艦隊 真・恋姫無双 67話目
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【 驚愕する華琳 の件 】

 

? 洛陽 都城内 大広場 にて ?

 

 

『ブロロロォォォォォォ───!』

 

 

私の頭上を、神経に障る騒音を靡かせながら………

 

疾風の如く飛んで行く!!

 

 

────あれほど、金切り声を上げていた何皇后。

 

私たちの苦渋の様子を、楽しそうに眺めていた執金吾。

 

春蘭や他の軍閥の将に、襲い掛かろうとしていた兵士どもが、口を大きく開けて間抜けな顔で、頭上を眺めた!

 

 

いえ、彼らばかりでは無いわ! 

 

……その様子を眺める私でさえ、他の者が見れば……かなり滑稽な顔をしている事だと思う。 そう、その様に思う自覚があるのだけど……目が、顔が、視線が飛び交う物から離せられない!

 

空を飛び回る物は……まさに……そのような絡繰りだった。

 

**

 

私は……正直……信じて居なかった。

 

陳留で報告を受けた『飛行物』を……

 

実際この目で……確認するまでは……!

 

**

 

前方に……水車より回転が早く、休まず回り続ける物を。

 

身体は、大空を凧のように浮かびせながら、風も必要としない。

 

しかし、その動きは……鳥のように自由に飛び交うほど。

 

 

羽に当たる場所には『赤色の大きな丸』『○に☆』等の模様。

 

推測するに、多分……牙門旗のように重要な意味を持つのだろう。 

 

それらは……それぞれ組んで、左右に別れては、また合流を繰り返す!

 

自分たちの上空を飛ぶ……未知なる飛行物体。

 

***

 

あれが、あれこそが───天の御遣いの力!

 

しかも……あの力が……ほんの片鱗にしか過ぎないなんて………!

 

 

もし、万が一……私たちの敵に回られば……

 

……私は……いえ、私たちは……勝てるの……かしら?

 

 

★☆☆

 

桂花「華琳さま! 華琳さまぁ!!」ユサユサ!

 

春蘭「華琳さまッ!!」

 

華琳「───け、桂花!? 春蘭まで!! 私は……何を?」

 

桂花「華琳さま、御安心下さい! アレは味方です! ……一刀が呼び寄せた『何か』だと思われます! ですので……どうかお心休まれますように!」

 

華琳「何故──そのように思うの?」

 

桂花「はい、空飛ぶ絡繰りは、誰一人攻撃しません! 左右に広がったり集結したりするだけ。 即ち、敵対する者を混乱させる為と思われます。 しかし、今見渡す限りで……混乱しない勢力はあるでしょうか!?」

 

華琳「………驚いたわね。 私たちと敵対する兵は元より、あの何皇后や執金吾まで唖然としているわ。 寧ろ……諸侯の将たちの方が動揺が少ない。 これじゃ……何皇后側の策謀へ水を刺す結果に……」

 

桂花「華琳さま! これは、天の御遣い側の策です! 一刀に……何か考えがあって行動したんだ思われます!」 

 

華琳「─────!」

 

春蘭「あの馬鹿者は……いつもそうだ! 大事な事を隠して、隠して隠しまくって……最後に消えてから……ようやく知らされる! くそぉおッ! 何が別人だ! 行動が全く同じではないか! 私たちを何だと思っている!!」

 

華琳「………分かったわ。 これが陽動なら、本命の攻撃がどこからか来る。春蘭、混乱した状態を装いながら……隙あらば敵兵より武器を奪取なさい。 桂花は何皇后側を注視、私は全体の様子を確認して各自指示する!」

 

「「 ───はっ! 」」

 

華琳「皆にも……気付かれないよう伝えなさい。 上手く流れに乗り、御遣いたちの策に合わせるの。 私たちを虚仮にしてくれた……何皇后と執金吾! 彼の者共へ───目に物見せてあげなさい!」

 

 

◆◇◆

 

【 続く動き の件 】

 

? 都城内 大広場 西涼陣営 にて ?

 

恋「ご主人さま……すごい……。 ねね、詠、月……しっかりする!」

 

ねね「ふしゃぁぁぁ──!! っと……れ、恋殿!?」

 

詠「あ、あぁぁ………恋! はっ! ゆ、月! しっかり!」

 

月「へぅううう〜!!」

 

恋「月……大丈夫。 恋が……此処にいる!」

 

月「あ、ありがとうございます。 え、詠ちゃん! あの……天を駆け回る乗り物って………!」

 

詠「ボ、ボクに聞いても分かんないわよ! ただ、こんな『物』を用意するのは、アイツしか居ないでしょ? 天の御遣いだか何だか知らないけど……ボクたちの常識を超える物は、大概アイツが関係! これは真理よ!」

 

恋「ご主人さま……心配………」

 

月「えっ? あっ……詠ちゃん! ご主人さまの姿が──!!」

 

詠「………ふ〜ん、読めたわ。 ねね……時期を見計らい恋と共に高台に向かいなさい! 多分、あの馬鹿……何か仕出かすわ! ここは、華雄と霞に任せていいから!」

 

ねね「────なるほど! 恋殿!!?」

 

恋「───行くっ!」ダッ!

 

ねね「れ、恋殿っ! お待ち下されぇ! まだぁ! まだ早いですぞぉぉぉぉ!!!」

 

…………

…………

 

月「………詠ちゃん」

 

ねね「ふ、ふん! べ、べべ別に心配じゃないわよ! ア、アイツが死んじゃうと月が悲しむと思って。 ほ、ほらっ! ここも、しっかりしなきゃ! ボクたちが傷ついたって………アイツが悲しんだら何もならない───」

 

月「詠ちゃん………ありがとぉ」

 

★☆☆

 

七乃「美羽さま! どうか後ろに御隠れ下さい! 私が前に出ます!」

 

美羽「………七乃!」

 

ーー

 

翠「いやぁ───すげぇよなぁ!? 蒲公英!! ご主人さまの力ってはよ? あ〜んな、見た目は鳥に近い格好の物が……あっちこっち飛び回ってるなんて、帰ったら西涼の皆に自慢してやろうぜぇ!?」

 

蒲公英「お、お姉様! あの変なのが、全部が全部……ご主人さまの仲間から分からないんだよ!? もし、敵の仲間だったらどうするのッッッ!?!?」

 

翠「大丈夫だって! アイツら飛び交うだけで何もしないじゃないか! もし敵だったら、悠長に飛び回らず、あたしたちへ真っ先に危害を加えるぞ!」

 

蒲公英「それは……そうなんだけどさぁ…………」

 

翠「あんまり考え過ぎると、攻撃する時機を失っちまう! ほらっ! あたしに付いて来い! 今が絶好の機会だぁ───ッ!!」

 

蒲公英「もうっ! お姉様! もう少し様子を周りの様子を見てよ! ほらっほらぁ! 曹操軍だって、まだ動かないんだよ?」

 

翠「あぁ!? そ、そうだな! だが……この機会を、みすみす逃せば!!」

 

蒲公英「だけどぉ……今、動いたらね? お姉様……春蘭より脳筋扱いされるの間違いないんだよ?」

 

翠「な、何ぃぃぃぃッ!? ア、アイツより脳筋……だと?」

 

蒲公英「うんッ! 脳筋の中の脳筋! 『失禁猪』呼ばわり確実だよ?」

 

翠「わ、分かった! 曹操軍の様子を見てからにするよ……!!」

 

蒲公英「……ホッ」

 

 

◆◇◆

 

【 第三次攻撃 開始! の件 】

 

? 都城内 大広場 艦娘陣営 にて ?

 

━━━━━!

━━━━!

 

ーーーーーギュュュュ──ッンンン!!

 

 

万雷響く───『砲撃音』

 

初めて見る事になるだろう───『未確認飛行物体』

 

 

全く聞いた事も見た事もない『次元の超える兵器』に、動揺する色を隠せない執金吾配下の兵! 

 

だが───この恐怖は、更に深まった!

 

ーーー

 

暁「暁の出番ね? 見てなさい!!」

 

響「さて、やりますか! Ураааааー!」

 

雷「逃げるなら今のうちだよ!?」

 

電「───なのです!」

 

雪風「艦隊をお守りします!!」

 

ーーー

 

『第四艦隊 艦旗 暁』を先頭に《水を掛けた手拭い》をそれぞれが持ち、東側より突っ込む!

 

時代劇を見られた方なら、ご存知だろう。 

 

かの『暴れん坊将○』や『名奉行』が、悪漢に対して行った戦闘術。

 

水を含ませた手拭いを、一方を掴み、片一方を前方に投げて急に引く! すると『慣性の法則』で手拭いの重みが急に戻れず、相手にダメージを加える──『打撃』!

 

ーーー

 

電「あ、当たって下さぁい!」バシィ!

 

兵「ぶべらぁ───!」ドコッ!

 

ーー

 

雷「そんな危ない物、没収するわよ!」シュルルル!

 

兵「はっ!? あぁ──ッ!」パッ!

 

ーー

 

雪風「両方に重しを付けてぇ、足元に照準を定めながら──えぇ〜いッ!!」

 

兵「あ、足が!? 絡ま──」ズデェーン

 

ーーー

 

スチュワート「え〜と、このTowelの真ん中に石を入れて………」

 

兵「うおぉおおおーッ!!」

 

スチュワート「振り回して───ぇ!!」グルッ!

 

────バッキン!

 

兵「け、剣の刃が折れた………」

 

スチュワート「そして、放───」

 

兵「い、命だけは……お助け下さい!!」

 

スチュワート「は……?」

 

ーーー

 

他にも、手拭いの両端に重しを縛り付け、相手に向かい投げる『投擲』

 

手拭いの真ん中に石を入れて振り回し、遠心力で勢いを付かせて放つ『射撃』

 

水を浸した手拭いを、剣に巻き付けて相手の武器を絡み取る『長柄』

 

濡れた手拭いを、低い屋根等に叩きつけると……摩擦の関係で滑り止めとなり、一時的ながら身体を浮かせて攻撃を避けれる『防御』

 

ーー

 

響「この手拭いを両手に巻き付ければ、攻撃力は二倍! そして、回転とジャンプを加えれば──今の私のパワーは十二倍! そうすれば───」

 

暁「馬鹿ぁ止めなさいッ! 相手が普通に死んじゃうでしょ!?!? 」

 

響「Господи!!(なんてこった!!)」

 

ーー

 

………拳に巻き付けて威力を上げる『格闘』

 

これらを利用して、第四艦隊は暴れまくった。

 

★☆☆

 

天龍「オラオラッ! 怖いかッ! 怖いかッ!!(半分ヤケ)」

 

ーー

 

兵「ぬわぁ───!?!?」

 

兵「「「「 ーーーーーーー!!? 」」」」

 

ーー

 

龍田「キャァァァ〜天龍ちゃん! 怖ぁ〜いぃぃぃww!!」

 

木曾「おぅ……よくあんな物があったな……」

 

龍田「こんなこともあろうかと〜ね〜?」ニコッ!

 

木曾「んぐぅ……了解だ!!」ゴクリッ!

 

西側より───頭をパーマ、黒のセーラー服、口を手拭いで覆った『昭和のスケバン姿』の天龍が、一bぐらいの棒を振り回しながら乱入! 

 

一応……第二艦隊艦旗なんだけど………

 

丈の長いスカートを振り乱し、赤色のスカーフがマブイ(眩しい)……妙に似合う格好に兵たちへ更なる動揺が走る! 

 

服のチョイスも準備も……全てが龍田の仕業。 

 

後に皆が皆、その理由を問い質したが……『こんなこともあろうかと〜』の台詞と素敵な笑顔で、煙に巻いて語らなかったという。

 

ーーー

 

龍田「さぁて〜天龍ちゃんばかりに活躍させちゃうと〜涙目で怒鳴られちゃう。 私たちも行きましょう? 操作方法は〜分かった?」

 

木曾「基本はな……。 だが、これは面白いぞ! この一本の棒から、数々の異なる戦闘術が秘められているとは……!」

 

龍田「でもねぇ〜『神武不殺』の武術よ〜?」

 

木曾「そう言っていたな。 つまり………」

 

龍田「『死なない程度までにしておきなさい』という意味ね〜」

 

木曾「いいぜ! なら……この俺に『殺してくれ』って頼んでくるぐらいの攻撃を与えてやろう!!」

 

龍田「うふふふ……でも、流血も禁止よぉ〜?」

 

木曾「………分かっているさ!」

 

ーーー

 

杖術……『突けば槍  払えば長刀  持てば太刀  杖はかくにも外れざりけり』

と謳われし万能な武術。 

 

持ち手を変えれば、間合いが変わる。 

 

長刀、太刀のように斬る事は出来ないけど、その用法の応用は再現できる。

 

人に傷を付ける刃を持たないため、捕縛には最適。 

 

そのため、艤装が長刀のようになっている龍田が選んだ物。 姉である天龍が刀の艤装を使うため、共通する物を探した結果でもある。

 

ーーー

 

この後、龍田と木曾も加わり……攻撃を開始するのだが、戦闘描写は省略。

 

余りにも惨くて哀れで……作者が同情した為である。

 

どういう意味合いかと言うと……この戦いで、龍田と木曾に対峙した者は、その後『宦官』を希望したと言えば……お分かりになるだろう。

 

ある意味……この兵たちにとっては『サイオー・ホース』と言えるのかも知れないが……

 

 

◆◇◆

 

【 逆転の逆転 の件 】

 

? 都城内 大広場 高台 にて  ?

 

…………

…………

………!

 

『───ど、どういうワケだ!?』

 

 

始め感じたのは《疑問》だった。

 

 

『──あの『黒い筒』が報告を受けた物だろうがッ!?』 

 

『──何故、攻撃ができる! いや──破裂したような場所はない! ま、まさか……アレは弾無しで……放てるのか……!!』

 

 

次に感じたのは──自分の思惑を外す《困惑》であり

 

 

『───例の空を飛び交う者も出て来た! 伏兵の隊は何をしている! このままでは、此方が危なくなるだろうがぁッ!?』

 

『───な、何だぁ! 窓際に誰も居ないだと!? どういう事だぁ!!?』

 

それと───《現実》

 

 

『──馬鹿なぁ! な、何故……俺の対応策が全部……裏目に出る! それに──あの者共は何だぁぁぁ──!?』

 

そして、暁や天龍たちの挟撃を受けて《驚愕》を示した。

 

ーーー

ーーー

 

一部始終の様子を見ていた楊奉は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。 

 

何皇后「………………………」プルプルプルプル

 

横を見れば……何皇后の顔も赤みが失せ、白い横顔を更に白く際立たせながら、右人差し指の背を口に当て、ワナワナと震えている。

 

傲慢不遜の塊のような彼女でも、楊奉の不利を理解している様子! このままでは……自分は失脚、楊奉も捕縛される運命になるのだと!

 

しかし、楊奉は───諦めていなかった。

 

楊奉「まだだ! まだ……あったではないか! とっておきのがな!!」

 

自分の思惑が全て外された……そう考えた時、一つだけ切り札が残っていた事を思い出す! 

 

楊奉の近くにあるで縛られて、処刑の準備をされた三人の哀れな恋姫たちを!!

 

眼下の諸侯を一瞥した後、一刀の顔を見据えた!! 

 

ーーー

 

楊奉「天の御遣い! これが──貴様の策か!?」

 

一刀「……俺の立案じゃない! 仲間の軍師が、必死に思案して講じてくれた策だ! 如何にアンタたちが皆に危害を与えるか、如何に防げばいいか……知謀の限りを尽くし、アンタたちの行動を防いでくれたのさ!」

 

楊奉「すると……その軍師は、余程『無能』とみえる……」

 

一刀「何だと───!?」 

 

楊奉「俺が用意した策を尽く(ことごとく)潰したのは褒めてやる! ──だが、そいつの策は最後の詰めが甘い! コイツらを人質に取る事を想定していなかったようだぜ!!」

 

楊奉が広場に向かい大声を上げ、指で指し示す!!

 

楊奉が指し示すは、人質となった桃香たち三人。 

 

しかも、御丁寧に一人ずつ処刑人を配置している。

 

楊奉「天の御遣いの軍勢に次ぐ! 二度とは言わん! お前たちが、これ以上……我らに刃向かうのであれば、この将たちを斬首の刑とする!」

 

ーー

 

雷「あぁ──ッ! 桃香さんたち!」

 

暁「───攻撃中止! 中止ぃいいいッ!!」

 

ーー

 

天龍「やっぱ、やりやがったな……!」

 

龍田「油断せずに小休止ね〜!」

 

ーー

 

金剛「Stop! 空砲、Stopデース!」

 

榛名「………!」

 

ーー

 

翔鶴「全艦載機! 順次着艦せよ! 繰り返す、順次着艦せよ!」

 

瑞鶴「提督さん………」

 

ーーー

 

優勢に進めていた連合艦隊が……攻撃を中止!

 

一時の休戦に安堵するのは、楊奉の配下の兵士たち! かなり危ないところだった。 傷付いた仲間を引き上げ……城内に送り届けて戻ってくる!

 

その様子を見届けた楊奉は、鷹揚に頷き一刀に語り掛ける。

 

ーーー

 

楊奉「やはりな……! 天の御遣い……お前らの軍は無敵だ! だがな、どんな軍にも弱点がある! 貴様の戦い方は、益州の戦跡を確認して分かった! それは──『命を尊重過ぎる』ことだ!」

 

一刀「──────!」

 

楊奉「お前は策を配下に任せて……此処に来たそうだな。 即ち人質ありの報告は、策の準備が整った後に判明した筈! 残念だろう? もっと早く人質の事が報告に上っていれば、こんな不様な状態にならなかったのに!!」

 

ーーー

 

桃香「皆……ごめんなさい! ごめんなさい!!」

 

愛紗「ご主人様……申し訳ありません! 私が、私が付いていながら──!」

 

鈴々「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

ーーー

 

桃香たち三人は……涙を流して悔しがった。 自分たちが居なければ、一刀の足を引っ張らずに済んだのに……と。

 

一刀は押し黙り、楊奉は高笑いしながら、この様子を眺めている!

 

一刀「……………………」

 

楊奉「ふっ、はーっははははっ! あれ程に優勢に展開していた状況が、こうも容易く劣勢になったんだ!! いや、笑えるよ! 最高に愉快だ!!」

 

一刀「………俺は、如何なる理由があれ、仲間を見捨てない! 最後まで守り抜くと誓っている! どうしても駄目なら……死なば諸共に……だ!」

 

ーー

 

桃香「ご主人さまぁー! うぅぅぅぅーッ!!」

 

愛紗「この関雲長……慙愧に堪えません!!」

 

鈴々「ごめんなのだ、お兄ちゃーん!」

 

ーー

 

楊奉「ほぅ……面白い事を……」

 

何皇后「楊奉! なんをしいやおるッ! 人質と御遣いの素っ首、遠慮やらなんやらせずとも、サッサと打ち落とすんほな! わらわに刃向かいし輩の末路と知らしめよ!!」

 

一刀「……………!!」

 

一刀の言葉に……桃香たちは滂沱の涙を流し後悔をし、楊奉は目を細める。

 

しかし、何皇后だけは憤激し、一刀と桃香たちの処刑を促す!

 

色々と煮え湯を飲まされたのだ。 それに、自分の野望を潰した男! 一刻も早く──この世から消したかったのであろう。

 

だが……この男……楊奉は違った。

 

楊奉「何皇后さまが……こう仰っている! だがな……俺の考えは少し違う! 天の御遣い──北郷よ! 俺に力を貸せ!! 何皇后さまの下に来い! ならば……この将も諸侯も配下も──全員助けてやる!!」

 

何皇后「───な、なんを申す!? 楊奉よ!!」

 

楊奉「恐れながら何皇后さま! この男──『北郷』は途轍もない男でございます! 我が配下の兵の報告に寄れば……数々の奇跡を起こすのは無論の事、諸侯からの慕われ方が、余りに異常すぎます!」

 

何皇后「どういう………!?」

 

楊奉「大陸は四方に幅広く、高い山地、広大な河川と起伏に富んだ地形! 無論……移動する場合もかなりの日数が必要になるかと。 しかも、北郷は僅か数ヶ月前に益州入りした天の御遣い! これで……お分かりでしょうか?」

 

何皇后「…………あっ!」

 

楊奉「はい……北郷を慕う将が大陸を南北を問わず、しかも官位に限らず多数に存在する事! その理由は、如何なる故か不明です。 ただ、この事実からすれば、北郷を引き入れば……大陸支配もより早く収束する事に!!」

 

何皇后「し、しかし……何進が………」

 

楊奉「………それも、北郷を餌にすれば………ククククッ!」

 

何進「─────!」

 

劉辯、劉協を守って傍にいた何進は、驚き楊奉に詰め寄る!!

 

何進「だ、だだ……誰がぁぁぁぁ!!」

 

楊奉「お前が、北郷に『だ、黙れぇ!!!』……と、このような事で丸め込む事も簡単ですよ?」

 

何進「─────」チャッ! 

 

楊奉「おっと、俺を殺そうとしても無駄だ! あの『女』がな、教えてくれたのだ。 鬼灯と言ったか? アイツがな………」

 

何進「───────!」

 

ーーー ーーーー

 

一刀の命令で動いた連合艦隊!

 

艦娘たちが己の持つ力を使い、何皇后側の勢力を迎撃するため動きだした! 

 

後漢朝時代の兵器より、遥かに卓越した兵器、奇抜な策を繰り出し、後一歩のところまで追い込んだ。

 

しかし、何皇后側には人質となっている桃香たちの存在があった!

 

何皇后側の楊奉は、人質を楯に取り艦娘たちの攻撃を封じ、逆転に次ぐ逆転に持ち込んだ! しかも……一刀の『力』を看破し、それを利用して大陸支配の礎にしようと目論見、一刀を味方に引き込む為に誘いを掛ける。

 

このまま……八百い……じゃなく、何皇后側に付くしかない状況に持ち込まれた一刀! 

 

このまま──何皇后側の思惑に、飲み込まれるかと思われたが───

 

 

◆◇◆

 

【 立ち上がる恋姫たち! の件 】

 

? 都城内 大広場 にて ?

 

桂花「華琳さま! 一刀が! 天の御遣いがッ!!!」

 

華琳「ちょうどいいわ! ───春蘭、準備は大丈夫?」

 

春蘭「───はっ! 皆にも武器が行き渡っています!」

 

華琳「じゃあ……私からの返礼を、執金吾と何皇后に受け取らせるわ!」

 

春蘭「では、華琳さま!」

 

華琳「春蘭! 場が整え次第──貴女は御遣いの下へ向かいなさい!」

 

春蘭「はいっ!!」

 

★☆☆

 

一刀の様子を見た曹孟徳は、大音声で全体に呼び掛ける!!

 

ーーー

 

華琳「ここに集まる将たちよ! よく聞くがいい! 我ら恩義ある漢王朝が、誤った道に踏み込まんと足を上げている! このまま黙秘していれば、漢王朝は滅び、光武帝の再来を待たねばならぬ時に来ているのだ!」

 

「「「 ──────!! 」」」

 

華琳「しかし、見よッ! あの天の御遣いを!!」 

 

「「「 ーーーーーー!! 」」」

 

華琳「余りの佞臣に因る無様な祀り事に怒りを買い、かのような奇跡を現した! それなのに、我ら漢王朝の臣下が……黙秘して良いものか!? 断じて否、否であろう!! 今こそ、立ち上がるべきだと諸侯に論ずる!!」

 

「「「 ………………!! 」」」

 

華琳「佞臣の行動に、恐れ多くも臣下の身でありながら、直言極諫(ちょくげんきょっかん)する事は大罪! だが、このまま看過して、漢王朝に長年仕えし我が祖先に顔向けできるものか!!」

 

「「「 ───────!!! 」」」

 

華琳「我は、我の忠臣と共に佞臣を斬り、陛下に祀り事を正すように促す! 貴公たちに志あれば賛同されよ! ただ、反逆の罪は逃れないと思え! 黙って看過するのも良し! されど……祖先はどう思われるか?」

 

「「「 ───────!!!! 」」」

 

ーーー

 

この華琳の演説で、諸侯は立ち上がる! 

 

 

『天の御遣いが、我々の為に戦った! このまま黙って成り行きを見るしかないのか? 我々は、いつの間に臆病者になってしまったのか?』

 

『この自分たちの行動が───祖先に顔向けできるのか?』

 

 

祖先崇拝は大陸の重要な行事。 毎年、漢王朝内でも重大な祀りとして行われている。 

 

そんな重要な儀式に祀られる祖先に、今の自分たちを見て貰えるか? 

 

そのまま看過して、漢を潰して喜ぶと思うのか? 

 

おかしいと思いませんか? 貴女?

 

ーーー

ーー

ーーー

 

そうまで言われて、奮起せぬ者は居ない!

 

天の御遣いの軍勢が、動けなければ……動かせる軍勢を動かす!

 

例え……少人数の犠牲を出しても多人数を救う!

 

それが、曹孟徳としての矜持だったのだ!

 

ーーー

 

蓮華「江東の虎の血筋は死なず! 漢王朝や一刀を救うため反撃を開始しましょう!」

 

冥琳「承知致しました! 先ほどの御遣い達の攻撃で、武器を多数所持する事ができます! これらを使い、我らも戦いを挑む所存!!」

 

ーー

 

季衣「流琉、これでさぁ……兄ちゃんが昔言ってた『アレェ〜』ができるんじゃないかな? ほら、この布を合わせて伸ばすと……」

 

流琉「ア、アレェ!? あ……う、うん……いい考えだね。 うん……」

 

ーー

 

月「わ、私も………」

 

詠「そうね! ボクも……この棒を持って戦う!」

 

ーー

 

蒲公英「お姉様!」

 

翠「皆まで言うな。 まったく、その通りだ! 名将『馬援』に連なる者が、黙って居られるわけないだろう! コイツらを守りつつ反撃してやらぁ!!」

 

ーー

 

霞「おぅおぅおぅ! むちゃ燃えてきたわぁ! 華雄! どちらが多く倒せるか競争せぇへぇんか!?」

 

華雄「………この戦いは守備が大事だ! 無闇やたら倒すものではない!」

 

霞「へいへい………」

 

★★☆

 

ねね「恋殿! 今ですぞぉ!」

 

恋「───コクッ!」

 

ーーー

 

思春「明命! お前だけでも行けぇ!!」

 

明命「───はいっ!」

 

ーーー

 

桂花「春蘭! ………一刀の事! お願いッ!!!」

 

春蘭「───任せておけっ!!」

 

ーーー

 

防戦一方だった恋姫たちが、今度は漢王朝のため、北郷一刀のため、動き出した! 自分たちの運命を変えるために────!!

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

<(_ _)> 結局……続いてしまいました。

 

登場人数が多い、会話文が多数と理由を言われると

 

言い訳もできません……

 

作者も、早く黄巾賊討伐戦……出したいのですが。

 

次回こそ、この回を終わりにしたいと思います。

 

 

 

 

説明
まだ、続きます。
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コメント
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 戦闘においては大丈夫でしょう。 そのうちパロ・スペシャルでも掛けるかもしれませんがw  龍田が、何故そのような衣装を用意したか、お分かりになられると思います。(いた)
響さん、ウォーズマンみたいに30分しか戦えないとかしないよなwあと天龍のスケバン姿って容易にイメージできるw(hokuhin)
武蔵「提督よ、『二度ある事は三度四度と続く』とも言うぞ? そこはどうなんだ?」 作者「しっかり終わらせますよっ!」  (いた)
天龍焔提督 コメントありがとうございます! はいっ! 有名なニンジャも申します。 『ショッギョ・ムッジョ』だと。(いた)
英語ですと『Neither seek nor shun the fight(強いて争いを求めてはいけない。 しかし、あえて争いを避けてもいけない)そうです。 (いた)
雪風提督 コメントありがとうございます! 『論語 為政』の中の一節ですね。 やっと調べて分かりました。(いた)
人として行うべき正義をやらぬ(雪風)
義を見て為さざるは勇なき也・・。孔子・・つまり孔融の祖先の言ったお言葉でもあるようです・・。(雪風)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 作者も、まさか延長になるとは思ってませんでした(汗 えぇ……次回こそは、この回の話を終了へ向け、前向きに検討(コラッ)……終わらせます。  (いた)
あああああ…まだか!?まだなのか!?とりあえず続きに期待。(mokiti1976-2010)
お褒めの言葉ありがとうございます! 確認するのが作者本人ですので、良いのか悪いのか判断が難しくて。 非常に嬉しいです!(いた)
スネーク提督 コメントありがとうございます! 御覧の通り、ここの桂花は一刀に対しデレで、華琳に対しては……普通です。 考えていたら……こうなったとしか……う〜ん (いた)
状況が細かくわかりやすくていいと思いますよ(`▼ω・)bグッ!(スネーク)
あぁんもう桂花ちゃんったら一刀のことお願いだなんて素直になっちゃってwデレ桂花カワユスwww(スネーク)
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