ゼロの使い魔 AOS 第03話 ごめんね
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平賀才人は考えていた。

 

なぜ自分は誘拐もしくは拉致されているのか?

 

ここはいったいどこなのか?

 

誘拐した人物はなぜ自分を誘拐したのだろうか?

 

両親は自分が居なくなった事にいつ気づいてくれるだろうか?

 

それとも、もう警察が動いてくれているのだろうか?

 

とにかく考える事をいまは止めない、止めない、止めない、止めない、止めない、止めれない・・・。

 

考えるのを止めたら最悪の結末を想像してしまう、それが人間の本能だから。

 

最悪の結末を想像したら本気で心が壊れてしまう、それが人間の本能だから。

 

平賀才人は本能を理性で必死に上書きしていた。

 

 

 

二人の男と一緒の空間にもう何十時間もいるのだろうか?才人の脳も本能の上書きの限界に達しようとしていた。

 

実際は才人がトリステイン学院に召還されてから現在に至るまで三時間ほどしか経っていない。

 

しかし、頭の奥から湧き出る死のイメージがゆっくりと締め付けるように才人の時間さえも締め付ける。

 

「起きなさい」

 

(声が聞こえる)・・・この後、俺は・・・(誰の声なのか?)・・・もう、みんなに会えないのか?

 

「起きなさいったら、もう腕も動くはずよ」

 

(いったい誰の声?女?母さん)・・・そして、刺されるのか?たぶん痛い・・・(母さんだよな?こんなにやさしい人は母さんしか知らない。

 

「こんな所で寝ていると風邪引くわよ、ほら起きて」

 

「う・・・ん、ありがとう母さん・・・いま起きるから」

 

「・・・私、あんたみたいな大きな子供を生んだ覚えないわよ」

 

才人の脳はここで初めて正常に戻る、そして周りを見渡してみると先ほどの男二人が居なくなり目の前には少女が一人しゃがんで才人と目線を合わせている。

 

少女はとても美しかった、おそらく平賀才人が生きてきた中ではこれ以上美しい人はいないと思うほどに。

 

「あの・・・さ、ありがとう」

 

「えっ?」

 

「助けてくれたんだろう、こんな所で俺を」

 

「・・・お礼は必要ないわ、そんな事より早くここを出ましょう」

 

「ああ・・・そうだよな、俺ほっとしちゃってさ」

 

才人は極限の状況で助けられた安心感から気が抜けていた、そして少女の美しさにも・・・。

 

だがいつあの二人が戻ってくるか分からないし、もしかしたら他にも仲間がいるかもしれない。

 

ここは急いでこの場を離れなければならないのは少女の言うとおりだと才人は足を前に動かし少女の後をついて行く。

 

 

 

 

「ここが出口ね」

 

捕らわれていた廃墟と思っていた場所は廃墟ではなく西洋風の古城のような場所だった。

 

少女は特に迷うそぶりも見せずに才人を出口まで導いてくれた、途中で誰にも遭遇することもなく。

 

「舗装道路も無し、電柱も無しか」

 

「・・・?、なにを言ってるの」

 

「携帯も圏外みたいだし、ずいぶんド田舎に拉致されたもんだなってさ」

 

正直、現代の日本に舗装道路が敷いて無い場所なんてほとんど無いはずなんだけどね。

 

とは言ってもこうして存在している以上は認めなければなるまい、ド田舎の存在を。

 

「あんたの言葉の意味が良く分からないけど・・・この道を真っ直ぐ歩いて行くと大きな町にでるわ、数日はかかると思うけど」

 

「よし早く逃げようか、あいつらもそろそろ気がついてるかも知れないし・・・その、君も捕まっていたんだよね?」

 

「私はいけないわ、まだやることがあるから先に行ってなさい」

 

「えっ?やることってなんだよ、今は逃げないと命があぶないだろ!!」

 

「・・・っ、私がせっかく助けてあげた命を粗末にしないで!!」

 

「いやっ、だってそれはお前もお・・な・・・じ・?」

 

才人はそれ以上は声が出せなかった、少女の叫ぶ声が瞳が泣いているから。

 

才人は今まで生きてきた中で他人の泣き顔を見たことはそこまで多くはないが、目の前に居る少女が本気で自分のために泣いているのだ。

 

出会ってから三十分にも満たない少女、なぜなのか理由は分からないが才人は少女の本気の思いを理解して...

 

「先に行ってるよ・・・ありがとう、優しい人なんだな」

 

「・・・ルイズ、私の名前はルイズよ、あんたの名前は」

 

「才人、俺の名前は平賀才人だ!!電波が届くようになったらすぐに警察を呼ぶからそれまで絶対無茶はするなよルイズゥゥゥゥ!!」

 

 

 

 

才人は走った、一刻も早くルイズを助けに戻るために。

 

少年は走った、自分を助けてくれた少女のために!母の温もりをくれた少女のために!!平賀才人のために泣いてくれた優しいルイズのために!!!

 

 

ルイズは見送った、才人がこの学院からしっかり離れられるように。

 

少女は祈った、自分の願いを聞いてくれた少年に!自分を気遣ってくれた少年に!!ルイズに名前を教えてくれた才人のために!!!

 

 

才人は必死に走ったその右手が熱く白く燃えたぎっているのも気づかずに、ルイズの元にもう一度戻るために!!

 

そしてルイズは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、サイト・・・助けてあげられなくて・・・」

 

...懺悔した。

 

 

....第03話 ごめんね 終

 

next第04話 異世界

※4話以降は原作とさらに大きくかけ離れた内容にになります、原作をなぞったSSが好みの方には合わない可能性もありますがご了承ください。

 

 

執筆.小岩井トマト

 

説明
異世界に召還された平賀才人に限界が迫ります。
才人自身は異世界に飛んできた自覚はまだありませんが(笑)
そして才人のピンチに助けに来たのは...。
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ゼロの使い魔 ゼロ魔 ルイズ 歴史改変 平賀 才人 異世界 

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