兄貴と悪魔
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1章 続き

 

その光景は異常だった。

つややかな黒髪を腰まで伸ばした巫女装束の女性が所々血を流しながら倒れていた。そばには同じく黒髪を伸ばした娘と思われる少女が女性に泣きついていた。

 

その周りを編笠の法師姿の男たちが囲む

 

編笠A「呪われし子を庇うとは落ちたものだな。」

 

編笠B「おとなしくその童を差し出せばいいものを。」

 

編笠C「今からでも遅くない、その呪われた子を差し出せ。」

 

 

女性「絶対に・・・渡さない・・・・。この子は私とあの人の大切な娘だ。」

 

娘「お母様ーーーー」

 

編笠D「ならば仕方無い、娘もろとも死ぬがいい。」

 

編笠E「怨むならお前達すら守れない忌まわしき血をもつ父親を怨むことだ。」

 

女性・娘「「朱乃(母様)!!!!」」

 

今まさに男たちがとどめを刺そうとした時、

 

元親「待ちやがれーー!!!」

 

女性・娘「「!!!!」」

 

元親が叫び声とともに飛び出した。

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編笠A「なんだこの小娘は?」

 

元親「てめぇら、何してんだ!!!」

 

編笠B「お前には関係ないことだ。しかし、見られたからには消えてもらおう。」

 

女性「やめなさい!!・・・その娘は関係ない・・・」

 

編笠C「そうはいかん、騒がれると面倒だ。」

 

女性「早く・・逃げて!!・・」

 

元親「そうはいかねぇ・・・」「ここで逃げたら俺じゃがないんでね。」

 

編笠A「小娘ごときに何ができる」

 

元親「誰が小娘だ・・・、俺は長曽我部元親だぁーーっ!!!」

 

元親は叫ぶとともに編笠達に向かっていった。

 

しかし、いかに元親の身体能力が優れていようとも、所詮は子供の身体。しかも着物姿で武器もなし。一方、相手は錫棒を装備した堅気ではない男たちが複数。

 

最初は相手を翻弄していたが段々追いつめられていた。

 

元親「ハア・・ハア・・・、クソッ着物姿じゃ動きにk「バキッ!!!」ガァッ!!!!」

 

元親の頭に錫棒が振りかざされた。

 

「バキッ!」「ドガッ!」「ボゴッ!」

 

足を止めたがために錫棒による殴打が元親を襲う。

 

元親「ハア・・・・ハア・・・・・・ハア・・・・」

 

元親の今の姿はボロボロで頭や顔から出血し、痣も目立ち、着物もボロボロだった。

 

明らかに満身創痍であったがその目はまだあきらめていなかった。

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編笠A「なんだこの餓鬼は!?なぜ倒れん?」

 

女性「お願い・・・もう逃げて・・・あなたまで死んじゃう・・・・・」

 

娘「お願い・・・・逃げて・・・・・」

 

母娘は元親に逃げるように懇願するが元親は、

 

元親「絶対に・・嫌だねっ!!!」

 

断固として逃げなかった!!!

 

娘「どうして・・・・」

 

編笠A「なぜそこまで必死になる?お前とその母娘は何の関係もないだろう・・・見捨てた方が利口だったと思うがな。」

 

元親「よくわかんねえけど・・・体が勝手に動いちまうんだよ。あんたらを守んなきゃいけねえってな・・・・」

 

編笠B「バカなガキだそろそろ楽にしてやる。」

 

とどめをさそうと男たちが近づいてきた。

 

元親「(クソったれ!!俺は何も守れねえのか!!・・・)」

 

元親「こんなんじゃ、西海の鬼として情けねえ・・・何より・・・あいつらに合わす顔がねえ!!」

 

「「「「「ゾクッ!!!!!」」」」」

 

元親が叫ぶと編笠達は急に寒気を覚えた。

 

たった今まで満身創痍だと思ってた元親のまとう雰囲気が急に別人のように変化したのだ。

 

また、元親の手にはいつのまにか船の碇を模した子供はおろか常人では持ち上げることは不可能な巨大な槍が握られていた。

 

だがそれよりも何より・・・編笠達が恐怖したのは元親の背後を見れしまったからだ。彼らは確かに元親の背後に地獄に住む鬼神の顔を見てしまったのだ。

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元親「こいつは・・・」

 

突如現れたかつての自分の得物に戸惑いはしたが

 

元親「覚悟しやがれ!!!!!」

 

片手で槍を振り回しだしたかと思うと槍の穂先に紅蓮が灯った。

そして高く跳びあがったかと思うと槍を編笠達に向けて投げつけた。

 

槍が落下したと思うとその地点から特大の火柱が上がり編笠達を天高く吹き飛ばした。

 

編笠たちは突如自分たちを襲った不可思議な出来事を理解できないまま意識を失った。

 

元親「ざまあ・・みやがれ・・・・・」

 

女性・娘「「・・・・・・・・・・」」

 

母娘もまたこの光景を信じられなかった。一人の子供が自分たちを殺しに来た裏の人間達をまとめて吹き飛ばし自分達を助けたのだ。信じろというのが無理であろう。

 

娘「あ・・・ありがとう」女性「大丈夫なのっ!!!・・・・・」

 

元親「問題ねえよ・・・ちょっと堪えたがな・・・そっちも大丈夫か?」

 

女性「おかげで大丈夫よ・・・」

 

娘「本当にありがとう!!!!私と母様を助けてくれて!」

 

元親「そいつは良かった・・、っつもうこんな時間じゃねえか!!!」「そろそろ戻らねえとやばいな・・・・」

 

すでに日も傾き戻らないとやばいと察し帰ろうとした時、

 

女性「ちょっと待って・・・」

 

娘「何かお礼をさせて!!!」

 

元親「なもんいらねえよ・・・それより早く帰らねえとやべえから帰らしてもらえるぜ。」

 

娘「姫島朱乃!!!」 元親「っつ!!!!」

 

朱乃「あたしの名前・・・長曽我部元親ってあなたの名前しか知らないから・・・あたしも名乗る・・・・」「助けてくれてありがとう・・・また会えるように覚えておいてね。」

 

元親「ああ覚えとくぜ、じゃあな!!」

 

そう言うと元親は手を振りながら帰っていった。

 

朱乃「ありがとう元親ちゃん・・・・・また、会えるよね・・・・」

 

朱乃は去っていく元親を見送って行った。

 

その後、戻った元親が両親から遅くなったこととボロボロの状態についてこっぴどく叱られたのは別の話。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

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