恋姫英雄譚 鎮魂の修羅21
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司会「皆さん、お待たせいたしました!!!ついに始まりました冀州武闘大会!!!」

 

昨日、真直の言った通り、冀州の麗羽の城に隣接している闘技場にて武闘大会が催されていた

 

ちなみに司会は、眼鏡の女の子が務めている

 

一刀「(これまでも眼鏡をかけた人には何人か会ってきたけど、なんでこの時代に眼鏡なんてあるんだ?」

 

眼鏡の起源は、紀元前三世紀にまで遡るのでこの時代にも眼鏡が無いという事は無いであろう

 

しかし、この世界に来てから見てきた眼鏡は現代人が付けている眼鏡と遜色ない

 

そんなものを作るには相当な技術力が必要なはずなのに、本当にこの世界は三国志の時代なのかと疑わずにはいられない

 

一刀は、事前に麗羽に観客と同じ視点で観賞したいと言っていたので、観客の中に紛れ込んでいる

 

服装は、フランチェスカの制服ではなく無刀術の戦闘装束であるので目立つことは無い

 

司会「北は幽州から南は交州まで、大陸中から集まった腕に覚えのある猛者が最強の座を賭けて競います!!!」

 

観客達も歓声を上げて祭りを盛り上げるが

 

一刀「(おいおい、なんだありゃあ)」

 

闘技場の場外に居るのは、猪々子と悠

 

その二人が持っている看板に一刀は不快感を隠せない

 

声呼歓、掌鼓と書かれた番組スタジオのカンペのような代物を持っているのである

 

それが掲げられる度に観客達が歓声やら拍手などを巻き起こす

 

司会「それでは、試合開始に先立って、今大会の主催者をご紹介しましょう、冀州州牧にして超名門、袁家の頭首であらせられる、袁紹様!!」

 

そして、司会の女の子が麗羽の事を紹介すると、麗羽は闘技場奥の階段の上に設置されている豪華な椅子から立ち上がり大衆に向けて手を振る

 

麗羽「皆さん、私主催の武闘会へようこそ、今回は大陸中から集まった豪傑達の闘いを心行くまで楽しんでいってくださいね♪」

 

ここでも声呼歓、掌鼓の看板が掲げられそれに釣られるように観客達が一斉に歓声を上げ拍手を巻き起こす

 

一刀「(なるほど、昨日真直が言っていた麗羽の我が儘って言うのはこういう事か)」

 

麗羽の我が儘、これは比喩でも何でもなく文字通りの意味だった

 

全てが自分の思い通りにいかなければ気が済まない、世界は自分を中心に回っていると思っている

 

民の心を完全コントロールしようと画策する、これ見よがしこの上ない洗脳工作である

 

一刀のこれまでやって来た事も洗脳工作と批判する人も居るであろうが、あれと同じと評されるのは一刀としては心外も良い所であろう

 

一刀は純粋に平和の為に、この大陸の皆の事を考えて行動しているのだから

 

麗羽のやっている事は、自分の欲望を満したいだけの職権乱用、州牧という役職の役割を完全に忘れた暴挙である

 

一刀「(ったく、まずはあのお嬢様の性格から直さないといけないってか?)」

 

同盟の締結はスムーズにいきそうだが、相手があの麗羽では、いつ気まぐれや我が儘で同盟破棄されるか分かったものではない

 

必死になって結んだ同盟も長続きしなければ何も意味は無い

 

ちなみに真直は、裏方に回っている

 

麗羽「ありがとう、ありがとう♪名族袁家は代々「さあ、袁紹様からありがた〜いお言葉を賜ったところで、両選手入場で〜す!!!」っああもう!!最後まで言わせなさ〜〜〜い!!」

 

せっかくの演説を司会の子に阻まれ不貞腐れる麗羽であったが、試合は否応無く始まる

 

試合形式は夏の甲子園トーナメント、東と西の控室から選手が一人ずつ出て来るが

 

一刀「っ!!!??」

 

その選手に一刀は目を見開く、そこに居たのは

 

司会「東の組、天水からの参戦、現在武者修行中という華雄選手!!!」

 

銀の髪を携えた董卓軍の将軍だったからだ

 

一刀「(嘘だろ!!?いきなり知り合いが出て来るなんて思わなかったぞ!!)」

 

思いもよらないサプライズに一刀は唖然としていた

 

もちろん、これは麗羽達が狙ってやった事ではない、全くの偶然である

 

司会「これまでの大会では、各々の武器を持参する事が認められていましたが、今大会は趣向を変え訓練用の木剣、槍、並びに木の棒を用いての試合となります!!!」

 

華雄「まったく、こんな軽い棒では武器を持っている気がせん!!」

 

自慢の戦斧、金剛爆斧を取り上げられ、不快感を隠せない華雄だったが

 

司会「ちなみに今大会では、武芸の基礎を見るうえでこのような形式を取っております!!!訓練用の武器でどこまで立ち回れるかも武人の腕の見せ所です!!!」

 

華雄「・・・・・そう言われれば是非もない、我が武をしかとその魂魄に刻み込め!!」

 

これも武人としての性であろうか、司会の挑発する様な言動に心に火が灯る

 

司会「対しまして、西の組、槍の名手と名高い無名の選手ですが・・・・・」

 

斗詩「第一試合開始!!!」

 

そして、面倒臭い部分を省略する形で舞台の中央で審判をする為に予め陣取っていた斗詩が試合開始の合図を出す

 

バシィッ!!!

 

「きゃあああああ!!!!??」

 

斗詩「そこまで、勝者華雄!!!」

 

当然と言うかなんというか、無名の選手と現役の将軍では格の違いが歴然であろう

 

自身の棒を弾き飛ばされ、無名の女選手は仰向けに倒れた

 

華雄「ふんっ!!あと十年修行して出直して来い!!」

 

そして、片方のトーナメント第一試合が終わりもう片方の第一試合が開始される

 

司会「さあ、今度は荊州南陽から参戦、こちらも現在武者修行中という太史慈子義選手です!!!」

 

一刀「(なんだと!!!??)」

 

またもや知り合いが現れた事に一刀は愕然とする

 

栗色の髪に花の髪飾りをあしらい、三つ編みを左肩に乗せ、露出度の高く腰に犬の尻尾の様な装飾をブラさげた服に身を包んだ黄緑色の瞳の女性は、間違いなくあの太史慈だった

 

梨晏「う〜〜〜ん、こんな大会初めてだから緊張しちゃうな〜」

 

戟の代わりに木の棒を握り、梨晏は緊張した面持ちで舞台に上がる

 

司会「対するは、今大会優勝候補の一角に上がっている、鉞使いの鉄牛選手!!!」

 

舞台の反対側から身長二mを超えるのではないかというくらいの大男が訓練用の木の大剣を持って上がって来た

 

鉄牛「ふん、確か孫堅軍の将軍の一人だとかいうじゃねえか、こんな小娘が将軍をやってるんじゃ孫堅も噂程じゃないな」

 

梨晏「かっち〜〜〜ん、禁句を言ってくれちゃったね、君」

 

鉄牛「思った事を口にして何が悪い・・・・・それにしても色っぽいな、将軍なんか止めて俺の女になれや♪」

 

梨晏「ざ〜〜んねん、君、私の好みじゃないから・・・・・それに大殿様の悪口を聞いて私が黙っているとでも思う?」

 

鉄牛「なら力ずくで組するまでよ!」

 

斗詩「試合開始!!」

 

鉄牛「おらああああああああああ!!!!」

 

力任せの荒業で鉄牛は木の大剣を振り降ろす

 

梨晏「ほいっと」

 

しかし、動きが単調過ぎて軽く避けられてしまう

 

鉄牛「おのれちょこまかと!!!」

 

薙ぎ払う形で大剣を横に振るうが

 

梨晏「そりゃあ!」

 

ガキイッ!!

 

鉄牛「うぐああああ!!!??」

 

それを綺麗に躱し、弁慶の泣き所に棒の先端を直撃させる

 

これは痛い、どんなに鍛えた大男でもしっかりとした防具を身に着けない限り、人体急所を隠す事は出来ない

 

梨晏「もう終わり?つまんないな」

 

脛を摩り、のた打ち回る鉄牛に梨晏は追い打ちをかける

 

ズガシィッ!!!

 

鉄牛「ごああああああああ!!!!」

 

なんと、梨晏は鉄牛の体の下に棒を潜り込ませテコの原理を利用し、その巨体を放り投げたのだ

 

あの細腕のどこにそんな力があるのだろう

 

場外に落下した鉄牛は白目をむき気絶していた

 

梨晏「これに懲りたら、もう二度と大殿様の悪口を言うなよ・・・・・って、聞こえてないか」

 

斗詩「場外!!勝者太史慈!!」

 

それを合図に猪々子と悠が看板を掲げ、それと同時に観客達が歓声を上げる

 

一刀「(まったく、これじゃあ皆操り人形も良い所じゃないか)」

 

これでは恐怖政治と変わらない

 

心の底から催しを楽しむことが出来ない

 

これではいつか民達の不満は爆発し、またもや内乱が頻発してしまうのは目に見えている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、当然の如く華雄と梨晏は決勝にまで駒を進めてきた

 

司会「ついに来たあああああ!!!待ちに待った決勝戦!!!董卓軍将軍と孫堅軍将軍の一騎打ちが、まさかこんな大会で拝めようとは思いもしませんでした!!!」

 

華雄「ふん、当然だ」

 

梨晏「この程度の大会で優勝できないんじゃ、孫堅軍の将軍なんて務まらないよ〜〜だ」

 

華雄「私もまさか、あの太史子義が参加しているとは思わなかったぞ」

 

梨晏「それはこっちの台詞ですよ、まさか官軍の将軍様が参戦しているなんて思わなかったです」

 

華雄「勘違いしてもらっては困る、私は確かに漢から将の栄誉を賜っているが、私は私自身が董卓様の将であると自負している」

 

梨晏「そうですか、でもどうして華雄さんがこんな大会に出場しているんですか?」

 

華雄「聞いているように武者修行だ・・・・・貴殿こそ何故このような所に居る?」

 

梨晏「似たようなものですよ、華雄さんと・・・・・そろそろ始めましょうか?」

 

華雄「うむ、孫堅軍の太史子義の力、見せてもらおう」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

梨晏「あ、うええ!!?どど、どうしてそんなに睨むんですか!!?これ試合ですよ、戦場じゃないんですよ!!」

 

いきなり今大会で一番の殺気を醸し出す華雄に梨晏は何事かと思ってしまう

 

華雄「なに、貴殿個人に恨みは無いのであるが、貴殿が所属している孫堅軍に黄巾の時に煮え湯を飲まされたことがあってな」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

梨晏「あ〜〜〜、あの時ですか・・・・・こっちもすまないとは思ってますけど、華雄さんって結構しつこい人なんですね」

 

華雄「貴様、全くすまないと思ってないだろう!!?」

 

梨晏「そそ、そんな事ないですよ!華雄さんが小さい事で根に持つ人だなんて思ってません!」

 

華琳「やはり孫堅の将とは相容れないようだ、叩き潰してくれる!!!」

 

梨晏「わ〜〜〜〜ん、藪蛇だった〜〜〜〜!!!」

 

斗詩「試合開始!!」

 

華雄「せりゃああああああああ!!!」

 

梨晏「おりゃああああああああ!!!」

 

カキイイイイイイン!!!

 

そして、お互いの武器がぶつかり合う

 

華雄は戦斧の使い手、梨晏は戟の使い手であるので用いるのは同じ訓練用の木の棒である

 

しかし、両者の戦闘スタイルは明らかに違っていた

 

華雄の棒捌きは、戦斧を意識した力でねじ伏せるタイプ

 

梨晏は、フットワークを生かし、小技を織り交ぜた変幻自在タイプ

 

どちらが優れているかと問うのは無粋であろう、華雄のスタイルは乱戦の中では無類の威力を誇る

 

有無を言わさぬ力技で数人を一度に薙ぎ倒せるからである

 

一方梨晏は、あらゆる状況に対処可能なバランス重視

 

そのスタイルは、威力こそ劣るものの素早い動きで相手を翻弄できる

 

華雄「くう、いい加減当たれ!!」

 

梨晏「無茶言わないで下さいよ!!そんなの当たったら痛いに決まってるじゃないですか!!」

 

素早い動きで間合いを測る梨晏だが一撃必殺の華雄の豪撃を嫌い懐に入れない

 

鋭くも力強い小技で攻撃を仕掛けるが、華雄の防御を崩せない

 

一方華雄は、一撃必殺の豪撃を幾度も繰り出すが、梨晏の素早い動きを捉えきれない

 

お互いに決め手を見つけられないまま一刻が経とうとしていた

 

麗羽「そこまでですわ!」

 

その時、業を煮やした麗羽が試合を止める

 

麗羽「この勝負、引き分けとしますわ!」

 

華雄「なに〜〜〜〜!!!?それはどういうことだ!!!?」

 

梨晏「なんでなんで!!?これからが良い所なのに!!」

 

麗羽「このままでは夕の刻になってしまいそうですわ、時間の関係上、これ以上続けさせる訳にはまいりません!」

 

梨晏「そんなの納得いかないよ〜!!!」

 

華雄「そうだ、武人として決着を付けさせろ!!!」

 

麗羽「ええそうでしょうとも、武人として両者納得がいかないでしょう・・・・・よって、ここで別の取り決めを使わせていただきたいと思います」

 

斗詩「あの、麗羽様、そんなものありましたっけ?」

 

麗羽「ありませんわよ、今作りましたわ♪」

 

斗詩「ですよね〜〜・・・・・」

 

猪々子「あ〜〜〜〜・・・・・」

 

悠「麗羽らしいっちゃらしいがな♪」

 

いつもの如く、といった感が三人からヒシヒシと伝わってくる

 

麗羽「お二人とも素晴らしい武芸をお持ちですわ、それはもう十分に見させていただきました・・・・・そこでお二人には一人ずつあるお方と試合をしていただき、そのお方に勝った方を優勝としますわ」

 

一刀「(おいおい、ちょっと待て!)」

 

斗詩「麗羽様、まさか!!?」

 

麗羽「ええ・・・・・ただいまこの冀州に幽州の宰相、天の御遣いこと北郷一刀さんが来ていらっしゃいますわ♪」

 

華雄「な、なにいいいいいいい!!!??」

 

梨晏「ええ!!?あの人がいるの!!!??」

 

司会「ななななんと、これは驚きです!!!まさかここに乱世を沈めると予言された、かの天の御遣い北郷一刀様がいらっしゃるとは、私露とも思っていませんでした!!!」

 

一刀「(やっぱりな)」

 

その言葉を聞いて一刀は憂鬱になってくる

 

麗羽「では、観客の中に居る一刀さん、いらっしゃ〜〜〜い♪」

 

そして、麗羽の言葉を元に周りの観客達がざわめきだし、これは最早逃げられないと悟った

 

一刀「・・・・・っ!!」

 

そして、観客の中から凄いジャンプ力で一刀は舞台に降り立った

 

華雄「な、北郷!!!??」

 

梨晏「うそ、本当に居るなんて・・・・・」

 

司会「おおおおお〜〜〜〜!!!!あれが噂の天の御遣い、北郷一刀様!!!!私も初めて見ました!!!!私、こんなにも興奮したのは初めてかもしれません!!!!」

 

そして、驚く二人の脇を通り抜け、一刀は麗羽を見上げた

 

一刀「麗羽、この二人と試合をするには一つだけ条件がある」

 

麗羽「条件ですか?」

 

一刀「ああ、猪々子と悠が持っている看板、あれを撤去してくれ」

 

麗羽「何故ですの?」

 

一刀「あんな物があっちゃ、皆が心から楽しめない、邪魔なだけだ」

 

麗羽「な〜〜〜にを言っていますの?いつ声を上げればいいか、いつ手を叩けばいいかを親切に教えてあげているだけではないですか」

 

一刀「それが余計なんだよ・・・・・それに皆が自然に喜ぶのを受け入れるのも州牧としての役割なんじゃないのか?」

 

麗羽「・・・・・そう言われては是非もありませんわ、猪々子さん、悠さん、しまっておしまいなさい」

 

猪々子「おおやった〜〜、ずっと手を上げてたから、肩凝ってしょうがなかったぜ〜♪」

 

悠「やっり〜〜、一刀の試合を見れるぞ〜♪」

 

そして、看板を放り出し猪々子と悠は麗羽の両隣に陣取った

 

華雄「待て、こ奴を相手にこんな棒きれでは心許無い、私の武器を返してもらおう!」

 

梨晏「そうだよ、この人相手に訓練用の武器じゃ玉砕確定だよ〜!」

 

麗羽「・・・・・よろしいですか、一刀さん?」

 

一刀「まぁ、俺としては否と答えたいけど、この二人は納得しないだろうし、今回は特別に付き合ってやる」

 

華雄「よくぞ言った北郷!!私の武器を持ってこい!!」

 

梨晏「よ〜〜〜し、私張り切っちゃうんだからね♪」

 

そういった事で張り切らないでくれと言いたいが、状況は待ってくれない

 

この城に仕える侍女達から意気揚々と自分達の武器を受け取る二人

 

華雄「では、私が先に行かせてもらうぞ!」

 

梨晏「う〜〜〜ん、私が先って言いたいですけど、華雄さんは漢の役職を貰ってるし、譲るしかありませんね」

 

華雄「ふふ、悪いな♪・・・・・北郷よ、かつて洛陽でした約束事を覚えているな」

 

一刀「ええ、覚えてますよ・・・・・まさかこんな形で実現するとは思っていませんでしたけど」

 

華雄「同感だ」

 

一刀「休まなくて大丈夫ですか?さっき太史慈と立ち回ったばかりですし」

 

華雄「気遣い無用、あのような軽い武器では、振るっているうちに入らん・・・・・約束通り、私が満足ゆくまで付き合ってもらうぞ♪」

 

一刀「本当にお手柔らかに頼みます・・・・・」

 

そして、華雄は金剛爆斧を振りかぶる形で構え、一刀は左足を半歩前に出しやや腰を落とす

 

司会「さあ、とんでもないことになってきました!!!栄えある決勝戦で、このような大どんでん返しが待っていようとは思ってもみませんでした!!!華雄将軍は本来の自分の武器、戦斧を携えているのに対し、北郷一刀様は腰に剣を携えているようですが、それ以外は完全に素手です!!!噂によりますと天の御遣い北郷一刀様は、武器の類を一切使わないそうですが、その武芸はいかほどのものか!!!?」

 

斗詩「では・・・・・試合、開始!!!」

 

華雄「うおおおおおおおおお!!!!」

 

いきなり華雄は金剛爆斧を横薙ぎにし、一刀の腹を掻っ捌きに来る

 

ガシイイイイイイ!!!

 

華雄「何!!?」

 

一刀「ぐうううう!」

 

しかし、一刀はそのくらえば即死、上半身と下半身が泣き別れになるであろう金剛爆斧の豪撃を両腕の前腕で白刃取る

 

華雄「ぬうううううう!!!」

 

一刀「くうううううう!!」

 

いきなり力比べの攻防に

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

会場は総立ちになる

 

華雄「むうううう!・・・・・なかなかの功夫を持っているではないか」

 

一刀「ぐううう!・・・・・お褒めに与り光栄です」

 

華雄「だが、技術ではどうかな!!!?」

 

一刀「うおっ!!?」

 

一刀を金剛爆斧ごと持ち上げ投げ飛ばす

 

綺麗に着地するが、そこに華雄が追撃を仕掛ける

 

華雄「せりゃああああああ!!!」

 

今度は、力重視から技重視に移行する

 

速さに重きを置き、連撃を一刀に浴びせ掛ける

 

一刀「ふっ!!」

 

シュバババババ!!!

 

華雄「くっ!!速い!!」

 

縮地を駆使し、華雄の連撃を紙一重で躱していく

 

梨晏「うわ、速いなあの人・・・・・」

 

猪々子「うおすげぇ!!悠姉並みに速いんじゃないか!!?」

 

悠「いや、あれでもまだ本気で走ってないぜ」

 

麗羽「うわぁ〜〜〜お、素晴らしいですわ、一刀さん♪」

 

外から観覧する一同も一刀の動きに感嘆の念を拭えなかった

 

一刀「しっ!!」

 

ガシィッ!!!

 

華雄「ぐっ!!」

 

そして、華雄の連撃を躱していく過程で懐に入り込んだ一刀は、華雄の左足にローキックを叩き込む

 

その芯に響く強烈な打撃に華雄の腰が一瞬落ちるが

 

華雄「くうう・・・・・うおおお!!!」

 

足を踏ん張り金剛爆斧で薙ぎ払いをする華雄

 

一刀「ふっ!」

 

華雄「ぬっ!!?」

 

今度は体を仰け反らせ、その一閃を躱す

 

一刀「しぃっ!!」

 

そして、右手を舞台に付け右腕だけで体を浮き上がらせ、がら空きになった華雄の顔面に左足を振り上げる

 

華雄「くっ!!」

 

この蹴り上げを、背を仰け反らせ、頬スレスレで躱す

 

華雄「もらった!!!」

 

返す刀の如く、金剛爆斧を返し一刀の頭に叩き込もうとするが

 

ゴガンッ!!!

 

華雄「があっ!!!??」

 

いきなり頭に衝撃が襲い掛かり華雄の意識が霞む

 

振り上げた左足がそのまま帰ってきて華雄の後頭部に踵落しが炸裂したのだ

 

金剛爆斧を落としてしまい、華雄は舞台の上を盛大に転げ回った

 

梨晏「うわ、えげつな」

 

猪々子「うひ〜〜、あれは痛いぜ」

 

悠「ああ、あれは初見じゃなかなか躱せないな」

 

華雄「ぐううう・・・・・なんだ、何が起きた・・・・・」

 

グラつく意識を奮い立たせ立ち上がる華雄

 

一刀「へぇ〜〜、朧をくらって立ち上がる人には初めて会いましたよ」

 

この技は、相手を殺す為の技ではないが、大抵の相手なら気を失わせることが出来る

 

将軍職に就いているだけあって、そん所そこらの人間とでは鍛え方が違うのであろう

 

一刀「どうします?まだ続けますか?」

 

華雄「くぅぅ・・・・・無論だ、まだ私は満足していないのだ、最後まで付き合ってもらうぞ」

 

そして、金剛爆斧を拾い構え直すが、まだ意識が朦朧としているようだ

 

当然、このチャンスを一刀は逃さない

 

一刀「ふっ!!」

 

華雄「くっ!!」

 

縮地で間合いを一気に詰める一刀に対しそれに合わせて金剛爆斧を振るうが

 

ガシィッ!!

 

華雄「ぐっ!!!」

 

金剛爆斧を振り切る前に、一刀の蹴り当てが華雄の右の小手に決まる

 

小手の急所の一つに衝撃が走り腕が痺れて力が入らなくなる

 

一刀「はあっ!!!」

 

ドシンッ!!!

 

華雄「くはあっ!!!」

 

腹部に一刀の掌底が決まり、華雄は吹っ飛ばされる

 

華雄「ぐふあっ!!!・・・・・まだまだ!!!」

 

倒れた体をすぐさま起こし、再び一刀に挑み掛かろうとするが

 

斗詩「場外!!勝者、北郷一刀様!!」

 

華雄「なにいっ!!!??」

 

気が付けば、自分は舞台の外に居た

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

司会「凄い!!!戦斧を持った華雄選手を素手で圧倒しました!!!噂は本当です、やはりあのお方は天の御遣い様です!!!」

 

看板も何も関係なく、観客と司会の女の子は興奮状態だった

 

華雄「くぅぅ・・・・・不覚!」

 

一刀「大丈夫ですか?」

 

舞台の上から見下ろすようにして自分を窺ってくるが、不思議と怒りは湧いてこなかった

 

華雄「・・・・・心配無用、この程度で気を削がれるほど軟弱ではない・・・・・世は広いな、私もまだまだだという事を痛感させられた」

 

一刀「そうですか・・・・・稽古が必要な時は言って下さい、自分もこの冀州に居る間は付き合いますから」

 

華雄「それはありがたい、ぜひ頼む♪」

 

そして、華雄は場外の隅に移動し次の試合の見物人となるのだった

 

梨晏「うお〜〜〜〜!!!燃えて来たぞ〜〜〜〜!!!」

 

他人の目など気にせず紅の愛戟を掲げテンションを上げまくる梨晏

 

どうやら華雄と一刀の試合を見て触発させられたようだ

 

一刀「おいおい、なんでそんなに好戦的なんだよ、こっちは争い事は好まないのに」

 

梨晏「だってあんなの見せ付けられちゃったら誰だって興奮しちゃうよ、御遣い君だって本当は戦いたくてしょうがないくせに♪」

 

一刀「人聞きの悪い事を言わないでくれ、俺はあくまで平和主義者だ」

 

梨晏「だったら、私が戦いの楽しさって奴を教えてあげるよ♪」

 

そして、梨晏は愛戟を肩に担ぎ、一刀は華雄の時と同じ構えを取る

 

司会「さあ、泣いても笑ってもこれが最後、今大会最後の試合が始まります!!! 華雄選手を下した北郷一刀様!!!対するは江東の勇者、太史子義!!!」

 

斗詩「始め!!!」

 

梨晏「しぃっ!!」

 

いきなり愛戟による連続突きを繰り出す

 

一刀「ふっ!!」

 

それを縮地法で回避する一刀だが

 

一刀「(くっ!避け辛いな、この戟の形が厄介だ!)」

 

梨晏の振るう、まるで北欧神話のポセイドンが持っている三叉戟のような戟に翻弄される

 

形が歪なので大きめに避けなければ、薙ぎ払いで首を飛ばされてしまいそうである

 

梨晏「はは、やっぱり速いね♪これはうちの明命や思春や鴎以上だよ、あの三人が束になっても敵わないはずだよ♪」

 

一刀「どうかな、あの時三人は俺を殺す気で向かって来た訳じゃないし」

 

梨晏「それでも、うちの将が三人がかりでも捕まえられなかったんだから、自信を持っていいよ♪」

 

一刀「そりゃどうも・・・・・」

 

梨晏「・・・・・う〜〜〜〜ん、どうにも煮え切らないみたいだね」

 

一刀「知っているだろ、俺は争い事は嫌いだって」

 

梨晏「そんなに強いのに、なんでそんな考え方しかしないのかな?勿体ないよ」

 

一刀「俺は平和の為に、この大陸に居る皆の為に行動しているんだ」

 

梨晏「皆の為・・・・・」

 

一刀「そう、皆の為だ」

 

梨晏「ふ〜〜〜〜ん、その皆には私も入っているのかな♪」

 

この時、梨晏は試す様な言葉使いの冗談混じりで聞いてみたのであるが

 

一刀「もちろんだ」

 

梨晏「え?」

 

帰って来た答えに、梨晏は驚き混じりの素っ頓狂な声を上げる

 

てっきり彼の事だから『人殺しに分け与える温情なんて無い』という類の言葉が出てくると思っていたのにだ

 

一刀「俺は、この大陸の皆が安らかに暮らせる体制を作りたい、その為に俺は、今の腐敗した王朝を改善し、二度と大陸の皆が重税に苦しむ事が無い様にしたいんだ・・・・・そして、それは君達にも言える事、君達が今後二度と人を殺さなくてもいい、憎しみ合わなくてもすむ、そんな仕組みを俺は作って見せる」

 

梨晏「・・・・・・・・・・」

 

彼の力強い言葉使いは、伊達や酔狂などの類が一切感じられない

 

梨晏は、一刀の中にかつて雪蓮の中に見出した英雄としての気質を、王としての器を感じ取っていた

 

梨晏「・・・・・私、君の事が少しだけ分かった気がする」

 

一刀「太史慈・・・・・」

 

梨晏「梨晏でいいよ、私の真名を受け取って」

 

一刀「・・・・・俺には真名が無い、だから北郷か一刀と呼んでくれ、梨晏」

 

梨晏「うん、よろしく、一刀♪」

 

そして、梨晏の戟が再び一刀を襲う

 

一刀「くっ!!ちっ!!」

 

徐々に戟が一刀を捉え始め、戦闘装束に切れ目が刻まれていく

 

梨晏「せりゃあ!!!」

 

ドカッ!!!

 

一刀「くっ!!」

 

戟を振るうと同時に蹴り当ても使い一刀に猛攻を浴びせる

 

左後ろ回し踵を防御し耐えるが、続け様に襲い来る戟を完全に躱しきれない

 

司会「お〜〜〜〜と、華雄選手を圧倒したというのに、どうしたことか北郷一刀様!!!」

 

華雄「ふむ、太史慈め・・・・・私と北郷の試合を見て北郷の動きに慣れていたな」

 

猪々子「おいおい、アニキ、押されっ放しじゃないか!」

 

悠「一刀、お前の力はそんなものじゃないだろう」

 

麗羽「あらあら、一刀さん、やられてしまうんですの?」

 

予想外に苦戦している一刀に一同に不安が付きまとう

 

ガキィッ!!!

 

一刀「ぐっ!!」

 

ついに戟の反対側の石突きが一刀に命中する

 

腕を交差させ、これを防ぐが、梨晏は戟を押し付け一刀を抑え込み縮地を封じようとする

 

梨晏「どうしたの、一刀、この程度で根を上げるの♪」

 

舞台の淵まで一刀を追い込んだ梨晏は、勝利を確信したような笑みを浮かべるが

 

一刀「・・・・・梨晏こそ、俺を相手にここまで間合いを詰めてもいいのか?」

 

梨晏「え?・・・・・うわっ!!??」

 

次の瞬間、梨晏の視界が上下逆転する

 

戟を綺麗に受け流し、梨晏の腕を取り、足払いで体を宙に浮かせる

 

梨晏「くっ!!このぉ!!」

 

舞台に仰向けに倒れ込み、起き上がろうとするが、それを一刀は許さない

 

戟を持つ右手を封じ、柔道の抑え込みの要領で、梨晏の動きを封じようとするが

 

ムニュムニュ

 

梨晏「きゃあっ!!?どこ触ってるのよ、一刀の変態!!//////////」

 

一刀「違う、これはそういう技じゃない!!///////」

 

関節技で梨晏の動きを封じる算段だったが、腕が梨晏の形の良い豊満な双乳に当たりその感触が伝わってくる

 

仰向けからうつ伏せに梨晏の体をコントロールする一刀だったが

 

ムギュムギュ

 

梨晏「あん?もう、一刀ってば真名を預けたばっかりでそういう事しちゃう訳ぇ?////////」

 

一刀「違うっつ〜〜の!!/////////」

 

ぎりぎりぎりぎり!

 

梨晏「いだだだだだだだ!!!」

 

無刀術、訃の楔、金獅子縛

 

うつ伏せ状態の相手の片足を自分の足で固定し、もう片足を自分の肩にかけ、持ち上げる事によって、相手の内股の関節を破壊する技である

 

うつ伏せ状態で完全に足を極められた梨晏は、戟を振るおうとするが、その戟も一刀に足で踏みつけられているので使えない

 

地面を手で叩く事以外、何も出来なかった

 

梨晏「痛い痛い!!!ってこれ下着丸見えなんじゃないの!!?/////////」

 

そう、現在の梨晏は、鯱の様に背をくの字に曲げられ、股を全開に開かされ股間を完全に大衆に晒している体勢だった

 

ちなみに黒である

 

梨晏「きゃああああああ痛い痛い痛い!!!降参、降参だよおおおおお!!!/////////」

 

内股の関節の痛みと羞恥心で、梨晏はギブアップを宣言した

 

斗詩「し、勝者、北郷一刀様!!!/////////」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

司会「素晴らしい!!!江東の猛者と言われる太史慈をまたもや素手で圧倒した北郷一刀様!!!最後の技は・・・・・かなりいやらしかったですが、これも噂に聞く北郷流無刀術の真骨頂か!!!/////////」

 

こういった大会では珍しいTKOを奪った一刀に、称賛の嵐が吹き荒れるが

 

梨晏「うううう〜〜〜〜、一刀の馬鹿ぁ〜〜〜〜〜!!!///////////」

 

一刀「うおっ!!?なんだ!!?」

 

関節技から解放された梨?は、すぐさま一刀に噛み付いた

 

梨晏「こんな大衆の面前であんな恥ずかしい格好させて、私に何の恨みがあるんだよ〜〜〜!!!??//////////」

 

涙目で一刀に駄々っ子パンチをポカポカ浴びせる梨晏

 

一刀「あた、あたたた!!ごめんごめん!!でもあれくらいしないと梨晏は参ったって言わないだろう!!?」

 

梨晏「そんな言い訳聞きたくないよ、お嫁に行けなくなったらどうしてくれるんだ〜〜〜〜!!!/////////」

 

羞恥心の余り、梨晏は自分でも何を言っているのか、半分ほど理解していなかった

 

一刀「分かった分かった!!嫁に行けなくなったら俺が責任取るから!!」

 

梨晏「・・・・・え?」

 

この言葉を聞いて、梨晏の手が止まる

 

一刀「だから、嫁に行けなくなったら、俺が梨晏を貰ってやるって言ってるんだ」

 

梨晏「・・・・・/////////////」

 

完全に固まり、顔を真っ赤にする梨晏

 

司会「なななななんと、前代未聞の事態が起こりました!!!ここで天の御遣い様が太史慈選手に求婚を迫りました!!!長い事この大会の司会を担当してきた私ですが、このような事は初めてです!!!/////////」

 

斗詩「ちょっと、一刀様、本気なんですか!!?//////////」

 

猪々子「うひょ〜〜〜、アニキ、漢だぜ〜〜〜♪」

 

悠「やるじゃね〜か、一刀〜〜♪」

 

嵐「おいおい、何を考えているんだ、北郷!!?//////////」

 

麗羽「ちょっと一刀さん、今は武闘大会の最中ですわよ!!そのような艶事は他所でやって下さいな!!////////」

 

一刀の言動に、会場はお祭りムード真っただ中に陥っていく

 

梨晏「まままま、待って!!今の言葉は取り消す、取り消すから!!/////////」

 

一刀「え、あ、なんで?」

 

梨晏「ししし失言だったって思ったからだよ!!だから忘れて!!/////////」

 

一刀「あ、ああ・・・・・」

 

梨晏「////////////////」

 

よくよく考えてみれば、ついさっき真名を預けた人間と恋仲になるなどどうかしている

 

そして、内股を痛めた梨晏は、一刀に肩を貸してもらい舞台から降りたのだった

 

麗羽「素晴らしい試合でしたわ、本日の大会はこれでおひらきです、皆さん半年後にまたお会いいたしましょう♪」

 

そして、気持良く閉会の言葉を述べる麗羽であったが

 

真直「まったく・・・・・何をやっているんですか、麗羽様」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

麗羽「わあ!!?真直さん、いつからそこに!!?」

 

後ろを振り返ると、そこには物凄く不機嫌そうな真直が居た

 

真直「麗羽様が北郷殿を大会に参加させようと嗾けた時からです・・・・・何を考えているんですか?北郷殿は今同盟の盟主、その人物に何かあったら幽州との関係は破局、それどころか大将軍及び、帝を敵に回す事になるんですよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

その形相に、麗羽は冷や汗ダラダラだった

 

真直「ですから、今後このような事は決してしないで下さいね、約束ですよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

麗羽「は、はい、お約束いたしますわ・・・・・」

 

その普段の物静かな真直からは想像も付かない殺意にも似た威圧に、麗羽は二つ返事で了解を唱えるしかなかった

 

そして、今大会は一刀が勝ってしまった事もあり、優勝者無ということになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「皆さん、私の我儘に付き合って頂いたお礼と謝罪を兼ねて、今宵はご馳走を用意しました、たんと召し上がってくださいませ♪」

 

華雄「おおおお、これを全部食べてもいいのか!!?」

 

斗詩「はい、ご迷惑をお掛けしてしまいましたし、これくらいはさせて下さい」

 

夕方になり、一刀、華雄、梨晏は玉座の間に招かれていた

 

三人の目の前には、沢山の豪華な中華料理が並んでいた

 

華雄「がつがつがつがつ!!!」

 

猪々子「おお、良い食いっぷりじゃん♪」

 

悠「酒も沢山あるぞ、じゃんじゃん飲んでくれ♪」

 

さっそく、それらのご馳走に食らい付く華雄であったが

 

一刀「う〜〜〜ん、気持ちは嬉しいけど、こんなに食べれないぞ」

 

基本的に小食な一刀は目の前に並べられたご馳走の山に困っていた

 

梨晏「うう、美味しそうだけど、まだお股が痛くて食べられそうにないよ・・・・・」

 

内股を摩り、痛みを逃がそうとする梨晏だったが、無刀術訃の楔は相手に確実に致命傷を与える、文字通り死を宣告する技である

 

完全に破壊しないよう加減したとはいえ、内股からやってくる激痛に梨晏は食べ物に手を触れられないでいた

 

一刀「大丈夫か、梨晏?」

 

梨晏「大丈夫・・・・・とは、お世辞にも言えないかも・・・・・」

 

隣の椅子に座っている梨晏は、内股を痛そうに摩り続けていた

 

一刀「・・・・・ちょっと見せてみろ」

 

サワサワサワサワ

 

梨晏「ひゃあん?いきなり何するんだよ!!?//////////」

 

突然一刀に太腿を触られ、梨晏は艶めいた声を上げる

 

一刀「いいから、俺に任せろ」

 

梨晏「う・・・・・うん//////////」

 

その真摯な眼差しに梨晏は黙って従った

 

太腿を這う形で内股に優しく手を沿えていく

 

一刀「ここだな・・・・・ふっ!」

 

次の瞬間、一刀の掌から青白い氣が溢れる

 

梨晏「(あ、暖かい)/////////」

 

太腿全体に一刀の氣が満遍無く行き届いていく

 

一刀「・・・・・どうだ?」

 

梨晏「・・・・・凄い、殆んど痛みを感じなくなったよ!」

 

一刀「よし、食べられるか?」

 

梨晏「うん、ありがとう、一刀♪」

 

そして、梨晏もご馳走にかぶりついた

 

一刀も用意された料理を口に運び、酒を喉に流す

 

一刀「ふぅ・・・・・ところで、華雄さんはどうして武者修行をしているんですか? 」

 

華雄「ん、ああ、その事か・・・・・黄巾の乱で、私は自身の力不足を感じてな、董卓様から旅をするお許しを頂き、ここまで来て、偶然この大会の事を知り腕試しをしていたんだ」

 

一刀「天水を留守にして大丈夫なんですか?」

 

華雄「心配無用、天水は黄巾が暴れたこの河北からは大分離れているからな、黄巾による被害は皆無であるし、太守であらせられる董卓様はとても寛容なお方で素晴らしい善政を敷いている、国が乱れるなどありえない」

 

一刀「そう、ですか・・・・・」

 

やはり、洛陽で出会った月と史実の董卓は全くの別人と考えて間違いなさそうだ

 

一刀「梨晏はどうなんだ?今の南陽は忙しい時期だろ?」

 

梨晏「ん・・・・・大丈夫、大丈夫♪なんだか最近袁術ちゃんが凄く大人しくなっちゃって、嫌がらせもしてこないし、むしろこっちの復興の資金援助もしてくれているから、だから大殿様から暇をもらって、こうして見聞を広めているってわけ♪きっとこれも、一刀が袁術ちゃんといろいろお話をしてくれたおかげだね、本当に助かったよ♪」

 

華雄「しかし、それは北郷も同じであろう?幽州の実質的な州牧と言っても過言ではないお主が、こんな所で何をしているのだ?」

 

梨晏「うん、私も聞きたかったよ、こんな所で油を売ってていいの?」

 

一刀「油を売りに来たんじゃなくて、同盟を結びに来たんだよ」

 

斗詩「ちょっ、一刀様!!?」

 

真直「そんな、大事な同盟の情報を他国の人間に明かさないで下さい!」

 

いきなり盟主自らの同盟漏洩に冀州の良心達は目を見開く

 

一刀「構わないさ、どうせすぐに分かる事だし、今だろうと後だろうと変わらないよ」

 

斗詩「・・・・・・・・・・」

 

真直「・・・・・・・・・・」

 

器が大きいのか馬鹿なのか、一刀の器量を測りかねる斗詩と真直だった

 

猪々子「いいじゃん、気に入ったぜアニキ、下手に隠すよりばーーーーっとばら撒いちまった方がすっきりするぜ♪」

 

悠「ああ、あたしも一刀のそういう所が好きだぞ♪」

 

麗羽「別によろしいではありませんか、一刀さんがそれで良いと仰るのであれば♪」

 

一刀「それで、俺はこれから他の州にも足を運んで其々の州に合った同盟を結びたいと思っているんだ」

 

梨晏「・・・・・面白そうかも、ねえ一刀、私も一緒に行っていい♪」

 

華雄「私もぜひ同行したい、北郷との稽古を長く続ける絶好の機会だ♪」

 

一刀「・・・・・俺は別に構わないけど、俺はこれから国中を回る予定だから、安く見積もっても一月は軽く掛かるぞ」

 

華雄「それくらいなら一向に構わない♪」

 

梨晏「うん、いい具合に見聞を広められそう♪」

 

一刀「分かった・・・・・でも、まだ同盟を結んでいる最中だから、あと二、三日はここに居る予定だ」

 

梨晏「全然いいよー♪むしろこんな美味しい料理が食べられるんなら大歓迎だよー♪」

 

華雄「うむ、世話になるぞ♪」

 

猪々子「おう良いぜ♪こっちも稽古の相手が出来て願ったり叶ったりだ♪」

 

悠「あたしも一刀とは手合せをしたかったからな、歓迎するぞ♪」

 

そして、其々が其々と談話を交わし合い、冀州の夜は更けていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

いきなり華雄と梨晏を登場させてしまいましたが、正直言って誰を登場させるか悩みました

 

華雄か梨晏か焔耶のいずれかで、華雄を焔耶にするか、それとも梨晏を焔耶にするか

 

焔耶を出しても良かったとは思いますけど、せっかく英雄譚で新しく出て来たのだから使わない手は無いだろうと思い、梨晏を採用しました

 

ちなみに自分、Seigouが三国志の呉の国で一番好きな武将が太史慈です

 

太史慈が恋姫化する事が決まった時は嬉しかったので、そこらへんの私事も反映されていると思って下さい

 

梨晏の持っている武器なんですが、公開された英雄譚3のOPで武器を装備しているのを見て、彼女が槍か戟の使い手であるのは分かったのですが、武器の名前が全く分かりません

 

よって、後から付け足す形で修正しますので、ご了承ください

 

梨晏の武器の名前をいち早く入手した人は、これまたいち早く報告していただけるとありがたいです

 

てなわけで、もうちょっとだけ冀州編は続きます・・・・・待て、次回!!!

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盟主の修羅
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コメント
続きはまだでしょうか?(yuuki)
本当に一刀は思考回路変わってもナチュラルに種馬行為をこなすよねwww(スネーク)
続きが楽しみですな( ^^) _旦~~(さっさ)
武道会は二人共負けたから優勝は一刀か?w参加者じゃないけどw麗羽は悪い奴ではないよな〜馬鹿なだけで^^;(nao)
タグ
鎮魂の修羅 恋姫英雄譚 北郷一刀 ファンタジー 恋姫†無双 華雄 梨晏 

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