転勤物語(脚本)
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【登場人物表】

健(29) 杏の彼氏。東京への転勤が決まる。

     考え方が歳の割に古く、頑固。

杏(28) 健の彼女。メガバンクの銀行員。

     仕事では活発だが、本来は内気。

 

橘(30) 杏の元女上司。面倒見が良い。

     美人だが、その勝気故か、独身。

 

 

 

【本文】

○黒い画面

杏「ねえ…健は私を、どうしたいの?」

 

○福岡市街

2月、冬の夜。

仕事が終わって、行き交う人や車で混雑する市街。

車のテールランプが赤く灯り、その横のナンバープレートに福岡の文字。

 

○住宅地

閑静な住宅街の中にある、高級マンションの外観。

その階段を上り、廊下を歩く健。

ある部屋の前で立ち止まり、紙を取り出して、見る。

辞表、東京への転勤指示が書いてある。

健「ハア…」

白いため息をついてから、扉を開ける。

 

○家

健「…ただいま」

電気を点けないまま、暗い玄関でコートのボタンを外す健。

玄関の時計は21時を指している。

杏「おかえりー」

リビングに続く廊下から、のれんをくぐって玄関に入ってくる健の彼女、杏。

杏「外寒かったでしょー」

健「ああ…」

顔をこちらに向けず、背中を向けたままの健。

杏「? 今日は仕事が早く終わったから、豪勢におでん作ったんだよ〜」

健「そうか…」

健の淡泊な反応に、不満そうな表情をする杏。

杏「ちょっと。そうか…って、嬉しくないの? コンビニじゃないおでんなんて、たべるの久しぶりでしょ?」

健「杏」

杏「何…」

少しイラついている杏の方に、ようやく振り向く健。その顔を見て、怪訝そうな顔から、緊張した表情になる杏。

健「東京に、転勤が決まった」

 

○タイトル、『転勤物語』

 

○家

健「俺は今月末には、この家を出なきゃいけない。だけど君にも当然、福岡支店での仕事がある。つまり…その、離ればなれになる」

顔を強ばらせたまま、俯く杏。

杏「…そう」

健「…ああ」

しばしの気まずい沈黙が続く。

杏「おでん、食べよっか」

健「あ…」

先に歩き出し、のれんをくぐり、リビングに向かってしまう杏。

のれんを隔て、暗いままの玄関に取り残される健。

 

○寝室

夜中。

健に背を向けて寝ている杏。

その背中を、横向きで、ぼーっと見つめる健。やがて横向きから仰向けに直り、目を閉じる。

対照的に、健に背をむけながら、目は開いている杏。深刻な顔で何かを考え込んでいる。

 

早朝。

窓から明るい光が入っている。

健が目を覚ますと、杏がいないことに気づく。

時計は6時を指している。

 

○リビング

杏の姿を探して、廊下からリビングに入ってくる健だが、杏はいない。

寂しそうな表情をする健だが、机の上の書き置きに気づく。

「用事があるので先に行きます。杏」

とだけ書いてある。

顔を上げ、棚を見ると、写真立てが幾つか並んでいて、そこには二人の思い出が垣間見える。

それを見て、息苦しそうな顔をする健。

 

○満員電車

電車の走る轟音が響く。

福岡の中心部、天神行きの急行である。

通勤ラッシュの人混みに押し潰され、苦しそうにしているスーツ姿の杏と、周りのサラリーマン達。

杏「うーっ…」

キーッと急ブレーキがかかり、更に押し潰される杏。

 

○銀行

杏の職場の六菱UFJ銀行福岡本店。

その外観。

杏「よしっ…」

決意の表情で入っていく杏。

 

○銀行内のオフィス

早朝で、まだ人がまばらな中、書類を眺める部長。

そこに近づく杏。

杏「おはようございます」

部長「おはよう、早いね」

杏「ええ…」

書類に目を戻す部長。

しかし、杏が動かないのに気づき、もう一度顔を上げる。

杏「折り入って大事なご相談があるのですが」

真剣な表情の杏。

部長「…場所を変えた方がよさそうだね」

 

○会議室

一室の中に座る、上司と杏。

部長「…君の話は分かった。東京近郊の支社への転勤…。君は優秀な部下だし、新卒で配属されてから、もうここも6年目だ。上に聞いてみよう」

明るい顔になる杏。

杏「ありがとうございます!」

立ち上がって、銀行員らしい丁寧なおじぎをする杏。

しかし、厳しい表情に変わる部長。

部長「だけどね、君も分かっているとは思うが、ここは会社だ。君の願いが叶うか叶わないかは会社の都合次第。理由も理由だし、正直、私は聞き届けられる可能性が高いとは思わない。分かるね?」

杏「…はい」

しょんぼりした顔で、椅子に座る杏。

 

○社員食堂

昼休み。

ケータイの画面に、『ユアナビ!転職』のサイトが映っている。

杏が騒がしい食堂に一人座り、ケータイを見つめている。

一度顔を上げ、昼食を食べる多くの社員を不安げに見るが、覚悟を決めようと汗を垂らし、緊張した表情で会員登録ボタンをゆっくりと押そうとする。

橘「お、杏!」

が、突然肩を叩かれ、びくっとする杏。

恐る恐る顔を上げると、先輩女性社員の橘が怪訝そうな顔で立っている。

橘「? どうしたんだ?」

杏「はあ〜…橘さ〜ん…びっくりさせないで下さいよぉ〜…」

橘「なんだよ失礼な(笑う) 勝手にびっくりしたのはおまえの方じゃないか」

パンを持って、杏の目の前に座る橘。

杏「それはそうなんですけど…」

橘「どうしたんだ、しかめっ面して。彼氏のことか?」

またびくっとする杏。

橘「はは、お前は昔から本当に分かりやすいな」

笑いながらパンを食べる橘。

しかし、悲しそうな顔をしている杏。

それを見て、少し真面目な顔になる橘。

橘「なんなんだ杏…黙ってたら分からんぞ」

俯いたまま、ケータイを差し出す杏。

転職サイトの画面が映る。

それを見て、察したような橘。

周りを見る。

橘「…ここじゃマズいな」

呟きながら、立ち上がる。

 

○ビルの屋上

曇り空の下、ガタンとドアが閉まる。

橘「うー寒。でも、予想通り、お陰で人は無し、と」

自販機で缶コーヒーを買って、杏に投げる橘。

橘「ほれ」

杏「あ、ありがとうございます…」

自身も一つ買って開け、一口飲む橘。それを黙って見て、一口飲む杏。

橘「彼氏の転勤でも決まったんだろ?」

びくっと驚く杏。

目を丸くする。

杏「…はい」

橘「(笑って)地方勤務にはよくあることだからね。で、彼氏は何て言ってるんだ?」

杏「何も言ってないです…」

びっくりした後、手で顔を覆う橘。

橘「か〜…甲斐性ねえなあ」

杏「(ムッとして)軽はずみでモノを言う人じゃないだけです」

目を合わせず、不満げにあごを突き出して外を眺める杏。

杏「頑張るべき理由とか、何ていうか、そういうのを自分が心から納得するまで考えて、納得したら達成するまでやり通す、みたいな…そういうのが良いところでもある人なんです」

橘「そうだな…悪かったよ(笑って)一般的にはどうか、って反応をしただけで、悪気があった訳じゃない。許してくれ」

杏「…はい」

橘「それで、お前からは何も言わないつもりなのか?」

杏「ええ…。その代わり、彼が決心して、動き出した時の為に、受け入れられる準備だけは、ちゃんとしておきたいと思ってるんです」

橘「そうか」

しばしの沈黙。

橘「でも、不安なんだろ?」

杏「…う」

橘「このまま本当に置き去りにされるんじゃないかーとか思ってるんだろ?」

杏「…うう」

橘「そうなんだろ?」

顔を背ける杏。

杏「…私、橘さんのそういうところ嫌いです」

橘「っぶ」

吹き出す橘。

ふざけて杏を後ろからハグする。

橘「もう〜愛らしいな〜!杏ちゃんは〜!」

杏「やめてください! 変な目で見られるじゃないですか!」

腕の中で暴れる杏。

橘「ははは、誰もいないから気にすんな!」

杏「そういう問題じゃありません!」

ふと、ハグが解かれ、?という顔をする杏。

優しく頭を撫でられる。

橘「大丈夫だよ」

杏「…え」

橘「彼が堅物で、頭がちょっと古くても、今までちゃんと付き合ってこれたんだ。それはつまり、彼が納得するまで考えた結果、お前と一緒にいることを選び続けてきたってことなんだろ?」

杏「それは…確かに…」

橘「仕事のことも、心配することはない。もし、意向が通らなくても、お前にはちゃんと実績がある。資格だってある。それは他でも通るものだし、私も元上司として、推薦状くらいなら書いてやる。だから、あんまり心配するな」

杏「橘さん…」

カッコよく微笑む橘。

杏「その口上を男の部下に出来れば、20代の内に余裕で結婚出来たと思うんですけどね」

橘「うぐっ…!それだけは言うな…」

杏「ふふふ。仕返しです」

橘「ったく、こいつめー!」

杏のお尻を叩く橘。

きゃはは、と笑う杏。

橘「しかし、文句を言われても言い返しも出来なかったお前が、私にそんなことを言えるようになった挙げ句、彼氏と東京行くかどうかなんてなあ…」

杏「橘さんの教育の賜ですよ」

橘「ふふ、そうかい」

杏「ええ」

橘、時計を見て

橘「じゃ、そろそろ私は行くよ」

杏「橘さん」

橘「ん?」

杏「ありがとうございます(お辞儀をして)。元気、出ました(照れながら笑う)」

橘「うん(笑って)。何かあったら、また相談しに来な。じゃあね」

杏「はい」

屋上に残る杏。

風が吹いて、髪が揺れる。

杏「うーっ…さむ」

しかし、頬は赤く、なんだか嬉しそう。

杏「よしっ」

コーヒーを一気に飲む。

空は晴れている。

 

○銀行内のオフィス

部長が杏のところに来て、何かの紙を渡している。

 

○電車

夜。

行きとは違い、空いている電車で座っている杏。

その手には、先ほど部長から渡された紙、『転勤希望書』がある。

 

○家

リビングのパソコンで、転職サイトから会社情報を印刷し、その紙にチェックを入れたり、ノートに何事か書き込んでいる杏。転勤希望書も置いてある。

それらを鞄に詰め込んでいると、ケータイが鳴る。

ケータイの時計の時間は20:30。

健からのメール。

健「今夜、外で食べないか? 話したいことがある」

緊張した顔で返信を書く杏。

杏「分かった。21時に駅で待ち合わせしよう。」

送信して、ケータイをしまう。

一瞬、不安そうな顔をするが、橘の顔を思い浮かべる。

杏「うん…大丈夫っ」

 

○レストラン内

杏「遠距離、恋愛…?」

茫然としている杏。

健「…ああ」

洒落たイタリアン・レストランの店内の端に座る杏と健。

杏「そんな、遠距離って…本気?」

眉に皺を寄せ、声を震わせる杏。

健「俺が君に、本気じゃないことを言ったことは一度もないと思う」

取り乱し始めている杏に対して、あくまで冷静な健。

杏「それは、知ってるけど…そうじゃなくて…」

手が赤くなるほど、ワイングラスを強く握り締める杏。

杏「福岡と東京なんだよ? 飛行機で行かないといけないんだよ…?」

健「年に数回しか、会えなくなるかもしれないな…」

杏「それを分かってて言ってるの!?」

ガタンと立ち上がり、声を荒げる杏。

周囲の注目が集まる。

健「杏、落ち着け。公共の場だぞ!」

唇を噛み締め、ゆっくり座る杏。

杏「健は、私のこと、どうしたいの…。私とのことなんて…健は」

杏を真剣に見つめる健。

健「それは違う! 俺は杏のことも思って決断したんだ。俺は…君のことが好きだ。だから、付き合い続けたい。だけど、君は女性でも総合職を選び続けてきたような、キャリアを大切にする人だ。俺の仕事の都合を、君に押し付けたくはない。俺だって嫌だよ! それでも君のことを考えたから、苦しくてもこんな提案をしてるんだ」

苛立ち始める杏。

再び感情が高ぶって立ち上がる杏。

杏「私のこと、考えた? 本当にちゃんと考えて、そうなったの?」

健「どういう意味だ…」

その挑発的な口調に健も苛立ち始め、目を細める。

杏「私は! 私は…!」

スカートから見える両足が震える。

その横、鞄から紙の束(転勤・転職の書類)が、少し顔を出している。

杏「中途半端は嫌! 私のこと!本当に考えたって言うなら!男らしく思い切ってよ!」

叫ぶように言う杏。

健「!!!」

目を見開く健。明らかにショックを受けている。

ウェイターがやってくる。

ウェイター「あの、お客様、他のお客様のご迷惑になりますので…」

無言で立ち上がる健。

鞄と伝票を持つと、ウェイターに金を挟んだ伝票を押し付け、出ていってしまう。

一人呆然と立ち尽くす杏。

糸が切れた人形の様に、ストンと座る。

その頬を涙が伝い、泣き出す杏。

杏「健…なんで…なんでえ」

 

○道路

車のクラクションがビーッと響く。

ライトの陰を走って横切る健。

すぐに来たタクシーを止めて乗り込む。

健「クソッ! クソッ! 杏のやつ…!」

 

○電車

ガラガラの下り電車で、席に座らず、扉の前に立っている杏。マスカラが落ち、目元が黒くなっている。

外の景色が、窓ガラスを通じてぼーっとした杏の顔に写り込んでいる。

 

○家の前

扉の前までとぼとぼ歩き、その前に立ったまま動かない杏。

杏「健、帰ってるのかな…」

家に入る決心が出来ずにいる。

途端、家の中から、ゴトン!という音が聞こえる。

杏「!? なに!?」

扉を開けて中に入ると、玄関前に中身がぶちまけられたスーツケースと、その横にウィスキーを瓶で持った健が転がっている。

健「うう…」

杏「健…何してるの!」

顔を上げる健、酔っ払って真っ赤。

慌てて近くに行こうと靴を脱いで走りだそうとする杏。

健「来るな!」

唾を飛ばしながら、必死にそう言う健。

杏「!」

スーツケースに寄りかかりながら、何とか立ち上がる健。

健「俺は…出ていく」

杏「…そんな」

健「当たり前だ。もう別れるのに、一緒に夜を共に過ごすなんて出来ないだろ」

飛び出した荷物を無理矢理詰める健。

杏「…」

寂しそうな顔をする杏。

杏「本当に行っちゃうの?」

健「ああ」

泣き出しそうになる杏。

杏「何で…? 健は私との未来なんて、その程度で良いって思ってたの…!?」

苛立って、スーツケースをガンッと蹴る健。

健「何なんだよさっきから…! 一体全体どっちなんだよ杏は!」

杏「何が!?」

健「何がって!? 別れたいのか別れたくないのかに決まってんだろ! 君はまるで俺が捨てるみたいに言うけど、そもそも別れたいのは君じゃないか!!」

杏「!? 無言で別れたいって意思表明したのは健の方でしょ!?」

健「君が”遠距離恋愛するくらいなら、いっそ別れを切り出せ”っつったんだろう!」

 

フラッシュバック。

(杏「中途半端は嫌! 私のこと!本当に考えたって言うなら!男らしく思い切ってよ!」)

 

杏「!?」

ハッとした杏の表情。

健「別れよう!俺たちはここまでだ!ホラ、これで君の思い通りだ。これで満足かよ!ええ!?」

泣き出す杏。

健「!?」

杏「私は健のこと好きなのに、何でそう解釈するの?」

健「なっ…! 何で泣いてんだよ…。杏は俺と別れたいんだろ!? 会えもしない、遠く離れた男のことなんかに気を取られるぐらいなら、別れようって、仕事だけに集中して結果出して、出世した方が良いって、それで違う男でも見つけた方が良いって、杏、お前はそう思ってんだろ!?」

 

バンッ!!!

バサバサーッ!と言う音が響く。

健「!?」

その音と共に、バタンと倒れる健。

杏が転勤などの書類を、健の顔に叩きつけたのだ。

頭の上から、バラの紙が何枚もヒラヒラと舞い落ちる。

何が起きたのか理解出来ていない健。

杏が肩で息をしながら、逆光の中に佇んでいる。

健「な、なに…」

杏「拾って読んで!!」

健「え…?」

よく分からないまま、数枚拾って読む健。

健「転勤希望書…? 転職情報…? 東京…? !? これって…」

杏「覚悟!私の! 健が東京に付いて来てくれって言ってくれるなら、転勤してでも、それが無理なら転職してでも、一緒に行こうと思ってた! それが私の気持ちだったの! なのに…健は、健はあ…」

膝から崩れ落ちる杏。

そんな杏を、信じられないものでも見るような目で見る健。

杏「だから…人の気持ち、考えたなんて…言うなーー!!!」

暫く泣く杏、それを見つめる健。

健「あんず…」

杏「人の気持ち、ホントに考えたって言うなら、勝手に都合を想像して一人でがんじがらめになんないで! ちゃんと!私に! ぶつけて来てよ!自分のエゴを!」

健「俺の…エゴ…」

杏「私じゃない。私の気持ちなんて、今は考えなくて良い! だから健は、私をどうしたいの?」

暫く唖然とする健だが、軽く笑いながら座り直す。

健「…今日の杏は、今まで俺が付き合ってきた、杏じゃないみたいだな」

杏「ねえ、そうじゃなくて…」

すーっと息を吸ってから、杏の目を見据える健。

健「杏、結婚して、一緒に東京で暮らしてくれないか」

杏、瞬きもせず、口を半開きにしている。

健「杏のむきだしの心に触れて、俺もやっと決心出来た。俺は…男たるもの妻を養えない限り、結婚なんてすべきじゃないと思ってきた。でも、俺の給料じゃ、杏を養えない。だからずっと、こんなこと言うべきじゃないと思ってた。けどきっと、そういうことじゃないんだろ?」

杏「ちょっと待って! ちょっと待ってよ! 何でそうなるの!? 私はただ、東京に付いて来いって言って欲しかっただけで…え?」

健「杏」

そっとだが、力強く、杏を抱きしめる健。

杏「…!」

健「レストランでのこと、悪かった…俺、不安だったんだ。杏は昨日の夜も、今朝も、何だか俺を避けてたみたいだったから。このまま避けられ続けて、振られるんじゃないかって…。だから…」

杏「ううん、ううん…(必死に首を振る) 私こそ、紛らわしい言い方してごめんね…ごめん…健、ありが…」

言い終わろうとして、こみ上げてくる感情に、言葉を遮られ、口を大きく開けて泣き始める。

杏「ありがとおぉ…たける…たけるたける・・うああああ…」

抱きしめ返す杏、それを受けて、さらに強く抱き締め返す健。

 

○マンション

その外観。

外は雪が降っている。

街のそこここの家に、オレンジ色の明かりが点る。

 

○黒い画面

杏「健、お腹空いてない?」

健「…ちょっと。レストランで余り食べられなかったから…」

杏「昨日のおでん、食べよっか…」

健「ああ」

 

(おわり)

説明
不器用な社会人男女二人の物語です。

福岡で同居生活をするカップル。しかし、ある日彼氏の東京への転勤が決まります。彼女としては、彼に「付いてきてくれ」と言ってほしい…だけど、彼は中々言い出してくれない…。二人の想いがすれ違い、喧嘩が始まっていく…。
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タグ
カップル 社会人 転勤 喧嘩 

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