寂しがりやな覇王と御使いの兄 アフター 武道大会編 2話
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華陀「勝者!張飛!」

 

 

地和「これは意外も意外!脳筋筆頭として周囲の壁の破壊、新兵達の訓練の妨害など各地に迷惑をかけ続けている夏侯惇選手がまさかの1回戦敗退!解説の黄忠さんと周瑜さんは今の戦いをどう見ましたか!」

 

紫苑「そうねぇ・・・鈴々ちゃんの粘り勝ちと言えばそうなんでしょうけど、春蘭ちゃんの欲が全面に出すぎた結果でしょう」

 

冥琳「欲で攻撃が単調になっている事を見抜き、ひたすら防御に徹していた鈴々。それでも隙を見せずに攻勢を強めていた春蘭が見せた大振りの隙を付いて攻勢に転じ勝利を収めた」

 

華陀「張飛も攻撃型の将だが、攻めたいという心を良く抑えた。これは韓当や魏延との戦いでの経験が生きた証だろう」

 

紫苑「それと…春蘭ちゃんは武人としての鈴々ちゃんと相対したのではなく、完全に欲にまみれてましたわ。始まる前に華琳さんと話していた事と関係あるのかしら」

 

 

解説者の3名に加え、外野で観戦していた一刀達にも春蘭があっさり負けたなと印象を感じていた。

脳筋筆頭とはいえ、彼女の武の高さは本物であり、この場に控える諸将の中でもトップクラスの位置にいるだろう。ならばなぜ、あっさりと負けたのか…それにはある人物が関係していた

 

春蘭「華琳様…申し訳ございません」

 

華琳「春蘭、私は1回戦が始まる前に貴方になんて言ったか覚えてるかしら?」

 

春蘭「それは・・・必ず勝て、勝ったら私が望む事をどんな事でも叶えてあげるわと……。」

 

華琳「それを覚えていながら負けるなんて、私からのご褒美なんて要らないって遠まわしに言っているのかしら?それとも、私の命なんかには従えないって意志表示かしらね」

 

春蘭「そんな事は天地がひっくり返っても反逆の意志などありません!私は華琳様の命には絶対です!」

 

華琳「ならなんで今負けたのかしら。相手が鈴々といえど、無様な姿を晒すなんて…落ちぶれたわね、春蘭」

 

目先の欲に眩み、攻撃が単調で鈴々に攻撃を見切られたのは紛れも無い事実。なんとか否定したい春蘭だが、脳筋筆頭の頭脳では満足な言い訳が思い浮かばず、シュンと肩を落として落ち込んでしまった

 

華琳「私の命を守れない悪い子には……お仕置きをしないといけないわね。今夜閨にいらっしゃい、たっぷり罰を与えてあげるわ」

 

春蘭「あぁ・・・ありがとうございます、華琳様〜〜!」

 

春蘭があっさりと負けた原因は……やはり春蘭をイジって恍惚の顔を浮かべているドSの華琳様である。

元魏のメンバーはこの光景を目の当たりにして『あぁ……やっぱりか……』とすっごく納得していた

 

紫苑「あれは……勝っても負けてもどっちみち春蘭ちゃんは幸せそうねぇ」

 

罰を与えると言われた身だが、今日一番のふやけた顔をしている春蘭に対して紫苑がポツリと呟いた一言に、この場にいた将達はうんうんと頷いて同意していた

 

鈴々「あにゃ〜なんか勝ったのに勝った気がしないのだ」

 

 

地和「さぁ、通常運転をしている百合主従は放置しまして、次の組み合わせを発表したいと思います!東から入場するのは曹仁子孝を護る親衛隊の1人!持ち前の素早さでお仕置きの餌食になった者は数え切れないほど!誰もこの人から逃れられない必殺仕事人周泰!」

 

明命「あぅあぅ……事実なので否定出来ません……」

 

地和「続いて西から登場するのは同じく親衛隊の1人!主を思う心は誰にも負けないと豪語するも、その愛が重すぎて時に嫉妬神になるのが玉に瑕!嫉妬神時には主である曹仁も泣いて謝ると噂されている曹家の武神、関雲長!」

 

愛紗「なんだか酷い言われようだが、明命同様に否定出来ん……」

 

桃香「あれは本当に……怖かったというか……酷かったね……」

 

愛紗の嫉妬神状態を目撃していた桃香はその怖さで体を震わせていた。あの時は無我夢中で嫉妬神の制裁を止めたが、改めて思い出すとその恐ろしさが蘇ったようだ。

 

地和「なにやら劉備さんが震えているようですが、解説のお三方はこの組み合わせはどう思われますか?」

 

冥琳「愛紗の豪撃を受け止められる者は数少ない。一見愛紗が断然有利と思えるかもしれんが・・・明命の移動速度を捉えられる者も僅かだろう」

 

紫苑「ワンコ隊の面々は戦闘能力が異常ですからね。普段は一刀さんを争ってるだけあって相手の癖を知り尽くしている。これは展開が読めませんわね」

 

華陀「豪撃の関羽、神速の周泰。これは見ごたえがある仕合になりそうだ。それでは、仕合はじめ!」

 

 

明命「まずは私から行かせてもらいます!」

 

華陀の開始の合図と共に、まずは明命が動き出す。

速さを生かして奇襲を行うと思いきや、青龍偃月刀を構える愛紗目掛けて一直線に襲い掛かる。そんな明命の予想外の行動に、その場に居た将達は何事だと驚いていたが、愛紗は驚く事無く冷静に一撃を止める。明命も止められるのは予想の範囲内であり、次の一手を繰り出す

 

地和「開始直後に真っ直ぐ打ち込んだと思いきや、周泰選手、関羽選手の周りをぐるぐると走り出した!この行動に何の意味があるのでしょうか!」

 

紫苑「ただ走ってるだけじゃなく、地面に武器を叩き付けながら走っている…明命ちゃんには勝つための秘策があるのかしら」

 

愛紗は動き回る明命を完全に捉えきる事が出来ず、攻撃を繰り出す事が出来ない。攻撃して当たればいいのが、当たる確率は低い。ならば迂闊に攻撃せずにジッと動かずに防御を固めるのが一番だろう

明命も愛紗のカウンターを狙っての防御姿勢を見抜き、直接攻撃はせずにひたすら愛紗の周りを駆け回る。

 

地和「おっと、周泰選手、動きが止まったと思いきや、再び高速で動き出し何かを投擲始めました!」

 

明命が懐から取り出したのは手裏剣。一刀が忍びのような戦い方が出来る明命専用に真桜に作らせていたのだ。今まで秘蔵にしていたのは存在を隠す為ではなく、投擲の距離の不安定さや、真っ直ぐ飛んでいかない不具合を直していたりで先の決戦に間に合わなかったのだ。天下一品武道大会に何か武器が欲しいと明命から要望を受け、根本から製作を見直した結果、なんとか本選前に十数枚完成する事が出来たのだ

 

(これが一刀様や真桜が作るのに苦労したと噂の手裏剣か、弓矢と違って小さい動きで確実に相手を仕留める事が出来る…当代随一の速さを持つ明命だから扱える暗器と言ったところか。だが!)

 

 

地和「おっと、関羽選手!死角から放たれている周泰選手の武器をすべて偃月刀で叩き落としてます!後ろに目が付いているんじゃないかと疑いたくなる動きです!」

 

 

並の将ならば既に手裏剣に餌食になっているだろう。初見でこの大陸には無い手裏剣を見極めろと言うほうが無理難題。しかし、愛紗は明命と同格であるワンコ隊の一員、これぐらい対応出来なければ他の3人に笑われてしまうのだ

 

愛紗「明命の手裏剣は確かに脅威だが…その程度の暗器は私には通用しないぞ!」

 

初見ですべての手裏剣を無効化されて流石に苦笑いを浮かべる明命だが、驚きの表情は見られなかった。むしろ、これぐらいしてくるだろうと予測済みなのだ

 

明命「やはり簡単に負けてはくれませんね。でも…ここまで予想通りです!」

 

地和「おっと!周泰選手、仕合開始と同じく関羽選手に接近戦を挑み始めた!?しかも、今度は離脱せずに打ち合っています!」

 

(万策尽きての打ち合い…って事はなさそうだ。自棄や開き直っての行動じゃないという事は、これも何か明命の策。それを考えている暇は与えてくれない。ならば!)

 

冥琳「ふむ。愛紗がこの仕合始めて攻めに転じるな」

 

紫苑「今までは明命ちゃんの素早さに翻弄されてましたから、今が攻め時の好機なのは理解出来るのですが…」

 

冥琳「解説席に座りながら、なぜ明命が直接打ち合いに持ち込んだのかが理解出来んな」

 

 

大陸屈指の弓の使い手、智謀の持ち主である2人も明命の行動の意味を理解する事は難しく、対戦者である愛紗同様に明命の出方を必死に観察している

解説席から戦いに目を戻すと、2人の激しい打ち合いは続いており、模造武器にも関わらず鍔迫り合いの音が一帯に鳴り響く。今や武の頂に立つ者として尊敬と羨望を集めると同時に、いつか追いつき追い越したいと目標でもある。そんな2人が真正面から打ち合う姿に、周囲の人達は釘付けとなっていた

 

ずっと続いて欲しい…そう思われた愛紗と明命の戦いだが、終りは唐突に訪れた

 

 

 

 

闘技場に亀裂が広がり

 

 

 

 

 

 

愛紗の足場が崩れ始めたのだ

 

 

 

 

 

 

冥琳「そうか!明命はこれを狙っていたのか!」

 

冥琳だけじゃなく、紫苑や周囲に居た将も明命に狙いに気が付いたようだ。

第一試合で春蘭が気を込めた馬鹿力で放っていた攻撃が闘技場の強度を下げ、脆くしていたのだ。明命は闘技場が脆くなっている事を見抜き、愛紗を攪乱しながら闘技場の強度が脆くなっている場所をピンポイントで攻撃していたのだ。

後はその場に愛紗を留めたまま戦えば、衝撃に耐え切れずに崩れ落ちるのを待てばいいだけだった。手裏剣も弾かれた後、闘技場に突き刺さり耐久を下げるように計算されて投擲されていたのだ

 

 

明命「これでお終いです!」

 

崩れ落ちそうな足場で必死に踏ん張っている愛紗の足元へ、懐から取り出したクナイを数本投げつける。

かろうじて支えていた足場もクナイが突き刺さる衝撃でとうとう崩れ落ちた

 

 

地和「関羽選手の足場が完全に崩落!体勢を崩して関羽選手の体が地面へと向かう!勝敗は決したか!?」

 

 

足場を失った自分の体が闘技場の外に向かっていくなか、愛紗はしてやられた、今回は私の負けだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

素直に思うわけがなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私がここで負けたら…一刀様と一夜閨を共にするのは私以外の人物・・・それを認める事など・・・)

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜愛紗妄想中〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

愛紗「認める事などデキルカアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾクリ

 

 

自分の勝ちが決まったと気を抜いた明命が震え上がるほど強大な気を感じた。

恐る恐る振り返ってみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫉妬神(愛紗)が自分のすぐ後ろに立っていた

 

 

 

 

 

華陀「馬鹿な!足場は完全に崩落し、関羽の体はよろけて地に触れるはずだった!なのになぜそこに立っているんだ!?」

 

 

華陀に続くように冥琳、紫苑も驚きの表情を浮かべる。

なぜ愛紗がそこにいるのか・・・とある2人を除き誰も理解出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・一刀さん、愛紗ちゃんの状態ってもしかして・・・」

 

一刀「桃香の考えてる通りだと思う。嫉妬神状態になってるね」

 

 

 

 

愛紗の嫉妬神

 

 

 

 

 

嫉妬で自我を無くした愛紗が一刀を制裁する為や、敵に八つ当たりする時になる戦闘モード。嫉妬神時に常識など当てはまらない。

その恐ろしさを荊州で目の当たりにしていた明命はその時の光景を思い出し、その時のトラウマから体が震えだして今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる

 

嫉妬神「一刀様ト 閨ヲ共ニ スルノハ・・・・ワタシダ!誰ニモ ソノ権利ヲ ワタサナイ!」

 

 

片言の喋り方に加え、一刀様は渡さん、一刀様は渡さんと連呼する嫉妬神に、明命は恐ろしさで戦意を喪失。その姿は蛇に睨まれた蛙のようであった。

 

この精神状態では戦いを続行するのは不可能。

これ以上の続行は危険と判断した審判団から仕合終了の声が鳴り響く

 

 

華陀「周泰の戦意喪失につき、勝者関羽!」

 

 

 

 

 

愛紗「ふぅ…一刀様〜!勝ちました〜〜!」

 

明命の怯えは全く目に入らず、勝った事を真っ先に報告する愛紗。

褒めて、褒めてと駆け寄る姿からは嫉妬神時の禍々しい雰囲気は一切感じられない。色々な意味でギャップが激しい愛紗だった

 

紫苑「・・・正気に戻ってくれてよかったですわね」

 

冥琳「あぁ、あのままの状態ならば鎮圧部隊を投入する必要があったからな」

 

紫苑「明命ちゃんはすっかり怯えてしまったのが可哀想ですが…」

 

 

 

華陀の仕合終了の合図が聞こえるとすぐに闘技場から観客席に座っている桃香の下へ駆け出していた。

一刀の下へ向かえば火に油を注ぐ行為となる。桃香なら暴走していた愛紗を止めた実績もあり、明命の本能が桃香の傍なら安心だと察知したのかもしれない

 

 

地和「色々と突っ込み所はありますが、第3試合の組み合わせを発表したいと思います。東から入場するのは褐色美人であり巨乳!袁術を可愛がる姉の立ち居地を手に入れた小覇王!孫伯符さんの入場です!」

 

雪蓮も地和が憎むべき巨乳人の1人なのだが、紹介が終った後に個人的な声援を送っていた。巨乳人であっても、雪蓮のように例外が居るのかもしれない。憎む基準は彼女にしか解らないが…

 

 

雪蓮「やっと私の出番ね!さぁ〜〜!私の南海覇王の餌食になる生贄は誰かしら〜〜?」

 

 

地和「意気揚々の雪蓮さまの相手はこちら!」

 

美羽「妾の出番なのじゃ!相手が雪蓮だろうと勝つつもりで張り切っていくのじゃーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「・・・・え?本当に・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

波乱はまだまだ続く。。。

 

 

 

 

 

 

 

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第二仕合目と第三仕合の組み合わせをお送りさせていただきました。

 

前回のコメントでもあったのですが、春蘭は完全にネタキャラ扱いにしました。

愛紗に関しましては……愛の力は偉大なんですよ、うん。

 

 

風邪、花粉症、仕事で編集の方も滞り気味なので、また日数空いてしまったらすみません。。。

 

 

 

説明
第二仕合目です=

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コメント
真っ黒な炒飯さん>愛じゃなくて嫉妬の力なのが肝ですねw(おぜぜ)
聖龍さん>そうなったら桃香さんが慌てて矯正に入りますねw(おぜぜ)
marumoさん>美羽を傷つけたら七乃の腹黒制裁が・・・(おぜぜ)
未奈兎さん>序盤は完全にネタに走ってますのでw美羽大好き雪蓮をどうするか……妄想中ですw(おぜぜ)
たっつーさん>真桜の技術力は三国一!といいますか、一番のチートは真桜の技術力だと思ってますw(おぜぜ)
アストラナガンXDさん>1回戦は基本的にネタに走ってますからねw美羽VS雪蓮は色々展開考え中です!(おぜぜ)
naoさん>それはそれで反則だと規制かかりますねw萌将の春蘭みたくw(おぜぜ)
嫉妬の力は無限だなぁ〜 怖っ!!((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル(真っ黒な炒飯)
もし愛紗が嫉妬神に自由に成れれば、勝てる人選はいない気がする……(聖龍)
これは美羽有利だなぁ(marumo )
百合主従とか嫉妬心とか次の戦い諸々含めて・・・・・・・(アカン)(未奈兎)
春蘭より愛紗の方が完全にネタキャラだろうこれは・・・・・・・。 対戦相手が美羽では雪蓮の戦意は喪失するかな?(アストラナガンXD)
同じわんこ隊でも戦意を喪失する嫉妬神・・・・ずっと嫉妬神モードなら優勝だなw(nao)
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