真・恋姫無双 覇王伝 第二十話
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〜炎蓮視点〜

「冥琳、どんな様子か解ったか?」

私達は合肥の戦いで大敗を喫した

孫家直属の兵の被害はそこまで大きくは無い

だが我等に味方した豪族の兵の被害は甚大だった

壊滅的とまではいかないが豪族が我等に不信感を抱くには充分な被害だった

 

「はい、やはり複数の豪族が北郷への接触を計った模様です」

私は冥琳の言葉に溜息をつく

「やはり、な」

豪族達は私達に恭順したと云ってもそれは上辺だけの物

正確には孫家を含めた豪族が連合を組んで、その盟主が私達孫家だと云うだけの話

孫家を盛り立てる為では無く、より強き者に自分達を守って貰いたい これが豪族の本音だ

だから初回の戦で大敗を喫すれば信を失い、離反する者が出るのは当然

帰還して直ぐに冥琳に探るように命じたが案の定だった

 

「しかし良く分かったわね

 北郷の所に出した間諜は戻ってこれなかったんじゃないの?」

雪蓮が疑問を呈すが

「北郷の所に出した間諜からの情報では無い

 その寝返りを試みた豪族の所に送った間諜からの情報だ

 寝返りを試みたかどうかはその豪族の所から得た情報が最も正確だ」

冥琳が表情を変えずに答える

「それって、ばれたら余計に反感を買うんじゃないの?」

「北郷の所では全く役目を果たせなかったが、思春が率いた隠密部隊だぞ

 豪族達にそこまでの間諜撃退能力がある者は居ないさ」

 

「それより、報告の続きが有ります

 北郷に寝返りを試みた豪族は居ましたが、小さな1、2の豪族を除いて全て寝返りを考え直しました」

「なんだと?」

この報告には驚いた 一体何故?

「北郷の強硬姿勢が招いた状況です

 北郷達は当主の交替を含む”完全恭順”以外は認めない方針を打ち出したのです

 個人的な財産は一定範囲は認めるがその他の土地の統治権を含む全てを没収する

 これでは恭順する豪族が殆ど居ないのは当然です」

冥琳の報告に、雪蓮が

「一体、あの子達は何を考えてるの?」

「そこまで悪い策ではないぞ

 完全恭順でなければ一度の失敗で今の我等の様な状態になってしまう

 だが完全恭順ならばそれは無い 短期間で勢力拡大は出来無いがその後の舵取りは楽になる」

 

「あとは蓮華の消息か・・・」

私の言葉に冥琳が

「北郷軍の将 楽進との一騎討ちで破れた模様です

 生死に関しては情報が入っておりません

 兵達も撤退するのに精一杯だった上、その後の間諜からの情報が入ってこない状態なので・・・」

この言葉で場が沈黙に包まれる が

「兎に角今は豪族達の離反を止めて結束を固める事

 北郷が攻めて来る可能性を考慮して軍備を再編する事

 この二つが最重要事項だ

 蓮華については生きているなら北郷の捕虜になっているのだろう

 それならいずれ向こうから何か言って来るだろう それを待つ

 下手に此方から使者を立てれば交換条件で足元を見られるのは必定だからな」

孫家の次女となればその価値は相当な物だ

各々の将に指示を与えて軍議は解散となった

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〜桃香視点〜

「以上が孫家と北郷、袁術連合軍の戦いの結果です」

朱里ちゃんの報告が終わる

「やっぱり、北郷さんの軍は強かったんだね」

「はい 特に北郷一刀さんの率いる騎馬隊(『鳳凰』)の強さが凄かったようです」

私の言葉を雛里ちゃんが補足する

同盟を組めなかったのが本当に悔やまれる

「同盟を結べていたら本当に心強い味方になってくれたんだけどな・・・ あっ!」

つい口を付いた言葉が言ってはならない言葉だと気付いて慌てて口をつぐむが遅かった

「申し訳ありません 桃香様」

最早どう表現すればいいのか分からない程沈んだ声で愛紗ちゃんが言葉を発する

北郷さんに同盟を申し込んだ席での話は報告を愛紗ちゃんから聞いた

愛紗ちゃんは自分が原因で同盟が成立出来無かったと自分を責めた

「それは北郷さんの一方的な見解だよ」

と慰めたが、愛紗ちゃんには何の救いにもならなかったようだ

北郷さんももう少し言い方が有ったんじゃなかな

それ以降、愛紗ちゃんは考え込むことが多くなった

なにか良い解決方法は無いかな

 

「それより私達の状況の方が問題です」

朱里ちゃんが話題を変えてくれた

「国力は徐々に付いているのですがまだまだ足りません

 今回の戦の状況によっては徐州を捨てる覚悟で寿春、若しくは建業に攻め入る事も考えていたのですが・・・」

「えっ!?

 朱里ちゃん、そんな事考えていたの?」

「はい、孫堅さん達が勝てば寿春を攻める進言をするつもりでした

 若しくは北郷さん達が勝ってももっと北郷さん達の被害が大きければ建業を攻める進言をするつもりでした

 その上で建業を孫堅さんに譲り渡してその対価として同盟、寿春を私達に そう考えていました

 この徐州は地理的に不利ですから寿春を新たな本拠地にする為に

 結果的には北郷さん達の圧勝でどちらを攻めるのも出来ませんが」

 

愛紗ちゃんの件、私達の好転しない状況、問題が山積みだよ

どうすれば良いのか このままじゃ私が掲げた理想が潰えちゃうよ

何とかしないと・・・・

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〜華琳視点〜

「以上が合肥での戦いの詳細です」

桂花の報告を聞いて

「10万の軍勢を退けるか・・・

 やはり侮れない奴だったな」

秋蘭が感想を述べる

「これは示威行動も兼ねているのでしょうね

 この戦いの結果を知った諸侯は袁術、北郷連合に攻め込むことを躊躇する筈です」

稟が意見を出す

その通りでしょうね 北郷達はその実力を天下に示した

それは同時に「自分達に手を出せば痛い目に会うぞ」と諸侯に証明したに等しい

隣接する領主は袁術なら組し易い、と思っていたでしょうからね

「どう云う事だ、秋蘭?」

分かって無い娘が居たわね

「取り敢えずは我等に関係無いと、そう思って間違いはないぞ姉者」

「そうなのか?秋蘭がそう言うならそうなんだろうな」

(ああ、こんな簡単に納得する姉者も可愛いな)

 

「ところでこの一刀が率いている騎馬隊(『鳳凰』)の詳細は分かってるの?

 個々の強さ意外に何か秘密は無いのかしら?」

「申し訳ありません

 調査中としか申し上げられません

 北郷の城に送った間諜は一人も戻っていないのです」

桂花が報告する 情報封鎖は万全の様ね

「そう まあ良いわ

 ところで柳琳 この騎馬隊と貴女の『虎豹騎』 どちらが上かしら?」

従妹の曹純 真名柳琳に声を掛ける

「あら、華琳様  それは挑発でしょうか?

 もし御不安ならば御安心下さい

 『虎豹騎』は北郷軍の騎馬隊に後れを取る事などございません」

ふふ、頼もしいわね

北郷一刀、私の覇道を飾る好敵手となりそうね

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〜一刀視点〜

「ふざけるな!」

凪が捕えた孫権に俺達に降らないか、一応訊いた時の返事がこれだった

まあ、孫家が滅んだ訳でも無いのに主家の次女が降る訳無いよな 他の豪族の手前もあるし

 

合肥には1万の兵を置いて疾風にその指揮を任せた

俺達が連れてきた兵は恋と華雄が率いて建業へ

その他の兵を鞘姉、静里、凪と共に率いて寿春に向かう

孫権も捕虜扱いで同行している

戦の結果は早馬で美羽や七乃に報告しているが正式に伝える必要がある

それに寿春から連れて来た兵も送り返さないといけないからだ

 

「おお、一刀兄様 鞘華姉様

 良く来てくれたのじゃ」

「お疲れ様でした〜」

寿春に到着すると美羽と七乃が出迎えてくれた

戦に関して一通りの説明を終えて

「捕えた孫権の処遇は俺達に任せて欲しいんだけど」

そう伝えると

「はい、構いませんよ

 一刀さんが孫権さんを〇〇や??を喜んで受け入れる様に調教するんですね」

しないから!

だから鞘姉も静里も凪もそんな黒い気配を出さないで

 

「一刀さん 孫権さんの処遇はそれでいいとして、これは私から個人的な感謝の印です」

と七乃が言って、俺に近寄って来る 

何だ?と思っていたら”チュ”っと俺の頬に口付けをした

「!?!

 何を?!」

と言って思わず赤面するが七乃は小悪魔の様な笑顔を浮かべるだけだった

そして次の瞬間俺の血の気が引いた

後の三人の黒い気配が更に強くなったから・・・

 

「ところで一刀兄様」

美羽が前に出て来た

「七乃とも話しておったのじゃが、いつ妾と婚儀を挙げるのじゃ?」

爆弾を落とした〜

後で3つの何かが切れる音がした

 

「一君、O☆HA☆NA☆SIがあるわ」

鞘姉、それだけで人を殺せるような殺気を治めて下さい

「一刀さん、私も是非訊きたいです」

静里、目が笑っていない笑顔は辞めて下さい 美人のこういう笑顔って何でこんなに怖いんだ?

「私も部下として訊く権利があると思います」

凪、その怒りと不満度100%の形相で言わないで

こうなっては、逃げる!

「待ちなさい〜!」

と言われて待つ奴は居ない

「肉体的には何もしませんよ〜

 精神的には保証しませんが〜」

尚更、逃げるわ!

「やましい事が無いならなぜ逃げるんですか!」

君たちが怖いからだよ!

 

「いや〜、見てて飽きないですね」

「一刀兄様も大変じゃな」

「止めを自分で刺しといて言う台詞じゃないですね」

「本音じゃからな」

「今ふと思ったんですが孫家が一刀さんを倒す方法って簡単じゃないですか?

 孫権さんが一刀さんに夜這いを掛ければ良いんです

 そうすれば鞘華さん達が嫉妬で一刀さんを亡き者にするんじゃないですか?」

否定できないが物騒な事を考えてないで助けてくれ〜!

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〜あとがき〜

 

今回は合肥の戦い後の諸侯の反応ですが孫家だけ時間がずれています

少なくとも20日後位です 後は数日ですが

 

『虎豹騎』は公式でも「英雄譚」に存在してます

『鳳凰』との戦いは有りそうですが先の話です

 

蓮華の処遇については次話で

七乃の行動は本気半分、引っ掻き回し半分です

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
合肥の戦いが終わって・・・
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コメント
mokiti1976-2010様>七乃ですから。孫家が一刀に勝つある意味最も確実な方法がハニートラップではないでしょうか?(ZSAN)
未奈兎様>一刀が本命を明言してないので必死なのかもしれません。(ZSAN)
みぞれ寒天様>嫉妬に狂ってますからね。一刀の問題点を敢えて言うならば本命を明言して無い所ですね。(ZSAN)
劉邦征棟様>間違いありません。(ZSAN)
Jack Tiam様>恋愛関係でまともなのって・・・いませんね。凪が比較的まともですかね(この話ではかなり嫉妬深くなってしまってますが)。蓮華に関しては次話にて。(ZSAN)
アストラナガンXD様>嫉妬に狂った人達に理屈は通じません。(ZSAN)
nao様>美羽も七乃に毒されてますからね。蓮華は次話にて。(ZSAN)
睦月様>否定できません。(ZSAN)
流星ハリマエ様>比喩でも脅しでも無く”マジで”ですからね。(ZSAN)
さすがは七乃さんという位、アピールの仕方の変化球具合が素晴らしい。一刀に勝つにはやはりハニートラップしか無いという事か!?(mokiti1976-2010)
なんていうか、女性たちが一方的に一刀さんを求め過ぎな気がしないでもないw(未奈兎)
一刀本人は何もしてないのに責められすぎ。女性陣はあまりにも理不尽が過ぎると一刀の心が離れると理解してるのかな?(みぞれ寒天)
七乃だな。 美羽に変な入れ知恵したの・・・・ε=(・д・`*)ハァ(劉邦柾棟)
恋姫に恋愛関係でマトモなのっている?少女組で。お姉さま方は色々と寛容だし……ティーンエイジャーズは恋愛でマトモなのが中々居ないような気がする(抑々、一刀がマトモじゃないが)。蓮華はどうしようもないでしょうね。下手に牢から出して暗殺でも図られたら、それこそ処刑も已む無し。なまじ王族としての誇りとか色々凝り固まってるから、今の段階では無理でしょうね。(Jack Tlam)
怒りたくなるのも判るけど、ちゃんと話し合いもせずに男(一刀)を責め立てるのは宜しくない。その様なことばかり繰り返していたら本当に、美羽に一刀を取られることになるけど良いのかな?(アストラナガンXD)
美羽が爆弾落としたなw蓮華の扱いをどうするんだろか^^;(nao)
一刀いつか鞘華達に殺されるな…(睦月)
[何時か刺されるぞ」を見事に作り出せるような状況だな(黄昏☆ハリマエ)
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