艦隊 真・恋姫無双 87話目
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【 川内の行動 の件 】

 

? 司隷 洛陽 郊外の原野 にて ?

 

包囲されている中、雷声のような轟音が響き渡り、賊の動きが慌ただしなった。 濃厚な殺意の気配が薄れ、包囲の隙間から光が見え隠れし出す。

 

川内「───鳳翔さんっ! 今、砲撃音が──っ!?」

 

鳳翔「後方で何かあったかも知れません! 川内さん、直ぐに那珂さん達の所へ向かって下さい! 私は不知火さん達を連れて、この包囲を切り抜け態勢を立て直した後、赤城さん達を捜し出して合流します!」

 

川内が、連続的に聴こえて来た砲撃音に驚き、鳳翔に声を掛けるが、鳳翔はニッコリ笑って、那珂達の下へ赴けと伝える。

 

川内「あ、あれ? 提督は………どうすんの?」

 

鳳翔「一緒に付いてくれていた『あの娘』が居れば、提督の身は安全ですよ。 それよりも……川内さん──貴女は、何を気付いているのですか?」

 

川内「…………………どうして、そう思うわけ?」

 

急に川内へと質問を向ける鳳翔は、言葉を選びながら問い掛ける。

 

鳳翔「音に聞こえた水雷戦隊の旗艦が……多勢の賊とはいえ、普通の人に不覚を取るなんて……おかしいです。 しかも、夜を友とし自在に駆け抜ける……貴女まで。 これは何かあると、考えてしまうのは仕方ありませんよ?」

 

川内「………ごめん。 今は、まだ確信が無いから言えないんだ。 だけど……提督にも、皆にも迷惑を掛けない。 これだけは約束────」

 

菊月「迷惑を掛けない………だと? 週に何回か必ず決まって──フタマルマルマルに騒ぎを起こす御仁が、よく言えるものだな!」

 

如月「川内さん! 貴女が騒ぐと、私の睡眠時間が削られて……何時もの二割ぐらい御化粧の乗りが悪くなるのよ! せっかく、楽しみにしていた秘書艦の日だって……ほんと最悪だったわ!!」

 

不知火「川内さんの唐突にして騒がしい夜戦で、不条理な迷惑を被る艦娘は……………不知火だけでは無いと知り、安心しました」

 

鳳翔「川内さ───」

 

川内「ごめん、ほんとにごめんっ! 今度は夜戦を行う時は、もうちっと控えるからさ! お願いっ!! どうか勘弁してぇえええっ!!」

 

鳳翔さんの別れ際で、格好良く決めたいところだったが……日頃の行いがアレだった為、他の艦娘より非難を浴びせられる川内である。

 

川内は………盛大に謝罪した後、鳳翔達と別々に包囲を切り抜け───闇に潜り込んだ。 その目的、場所等、誰にも語らないまま……………

 

 

◆◇◆

 

【 冥琳の想い の件 】

 

? 洛陽 郊外の原野 にて ?

 

急に現れた軍勢、その矢面に立ち『天の御遣い 北郷一刀』を名乗る二人の少年を、白波賊達は目の当たりにする!

 

叫んだ後……太々しい態度で、真正面から睨む『北郷一刀(左慈)』、口角を上げ、人差指で眼鏡を直しつつ前方に佇む『北郷一刀(于吉)』の二人。

 

そんな二人の様子に苛立つ白波賊は、剣を片手に殺到する!

 

『北郷一刀なら……頭目の策に掛かり、既に死に絶えている筈だ!』と結論を付けて。

 

ーー

 

白波賊「─────!?」

 

左慈「貴様程度の動きなど───掠りもせん!」バキン!

 

白波賊「──なっ!! す、素手で………剣を折るなんてぇぇぇ!?」

 

左慈「貴様ら雑魚では……相手にならん! 弱すぎるっ!!」ドゴッ!

 

白波賊「ガ………ガハッ!!」

 

ーー

 

白波賊「こ、この野郎!!」

 

于吉「出でよぉ──傀儡兵! この者達の相手をしてあげなさいっ!!」

 

傀儡兵「「「――――――――!」」」

 

白波賊「な、何だぁあああっ!? 足下からぁ…………わあぁあああっ!?」

 

ーー

 

左慈の鍛えられた至高の武技が、敵を圧倒的な強さで捩じ伏せ、于吉の妖術が更なる恐怖と警戒を誘う。 その為、この戦いで───戸惑い、慌て、二の足を踏む白波賊。 この時、少しの間……指揮系統が断絶する!

 

そして、その隙を見過ごさず的確に突き、怒濤の如く迫る曹、孫の軍勢!

 

ーー

 

華琳「皆、あの御遣い達の勇猛たる戦い振りを見よっ! 我等も賊に虐げられた民達の為に、あの者達に償わせなければならぬ! 負の連鎖を、悲劇の繰り返しを断ち切る為、我等諸侯が放つ断罪の剣を──天に示せっ!!」

 

春蘭「行くぞぉ! さぁZ『姉者!』──あぁ、遅れを取るな!! この夏侯元譲の刃に慈悲など無いっ! 皆、北郷の後に続けぇえええっ!!」

 

秋蘭「我が弓弦の奏でる音は、民達の嘆き! 貴様らに向かう硬く鋭い鏃は、民達の怒り! この夏侯妙才は、民の想いを具現化する者! 虐げられた者達に成り代わり──今までの報い、貴様らの胸元へ送り届けてやろう!!」

 

ーー

 

雪蓮「この孫家に従う将兵よ! 亡き孫文台の目指した平和な世を、脅やかす者共が、我が目の前で蠢動している! これを放置しては、亡き文台の想いに唾棄する事となろう! 皆、戦え、撃ち破れ! 文台の想いを無駄にするな!」

 

祭「この老骨より先に行く者は許さぬ! 堅殿の想いを愚弄する輩は、儂が蹴散らすのみ! もし、魁したければ……儂よりも手柄を立ててみせい!!」

 

穏「皆さ〜ん! 熱くなるのは簡単ですが、冷ますのに時間って意外と掛かります〜! なので〜自分達の周りを確認して、討伐して下さいね〜!!」

 

ーー

 

君主である──華琳が白波賊を弾劾し、雪蓮が先代の想いを謳う!

 

その将である……春蘭が号令を発し、秋蘭が民の想いを繋ぎ、祭が鼓舞して促し、穏が行動を認めつつも冷静さと慎重を呼掛ける!

 

──孫子に匹敵すると言われる《斉孫子兵法》に曰く………『軍勢が少なくても、兵の強き者は……正義を掲げているからだ』と。

 

皆が皆──《斉孫子兵法》を知っていたかは、分からない。 しかし、この行動は間違いなく……斉孫子兵法に適っていた。

 

「「うおぉおおおお─────っっっ!!」」

 

兵達は、否応なしに士気が高められ、『北郷一刀』達の後へ続く!! 各々の熱き想いを胸に抱きながら────!!

 

★☆☆

 

李楽「むっ…………コジキ曰く『藪に棒を突っ込めば、蛇が驚く』……我等を試すか術策か…………ゴホゴホゴホゴホッ!!」

 

胡才「───ケッ! 洒落臭い真似しやがってぇ!! これじゃ───どちらが本物か、わからねぇ! どうする……韓暹、二人とも殺っちまうか?」

 

韓暹「悪かねえなあ………せっかくの面白い趣向だ、存分に味会わせて貰おうかっ!!」

 

ーー

 

それを目撃した頭目達は、驚愕すると同時に納得をする!

 

『《天の御遣い》と言われる者達にして、アイツらは余りにも弱い! すると、最初の奴は偽者! 偽者と戦わせ……此方の策を暴き、その勢いに乗じて攻める謀だったか』………と。

 

ーー

 

実は、この三名……いや、白波賊でも……北郷一刀を実際に見た者は少ない。

 

見たと言っても、遠目から歩く姿、話す様子を確認するだけ。 この軍勢の中で、実際に接した事があるのは………鬼灯のみである。

 

しかし、今回……鬼灯は、この場所には居ない。 白波賊には黙っているが、自分は人では無い者。 普通の人である白波賊と共闘すれば、攻撃等に支障が出る恐れがあるのは予想できたので、単独で動かざるしかなかった。

 

もし、白波賊と共にするのなら、弱き人間が多数連なる軍勢──それに己も合わさなくてならなくなる。 そうなれば、鬼灯の戦闘方法が満足に行かない。

 

だから、白波賊の後ろへ位置を下げて、様子を伺っていたのだ。

 

だが──その行為が裏目に出てしまう。

 

ーーーー

ーーー

 

数名の護衛を従い、軍勢の動きを推移を見守る冥琳。

 

今のところは、六分勝ちで諸侯側が優勢。

 

ただ、白波賊の軍勢が徐々に増えていくのが気に掛かるが、冥琳の策も、これが完成ではない。 充分対応は出来る。

 

冥琳「………昔、北郷に教えて貰った戦術が……こうも相手を混乱に持ち込めれるものか。 いや、左慈と于吉、華琳と雪蓮という……水と油の存在が交わったからこその快挙かもな。 上手い具合いに、敵が食い付いて来たものだ」

 

そんな緊迫する戦場だが、余裕ができた為か……昔の事が走馬灯の如く頭を過る。 冥琳が、前の世で一刀より聞いた『影武者戦術』……聞いた時の事を思い出すと……悲しげな顔を浮かばせた。

 

ーーー

ーー☆

 

一刀『──俺の居た天の国に、真田幸村なる凄い将が居たんだ! その将が凄いのは、少人数で突っ込んで討たれると、《真田幸村、此処にありっ!》って何回も現れるんだよ! 勿論、討たれるのは……身代わりの人なんだけどね』

 

冥琳『前にも聞いたが……確かに凄い………ゴホゴホッ! う、討ち取った筈の相手が、再度現れたりすれば……敵は大いに慌てふためくだろう……………ゴホゴホ、ゴホゴホゴホッ!』

 

一刀『冥琳………身体に悪いから…………もう、終わりにしようか?』

 

冥琳『いや……大丈夫だ。 ゴホッ──お前の話を聞いて置かないと、死んでも死にきれん。 北郷、この話をしたというのは……お前もやってみたいのか? その真田という将の如く、赤壁で曹操に立ち向かう……つもりか?』

 

一刀『いや、俺が憧れるのは………この将の精神力だよ……』

 

冥琳『精神力………だと?』

 

一刀『俺さ……昔、真田幸村が格好良くって、大好きだったよ。 よく……ゲームで選んで遊んでいたさ。 だけど………実際、この地に来て……親しかった兵士さん達が、そして……俺を拾ってくれた雪蓮が亡くなった!』

 

冥琳『………………………』

 

一刀『人の命が……こうも簡単に無くなる物だなんて……知らなかった。 喋って、からかわれて……泣いたり笑っていた身近な人が、急に動かなくなって、消えて行く。 幸村が存在していた時期も、こんな時だったよ………』

 

冥琳『北郷…………』

 

一刀『そうしたら──今度は………冥琳が!! なんで、俺の親しい人達が……こんなに死んで行くんだ!? 俺を残して……この世から、慌ただしく去っていくんだよ! 幾ら引き止めても、怒っても泣いても俺の傍から──!!』

 

冥琳『私もまだまだ……やりたい事がある。 だがな………魏に勝利しない限り、私達の安寧は無いんだ。 その為にも───私は……ゴホッ!』

 

一刀『うん………だから、俺は、真田幸村のような強い心を持ちたい。 多くの人達の想いを背負いながら──未来に向かい突き進んで行った、不器用で底無しに優しい、あんな将になりたいんだ! 冥琳達に安心して貰う為にも……!』

 

ーー☆

ーーー

 

冥琳「──赤壁の戦いの前に、私へ会いに来てくれた時の会話……今も覚えているぞ。 北郷よ──今、此処に立つ『北郷一刀』は………私へ語り願った……お前だよ! 誰よりも優しく、強き力を秘めた──『北郷一刀』だ!」

 

冥琳は、そう呟くと……伏せていた顔を上げ、争いの場所と違う場所を望む!

 

その場所は、銅鏡の照射が届かず、暗闇が支配する場所であるが……冥琳には何かが見えた。 いや、見えた気がするというべきか?

 

冥琳「今回の件に関しては、白波賊の存在は確認できた。 だが、北郷達の行動を一時とはいえ……封じる手腕を講じてきたという事、 これは──背後に『深海棲艦』が居るという……訳だな」

 

冥琳も、打てる手を施したが……予想外の事は必ず起きる。 現に深海棲艦が、この戦に参戦してきた!

 

勿論、冥琳も予測をして、于吉に相談を行っている。 しかし、何時もの于吉とは違い……応えをハッキリと言わない。 と言うか──言えない。

 

ーーー

 

『深海棲艦は、前の世界で人と対峙した存在。 本来なら人と組む事などありえませんが、彼女達の首領が『何進』となり、漢王朝に潜り込んでいますからね。 この世界では、私の知識も役に立ちません』

 

『ならば、深海棲艦とやらを……お前達で倒せるのか?』

 

『………相手……次第ですね。 それに、深海棲艦を倒すのは──天の御遣い達の役目。 だから、私達は──北郷と彼女達を連れて来たのですから………』

 

ーーー

 

───冥琳は、思考を現実に戻し、今の状況を踏まえて戦場を睨む。

 

冥琳「───私の準備は……これで終わりだ。 後は、任せたぞ………詠! そして、もしかの時は……私達に力を貸してくれ! ───北郷!!」

 

 

◆◇◆

 

【 泣いた山城 の件 】

 

? 洛陽 郊外の原野 にて ?

 

一刀「赤城、加賀───君達も、皆も………大丈夫だったかっ!?」

 

赤城「て、提督ぅ? 一刀提督っ!!」

 

加賀「──提督も………御無事で良かった!」

 

ーー

 

赤城と加賀が、近付く一刀達を見付けて駆け寄った。 赤城と加賀は、別れた時と変わらない様子を見て、一刀は安堵した。

 

そんな様子を、少し複雑な表情で眺める明命に、赤城と加賀が近付き、一刀を無事に送ってくれた礼を述べる。

 

ーー

 

赤城「貴女が、私達の提督を護ってくれたんですね。 皆に成り代わり、御礼を申し上げます。 ───本当に、ありがとう御座いました!!」

 

明命「わ、私は……その………私の意思で御守しただけですよ! 御礼を言われるような事は───」

 

加賀「………だけど……貴女が提督を護ってくれたのは事実。 私達は、その事実に感謝したいだけ。 私も、どうか御礼を言わせて……」

 

明命「───はっ、はい!」

 

加賀「………提督を救えなかったと……あの時と同じく悔やむ事は無い。 一刀提督と共に……これからも御一緒に日々が迎えられる。 これも、貴女の御蔭。 ───本当に、ありがとう!」

 

明命「……………………良かったですね!」

 

加賀「ええ………本当に──」

 

ーー

 

そう話す……赤城と加賀の目尻から、泪が一筋……流れ落ちるのを見て覚る。

 

『この人達も…………一刀様を慕っているんだ………』

 

明命は、一刀に対する二人の好意を思い──嬉しくもあり、寂しくもあり……何度も言えない気持ちにさせられた。

 

そんな明命の想いをよそに、加賀が一刀に戦況を報告する。

 

加賀「戦況報告……我が艦隊、敵艦『中間棲姫』と遭遇、これを轟沈。 被害……山城が小破、後は軽微の損傷。 追加報告としまして──新たな仲間が着任。 此方は、実際に確かめてから判断をお願いする──以上!」

 

一刀「そ、そうか……深海棲艦が活発化し始め──えっ、新たな仲間?」

 

加賀「瑞穂が看病しているわ。 そのまま向かって貰えば、扶桑達と一緒に集まっている。 皆も……心配しているから、早く顔を見せてあげて………」

 

加賀は、一刀に向けて……珍しく悪戯っ子っぽい笑顔で微笑んだ。

 

★☆☆

 

瑞穂「あっ………提督、御無事で何よりです! 扶桑さん、山城さん──提督がみえられましたよ!?」

 

ーー

 

一隻の艦娘の頭を、自分の膝の上に乗せて、膝枕しつつ看病する瑞穂。

 

そして、その横に、今回活躍した扶桑姉妹が、簡単な修復を行っている。 人間で言えば……絆創膏を張り付ける程度の修復。

 

扶桑は瑞穂の声に気付き、腕に巻き付けていた簡易修復材から目を離し、一刀に微笑しながら軽く頭を下げる。 山城は………背中を向けて飛行甲板を修復中。 一刀の接近にも、瑞穂の声にも気が付かない。

 

ーー

 

一刀「山城………無事で良かった。 飛行甲板を盾にして、中間棲姫からの攻撃を避けたんだって? 斬新な考えだったな!」

 

山城「ね、姉さま、アレは咄嗟………の? えっ、提督───!?」

 

後ろから一刀に声を掛けられ、思わずビクつく山城。

 

一刀「他の皆が………今の場所が危ないからって、逃がしてくれたんだよ。 そうしたら、此方で砲撃音がしたから、急いで駆け付けて───」

 

山城「そうなの。 ………だけど私は、姉さまを護る為だけに頑張ったのよ。 せっかく、改装して貰ったのに……早くも艤装が駄目になって、申し訳なく思っているわ。 これじゃ、皆の足を引く──不幸な存在になるだけよ!」

 

手に持った………大穴が空いている飛行甲板を見せながら、一刀に叫ぶ。

 

しかし、一刀は──山城の意見を強く不定する。

 

山城は間違って無かった、山城の行動は正しかったのだと!

 

そして、一刀の意見に賛成する者も──

 

ーー

 

一刀「俺は……そうは思わない。 艤装の一部を破損させ、強力な敵艦を足止めして仲間に被害を及ばさないようにしたんじゃないか? 俺は、山城を充分頼もしく思っている!」

 

山城「だ、だけど…………」

 

扶桑「私が中間棲姫に、反撃を得られる機会を与えてくれたのは、山城───貴女の御蔭よ、ありがとう!」

 

瑞穂「はいっ! 山城さんの助太刀があった御蔭で、私も初の戦働きが出来ました! 是非とも、御礼を述べさせて下さい!」

 

山城「ね………姉さま? 瑞穂も………私に感謝してくれるの?」

 

赤城「私達もですよ! 扶桑型の活躍がなければ………誰かが轟沈されていた可能性大です。 そうなったら──私達、そして提督が、幾ら哀しんでも哀しみ足りませんっ!!」

 

加賀「貴女の活躍は──比類無き活躍よ。 飛行甲板で中間棲姫の攻撃を貫通させて、少しの間、動きを止めて反撃できる態勢に持ち込ませた。 この戦いのMVPは、山城──貴女になるわ!」

 

山城「…………………へ? 」

 

扶桑「どうしたの………山城?」

 

山城「ホ、ホホ、ホントに………私の活躍で? ウソ、そんな……ホント? ね、姉さま──!?」

 

扶桑「山城……おめでとう! 扶桑型のネームシップとして、貴女の姉として、私は嬉しく……誇りに思うわ!!」

 

山城「姉さまぁぁぁぁぁっ!!!」

 

山城は、まさか……一航戦の二人から、最大級の褒め言葉を貰うとは……思わなかったようだ! 感極まった山城は、扶桑の胸に飛び込んで行った!

 

★★☆

 

一刀「───扶桑も、活躍してくれて……ありがとう! 瑞穂も頑張ってくれたね。 俺としては、山城の働きと比べても、勝るとも劣らない働きだったと思うよ!」

 

扶桑「提督………お褒めの言葉、感謝致します。 ですが、扶桑型は……姉妹揃ってこそ力を発揮する艦。 単独で運航させるより艦隊に組ませた方が、遥かに活躍の余地が見出だせると思います!」

 

一刀「充分、承知しておくよ!」

 

ーーー

 

瑞穂「あ、あの………瑞穂の行動、なぜ、提督が御存知なのでしょう? 」

 

赤城「それは勿論……私達が教えてあげたんですよ!」

 

加賀「提督には、所有する艦娘の活躍、全てを把握して貰わないと……大変不公平ですから。 大艦隊を率いる提督として……当然の責務ですよ!」

 

一刀「そう言う訳でもないんだが………活躍したら褒める、認めてあげる……これって大事な事じゃないかな? 仲間である者達の実績を、上に立つ俺が正確に把握してこそ、艦隊が効率的に動けるんじゃないかな?」

 

瑞穂「提督──貴方という人は…………」

 

一刀「さて、あまり長話になると……鳳翔達の安否が心配だ! あの鳳翔の事だから──そう簡単に轟沈するとは思えない! だけど、皆の力が必要だ! 早く俺達も前線へ──!」

 

一騒動あったが無事に収まり、一刀が皆を率いて鳳翔達の救援に向かう為、命令を発しようとした──その時、今いる者達以外の声が聞こえた。

 

 

◆◇◆

 

【 新しい艦娘 の件 】

 

? 洛陽 郊外の原野 にて ?

 

 

───『素敵な提督で嬉しいのね』

 

瑞穂「あっ、提督! ご紹介が遅れて申し訳ありません! つい先頃、新しい艦が着任致しました! ────どうぞ、御覧下さい!!」

 

一刀「──────!?」

 

ーー

 

一刀が瑞穂に呼ばれて、声のした方角を見ると……スク水を着用した少女が、魚雷を持って立っていた。

 

ーー

 

伊十九(イク)「んふぅ……イクが新しく着任した『巡潜乙型 3番艦 潜水艦 伊十九』なの! ヨロシクなのぉ!!」

 

一刀「潜水艦の艦娘か………前の世界にも居なかったコだな。 え〜と、名前は『伊十九』なんだね?」

 

イク「うんっ! でもね……イクは呼びにくくて嫌なのね! だから、イクって呼んでもいいの! あっ……提督の御名前も──教えて欲しいなのぉ!」

 

一刀「俺は──北郷、北郷一刀だよ。 よろしく……イク!」

 

イク「よろしくなのね! でもでも……一刀提督? なんで……イクから目を逸らしちゃうの? ちゃんと前を向かないとダメなの!」

 

一刀「だから……その………イクの………前、前が───」

 

イク「んふふふっ! 提督ってば、イクに玩具(オモチャ)にされても怒らないのね? 物凄く気に入っちゃたの! 提督、海のスナイパーのイクが味方に付いたからには、潜水艦に乗ってる気で、安心して欲しいなの!」

 

ーーーーー

 

こうして、一刀の仲間に『巡潜乙型 3番艦 潜水艦 伊十九』が着任。 一刀達が合流して、かなりの時間が過ぎだが……それでも、一刀達は前線へと向かったのだ!

 

前方の戦いの様子は、赤城が飛ばした月光より順次報告が上がる。

 

まず、要の戦いであるが……左慈と于吉達を中心とした、諸侯の軍が攻め掛かっている様子が分かる。 戦線の状況は………五分五分で保っている。

 

鳳翔は、他の駆逐艦の子達と一緒に安全な場所で、態勢を調えているとの事。

 

『ですが………川内達の姿が見えないのが………気に掛かりますね?』

 

艦載機からの送られる映像を見て、川内達の危惧を説明する赤城。 他の艦娘達も……川内の安否を気遣うが、一刀の考えは違う。

 

『川内や他の子達は夜戦に強い艦娘ばかり。 不覚を取るとは思えない……何か理由があって離れているのではないか?』………一刀は考えているのだ。

 

ーー

 

一刀「今度は鳳翔達に合流しよう。 鳳翔なら、川内の行方を知っているかも知れない。 まずは、そこに向かう!」

 

「「「──────はいっ!!」」」

 

ーー

 

こうして、事態は………決着をつける為に動き始めた。

 

次の大戦に向かった、前哨戦の終わりとして─────!

 

 

 

ーー

 

一刀「こ、こらっ、イク! 後ろから俺を抱き締めるな! 二つのメロンが背中越しに当たってる、当たってるから!!」

 

イク「んふー、イクは海のスナイパーなの! だからぁ……当てる物は当然、百発百中なのね! 勿論、提督の心も──なのぉ!」

 

 

ーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

登場人物が無計画で、どんどん出すため……飽和状態化しています。 でも、出したからには、最後まで御世話をさせて頂こうと。

 

まだ……これで北上、大井、武蔵も出して……他に十隻以上だそうと考えている作者にも困ったものですが、これからも……どうかよろしくお願いします。

 

──大和も出演確定済。

 

 

 

 

 

 

下の物語は、【 新しい艦娘 の件 】のパロディです。

 

勿論………本編とは関わりあいは………ありません。

 

 

◆◇◆

 

【 おまけ の件 】

 

? 司隷 洛陽 郊外の原野 にて ?

 

一騒動あったが無事に収まり、一刀が皆を率いて鳳翔達の救援に向かう為、命令を発しようとした──その時、今いる者達以外の声が聞こえた。

 

───『素敵な提督で嬉しいのなのねぇん!』

 

瑞穂「あっ、提督! ご紹介が遅れて申し訳ありません! つい先頃、新しい艦が着任致しました! ────どうぞ、御覧下さい!!」

 

一刀「──────!?」

 

貂蝉「うふっ、傾国の艦女、貂蝉なのぉ。 そう……貂蝉って呼んでもいいのよぉん! 今度の新しい艤装は、ハァ、ハァ……色々と食い込みが良すぎて、新たな力が目覚めそう…………」

 

にこやかに笑う瑞穂の横には、スク水を着用した貂蝉が……顔を赤らめ熱い視線を一刀に送る。 貂蝉の体躯に適合する艤装が、流石に無かったのか……かなりアッチコッチが食い込んでいる!

 

一刀「───Wasshoi!!!」

 

貂蝉「───ヌゥ!?」

 

───サツバツ!?

 

しかし、貂蝉の姿を見た一刀に、外史より『ニンジャソウル』が急に宿る!

 

貂蝉は直ぐに防御の体勢を取るが、サイズの合わないスク水の為、身体の自由を束縛される! インガオホー!

 

一刀「イヤ──ッ!! 暗黒カラテ奥義───」

 

貂蝉「ぶ………ぶぉらああああっ!!」

 

謎のカラテ・シャウトを口走りつつ、貂蝉に奥義を放つ!!

 

逃れようとするが、強靭な肉体美を誇る貂蝉と言えど、スク水の拘束は外れない。 いや、動く度に身体へ食い込み、柔軟性を持って拘束を継続する!

 

貂蝉が、このスク水と一刀のカラテから逃れるスベは───無い!

 

一刀「イヤ──ッッッ!!」ガガガッ!

 

貂蝉「ヤ・ラ・レ・タァァァァ────!」

 

貂蝉は高速に回転する蹴り技で顔面を、しこたま蹴られ──遠くへ蹴り飛ばされるっ!

 

見事なワザマエに、感嘆する艦娘達!

 

一刀「オヌシのような奴に──慈悲は無い!」

 

『倫理観』と言う目的を達したニンジャソウルは、そのまま一刀の身体から消え去った。

 

ーーー

ーーー

 

イクの口調が貂蝉の口調に重なって見えた為、出来上がった文。

 

実際本編で使用しようと考えたけど………却下。

 

 

 

 

説明
イクが仲間に入りました。
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コメント
スネーク提督コメントありがとうございます! 正確には艦女ですが……今回は魚雷装備の潜水艦でした。 もし、なったら……果たして主砲……どうなるんだろう。 (いた)
貂蝉が艦娘に…主砲は何センチぐらいあるのだろう?w(スネーク)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 最強ではありますが……………需要ってあるのかなと……自問自答。 ハッキリと言えばいらない子ですね。 今回は、普通?に出て来る予定です。(いた)
貂蝉の艦娘(?)…ある意味最強そうではあるが、確かに欲しくは無いですね。(mokiti1976-2010)
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