ストーリーパート

　「青春最強帝国」と呼ばれる泊地がある。かつては、深海棲艦との戦いの最前線基地として使われており、その名に恥じぬ高い練度の艦娘たちと優秀な提督が配備されてきた。しかし、大規模会戦に勝利し、この一帯から深海棲艦を一掃することに成功。しばらくは、大規模な泊地のままとなっていたが、別の海域での激戦に対応していったことによって、徐々に規模が縮小。最近では、提督すら配置されず、万が一に備えて低練度の艦娘が配備されているだけだった。

　他方面の泊地・鎮守府が増強されるたびに青春最強帝国の予算は削減されていったせいで、泊地の経営状態もいいわけではない。配分される資源はもちろん、給料すら、削減の一途をたどる。艦娘たちはとうとう、多額の借金をして施設の一部をファーストフード店に改装、自ら食い扶持を稼ぐ毎日を送る羽目になっていた。

(「艦娘に会えるファーストフード　FUSO burger」店内)

吹雪: いらっしゃいませー!　ご注文おうかがいします!

扶桑: パゴダ・マストセット、お二つです。召し上がるときは気をつけてください。

山城: (厨房)熱いっ!　油が!　やっぱり不幸だわ……。

(閉店後)

扶桑:二人とも、お疲れ様……。

吹雪:今日の売り上げは……なんとか黒字です。

山城:これじゃ、材料費と開店資金を返すお金と私たちの生活費を差し引いたら、ほとんど残らないわね。はぁ……。

扶桑:やっぱり、パゴダ・マストセット、やめた方がいいかしら……。

吹雪: パンズ5枚にハンバーグ4枚・ベーコン・チーズ・レタス。お腹いっぱい食べられますけど、利益率悪いですもんね……。近所の男子と漁師さんしか注文しませんし。

山城:でも、扶桑型戦艦といえば、パゴダマストよ!　これを外したら、この店の売りがなくなっちゃうわ!

扶桑:そ、そうかしら……?

山城:そうです!(力説)

吹雪:(せめて私だけでも、経営の本勉強しておこうかな……)

　そんな中、突然、ホコリをかぶっていた電信機から通信が入る。吹雪が慌てて、電信機に向かい、解読を進める。暗号を解読した吹雪の表情は驚きと喜びが浮かび上がってきた。

吹雪:扶桑さん、山城さん!　この泊地にもまた、司令官がいらっしゃるみたいです!!

扶桑:吹雪ちゃん、それ本当?

吹雪:はい!　間違いないそうです!　到着は3日後の12:00だそうです!

山城:こんなところに来る提督って……。何をやらかしたのかしら?

扶桑:山城、そんなことを言うものじゃありませんよ……。たとえここが辺境で、私たちがバイトしないとまわっていかない泊地だからって、左遷とは限らないわよ。それに優秀じゃなくても提督が来れば、私たちが艦娘として活躍できる機会も増えるに違いないわ。

山城:姉さま……(キラキラ)

吹雪:えっと……何気に毒が混じっている気もするんですけど、気のせいですよね(汗)。ま、まぁ、これで私たちのバイト生活も終わって、艦娘としての任務ができるといいなぁ。