真・恋姫†無双 時空を超えた刺客 破滅の未来と絡繰人間
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思春達との戦闘は一刀にとってやり辛さの極みであった……

一刀も少し吹っ切れた状態で応対するも、絡繰人間に改造された思春達はそう簡単には倒されない

そして、思春達は斬魔に呼び出され

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来へと帰還して行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七節 〜動き出す歯車と天井裏の弓兵〜

 

 

 

『簡易式時空転送装置』を使用し、完全に消え失せた思春達

 

 

一刀「………………」

 

 

一刀は叫んだ為、呼吸のペースが早くなったままその場に立ち尽くしていた

 

 

明命「一刀様……………」

 

 

稟「一刀殿………」

 

 

雛里「ご主人様…………」

 

 

3人は心配そうに歩み寄る

 

 

一刀「…………………思春……朱里………風……」

 

 

一刀の瞳は悲しみに満ち溢れていた

 

 

それだけではない

 

 

一刀の右目からはその悲しみの結晶でもある涙が流れ落ちていた

 

 

稟「一刀殿…………」

 

 

一刀「………今までの………楽しかった日常も………

辛かった事を乗り越えた日常も………全部、忘れちまったのか…………

ちくしょう………俺がもっと強かったら………もっと………強かったら………!!!」

 

 

一刀は両目を強く閉じる

 

 

途端に大量の涙が滴り落ちる

 

 

明命「一刀様…………!!!」

 

 

雛里「っ!!!」

 

 

一刀「っ!!?」

 

 

明命や稟、雛里はあらゆる方向から抱きつく

 

 

稟「一刀殿………一人で抱え込んではいけません………」

 

 

明命「私達がいます…………まだ、希望を捨ててはなりません」

 

 

雛里「未来の朱里ちゃんや思春さん、風さんを救う手立ては必ずある筈です……………

諦めては……未来の私達が報われないではありませんか………」

 

 

皆、それぞれが思う言葉を一刀に掛け渡す

 

 

一刀「皆……………」

 

 

一刀は皆を見渡して驚く

 

 

稟「貴方だけ背負ってはいけません

その為の私達なのですから……貴方が私達に命令すれば、私達は笑顔で……二つ返事でその任務を行います

例え、未来の絡繰人間に改造されてしまった風達の破壊さえも…………」

 

 

稟の言葉を聞き、一刀は少し楽になったような気分となる

 

 

一刀「……………ありがとう、皆」

 

 

一刀は微笑み、稟達を少し引き離す

 

 

一刀「一度、俺達も帰還しよう……

事実を伝えなきゃいけない…………背いてはいけない現実を……」

 

 

明命「………はい」

 

 

全員は真剣な表情をして成都の城へと帰還し始めた

 

 

 

ゴォォォォォォォォォォッ!!!!!!

 

 

ゴォォォォォォォォォォッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だかつてない程の重苦しい空気を纏ったまま帰還するという初めての状況に誰一人、口を開くことなく『龍走』をした

 

 

行き同様、一刀と明命が2人を背負って飛び立ったのだった……………

 

 

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場所は変わり、未来の大陸

 

 

ここは『血光軍』の根城『龍天城』の会議室である『龍禅の間』

 

 

その部屋には『龍天五獄隊』の者達と副大将の斬魔、大将の龍天が控えていた

 

 

そこへ

 

 

 

ウィーン

 

 

 

絡繰人間20号[思春(未来)]「お待たせ致しました

絡繰人間20号・13号・22号、只今帰還致しました」

 

 

激戦より帰還した未来の思春達が入室し、その場に跪いて言った

 

 

斬魔「お待ちしておりましたよ、御三方…………情報収拾、ご苦労様です♪」

 

 

斬魔は立ち上がり微笑みながら奮闘への労いの言葉をかける

 

 

絡繰人間20号[思春(未来)]「勿体無いお言葉でございます…………」

 

 

思春は頭を上げずに答える

 

 

炎掌「流石は『絡繰武将』に『絡繰軍師』!!!仕事が早いぜ!!!」

 

 

雷昇「ケケケっ!!!違ぇねぇっ!!!」

 

 

炎掌や雷昇は歪んだ笑みを浮かべ、円形の机に乱暴に脚を乗せる

 

 

氷柱「伊達に『量産型』や『旧合体進化型』より強い訳じゃないわね〜」

 

 

氷柱は身を乗り出して言う

 

 

風刻「しかし、これで奴等の戦闘情報が把握出来ましたね、斬魔様」

 

 

闇霊「最早、奴等は我々の掌の上………という事ですな」

 

 

風刻や闇霊もニヤリと嗤う

 

 

斬魔「確かに風刻や闇霊の言う通りですが、相手は北郷一刀…………

我々の斜め上の芸当を見せつける輩ですから油断はできません」

 

 

斬魔はあくまで慎重に事を進める気のようだ

 

 

龍天「ご苦労だったな、20号・22号・13号…………」

 

 

龍天は斬魔同様に風達に労いの言葉をかける

 

 

絡繰人間22号[風(未来)]「滅相もありません〜

22号達はご命令通りの事をしただけです〜」

 

 

絡繰人間13号[朱里(未来)]「はわわっ!!?13号さんの言う通りですぅ〜!!!

私達はそんな大きな事はしていません〜!!!」

 

 

龍天「いや、北郷一刀達の戦闘情報を手に入れることが出来た

それを元にした絡繰人間を今、製造主任である李典殿に製造してもらっているところだ」

 

 

龍天は首を横に振り返答する

 

 

絡繰人間20号[思春(未来)]「李典殿がもうですか…………

あの御方は相変わらず行動がお早いですな………」

 

 

思春はニヤリと嗤う

 

 

雷昇「まっ、流石は製造主任ってところだろうよ」

 

 

雷昇は苦笑いで言う

 

 

絡繰人間22号[風(未来)]「そう言えば〜、何故22号達を近づくのも恐れ多い『龍禅の間』にお呼びしたので〜?」

 

 

風は話題を変えて首を傾げる

 

 

宝ャ(未来)「そうそう……それ、気になってたんだよな………

大将、何でですかい?」

 

 

宝ャは頭上に疑問符を浮かべる

 

 

絡繰人間20号[思春(未来)]「おい、22号………龍天様の手前だ

少しは態度を慎まぬか」

 

 

思春は風を咎める

 

 

龍天「気にする必要はない、そう気を短くするな20号…………」

 

 

龍天は場を丸く治める

 

 

斬魔「貴女方をお呼びしたのはこれからの作戦を聞いてほしかったからですよ」

 

 

斬魔は含み笑いをしながら席につく

 

 

絡繰人間22号[風(未来)]「おぉおっ!!?そのような貴重な機会の為にですか〜?」

 

 

氷柱「当たり前じゃない♪

斬魔様や龍天様に貴女方の功績が認められたのよ」

 

 

風刻「氷柱の言う通りだ

お前ら3人はここに居られる権利がある」

 

 

闇霊「座るところは流石にないがな………それは勘弁してくれ」

 

 

闇霊は苦笑いで言う

 

 

絡繰人間13号[朱里(未来)]「はわわっ!!?滅相もありませんっ!!!」

 

 

朱里は慌てて頭を下げる

 

 

斬魔「ではでは………会議を始めましょうか…………」

 

 

斬魔は静かに話し出した

 

 

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斬魔「先程申し上げた通り、13号・20号・22号の御三方のお蔭で北郷一刀とその他戦場にいた郭嘉・周泰・鳳統の戦闘情報を入手することが出来ました

それにより、製造主任である李典殿がそれを上回る戦闘能力値を得た『量産型』の絡繰人間を製造中です」

 

 

風刻「『製造部』の話では他の型の絡繰人間も製造中とのことらしいですが…………」

 

 

風刻の質問に斬魔は頷く

 

 

斬魔「えぇ、『旧合体進化型』と同系統ですがね

他にも数が少なくなってきた『特殊部隊』の絡繰人間も製造しています」

 

 

炎掌「確かに、少数といえどこの時代の北郷達に結構殺られちまったからなぁ………」

 

 

炎掌は座ったまま大きく仰け反り頭の後ろに両腕をおく

 

 

闇霊「塵も積もれば………ってやつだな」

 

 

闇霊も静かに頷く

 

 

風刻「私の軍『風神軍』も大分減ってきたと思っていましたので………」

 

 

斬魔「製造するのなら強化した者を追加しようと思いましてね………」

 

 

斬魔は優しく微笑む

 

 

龍天「して………いよいよか?」

 

 

龍天がそう言うと『龍禅の間』の空気が一気に張り詰める

 

 

斬魔「えぇ…………製造が終了次第、過去に遡り北郷一刀率いる十の軍勢を一網打尽にしましょう」

 

 

雷昇「ケケケっ!!!ようやくかぁっ!!!」

 

 

雷昇は嬉しそうに叫ぶ

 

 

炎掌「斬魔様!!!その時は何時でっ!!?」

 

 

炎掌も身を乗り出して聞く

 

 

斬魔「製造が終了する予定日は凡そ7日程でしょうね………

あくまで予定日ですので前後する可能性がありますのでご注意を」

 

 

風刻「7日ですか………では、それまでには兵達の保全維持や管理を促さなくてはなりませんね」

 

 

風刻の考えに斬魔は頷く

 

 

斬魔「流石は風刻、その通りです

ですが、自分達の保全維持もお願いしますよ?

勿論、龍天様…………貴方もね」

 

 

龍天「分かっているさ……………」

 

 

龍天は苦笑いをして答える

 

 

斬魔「出陣中に襲撃があると面倒ですので、そこは龍陸と龍海に頼みましょう

それと、他でもない………貴女方3人にもね」

 

 

斬魔はそう言うと思春達を見る

 

 

絡繰人間20号[思春(未来)]「はっ!!!お任せ下さい」

 

 

絡繰人間13号[朱里(未来)]「龍天様のお城は命を懸けてお守りしてみせます!!!」

 

 

絡繰人間22号[風(未来)]「任されたのです〜♪」

 

 

宝ャ(未来)「大将は安心して北郷一刀を討ち取ってくだせぇっ!!!」

 

 

思春達は直立不動で答える

 

 

闇霊「その際には……他の『絡繰武将』や『絡繰軍師』も起動するので?」

 

 

斬魔「えぇ………ですが、それは緊急事態の時にです

基本は13号・20号・20号・龍陸・龍海の5人が城の守護に就いてもらいます」

 

 

雷昇「確かにその面子なら、いくら北郷一刀でも迂闊に手出し出来ないでしょうなぁ!!!」

 

 

雷昇は歪んだ笑みを浮かべて嗤う

 

 

斬魔「えぇ、そう言う事です

変更が発生次第、また折り返し連絡しますので……………

では、次の題目のお話を………」

 

 

斬魔は次の話へと切り替えた

 

 

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だが…………………

 

 

??S「…………っ!!?」

 

 

斬魔の計画にも載っていない予想外の事が起こり始めていた

 

 

??S「…急がなくては………ならんな……」

 

 

それは誰にも知らされていない、誰にも悟られていない者

 

 

その者は会議が始まる時、既に潜んでいた

 

 

??S「……………まさか……思春達まで絡繰人間にしているとは………」

 

 

潜んでいた場所は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室『龍禅の間』の天井裏

 

 

その者は、まるで隠密がやるような事をしている

 

 

服装から察すると女性のようだ

 

 

??S「………しかし、天井裏とは汚い所だな………

思春や明命を尊敬してしまうよ………」

 

 

その女性は服に付いた黒い埃や汚れを見ては苦笑いと溜め息をしている

 

 

??S「そんなことより………早く『龍天城』から脱出し、この事を告げなければ……」

 

 

その『水色の髪で片目が隠れた』美しき女性は、弓を拵えたままで静かに天井裏を這いずり廻っていた

 

 

そう……………

 

 

この女性の正体は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋蘭(未来)「待っていてくれ………一刀」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来の夏候淵、秋蘭であった…………

 

 

 

 

 

           ……終……

 

 

 

 

説明
襲撃してきた絡繰人間、もとい未来の思春達は忠実な龍天の部下となり一刀の抹殺・情報収集をしに来た
一刀や稟達の戦闘虚しく思春達はやるべきことをなった為、未来へと帰還していった
その時、残ったのは一刀の虚しい叫び声だけだった…………
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コメント
まさか秋蘭が隠密だと‥‥(睦月)
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真・恋姫†無双 北郷一刀  雛里 明命 朱里 思春  秋蘭 宝ャ 

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