真・恋姫無双〜項羽伝〜三国編
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第五章 6話 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少し戻そう

 

 

まだ建業に柳琳たちが着く前の話

 

 

 

西へと向かう鳳統を連れて喜雨の一行その一つの荷台の中

 

成刀「カタカタ(怖いよ・・・涼刀お姉ちゃん・・・・・何処に行ったの?・・・・無事なんだよね?)」

 

荷台の中の木箱に潜みながら成刀は歯を鳴らして怯えていた

 

いつも一緒にいてくれる頼れる姉、いつも守ってくれる人が居ない成刀にとって初めての状態である

 

その恐怖は成刀にとって計り知れない物である

 

ただ未だ成刀が発見されていないのは運が良かったと言える

 

鳳統を連れた元曹操軍の兵達は孔明達の軍から離れて少しして、すぐに喜雨の軍と合流することが出来、喜雨の軍が多めの兵糧を持っていたからである

 

そのおかげで成刀は未だに見つかることが無く隠れていれたのだった

 

成刀(どうしたらいいの?此処は一体どこ?)

 

成刀は一人狭い箱の中で考えていると

 

ギシギシ

 

誰かが荷台に乗り込んできたような音が聞こえてきた

 

ビクッ

 

成刀は驚きと恐怖にかられながらも見つからなように息をひそめた

 

鳳統「ふぅ・・・・・・これから如何すれば・・・・・・朱里ちゃん。朱里ちゃんは一体何を考えているの?桃香様と項羽さんとでは力の差は歴然のはずだよ・・・・一体・・・・・」

 

荷台に入ってきたのは鳳統であった

 

今、喜雨達一行は山に入っておりその山道は少し険しい物であった

 

鳳統はまだ疲れているだろうと荷台で休むように言われ、鳳統自身も一人で考えたい事もあった為、こうして幾つかある荷台の内に乗り込んだのが、偶然にも成刀が身を潜めている荷台だった

 

鳳統「如何すれば・・・・・・朱里ちゃんは一体二人を連れてどこに行ったの?それにあの二人をどうするつもりなの?」

 

鳳統は孔明がこれから何をしようとしているのか全く分からずに考えを巡らせるしかなかった

 

成刀(この声は鳳統?・・・・・他に誰も居ないみたい・・・・)

 

鳳統「どうにかしてあの二人は無事な状態じゃないと、取り返しがつかなくなる。・・・・ううん、違う。つかなくなっているが正しい。私が考えていた策は桃香様の・・・漢と楚、両国の不可侵の協定をさせるための場を作るのが目標だった。項羽さんは家族をなにより大事にされている。それに桃香様も人を大切にされる事がこの策の柱だった。それなのに朱里ちゃんは・・・・・桃香様はそれほど・・・・」

 

 

鳳統の策、それは楚と漢の不可侵であった

 

この不可侵は提携できると鳳統は考えていた

 

二国の代表と言える項羽と劉備は二人とも民の事を大事にしている

 

そして、明らかにこれからの戦いは無駄に命が無くなっていくと言うのが念頭にある

 

それゆえに鳳統はこの策を立てたのである

 

しかし現実はそう上手くいかなかった

 

昔から何処にも属さず中立を貫いていた場所、水鏡塾。そこを協議の場として考えていた

 

しかし、その水鏡塾は今は存在しないと知らされ

 

そして、協議の場に項羽を出席させるための切り札として連れ去ったはずの二人は孔明が何処かに連れていった

 

鳳統は自分の考えの甘さに苦虫を噛み締める気持ちになっていた

 

もう少し劉備の気持ちを、孔明の主を思う気持ちを考えるべきだったと今になって早まった策をしてしまったと後悔していた

 

鳳統「私の策内なら責任は私自身でとることが出来た。でも、今は・・・・・・楚は完全に漢を滅ぼすはず。そうなる前にどうにかしないと・・・・・」

 

鳳統は頭を抱えるしかできなかった

 

そうしていると

 

ガサ

 

成刀「・・・・・鳳統」

 

鳳統「!?・・・・どうしてあなたが此処に?」

 

其処には箱から出てきた成刀の姿があった

 

成刀「それは、今はどうでもいい。それより、如何して・・・・・如何してこんな事を!?」

 

ガバ

 

成刀は鳳統に掴みかかり

 

成刀「お姉ちゃんは何処!?いったいここは何処なの!?ねえ、答えてよ!!一体何が起きているの!?」

 

今まで、押しつぶされそうになっていた気持ちのせいで溜まっていた不安を吐き出すように言葉を鳳統に飛ばしていった

 

鳳統「ごめん・・・・ごめんなさい」

 

鳳統はただ謝る事しかできなかった

 

成刀「私はそんな言葉が聞きたいんじゃないの!!貴女はお姉ちゃんの気持ちを踏みにじった!それに・・・・・・それに!今まで「何か起きましたか?叫び声が聞こえてきましたが」!!」

 

成刀張り上げた声によって近くを進んでいた兵が駆けつけてきたのであった

 

兵「お前は連れ去った子供の一人・・・何故ここに?まあいい、捕まえたら給金が上乗せしてもらえそうだ」

 

駆け付けたのは鳳統が雇った元曹操兵だった

 

成刀「やめ、止めて!!」

 

兵は鳳統を掴んでいる成刀を無理やり引っ剥がし大人しくするために暴行を加えた

 

ドコ、バコ

 

鳳統「や、止めてください!」

 

兵「何をいってるんですかい?こいつは貴女に掴みかかっていた。それにこいつは捕虜だ。捕虜は何をされてもいいはずですぜ」

 

鳳統「しかし・・・・」

 

兵「まあ、止めろと言われたら止めますけど。それに、もう気絶してますしね。それでこいつどうします?」

 

鳳統「・・・・・治療をするので薬をお願いします」

 

兵「へいへい。・・・・・・あ、一応この事はえっと、陳登さんですっけ?その人に報告しときますよ。ちゃんと給料に上乗せしてもらいたいんで」

 

そう言い残して兵は去っていった

 

鳳統「ごめん、ごめんね」

 

鳳統は倒れている成刀の頭を抱き上げ膝に乗せ謝るしかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

陳登「そうですか。人質の一人を発見ですか・・・・(面倒な事に成りましたね。これで危険が倍以上に増えましたね。鳳統だけならそれほどですけど、人質の一人が居るとなると・・・・いっそ殺してしまった方が楽でしょうか?朱里さん曰く人質は一人いれば十分と言ってましたし)」

 

兵「へっへっへ。自分は鳳統さんを助けた上に人質を捕まえたんですから給金は頼みますぜ」

 

兵は陳登が聞いている物と思い自分の欲をダラダラと伝えていた

 

陳登「・・・ええ、分かったわ。取りあえず今は鳳統が指示したように薬でも持っていってやって・・・・・・処分するにしても今は面倒だし。それより今日中にこの山を越えるのは無理そうね」

 

そう言って陳登は考えるのを一度止めて進行方向に馬の頭を向け歩みを進めていった

 

 

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その夜

 

 

喜雨達一行は山の頂上付近で野営を行っていた

 

喜雨「やはり山を越すことが出来なかったですね。食料はまだあるからいいですが・・・・・・人質は・・・・今のうちに処分した方が楽そうですね」

 

そう言って喜雨は兵に指示を送ったのであった

 

 

 

成刀が寝ている荷台

 

 

成刀「ん、んん・・・・・」

 

鳳統「目が覚めましたか?喉が渇いているならお水をどうぞ」

 

成刀「・・・・ありが・・・ッウ」

 

成刀は口の中を切っているらしく水がしみて顔を歪ませた

 

鳳統「大丈夫ですか?」

 

成刀「・・・大丈夫。ちょっとしみただけだから。それより、私どうなるの?」

 

鳳統「大丈夫です。貴女は大事な人質。酷い事は起きません」

 

成刀「そう・・・・」

 

成刀はそれっきり何も話さず無言の時間が続いた

 

すると

 

兵「失礼します」

 

兵三人が武器を片手に入ってきた

 

鳳統「如何したんですか?」

 

兵「陳登様の指示ですので」

 

そう言って兵の一人は鳳統に何も伝えず外に連れ出し

 

兵「短い命だったなお嬢さん」

 

一人は成刀が動かない様に抑え、残る一人が武器を構えそう言った

 

外で

 

鳳統「一体何をしているんですか!?放してください!!」

 

鳳統が暴れ出した時

 

二つの獣の遠吠えが聞こえてきた

 

ガオ――――――――――――――――ン

 

ワオ――――――――――――――――ン

 

その声とともに何処からか兵の叫び声と

 

「ギャーー人食い虎と狼が・・・・化物だ――――!!」

 

と、いう声が聞こえてきた

 

その声に反応したのだろう鳳統を抑えていた兵の手の力が抜け、その隙に鳳統は荷台の中に駆け込んだ

 

鳳統「司馬昭ちゃん!!!」

 

ガバ

 

鳳統が司馬昭に覆いかぶさったと同時に

 

ズバッ

 

刃物が肉を切る音が鳴った

 

兵「「なっ!!鳳統様何を!?」」

 

斬りかかった兵と抑えていた兵は驚きの表情を浮かべていた

 

鳳統はそれを気にせず

 

鳳統「司馬昭ちゃん、此処から逃げてください・・・・先ほどの鳴き声は恐らく・・・・・」

 

成刀「・・・鳳統」

 

成刀も鳳統のしたことに驚いて動くことが出来なかった

 

そのせいで先に我に返った兵がもう一度成刀に斬りかかった

 

鳳統「させません!・・・ッ。早く、速く行ってください。貴女を危険な目にあわせたのは私です。だから、私は責任を持ってあなたを守らなければいけない。でも私にはこれしかできない・・・・・だから早く!」

 

鳳統は斬られながらも兵に捕まり動けないようにしていた

 

成刀「・・・・・ありがとう」

 

外に出た成刀が目にしたのは混乱している兵達だった

 

成刀はその混乱に乗じて逃げようとしたが後ろから

 

ズバッ

 

成刀「ウッ」

 

先程鳳統を外に連れ出した兵が成刀の背中に斬りかかっていた

 

成刀は斬られた衝撃から地面に倒れてしまった

 

兵「惜しかったな。俺が居なかったら逃げられただろうに」

 

兵は喋りながら成刀に近づき止めを刺そうと振りかぶった時

 

ポチ「ワオ――――ン!!(家の嬢に何してるんだ!!!)」

 

ポチが兵に突っ込み兵の喉に噛みつき引き裂いていた

 

タマ「ガオ?(無事か、成嬢?)」

 

タマは倒れている成刀の傷を舐めながら心配そうな顔で鳴いた

 

成刀「っ・・・タマ。・・それにポチも・・助けに来てくれたの?」

 

ポチ「ワン」

 

成刀「ありがとう・・・ック」

 

成刀は斬られた背中が痛いのだろう顔をしかめ辛そうにしていたがそれでも、近づいて来ていつもの様にポチが背中に乗りやすいようにしゃがんだのでそれに乗った

 

ポチ「ワオ(行くぞタマ。もう此処に用は無い)」

 

そう言ってポチとタマは駆けて行った

 

正にこの二匹の作戦は電撃戦とも言える素晴らしい物だった

 

 

 

 

 

 

二匹の被害から生き残った兵はすぐさま陳登にこの事を伝えた

 

陳登「そうですか。鳳統は死んだと・・・・・さて、これはどう桃香様に伝えるべきかしら」

 

 

 

 

 

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洛陽

 

 

葵「遅い!!遅いぞ!!成刀様はまだ!?」

 

部屋をウロウロとしていた葵が急に叫んだのであった

 

蒲公英「おば様。もう少し落ち着いたほうが良いんじゃないかな?」

 

鶸「蒲公英の言う通りです。母様は一刀様に此処の守りを任されているのですから、もう少し落ち着いてもらわないと困ります」

 

蒼「蒼はこんな母様見た事無いからもう少しこのままでいいかな〜〜〜」

 

ねね「いつもの事ですからほっといていいのですぞ。それより守殿」

 

守「どうかしたの、ねねちゃん?」

 

ねね「いまさらですが、この辺りは司馬家の領土となっていますが、一刀殿は何故この様な事を?」

 

ねねが言っている事を説明すると呉覇の五家にはそれぞれ領土を与えられている

 

そう、領地では無く領土である

 

つまり、その土地で五家は何をしてもよいと言う事だ

 

言い換えるなら、勝手に軍を増強して他国に攻め込むこともできると言う事だ

 

極論を言うと、独立した国とも言え、言葉はおかしいが本国の首都建業にも攻め込むこともできる

 

今の時代、おかしいとは言わないがせっかく取り入れた土地を危険は無いにしても何故するのかと聞きたいのだった

 

此処で補足として五家に配属されている主な将の名前を上げておこう

 

孫家・・・・・孫親子、梨晏、雷火、粋怜、祭

 

周家・・・・・冥琳、穏、明命、月、詠

 

趙家・・・・・星、馬一族、燦、霞、

 

呂家・・・・・恋、亞莎、音々音、

 

司馬家・・・・司馬姉妹

 

残りの将は一刀の下で動いている事になるが、この領土は形だけの状態であり皆の認識は全て一刀が所有しており、一刀の指示に絶対に従うであった

 

守「ん〜〜〜〜どうしてって言われてもね〜〜。私も分かんない」ニコ

 

ねね「いや、笑顔で答えられても・・・」

 

守「私難しいことわかんないから、大体は上の四人がやってるし・・・・でも多分だけど理由は信頼だと思うよ」

 

ねね「しんらいですか」

 

守「うん。信頼。まぁ、信頼って言っても、皆されているから五家が特別って訳なんだろうけど・・・・何でだろうね〜〜」

 

ねね「ねねがそれを聞いているのですが・・・・」

 

ねねは頭を捻るだけだった

 

 

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時を同じくして陳留

 

 

 

此処でも同じことが起きていた

 

 

 

ソワソワ、ソワソワ

 

粋怜「大殿、落ち着かれたらどうだ?」

 

炎蓮「お、俺は落ち着いているぞ!ただ・・・・・そ、そうだ、水、水が飲みたかっただけだ!」

 

炎蓮は目についた水差しを取り湯呑に入れずそのままの飲みだしたのだった

 

雷火「炎蓮さま・・・・・流石にそれは苦しいと・・・・」

 

戦紀「涼刀が来るのが楽しみなんだから仕方ないよ」

 

粋怜「まあ、大殿がアレだけ出来愛していたしな・・・・そして自分から寂しいから会いに行くと言われたら喜びもするわね」

 

雷火「そうでしょうけど・・・・・・しかし、連絡から考えてそろそろついてもいい頃のはずだが・・・・・」

 

雷火がそうこぼすと

 

炎蓮「そうだよな!!やはり遅いよな!?こうしちゃ居れん、直ちに涼刀様を迎えに行く!!」

 

炎蓮は部屋から駆けだしていった

 

粋怜「またか。これで何回目だ?」

 

雷火「十・・・は超えたな。戦紀殿悪いが・・」

 

戦紀「うん。捕まえて来るね。流石に一番偉い人が急に居なくなったら駄目だしね・・・」

 

戦紀は今日で何度目かの炎蓮捕獲へと向かったのだった

 

 

 

 

郊外で

 

 

炎蓮「ウオオオオオオオオオ―――――――涼刀様!!!今、赤が迎えに・・・・・・ん?」

 

戦紀「ちょっと炎蓮さん、まってって?どうかしたの?いつもならこれから茶番が小一時間ぐらい続くのに?」

 

戦紀は立ち止まって動こうとしない炎蓮を不思議に思いながらそう言った

 

炎蓮「戦紀よ、あれは許緒じゃないか?」

 

戦紀「え?・・・・あ、ホントだ。でも何かおかしくない?」

 

戦紀はまだ遠くにいる季衣の姿を見て疑問に思っていると季衣が突然倒れるのが目に入ったのであった

 

炎蓮「何かあったな・・・・戦紀悪いが城に戻って治療の準備と皆に報告を頼む。俺は季衣を連れてくる」

 

戦紀「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき??

 

 

はやい物でこの話を書き始めて一年が経ってしまいました(笑)

 

最初はこんなに続いていくものとは思わずただ自分の思いついた話を書いていたんですけどね〜〜〜

 

この話も大体大詰めに来ていますし、まあ、良い事にします

 

この話も大きく分けて後大きな戦い?が3、4あるぐらいで、その間の補足入れるだけと簡単には言えるんですけど・・・・・あと何話書くのやら・・・・

 

お読みになっている読者様からのコメント、支援には大変うれしく感じています

 

これからもそれを励みに頑張って行きますので、如何か楽しんでくだされば幸いです

 

 

次回も多分、成刀の話だと思います

 

計画では成刀が救出されたら涼刀の方へとなる予定です

 

では待て次回

 

 

説明
投稿を始めて一年経ちました

こんなに続くとは自分自身驚きです

因みに投稿時間もあえて初投稿の時間と同じにしてみました(笑)
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コメント
あー、成刀に傷をつけた…細切れじゃなく粉々かな…(スネーク)
雛里は雛里なりに自分の失策の落とし前をつけた…という事になるのかな?そして、孔明が涼刀をどう扱うのか…どうなろうと結果碌な死に方はしなさそうですが。(mokiti1976-2010)
さてさて、親友が死んだのに軍師さんはどうするやら、また一刀のせいにするのかねぇ(未奈兎)
信じられないような情報を一刀に聞かされ、それでも主君や親友を信じた雛里の想いは無残にも……方法が拙かったようですね。もう民を大事になんてしていない漢を、楚が許しておくわけがない。碌に現実を見ようとしない劉備が、楚を許しておくわけもない。その程度のことが見抜けなかったあたり……いや、無理も無いのかな。(Jack Tlam)
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真・恋姫無双 成刀 雛里 喜雨 炎蓮  ねね 

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