艦隊 真・恋姫無双 76話目
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【 幸運艦 翔鶴 の件 】

 

? 洛陽 都城内 練兵場 にて ?

 

翔鶴「提督──艦載機の子達が無事に戻って参りました。 これが、頼まれました洛陽の全体地図です。 ………ですが、正式な撮影機材は準備していないため、かなり大雑把な地図になります………申し訳ありません」

 

一刀「……………いや、大丈夫だ! このくらいの解析度なら、なんら問題は無いよ! こっちこそ、他の任務も合わせて命令したんだ。 重責を掛けて悪かった──ありがとう!! 皆にも、よく労いの言葉を掛けてくれ!!」

 

翔鶴「あっ………い、いえっ! あの……その……とんでもないです! はいっ! それと──申し訳ありませんっ! 瑞鶴とビッグEが……未だに編隊飛行を実行していまして! な、何度も止めるように下知したんですが…………」

 

ーーー

 

第三艦隊 旗艦 翔鶴は、仲間のサラを伴い一刀に出会っていた。

 

目的は、《一刀より頼まれた航空写真を渡す為》だが……頭が痛い事象が、現在進行形で起きている。

 

───瑞鶴とビッグEの艦載機に因る編隊飛行!

 

本来ならば、洛陽上空で『星』と『花』の『描きもの』で終わる筈だった。

 

それが──『あれだけの編隊飛行じゃ新五航戦の錬度が疑われる!』と瑞鶴が力説、艦載機を更に飛ばし、洛陽上空で空中サーカスを繰り広げているのだ。

 

相変わらず『某一航戦』への対抗意識は凄まじく、更にビッグEを説得して、洛陽上空に時代を超越した空中ショーを続行している始末。

 

何が、あの素直な妹を……そんなに駆り立ているのか分からない翔鶴は、泣きそうな顔で一刀に謝罪するしかなかった。

 

そんな旗艦の様子を心配すると同時に、簡単に籠絡された後輩に溜め息を吐きながら、一緒に謝罪するため、無理矢理随行したサラである。

 

 

──しかし、相手は……あの『北郷一刀』である。

 

『航空写真』の一枚を受け取り、確認した後に翔鶴達に感謝の言葉を送り、その後の謝罪に関しても……おおらかに許した。

 

 

一刀『漢王朝の崇敬に一役買うのなら、俺としては言う事はないよ。 ただ、事故だけは気を付けてね?』

 

 

二人……というか二隻は、互いに喜んだ。

 

本当ならば、軍律を重んじるのは軍人としては当然の事。 叱責どころか罰則まで食らうかもしれない、重要な事項である。

 

軍隊とは──即ち集団を『一つの生き物』と操り、如何に敵を粉砕するかの組織であるからだ。 それを乱す事は、隙を曝け出す事に繋がり……最悪『敗北』に直結する状況に陥るからだ。

 

まあ……一刀しては、写真への解析度が水準に達していた事もあり、漢王朝の為として編隊飛行も許可し、目的も無事に果たした。

 

洛陽に来てから、航空隊の練習も殆ど出来ない状態だった事もあるから、漢王朝崇敬のだめ押しも兼ねて編隊飛行を許可したわけである。

 

それに、二人の美少女が、泣きそうな顔で此方を見ているのだ。 一刀に『叱る』という選択は──最初から──ある筈がなかったのだ!

 

★☆☆

 

一刀「………状況は分かったよ。 だから、二人とも安心して欲しい」

 

翔鶴「て、提督! ありがとう……ございます! 本当にありがと……」

 

サラ「………良かったわね……翔鶴」

 

翔鶴「………うん!」

 

そんな翔鶴たちに『苦労を掛けてしまった』と考えながら、残りの写真を受け取ろうとする一刀。 翔鶴の手には、未だに残りの写真を持っていたからだ。

 

───だが、ホッとしていた翔鶴は驚く!

 

一刀の手が……急に自分へと伸びてきたため、思わず動いてしまった!

 

翔鶴「────!?」

 

一刀「──あっ、失礼!」

 

この時、写真を持つ翔鶴の手へ………一刀の手が………偶然重なる!

 

憔悴していた翔鶴の顔が……ほんのりと朱に染まり、思わず足元の力が抜け、ふらつき倒れそうになる! 旗艦としての重責、一刀への心配は、結構な負担だったらしく、本人が思っていた以上に疲労していたのだ!

 

サラ「あぁ──危ないっ!」

 

翔鶴「───!」

 

翔鶴の身体が……ユックリと斜行したと思うと、加速が付きながら地面へと衝突しそうになる! 受身を取る事も忘れて、ボォーとしている翔鶴!

 

───ストン!

 

そんな翔鶴が感じた──違和感。

 

地面にしては少し柔らかく、地面にしては衝突する時間が少なく、地面にしては……暖かい。 更に……横目で見れば……白い服。

 

翔鶴「──ま、まさか? 一刀提督?」

 

そこには、心配しそうに翔鶴の顔を見詰める………一刀の顔!

 

一刀「大丈夫かい? 無理なら……休んでいてもいいんだぞ!?」

 

翔鶴は、その声を聞きながら──ユックリと目を閉じた。

 

ーーーー

ーーー

 

瑞鶴へ──

 

三隻の幸運艦に囲まれた御蔭で───

 

────このような幸運に恵まれました。

 

最初の感触で、瑞鶴が受け止めてくれたのかなと思った私は───

 

悪い姉ですね────

 

ーーー

ーーーー

 

サラ「ありがとうございます! 提督が受け止めて下さったのですね?」

 

一刀「近くに居たのが、俺しか居ないんだ。 ───当然だろ?」

 

サラ「その当然な事が出来ない提督も………世の中には居るのですよ……。 それにしても、安らかな顔だ事。 幸せそうで羨ましいですよ?」

 

そう言いながら、翔鶴の顔に近付く。

 

サラ「ボソッ(………………次は、私の番ですからね、 旗艦さん?)」

 

翔鶴「──ビクッ」

 

一刀「あれ? 今、身体が跳ね上がったけど……気のせいか。 いや、翔鶴の容態が心配だ、早く運ばないと!」

 

サラ「───では、先に準備しておきますね?」

 

こうして、翔鶴は一刀に『お姫さま抱っこ』で運ばれ、入渠?することになった。 そう簡単には起こらない幸運を噛み締めながら………

 

ーーー

ーーー

 

瑞鶴「────翔鶴姉ぇ! 何考えてぇ……って居ないんだったんだよね。 おかしいな………何か私の胸の事で、馬鹿にされた気が………」

 

 

 

◆◇◆

 

【 周辺状況 の件 】

 

? 洛陽 都城内 練兵場 にて ?

 

一刀たちの行った編隊飛行は───功を奏した。

 

空を唖然として見上げる、洛陽の民達は蜂起を止めた。 自分達が、どう足掻こうが出来る筈が無い、天の奇跡を目の当たりにしたからだ。

 

蒼天に描かれし五条の色鮮やかな『彩雲』

 

都城の中央上空に現れて不動の星を示す『北辰』

 

その行為を祝福するかのように現れた『雲の華』

 

しかも、新五航戦の艦載機たちが、更なるパフォーマンスを見せ付けたため、驚愕から感動、崇拝に変わり……中には感涙して眺める者も居る始末。

 

この出来事に驚いた王允が、数十名の武装兵を、都城より近い場所に数隊に分けて偵察させる。 何かあれば、応援を呼べるよう配慮しての軍事行動。

 

あれだけの規模で蜂起した民草が、短時間で静かになったのを不審に思い、状況を伺わせて、今後の対応を思案しようとしていたのだ。

 

決して、一刀との約束が気に掛かった訳ではない。

 

―――

 

王允「───して、どうだったのだ?」

 

武装兵長「はっ! このような結果で───」

 

複数の隊が目的の集団に近付くと──争うどころか平伏叩頭して、それぞれが己の罪を詫びてきたという。 中には『死んでお詫びを!』と刃物を持ち実行しようとする者も居たので、取り押さえて牢屋に入れてきたという。

 

その者は、集団を蜂起させた地区の纏め役であり、黄色の布を被った男から、噂を聞いた事が発端。 初めは半信半疑だったが、実際に都城の上空で暴れる『天の使い』を見た事だった。

同時に、近くからも蜂起した者が十数人も現れた為、参加しなければ他の地区に迷惑が掛かると思い、呼掛けて騒ぎを広めたという。

 

―――

 

武装兵長「──その者の話によりますと、最初の者達は地区では見掛けた者が無い者ばかりとの事。 そして、頭に黄色の頭巾を着けていたと………」

 

王允「──それは、決意させる為の『釣り』だったと?」

 

武装兵長「──恐らくは! 後、他の隊からも同様の証言がありました!」

 

『俺達を蜂起するように促してきたのは、黄色の布を被った奴です!』

 

『黄色の布を頭に巻き付けた兄ちゃんが、皇帝陛下の居る場所を───』

 

武装兵長「黄色の布を着用する者達は、我々の近辺でただ一つ、 白浪賊だけ。 そして、関係する者を考えますと───」

 

王允「─────『執金吾 楊奉』か!?」

 

武装兵長「──御意!」

 

―――

 

武装兵長より報告を受けて、民の蜂起は鎮圧に向かっている事を王允は察した。 ──されど、この都城より脱出した『執金吾』は、未だに洛陽に居る。

 

いや、居るどころか、更なる謀を漢王朝に放って、屋台骨を揺るがす行為を行っていると知り、険しい顔を崩さず、眉間に新しい皺が何本か増えた。

 

王允「── やはり、あの不届き者の手の者か! 漢王朝より禄を食み(はみ)ながら、反逆の先鋒を担ぐとはぁ!!!」

 

漢王朝存続に執念を燃やす王允は、漢王朝を打倒する『執金吾 楊奉』に強い怒りを抱き、百名の武装兵を派遣して、更なる情報を探るよう命令!

 

王允「洛陽で、これだけの大規模の蜂起を企み実行に移した男だ。 必ず洛陽の街中に潜伏して指揮したに違いない。 草の根分けてでも探しだせ!」

 

同時に、何進へと相談したい事があるから、此方に来るよう使者を送った。

 

────『この後の対応を協議したい』と。

 

★☆☆

 

一刀の傍から、何名かの仲間が一時的に離れて行く。 それぞれの用事を果す為に。

 

ーーー

 

何進は、使者からの話を聞き、王允と話し合いをする為に向かう。

 

何進「──あの男も、漸く(ようやく)重い腰を上げたようだ。 済まぬが、少し席を外すぞ? ああ……話も大体予想が出来ている。 楊奉を捕縛するため、私に助けを求めているのだろう! 武官最高位は、何かと頼られる身分でな!」

 

―――

 

翔鶴は、簡易の救護所で休息、サラは第三艦隊旗艦代理として、瑞鶴たちと合流。 自分達の役割が終わった事により、艦載機の収容を始めた。

 

サラ「用事が終わった後の片付けは、遊びの基本ですよ? 艦載機も収納して仕舞いますから早く命じて下さいね。 ……何です、その不満そうな顔は? 小さい子さえ玩具を片付けるのに、大の大人が片付けも出来ないの………?」

 

―――

 

北方棲姫と港湾棲姫は、劉辮皇女たちに出会っている。 北方棲姫が世話になったと聞いていたので、正式に港湾棲姫が挨拶する為にだ。

 

港湾棲姫「ウチノホッポガ……御迷惑カケテ……イナイデショウカ?」

 

劉協「仲良くさせて頂いています。 私……いえ、私達姉妹を救ってくれた……大事な友達ですから!」

 

――― ―――

 

そして──

 

朱里「愛紗さん! 鈴々ちゃん! お、お久しぶりでぇしゅう!?」

 

愛紗「──朱里かっ! 元気そうで何よりだ! 桔梗から話は聞いているぞ!」

 

鈴々「にゃはははっ! 相変わらずカミカミなのだぁ!」

 

―――

 

焔耶「と、桃香さまぁぁぁぁ!」

 

桃香「え……えっと、どちら様でしたか?」

 

焔耶「なぁああああああっ!?!?」

 

―――

 

朱里と焔耶は、桃香たちと顔合わせをしている。

 

二人が遅れて来たのは、桃香の家系を調べていた為である。

 

執金吾『楊奉』は、桃香を人質にした際に血筋を不定していた。 劉一族、即ち皇帝の血族では無いと断言していたのだ。

 

しかし、前の世界で事実を知る朱理達は、その証拠を集める為に都城内の書庫に入って確認していたのだ。

 

勿論、書庫内に入り確認の為に調査するなど、かなり高位の人物から許可が出ないと実行できない話である。

 

そして、その許可を与えた者は…………何進………では無い。

 

意外にも────尚書令『王允』の許可を得ていたのだ。

 

朱理達が、一刀の配下として何進に招かれた事も、許可された要因の一つである。 しかし、王允にも──別の考えがあった為、その実行を許した。

 

その考えとは───《劉玄徳を──真に劉一族の末裔と確認できれば──『隠し玉』にしようとする》──漢王朝存続を切に望む野望である。

 

二人の皇女が、万が一にも失脚した場合……権力の楔から外れた皇帝候補を準備できると考えたのだ。

 

ーーー

ーーー

 

王允の考えは、あくまで『漢王朝の存続』に対し主眼を置いている。

 

では、なぜ……二人も後継者がいるのに関わらず、更なる後継者を用意したがるのか? 二人は十代後半、この時代から見ても充分に若い。

 

それは………皇帝の寿命とは、意外なほど短命であるから。 平穏な世でさえ、皇帝の天命を全うできる事は……稀なのである。

 

実際に霊帝(劉宏)の二代前と三代前は、僅か数歳で亡くなっている。 三代前は病死、二代前は──時の大将軍に因る毒殺という有り様!

 

理由も理由で、簡単に説明すれば『悪口を言われたから、怒って毒殺しちゃった!』というトンデモナイ話である。

 

だから、若いだけでは皇帝に即位しても、王允は満足しないし、皇帝扱いもしない。 婚姻をして子を成し、初めて皇帝として認め敬う。

 

王允にとって、世継ぎこそ漢王朝存続の証であり、宝であり、真の皇帝であった。 だから、皇子や皇女が幼いうちは可愛がるが、ある頃を越えると手の平を返すように冷たくなる。 ───子供を成す事が分かった時から。

 

ーーー

ーーー

 

では、なぜ──世継ぎを、それほど生ませたがるのか?

 

それは……世継ぎが居ない場合、劉氏から代表して即位を願うしかない。

 

分かりにくい才能よりも、表に現れ易い姿、形を司る血統が重んじられるのは、当然の事なのだ。

 

───しかし、劉氏にも多様な者が居る。

 

例えば、強力な権力を持つ者。

 

後ろ楯が強い人物なら、その威光で玉座に長期間維持する事も、発言力も無視される事も無い。 しかし、同時にその一族郎党を強化するだけ。 漢王朝の存続が危ぶまれる不安材料にしかならない。

 

──解りやすいのが、元益州州牧『劉焉』の増長だろう。

 

自分の血統と才能に溺れ、一刀たちの実力を見誤り敗れた哀れな王。

 

今なら、荊州牧『劉表』辺りが、その筆頭になるだろうか?

 

かといって、今の高祖から別れた『王家』より出せば、これまた紛争の種。

 

元は皇帝だった子孫達とはいえ、今は一地方の官職を賜る身が多数。

 

そんな日々の暮らしに困る者が、突如現れる皇帝の座。

 

自分の才能も力も関係ない『血統』による幸福。

 

権力の美酒に酔しれて、更なる富貴利達を望むのは当然。

 

また、その幸福に肖ろう(あやかろう)とする輩も、近付いて来るのもしかり。

 

だから、互いに派閥を結成し、これぞと思う者を推薦してくるのだ。

 

皇帝を自派より出せば、その恩により高官の地位を約束される為、同じ一族内でも、血で血を洗う争いも起こる。 現に二代前と先代は『王家』の出身である。 果たして、即位の陰で何人の劉氏が、闇に葬られたのか?

 

ーーー

ーーー

 

だから──王允は考えた。

 

★☆★ ★☆★

 

────あの『流浪の貴種』を準備すべし。

 

後ろ楯も無く、派閥も無い………都合の良い『モノ』だ。

 

後ろ楯が無ければ、王允が養女として後ろ楯になればいい。 そうすれば、『国父』という別の肩書きが付いてくる。

 

派閥にも入って居ないのなら、手を煩わす(わずらわす)事も無い。

 

儂にとっても、漢王朝にとっても……都合の良い駒になるだろう!

 

★☆★ ★☆★

 

───あくまで、二人の皇女が亡き者と想定した時の結果である。

 

しかし、漢王朝随一の忠臣と謳われる男でさえ、この考え。

 

この男は、漢王朝という組織に忠を捧げる者。 皇帝や民も……全部が漢王朝の附属品としか、見ることが出来なかったのだ。

 

ーーー

ーーー

 

桃香「───ありがとうございます。 ですが、どうして……私の為に……危険を冒してまで、血筋を証明してくれたんですか?」

 

朱里「貴女は……この国を、この民を笑顔にしたい……と願っておいででしたよね? 御主人さまも……同じ気持ちだから。 わ、私も……同じ気持ちだったから……お手伝いさせてもらったんですっ!!」

 

桃香「じゃあ……手伝ってくれた方は、私と同じ考えを持っているのかな?」

 

ーー

 

桃香や朱里たちが──どこまで王允の考えを知るか──定かではない。

 

しかし、王允の考えは──決して桃香の思っているような甘い考えなど持ってはいなかった。

 

この事を知るのは───遥か先の話となる。

 

 

★★☆

 

 

電を除く第六駆逐隊、天龍、龍田もまた、一刀の傍を離れた!

 

『曹孟徳の発した言葉が、天の御遣い(電)の逆鱗に触れ、一触即発の状態!』

 

この報告が届いたので、援軍として曹操陣営に向かっている!

 

暁達は慌てて電を止める為に向かい、それを見た天龍、龍田も、一刀に手助けする許可を得て、曹操陣営に急行したからだ。

 

 

★☆★ ★☆★

 

天龍『………あの電が、曹操のヤツに殴り込みしたぁ? 意外と根性あるじゃねえかぁ! だったら、この世界水準軽く超えてる天龍様が、手を貸してやらねぇとワリィだろう!! ───龍田ぁ! お前も手伝え!!!』

 

龍田『はいはい〜♪ うふふっ……本当はねぇ〜? 天龍ちゃん、電ちゃんの事とても心配してるの。 電ちゃんが怒る事って、全然無かったでしょう〜? だから、やり過ぎないかな〜怪我しなきゃ良いけどな〜って焦っているの〜♪』

 

天龍『アイツに、電に……何かして見やがれぇ! オレの怖さ、その身に刻み込ませてやるっ! 二度と──オレ達を馬鹿に出来ないようにな!! 』

 

龍田『大丈夫よ〜提督ぅ! 天龍ちゃんも、第六駆逐隊の皆も任せて〜! だけど……華琳に反省の色が無ければ〜何かお仕置き考えないとね〜♪』

 

★☆★ ★☆★

 

天龍(服は着替済み。 何故か龍田が持っていた……)と龍田が、第六駆逐隊の後を追って駆けていったのだ。

 

事の起こりと結末は、前話を参照していただきたい。

 

付け加えるとすれば、電を囲む第六駆逐隊の様子を伺い、何事も無かった様子にホッとする天龍。 静かに華琳の様子を眺める龍田の姿があった。

 

 

◆◇◆

 

【 一刀からの挑戦状 の件 】

 

? 洛陽 都城内 練兵場 にて ?

 

現在、一刀の周辺に居る艦娘は、木曾、雪風、金剛姉妹、アリゾナ、スチュワート、長門たち。

 

一刀「───これを見て貰いたいんだ!」

 

一刀は、手許にある写真を、集合している艦娘達に分配した。 翔鶴から手渡された、艦載機から撮影した『洛陽上空の航空写真』である。

 

金剛「提督ぅ〜? この写真な何ですカ? 私とのHoneymoon(ハネムーン)の写真にしては、味気ないネー?」

 

比叡「ひえぇー! お、お姉さま!! 」

 

スチュワート「こ、この戦艦、何を勘違いしてるのッ!? 」

 

ーー

 

榛名「金剛お姉さま、一刀提督の事です。 この写真には、何か……大事な理由があるんですよ! 」

 

長門「しかし、艦載機から撮影した写真には、街並みと驚いて騒ぐ民間人しか写っていない。 これを見て……何を調べあげるのだ?」

 

雪風「司令ぇー! 雪風も分かりませんっ!!」

 

木曾「……俺にも分からん。 だが、俺らの指揮官は、無理難題や出来ない事を要求するような……無能な指揮官だと思っているのか? 違うだろう! 指揮官は、俺らに出来る内容を提示しているに過ぎんのさ!」

 

アリゾナ「でもねぇ………意味が分かんないと、仕事が進まないよ?」

 

ーー

 

艦娘達が、写真を手渡されて確認するも、疑問符を頭に浮かばせる。

 

それぞれの艦娘たちの持つ手には、人の驚く表情が辛うじて判別できるほど近距離で撮影した『洛陽市街の航空写真 』が、何十枚もある。

 

撮影場所もバラバラ、技術も統一してないので被写体もピンぼけ気味、だけど色彩豊かなカラー写真だ。

 

写真の被写体は、洛陽の街中で艦載機を眺め叫ぶ者、泣き叫び子供を連れて逃げる親子、慌てて人混みに紛れ混もうとする者たち。

 

確かに蜂起を起こしたと言えど、執金吾『楊奉』の流言飛語に嵌められた弱者達だ。 何れも取り立て………怪しいとは思えない者ばかり。

 

衣服も小綺麗な物を着用する者が居れば、ボロ雑巾のような服装な者も居る。

 

色鮮やかな色彩で覆われている服装の者が居れば、全体が地味な色合いの割りに、黄色が鮮やかに目立つ布を巻き付けた者も存在する。

 

そんな者達が、多数写っていている写真で、何を見付けだすつもりなのか? これで何を探せば良いのか……全く見当がつかない。

 

ーー

 

一刀「俺は、これから連れて来なければならない人が居る。 その間、これを見て、気付いた事を俺に伝えてくれないか? 」

 

アリゾナ「………この写真に?」

 

一刀「ああ……この写真には、大事な情報がある。 俺が口で示せば……話は終わりだ。 だけど………それじゃ君達の成長にならない。 だから、俺が問題を提起しよう! この写真を見比べて情報を得て、俺に示して欲しい!」

 

アリゾナ「へえー、じゃあ〜さぁ? 提督から……何か御褒美貰いたいな?」

 

一刀「──へっ?」

 

ーー

 

金剛「You’re on!(その話、乗ったネー!)」

 

比叡「こ、金剛お姉さまと………ふふふふっ!」

 

長門「勝負か……! ふっ、このビッグ7の力を侮るなよ?」

 

スチュワート「べ、別に………ひ、必要なんてないから!」

 

榛名「榛名! 全力で挑ませて頂きます!」

 

雪風「雪風が絶対にぃ解いてみせます!!」

 

木曾「…………アリだな!」

 

霧島「………………」

 

ーー

 

一刀「お、おいっ! …………ったく、そんな期待された顔されたら、何も言えないじゃないか。 分かった、但し──俺の出来る範囲だけだからな?」

 

アリゾナ「Thank You 提督! さてぇ、私も頑張ちゃうからね!」

 

ーー

 

一刀からの挑戦は、艦娘たちの闘争心に火を付けた。

 

写真を見て、色々と考察する艦娘達を置いて、一刀は『とある人物』を招きに行った。 この写真に対して……重要な事を指摘してくれる『人物達』を。

 

★☆☆

 

──艦娘達の頭脳がフル回転される!

 

前の世界では、大海原で数多くの深海棲艦を相手取り、勝利をもたらした戦術的思考が、この場所で試された!

 

写真に写る被写体、現在の状況、敵の思考まで思い付く限りの事を行った。

 

そして、一刀が離れてから十分程、経過して───

 

ーー

 

霧島「………なるほど、司令の考えが読めました。 これで『楊奉の居場所を見つけ出せば』宜しいのですね? 」

 

「「「「「 ─────!? 」」」」」

 

ーー

 

謎解きが終わった霧島が宣言した。

 

この多数の写真の中に隠されている『情報』を見付けたのだ。

 

ーー

 

金剛「Eeek!(ヒェーッ!)」

 

比叡「こ、金剛お姉さま! それぇ私の台詞ですよ──!?」

 

ーー

 

長門「───何だとぉ!? これだけの情報で理解を出来たのか? ま、まさか……この中に、符号や暗号とかが混じって!?」

 

スチュワート「そんなの……あるわけ………」

 

雪風「こぉ〜んなに沢山の人が居るんですよ〜! どうやったら、探す人どころかぁ場所まで見つかるんですかぁ!?」

 

アリゾナ「ちょっと待って! ……… Yellow cloth(黄色の布)を着用した男達が……複数? ────どの写真にも!?」

 

榛名「───! は、 榛名も解りましたぁ! 」

 

ーーー

 

霧島と榛名は、その謎解きが出来た様子。 榛名が霧島の耳元で囁くと、大きく頷き、流石に姉妹だと笑い合う。

 

残りの艦娘も、アリゾナの指摘した写真を見て、ようやく糸口らしい『男達』を見付ける。 黄色の布を着用している事から、白波賊の一員との事は明らか。 他の写真にも、黄色の布を着用した者が、かなりの人数で写っている。

 

最初は、これかと思ったが──どうも違う。

 

霧島は……『楊奉の居場所を見付け出す』と言ったのだ。 榛名との会話で、この男達が『答え』ではなく……『鍵』となるようだ。

 

ーー

 

金剛「霧島や榛名が解いて、この私が解らないのはァ……あまりにもpitiful(情けない)デース! 比叡、手伝ってクダサーイ!!」

 

比叡「当然です! 気合! 入れて! いきますッ!!」

 

ーー

 

雪風「雪風はぁ……まだまだ諦めませぇん!」

 

スチュワート「私の悩みを見つけてくれた……司令官だもん。 わ、私だって、見つけてみせるわ!」

 

木曾「指揮官────お前の信頼に応えて見せるぜ!! 」

 

アリゾナ「う〜ん、何となく解る気がするのよね?」

 

長門「………胸が熱いな! 最後の最後まで勝負を捨てないのも、我らの誉れだ! 全員、提督が来るまで諦めるな! 最後まで足掻きまくるぞ!!」

 

ーー

 

だが、金剛達の奮戦むなしく──その謎解きは、一刀が戻って来た事により、終止符を打たれたのだった。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

仕事やら何やらで忙しくなり、やっと続きが書けました。

 

また、次の話も、かなり遅れて投稿するかもしれませんが、気長に御待ち下さい。

説明
今回、艦娘たち中心です。
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コメント
天龍焔提督 コメントありがとうございます!! 話ができましたら、直ぐに投稿しますね!(いた)
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