霧の隠れ家へ
説明
「もう、早く来なよ。」
「待って、ちょっと、キミ、足早い。。。」
「…まだ四足に慣れないの? ほら着いたよ、ここが僕の家さ。」

深い霧の奥から大きく横に広がったシルエットが浮かび上がった。
錆び付いた鉄くずのように見える。

「何これ、家? スクラップ置き場?」
「ん、失礼だなあ。君が人間だった頃、家に部屋はいくつあった?」
「え? 部屋の数? さあ、いくつだったろう…」
「10個もないだろ? この家には68個も部屋があるんだぜ。」

不気味なほど巨大な鉄の塊、よく見るとこれは、観覧車だ!
観覧車が横倒しになっているんだ。

「いや、66個だったかな、まあいいや、
 反対側に窓の割れてない部屋があるんだ。そこが客間。案内するよ。」

霧のせいで全然気付かなかったけど、どうやらここは遊園地だ。
途中に見えたうねる龍の影、あれはジェットコースターだったのか。

あっけにとられている内に、彼はバラバラに折り重なった鉄柱の奥へするすると消える。
「あ! ちょっと待ってってば!」
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