ハイスクールV×D ライド001
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 此処とは違う世界、此処とは違う星……。神秘と科学の共存する世界があった。

 

 その世界に於いて二人の英雄と呼ばれた剣士が居た。

 

 そんな彼らが本来存在する世界とは別の世界……科学と神秘が別々の道を歩む世界に於いて、光と影の英雄が持つ剣が流れ着いていた。

 

 その世界に於ける三大勢力……天使、悪魔、堕天使が争いを繰り広げる中、光の兵装は天使に、影の兵装は堕天使の手に渡ることとなった。

 二つの兵装の力は圧倒的なものであり、その兵装を手に出来なかった悪魔は次第に追い詰められ、三大勢力の勢力図から悪魔は消えるかと思われた。だが、二つの兵装の力に意識を飲み込まれた所有者達はその力を暴走させ始め、自軍にさえ大きな傷跡を残す事になった。

 力に呑まれた天使と堕天使の戦いは壮絶なものを極めたが、異世界より兵装を探し現れた『守護竜』によって力に飲み込まれた天使と堕天使は討たれたが、守護竜は本来有るべき世界に戻れぬ事を知り、嘆きながら何処かへと去っていったとされる。

 再び三つ巴の戦いが続く中、天使、堕天使、悪魔の誰もが守護竜の元に在る兵装を求めた。『己ならば扱える』と。二つの兵装が真に求める物を知らずに。

 

 その守護竜は全ての神話に属するものはこう呼び続ける。『|聖域の守護竜《サンクチェアリ・ドラゴン》ソウルセイバー・ドラゴン』と。

 

 

 

 

 

 廃墟となった工場、其処に異形の影と白い剣を持った無表情な白い仮面を被った少年が対峙していた。

 

「ふっ!」

 

 蜘蛛の下半身を持ったハグレ悪魔を彼はその白い剣で切り裂くも、ハグレ悪魔は大きく後ろに飛び跳ねる事で致命傷を回避する。

 

(浅かったか、だが!)

 

「がぁ!!! に、人間風情ガァ!!!」

 

 ハグレ悪魔が口から糸を吐き出すが、彼はそれを避けながら距離を詰める。戦場である廃工場の障害物や壁を足場にハグレ悪魔へと肉薄、

 

「終わりだ」

 

 その剣を一閃する。何が起こったのか理解しないままに何れ堕ちるハグレ悪魔。

 

「お終いだな。まっ、相変らずハグレ退治は良い金になるな」

 

 倒した証となる部位を確保しつつ仮面を外して軽く呼吸する。血の匂いがする工場の空気は良い物ではないが、それでも仮面をつけていると息苦しい。

 一応、幼馴染の恋人が原因となって両親とケンカして家出に近い形での進学……当然ながら仕送りもない為に、生活費を稼ぐためにも、その剣の力に熟れる為にもこうしたハグレ退治は欠かせない。

 

「……にしても。ここの管理をしている悪魔……誰かは知らないけど、意外と抜けてるよな……」

 

 そのお蔭でこうして日々の稼ぎには困らないが、同時にそれ相応の犠牲も出てしまっている。それについては複雑な心境だ。

 

「良いか。帰って風呂入って寝よう」

 

 返り血を浴びる様な下手な戦い方はしていないが、それでも血の匂いの充満した工場の中の空気は最悪だ。

 

「……それに、早く詩乃に会いたい」

 

 自分にとっての光は彼女だと思う。その為に剣を取る事を選んだのだから……。

 だが、人を食らう化け物だったとしても、人の形から外れた異形だったとしても、何かの命を奪ったと言う事実は何時になっても慣れない。詩乃の声が聞きたい、彼女の顔が見たい……少しでもこの辛さが紛れる様に。

 

 彼は『五峰 四季』。この世界に於ける勇気と覚悟の剣の継承者であり……守護竜の神器を宿す者。

 

 

 

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「……またの様ね」

 

 四季が立ち去ってから数分後、彼と入れ違いに廃工場に入ってきた一団の姿が在った。その中の一人である、紅い髪の女、彼らグレモリー眷属の|王《キング》『リアス・グレモリー』は溜息を吐きながら呟く。

 

「ええ、その様ですね。一体誰がハグレ悪魔を倒しているのでしょうか?」

 

 彼女に応えるのは黒髪をポニーテールにした女性、グレモリー眷属の|女王《クイーン》『姫島 朱乃』。

 

「部長。堕天使や天使の仕業ではなさそうです」

 

 金髪の少年、グレモリー眷属の|騎士《ナイト》『木場 祐斗』は周囲の戦闘痕を調べながらそう呟く。彼もまた剣を扱う者であり……同時にある物に強い恨みを持っているからこそ、周囲の戦闘痕から使われた武器が何か分かる。

 

「恐らく聖剣……それもかなり高位の物が使われた可能性があります」

 

「……ハグレ悪魔祓いの仕業かもしれません」

 

 木場の言葉に続くのは白い髪の小柄な少女、グレモリー眷属の|戦車《ルーク》『搭城 小猫』だ。

 

「ええ、そうでしょうね。それに、ハグレ悪魔には賞金が着いている場合が多いから、それ目当ての者の仕業の線も有るかもしれないわね。どちらにしても、私の領地で好き勝手されているんだから、調べてみる必要が有るわね」

 

 少なくとも、ハグレ悪魔を討伐したのは天使や堕天使ではなく、聖剣の類を使ったであろう人間の仕業……周囲の戦闘痕からの分析から分かるのはその程度だ。

 

 リアスの婚約者であった『ライザー・フェニックス』との戦いのダメージで明日まで動けない為に此処に居ない|兵士《ポーン》である|滅神具《ロンギヌス》の一つに数えられる|神器《セイクリッド・ギア》『|赤龍帝の籠手《ブーステッド・ギア》』を宿した『兵藤 一誠』と、回復系の神器を宿した元シスターの|僧侶《ビショップ》『アーシア・アルジェント』と封印されているもう一人の|僧侶《ビショップ》の三人を含めたメンバーが彼女の眷属全員だ。

 

「……はぁ、評価が下がる一方ね」

 

 先日のライザーの一件でかなりリアスの評価は下がっている。彼女自身の才能や個々の眷属の実力と才能……当代の赤龍帝でありライザーに勝った一誠の存在もあり疑う者は居ないが、メンツを潰された彼女の婚約に関わっていた貴族や上層部からの評価は下がっていた。

 同時に此処最近の領地内に入り込んだハグレ悪魔を殆ど“|正体不明の何者か《アンノウン》”に倒されているのだ。

 

 まあ、貴族同士……それも高位になるほどその婚約は当人同士の問題だけでなく、両家や多くの貴族の思惑も関わっている。

 結果、それに関わった多くの貴族のメンツを潰してしまったのだから、ある意味それも婚約破棄の代償として受容れるしかない。

 

 リアスは溜息を吐き足元に魔法陣を出現させ、彼女達の姿はそれが光ると同時に消え去って言った。

 

 

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「寝坊した」

 

 その日、四季は項垂れていた。その理由は学校に遅刻しそうだから……と言う物ではない。寝坊してしまったせいで詩乃と一緒に登校出来なかった事に有る。まあ、四季の足なら走れば十分に間に合う時間だが、四季にとって遅刻など二の次……詩乃と一緒に登校できる事に朝の時間の意味は有る。

 

 流石に遅刻は拙いと思いつつ家を飛び出していく四季だった。

 

 受け継いだ光と闇の剣を守るべき相手に預けた光と影の剣士四季の朝はこうして始まった。

 

 

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「仮面の騎士、ね」

 

 リアスは手元に有る資料を読みながらそう呟く。

 

 “此処一年の間に活動を始めた賞金稼ぎ……分かっているのはパートナーが居る事と、聖剣と思われる白い剣と魔剣と思われる黒い剣を操る事。聖剣と魔剣の二つを操る姿から、何らかの方法で|魔剣創造《ソードバース》と|聖剣創造《ゾード・ブラックスミス》の二つの|神器《セイクリッド・ギア》を所有しているものと思われる。”

 

 等と数少ない四季の目撃情報から、彼に対する推測が書かれた資料だが、推測は大ハズレである。

 

「他の地域だとS級のハグレ悪魔の討伐にも何度も成功している、か。でも」

 

 仮面の騎士……四季の姿を撮影した数少ない数枚の写真に目を通す中、一枚だけリアスの目に留まった写真があった。全て写真の中の服装は違うが学校の帰り道での突発的な戦闘だった時の姿を不運にも悪魔サイドに撮影されていた。

 実家へ最近何者かが自分の領地内で何体もハグレ悪魔を討伐している事について、心当たりが無いとか言う連絡をした結果送って貰った資料だが、して良かったとリアスは考えていた。

 

「ふふ……これで少なくとも貴方がこの学園の生徒だと言う事は分かったわ」

 

 それが突発的な戦闘だと推測すれば、仮面の騎士の正体は駒王学園の生徒だと言う事が分かる。

 そう魅力的に微笑みながらリアスが取り出すのは騎士の駒。写真に映る仮面の騎士が木場と同じタイプの神器を宿しているなら、彼と合せて騎士の両翼が出来る。少なくとも、単独でS級のハグレ悪魔を討伐できる事から、彼の戦闘力の高さは既に証明されている。

 

 結果的に一誠の努力で婚約破棄にはなったものの非公式とは言え、初のレーディングゲームの結果は敗北に終ってしまった。レーディングゲームのタイトル制覇を夢見ている彼女にとってあまり良いスタートとは言えない。

 まだ彼女の元に未使用の駒は騎士と戦車の駒が残っている。彼女の実力不足として扱えない事になっているもう一人の僧侶は兎も角……格上相手に不利な状況で戦ったのだから、敗北と言う結果は当然だろう。一誠も右手を犠牲に一時的な禁手には至ったが、将来性は兎も角まだまだ戦力としては弱い。……そんな中で掴んだ即戦力となる仮面の騎士の情報は彼女にとって魅力的だ。

 

「逃がさないわよ。貴方は私の眷属にしてみせるわ」

 

 既に騎士の剣は|己が主君《ヴァンガード》に預けられているとも知らずに、リアスは写真の中の駒王学園の制服を着た仮面の騎士へとそう呟く。

 

 

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「何で剣道に?」

 

 体育の授業……剣道部の練習場を利用しての二クラス合同で行なわれている授業の男子の部である剣道。……序でに女子は体育館でバレーボールとバスケの選択らしい。急遽元々の予定からの変更らしいが、何故か嫌な予感がしている。

 

 竹刀を振りながらそんな疑問の声を呟く。日々剣術の修行は欠かした事のない四季だが、今は体に染み付ける様に何度も繰り返した技が出ない様に細心の注意を払っている。

 

 理由は別のクラスの生徒である木場の存在だ。妙に周囲の様子……と言うよりも他の生徒達の動きを注視している素振りが見える。

 

 先日のハグレ悪魔との戦闘の後から自分と同じ剣士であると言う彼の推測と、リアスの実家から届いた仮面の騎士についての資料からの推測を照らし合わせた結果の、仮面の騎士の正体を暴く為の手段だ。

 

(気付かれた? いや、同じ学校の生徒の可能性に気が付いて、取り合えず剣を振らせて見よう……って所か?)

 

 時折自分へと向く木場の視線に気付かない振りをしつつ、そう考える。別に正体が知られたところで、それで両親が人質になろうが両親との間に溝が有る現在では知った事では無い。問題は詩乃が危険に晒される事だ。

 ……彼女自身にも力はあるが、それでも彼女が危険に晒される事は極力避けたい。

 

(派手に動き過ぎたかな)

 

 そうは思っても賞金稼ぎの活動を緩める気などない。命懸けの商売だけに賞金稼ぎは利益が大きい。生活費以外にも色々と目的が有って幾ら稼いでも足りない気分だ。

 二組になって試合をする中、四季の視線は彼のクラスメイトの一誠と何かを話している木場の方へと向く。リアス・グレモリーと一緒に登校したり、木場にオカルト研へ呼び出されたりと彼から悪魔の気配がする様になってから付き合いが増えただけに、一誠とリアス等の関係は簡単に推理できる。

 

(グレモリー先輩か、会長さん辺りが自分の眷属の戦力の増強でオレ……正確にはオレが変装している仮面の姿に目をつけた……って所だろうな)

 

 まあ、彼女の眷属になる気など最初から無いが。飽く迄四季が剣を振るうのは詩乃の為だ。それ以外の誰かのために……しかも、タダ働きで剣を振る気は無い。

 そんな事を考えていると木場と一誠の視線が四季へと向けられる。

 

 

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(やっぱり、彼の動きは剣道とかのスポーツの物じゃない。実戦形式の剣を学んだ動きが時々だけど見える)

 

 適当な相手と試合を消化する中、彼の動きを観察していた木場がそんな感想を持つ。生徒会まで巻き込んで体育の授業の中に急遽剣道を追加した訳だが、一番最初に当たりを引いた上に、それに木場が気付けたのは幸運と言えるだろう。

 

 自分が直接参加する授業以外は使い魔を通じて観察させる予定だったが、その心配も無くなったと考えて良いとも思っている。

 

 巧妙に隠しているが四季の動きからは時折剣道と言うよりも、実戦を積んだ剣士の動きが見える。明らかに他の生徒とは一線を隔した動きだ。四季自身が無意識の内での行動からの推測だが、彼が今の所のもっとも仮面の剣士の条件に近い。

 

「(この事は部長に報告するとしても)少し、彼の事を調べた方が良いね」

 

 木場はそう結論付ける。……四季の姿は一番黒に近い。

 

 

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「部長!? あいつ適で良いですよね!? 取り合えずぶちのめして良いですよね!?」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいイッセー。……何が有ったの?」

 

 その日の夜、オカルト研の部室で一誠は血の涙でも流しそうな表情でリアスに向かって叫んでいた。当然ながら、理由の分からないリアスは何が有ったのかを……一誠と一緒に仮面の騎士の候補である四季の尾行をしていた木場に聞くが。

 

「そ、それは……」

 

 苦笑しながら木場はリアスの質問に答える。……一言で言えば、詩乃と一緒に下校とそのまま買い物も兼ねてのデートしていた四季だった。寧ろ、尾行している自分達に見せ付ける様に見えたが、あれは明らかに分かっていてやっていた。

 下校の途中で四季の視線を木場と一誠の方に向けた事から間違いなく、最初から尾行に気付いていたのだろう。……時折嘲笑うような笑みを彼ら……と言うよりも一誠へと向けていた事から最初から見付かっていたと言う事だろう。

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

 まあ、一誠経由で変態三人組の仲間である友人の二人にも伝わり、後日その二人も同じ様に絶叫する事になるが、それは特に物語に関係ないので省略する。

 

「それにしても、気付かれるなんて……益々怪しいわね」

 

 

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 時間は僅かに遡る。主に一誠と木場がデートの監視をする破目になった時まで遡る。

 

「ちょっ、行き成り何するのよ!?」

 

 突然抱きしめられて顔を真っ赤にして抗議する詩乃。そんな中で四季は周囲に聞こえないように小声で話しかける。

 

「しっ。誰かにつけられてる」

 

「え?」

 

 はっきり言って態々抱きしめる必要は無いのだが、こうして彼女の温もりを感じていると改めて戦うべき理由が再確認できる。大切な人の為に勇気も覚悟も彼女に預けている。

 

「誰が」

 

「二人。自分の行動を振り返ってから夢を語るべきな変態と、もてそうなのに女気が無い同性愛疑惑の有る色男」

 

 無言だが四季の言葉に納得したと言う様子の詩乃さん。まあ、四季の妙な説明、それで誰かと言うのが分かるあたり、色んな意味での有名人二人である。

 

「よく気付いたわね、そんなに正確に」

 

「いや、二人からの悪魔の気配と神器の気配でな」

 

「うん、私には無理」

 

「……変態の神器なら簡単に分かるさ。……本人の力量とはアンバランスな強過ぎる力だからな」

 

 一誠の気配を探るならば、一誠自身よりも彼の神器の気配を探った方が分かり易いと言う事だ。

 

「オレ達の事に気付かれたか、まだ疑われているだけか……」

 

「そう……じゃあ、暫く控える」

 

「いや、寧ろ逆効果になりそうだ。寧ろ、向こうがこっちを監視している間に動いた方が疑いは晴れそうだしな」

 

 寧ろ、炙り出そうと思ってハーレムハーレム言っている一誠を刺激するために詩乃を抱きしめたわけだが……。

 

(やっぱり、詩乃の体温を感じていると再確認できるよな……戦う理由を)

 

 

 

 

 

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「まったく、あいつ等もしつこいな」

 

 アパートの一室で布団の中から出ながら伸びをしつつ近くに有る気配の正体を感じ取る。……恐らく、|魔剣創造《ソードバース》の力から気配の主は木場だろう。昨日の夜から感じていた気配なので、一晩中監視していたのか交代したかどうかは知らないがご苦労な事だと思う。

 流石にこう長時間監視されていては良い気分はしない。……付け加えるならば、悪魔と言う勢力を良心的とも思って居ない為に、万が一にでも人質にされないように詩乃には泊まって貰った訳だが……。

 

「おーい、詩乃。朝だぞー」

 

 何時の間にか四季の布団に潜り込んでいた愛しの恋人を起こす事を優先した四季である。

 

(上手く連中の目を盗んで動くか……って、向こうがはぐれの事に気付いてくれないと意味は無いな)

 

 どうも、領地へのはぐれ悪魔や堕天使の進入が続いている上に、堕天使は何らかの儀式を行なおうとしていた様子も有った。

 堕天使の時は街に……主に詩乃に何の影響も無かったので賞金が出る訳でもないので、向こうから手を出された訳でもないから“三大勢力の問題”として堕天使の事は放置していたが、流石にこの街にいる魔王の妹二人は堕天使側から完全に舐められていると確信していた。

 

(確か……生徒会長とグレモリー先輩がそうだったけど……)

 

 前者は頭脳労働タイプ……前線に出る機会は後者が多いだろう、その為に。

 

(舐められてるのはグレモリー先輩か)

 

 舐められているのはリアス・グレモリーとその眷属達だろうと思う。少なくとも、気付かないほどの無脳だとか、戦った所で敵では無いと考えられているとか。

 

 心の中でそう思いつつ窓の外に居るであろう木場に対して同情の篭った視線を向け、朝食の準備に取り掛かった。ベーコンをフライパンで焼きながら卵を落としてベーコンエッグを焼いて味噌汁を温めなおす。

 

(サラダは……付け合せのキャベツだけで良いか)

 

 手際よく朝食を用意しながら周囲の気配を探る。……夜は悪魔にとってのホームグラウンドとは言っても、流石に徹夜は辛いだろうとも思うが、四季が朝食の支度をしている間に木場の気配は消えている。

 

(……流石に帰ったか。このまま無関係って判断して欲しいけど、そうは行かないだろうな)

 

 流石に最初から断る心算だが、一度くらいは話を聞いてやるべきだと思う。……情報を隠して置いてなん だが、下手をすればこっちが尻尾を出すまで毎日着け回されそうだし。

 

「と言う訳で今日オカルト研に行ってこようと思う」

 

「良いの?」

 

「流石にこっちのアリバイ工作に利用しようと思ったけど、なんか毎日付け回されそうだからな……」

 

 流石に直ぐにターゲットとなるハグレ悪魔が見つかる訳でもなく、二度も敵の進入を見逃している連中が直ぐに気付いてくれると言う保障も無く、相手任せな点が多い以上直ぐに実行は不可能と判断して、計画を修正した訳だ。

 

 何よりその間に相手が強硬手段に出る可能性も否定できないため、寧ろこっちから乗り込む必要が有るだろう。

 

(……不死鳥を倒した赤龍帝が居ると言う話しだけど……)

 

 ふと、それなりに流れていたグレモリー眷族に対する噂を思い出す。

 

 あの剣の所有者になった時に見た光景、煉獄の炎を纏う|龍の大帝《ドラゴニック・オーバーロード》と戦う先代の所有者と思われる|白い剣士《ブラスター・ブレード》。赤龍帝とは、その大帝に匹敵する相手なのか……

 

(龍の帝王か……警戒しておいた方が良いな)

 

 どうも、主である魔王の妹は敵対勢力に舐められている様子ではあるが、警戒しておくべきだろう。ぶっちゃけ、この時点で一誠が|不死鳥《ライザー・フェニックス》を倒した赤龍帝とは一切考えていない四季である。

 確かにイメージの元のドラゴニック・オーバーロードが比較対象なだけに、一誠では実力や普段の様子から比較する事さえ出来ないだろう。

 

「私も行った方が良いかな?」

 

「いや、寧ろ今日は別行動で……オカルト研の部室が有るって言う旧校舎を何時でも狙えるようにしておいて欲しい」

 

 そもそも、神器を使ったとしても詩乃の担当は飛び道具による後衛。室内と言う環境では前衛が四季だけでは多数を相手に守りきるのは難しい。

 

「そこは何時もなら“絶対に離れるなよ”って言う所じゃないの?」

 

「まあ、向こうに目を付けられているのはオレだけだと思うからな。最悪の場合、援護して貰った方が逃げ易い。それに……オレにとって最悪の可能性って言うのは……君を失う事だ」

 

 シリアスな場面だが、朝食を食べながらする会話としてはどうかと思う。

 内心で別に両親が人質にされても一切無視して戦うつもりだがと考えている。根本的に四季は両親、特に母親との仲は悪いのだ。流石に相手ごと斬る様なマネはしないが、詩乃の安全と天秤にかければあっさりと斬り捨てる程度には仲が悪い。

 

 

 

 

 

 

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 そんな会話を交わしつつ駒王学園に登校する二人だが、四季と詩乃の二人のクラスは別である。

 

 クラスメイトの一誠を除いた変態三人組の二人が一誠を射殺さんばかりの目で睨んでいるとと思えば、今度は18禁な本やDVDを取り出して鑑賞会だの、一誠は誘わないだとか叫んでいたり、それを女子が絶対零度の視線で見ていたりと、普段の光景が広がっていた。

 

 ふと、二人が睨んでいた一誠の方に視線を向けてみると、最近海外から転向してきたアーシアと話していた。

 

(……あの子もグレモリー先輩の所の眷属だよな。明らかに戦闘タイプじゃない。……そうなると誰なんだ……赤龍帝って)

 

 重ねて言おう。四季にとっての赤龍帝か見極めるための比較対象はドラゴニック・オーバーロードである。

 思いっきり警戒している赤龍帝……剣の記憶の中にある、光の超兵装の本来の主である光の剣士と戦った龍の帝国の大帝……数多の龍達から絶対的な信頼を置かれていた最強のドラゴン……ドラゴニック・オーバーロードを連想しているが……現実は目の前の変態三人組の一人である。普段の一誠の行動から考えると彼と赤龍帝を結び付けて連想する事はできないだろう。

 

 

「五峰くん、ちょっと着いて来てくれないかな? 部長、リアス・グレモリー先輩が君を呼んでるんだ」

 

 

 光と影の剣士と弾痕の少女……二人の物語はこの瞬間に赤き龍帝の物語と交わったのだった。

 

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主人公、光と影の剣を宿す少年。

五峰 四季

 本作の主人公。惑星クレイのパラレルワールドの一つから流れ着いたブラスター・ブレードとブラスター・ダークの持つ超兵装ブラスターシリーズと、二つのブラスターシリーズを探した結果ハイスクールD×Dの世界から帰る事の出来なくなったソウルセイバー・ドラゴンが封印された神器を宿す。

 幼馴染で恋人である『朝田 詩乃』の事が原因で両親とケンカ、家出に近い状況で高校に進学後、詩乃と同じアパートで一人暮らしを始めた。ハグレ悪魔退治の賞金で生計を立てている為に、結構稼いでいる。

 ブラスターシリーズの力に飲み込まれそうになった際に彼を戻したのは、詩乃への愛たったりする。曰く、『オレの勇気も覚悟も大切な詩乃を守る為に有る』

 同じく惑星クレイより迷い込んだ『次元ロボ カイザード』の相棒になる。カイザードが言うには、リンクジョーカーとの戦いの折にリバースしてしまったダイユーシャがこの世界に来ているらしい。

 

メインヒロイン、弾痕の少女。

朝田 詩乃

 本作のメインヒロイン。平行世界の自分の持つ力を宿す事の出来る神器を所有。戦闘時には平行世界の彼女……|SAO本編の彼女《シノン》の武器と能力を使うことが出来る。四季と共にハグレ悪魔退治をしている。

 なお、力を使う際には髪の色が変化する事(GGOの姿)や、人間から別の種族に変わる事(ALOの姿)に変わる。……四季曰く、どの姿の詩乃も最高、との事。

 

説明
此れは異世界惑星クレイの聖域の王国を守る守護竜と、王の傍に立ち王と国を守った光の英雄と栄光を与えられず影ながら王国を守った影の英雄の持つ光と影の二つの剣を宿した少年の物語。

「オレは彼女を守る! 力を貸してくれ、ライド・ザ・ヴァンガード!!!」

なお、カードゲームはしません。
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ハイスクールD×D ヴァンガード 他作品キャラ有り ヒロインはシノンさん その他SAOキャラ登場予定有り 2次創作 ファンタジー クロスオーバー 

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