IS ゲッター継ぐ者
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「てな訳で、こちらかんちゃんだよ?」

 

「だから本名で言いなさいよ……」

 

「更識簪、です。よろしく……」

 

 

 食堂で本音に紹介される簪。相変わらずマイペースなので、改めて自分で簪は名乗った。

 

 

「そうか。よろしくな、更識」

 

「同じ代表候補生同士、仲良く致しましょう」

 

「う、うん」

 

 

 簪は日本の代表候補生。ただ諸事情で機体は調整が済んでいないのだという。

 

 箒やセシリアに優しく迎えられ、椅子に座り直す簪。

 

 

「じゃあ……いただきます」

 

 

 手を合わせ昼飯のカツ丼を食し始めるは光牙。簪の紹介を含めたこの昼食、メンバーは光牙に本音、簪、相川、谷本、箒、セシリアだ。

 

 

「では、機体の調整はご自分で?」

 

「うん。……なんでも、あまり時間がないんだって言ってて」

 

「大変ですわね」

 

「しかし、一年生で自らのISを調整するとはな」

 

「かんちゃんは整備科志望だから?」

 

「すごーい! ねえ更識さん、今度ISについて教えてよ」

 

「あ、私もー!」

 

「え、う、うん……」

 

 

 マイペースは本音とそれに釣られる周囲に少し戸惑う簪。

 

 

「あぐあぐあぐ……」

 

「って光牙、お前は食ってばかりか!」

 

「ふも?」

 

 

 どこぞの最強着ぐるみみたいな声を出す光牙。お茶で口の中のものを流し込むと、プハーッ! と一息。

 

 

「いやお腹空いてまして。皆でご飯食べるんでしょう?」

 

「いやそうだけどね……」

 

 

 もちろん食うだけの昼飯ではないのだが、この世間知らずゲッターバカはよく分からない。……悲しきかな。

 

 

「しかし、あの熟女使いの生徒会長に妹が……」

 

「う……」

 

「熟女違うって!!」

 

 

 スパタァーン!!

 

 

「ふぇんり!?」

 

 

 ここでポロっとだした熟女ワード。するとどういう訳か光牙の背後に楯無が出現し、扇子で一閃!

 

 閉じられた状態なので地味に痛いヤツ。

 

 

「光牙君、わざと言ってるわよね……?」

 

「意味的には間違ってないないッス」

 

「違うから「会長、勝手に抜け出さないで下さい」ぎゃん!?」

 

 

 その楯無の背後に現れる眼鏡をかけた女子『布広虚』。副会長で本音の姉でもある。

 

 

「皆様失礼しました。どうぞお食事を続けて下さい」

 

「あ?私も?!」

 

「会長は書類を整理して下さい。未処理がまだ666枚貯まってますので」

 

「溜めすぎ……」

 

「イヤーー! 仕事イヤァァァァ!!」

 

 

 某悪魔の着メロが発せられる中、連行されていく楯無。うん、自業自得。

 

 それらを見て、簪は信じられないものを見た気分になり、光牙へと問うた。

 

 

「滝沢君……いつもあんな感じなの?」

 

「? そうだけど」

 

「迷惑、じゃないの……?」

 

「そりゃあんな感じだからたまに鬱陶しいと思うよ」

 

(((サラッと言った!?)))

 

 

「だから逆にやるのさ。ああいうのは放っておいたらズカズカ来るからねー。ズバズバ言ってやるのさ」

 

「鬼畜かお前は……」

 

「自分、ひねくれを通り越してねじれてますから」

 

 

 キリッと言うが全く威張れない内容である。

 

 

「ぷっ……面白い。滝沢君」

 

 

 そんな光牙に、簪も小さく噴き出してしまう。

 

 

「だってあの人……お姉ちゃんをあんな風にする人なんて見たことないから」

 

「更識、お前……」

 

 

 皆の前だからか。言い方を言い直したのに箒は思うものがあった。

 

 何かあった、と考える。

 

 

「……成る程」

 

 

 そしてそれは、光牙もだった。

 

 

「……嫌だよね。優秀な奴を兄弟に持つと」

 

「えっ?」

 

「む……?」

 

「いえ。なんでもナッシング」

 

 

 これはドレッシング、と和風ドレッシングのボトルを取りながらボケて話を逸らす光牙。

 

 

「もー、なにそれ滝沢君」

 

「ダジャレじゃーん」

 

「ハハハ、面白いだろう?」

 

 

 笑ってはいるが、箒と簪は光牙の呟きを聞いていた。

 

 そんな二人には、光牙の笑いが作っている様に見えていた。

 

 

「お、なんか賑やかだと思った、光牙じゃねーか」

 

「おひさーッス」

 

 

 そこに新たな人物現る。以前、光牙が一度ずつ戦った相手であった。

 

 金髪で長身、アメリカ代表候補生、三年三組の『ダリル・ケイシー』。青みがかった黒髪で猫背、?ッスが語尾のギリシャ代表候補生、二年一組『フォルテ・サファイア』。

 

 それぞれ専用機持ちで、学園でも最強コンビと名高い。

 

 その二人に光牙はギリギリで勝っていたが、それはダリルとフォルテが手加減してくれたからだと思っていた。

 

 光牙が一通り説明すると、ダリル、フォルテも昼食に加わる。

 

 

「こ、光牙さん! サファイア先輩とケイシー先輩とお知り合いだったのですか!」

 

「いや、一度戦っただけど……どしたの?」

 

「どうしたもありません! 三年のダリル・ケイシー先輩、二年のフォルテ・サファイア先輩……お二人のコンビはIS学園で最強とされ、鉄壁と攻撃のコンビネーション『イージス』は、一種の芸術と言われる程の実力者でしてよ!」

 

「なんか照れ臭いッスね?」

 

「よく知ってんなぁ、お前」

 

「わわわ私、セシリア、オオオオルコットとももも申します。よろしくお願いしますっ!」

 

「噛んでる噛んでる」

 

 

 ツッコミを入れる光牙だが、超有名人を前にしたら誰だって緊張するのと同じだ。

 

 

「イギリスの代表候補生だろ。名前は聞いてる。ま、頑張れよ一年生」

 

「は、はいっ!」

 

 

 ダリルに背中を押されるセシリア。ぽーっと頬が赤くなってて、それに光牙は……。

 

 

「セシリアさん、熱でもあるの? 顔真っ赤ですよ」

 

「違いますっ!」

 

「えぇ?」

 

 

 バカだコイツ。

 

 真面目に聞いた光牙は何故怒られたか分からないのだが、それにダリルはニヤッと口を吊り上げ、光牙に組み付いた。

 

 

「おい光牙よぉ。代表候補生を呼び捨てか。ん、なんだ? 彼女かオイ」

 

「か、彼女ッ!?」

 

「えっ……」

 

「なぬ?」

 

『な ん だ と』←ここにいない約一名

 

「ち、違いますよぉ……」

 

「ほほーぅ? にしては随分と仲良いみたいッスけど」

 

 

 ダリルの発言にセシリア、簪、箒、あと約一名が反応し、フォルテは2828。他の皆も目が離せない感じだ。

 

 

「ぶっ……。ただ名前で呼んで、なんでそこまでいじるんですか」

 

「お前分かってねえな。いいか、男と女が名前で呼び会うのは仲良いって言うんだ。異性方向に捉えれても不思議じゃない」

 

『ほほぅ……』

 

「いや異性って。極端ですよそんなん」

 

「む……」「むぅ」「ぬぐ……」

 

「簪さんだって名前で呼びますけどそれは分ける為ですし、箒さんやセシリアさんも普通に呼んでるだけですから。そうですよね?」

 

「知りませんわっ」

 

 

 プイッ、とそっぽを向くセシリア。

 

 

「右に同じく」

 

 

 眼鏡を反射させながら俯く簪。

 

 

「以下同文」

 

 

 目を逸らす箒。

 

 

「……あれ? なんで怒ってるんですか」

 

「光牙、お前バカッスね」

 

「バカだなお前」

 

「「「……うん。確かに」」」

 

「えぇー!?」

 

 

 どうやら某主人公の因子もこの世界に入り込んでた様だ。

 

 流石IS主人公。

 

 

「誉めてないよね!?」

 

 

 そうですか、何か?

 

 

「なんなんだよぉ! 誰か説明してくれよぉー!!」

 

 

 その叫びに答える者は……いなかった。

説明
第十六話です。

2016.06.18、修正して別の話になりました。
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コメント
剣聖龍です。感想ありがとうございます。はい、真面目でしたがその後メッチャ悶えてましたwww(剣聖龍・零)
今日の千冬さんは真面目だった…教師として当然の事なのだろうが。でも後でその時の光牙の様子を思い出して身悶えしているような気が。(mokiti1976-2010)
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誰か説明してくれよぉ! フォルテ ダリル   セシリア 光牙 ゲッター インフィニット・ストラトス 

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