仮面ライダー剣×ゴッドイーター ?掴み取る運命? 第10話
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タツミ

「なんだよ、ありゃ…」

 

 

 

 

フェンリル極東支部 第2部隊 通称『防衛班』。第2部隊隊長であり防衛班班長『大森 タツミ』は驚愕の顔を見せた。

 

『贖罪の街』と呼ばれる戦闘エリアの中央に建つ、教会らしき建物に十数体のアラガミが群がっていた。

 

どれもヴァジュラと同型のアラガミだが、今まで見たことのない、白いヴァジュラだった。

 

ヴァジュラと言うには顔面の造りがあまりにも人間に近く、また周囲が凍りついていることから能力も全く異なる種類と思われる。

 

しかし、そんなことを考察している暇はなかった。

 

 

 

 

 

タツミ

「第1部隊の援護、及び退路の確保を行う!カレル、シュン、ブレンダンは俺の後に続け!突貫して退路を切り開く!ジーナとカノンは退路に近づくアラガミを狙撃しろ!」

 

 

 

 

タツミの声が飛ぶ。防衛班の面々はバックルとラウズカードを手にすると、勢いよく駆け出した。

 

 

 

 

 

 

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どうしてこうなったのか。今も整理がつかない。

 

今の十真には、全力で剣を振るい、その光景を曇らすことしかできなかった。

 

しかし、その光景は鮮明に、何度も、十真の前に現れては彼を苦しめる。

 

 

 

 

十真

「うあぁぁぁぁあっ!」

 

 

 

 

ブレイドが叫ぶ。空気を震わせて叫ぶ。

 

それでも、過去が変わることはない。

 

 

 

 

 

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コウタ

「この前のシユウ戦、アリサちゃん凄かったらしいね」

 

十真

「あぁ。あの任務は、ほとんど彼女のおかげかな」

 

 

 

 

先日のシユウ討伐任務。アリサはその優秀さをリンドウ、十真に見せつけた。

 

軽快な体捌きから繰り出す銃撃。相手との間合いの保ち方。急所を狙う的確な攻撃。

 

とても初任務とは思えない、素晴らしい成績を残した。

 

 

 

 

サクヤ

「アナグラに帰るまでが任務よ。気を抜かないの」

 

 

 

 

はしゃぐ子供を落ち着かせるように優しくサクヤが言った。

 

今、十真達がいるのは贖罪の街。十真達は討伐対象を無事撃破し、帰投準備をしていた。メンバーは、リンドウとアリサを除く第1部隊メンバー4人だ。

 

 

 

 

コウタ

「なんかその言い方、リンドウさんに似てますね」

 

サクヤ

「そうかしら。まぁ、長い付き合いだから」

 

 

 

 

気を抜くな、と言いつつも、やはり戦闘中の張り詰めた空気から解放されたいのはサクヤも同じようだった。

 

そんな空気の中、ソーマが一点を見つめて眉をひそめた。

 

不思議に思った十真はその先を見ると、驚くべきものを見た。

 

 

 

 

アリサ

「あなたたちは…」

 

コウタ

「リンドウさんに、アリサちゃん??」

 

 

 

 

皆、驚きの表情を隠せなかった。

 

本来、通常の作戦行動では同じエリア内に複数のチームが遭遇することはない。

 

同一の討伐対象を相手にする場合は問題ないが、それぞれが異なる対象を相手にしている場合、現場で混乱が起こるのは必至だからだ。

 

無論、今の彼らの状況は後者だ。

 

 

 

 

サクヤ

「どういうこと?そんな連絡は受けーー」

 

リンドウ

「話は後にしろ。今は任務が先だ」

 

 

 

 

リンドウは冷静な対応で、全員の混乱を防ごうと試みる。

 

十真達が任務完遂したことを確認すると、直ちに全員に指示を出した。

 

リンドウとアリサは、エリア中央に位置する教会らしき建物に入り、十真達は周囲の警戒にあたった。

 

 

 

 

十真

「ん…?」

 

 

 

 

しばらくすると、十真は肌寒い風を感じた。

 

十真だけではないようで、コウタも目を細めて辺りを警戒し始めた。

 

そして突如、周囲の建物の上に多数のアラガミが現れ、野太い咆哮を上げた。

 

 

 

 

十真

「変身!」

 

ソーマ

「変身…!」

 

 

 

 

[TURN UP]

 

[CHANGE]

 

 

 

 

4人は一斉に変身すると、戦闘態勢に入った。

 

確認できたアラガミは全て同一の形態をしていた。

 

白いヴァジュラのようで、しかしその顔は虎とはかけ離れており、まるで人間のような顔だった。

 

白いヴァジュラ達は咆哮を上げると、ヴァジュラが雷球を作り出すように銀色のマント型器官を逆立てた。

 

十真はブレイドのライダースーツ越しでもわかるほどの寒さを感じ、その能力の正体に勘付いた。

 

彼らが司る力は『氷』だ。

 

白いヴァジュラがエネルギーを収束させると、出来上がったのは鋭く尖った氷弾。

 

氷弾は回転しながら、真っ直ぐブレイド達に放たれた。

 

 

 

 

[THUNDER]

 

[TORNADO]

 

 

 

 

2人のラウザーから雷光と竜巻が発生し、氷弾を全て砕く。

 

氷の破片が宙を舞う中、白いヴァジュラ達は一斉に建物から飛び降り、ヴァジュラを上回る速度でブレイド達に襲いかかった。

 

 

 

 

サクヤ

「数が多すぎるわ。撤退よ!」

 

 

 

 

咄嗟に判断を下したサクヤは、屋内に向かったリンドウとアリサの元へと走った。

 

だが…そこでサクヤは絶望を見た。

 

 

 

 

 

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リンドウ

「…おでましか」

 

 

 

 

 

[SPADE KING]

 

 

 

 

 

リンドウは敵の姿を見る前に変身をし、長剣型のラウザーを構えた。

 

 

 

 

 

[TURN UP]

 

 

 

 

リンドウに続き、アリサもギャレンに変身。ギャレンラウザーを手に取った。

 

緊迫する空気の中、お目当ての敵は音も立てずに現れた。

 

真っ黒なヴァジュラだ。

 

 

 

 

[METAL]

 

 

 

 

瞬時に身の危険を感じたリンドウは『メタル』のカードをラウズし、全身の装甲を硬化させた。

 

その瞬間、黒いヴァジュラは恐るべき瞬発力でリンドウに飛びかかった。

 

しかしメタルの効果でその巨体の攻撃を弾くと、即座にラウザーでカウンターを浴びせる。

 

だが、今度はリンドウのラウザーが弾かれてしまった。この黒いヴァジュラは、相当な頑丈さを持っているようだ。

 

 

 

リンドウ

「アリサ!後方支援を頼む!」

 

 

 

 

[BEAT]

 

 

 

 

続けて『ビート』のカードをラウズし、顔面に拳を叩き込む。

 

渾身の力でぶち込んだパンチは、その顔にヒビを入れることに成功した。しかし、怯んだ様子は見受けられない。

 

そこでふと、リンドウは気付いた。

 

指示を与えたはずのアリサが、身動き一つ取っていない。

 

 

 

 

リンドウ

「アリサ!どうした!」

 

 

 

 

黒いヴァジュラを相手にしていて、しっかりとは確認ができない。しかし、横目でもその様子は完璧にわかる。

 

怯えていた。

 

初の実戦であれほど堂々としていたアリサが、尋常じゃないほどに怯えていた。

 

 

 

リンドウ

「アリサ!」

 

 

 

しかし、リンドウの叫びがアリサに届くことはなかった。

 

 

 

 

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怖い。

 

それはアラガミを前にして臆しているわけではない。

 

自分自身が怖いのだ。

 

わなわなと震える銃口は、アラガミではなく、『リンドウ』に向けられている。

 

違う。見えない心の内の自分に必死で呼びかけ、狙いを黒いアラガミに修正する。

 

しかし何かに引かれるように、ギャレンラウザーはリンドウを狙い続ける。

 

リンドウに、アラガミに。狙いがフラフラと定まらない。頭の中も、思考がハッキリとしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アラガミを見つけたら、こう唱えて引き金を引くんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、頭の中で響いた男の声。

 

 

 

 

 

 

 

 

『アジン、ドゥバ…トゥリー!』

 

 

 

 

 

 

 

アリサ

「アジン…」

 

 

 

 

 

 

未だ照準の定まらぬギャレンラウザーを両手で握る。

 

 

 

 

 

 

アリサ

「ドゥバ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうだ!そう唱えるだけで、君は強くなれる!』

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサ

「トゥリー…!」

 

 

 

 

 

 

男の声に従うように、合言葉を唱え終わる。

 

ギャレンラウザーのトリガーに指がかかった瞬間、別の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『混乱しちまった時はな、空を見るんだ』

 

 

 

 

 

 

2人の男が、別々の方向へとアリサを導く。

 

もうどうすればいいのか、目の前で何が起こっているのか、何もわからなくなった。

 

締め付けるように、掻き回すように、アリサの頭の中を何かが襲う。

 

 

 

 

 

 

アリサ

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあっ??」

 

 

 

 

 

 

…聞こえたその声に従うことしかできない。

 

アリサは悲鳴と共に天井を見上げ、ギャレンラウザーのトリガーを引いた。

 

高火力の弾丸が天井に直撃し、ガラガラと音を立てて崩れ落ちる。

 

その結果は…屋内外を繋ぐ唯一の通路を塞ぐこととなった。

 

 

 

 

 

 

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サクヤ

「これは…一体何があったの??」

 

 

 

 

屋内外を完全に隔離した瓦礫の壁。

 

サクヤはアリサに問いただすも、アリサは心ここに在らずといった様子で何かを呟いている。

 

 

 

 

サクヤ

「っ…!こんなもの!」

 

 

 

 

 

サクヤは銃型ラウザーで壁を撃つが、すぐには道を開くことはできそうもない。

 

 

 

 

 

十真

「ぐあっ!」

 

コウタ

「うわぁっ!」

 

 

 

 

白いヴァジュラの攻撃に飛ばされ、ブレイドとコウタが通路に飛び込んできた。外からの攻撃は、さらに激化していた。

 

 

 

 

 

ソーマ

「クソッタレ…!」

 

 

 

 

通路に侵入しようとアラガミを黒い戦士が食い止める。しかし、時間がないことはハッキリと見てとれる。

 

 

 

 

リンドウ

『十真!アリサを連れて、とっととアナグラに戻れ!サクヤ!全員を統率!ソーマ!退路を開け!』

 

 

 

 

 

リンドウの指示が飛ぶ。壁越しでも、その声はハッキリと聞こえた。

 

 

 

 

サクヤ

「そんなこと、できるわけないじゃない!すぐに助けるから!」

 

リンドウ

『これは命令だ!いいか!全員生きて帰れ!』

 

コウタ

「サクヤさん行こう!このままじゃ全員共倒れだよ!」

 

 

 

 

コウタが叫んでも、サクヤはその場を離れようとしない。ラウザーを握ったまま固まっている。

 

 

 

 

リンドウ

『俺も後から戻る!配給ビール、とっといてくれよ!』

 

 

 

 

リンドウがいつもの調子で、サクヤに冗談を飛ばす。

 

十真とコウタは、その真意を直感的に感じた。

 

 

 

 

十真

「コウタ!サクヤさんを!」

 

 

 

 

コウタは頷くとサクヤの腕を掴み、無理矢理連れて帰ろうとした。

 

十真は全く動かないギャレンを背負う。

 

 

 

 

タツミ

『第一部隊!聞こえるか!』

 

 

 

 

通信機から、他の部隊員の声が響いた。

 

 

 

 

タツミ

『退路は確保したが、持って3分!急がねぇと、お互い全滅だ!』

 

十真

「了解です!すぐに撤退します!」

 

 

 

サクヤは錯乱状態に陥っている。自分が指揮をとるしかない。

 

 

 

 

サクヤ

「いやよ…リンドウ!」

 

 

 

 

2分後。第一部隊と防衛班は、雨宮リンドウを残し、戦闘エリアを離脱した。

 

 

 

 

 

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作者&十真より…

 

 

 

 

作者

「急展開過ぎるだろ」

 

十真

「お前が作ったんだろ」

 

作者

「これからは原作の2倍くらいのペースで進めていきますので」

 

十真

「サブキャラの出番あるのか?」

 

作者

「まぁ、なんとかなるでしょ。じゃあ今回はこの辺で、さようなら…」

 

 

 

 

説明
急展開です。
遂にリンドウが…
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