九番目の熾天使・外伝 = 蒼の章 = カムイ篇
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序幕「クライシスによる状況説明」

 

 

 

 

 

 

 

「さて。今回、Blazたちに依頼したのはアヴァロンで行われている猟奇的殺人。その犯人を見つけ出し、可能であれば排除すること。それができなくても再起不能にしてやる事だ。

確保がないのはそれぞれ想像に任せる。

 

 

では、詳しい概要についてだ。

事の始まりは去年の六月。アヴァロン東部にある和式の町「カムイ」で行われた連続猟奇殺人だ。

これはBlazたちアヴァロンを拠点にしているメンバーは一度は耳に入れた事のある情報だが、その殺人方法がかなり怪奇でな。

 

 

―――死者はまるでそこが地面であるかのように壁にべったりと貼り付けられ、四肢ほか多数の個所を斬撃で斬られたような跡を残して死んでいた。

当然、生存者はゼロ。

 

目撃者もなく、殺害の被害にあった人物になんら関連性はない。もちろん、経歴も含めてだ。彼らは人気のない場所に居て、そこで被害にあった。しかも事件発生時に誰一人として叫び声なども聞いていない事から、相手は暗殺的方法で殺害したというのが有力な説だ。

でなければ気付かれて叫ばれたり奇声を上げたりするからな。

 

一件目が六月の中頃、被害者は三十代後半の男性。

その後、二件目は同じく男性だったが、三件目に被害者が女性となり犯人の目的が不明になる。

その後、男性、女性、女性と続き、十二月に新たに男性の死体が上がった。

これで全七件。さっきも言ったが、彼らはカムイに住んでいること以外何も共通点を持っていない。

 

事件の起こった場所はいずれもカムイの周辺。被害者も同様。

 

 

 

この事件を重く見たカムイ自治組織である「大和」は我々旅団に正式な依頼を要求。

事件発端の犯人を確保、もしくは排除しろと申し出て来た。

無論、犯人を消せるなら殺害も行っていいとな。

 

そこで我々は事前にカムイ領内で念入りな調査をしていると、犯人から我々に対しメッセージが届いた。

 

 

 

 

 

 

―――我が粛清を妨げる愚かな蛮族どもよ。これは警告だ。直ちに引かねばその命はない

 

 

とな。

また、調べた結果、犯人の可能性がある人物が複数人上がり、その全員が我らに明確な敵対を持つ人間だというのが分かった。

つまり、どの道奴と我々はいずれ相まみえる事になったという訳だ。

 

今回の任務は以上。ただしこちらからも増援と指揮官として二百式を送る。

合流後は彼と情報を共有して対策を練るように…

 

 

 

以上だ」

 

 

 

 

 

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「………。」

 

イヤホンを取り、録音されたデータを聞き終えたBlazは沈黙したままソファの上に寝転がる。

新年早々に言い渡された任務で気が乗らないというのも事実だったが、明確な旅団の敵であることや既に被害が出ていること。またどうにもただ事ではないと感じていた彼は、無言のまま近くに置いてあった大剣を背に刺すと寝ていたジョーカーを呼び起こす。

 

「ジョーカー、起きろ。仕事だ」

 

「………。」

 

 

 

小さなメモを書き、誰もが一度は目に入るようにテーブルの上に置くと気だるそうな表情と歩き方のまま自宅を後にした。

 

目的はカムイ。東の町。

 

話は全てそこからだ。

 

 

「…さて。先にアッチかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

= ノイシュタット市 自警団本部 =

 

 

カムイに向かう前にノイシュタットの自警団本部に訪れた彼はある目的のためにある人物に会いに来ていた。

ただ現地に行って直ぐに話を聞いたりすればいいだけではないかと言うのも確かだが、それでは色々と面倒な事になると分かっていた彼は、その前に「保険」をかけようとしていたのだ。

 

 

「久しぶりだな、大将」

 

「全くだ…いったいどの面さげてココに来た」

 

「俺だって来たくて来たわけじゃねぇっつーの」

 

黒髪と短い髭を蓄えた大男。軽く百九十は超えるその背丈はBlazよりも頭一つ抜けていたが、同時に街の人間としても抜けて優秀と言える人物だ。

ノイシュタット他、各地の自警団またはギルドに広い顔や影響力を持つ巨漢の戦士。

「アレキス」と呼ばれる彼はギルドナイトと呼ばれる実力者の一人だ。

背中に背負う鋼の大剣は無骨ではあるが所々に小さな傷があり使い込まれた跡が残されている。

正に歴戦の戦士そのものだ。

 

「…で。何の用だ」

 

「要件は二つ。どっちもカムイの件だ」

 

「なに…?」

 

 

「―――またあの野郎に色々と言われたくねぇからな…」

 

頭を掻きながら、アレキスの威圧感にものともしないBlazはそう言って彼にある事を頼もうとする。

だがそれは彼にとっては少々難しい事であり、しばらく苦心した顔で彼の難題を請け負った。彼もBlazがそれを頼む意味を、無意識に理解していたのだから―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の殺人事件調査に駆り出されたのは二百式を始め、ガルムとげんぶの三人。

げんぶはBlazと共に任務に就くことが多いからで、ガルムは和装を好むからと幻想郷で似た人間から情報を聞き出すことに長けているから。

そしてそれを纏めるのが参謀である二百式の役割だ。

 

 

「…猟奇的殺人か。それも過去に旅団と因縁のある…」

 

「イマイチ思い出せないな。大抵の奴は顔とセットで思い出すが…」

 

Blazが合流するまでの間、三人は町の中でも大きな宿屋で団長から渡された情報を端末などで再確認していた。

端末に詰められたいくつもの情報はokakaの管轄部署である調査班から送られ、その情報は細かく、そして詳細に明記されている。しかし流石に向こうも情報不足があるのか「推測される」と書かれた場所を何度も目に映してしまう。それだけ情報が少ないという事と相手が証拠などを隠蔽しているのだろう。

 

「これだけの証拠隠蔽が行えるとは…僅かな手立てでも俺たちにバレる危険性か…?」

 

「あり得る話だな。そうでなければ雑に証拠隠蔽をした方がまだ迷う」

 

ガルムの推理に同意するげんぶは他の資料を取り出し、更に犯人の候補範囲を狭めさせる。

推測の域を出ないものは確かに多いが、それでも情報が多いのは事実で、それを材料に推理や推測を立てることはできる。

 

彼らの中でも少しずつだが推測の域から可能性の話がいくつか浮かび上がり始める。まだ候補も絞れていないがそれでもかなりの人数を絞れたというのは確かで再度集計しただけで四人。そして可能性が低いのを更に除けば…

 

「てことは後は二人…かな」

 

「猟奇的ってのを除けばだがな」

 

 

 

げんぶとガルムがそうして犯人について議論する中、二百式は一人読書にふけながらも内心では一つの結論に行きついていた。

 

 

 

 

恐らく、その殺人鬼の正体はただ一人。

そして彼はその人物を知っている。

 

 

 

 

 

 

 

―――なぜなら、彼は過去に直接対峙した事があるのだから。

 

 

 

説明
どうも、Blazです。
新年早々ですがカムイ篇を一人勝手に始めようと思います。
登場する旅団メンバーは今回出るのが全員…のハズ。
多分その内に人数増やす可能性もあるのでそこはまぁ…ね?
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コメント
ふむ。ついに調査か……(蒼崎夜深)
よし、時間空いたからバッチコーイ(キリヤ)
了解した。(Blaz)
おれいまから出発だから返信はよるになるので(キリヤ)
了解。んじゃ詳しくはTwitterのDMで(Blaz)
他人の小説にコメ打ちたくなるのも参加したいと問われて参加したいというのも人間の性だよね(できればしたい(キリヤ)
あ。参加したい?(Blaz)
ジャックかな?(タイムリー(キリヤ)
タグ
OTAKU旅団 シリアスとカオスのごっちゃ混ぜ 

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