ゼロの使い魔 AOS 第04話 異世界
[全1ページ]

 

平賀才人は戦った。

 

>暗い夜道の中を走って走って走りぬいた先に人影を見つけ歓喜した。

 

相手はどう見ても五人以上はいた、全員大人で間違いなくやつらの仲間である。

 

>これでルイズを助けに行ける、そう思い人影に大声で助けを求めた。

 

全員動きが信じられないほど速い、五メートル以上も飛び跳ねたりしてどう考えても人間の限界を超えた動きをしている。

 

>人影に近づくにつれその風貌が見えてくる、そして・・・一人じゃないようだ。

 

こいつら火炎放射器でも持っているのか、そこらじゅうから炎の塊が飛んできやがる。

 

>大人が四人いるしかも全員男だ、あとすこしだよ!待っていろルイズ。

 

これは分身の術なのか?同じ人間が何人も襲ってくる、最近の忍者はド派手なマントを着けるんだな・・・。

 

>あと少しで・・・あと少しで・・・あと少しで・・・、そしてド派手なマントを着けた男が...

 

全員が才人のそばから急に離れる、今がチャンスとばかりに才人は正面突破を図るが忍者が...

 

 

「ライトニング!!!」

 

 

才人の頭上に激しい閃光を走らせた。

 

「今度は命中しましたな」

 

「あなたのライトニングは命中率が悪すぎる、電撃にこだわらなくても良いのでは?」

 

「ふん、平民を仕留め損なっては魔法の名が泣く!貴族の名が泣くわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「それでは平民は無かったことにするという事でよろしいのですな、オスマン学院長?」

 

「よろしいも何もそうした方がええのはお主等も分かっていただろうに、ジジイに悪役を押し付けおって」

 

「では私が直接無かったことにしてきますので、しばしお待ちください」

 

そういって立ち上がったのは「疾風」のギトーと呼ばれる男性教師である。

 

教員室はギトーの一言でようやく落ち着きを取り戻した、緊張が取れたのかあくびをする者や談笑をする者で溢れている。

 

・・・ただ一人を除いては。

 

ルイズは理解していた、目の前で行われていた会話がどういった内容なのかを全部理解していた。

 

自分の使い魔の運命もすべて理解している中でルイズは・・・動けなかったし何も言わなかった。

 

(しかたないわよね・・・これも運命だもの、あの平民には少しは可哀想だと思うけど)

 

(それに人間の使い魔って何よ?さすがにおかしいわ、先生方もそう言ってたんだし)

 

「おい、ミス・ヴァリエール!」

 

(人間の使い魔なんて見せたらみんな絶対バカにするに決まってるし、お姉さまにだって、それに・・・)

 

「ミス・ヴァリエール!!!教師の話を無視するのかね!!君は!?」

 

「ヒィ!!も・申し訳ありません、ミスターギトー・・・」

 

「これだから風の系統以外は・・・まあ、いい」

 

「それで私に何か?」

 

「うむ、あの平民を学院の外まで追い出してくれ、さすがに学院内では後始末がし辛いのでな」

 

「えっ、あのっ私がですかミスターギトー?」

 

「平民とは言え、アレは君の使い魔だろう」

 

「これだけ学院に迷惑をかけた訳だよ、後は言わなくても分かるだろうルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール君?」

 

私は何も言えなかった、学院に迷惑をかけたのは何も今回だけの話じゃあ無いし。

 

それにこれだけの大事件、もしもお母様と姉さまの耳に入ったらどんなお仕置き受けるか・・・。

 

結局、私は自分の使い魔を外に追い出すことにした、その後・・・どうなるかを知っていながら。

 

 

 

 

見張りの守衛二人に事情を説明して手錠をはずしてもらい私は自分の使い魔と二人っきりになった。

 

まだ一言も話していない、当然お互いの名前も知らないマスターと使い魔・・・。

 

人間の使い魔なんておかしいとさっきは思っていたけどこうして近くにいるとなんとなくだけど分かってしまう。

 

私の使い魔がいま眠りの中で苦しんでいる事が・・・、おそらく家族だろうか逢いたくて泣いている事が。

 

でもあなたは助からない、家族と遠く離れた地で死んでしまう事を私は・・・マスターである私は知っている。

 

「・・・・・」

 

もう時間が無い、これ以上待たせるとミスターギトーがどういう行動に出るか分からない。

 

「起きなさい」

 

せめて最後はあの優しかった姉さまのように。

 

「起きなさいったら、もう腕も動くはずよ」

 

厳しくも愛情を見せてくれたあの日のお母さまの様に。

 

「こんな所で寝ていると風邪引くわよ、ほら起きて」

 

いつもあなたに愛情を注いでくれたあなたのお母さまのように。

 

「う・・・ん、ありがとう母さん・・・いま起きるから」

 

あなたを愛してあげるんだからね、特別よ!!

 

「・・・私、あんたみたいな大きな子供を生んだ覚えないわよ」

 

勘違いしないでよね、あくまで今だけなんだからね!(あと、家族愛よ!!家族愛!!)

 

 

 

 

 

 

 

「先に行ってるよ・・・ありがとう、優しい人なんだな」

 

当たり前でしょ、いまの私はあんたのお母様なのよ!子供には優しくするんだからね!!

 

別に私はあんたが死のうが生きようが知らないわ、もう何も知りたくも無いわ。

 

「・・・ルイズ、私の名前はルイズよ、あんたの名前は」

 

えっ?何、なんで私は名前を名乗っているの?

 

「才人、俺の名前は平賀才人だ!!電波が届くようになったらすぐに警察を呼ぶからそれまで絶対無茶はするなよルイズゥゥゥゥ!!」

 

ヒラガ・サイト、なんて発音しづらい名前なんだろう・・・でも何で?

 

 

 

ルイズは知っている、この世界の絶対的なルールを。

 

どうかサイトが無事に帰れますように。

 

ルイズは知っている、貴族の圧倒的な強さと魔法の圧倒的な強さを。

 

どうかサイトが無事でお母様と出会えますように。

 

ルイズは覚えている、「絶対に大切にする!!!だから・・・お願い」サイトとの約束を。

 

ヒラガサイト、貴方の名前、私の使い魔の名前。

 

ルイズ、私の名前、サイトのマスターの名前。

 

そして、約束を破った大うそつきの名前だ。

 

「ごめんね、サイト・・・助けてあげられなくて・・・」

 

 

 

....第04話 異世界 終

 

next第05話 ガンダールヴ

 

執筆.小岩井トマト

 

説明
ルイズを助けるために走る才人の前に学院からの刺客が放たれる。
少女は少年に何を想う、少年に何を祈るのか?

総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1301 1265 2
タグ
ゼロの使い魔 ゼロ魔 ルイズ 平賀 才人 歴史改変 

koiwaitomatoさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com