコタンでレズの痴女じゃ!?変態のお主に言われとうないわ!!」

「痴女とまでいってまんせんよ。あと、鬼畜は余計です」

 

 なんども、アリカをおちょくるアル。遮那のことなど、この二人に喧嘩の火種程度のことであった。

 ゼクトと詠春はやれやれと、呆れ果てるが、このとき、彼らの近くで様子を伺っていたモノたちに気づかなかった。とくに、アリカの頭上で白い魔の手が忍び寄ってたことにさえも。

 

 

 

 

 

―――きゃぁあああああああああああああああ!?

 

「ん?今の声は…?」

 

 先を進んでいた遮那が、後ろのほうで悲鳴を耳にした。声からしてアリカのようであった。

 すぐさま進んだ道を戻り、いそいで仲間たちのもとへ駆けつけた。そこには、詠春とゼクトとアルがいたが、アリカの姿がなく、詠春が慌てていた。

 

「おい、今の悲鳴はいったい…」

「遮那!大変です、アリカ様が!?」

 

 慌てる詠春が向こう側の岸を指を指した。遮那が指差した先へ振り向くと…

 

「ウッキ!」

「ふっははは、こんな辺境な地でオスティアの姫さんがノコノコと来るとはな!紅い翼のメンバーを殺したあと、た〜ぷり犯しまくってやるぜ!」

『姫様の肉体うまそうだなぁ〜…じゅるり♪』

「遮那ぁぁああ助けてくれぇぇえええー!!」

 

 谷の壁の岩や木々にしがみ付く、ゴリラのような巨大な白毛のサル軍団と、岩の上や岩陰、坂に立ついかにも盗賊である男たちがいた。さらに、大きい岩の上で笑っている男の後ろで他のサルよりも大きいサルが、アリカを逃げないように担いでいた。

 

「…オイ、なんだアレ?」

「白毛のおサルの亜人と女に飢えとる盗賊のようじゃな…;」

「みりゃーわかる」

「アル!あなたがヘンなフラグを立てたせいでこんな自体になったんですよ!?」

「おや、私のせいですか?私だって先ほどのジョークが事実になったことに驚いてるんですよ?…はっ、もしも私には、言ったことを現実にする程度の能力が!?」

「どっちにしろ、面倒なこと呼びやがってっ。…まったく、面倒ごと起こすなよ」

「それはどっちに言っておるのだ?」

「変態と捕まってるアホ姫にだ」

「誰がアホ姫だ貴様ぁー!?」

 

 遮那にアホ姫扱いされてしまうアリカ。捕まっているにも拘らず遮那に抗議するが、遮那の中にはナギの隣の欄でアリカはアホとして認定されていた。哀れ、ナギと同じ位置にされたアリカ。もっとも原作では夫婦になるので、似たもの夫婦というものか。

 

「オッ、あそこにいるのって紅い翼のアイドルの遮那じゃないか!?」

「ほんとだぁ〜!!」

「生でみるとすっげぇぇえ、かわいい娘だな!?」

「萌えだ〜!」

「ツンデレ娘や〜」

「にっひひひ、お嬢ちゃんの穴を俺のアームストロング以下省略でヒーヒー言わせてやるぜぇ〜!」

「まって、先に犯すのは俺だ!」

「い〜や、俺だ!」

「まって、穴は三つある。同時にどうだ?」

「「「それだ!」」」

「よっしゃー!釘宮ボイス子を性奴隷にしてるぜ!」

「「「「ひゃっはははははは!!」」」」

 

 いつからアイドルのなったのやら、遮那を犯そうと考える盗賊たち。どうやら、辺境の地で活動してるため遮那の性別を女と思っているらしい(それでも、女と思ってる人は七割ほどいる)。もっとも、それは禁句であった。

 

「…オイ、いま、何って言った?」

「えっ?」

 

 低い声が盗賊たちの耳に届く。遮那たちと盗賊がいる地点まで50メートル以上離れているというのに。

 

「そりゃーもちろん、かわいい娘で…」

「ツンデレ娘で…」

「お嬢ちゃんの穴を…」

「俺たちのアーム以下省略で」

「犯しまくって逝かして」

「性奴隷にしたやるぜっていんたんじゃよ!」

「物覚え悪くねぇこの娘」

「「「「ぎゃっははははは!!」」」」

 

 丁寧にもう一度いい、下品に笑う盗賊たち。サルたちもにやにやしていた。

 もはや、彼らの死亡は確定した。

 

(あの盗賊共、終わったのぉ…)

(終わりましたねぇ…)

(自ら地獄に飛び降りるとは、ついてないなぁこいつら…)

(波阿弥陀仏…)

 

 心の中で盗賊たちを哀れに思う仲間たち。詠春にいたっては合唱していた。

 

「………ぬっコロス」

『へっ?』

 

 地面を蹴りだし、50メートル以上の谷を飛び越え、向こう岸を渡った。

 

『うっそぉおおお!?!?』

「おまえら…生きて返さん…」

 

 ふつふつと怒りと殺意を出す遮那。驚きのあまり固まっていた近くにいた盗賊たちを一瞬のうちに殴り飛ばした

 

「「「「「ぎゃっぁああああああああああああああ!?!?」」」」」

「い、一瞬で5人を殴り飛ばしただと!?」

「えぇぇい、斬ってもかまわん!やっちまえ!」

「穴があれば、手足なんていらんわ!」

「「「「うっぉおおおおお四肢の自由を奪って、オ○ホー○にしてやるぅうううう!」」」」

 

 盗賊たちが、武器を持って遮那に襲い掛かるが、

 

「鴻爪牙!」

「ぎゃっぁあああああ素手でもつよいぃいいいいい!?!?」

 

 悪夢の蛸殴りで、武器ごと盗賊たちの体を叩き潰した。

 

「ちっ、なら防御だ!防御してやつの動きを止めるんだ!」

「魔法壁準備!」

 

 魔法が使える盗賊たちが前衛で魔法防御壁を張った。その防御壁は戦争用の魔法壁であり、戦艦の大砲にも耐えられる代物であった。

 

「飛鷙昇脚!!」

「「「「いっやぁああああああああ蹴りで対砲撃の防御壁蹴り破りやがったぁぁあああ!?!?」」」」

 

 その戦艦の大砲にも耐えられる壁が、遮那の蹴りでパッリーンと砕け散った。

 

 

 

 

「遮那の奴。剣だけでなく素手でもつよいのぉ〜」

「いつも剣を使ってわかりませんでしたが、あの体術相当なものですよ?」

「たしかに、下手すればラカン同等、いや以上かもしれません…」

「おぬしらぁー!見てないでさっさと妾を助け出さんかぁーっ!」

 

 鬼、もはや獣となった遮那が千切っては投げ、千切っては投げと盗賊たちを蹂躙する様子を、安全地のように反対の岸の上でアルと観望していた。

 

「くっ、ここは一旦ひくぞ!」

「しかし、無残に逃げたら団長が怒りますよ!?」

「そんなもん、この姫様を産土にかんべんしてもらえればいいだけだ!行くぞサル共!」

「「「うっきー!」」」

「コッラァアアアア!妾をおろせぇーっ!!」

「しまった、姫様ーっ!?」

 

 アリカが捕らわれている事を忘れられていた詠春たち。

 まだ無事であった盗賊たちはサルに上に乗り、サルたちはそのまま壁を谷を降りていく。どうやら、サルはこの谷に移動手段だらしい。むろん、サルに担がされたアリカも連れて行かれしまった。

 

「またく、盗賊たちが遮那に注目してるうちに、アリカ殿を助けずなにやってるのですか詠春?このままではアリカ殿はマジで輪姦されちゃいますよ?」

「全部私のせいですか!?」

「落ちけ。どちらにしろ、追いかけねばならないな」

「それもそうですねゼクト…ところで、アチラはどうします?」

 

 

 

 

「だぁぁあれぇぇえが女じゃゴラァアアアアアアア!

「だって、どうみてもツンデレ少女じゃ…!?」

「誰がツンデレじゃ!俺は男だぁああああああああああ!」

「男の娘!?でもそれでアリ―――」

「変態は処分だじゃぁあああああああ!!」

「ぎゃっぁああああああああああ男の娘ばんざぁぁああああああああああああああああいっ!?!?」

 

 

 

「……盗賊たちを全滅したら、たぶん落ち着くかと思うので放っていきましょう。こっちらは姫様の救出です。さぁ、行きましょう!」

 

 回れ右で、谷を降りていく詠春。半殺される盗賊?獣化した男の娘?なにそれ?みませんでした?

 

「詠春の奴、どうやらスルースキルを会得したようじゃな…」

「触らぬ神ならぬ鬼神に祟りなしといいますか、ある意味、遮那の危険に関してこれからも要注意が必要かもしれませんね…」

 

 向こう岸の断末魔を聞きながら、アルとゼクトも歩いて降りる。

 山ではナギとリズベットが穴に落ちて行方不明になり、谷ではアリカが盗賊に攫われてしまった。

 伝説の龍探し、いったいどうなってしまのだろうか。

 

 

つづく

 

-6ページ-

 

 

おまけ

 

 

 

 リーファの暴走から数日後。一刀は何もなかったかのように、ヘラス城の地下研究所にいた。

 

「うーん、やっぱ質量をあげると耐久性が問題になるなー」

 

 椅子に座り、前方のディスプレイに映し出された複雑な設計図を睨めっこしていた。

 

「そういえば、アルは重力が得意だったな。キョウスケもこれみたらおもしろがって参加しそうだし、二人にも協力させてもらうか」

「あの〜一刀さん…」

「ん?」

 

 一刀が後ろを振り向くと、ドアが開いており、扉の後ろでリーファが体の左半分だけ隠れて覗いていた。

 

「リーファか。俺になんか用でも?」

「うんうん。ただ、アリカさんに頼まれて、テオドラちゃんに書類を届けいくとき、ちょっと近くに寄っただけ」

「そう。あっ、テオなら用事で出かけているから、書類なら代わりに俺が渡しておくよ」

「そう、なら机に置いとくね」

 

 そういって、近くの机に資料の置いたリーファ。するとディプレイに映し出されている設計図が目のとまった。

 

「それは…?」

「あぁ、実は、完全なる世界との戦争に備えて、ちょっと戦艦の建造プロジェクトを立ててたんだ」

「戦艦?そんなすごいこと作ろうとするなんて、やっぱ一刀はすごいね♪」

「…すごくないよ。ただ、人より智識が多いだけだ」

 

 とんとんと人差し指を自分の頭を突く一刀。

 人一人の人生以上に智識を多く学んだため智識も多いが、一刀は天才ではない。ただ、がむしゃらに努力して手に入れたモノである。

 

「そうだ、戦艦で思い出したけどこれ…」

 

 リーファが出したのは核金であった。それはアスナと出会った基地で囮にしたディープブレッシング(空中専用)、その核金であった。

 

「基地で囮にしたし戦艦、私がぶった切っちゃって、そのときこれが落ちていたから返すね」

 

 そういって、核金を投げて一刀に渡した。

 

「おっ、ありがとう。…ところで、なんでそんなに離れて居るんだ?こっちにこくればいいだろう」

「いや、いい。7メートルキープしとかないと、また暴走しちゃいそうで…でないと、あの竜王がっぁ!?」

 

 怖いことを思い出したのか顔を青くして震えるリーファ。

 ちなみ、リーファはテオと仲間から、また暴走しないよう一刀と7メートル以上近寄らないようにと鉄の掟を強制的が義務つけられていたもしも、。一刀に近寄ったら、テオが怒る竜の形相で飛んできて、半殺し刑にされてしまう。いまのテオならやりかねないほど、バグ化していた。

 

「リーファ、冷房がきついんなら、温度上げるけど?」

「だ、大丈夫。私は大丈夫だから……」

 

 鈍感な一刀は冷房の効きすで寒いのかと誤解していた。

 

「それに、一刀さんを怖い目にあわせたくないし…///」

「怖い目?なんかあったのか?」

「へっ?」

 

 ?マークを浮かべる一刀。

 あの事件、とくに、本編で描かれなかったR18、もといラブ○の出来事を一刀は憶えていなかった。いや、わすれていた。

 

(もしかして、自己防衛で記憶がきえちゃったのかな…;)

「どうした?」

「なんでもないよ。ただ憶えてよかったような…残念のような…」

「はっ?」

「こっちの話!」

「…そう」

 

 ふと、一刀が研究所の時計をみると時間が昼の十二時を過ぎていた

 

「こんな時間かぁ。リーファ、このあと用事がないなら、一緒に食事しない?」

「へっ、いいの?」

「ほかのメンバーは用事でヘラスにいないし。なにより、一人で食うより楽しいさぁ、どうかな?」

「えぇと…うん!行く♪」

 

 鉄の掟はどこいったのやら、いつのまにかリーファは自分の腕を一刀の腕に回し、一刀を引っ張って研究所から出ようとしていた。腕にリーファの柔らかい枕の感触が感じられ一刀は少し赤めになるが、リーファは頭の中で一刀との食事(というデート)でいっぱい気づいていない。

 

「そんなに、急がなくても、飯は逃げないって」

「だーめ、早くしないとお昼のランチすぎちゃんもん♪さぁ、早く行きましょう一刀さん♪」

 

 リーファの元気な笑顔に一刀は微笑を浮かんだ。

 もっとも、行き付けの飲食店で本家リーファと違ったリーファの大食いと胃袋に苦笑してしまいのたのは(+食事代で唖然したこと付きで)余談であった。

 さらにその後、監視役であった鈴の部下の忍者が一刀がリーファと食事していたことを鈴に報告。その経由でテオとスカイたちにバレてしまい、竜王の逆鱗に触れたリーファは一刀大好き組みにお仕置き(主にディープの影の触手攻め)され、一刀はテオたち全員とデートする羽目になり、その結果、財布が紙同然に軽くなり、夜では精気を座れカラカラのするめになってしまうが、それも余談であった。

 

 

 

説明
作者「完全なる世界との最終面のまえにナギと遮那のパワーアップフラグです」

一刀「いつになったら、ラストステージになるんだよ…;」

作者「この話を含めて三話後だ」

一刀「……すまん、アスナ。おまえを助け出すまで時間か借りそう…;」


〜墓守り人の宮殿〜

アスナ「ふざけるんじゃないわよ!こっちとら出番なかくってイライラしてのよ!さっさと助けに来なさいよ!(出番のなさに有頂天になって人格が明日菜になっていた)」

アーウィンクル「大変です!また、黄昏の姫御子が暴れだし、特異点の力で次々とものが消えています!このままだとマジで本拠地が消えてなくなっちゃいますよ!」

創造主『…紅い翼〜はやき来て〜はやく来て〜;;』
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