チートでチートな三国志・そして恋姫†無双
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第53話 配属の真相

 

 

 

 

 

 

「一刀、入ってもいい?」

 

「ああ。」

 

次の日の夜、桃香の訪問でまだ一日が終わらないことを悟った。

 

「どうしたの?」

 

「一刀が、今回の人事について何も言わなかったからどう思っているのかを聞きに来たの。これに関しては一刀以外には言えないし……。」

 

「正直な話をしていい?」

 

「どうぞ。というか、それを聞きに来たんだもん。」

 

「“情”と“理”その2つの観点から見ても完璧だと思う。」

 

「え……?」

 

「世間一般では“情”に流されるようじゃ指導者失格とか、そんなこと言われるけど、俺はそうは思わない。理由は単純で、人間である以上、感情がつきまとうから。それもきちんと考えておかなければいけないと思う。それを含めて完璧。桃香ってこんなに冷酷に人を見られたのかと驚いたよ。」

 

「それが“頂点”の役割なんだろうな……と思ったから、すっごく嫌だったけど、頑張ったの。」

 

「ああ。俺もこれを聞いたときに自分の甘さを思い知ったよ。こんなふうに考えなければいけないんだな、ということを。」

 

「なら“完璧”な理由を一刀が説明してみて。」

 

「わかった。

 

まず、北海と小沛の太守を決めることから始まると思う。適格者は3人。しかし愛紗は俺の補佐をするから必然的に2人になる。で、2人をどちらに置くかを考えると、やはり民衆の受けというものも考える必要がある。北海はどうか。星、悠煌、どちらも極めて人気が高い。よってどちらでも可。では小沛はどうか。すると、星が大将として攻めて民衆を悪政から救ったということがあるため、星のほうが人気は高い。よって小沛は星。消去法で北海は悠煌。

 

さて、この扱いをしたときに誰が一番不満を抱くか。結論から言うと桔梗だ。正確には“不満を抱く”というよりも“腐る”可能性が高い。理由は単純で、最古参の将だから。降った将の悠煌がかなり働いているというのに自分は……という思いを持つのは当たり前の話だと思う。ではどうするか。北海に行く、あるいは小沛に行く。そのことは左遷とも言える。よって左遷させない。つまり下?に残すしかない。

 

残り、まず将から考える。左遷を受け入れられるのは3人。鴻鵠、紫苑、焔耶だ。鴻鵠の北海への愛着はすさまじいものがある。だから北海へいくことに抵抗はない。紫苑と焔耶は仲間になってそれほど長くないし、もともと小沛での人気が高いから小沛にいってもそれほど不満を抱くことは考えにくい。問題は霧雨だ。これは桃香がとったやり方が一番。「師」と仰ぐ人物なのだから下?におけば霧雨の影響力は極めて強くなる。すなわち左遷させるしかない。どちらか。これはある理由もあって北海一択だ。残る将は鈴々。結論から言えば下?だ。俺や桃香、愛紗と居たほうが真価を発揮しやすいし、下?に残っても文句を言える人は誰もいないから。

 

さて軍師たち。

 

前提として、北海はほぼ完璧に統治されているが、下?と小沛はこれから……ということを頭においておかなければいけない。つまり、北海におく文官は少なくていい。

 

まず考えるのは、福莱からの“お願い”。これに即答しなかったのは素晴らしかったと思う。即答すれば福莱と桃香の間での上下関係が福莱優位になってしまうからね。

 

しかし、それはあの2人の精神面を考えても受け入れた方がいい。つまり、下?には朱里と藍里を残す。では福莱を小沛、北海のどこに置くか。どちらでもいいのだけど、“新しい将との親睦を深める”といった意味も考えれば小沛のほうがいい。福莱の力を最大限発揮するには、難しい小沛のほうが望ましいということもあるけどね。

 

残る軍師。まずは水晶と風から考える。水晶は残すしかない。目のこともあるし、全ての情報が集まるこの下?で戦略を練ったほうがいいからだ。では風はどこに置くか。下?に置けば他の文官からねたまれる可能性もある。まだ新参者であることには変わりないから。さて、小沛と北海のどちらがいいか。風ならば敵を作ることもないだろうけど、“武官の信頼を得る”ためには小沛のほうが望ましい。

 

あとは椿と玉鬘。北海に放置する手もあるだろうけど、そこまで力を北海に置く必要はないのでどちらかは行ってもらう必要がある。ここで、ここまでで決まっている人を見ておこう。

 

下?は桃香、俺、甄、愛紗、鈴々、桔梗、水晶、朱里、藍里。

 

小沛は星が太守で、紫苑、焔耶、福莱、風。

 

北海は悠煌が太守で、鴻鵠と霧雨。

 

下?は既に人が多すぎるので行く場所は小沛だ。ではどちらを行かせるか。これは星と悠煌を決めたときの理論がそのまま通じる。よって残るのは椿で、小沛は玉鬘。

 

どうかな?」

 

 

「さすが一刀。何もかもお見通しだったんだね……。やっぱり凄い!」

 

「正直、俺もこの数歩手前にはいったよ。ただ、その案でも福莱を下?において朱里と藍里は小沛に行かせると考えていたから、そうしなくて本当に良かったと思っている。」

 

ましてや昨日の朱里の一件を考えれば尚更だ。

 

「そうだったんだ……。ちなみに、霧雨先生を北海にした理由は?」

 

「そのうち鴻鵠はここに戻さなければいけないし、安定しているとはいえ将や文官をそれなりには配属しなければいけない。それを考えれば文武どちらもこなせる霧雨は北海しかない」

 

「やっぱり、戻すの?」

 

「ああ。3都市の治安維持組織を完全に掌握して一手に引き受けているのが鴻鵠だ。その組織の“長”はやはり下?に居なくてはならない。」

 

「そうだよね……。今日はありがとう。じゃ、お休みなさい!」

 

 

 

皆の活躍もあり、自分たちの治める3都市はかなり安定した状態をつくることができた。そうして冬が明け、春。

 

ついに、というべきなのかはわからないけど、漢王朝は((皇甫嵩|こうほすう))、((朱儁|しゅしゅん))の2将に黄巾賊討伐の勅令を出した。遅きに失した感はある。それでも、出さないよりはマシだろう。問題は2将にその動乱を鎮める力があるかどうかだけれど……。近々、皆をまたここへ集めよう。

 

 

 

後書き

 

黄巾賊との戦いの幕開けですね。長々お待たせしました。

 

少々「戦国恋姫」のほうを頑張っておりましたが、こちらも重要なので頑張って書いて、考えております。両作品とも楽しんでいただければ幸いです。

説明
第5章 “貞観の治

短くてごめんなさい。やっぱり書いておいたほうが読者の皆さんも納得されるだろうな、と思って書きました。真っ黒ですので覚悟してお読みください。
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