妖刀と魔槍
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ゲームを終えて部屋から出てくる。

すると周りには人だかりが。

 

モブA「スッゲー!さっすがネプテューヌ様!」

モブB「つえー!」

 

周りの人から拍手と称賛の声を浴びる。

思わず照れるネプテューヌ。

 

モブC「ネプテューヌ様がガチで戦ってるところ見たいな〜。」

モブD「でもネプテューヌ様が存分に戦える相手なんて…。」

???「あら?人だかりが出来てると思ったらネプテューヌではありませんの。」

ネプテューヌ「え?」

 

人だかりの中から聞き覚えのある声が。

 

モブE「リーンボックスの女神、ベール様!」

 

新たにもう一人女神が現れたことにより再びどよめくギャラリー。

服装を見る限り超次元のほうのベールだ。

 

ネプテューヌ「ベール。こっちに来てたんだ。1人?」

ベール「ええ、ブランにこちらの次元に面白いゲーム(?)があると聞いて。」

ネプテューヌ「どう?遊んでみた?」

ベール「さっき来たばかりですわ。人だかりができてたから覗いてみたらあなたを見つけたんですわ。…ってネプテューヌ?」

 

ネプテューヌは何故かニヤケ顔でベールを見る。

 

ネプテューヌ「じゃあさベール。私と遊んでみない?」

ベール「あなたと?」

ネプテューヌ「いやー、実はさっき私一人で遊んでたんだけどね。どうも不完全燃焼気味なんだよね。それに…。」

 

ベールは周りの視線に気付く。

女神同士の戦いを見たいという期待の眼差し。

 

ベール「いいですわよ。ギャラリーの皆さんも期待しているようですし。」

ネプテューヌ「よし!じゃあ早速始めよう!」

ギャラリー「おおおおおおおおお!!!」

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ランダム選択でステージは森に決まった。

どことなくバーチャフォレストに似ている。

 

ベール「時間設定はどうなってますの?」

ネプテューヌ「無制限に設定してるよ。前回ブランと遊んだ時、途中で終わっちゃったから時間には気をつけるようにしてるよ。」

ベール「そう。なら…心置きなく楽しめますわ。」

 

ネプテューヌの顔面めがけて刺突を繰り出す。

 

ネプテューヌ(はや…!)

 

ネプテューヌはギリギリで槍を斬りつけて軌道をそらす。

 

ベール「よく防ぎましたわね。」

ネプテューヌ「何言ってんの。当たってるよ。」

 

ネプテューヌの頬に斬り傷が出来ており、血が垂れている。

防いだかのように見えたが、僅かに当たっていた。

 

ネプテューヌ「これは…気抜けないね。」

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ベールは息つく暇もないほど攻めたてる。

ネプテューヌ目がけて突く、突く、突く。

ベールは女神の中でも最速を誇る。

もちろん今戦っているネプテューヌよりも速い。

だが何故かネプテューヌよりも速いはずのベールの攻撃が当たらない。

ネプテューヌは持ち前の戦闘センスと直感でベールの攻撃をいち早く察知し捌いている。

 

ネプテューヌ「ハッ!」

 

ネプテューヌは猛攻を凌ぎつつ、隙を見て反撃の一太刀を繰り出す。

ベールはバックステップで回避して距離を離しつつ、魔法陣のようなものを出現させる。

 

ベール「シレットスピアー!!」

 

そこから巨大な槍がネプテューヌ目がけて射出される。

ネプテューヌも対抗して32式エクスブレイドをつくりだす。

 

ギャリィィン!

 

シレットスピアーと32式エクスブレイドが衝突し宙に舞う。

するとシレットスピアーの陰からベールが出てくる。

シレットスピアーの陰に隠れて追撃を狙っていた。

が、ベールの前方にはもう一つの32式エクスブレイドが。

ネプテューヌも32式エクスブレイドをあらかじめ2本つくり、一本目の陰に隠すようにして2本目を射出していた。

このままでは刺し貫かれるにしろ、爆破されるにしろ無事では済まないだろう。

 

ベール「この程度で意表をついたつもりかしら?」

 

ベールは自信のリーチの長さを利用して爆発の範囲外から32式エクスブレイドを打ち払おうとする。

槍が届く寸前、32式エクスブレイドが起爆する。

ベールの視界が爆発による光柱で白く染まる。

やはり爆発はベールには届かない。

光柱がおさまり、視界が元に戻る。

 

ベール(いない?)

 

先程までいたはずのネプテューヌの姿がなかった。

ベールは刃が首に触れるのを感じ取る。

即座に反応し、振り向きざまに槍でネプテューヌの攻撃を防ぐ。

 

ネプテューヌ「あー、失敗。殺気は完全に消したはずだけど。」

ベール「少しでも反応が遅れてたら首が落ちていたかもしれませんわね。」

 

ベールの首筋には斬り傷とそれに伴う出血が。

 

ベール「いくつも策を弄した、いい攻撃でしたわ。けど同じ手は通じるとは思わないことね。」

ネプテューヌ「思ってないよ!」

 

ネプテューヌは刀でベールを押し飛ばす。

両足でブレーキをかけて減速する。

そこへネプテューヌが追撃してくる。

ベールはネプテューヌの刀を槍で弾き、そのまま刀を抑える。

続けてネプテューヌは左手で眼つぶしをベールめがけて放つ。

ベールは右手に風を纏わせ刃のようにして、ネプテューヌの左前腕を貫き止める。

 

ベール「残念でしたわね。」

ネプテューヌ「まだまだ!」

 

ネプテューヌは左手から雷を放出する。

 

ベール「くっ!」

 

瞬時にしゃがみ、雷を回避する。

そこへ蹴り込むネプテューヌ。

ベールはネプテューヌの前腕を貫いている風を解除して後退し回避する。

風の刃が解除されると血が噴き出した。

じわじわと流れ出す血はパーカーワンピの袖を赤く染める。

ネプテューヌは刀を地面に突き立てる。

 

ネプテューヌ「折角だからもっと激しくいこうかな。」

 

言い終えると刀身に一筋のしずくが流れる。

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ベール(血?いや色は透明、それに私が刺した腕と逆の手で握ってる。あれは…。)

 

流れ出す水の量は増えていき足元には水たまりができている。

 

ベール「その刀、無限水筒か何か?(すっとぼけ)」

ネプテューヌ「そのネタをふるってことは大体分かってるんでしょ。この刀の名前は村雨。」

ベール「使い手の殺気が高ぶれば水気を増し、刃についた血を洗い流す…。そんな妖刀をゲームにギャラリーの前で使用するなんて、まったく!」

ネプテューヌ「なーに言ってんの。お互い様でしょ。それより…溺れないように気を付けてね。」

 

ネプテューヌから殺気が溢れ出す。

それに呼応するように刀から水が洪水のように流れ出す。

水はベールにも押し寄せる。

 

ベール「シレットストーム。」

 

ベールが手を前にかざすと竜巻が発生する。

竜巻は水を巻き込んで突き進む。

ネプテューヌは刀を引き抜き竜巻を真っ二つにする。

斬撃はそのまま突き進み、大地を斬り裂きながらベールにも襲い掛かる。

 

ベール「はあっ!!」

 

斬撃を槍の一突きで相殺する。

突然大量の水が滝のように上から降ってきた。

竜巻の消滅で巻き込んでいた水が打ち上げられたのだった。

不意の降水に顔を伏せてしまう。

その隙をつきネプテューヌはベールの頭部を掴み地面に叩きつける。

 

ネプテューヌ「これで…。」

 

頭部を地面に押さえつけたまま刀でベールを貫こうとする。

 

ネプテューヌ「私の勝ちっ!」

ベール(ここ!)

 

ベールは押さえられたまま地面に魔法陣を出現させる。

 

ネプテューヌ(カウンター!?まずい!)

 

魔法陣から槍が射出されネプテューヌの腹部を貫く。

 

ネプテューヌ「がっ…!」

 

貫かれた勢いで体が浮き上がる。

解放されたベールは素早く起き上がり、槍で刺突を繰り出す。

ネプテューヌは刀で防ぐ。

 

ベール「やはりそう簡単にはいきませんわね。でも…。」

 

ベールは槍に風を纏わせ、それを一気に穂先から放出した。

大きく飛ばされるネプテューヌ。

 

ネプテューヌ「…受けるんじゃなくて弾くべきだったね。」

 

ネプテューヌは刀を大きく振るい、ベール目がけて大量の水を放出する。

ベールは跳んで水から逃れると風を生み出しどんどん大きくさせる。

風は疾風から強風になりやがて暴風と化した。

 

ベール「くらいなさい!」

 

その風をネプテューヌに向けて放つ。

ネプテューヌは全身から雷を発生させる。

そして暴風がネプテューヌを巻き込んだ瞬間。

ネプテューヌは全身から放電した。

太陽をはるかに上回る超高温により急速な空気の膨張が起き、暴風を吹き飛ばす。

稲光を発し、雷鳴が轟く凄まじい雷電。

 

ベール「雷鳴で暴風を消すなんて…。」

ネプテューヌ「まだまだいっくよー!」

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2人の戦闘はもはや天災だった。

暴風吹き荒れ雷が降り注ぎ、洪水が起きる。

景観はがらりと変わっていた。

草木が生い茂っていた緑の大地は降水により、辺り一面は水浸しになっており足首が浸かってしまっている。

 

ベール「なかなかしぶといですわね。」

ネプテューヌ「そっちこそ。」

 

ベールは持ち前の速度を生かしネプテューヌの周りを駆けまわる。

四方八方からベールが攻めたてる。

速度では負けているが、やはり見切っているのか全て捌いている。

 

ベール(流石ですわね。でもこれならどう?)

 

水面に槍をつけて思い切り振りあげ、ネプテューヌに向けて水を被せる。

ネプテューヌはバックステップでこれをかわす。

 

ネプテューヌ(…!後ろ!)

 

ベールはネプテューヌの背後に回り込み攻撃態勢に入っていた。

ネプテューヌは振り向きざまに槍を刀で激しく斬りつけ攻撃を阻止する。

 

ベール「このっ…!?」

 

ベールは刀を振り払おうとするが、ある異変に気付いた。

 

ベール(腕が…痺れて…!)

 

鉄パイプなどで地面を思い切り叩くと腕が痺れるのと同じ現象だ。

刀で勢いよく斬りつけた衝撃が槍を通じてベールの腕を痺れさせる。

ネプテューヌは槍を弾いて無防備になったところを斬る。

 

ベール(まだ腕が…。)

 

半ば転ぶようにして回避する。

もちろんそのようなことで完全にかわすことはできない。

直撃こそ避けられたが上腕動脈を斬られてしまう。

ベールの上腕から噴水のごとく出血する。

起き上がりネプテューヌから距離をとる。

 

ネプテューヌ「もう参った、する?」

ベール「あら、してほしいのかしら?もしかして、あなたこそもう限界?」

ネプテューヌ「まっさか〜。元気いっぱいだぜ。」

 

ベールは上腕動脈、ネプテューヌは腹部と反対側の腰から多量の出血をしている。

流れ出した血で2人の周囲と足元は真っ赤だ。

にもかかわらず2人の表情は笑顔だ。

ベールは槍を振るって突風を起こすとネプテューヌに吹きつける。

ネプテューヌは突風を斬る。

その僅かな隙にベールは大きく距離をとり数十メートルの助走をつけ跳躍する。

隙をついて攻撃することもできたがそれでは今まで通り捌かれてしまうだろう。

それならその隙をより強大な攻撃の発動時間にあてるのが吉とベールは考えた。

ベールの手にある紅い槍が発光する。

禍々しさと不気味さが増していく。

 

ネプテューヌ「やっぱりその槍は…。その殺すことに特化した魔槍こそギャラリーの前で持ち出すようなものじゃないと思うんだけどな…。」

 

ネプテューヌは一瞬阻止しようと考えるが即座に間に合わないと判断し攻撃に備える。

ベールは上体を弓のように反らす。

 

ベール「はあああああ!!!」

 

そして禍々しく光る紅い魔槍を渾身の力を込めて投げ放つ。

最速を誇るベールが助走をつけて放った槍の速度は光速をはるかに超える。

槍は無数に分裂しネプテューヌに降り注ぐ。

その槍はすべて必殺にして必中。

幾度避けようとも追尾する。

ネプテューヌは手を前にかざす。

 

ネプテューヌ「避けられないなら防ぐまで。」

 

こちらもまた無数の32式エクスブレイドをつくり防壁を築く。

 

ベール「無駄ですわ。」

 

32式エクスブレイドを次々と貫いていく。

強度があるので防御にも転用したが本来32式エクスブレイドは攻撃用のスキル。

大抵の攻撃は防げるが女神の必殺の一撃の前では心許ない。

あっという間にすべて貫いてしまう。

 

ネプテューヌ「やっぱ無理があったか…。」

 

凄まじい爆音と衝撃がはしる。

水は吹き飛び大地を抉り、湿っていない地中まで到達しドーム状の巨大な粉塵が舞う。

ネプテューヌが相手でも致命傷は免れないだろう。

粉塵からとんできた槍を掴み取る。

そこでベールはある疑問を抱く。

今手にしている槍はゲイ・ボルグ。

グングニルのように手元に戻ってくる力はないはず。

 

ベール「まさか…。」

 

粉塵が晴れていく。

そこにはネプテューヌが立っていた。

 

ネプテューヌ「避けることも防ぐこともできないなら迎え撃つまで。」

 

ゲイ・ボルグが全ての32式エクスブレイドを貫きネプテューヌに到達した瞬間。

ネプテューヌもまた渾身の一太刀ですべて相殺し、槍を弾きとばしたのだった。

 

ベール「はあああ!」

ネプテューヌ「やあああ!」

 

2人は走りだす。

正面からシンプルにしかし渾身の力を込めて、ネプテューヌは一太刀、ベールは突きを繰り出す。

2人の攻撃が交差する瞬間、あるものが2人の攻撃を阻んだ。

それは羽だ。

光り輝く羽が2人の間に入り攻撃を止めていた。

 

ベール「い…。」

ネプテューヌ「いーすん!?」

 

2人を止めたのはプラネテューヌの教祖イストワール(超次元)であった。

小さな体と幼顔に反して落ち着いた雰囲気を放ち、落ち着いた声色で話す人口生命体。

だが今はその表情は怒って見える。

 

ドッ!

 

イストワールからただならぬ怒気が発せられる。

同時に羽から光が噴出され、より巨大な白い翼となる。

2人は思わず押し黙る。

 

イストワール「…まったく、探しに来てみればこんなところで…。」

ネプテューヌ&ベール「あわわわわ…。」

イストワール「ゲームはもうお終いにしましょう、ね?」

ネプテューヌ&ベール「はい!」

 

2人ともイストワールの静かな怒りの圧力に恐れをなし、言われるがままにゲームを終了させる。

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結局、結果はうやむやになりギャラリーは解散。

戦いを終了させ(られ)た2人は治療室で治療を受ける。

 

ネプテューヌ「ねえ、今日の分のお仕事はもう終わったはずじゃん。」

イストワール「今回はネプテューヌさんだけではなくベールさんに用件があるのです。」

ベール「私に?」

イストワール「ええ。チカさんから伝言を言付かってます。『お姉さま。早く戻って今日の分の仕事を終わらせて下さい。さもないと、あの時(Vのアイドルプロデュースイベント)と同じように…。』」

ベール「な、何ですって!!こうしてはいられませんわ!!早く戻らないと!!」

ネプテューヌ「ところでいーすん。聞き間違いだったら嬉しいんだけど、さっき『だけ』では、って…。」

イストワール「ええ、そうですよ。ネプテューヌさんにも用件があります。」

ネプテューヌ「ええー、さっきも言ったけど今日の分の仕事は終わらせたって…。」

イストワール「いいえ、まだ残ってます。ナス農家の宣伝活動の協力です。」

ネプテューヌ「あれは嫌だって言ったじゃん。私がナス嫌いなの知ってるでしょ。」

イストワール「食べるわけじゃないんですからいいじゃないですか。」

ネプテューヌ「ナスの味方はしたくない!以前ひどい目にあわされたんだから!」

イストワール「我儘を言わないでください。さあ、ベールさんはもう行ってしまいましたよ。ネプテューヌさんも!」

ネプテューヌ「い〜や〜だ〜!」

説明
過去に書いた作品です。
たぶん今までで一番流血するので苦手な方は注意。
一応「不完全燃焼」の続きです。
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タグ
超次元ゲイムネプテューヌ ネプテューヌ ベール 戦闘 流血 

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