艦隊これくしょん とある島の戦闘目録(バトルインデックス)
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────目標確認。駆逐棲姫並びに他の深海棲艦五隻と特殊輸送艦“桜島”を視認────

 

「そうね………前進微速、駆逐棲姫に接触するわ」

 

────了解。駆逐棲姫前方10mまで前進微速────

 

 

戦艦水鬼との戦闘を終え、私は駆逐棲姫達へと歩みを進めていた。駆逐棲姫等は特殊輸送艦“桜島”を伴い航行している。

 

 

────目標地点に到達。後進微速。駆逐棲姫前方10mへ────

 

 

艤装が駆逐棲姫との正確な距離を計り取り、丁度10m手前で停船する。

 

 

「………助ケテ貰ッタ事ニハ感謝スル…………デモ、何故助ケタ………」

 

「それはこっちのセリフ。貴女達は何故貴女達の敵である妖精さんの乗る輸送艦を助けたの?貴女達にメリットは一切無かった筈だけど?」

 

 

ボロボロになりながらも他の艦を不安がらせないように、気丈に振る舞う駆逐棲姫の問いに返す様に問う。

 

 

「……別ニ。…………只ノ気紛レ……」

 

「そう。じゃあ、私も貴女達を助けたのはその気紛れによって助けられた輸送艦の恩を返す為……それだけよ」

 

 

ニコニコしながら駆逐棲姫に返事をする。駆逐棲姫は自身の言葉を使われ返事をされた事に苦虫を噛み潰した様な顔をする。

 

 

「さて…貴女達はこれからどうするの?行く宛はとかは決めてあるの?」

 

「サアネ……貴女二助ケテ貰ッタケド、私達ハ仲間(深海棲艦)ト敵(艦娘)カラ狙ワレル存在二ナッタ……行ク宛テナンテ、何処ニモ無イ………デモ」

 

 

側のイ級をそっと撫でる。その表情は慈愛で満ちていた。

 

 

「コノ子達ハ何トカシテ守ッテアゲタイ……コンナ私ニ着イテキテクレタコノ子達ダケハ」

 

 

その言葉と表情で私は確信した。優しい心を持つ彼女と彼女の考えに共感して彼女に着いてきた者達をを、こんな所で失う訳にはいかない。それが例え深海棲艦と人類の両方の敵に回そうとも、それだけはさせてはならない。

 

 

「…ねぇ、駆逐棲姫さん。私の所に来ない?」

 

「……何?」

 

「私は今、人類側の何処の鎮守府にも属していないわ。貴女達を人類側に売り渡したりしない。それに、貴女の様な考えを持つ人を失いたくはないわ。どうかしら?」

 

 

全ての本音を言った。今言ったことに嘘偽りは全く無い。このまま彼女等を見捨てれば追手の深海棲艦の餌食になるか、又は艦娘に見付かり撃沈か鎮守府に連行され実験材料として扱われるだろう。

 

それだけは絶対に避けなければならない。

 

 

「………ドウシテ」

 

「…ん?」

 

「ドウシテ……私達ニソコマデシテクレルノ?」

 

 

駆逐棲姫の口調が少しかわった。いや、厳密には元に戻ったと言った方が良いのかもしれない。彼女より力の弱い艦の前で強く有ろうとしていた、彼女は無理をしていた。

 

 

「……言ったでしょ?気紛れだって」

 

 

私は駆逐棲姫に近付き、その細い身体を優しく抱擁する。ピクリと一瞬身体を震わせるが落ち着かせる様に数回撫でる。

 

 

「……お疲れ様。今はゆっくり休みなさい」

 

 

そう言って数回髪を透いてあげると、駆逐棲姫は糸が切れたかの様に私の胸へもたれ掛かる。

 

口元に手を翳し、その甲に規則正しい寝息が掛かるのを確認して、私は駆逐棲姫を抱き上げた。

 

 

「ヲ…ヲヲ?」

 

「心配しなくてもいいわ。今は疲れて眠っているだけ……貴女達も来るわよね?」

 

「ヲ!」

 

 

ペコリと頭を下げるヲ級を見て微笑みながら促す。

 

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…美桜さんがかえってきたですー!」

 

 

観測所からの報告を応急修理妖精が応急修理女神に伝える。

 

 

「駆逐棲姫をおひめさまだっこしてます〜」

 

「美桜さんにつづく深海棲艦はまったくのてきいなしだそうですー」

 

「そう、判ったわ。負傷した駆逐棲姫並びに空母ヲ級を二番ドックと三番ドックに入渠させなさい。他の深海棲艦はその二隻が終わった後に準々に入渠を。輸送艦“桜島”は一番ドックへ、そこで物資の積み降ろしと整備をさせるわ。工厰妖精は持ち場に待機するよう伝えて」

 

 

了解、と敬礼して離れていく部下を見ながら彩雲妖精が現像してきた写真を見る。そこに写っているのは主砲を斉射する戦闘空母 草薙───美桜と墜ちていく深海棲艦の艦載機。

 

 

「……幾ら彩雲の観測情報が有ったからと言って、動いてる目標を寸分違わず狙い撃つ射撃精度。それと敵艦載機を墜とした三式弾でない新型の砲弾…」

 

 

主砲に装填出来る三式弾でない対空砲弾。そんな物は見たことも無いし聞いたこともない。それにあれだけの射撃精度もまずあり得ない。

 

 

「それに……あの艤装が反応した…………」

 

 

あの艤装の事を知っているのはこの島に初期に流されてきた最古参の数名だけ。あの機関部に搭載しているモノは──────────

 

 

「みゆ……貴女は一体何者なの?」

 

 

答える者の無い応急修理女神の問いは虚空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ〜疲れた〜。妖精さん艤装の点検よろしくね」

 

「みゆさん、おつかれさまです〜」

 

「はじめてうごきましたからな〜」

 

「そうてんけんはじめるですよ〜バリバリ〜」

 

「「「「「「お〜〜」」」」」」

 

 

艤装を外してドック内の作業用固定アームに固定させる。それと同時に工厰妖精さんが艤装の総点検を始める。

 

 

「みゆさん、お疲れ様」

 

「女神さん。結構疲れました〜」

 

「お疲れ様、それと本当にありがとう。貴女のお蔭で資材回収に行ってた娘達も無事に帰還出来たわ」

 

「それなら無理を聞いてくれたこっちが感謝ですよ。なんせ、幾ら敵意が無いとは言っても深海棲艦ですし、少なからず怨んでいる娘等も居る筈なのに」

 

 

そう言って駆逐棲姫を預けたドックを見ると、妖精さん達がせっせと修復材の入ったバケツをドック内へと投入している。

 

 

「私達だって聖人君子ではないわ。でも、何と言おうとこの世は弱肉強食。私達は敗者で彼女等が勝者だったんですもの」

 

「そう…なんだ……」

 

「別段貴女が気にする事じゃないわ。さっ、今日は疲れたでしょう?後の事は任せてもう休みなさい」

 

 

実の事を言うと女神さんと話している時から凄く眠たかった。あの艤装を纏って戦闘を行ったからかもしれない。これからも恐らくお世話になるかもしれないから、なるべく速く慣れたい。でも、今はとてもいい夢が見れそうだ。

 

 

「初めて艤装を使って海に出たんですもの。疲れて居る筈よ」

 

「ふあぁ……ふぁい………それじゃぁ…お休みなさい………」

 

「フフッ、お休みなさい……烈風ちゃん。みゆさんを部屋に連れてってあげて」

 

「は〜い。いきますよ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みゆさんっみゆさんっ!あとすこしですから!!ここでねないでくださ〜い!」

 

「むにゃぁ……ここでねゆぅ…………zzz」

 

「みゆさ〜〜〜〜〜ん!!!」

 

 

その後、手の空いている妖精達全員で部屋まで運びました。

説明
第四話〜新しい仲間が増えるそうですよ〜
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