真・恋姫無双 覇王伝 第二十七話
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〜鞘華視点〜

袁紹軍侵攻の報せを受けて私達は巴ちゃんを残して会議室へ移動する

「この袁紹さんの侵攻は予想外でした

 いえ、あり得ない事なんです」

静里が会議の口火を切って発言した

「私達を攻めるのに15万と云うのは妥当な数です

 我が軍はこの建業に5万の兵が居るのですから

 籠城戦の場合、攻め手は3倍以上の兵数が必要とされていますので

 しかし、徐州を落としたばかりのこの時点での侵攻はあり得ません

 袁紹さんの領土河北四州と徐州を残存兵力だけで守り切らなければならないのです

 小百合さん、もとい曹操さんの領土が隣接しているのに本拠地をそこまで手薄にするなんて・・・」

静里の説明は尤もだった

だが現実に袁紹軍は侵攻して来た一体、何故?

「明命、指揮しているのは誰なの

 やっぱり袁紹自ら?」

「いえ、高覧と云う武将です」

 

〜徐州・袁紹陣営〜

「ど〜いう事です

 何故、15万もの軍勢を出撃させるのです?」

麗羽は高覧の出撃に怒り狂っていた

徐州を手に入れた直後、高覧が兵の大半の15万を連れて出撃してしまった

その為徐州に居る麗羽の元には僅かな兵しか残っていなかった

「斗詩さん、何故許可したんです!?」

「え〜、私はしてませんよ!

 文ちゃんがしたんです」

「何言ってんだよ 許可したのは姫でしょ」

「私はしてませんわ」

麗羽、斗詩、猪々子の三人の意見が食い違う

「どういう事です?

 そもそも高覧さんってどういう経緯で仕官して来たのですか? 斗詩さん」

「え、文ちゃんの紹介でしょ?」

「何言ってんだよ、姫の推薦だろ?」

高覧について今回の出撃どころか、仕官の経緯さえ三人の意見が食い違っている

何故か

「兎に角、このままではまずいですわ」

「一旦、冀州に戻るしかありませんね」

「りょ〜かい」

 

〜袁紹軍・高覧〜

高覧指揮する袁紹軍は15万の大軍の為、進軍の速度は遅かった

そして夜営している高覧の天幕で

「左慈、いや高覧様と呼ぶべきですか?」

「干吉か?ふざけた事を言うな」

天幕に一人でいる高覧、否、左慈の前に干吉が現れた

「全く、せっかちですね

 私が呉郡で内乱を起こすのでそれに乗じて袁紹軍で攻める手筈だったではないですか

 その為に袁紹達に術を掛けて貴方を袁紹軍に潜り込ませたのに」

干吉が溜息をつきながら話すが

「そんなまどろっこしい事がしてられるか!」

左慈は忌々しげに吐き捨てる

「それで、お前の方は成功したのか?」

「いえ、半分失敗です

 孫策に放った矢を北郷一刀が受けてしまいました

 生死は微妙です」

干吉の報告を聞いた左慈は

「ふん、大口をたたいておいてその様か!

 まあ俺がこのまま攻め滅ぼせば結果は一緒だがな」

「そうですね

 ただ一つだけ 今回の事で袁紹達が”高覧”に不信感を抱きました

 だからこの戦が終わったら袁紹軍から去って下さい

 では私は計画通りの場所に行きます」

そう言って干吉は消えて行った

「ふん!奴を殺せばこの外史も終わる

 ここから去るも何も無いだろう」

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〜鞘華視点〜

「その高覧についての情報は?」

「いえ、それが殆ど分からないんです

 ただ最近仕官したらしい、としか」

明命達諜報部隊はこの大陸でも屈指の諜報能力を持っている

それでも分からないなんて・・・

そこへ巴ちゃんがやって来た

「一兄の治療が終わったよ」

その表情は暗い

「出来る事はやり尽くした 助かるかどうかは本人の体力と気力に掛けるしかない」

と医者の言葉をそのまま伝えてくれた

皆の雰囲気が重くなる

「一君は必ず助かる!私はそう信じる!

 だから今は私達のやるべき事をやるしかないわ!」

私はそう檄を飛ばす それしか出来なかった

「そうですね

 袁紹軍を撤退させ、一刀さんが安心して静養できるようにしないと」

静里が同調してくれた

「先ずは袁紹軍の糧道を断ちます

 兵糧集積場の場所は諜報部隊のおかげで既に掴んでいます

 鞘華さん、『鳳凰』を率いて攻撃を仕掛けて下さい」

「了解」

『鳳凰』は一君が普段指揮しているが一君の命しか聞かない訳では無い

『鳳凰』の訓練時には私も参加している

だから私が指揮しても問題は無い

「城の守りですがそれについては孫策さん達も協力してください」

「ええ、何でも言って

 命を助けられて何もしない程、恥知らずじゃないわ」

孫策の言葉に孫権達も頷く

「それでは・・・」

静里が孫策達に説明をする

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『鳳凰』を率いて出撃した

その翌日、日が暮れ始めた時に兵糧集積場を発見した

(敵兵は約千か・・・)

『鳳凰』は500だが個々の技量が違う

夜更けを待って敵に突撃した

 

「敵襲ー!」

私達の突撃に慌てた様子が無い

予測されてた?でも千の兵で『鳳凰』を止められるつもり?!

敵の兵とぶつかるその直前いきなり目の前の地面から大量の兵が現れた

「何なの?」

その兵はあの”白装束”

それがいきなり現れた事で敵味方共に思考が追いつかない

そして白装束達 約5千が私達に襲い掛かって来る

迎撃しようとしたその時私の馬の足元から数人の白装束が現れ私に槍を向けて来る

それを槍で弾くが、その隙に敵は私の馬を突く

馬が倒れ私は宙に放り出される

身を翻して着地するが

「かかりましたね」

後から声がする この声はあの道士? 誰も居なかった筈なのに!?

後を取られ左腕は後ろ手に道士の脇に抱え込まれる 

道士の右腕が私の首を絞めて来るのを自分の右腕を挟み込み何とか防ぐ

だがこれで私の両腕の自由を奪われてしまった

左腕は抱え込まれ、右腕を抜けば喉を潰される 足は道士が体重をかけて来るので蹴りも出せない

「鞘華様!」

『鳳凰』の隊員が気付いて此方に向かおうとした時、白装束がまた間の地面から湧き出て来る

此奴等は下手なホラー映画に出て来るゾンビか!

 

動きが封じ込まれた私の前に一人の白装束が歩み寄って来た

そして、私の胸元に剣を突きつけてきた そのまま押し込まれたら間違いなく死ぬ

もうお終いだと思ったが剣を押し込んでこない

何故?と思った瞬間、その剣はそのまま下に動いて行く

私の服が剣に切り裂かれ、上半身の下着が露わになる 

「なっ、何なの!?」

「私の言った事をお忘れですか?

 貴女は只では殺さない 徹底的に辱め、心をへし折ってから嬲り殺しにすると言った筈です

 先ずその手始めとして此処で服を全て切り裂き、全裸で両軍の晒し者になって貰いましょう

 その後は眠らせて私達のアジトに連れて行き、そこで徹底的に辱めてあげますよ」

冗談じゃないわ!本当の下衆ね!しかし動きを封じられた私は体を隠す事も出来ない

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〜???〜

「袁紹軍の兵糧集積場を潰しに来てみれば、これはどういう事でしょう?

 まあ、役目を果たしましょう

 全軍、突撃ー!」

 

〜鞘華視点〜

目の前の白装束が今度はスカートに剣を向けて来る

(いや、やめて!)

その時、私達の前方から騎馬隊が突っ込んで来た

そして袁紹軍に襲い掛かる

「何事です!?」

道士の意識が其方に向き、私の首に回していた腕が緩む

その隙を突いて私は軽く頭をを前に動かし、その反動で後ろの道士の顔に頭突きを見舞う

「ふげっ!」

情けない声を上げた道士の腕から私は逃れ、抱え込まれていた腕も道士の脇から抜く

私は胸元を左手で服を掴んで隠しながら、右手で刀を抜いて構える

だが道士は

「此処までですか

 今回はこれで引き下がりますが、次こそは貴女を捕えて見せます!」

そう言って道士が消えると、白装束もふっと消えて行った

すると袁紹軍も我に返り、逃亡して行った

そして突撃して来た騎馬隊と私達『鳳凰』が向かい合う

 

「貴女がこの部隊の指揮官ですか?」

相手の騎馬隊の指揮官らしき女性が訊いて来た

「ええ、北郷軍 北郷鞘華よ」

そう答えると、驚いた様子で

「私は曹操軍 『虎豹騎』指揮官 曹純

 貴女が『天の御遣い』だったとわ 驚きましたわ」

そう言って私の全身をじっと見る そして胸元を見て”ふっ”笑う

莫迦にしてるの!私だって決して小さくないわよ!アンタ程大きくないのは認めるけど・・・

でも平均よりは大きいんだから!

怒りを抑えながら

「曹操軍が何で此処に?」

「袁紹軍が何故か呉郡に侵攻なんて行動を起こした

 そして袁紹軍の戦力を削る為には貴方達が勝った方が都合が良いんです

 だからこの兵糧集積場を襲撃したんです」

私の問いに答え、更に

「でも私達と交戦状態に入っているのに呉郡に侵攻なんて考えられません

 貴女は何かご存知ですか?」

「何も知らないわ

 私達も袁紹軍の行動には驚いているから」

私がそう答えると

「そうですか

 では私達はこれにて失礼します

 さっきも言った通り貴方達が勝った方が都合が良いので、頑張ってください」

そう言って、曹純は去って行った

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〜あとがき〜

 

干吉の策は雪蓮暗殺により呉郡で内乱を起こし、袁紹軍で一刀達を潰す でした

そのついでに鞘華を捕えて、恨みを晴らそうとしていました

一刀が倒れたので鞘華が『鳳凰』で兵糧集積場を奇襲すると読んで待ち受けていたのです

結果は恨みを晴らすのを優先して、失敗しました

ちなみに干吉の腕が再生している事についてはいずれ書きます

 

曹純『虎豹騎』との接触

『虎豹騎』は鳳凰』のライバルになりうる部隊です

曹純は曹操軍では数少ない巨乳ですよね

鞘華も平均より大きめ(凪と同じ位)なんですが、目立って巨乳では無いので・・・

この遺恨がどう飛び火するのかしないのか

 

攻城戦と一刀の容態については次話にて

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
袁紹軍侵攻の裏
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コメント
nao様>干吉が動いていると思わずに策謀に嵌ってしまいましたから。意外な援軍はある物です。(ZSAN)
mokiti1976-2010様>どう見ても器の小さな小悪党ですね。(ZSAN)
アストラナガンXD様>まあ、同類項ですから。(ZSAN)
睦月様>優先順位を間違えて墓穴を掘りましたね。(ZSAN)
鞘華危なかったな〜まさか曹操軍に助けられるとは思わなかった^^;(nao)
個人的な恨みを晴らす事を優先しようとする辺り、于吉の器の小ささを感じますね。(mokiti1976-2010)
左慈の事を言えない于吉の巻き。(アストラナガンXD)
干吉ざまぁー…恨み優先しようとするからw(睦月)
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真・恋姫無双 北郷一刀 北郷鞘華 干吉 

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