遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-序章・二話
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一人の、少女がいた

 

大切なモノを失ってしまった、一人の少女が

 

それは、本当に大切で

もう二度と、手に入らないものだった

 

 

 

≪一刀・・・≫

 

 

物語は、そこで終わりを迎えた

その、はずだった・・・

 

 

 

≪ねぇ・・・もう一度、彼に会いたくない?≫

 

 

 

深い、深い暗闇の中

少女の心に響いた、聞き覚えのある声

その声が、その言葉が

終わったはずの物語を、再び動かしたのだ

 

そして、少女は再び歩み始める・・・

 

 

 

 

 

≪私は、絶対に“貴方”を奪い返してみせる!!

たとえ天を、世界を・・・“全て”を敵にまわしたとしてもっ!!≫

 

 

 

 

 

その先にまつ、“真実”に気づくことなく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

≪遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-≫

序章 第二話【歩み始めた少女】

 

 

 

 

 

 

 

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ーーー†ーーー

 

「さて、皆集まったわね」

 

 

玉座の間

私の言葉に、集まった者たちは頷く

その様子を見つめた後、私は玉座から立ち上がり声をあげる

 

 

「私は・・・明朝より、泰山へと向かうわ」

 

 

“ザワリ”と、場が騒然となった

無理もないだろう

突然このようなことを言われれば、誰だって驚いてしまう

 

 

「か、華琳様!

それは、いったいどうしてですかっ!?」

 

 

そんな中

私の前に、一人の少女が歩み出る

荀ケ文若こと、桂花・・・我が魏が誇る、“王佐の才”の持ち主である

そんな彼女でさえ、私の考えは読めなかったのであろう

もっとも、話したところで理解することは出来なかったでしょうけれど

 

 

「詳しくは、今はまだ話せないの

今はただ、私に従いなさい」

 

「華琳様っ!?」

 

 

だからこそ、私は何も言わない

言う必要がない

理解してもらおうなんて、微塵も思っていないのだから

 

 

「春蘭と凪、それと霞は私について来なさい!

出発は明朝、兵は五百もあれば十分よ!

他の者は、私がいない間の留守を頼むわ!」

 

 

それだけ言うと、私は足早に歩き出す

 

 

「お、お待ちください華琳様っ!」

 

 

桂花が何か言っているが、私は歩みを止めない

止める時間がない

 

早く、早く行かないと・・・

 

 

 

「早く、一刀を・・・迎えに、行かないと」

 

 

 

ああ、そうだ

早く、早く“迎えに行ってあげないと”

 

きっと、寂しがっているはずよ

だって彼は、寂しがり屋だから

 

 

「ふ、ふふ・・・」

 

 

だから、行かないと

そして・・・抱きしめてあげないと

そうしたらまた、見せてくれるのでしょう?

 

あの・・・太陽のような、暖かな笑顔を

 

 

「待っていなさい、一刀

すぐに・・・すぐに、迎えに行くから」

 

 

呟き、見つめる先

“彼女”は、私を見つめ嗤っていた

それにつられ、私も嗤う

 

 

 

 

「さぁ、始めましょう・・・もう一度、私と彼の物語を」

 

『さぁ、始めましょう・・・もう一度、私と彼の物語を』

 

 

 

 

さぁ、始めましょう

 

私の、物語を

私と、彼の物語を

 

もう二度と、失うことのない

 

 

 

 

 

“永遠に続く物語”を・・・!!

 

 

 

 

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ーーー†ーーー

 

「姉者・・・」

 

「ん?」

 

 

それは、あの玉座での出来事から少し経ったころのことだった

部屋で明日の準備をしていた私のもとに、秋蘭がやってきたのだ

 

暗く、不安げな表情を浮かべながら

 

 

「秋蘭・・・どうかしたのか?」

 

 

私が聞くと、秋蘭は僅かに表情を歪めた後・・・ゆっくりと口を開く

 

 

「先ほどの、華琳様のことなのだが・・・」

 

 

聞いて、思う

“あぁ、やはりか”、と

私は、思わず苦笑してしまった

 

わかっている

秋蘭の言いたいことは、全部わかっている

 

だから・・・私は、秋蘭の肩を叩き笑って見せた

 

 

「大丈夫だ」

 

「姉者・・・」

 

 

秋蘭の表情が、驚きに染まる

私は、そんな秋蘭のことを真っ直ぐに見据えたまま言葉を続ける

 

 

「華琳様に何があったかは、私にはわからん

だがしかし、私がやることなど一つしかない

華琳様のことを、御守りすることだ

華琳様の身に何かあったとしても、私が必ず守ってみせる

だから、そう心配するな」

 

「姉者・・・あぁ、そうだな、そうだったな」

 

 

そういって、秋蘭はようやく笑った

未だにぎこちない笑みだったが、先ほどよりは大分マシになっている

ならば、問題はないだろう

 

 

「よし、それでは明日の準備をしないとな」

 

「私も手伝おう

ちょうど、今は手が空いているしな」

 

「うむ、助かる」

 

 

顔を見合わせ軽く笑い、私たちは準備にとりかかる

明日の・・・泰山への、出立のための準備

 

いったい何故、急にあのようなことを言ったのか

いったい何が、華琳様をああさせるのか

 

何も、わからないままに

私は、得体の知れない“不安”を抱いたまま・・・準備を進めていった

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

だけど、私にはこんなことしか出来ないから

華琳様に従い、守ることしか出来ないから

 

だから・・・

 

 

 

「北郷、お前なら・・・」

 

 

 

言いかけて、私は慌てて首を横に振った

 

いかんな、私としたことが

そう思い、苦笑しながら準備を進めていく

 

このような姿・・・お前が見たら、笑うのだろうな

そして、私が追い掛け回すと慌てて逃げるのだ

 

暖かな、笑顔を浮かべながら・・・

 

 

 

「早く・・・帰って来い、馬鹿者」

 

 

 

ポツリと、呟く

隣にいる秋蘭に、聞こえなかっただろうか?

そう、少し不安に思いながらも

 

私は、そう呟かずにはいられなかった・・・

 

 

 

 

 

 

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ーーー†ーーー

 

薄暗い、どこか古ぼけた神殿のような場所

その中に、“彼ら”はいた

 

 

「やれやれ・・・もうしばらく、かかってしまいそうですね」

 

 

そう言って、一人の男がわざとらしくため息を吐き出した

そして眼鏡をクイとあげ、自身の隣を見つめる

 

 

「はっ・・・やってられんな

どうして俺達が、“アイツ”の為にここまでしてやらなくちゃいけないんだ」

 

 

その視線の先、もう一人の男が舌打ちをした

それから、乱暴に壁を殴りつける

 

直後・・・“ゴン!”と、鈍い音が辺りに響き渡った

 

 

「んもう、あんまりイライラしちゃお肌に悪いわよん」

 

 

そんな中、響いたのはやたらと野太い声である

その声を聞いた瞬間、二人の男は一瞬頬をひくつかせたあと

同時に、ため息を吐き出した

 

 

「貴方はまた、いつの間に・・・」

 

「あらん、さっきからずっといたわよん?

ただ、気配を消してただけよ♪」

 

「いや、消すなよ」

 

 

思わずツッコんでしまったと、男は再びため息を吐き出した

 

さて、そんな彼の目の前にいる人物

見た目は、筋骨隆々なオッサンだ

ピンクのビキニパンツ一丁で、もみあげおさげの髪型をしたオッサンだ

いや、むしろ“変態”だ

だがしかし、先ほどの会話でもわかるとおり話し方は“うふん♪”とか平気で言いそうな感じである

 

 

 

「どぅふん♪」

 

「「ぅっ・・・」」

 

 

 

二人同時に、口元をおさえる

どうやら、込み上げるものがあったようだ

至近距離で、“アレ”を喰らったのだから・・・まぁ、無理もない話だが

 

 

「って、ふざけてる場合じゃないわよん二人ともっ!」

 

 

“お前のせいだよ”と言いたくなる衝動を必死におさえ、二人は意を決して変態を見つめる

 

 

「まずい事になったわん」

 

「まずいこと、ですか?」

 

 

男の言葉に、変態は“えぇ”と頷く

その真剣な様子に、二人もまた表情を変えた

 

 

「いったい、何があったんだ?」

 

「それがねぇん・・・」

 

 

薄暗い、神殿の中

三人の声だけが、小さく不気味に響いていく

 

そんな三人を見守るかのように

その、空間の中心

 

 

そこに置かれていた、古ぼけた銅鏡が・・・妖しく光を放っていた

 

 

 

 

 

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ーーー†ーーー

 

 

夢、だ

 

また、同じ夢

 

青い、青い空の下

 

聴こえてくる・・・“言葉”

 

 

 

 

“遥か彼方、蒼天の向こうへ”

 

 

 

 

■と、■■との・・・■■の言葉

 

 

 

 

 

 

 

“彼”は、夢を見ていた

 

見たこともない場所

見たこともない景色

 

そして・・・見たこともない“少女”と“少年”

 

そこが何処なのか、“少女”が誰なのか

ここが何処なのか、“少年”が誰なのか

 

何もわからない、不思議な夢

 

 

 

『ぁ・・・』

 

 

 

ふと、何かが聴こえてきた

だがしかし、ハッキリとは聴こえない

しょうがない、と“彼”は思った

 

“いつものことだ”

 

そう、いつものこと・・・今までこの二人の会話が、ハッキリと聴こえたことなどなかったのだから

だけど・・・

 

 

『は・・・そ・・・・・・へ・・・』

 

 

ただ、一言

 

 

 

“遥か彼方、蒼天の向こうへ”

 

 

 

この一言だけは、なぜか

“彼”には、不思議とはっきりと聴こえた

 

これが、何を意味するのか

そのようなこと、“彼”にはわからない

だがしかし、それでもいいと思っていた

漠然としたままだったが、“彼”は思ったのだ

 

今はまだ、わからなくてもいんだと

 

 

ふと夢の中、見あげた空

青く澄んだ空を見つめながら、“彼”は笑う

 

 

何故自分は、笑ったのか

何故自分は、空を見上げたのか

何故自分は・・・“夢”を見ているのか

 

何も、わからないまま

“彼”は、笑う

 

そうすることを、“誰か”が望んでいる

そんな気がしたから・・・

 

だから、“彼”は笑うのだ

 

 

そうしてまた・・・“彼”は、同じ夢を見続ける

 

 

「遥か彼方・・・蒼天の、向こうへ・・・・・・」

 

 

呟き、伸ばした手

理由などわからない

何もかもが、“彼”にはわからない

 

 

「■■・・・」

 

 

 

目覚めの時は、未だ訪れない・・・

 

説明
改訂版、序章の二話になります
どうぞ、お楽しみください
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コメント
貂蝉ww さすがにホ〇の于吉さんでも厳しかったかwwww(神余 雛)
一刀! 早く目を覚ませwwwwwww!!!!!(劉邦柾棟)
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遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝- 恋姫†無双 一刀 

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