恋姫英雄譚 Neptune Spear
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Mission13:Vanity

 

 

 

 

董卓軍第6師団創設と拡大、更に内政安定をゆっくりだが順調に進めていく。

 

国家直営の農業や牧場は予想以上に効果を発揮しており、それを狙う賊も出現しているが迅速な連絡手段や厚い防衛により全てを返り討ち。

 

輸送の際に多少は損害は出ているが、襲った賊は直ぐに調査が行なわれて居場所を特定したらすぐに討伐している。

 

こんな迅速な対応が出来るのは天水が漢全体から見れば辺境にあたり、領土が小さいので機動力を活かした展開が可能な上に西涼連合や漢中、更には漢室にとってくだらない害悪でしかない五胡の屈強な外人部隊を配下に加えているので、治安の安定性はかなりいい。

 

しかし徐々にではあるが賊の出現数は増えており、漢室滅亡のカウントダウンは着実に進んでいるようにも感じていた。

 

月達から聞いた話なのだが、中央では張譲筆頭の十常侍を中心とした宦官と何進筆頭の外戚が水面下で対立しており、その影響で民がトバッチリを受けている、地方の高官達は汚職や民からの搾取に走り、そこに追い打ちを掛けるように賊が民を襲う。

 

まさに‘‘負の連鎖”だ。

 

しかし今の俺達にそれを止める術はない。歯痒いが今の処は自分達のやれることをやるしかない状況だ。

 

俺は第6師団の訓練に参加し、訓練終了の夕方にはHK416を肩にスリングで吊るして、夕陽が注ぐ廊下を歩いていた。

 

 

「待たれよ」

 

 

歩いていると誰かに話しかけられた。そこで立ち止まって振り向くと腕を組んで腰に剣を携行している武官……郭の姿があった。

 

 

「あんたは確か……郭だな?」

 

「うむ……少しお前と話をしたくてな……先程から待っていたのだよ」

 

 

俺を待っていたという郭。

 

 

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不敵な笑みを浮かべながら俺を見ているが、奥底で何かを企んでいるような感じだ。

加えて俺が知っている歴史での李?と郭がやった悪行を知っているだけに、目の前にいる奴を信用できない。だが俺は悟られないように平常心を保って返答する。

 

 

「そうか………それでなんの用だ?」

 

「お主の手腕は見事としか言いようがない。新しい師団を1から作り上げただけではなく農業等で国税を潤し、更には異民族を外人部隊として迎え入れるなど誰にも出来ることではない」

 

「それは……どうも」

 

「お主のような者が董卓様ではなく我の配下ではないことは残念極まりないな」

 

「………………」

 

「しかし……そなたには悪いが私の方が師団をうまく動かせるであろうな」

 

 

やはり何かを考えている。分からないが少し餌を見せつけてなにを考えているか聞き出してみるとしよう。

 

 

「そうか……だったらあんたは師団長になられたらどうするつもりだ?やはり外人部隊を?」

 

「いや、あんな薄汚いゴロツキ共など我が崇高な部隊には入れぬよ」

 

「………….」

 

「なぜ外人を招かねばならぬ?薄汚い連中と一緒にいるなど臭くて息が詰まる」

 

 

郭の話を聞いていて徐々に腹が立って来た。

俺がいた世界でも中国の人間は自分達漢人こそが偉く、他の民族は格下と思い込んでいる輩が多かった。

 

この郭がいい例だ。こいつは洛陽から李?達と一緒に派遣された高官というのは聞いているが、人を見下したり自信過剰な奴らがあまりにも多い。

 

 

「私が師団長となれば選ばれた人間のみの素晴らしい部隊を作ろう。それこそが国をよく導いていくのだ」

 

「………その中で民の安寧はどうなる?」

 

「おかしなことを聞きよる………私が率いるのだから安寧になるに決まっておろう。そこで相談なのだが、お前の第6師団を私に譲る気はないか?」

 

「師団長の座だと?」

 

「そうだ。もし譲るのであればお前を副師団長にしてやる。当然こたえは決まっていようが、よいな?」

 

 

師団長の座を譲る。その発言をした郭に我慢できそうにない。俺は思わずMK25に手を伸ばし、CQCホルスターから抜き取ると銃口を突き付けていた。

 

 

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「………何の真似だ?」

 

「それはこっちの台詞だ。さっきから聞いていれば何を寝ぼけたことを……」

 

「……‘‘天界の戦士”と呼ばれてる程度の分際が……」

 

「貴様こそ何様の分際だ?貴様に師団長の座を譲る?薄汚い外人?民の安寧?ふざけるのも大概にしろ。貴様のような傲慢なクソ野郎が俺にとって1番腹が立つ」

 

「ぶ……無礼者が??」

 

 

そう叫びながらいきなり殴り掛かってくるが、すぐに右腕で受け止めて、そのまま首に持って行って一気に地面に叩きつけた。

そしてMk25の銃口を向けつつ距離を少しだけ離した。

 

 

「無礼者は貴様だ。貴様の虚栄心はいずれ貴様自身の身を滅ぼすだろうな」

 

 

そう言いながらMK25をホルスターに戻し、振り返って廊下を歩き出す。こんな奴のいる場所になんか1秒もいたくない。

 

月や詠達は素晴らしい人柄だ。だが郭のような奴がいるから賊が次々と出現するきっかけとなる。

 

ひとまずは郭達を警戒しておいた方がいいだろう。俺は怒りを収めつつ自室へと向かうのであった……………。

 

説明
訓練を終えた夕方に、リアンの下に虚栄心の塊が現れる。
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