駅のベンチにて
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駅のベンチにて

 

こうもさよならを言えない私は

自分がお決まりの言葉を言うのが恥ずかしい。

 

こっち向いてさよならして。。。

手を振って。。。ずっと振っていて。。。

自転車に乗らないで。。。

 

そう。駅で私が見えなくなるまでさよならして。

さよなら。さよなら。

 

。。。

 

いつまでそこにいる気?最終電車は行ってしまったよ。

 

ベンチで朝までいる気。

 

そしたらさよならの意味が無いじゃない。

 

さっき言ったじゃない。外側のさよならを。

 

外側のさよならって何?

 

内側にはさよならは無いんだよ。皆つながっているんだよ。

私はだから言えない。

その内側を知ってしまったから。

 

さよならは何のため?

 

私から家に帰るため。私も家に帰るため。

それが外側のさよなら。

でも、うちに帰ってもずーっと続くの。

 

それって怖いよね。

嫌だったりもする。

一人になれないんだね。

 

はじめから一人じゃないから無理なんじゃないかな。

 

嘘でもさよならして。。。

 

私も嘘でもさよならしたい。。。

でももう怖いくらいさよならできない。

私は駅から家に帰りたい。

でも、さよならの意味が私を無いことにする。

無いことになった時、内側のさよならが来る時。

私が消える時。

 

駅のホームにでも飛び込む気?冗談でしょ?

 

そんな意味じゃないよ。

前向きな消える。

知らないの?あの時計だよ。

時計が回れば朝になって、また電車が来て、家に帰って、

また出会って、さよならする、を繰り返す。

すると、すり減る。無くなる。消える。

私もあなたも。さよならもない。いなかったことになる。

電車もない。駅もない。

 

忘却

 

あっ消えた!

説明
駅でのさよならの仕方についての夢の様な話。
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 さよなら ベンチ 電車 ホーム 時間 空間 オリジナル 

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