寂しがりやな覇王と御使いの兄60話
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樊城

 

美羽を筆頭とした援軍の活躍により戦は終結、樊城に一刀・美羽・雪蓮の軍が集結、戦後の処理をしている・・・・はずだったのが

 

 

 

 

雪蓮「美羽〜〜」

 

美羽「雪蓮姉さま〜〜」

 

 

 

 

 

一刀「・・・」

 

華琳「・・・」

 

春蘭「・・・」

 

秋蘭「・・・」

 

七乃「・・・」

 

冥琳「・・・」

 

祭「・・・・」

 

穏「あらあら〜〜」

 

 

 

美羽と雪蓮の会話を知らない一刀達は、美羽と雪蓮の百合百合っぷりに唖然としている。

特に孫呉の将や、記憶が戻り孫策の姿を知る華琳・春蘭・秋蘭は、あまりの出来事に固まってしまっている

 

 

華琳「ねぇ一刀・・・これはいったいどうなってるのかしら」

 

一刀「えーと・・・美羽と雪蓮が・・・仲良くしてるんじゃないかな〜と」

 

華琳「そんなのは見ればわかるわよ!そうじゃなくて、どうしてこんな事になってるのか聞いてるのよ!」

 

七乃「そうですよ一刀さん!確かに孫策さんと仲良くなるのは良いことですよ?でもこれでは美羽様が奪われちゃったじゃないですか!」

 

 

一刀「お前は本当にぶれないな〜七乃」

 

七乃「悪いですか〜?こうなったら一刀さんに慰めてもらうしかありませんね〜」

 

そう言うと七乃は美羽を奪われた寂しさを紛らわすかのように、一刀に密着して抱きついてきた

 

一刀「あの・・・七乃さん?離れてもらえませんかね」

 

七乃「嫌です〜一刀さんはじっとしててください〜すりすり」

 

 

美羽と雪蓮に続き、一刀と七乃もいちゃいちゃを始めた為、華琳の怒り(嫉妬)が爆発した

 

華琳「一刀に抱き付くなんて羨ましい!場所代わりなさいよ!(ちょっと七乃!あなたまで抱きついたら収拾付かないでしょ)」

 

桂花「そうよ!あなたは美羽を奪い返しに行ってきなさいよ!一刀は私と華琳様が面倒見るから!」

 

七乃「ちょっと荀ケさん、私達の邪魔しないでくれませんか?それと華琳さんも本音がでてますよ?(いま華琳さんが一刀さんの事を呼び捨てで呼んだ?)」

 

 

 

 

 

 

 

霞「あかん、華琳に続いて桂花まで」

 

稟「あの華琳様と桂花がこうなるなんて・・・予想も出来ませんよ」

 

 

 

春蘭「なぁ・・・秋蘭」

 

秋蘭「どうした姉者」

 

春蘭「あそこに居るのは孫策と袁術だよな?なんであんなに仲がいいんだ?」

 

秋蘭「すまない姉者、私も混乱して理解出来ていないんだ」

 

春蘭「そうか、秋蘭がわからないなら、私がわかるはずがないな!」

 

秋蘭「あぁ〜考えを放棄する姉者も馬鹿可愛いな〜」

 

 

 

 

孫権「ねぇ・・・冥琳」

 

冥琳「言わないでください、私も混乱しておりますので」

 

祭「仲良くなったのは洛陽で見たのじゃが・・・これは向上しとるのか、悪化しとるのか判断に苦しむところじゃな」

 

 

尚香「ふ〜ん、袁術と雪蓮お姉ちゃん仲良いんだ。あれ?袁術と雪蓮お姉ちゃんが姉妹になるなら、シャオとも姉妹よね?どっちが姉になるのかしら」

 

 

 

あまりの出来事に一刀陣営・孫策陣営の重臣達は言葉を失い立ち尽くし、孫尚香だけは的外れな考えを考え始めていた

 

 

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ドタバタが始まって1刻後(2時間)が経過した頃、ようやく騒ぎが収まった

 

 

一刀「ようやく落ち着いて話せるな、雪蓮達が無事でよかったよ」

 

稟(一刀殿も原因の一人とは言わないほうがよさそうですね)

 

雪蓮「本当に無事なのが不思議なぐらいよ、援軍助かったわ」

 

冥琳「私からも礼を言わせて欲しい、私が敵の策を看破する事が出来ていたら窮地には陥らなかった。援軍感謝する」

 

美羽「妾も礼を言わせてもらうのじゃ、妾の領土を・家族を守ってくれてありがとうなのじゃ!」

 

一刀「水くさいぞ美羽、俺たちも家族だろ?家族を守るのは当たり前さ」

 

華琳「そうよ美羽、それとも私達じゃ頼りないのかしら?」

 

美羽「そんな事は無いのじゃが・・・華琳ねーさま何かあったのかえ?雰囲気変わったと思うのじゃが」

 

七乃(美羽様も違和感を感じてるとなると、私の思い過ごしじゃなさそうですね)

 

 

流石に気が付かれたかしら?美羽が有能なのもあるけれど、七乃は能力の底が見えないのよね。

今は話すのは面倒だし、誤魔化しておいたほうがいいかしらね

 

 

華琳「何言ってるの美羽、私は変わってないわよ?」

 

そう言うと一刀の側に寄り添い、隣は私のだと主張するように一刀の左腕に抱きついた

 

華琳(この私がみんな居る前で抱きつくなんて・・・あれ、でもここだと一刀に抱きつくのなんて今更よね?ならこのままでいいよね♪)

 

 

そう自己完結すると華琳は更に開き直り、満足そうな表情で一刀に抱き続けていた

 

 

美羽「気のせいだったかの?いつもの華琳ねーさまなのじゃ」

 

 

 

 

春蘭「北郷ー!貴様ーーー!華琳様から離れろー!」

 

 

華琳がばれないように話を逸らす事に成功した直後に、記憶を取り戻した春蘭が一刀と華琳の抱き合う姿を見て、いつもの猪っぷりが発動した。

春蘭の動きを察しした美羽が春蘭の振り回す大剣を二振りの剣でギリギリで食い止めていた

 

 

 

美羽「春蘭!?なんでいきなり斬りかかっておるのじゃ!?」

 

春蘭「邪魔しないでください美羽様!そいつを斬れないじゃないですか!」

 

美羽「ええい!落ち着くのじゃ、この猪馬鹿!」

 

春蘭「なに〜〜!誰が一度走り出したら壁にぶつかるまで止まることがない突撃脳筋馬鹿だとおおお!」

 

美羽「そこまで言ってないのじゃ!....そう言ってもいいような気もするような?」

 

雪蓮「ちょっとそこの猪女、美羽になにしてくれてるのかしら」

 

春蘭「孫策か!邪魔するならお前も斬るぞ!」

 

雪蓮「へぇ〜面白いじゃない」

 

 

美羽を庇いに出てきた雪蓮にも喧嘩を売った春蘭、それを買った雪蓮の対峙により、殺気が辺りを支配し始めた

 

 

稟「春蘭様は記憶を取り戻さない方がよかった気がしますね」

 

秋蘭「やれやれ、凪・流琉すまんが止めてもらえるか?」

 

凪「それは構いませんが・・・記憶が戻った春蘭様相手ですと、全力で戦う事になりますが」

 

秋蘭「構わんよ、琉流と二人でお仕置きしてくれ」

 

流琉「わかりました、では行ってきます」

 

 

お、凪と流琉ではないか!ちょっと孫策を倒すのを手伝え!

 

 

わかりました、手伝います

 

 

おう助かる・・・ってなんで私に向かってきてるんだ!?

 

 

問答無用です、春蘭様を捕獲します

 

 

はん!お前達にやられる私では[バキボコバコーン]ガハ・・・

 

まったく、無理だと思いますが少しは考えて行動してください。兄様の立場を悪くしてどうするんですか!

そんなお馬鹿な春蘭様はお仕置きです!

 

 

 

流琉「捕獲に成功しましたので、お仕置きに移行します!」

 

秋蘭「うむ、思いっきりやってくれ」

 

凪「はっ、では失礼します」ズルズル

 

 

 

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霞(なぁ、秋蘭にしては随分と厳しいやないか)

 

秋蘭(今のは姉者が悪いからな。姉者が北郷と言ったせいで、完全に七乃に怪しまれてる)

 

霞(あ〜確かに北郷と言ったのはあかんかったな....それにしても、秋蘭は一刀に嫉妬しないんか?)

 

秋蘭(ようやく華琳様が覇王の衣を脱いで一人の少女となれたのだ、臣下としては喜ぶ場面だろ?)

 

霞(それはそうなんやけど・・・)

 

秋蘭(ふふ、まぁ深く気にするな)

 

 

 

秋蘭「”一刀様”話しを進めましょう」

 

一刀「そうだな、また話しが脱線してから戻そう。劉焉・劉表は倒した、残る敵は・・・袁紹のみだ。俺達はこのまま北上し、陳留を奪還する」

 

 

孫権「どうして陳留を攻めるの?陶謙達は袁紹に従い劉備を攻めているのでしょ?なら周りを気にせずに進軍してもいいと思うのだけど」

 

美羽「それはの孫権、陳留は本来一刀にいさまの領土であるのじゃ。反連合で陳留が麗羽に奪われてからは民が疲弊していると聞く、それを開放しなければいけないのじゃ」

 

七乃「それに補足しますと、仮に幽州で不測の事態に陥れば、洛陽まで撤退しないといけません。陳留の奪還に成功すれば、撤退する距離をかなり縮めることが出来ます」

 

 

孫権「なるほど・・・そういう理由があるのか」

 

雪蓮「蓮華もまだまだ勉強不足ね〜もっと励まないと駄目よ?」

 

孫権「っく!未熟なもは認めますけど、雪蓮姉さまに言われるのはなんか釈然としません!」

 

雪蓮「なによそれ〜ひどいわね」

 

美羽「そう思われたくないならもっと真面目にするのじゃ」

 

雪蓮「美羽が言うなら・・・少しは頑張ろうかな」

 

冥琳(雪蓮が真面目になるだと!?袁術・・・雪蓮の更生を!)

 

尚香「ねえ・・・冥琳泣いてるの?」

 

祭「尚香殿...そっとしておいてくだされ」

 

 

雪蓮の気まぐれさに振り回されてきた冥琳は、美羽の言う事を聞いたという事実に歓喜し、ちゃらんぽらんな性格が直る事と期待し始めていた

 

 

 

 

 

 

 

一刀「(触れない方がよさそうだな)今後の方針に異論が無いなら劉表達の捌きに移ろう、すまないが劉表達を呼んで来てくれ」

 

近衛兵「かしこまりました」

 

 

華琳「劉表達はどうするつもりなの?」

 

一刀「会ってから判断する予定かな、降ってくれれば一番いいんだけどね」

 

華琳「一刀は変わらないわね」

 

一刀「それが俺だからね、幻滅したかい?」

 

華琳(私が一刀を幻滅するはずないじゃない・・・むしろそんな一刀だから)

 

一刀「ん?何か言ったか?」

 

華琳「な、なんでもないわよ?気にしないで!」

 

一刀「そ、そうか」

 

近衛兵「曹仁様、お連れいたしました」

 

一刀「ご苦労様、3人の縄を解いてあげて」

 

近衛兵「よろしいのですか?」

 

一刀「大丈夫だよ、問題ない」

 

 

劉表「貴殿が曹仁殿でございますか、私が劉表、字を景升を申します。これ、そちらも名乗りなさい」

 

黄祖「黄祖でござる」

 

徐庶「私が・・・徐庶元直です」

 

一刀「私が曹仁子孝です、直接会ってませんが、反連合の弘農以来ですね」

 

劉表「左様ですな、反連合・そしてこの樊城の戦いと、2度も戦況をひっくり返すとは・・・楯突いたのは失敗でしたな」

 

一刀「あなたは学問に通じた儒者であり、外より内に力をいれる人物と聞いております、なぜ反連合や南郡制圧に乗り出したのですか」

 

 

劉表「わしかて将ですぞ、優秀な将が配下にいれば、領土を増やし国力の強化を図りたくなるのです。その結果はご覧の通りですがな」

 

美羽「随分と落ち着いておるようじゃが、何を考えているのじゃ」

 

劉表「袁術か、久しいの。問いの答えならば何も考えておらんよ、あれの戦況で負けたのだ、逆に清清しいと言うか、諦めが付くと言うものよ」

 

美羽「ふむう、お主は敗戦に納得のようじゃが、徐庶とやらは納得しておらんようじゃぞ」

 

劉表「やはり納得しとらんか...曹仁殿申し訳ないのじゃが、徐庶の質問に答えていただけないでしょうか」

 

一刀「俺に?応えられる範囲ならば構わないが」

 

劉表「感謝しますぞ曹仁殿。これ徐庶、思っている事を聞いてみなさい」

 

徐庶「ではお言葉に甘えて質問させていただきます、私が聞きたいことは・・・進軍路には石兵八陣を敷いていました、どうやってこの樊城まで来ることが出来たのですか!」

 

一刀「あーやっぱりそれか、それは石兵八陣の存在を”知っていた”からだよ」

 

徐庶「知っていたですのか!?石兵八陣を知っているのは私の他には原案者の諸葛孔明、それと?士元しか知らないはずです!」

 

一刀「詳しく事は言えないが、この陣の存在を知っていたのは確かだよ」

 

徐庶「ですが!仮に知っていたとしても、どうやってあの陣を破ったのですか!?」

 

一刀「一度石兵八陣に迷い込めば2度と出ることが出来ないだろう。ならば・・・その陣に入らなければいい」

 

 

徐庶は一刀の答えを聞いて考え始めていた。確かに陣に入らなければ何の問題もない

だが、あの進軍経路以外の道を通れば樊城に到達するには倍の日数がかかる

思考の海に入った徐庶に、一刀は苦笑いを浮かべながら答え始めた

 

 

一刀「つまりだ、石兵八陣に迷いたくなければ・・・・・石兵八陣を”壊してしまえばいい”」

 

 

徐庶「は・・・はい?こ、壊す...ですか?」

 

 

一刀が言い放った発言を聞くと、ますます徐庶は理解が出来なくなっていった

徐庶から石兵八陣の詳細を聞いていた劉表もどういう事だ?と首をかしげていた

そんな劉表と徐庶を見ながら、一刀は答え合わせするかのように発言を続けた

 

 

一刀「入れば出ることが出来ない陣、迷い込んだ敵を殲滅する陣。だからこそ陣には入らずに、陣その物を壊し無力化すればいい。これが俺達が突破出来た理由だよ。まあ陣を壊したのは俺じゃないんだけどね」

 

 

孔明から陣の詳細を聞いていた自分でも明確な攻略法がわからなかった、それがこんな手段で無力化する事が出来るのかと徐庶は唖然とした同時に新たな疑問が生まれた。”陣を壊す”言うのは簡単だが、それを完璧に実行出来るのがこの大陸に何人いるだろうか?出来るのは陣の存在を”知っていた”曹仁だけとも考えたが、違うとわかると人物を特定しようと考え始めた為、急に遠い目をし始めた一刀の様子を徐庶は気が付かなかった。

 

 

一刀「確かに凪が気弾使いなのは昔から知ってたよ?俺は怪我で放てないから、凪には苦労かけると思ったけど...普通春蘭が使い始めるなんて思わないよ。しかなんか出来る気がしたか放ってみたら出来たって・・・本当に生きる非常識は健在だなあ〜」

 

 

一刀の発言に、魏からの仲間はみんな”だよね・・・”と同意しながらも、”春蘭だから仕方ない”言った表情を浮かべながら苦笑していた

 

 

劉表「曹仁殿が仰ってるお二人は真名でわからないのじゃが、無効化できる武人が二人も居たの...やはり喧嘩を売る相手が悪すぎたかの」

 

 

徐庶「曹仁様率いる西からの軍は納得・・・出来ましたが、北の郭嘉殿達はどう突破したのですか」

 

 

そう劉表が呟くとようやく徐庶が思考の海から帰還し、絶対の自信を持っていた陣をこのような手段で攻略された事実を受け、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながらも、新たに出来た疑問をぶつけ始める

 

 

一刀「あ〜それはね・・・また夏侯惇(春蘭)の非常識が炸裂したと言うか・・・アハハハハハ」

 

 

徐庶の質問を応えようとしたが、春蘭の非常識を間近で見ていた一刀はとうとう思い出すのを辞めてしまった

 

 

徐庶「ど、どうかしたのですか?」

 

 

突然アハハハと笑い出した一刀を不気味に思いながらも、答えが気になる徐庶は勇気を出して発言するが、一刀はアハハハハと笑うだけで反応がなかった。乾いた笑いが止まらない一刀を見て、流石に味方の将もどうしたんだと慌て始めた。

 

 

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霞「あの光景を間近で見てたんや・・・一刀でもああなるのはわかるなぁ」

 

季衣「ボクもビックリでしたよ・・・」

 

 

 

尚香「ねぇねぇ、あの人が曹仁?なんか廃人っぽいけど」

 

孫権「シャオ!そんな事を言うでない!”仮”にも私達の命を救ってくれた方だぞ!」

 

尚香「お姉ちゃんも仮とか言ってるじゃん」

 

 

冥琳(わかる・・・わかるぞ!一刀!)

 

 

冥琳だけは一刀から何かを感じ取ったのか、同意の眼差しを向けた

 

 

徐庶「あの・・・」

 

 

華琳「か...兄さんがあの調子だから、私が変わりに応えるわね。私の名は曹孟徳よ」

 

徐庶「あなたが妹君の曹操様・・・曹仁様はどうなさったのですか」

 

華琳「・・・いまは放置で頼むわ」

 

徐庶「は...はぁ」

 

華琳「北からの援軍を防いでいた八陣も夏侯惇(春蘭)が壊したのよね」

 

徐庶「そんな馬鹿な!どれだけの距離があると思ってるんですか!?」

 

華琳「それが出来るから夏侯惇は非常識な子なのよ・・・それが兄さんがあの状態になった理由よ」

 

徐庶「そんな・・・私の練りに練った策が・・・破られた理由が・・・・」

 

華琳(北と西の足並みを揃える必要があったから、春蘭に働ければ久しぶりに閨に呼んであげると言ったのだけど・・・効果効き過ぎたわね)

 

 

絶対の自信も持っていた石兵八陣を2箇所破られた理由が、非常識による行動と聞いた徐庶は膝から崩れ落ちてがっくりとしている

 

 

桂花(敵とはいえ、同じ軍師として同情するわね)

 

稟(あの春蘭様ですからね・・・我々は耐性がついてますから)

 

 

劉表「それすらを含めて貴方達の力・・・なるほどなるほど、とても凡人が敵う相手ではありませんな。元荊州牧として責任を取ります、捌きを与え下さい」

 

華琳「潔い態度ね」

 

劉表「先ほども申しましたが、私はこの度の戦で負けはしましたが、これだけ戦況をひっくり返されると清清しい気分なのです。このような事を言える立場ではありませんが、荊州の民や私の配下達の命だけはお助けください」

 

 

荊州のトップまで上り詰めた男が頭を下げて助命嘆願をする姿を・・・いまだ正気に戻らない一刀の代行として見つめていた

 

 

劉表「反連合や空巣狙いの挙兵をした私が甘い事を言っているのはわかっております・・・私の命はどうなってもかないません、ですが!どうか将兵の命だけは・・・!」

 

 

一刀・美羽・孫策陣営の将や、囚われの劉表軍の将が居ようが、劉表は必死に頼み込みを続けている

華琳が沈黙を保っているため、諸将は何も言わずにじっと華琳の捌きを待っていた

 

 

(一刀ならばどう判断を下すかしら?あの男の事だから、民の事を考えてるからとか言って許しそうね。今の私は覇王としてではなく・・・一刀の為に・・・なら判断はこれしかないわね)

 

 

華琳「劉表顔をあげなさい、判決を下すわ」

 

華琳の発した言葉により周囲の空気が引き締まり、緊迫感があたりを支配している

そんな中、魏の面子は緊迫感どこ吹く風と言わんばかりにゆったりしている

 

 

華琳「貴方達随分ゆったりしてるじゃないの」

 

秋蘭「みな華琳様の判決を悟っているのですよ」

 

華琳「優秀すぎる部下も大変ね・・・劉表を含め、すべての将を赦す!今まで通り荊州を治めよ!」

 

 

徐庶・黄祖「!」

 

劉表「なんですと!」

 

劉表は自分の命と引き換えに、将兵の命を嘆願していた

しかし判決は自分の嘆願を遥かに超える温情処置だった

 

 

劉表「その判決・・・真でございますか」

 

華琳「あら、そんなに処罰されたかったのかしら」

 

劉表「いえ、そういうわけでは」

 

華琳「ならば生きなさい!拾った命をどう使うかは貴方次第よ」

 

劉表「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

華琳「孫策達には悪いのだけど、判断を覆すつもりはないわ。わかってちょうだい」

 

雪蓮「昔の私ならば仇と言って討とうとしてたでしょうね・・・でもいまはそんなつもりはないわよ」

 

 

親・孫堅の仇を討つ気はもう無い この言葉を聞いた孫権は姉である雪蓮に反発した

 

 

孫権「姉さま!仇の黄祖が目の前にいるのに見過ごすと言うのですか!」

 

雪蓮「復讐は新たな復讐を生むだけよ。それにね蓮華、復讐なんて考える暇があったら、好きな人と一緒にいる時間を作ったほうがいいじゃない」

 

孫権「・・・はぁ。もう姉さまにその気がないのに、私が意固地になっても仕方ないじゃないですか。わかりました、今すぐ赦せるわけではありませんが・・・善処します」

 

 

華琳「聞いての通りよ!劉表はもう私達の仲間だ!これからは仲間として振舞え!それと・・・いつまで旅立ってるの一刀!」

 

 

一刀「ッハ!劉表の捌きは!?」

 

華琳「あなたの考えを読んで無罪にしたわよ、異論あるかしら」

 

一刀「無いよ、流石華琳だ」

 

華琳「どれだけ貴方の側にいると思ってるの?読み取れて当然でしょ?」

 

ふふんーと誇りながらこっちに微笑む華琳

くっそー可愛いな!ずっと側に居たって発言もポイント高い!

記憶を取り戻しても、華琳の可愛さは不滅だな!

 

 

桂花「一刀、出陣の準備は整ったみたいよ」

 

一刀「劉表殿、俺達はこれから陳留奪還と劉備救援に向かいます、荊州の民に説明をお願いします」

 

劉表「わかりました、陳留に向かうのでしたら徐庶同行させていただきたい、私の反抗する意志の無さを証明するのと、曹仁軍にいれば徐庶は更に成長すると思いますので」

 

一刀「ふむ、徐庶がいいならばその申し出は受けるが」

 

徐庶「私も曹仁軍の強さを知りたいと思っていましたので、よろしくお願いします」

 

一刀「ならば徐庶は桂花の下に就いてくれ、桂花頼むぞ」

 

桂花「期待されたからにはちゃんと応えるわよ」

 

一刀「よし、俺達は北伐を実行する!迅速に行動せよ!」

 

 

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幽州・琢郡

 

一刀達が北伐の軍を興して数日後、それまで漢の名将達に苦戦を強いられていた桃香の下に風率いる援軍が到着。それまで篭城に徹していたが、風の指揮により野戦に転じていた

 

 

風「魏延ちゃんと徐栄さんはそのまま歩兵隊で皇甫嵩・盧植軍を引き付けてください〜明命ちゃんの部隊は朱儁・董承さんの部隊を後方攪乱、本格戦闘は無用ですよ〜掻き乱すのが目的ですよ」

 

 

 

魏延「お前達堪えろ!援軍が来てくれたのだ!劉備軍の底力を見せてみろ!」

 

徐栄「俺達の目的は勝利ではない、時間稼ぎだ!方円の陣で守りを固め凌ぐぞ!」

 

明命「足を止めないでください!狙いは問いません、動きを止めずに矢を打ち続けるのです!」

 

 

 

風「愛紗ちゃんと張飛ちゃん今です!薙ぎ倒してくださいー!」

 

 

愛紗「行くぞ張飛殿!我らで敵を打ち倒すぞ!」

 

張飛「おうなのだ!関羽のお姉ちゃんと敵を薙ぎ倒すのだ!」

 

 

風の指示により魏延・徐栄が敵部隊を受け止め、明命が自慢の素早さを生かし矢嵐を浴びせ、風が的確に手薄な箇所を見抜き、愛紗・張飛の攻撃力で各個撃破していった

 

 

 

盧植「むぅ、このままではいかん、全軍5里(2キロ)後退するぞ!」

 

皇甫嵩「敵の追撃を振りきり、味方を助けるぞ!援護の矢を放て!」

 

 

実戦経験豊富な名将といえど、華琳の天下統一を支えた三軍師の一角を相手に戦うのは容易な事ではなかった

 

 

風「追撃は無用です〜城に帰還してくださいー」

 

 

孔明「あの人達をこうも簡単に追い返すなんて」

 

士元「勉強になります」

 

風「いえいえ〜孔明ちゃんと士元ちゃんもこれぐらい出来ると思うのですよ」

 

桃香「愛紗ちゃんもいるし・・・このまま持ちこたえれればいいんだけどね」

 

 

伝令「申し上げます!曹仁様が劉表を破りました!」

 

 

(劉表を倒しましたか・・・後はお兄さんが来るまで持ちこたえるだけですが.....嫌な予感がしますね)

 

 

 

桃香「流石一刀達さん。あなたはこの事を全軍に広めてください、曹仁さんが来るとわかれば、みんな活気付きます」

 

伝令「御意!」

 

風「嬉しがると思いましたが〜冷静ですねー劉備さん」

 

桃香「これが平時なら喜んでるんだけどね〜というか程cさん!私の事どう思ってるんですか!?」

 

風「ふふふ〜知りたいですか〜?」

 

桃香「・・・遠慮しま〜す」小声

 

 

愛紗「只今戻りました。魏延達も、もうじき戻ると思います」

 

張飛「敵いっぱいやっつけたのだ!」

 

 

桃香「お疲れ様、今日はもう休んでいいよ、後始末は私達でやっておくから」

 

愛紗「よろしいのですか?」

 

桃香「うん、いまは戦の疲れを癒してね」

 

愛紗「そういうことでしたら・・・お言葉に甘えさせていただきます」

 

張飛「関羽のお姉ちゃん!鈴々とご飯に行くのだ!」

 

愛紗「あ、こら張飛殿!引っ張らないでくれ!」

 

 

 

孔明「なんだか年の離れた姉妹みたいですね」

 

士元「鈴々ちゃん懐いてるもんね」

 

 

風(以前は桃園の三姉妹でしたからねー姉妹みたいってのも外れては無いですね)

 

孔明「桃香様、今日四将軍が敗れたので、静観していた顔良・文醜・張?も明日は動くと思いますので、篭城部隊編成を決めましょう」

 

士元「本日の勝利で兵達の士気は回復しました、援軍が到着まで再び篭城で耐えるべきだと思います」

 

桃香「二人の意見は篭城・・・程cさんの意見はどうかな」

 

風「風もお二人の意見に概ね賛成ですね〜篭城に加え、隙を見ては討って出るがよろしいかと〜」

 

 

桃香「隙を見せたら噛み付くってのを見せるんだね」

 

風「亀のように篭ったままですと、敵は勢いに乗りますからねー」

 

 

 

桃香「私もそれは同じ意見だね。よし、程cさんの案で話しを進めるよ!朱里ちゃんと雛里ちゃんは出撃する事も考慮しつつ、部隊編成の案を考えて!」

 

孔明・士元「はい!」

 

桃香「程cさんは袁紹軍の動向を探ってください、できる範囲内で構いませんので」

 

風「わかりました〜お任せください〜」

 

桃香「なんとしても守り抜くよ!」

 

 

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盧植軍・本陣

 

 

陳宮「お前達待たせたのです」

 

盧植「おぉ、陳宮殿!予定より到着が遅かったですな」

 

陳宮「曹仁軍の援軍と道中遭遇しましてな、撃退に時間がかかったのです」

 

盧植「関羽や周泰以外にも援軍が向かって来ていたとわ・・・その者達が来ていたら我らは窮地でしたな」

 

陳宮「洛陽方面に退いて行ったのを確認したのでもう大丈夫なのです。あとは例の部隊を北門に移動させれば完了ですぞ」

 

 

皇甫嵩「我らに集中してる間に間道から回りこむのですな」

 

陳宮「その通りなのです、策が成功したらお前達は正門から東・西門に移動するのです」

 

朱儁「窮鼠猫を噛む、逃げ場がないとわかればこちらの被害も甚大になりますからな」

 

陳宮「荊州の劉表が破れたと報告があったのです、次の曹仁との戦いの為にも、兵の消耗は避けたいところなのです」

 

董承「となると顔良・文醜達は待機させてたほうがよさそうですな」

 

陳宮「実行日は3日後なのです!準備を怠るな!なのです!」

 

 

 

 

 

 

劉備軍の援軍として風が到着したと同時に、袁紹軍の筆頭軍師・陳宮も到着した。野戦での勝利に沸く劉備軍の影で仕込みを進める陳宮。

そして陳宮到着してから3日後

 

 

 

盧植「あの三人を連れてきましたぞ」

 

陳宮「来たですね、これで幽州すべて袁紹殿の配下です、お前たち!生きて帰りたかったらちゃんとするのですよ!」

 

 

??「うるさいわね!何度も言われなくてもわかってるわよ!」

 

??「・・姉さん落ち着いて、それじゃあ行って来ます」

 

 

 

盧植「反抗的な態度ですが、よろしいのですかな」

 

陳宮「働いてくれるなら文句はないのです。それよりも、盧植と朱儁は西門、皇甫嵩と董承は東門に回るのです!」

 

 

盧植「承知」

 

 

陳宮「さぁ・・・劉備軍に絶望を与えてやるのです!」

 

 

 

 

 

 

 

北門

 

??「本当にやらないと駄目なのかしら」

 

??「いま刃向かえば必ず処刑されるわ、いまは耐えないと」

 

??「お姉ちゃん・・・こんな事で歌いたくないよ」

 

??「私もこんな事の為で歌いたくないわ、でもいまは我慢して。城にいる風さんに手紙を届けたから....後は託すしか」

 

??「・・・一刀に嫌われちゃうよね」

 

??「一刀なら大丈夫だよ・・・きっと。一刀と無事会う為にも・・・いまは歌わないと」

 

??「そうね、一刀に会う為だもんね!」

 

 

数え役萬☆姉妹「みんなー!盛り上がっていくよー!」

 

 

 

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劉備SIDE

 

斥候「申し上げます、敵将盧植・朱儁は西門に、皇甫嵩・董承が東門に進軍!そのまま攻め込んできます!」

 

 

風「正門の敵はどうなっていますか」

 

斥候「無人とは言えませんが、かなりの手薄状態です」

 

孔明「正門を捨てて東西の門に集中する・・・盧植さんが何かを考えてると見るべきですね」

 

士元「ですが、いま東西門に集中する意味がわかりません」

 

桃香「・・・北門はどうなってるかな」

 

斥候「少々お待ちください、調べて参ります」

 

風「これは・・・思ったより悪い事になりそうですね」

 

 

斥候「劉備様ー!た、、大変です!北門に数え切れないほどの大軍が大挙押し寄せてきます!」

 

 

風「その軍に特徴はありますか?」

 

斥候「それが・・・ほあーーほあーーと叫びながら攻めてくる集団でして・・・程c様宛にお手紙を預かっております」

 

(やはり張三姉妹でしたか・・・道理で見つからないはずです)

 

風「手紙を見せていただいてもいいですか〜」

 

斥候「はっ、こちらになります」

 

 

桃香「北門の戦況はどうなってますか」

 

斥候「それが・・・北門は長く持ちそうにありません。敵の勢いが凄まじく、防ぎきれません」

 

孔明「あえて正門を手薄にして逃げ場所を作り」

 

士元「正門から逃がし、追撃して私達の兵力を減らす考えかと」

 

 

桃香「それはつまり・・・琢郡を捨てて逃げろ・・・ってことだよね」

 

孔明「私達がここで討ち死にすれば敵が喜ぶだけです」

 

士元「ここで死ぬより”生きて”敵を困らせるべきだと思います」

 

孔明「悔しいと思いますが、ここは耐えてください」

 

風「風も同意権です、あの集団を相手にするのは得策ではないのです。陳留まで退きましょう」

 

士元「なぜ陳留なのですか?陳留は袁紹領土のはずですが」

 

風「お兄さんが陳留を奪取しているはずです、そこまで落ち延びましょう。劉備さん・・・決断をお願いします」

 

 

桃香「・・・全将兵に通達を・・・陳留まで退きます」

 

斥候「劉備様・・・御意!」

 

 

孔明「追撃を防ぐ殿はどうしましょう」

 

風「それは風に秘計があります、劉備さんや孔明ちゃん達は先に陳留に向かってください」

 

桃香「私も残って」

 

風「それは駄目です、劉備さんが居るこら将兵は戦えるんですよ?だから劉備さんは生きないと駄目なのですよ。」

 

桃香「わかりました・・・陳留で待ってるからね」

 

 

 

 

愛紗「みなここに集めたぞ」

 

風「ありがとなのです〜みなさん聞いてると思うのですが、陳留まで撤退する事になりましたので、追撃を防ぐために力を貸してほしいのです」

 

焔耶「桃香様はどうしたのだ」

 

風「正門から孔明ちゃん・士元ちゃんと一部の兵を連れて先に逃げてもらいました。正門には敵がほぼいませんからね」

 

韓当「そして追撃はわしらで食い止める・・・ということですかな」

 

風「その通りなのです。まずは全速力で冀州を突破し、陳留を目指します」

 

程普「それまでは戦闘をせずに逃げ続けると言う事ですかな」

 

風「敵に背を向けるのは悔しいと思いますが、耐えてくほしいのです」

 

白蓮「濮陽まで到着したらどうすんだ?」

 

風「今は時間がありませんので、追撃部隊を振り切れないようでしたらお話するのですよ」

 

 

 

明命「そうと決まれば速く移動しましょう!敵が各門に張り付いてるうちに距離を稼ぎましょう!」

 

愛紗「私と明命で先行します!みなさん付いて来てください!」

 

 

 

 

陳宮SIDE

 

伝令「伝令!劉備軍が城から出て来ました!わが軍を突破し、南下しております!」

 

陳宮「ここまでは予定通りなのです、顔良・文醜・張?に追撃しろと伝えるのです!」

 

伝令「はっ!」

 

陳宮「最大の敵の劉備を駆逐に成功、これで袁紹殿は河北四州の覇者と言ってもいいのです。冀州でも予備兵力の増強も完了する頃です」

 

 

盧植「東門の攻略が終わったぞ、朱儁が内部から他門の開放に向かっておるから、もう少しで制圧が完了するはずじゃ」

 

陳宮「お前達がここまで苦戦するとは予想外だったのです」

 

盧植「それがしも桃香がここまでやるとは予想外でした」

 

陳宮「本当に厄介な弟子を育ててくれたのです。制圧が完了したらすぐに冀州に戻るのです、袁紹殿が挙兵の準備を整えてるはずです」

 

盧植「あの袁紹様自らですか?」

 

陳宮「その通りなのです!様子を見てたのですが、しっかり準備を進めてたのです」

 

盧植「やはり何か思う事があったのか」

 

 

朱儁「陳宮・盧植、制圧が完了したぞ」

 

陳宮「よくやったのです」

 

朱儁「劉備軍は逃がしていいのか?」

 

陳宮「既に顔良達に追撃を命じてあるのです!一部の兵を残し、陳宮達は冀州に戻り次の戦に備えるです」

 

 

 

 

 

劉備軍最後の砦、難攻不落の要塞として袁紹軍などの外敵を幾度となく防いできた琢郡。

しかしその琢郡も陳宮の秘策・張三姉妹の起用による袁紹軍の増強、士気が異常に高い部隊を作り出し戦闘に投入によりとうとう陥落した

劉備が太守になってから造り上げてきた”家”の陥落は劉備陣営に大きな衝撃を与えた。

 

劉備を含め配下の将は屈辱を堪えながら”盟友”一刀が待つ陳留に向かう

 

 

 

しかし、劉備・孔明・士元は追撃部隊からの逃げ切りに成功したが、風率いる殿は黄河を渡り濮陽付近まで進んだ所で、追撃部隊に捕捉されてしまった

 

 

愛紗「陳留までもう少しでしたが・・・追撃隊の砂塵が見えて来ましたね」

 

風「濮陽まで無事来れただけでも運が良かったですね〜」

 

焔耶「どうする!部隊を二手に分けて決死隊を作るか?」

 

風「いえ、それには及びません、濮陽まで来れた事で風も秘策が使えるのですよ」

 

白蓮「城を出る前に言っていたやつか?どんなのだ」

 

 

焔耶「この地形を利用して伏兵をするのか?」

 

風「惜しいですね。伏兵は合ってますが、単発だけでは効果が薄いと思いますので、五千の部隊を十隊作ります。そして伏兵箇所まで敵が進軍してきましたら、張飛ちゃんに囮を務めていただきます。張飛ちゃんが交戦してから時間を少しずつずらしながら残りの隊で攻勢をかけるのです」

 

 

風「出撃する順番は張飛ちゃん→徐栄さん→風→韓当さん→明命ちゃん→焔耶さん→簡雍さん→ハムさん→程普さん→愛紗ちゃんでいきます」

 

簡雍「なるほど・・・撤退戦で兵が離脱し、兵数が減ったと思わせ油断した所に十隊による波状攻撃....嫌らしい策ですね」

 

風「ここで敵を追撃部隊を叩ければ、陳留までの道中が安全になりますからね。この策の名前は十面埋伏の計としましょう〜」

 

 

風「張飛ちゃんには辛い役目だと思いますが、敵の攻勢を耐えてください。風達がいると思わせるために、諸将の旗も掲げてくださいね〜」

 

張飛「任せろなのだ!鈴々は負けないのだ!」

 

 

明命「みなさん!砂塵がかなり近づいてきます!」

 

風「ではみなさんは位置についてくださいー」

 

一同「おう」

 

 

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袁紹軍SIDE

 

顔良隊兵士「顔良様!敵の姿を捕捉しました!見たところ五千ほどです!」

 

顔良「わかりました、持ち場に戻ってください」

 

顔良隊兵士「ははっ!」

 

文醜「たった五千か〜揉み潰せる数じゃん」

 

顔良「もぉ〜文ちゃん油断したら駄目だよ、将はみんな強いんだから」

 

張?「琢郡からの撤退でよく五千も残ったと誉めるべきだろう」

 

顔良「捕捉した部隊の周り林とか生い茂ってるから罠とかありそうだけど」

 

文醜「大丈夫だって斗詩、あたい達の兵力は6万だぜ?罠があってもやり過ごせるって」

 

張?「左様ですな、ここで躊躇していると逃げられてしまいますからな」

 

文醜「そういう事。全軍、あたいに続けーー!」

 

顔良「あ!待って文ちゃん!一人で行かないでー!張?さん行きますよ!」

 

張?「承知、全軍突撃だ!」

 

 

 

 

張飛SIDE

 

顔良・文醜・張?軍が張飛隊に迫り兵達が浮き足出すなか、張飛は一言も発さずに敵が来る方向を見つめていた

 

 

 

張飛隊兵士「張飛様!敵が突撃して来ます!」

 

張飛「静かにするのだ、一人が慌てれば皆慌てるのだ」

 

張飛隊兵士「わ、わかりました」

 

 

浮き足だし慌てていた兵達が見たのは・・・いつも天真爛漫な笑顔を浮かべ、街の人達から可愛がられている姿では無く

丈八蛇矛を片手に体から闘気を滲ませ戦場に佇むその姿....大陸屈指の豪傑・張飛の姿であった。

兵達を張飛から醸し出される闘気に目の当たりにし、ようやく平常心を取り戻した

 

 

 

(鈴々がもっと強ければ・・・鈴々達の家を護る事が出来たかもしれないのだ。鈴々がもっと強ければ・・・助けてる事が出来た兵も一杯いたのだ)

 

 

 

いま張飛の心にあるのは自分がもっと強ければ・・・という自分への不甲斐無さ

義姉・劉備と幼少から過ごし、育ってきた家(琢郡)から逃げるという悔しさ。

 

様々な感情が小さな体で巡るなか、一番張飛の心を巡った感情・・・それは

 

 

 

”故郷を捨ててまで従ってくれる兵達を絶対護り抜く事”

 

 

 

張飛隊兵士「張飛様!敵部隊を交戦状態に入りました!」

 

 

(みんな鈴々に優しくしてくれたのだ・・・だから今度は鈴々が!)

 

 

張飛「鈴々がみんなを護り抜くのだーー!」

 

雄たけびと共に放った文字通りの”一閃”により、斬りかかろうとしていた顔良軍の兵士・十数名の上半身と下半身を切り裂いた

 

 

 

顔良兵士1「ひ、ひぃぃぃぃ!たった一振りで何人が死んだんだ!?」

 

顔良兵士2「ば、化物か!」

 

 

張飛「みんなを護り抜けるなら....化物にでもなってやるのだ!劉備軍にその人ありと謳われる燕人張飛がお前たちを全員葬ってやるのだ!死にたいやつからかかってくるのだ!」

 

 

袁紹軍すべての兵士は張飛の覇気に圧され、身動きが取れなくなってしまっていた

 

張飛「どうしたの!お前たちから来ないなら・・・鈴々から行くのだ!」

 

 

劉備軍の残党を全滅させようと群がろうとしていた顔良・文醜・張?軍に単身突撃、自分達を信じて付いて来てくれた兵達を護るため、自分の体の倍以上の一丈八尺(約4m)ある丈八蛇矛を振るい、返り血を浴びようが縦横無尽に暴れまわるその姿はまさに鬼神

 

 

張飛隊「張飛様に続け!我らも劉備軍としての意地を見せ付けるのだ!」

 

現代と戦と違い、将の活躍は自軍の勢いに繋がる。鬼神の如き武を示す張飛の姿に、張飛隊の兵達は先ほどまでの震えは止まり、一人の戦士としての顔つきに変貌していた

 

 

文醜「やろ〜調子に乗りやがって!張飛、あたいが相手だ!」

 

張飛「誰でもいいのだ、いまの鈴々は誰が相手でも負けないのだーー!」

 

 

 

顔良「文ちゃん駄目!いまの張飛さんと戦うのは危険だよ!」

 

 

しびれを切らした文醜が張飛に戦いを挑むのを、遠くから顔良が止めるが、戦闘態勢に入った文醜は止まらなかった

 

文醜「行くぜー!乾坤一擲!斬山刀斬山斬」

 

袁紹軍の二枚看板と言われる武勇を持つ文醜の一番威力の高い攻撃。

一般兵や副将相手では受け止める事も出来ない一撃であっても・・・・いまの張飛には届かない

 

 

張飛「鈴々を舐めるななのだ!」

 

文醜「な!?ぐはあああ」

 

 

文醜の最大の一撃を上回る一撃を放ち、文醜の大剣・斬山刀を真っ二つに叩き折り、更にその衝撃で文醜を吹き飛ばした

 

 

張?「文醜殿!張?隊は俺に続け!文醜隊を援護するぞ!」

 

 

張?が張飛の足止めに向かってる間に顔良は文醜の側に駆け寄った

 

顔良「文ちゃん大丈夫!?」

 

文醜「いててて、なんとかな」

 

 

顔良「よかった・・・」

 

 

文醜の無事を確かめ、ほっとした瞬間

 

 

 

ジャンージャンージャンー!

 

 

顔良「いまの銅鑼の音はなんですか!」

 

 

顔良隊兵士「申し上げます!西から敵の伏兵です、旗印は徐!数は約五千です!」

 

顔良「私の隊を二手に分けて防いでください!」

 

顔良兵士「御意!」

 

 

顔良「やっぱり伏兵がいたね」

 

 

顔良兵士2「顔良様!顔良様はいずこですか!」

 

顔良「私はここにいます、何事ですか」

 

顔良兵士2「大変です!北西・南西の方向から程c隊・韓当隊・周泰隊が現れました!いまは文醜隊が攻勢を防いでいます!」

 

顔良「これは不味いです!すぐに後退の指示を!」

 

 

顔良兵士3「申し上げます!北東から魏延・簡雍が押し寄せてきます!」

 

 

顔良兵士4「申し上げます!東から公孫讃・程普の軍勢です!」

 

 

 

 

顔良「えええー!どれだけ来るんですか!」

 

文醜「あーこれは完全に嵌められたな」

 

顔良「だから罠があるかもしれないって言ったじゃんー!」

 

 

顔良兵士5「大変です!南東からか、関羽隊が現れました!」

 

文醜「うわー関羽まで来るのかよ!」

 

 

張?「顔良殿!文醜殿!ご無事か!」

 

 

顔良「張?さん!私達は大丈夫です」

 

 

張?「四方から現れた劉備軍によって、わが軍は完全に浮き足立っておる!このままでは全滅だ!」

 

顔良「そうですね、すぐに退きましょう!」

 

 

張?隊兵士「申し上げます!」

 

顔良「今度は何ですか!?」

 

 

張?隊兵士「張飛隊が迫っているのと、南から新手です!」

 

張?「南だと!?我らの援軍か!?」

 

張?隊兵士「いえ、旗印は趙・于・李そして・・・真紅の呂旗です!」

 

文醜「真紅の呂旗だと!?」

 

張?「一人で劉?軍を全滅させたというあの呂布か!?」

 

張?隊兵士「恐らくは・・・張飛隊を合流し、こちらに迫っております!」

 

顔良「いけません!すぐに冀州まで戻ります!」

 

 

 

 

風「深追いは無用です、部隊を纏めて帰還してください」

 

恋「風、大丈夫?」

 

風「助かったのです恋ちゃん。洛陽にいるはずの恋ちゃんが何でここにいるのですかー?」

 

真桜「風さま話は後や、いまは陳留まで退くで」

 

趙雲「劉備軍は私達が護衛する」

 

風「おや、趙雲さんもいたのですか」

 

 

明命「部隊が整いました!いつでも出発できます!」

 

風「張飛ちゃんは大丈夫ですか?」

 

明命「かすり傷だけなので、大丈夫だそうです」

 

風「それを聞いて安心したのです、全軍陳留まで進軍再開ですよー!」

 

 

 

張飛の奮闘、風の秘策・十面埋伏の計よる諸将の働き、そして援軍として戦場に出現した趙雲・李典・于禁そして呂布の攻勢により、袁紹軍を撃破。劉備軍の殿部隊は被害と言う被害を受けずに、恋達援軍部隊に護られながら陳留まで落ち延びる事に成功

 

 

陳宮の策によって豊かな琢郡を手中に収めた事で袁紹軍の力は増大したが、一刀の下には劉備・孫策・曹操とかつての世界の三国の英傑が集結した

 

 

 

 

一刀と麗羽、二人の決戦の時は近い

 

 

 

 

 

 

to be continued

 

 

 

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また日にち空いちゃいましたね〜60話をお送りしました

今まで行方不明だった張三姉妹(敵方ですが)出せました

 

桃香が本拠地失う辺りはちょっと強引だったかな?と思いますが、次回の話し的に都合がよかったのでこの展開にしました

星達の援軍の件は次回表記します

 

 

次回は決戦前のプチ拠点話になります

 

メイン武将ほぼ全員と個別で一刀の対話を予定しておりますので、過去の拠点話漏れしたキャラも描きます

 

どこかおかしい点がありましたら言ってください

 

 

説明
琢郡の陥落

風、十面埋伏の計発動
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コメント
雪風さん>将同士の仲が悪かったですからねー史実の袁家。いまは漢の名将達が控えてますが(’(おぜぜ)
聖龍さん>ある意味が華琳様は最初から壊れてましたねw(ブラコン的な意味で(おぜぜ)
未奈兎さん>ツンなんて最初からなかったんですよ〜〜いま比較的ツンがあるの・・・・詠ちゃん?(おぜぜ)
ナギサミナトさん>蜀や呉達の名将による十面埋伏ですからねw恋達は後詰でしたが、それでも敵からすれば十分脅威な軍団でしたね(おぜぜ)
ケフカ・パラッツォさん>教えても”そんなものはしらん!”といって暴れそうですねw(おぜぜ)
たっつーさん>春蘭はある意味絶好調ですねw孫家”白”三姉妹で呉は安泰w(おぜぜ)
naoさん>三国の人材VS袁家ですからね・・・陳宮の頑張り次第ですw(おぜぜ)
アストラナガンXDさん>ねねについては記憶無しの設定ですね、覇王の外見を気にしてセーブしてた華琳様もブレーキ壊れてますからねw雪蓮が言う事を聞いてくれ無い、そんな時の秘密道具扱いになりそうですw(おぜぜ)
kiraさん>軍師の考えを先読みし行動する・・・じゃなく非常識な行動で軍師を困らせるのが春蘭ですからねw対袁紹はいま構想を練ってます!(おぜぜ)
迷家の袁家には隙がいくつかありますからね・・。隠れた軍部内部の対立等・・。(雪風)
「華琳様が壊れった〜〜〜〜(@_;)」 by春蘭(聖龍)
桂花と華琳さん、もう覇王とツンの勢力が壊滅的な件について。(未奈兎)
ああ、程cの十面埋伏は有名だしなぁ…それがあんな武将たちにされたんじゃたまったもんじゃない げぇっ、張飛…呂布まで!?逆によく包囲から逃れられたものだよねぇ(ナギサミナト)
春蘭には常識を教える方が難しいのかもwww(ケフカ・パラッツォ)
三姉妹が捕らえられて元黄布の士気は高そうだけど将と軍師の質で考えると楽勝な気がしてならないw(nao)
追記。 美羽が<対雪蓮用最終兵器>に♪ 冥淋としては複雑かなぁ。 シャオの“美羽との姉妹関係?への考察はあながち的外れでもないかも・・・・(アストラナガンXD)
本音と建前が逆になるとは“覇王の衣?が無いだけで心の自由度フルスロットル状態な華琳様♪一刀×華琳のバカッブル度が止まることを知らなすぎる。ねね 君は、前外史の記憶を覚えているのか?(アストラナガンXD)
あとは、袁紹との戦いだけになりましたね。張三姉妹を助けることができれば、呂布や一刀を始めかつての世界でも指折りの将がいるので袁紹軍に負ける要素が見当たりませんね。(kira)
知恵者であっても、春蘭の非常識さは読むことは出来ないから徐庶さんは少し可哀想でしたね。春蘭はある意味軍師泣かせの将ですからねw。(kira)
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恋姫†無双 雪蓮  美羽 桃香 お馬鹿春蘭 

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