機動戦士ガンダムSEED Destiny 凍て付く翼
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第11話 自由

 

タンホイザーの破壊によりミネルバに火の手が上がる。

艦内部からの消火作業ではとても間に合わず、苦肉の策でタリアはミネルバを海へ着水させる決心をした。

 

「対空砲火を怠らないで!! 整備班も引き上げさせて、ミネルバを着水させます!!」

 

高度を下げるミネルバはそのまま底面を勢い良く海面に接触させる。

大きな水柱が上がると共に全体の3分の1程度が沈み、破壊されたタンホイザーへ大量の海水が流れ込んで来た。

一瞬の内に火は水の中に埋もれてしまう。

だが消火作業のせいでミネルバは身動きが取りづらくなってしまった。

 

「メインエンジン出力上げ、すぐに浮上して」

 

「艦長、レーダーに反応あり。新たな艦艇です。コレは……アークエンジェル!?」

 

メイリンの報告にタリアは目を細める。

ザフト軍とオーブ軍が交わるド真ん中に真っ白な戦艦が海中から浮上して来た。

そして先に現れたもう1機のモビルスーツ。

先の大戦を経験したモノからすればこれらの存在は決して忘れる事はない。

甲板に立つレイとルナマリアのザクもソレを視認した。

 

「データに該当アリ。やはりアレはフリーダムだ」

 

「でもどうしてこんな所に? ミネルバを撃ったって事はアタシ達の敵って訳?」

 

「もしもそうなら追撃して来ないのは変だ。こちらにはまだ戦闘力は残ってる」

 

「どっちにしてもやられっぱなしって訳にはいかないわ!!」

 

ルナマリアはオルトロスをフリーダムに向け迷わずトリガーを引く。

発射された高出力のビームは一直線にフリーダムに向かうが、パイロットの反応は早く寸前の所で回避してしまう。

 

「はやい!?」

 

「ルナマリア、撃ち続けるんだ」

 

レイもルナマリアに続きビームライフルの銃口をフリーダムに向けてトリガーを引く。

ミネルバから放たれるビームの雨。

だがその全てが白い装甲にかすめる事もなくスルリと避けられ上空に消えて行く。

2機のザクが攻撃を仕掛ける中でアスランはコクピットの中で呆然と見てる事しか出来なかった。

 

「フリーダム……キラ……」

 

セイバーは滞空するだけで動く事すらせずフリーダムをただ見上げるだけ。

すると全周波数に通信が流れて来る。

 

『こちらアークエンジェルのフリーダム。両軍は今すぐ戦闘を止めて下さい』

 

オーブ軍のタケミガズチ級に乗るカガリにもこの通信の声は聞こえた。

久しぶりに聞くその声、カガリは目を見開き驚く。

 

「キラ!? でもどうして……」

 

「艦長、全艦隊に通達。銃口を向けるようならフリーダムとアークエンジェルにも攻撃するんだ」

 

隣に立つユウナは事も無げにそう言った。

姉弟でもあり仲間でもあるキラにカガリは攻撃する事など考えもしない。

ユウナの元に詰め寄ると何とかして攻撃を止めさせようと口を開ける。

 

「止めるんだユウナ!! キラは……フリーダムは敵じゃない!!」

 

「だったら何故このような場所に現れたのです? カガリ、ついさっきまでキミも見てた筈だ。ここは戦場なんだ。連合軍とザフト軍が戦う戦場。そんな所に第3勢力が現れた場合どうするべきかはキミにだってわかる筈だ」

 

「それは……」

 

またカガリは言い返す事が出来ない。

見知った存在が突然目の前に現れた事で動揺してしまったがユウナに諭されるように言われて冷静に考えるカガリには理解出来た。

キラの言い分は通る訳がないし、攻撃の意思がある以上は自衛の為にこちらも攻撃するしかない。

それにザフトのミネルバには1度攻撃してしまって居る。

当然ザフトもキラの言葉など聞かずに報復して来る可能性も充分にあった。

だからカガリには言い返せない。

でもこのまま何も出来ないまま事が進むのを待つ彼女ではなかった。

ブリッジの通信兵が居る所にまで走るとインカムを奪うようにしてコンソールパネルを叩く。

 

「代表!? 一体何を!!」

 

「アイツならわかる筈だ。私が何とかしてみせる!!」

 

フリーダムに送られる通信。

数秒後には回線が繋がりモニターには青いフルフェイスのヘルメットを被ったキラが映る。

 

「キラ、聞こえてるな? カガリだ」

 

『カガリ!? どうしてこんな所に?』

 

「それはコッチのセリフだ。お前こそモビルスーツに乗ってこんな所に居るだろ!!」

 

『でもそれはオーブが戦闘なんてしてるから』

 

「お前の言いたい事はわかるさ。理念を守れって言いたいんだろ? 私だって最初はそう思ってた。でも今の世界情勢を見れば同盟を結ぶしかない。孤立した状態が続けば連合軍が攻めて来るかもしれない。プラント側と同盟を結ぶ事も出来ない。攻め込まれた時オーブだけで守り切る事も出来ない」

 

『だったら一緒にアークエンジェルへ行こう。これ以上こんな事をしてたらいけないよ』

 

「そんな事、本気で言ってるのか?」

 

『オーブはこれ以上戦いなんてしたら――』

 

会話を聞いてたユウナはカガリからインカムを少し強引に取るとマイクに向かって声を出す。

キラの声は途中で遮断されると同時にユウナはフリーダムとアークエンジェルに対して勧告を行う。

 

「代表にこれ以上戯言を吹き込まないで頂こう」

 

「ユウナ……」

 

「承知の上だとは思うがここは戦闘領域である。どこの国にも軍にも所属しないキミ達がこれ以上介入すると言うのなら条約に則りテロリストとして扱う。3分だけ猶予を与える。時間内に撤退しなければ攻撃する。以上」

 

相手からの返事は待たずにユウナは一方的に通信を切った。

ブリッジのモニターに映るフリーダムをカガリは見つめる。

今はまだ感情を心の中に留めて置くしかなかった。

 

///

 

ユウナの宣告に動く事が出来ないキラ。

オーブ軍はアークエンジェルとフリーダムに対して攻撃はして来ないがミネルバは違う。

第1射は既に放っておりタンホイザーが破壊される実害を受けており当然放置する訳にはいかない。

ブリッジではタリアがアークエンジェルに向かって攻撃指令を出す。

 

「目標アークエンジェル!! 全砲門開け!!」

 

ミネルバは容赦なくアークエンジェルを撃墜する気で砲撃した。

艦艇から放たれる高出力のビーム。

数え切れないミサイルの雨。

アークエンジェルの艦長であるマリュー・ラミアスも艦を守る為に声を上げた。

 

「基幹最大、対空砲火!!」

 

自衛の為に銃身を向けるアークエンジェルだが瞬時にその間へフリーダムが割り込んだ。

 

「キラ君!?」

 

「ターゲット、マルチロック」

 

コクピットの球体型立体表示パネルが展開しミサイル群をロック、フリーダムは右手のビームライフル、背部の羽に隠されたバラエーナ、腰のクスィフィアスを前面に向け一斉に発射した。

ニュートロンジャマーキャンセラーにより実現した核エンジンの強力なビーム。

5本に分かれた砲撃は正確にミサイルを全て打ち抜きアークエンジェルに届く事はない。

ミネルバからの高出力のビームも回避行動を取られ空に消える。

2年前と変わらぬフリーダムの強さに見るモノは舌を巻いた。

だがそんな事には意にも返さず怒りに燃えるパイロットが1人。

 

「見つけた、見つけたぞ!! 青い羽のモビルスーツ、お前が!! お前がマユを……家族を殺した!!」

 

「何?」

 

加速するインパルスはバックパックからビームサーベルを引き抜きフリーダムに斬り掛かる。

瞬時に反応するフリーダムは左腕のシールドでコレを受け止めビームライフルの銃口を至近距離からインパルスに向けた。

だがコクピットは狙わず左肘に銃口を密着させトリガーを引く。

発射されたビームは関節を溶解させ肘から先は重力に引かれて海に落ちた。

 

「お前だけは絶対に俺が落とす!!」

 

「何だ、この機体!?」

 

怒りに満ちたシンの気迫が機体を通じてキラにも伝わる。

片腕を失くしても尚シンの闘志は衰えず左膝を胴体目掛けて叩き付けた。

ダメージはPS装甲で通らないが一時的に姿勢が崩れわずかに距離が離れる。

 

「ぐぅっ!!」

 

「これで!!」

 

衝撃でコクピットが激しく揺れるがキラはクスィフィアスを展開させ正確にインパルスの両足へ発射した。

インパルスもVPS装甲の性能でダメージは通らないがコクピットに衝撃が走る。

1秒足らず動くのが遅れてしまいその隙にフリーダムは態勢を立て直した。

 

「悪いけど……」

 

「クソッ!! お前だけは俺が!!」

 

インパルスはビームサーベルをフリーダムの装甲に突き立てようと再び接近を試みるが、機体性能とパイロットの技量が合わさりそれは叶わない。

距離を離すフリーダムは中距離を保ったままビームライフルでインパルスを狙う。

発射されるビームを避けるインパルス。

攻撃を受ける事はなくとも接近させてくれないせいで倒す所がダメージを与える事すら出来ない。

怒りが、ストレスが冷静な判断力を失い機体操作にも粗が見え始める。

キラはトリガーを3回引きバラエーナを展開、高出力のビームがインパルスを襲う。

スラスターで姿勢を制御し最初の3連射を回避しようとするシン。

だが3射目は右足のつま先を貫通して行った。

 

「まだだ!! まだ行ける!!」

 

バラエーナの高出力ビームはインパルスの頭部を吹き飛ばす。

メインカメラが機能しなくなりモニターがブラックアウトし何も見えなくなる。

それでもシンはペダルを踏み込みパックパックの出力を上げ機体を加速させた。

直前に見たフリーダムの居た位置をイメージに焼付けビームサーベルを振る。

だが当然、ビームサーベルは空を切るだけでそこには何も居ない。

背後に回り込むフリーダムは頭部バルカンでバックパックの噴射口を撃つ。

推進剤が爆発し主翼も折れてしまいインパルスは飛べなくなる。

 

「ぐっ!! コアスプレンダーなら動く」

 

シートベルトが体に食い込む。

落下するインパルスはチェストフライヤーとレッグフライヤーを分離させコアスプレンダーのみになるともう1度空を飛ぶ。

モビルスーツの時と比べれば戦闘力は殆ど失くなりフリーダムを倒す事など到底出来ない。

けれどもシンは機体の方向をフリーダムに向け機関砲のトリガーに指を掛ける。

人差し指に力を入れようとした瞬間、通信が入って来た。

その声はグフに搭乗するヒイロのモノ。

 

『その状態で戦うつもりか?』

 

「アイツは俺の家族の仇なんだ!! その為に俺は!!」

 

『コアスプレンダーで勝てる相手ではない。ミネルバに帰還しろ』

 

「でも!!」

 

『周囲にはまだオーブ軍も居る。どこかに連合軍の別働隊が居る可能性もある。このまま戦えば戦死するぞ』

 

ヒイロの言う事は正しく攻撃はして来ないがオーブ軍はまだ展開しておりコアスプレンダーでどうにか出来る状況ではない。

両手で操縦桿を握り手前に引き機体の高度を上げるシンは悔しさに体を震わせながらも戦闘領域から離脱する。

 

「クッソオオオッ!!」

 

叫ぶシンの声は誰にも届かない。

インパルスが居なくなった事で動きやすくなったフリーダム。

キラはコンソールパネルに手を伸ばしアークエンジェルに通信を繋げた。

 

「マリューさん、ここは離脱しましょう」

 

『そうね。交渉が通じる状態ではなさそうだし。キラ君もすぐに帰還して』

 

「わかりました」

 

艦艇の向きを変えて離脱を図るアークエンジェル。

だがザフト軍は逃がすまいと一斉に攻撃を始めた。

ラミネート装甲で建造されたアークエンジェルは多少のビーム攻撃ならばエネルギーを拡散させる事でダメージを通さない。

ミサイル等の実弾兵器は対空砲火で撃ち落とし、それでも間に合わないモノはフリーダムはビームライフルで正確に撃ち抜いてしまう。

2年前に開発された艦艇とモビルスーツにも関わらず、その性能は戦略級に強くザフトの兵士は再び伝説を目の当たりにする。

ミネルバの甲板上で攻撃を続けるルナマリアとレイもフリーダムの強さを前に何も出来ない。

 

「データで見た時はウソだと思ったけどここまでなんて」

 

「機体性能だけではない。フリーダムのパイロットは特別なんだ」

 

「特別って?」

 

オルトロスの砲身をフリーダムに向けてトリガーを引く。

赤黒いビームは一直線に突き進むが高い運動性能と反射神経を前に空の彼方に消える。

ルナマリアの赤いザクに狙いを定めたキラは両手で抱えるオルトロスに向かってトリガーを引いた。

 

「来るの!?」

 

ペダルを踏み込みジャンプさせる。

ビームは甲板に直撃し爆発と煙が上がった。

 

「そこだ!!」

 

「避けられない!? キャァ!!」

 

ザクは空中を自在に飛び回る事は出来ず、シールドは肩に装備してるせいで瞬時にビーム攻撃を防ぐ事が出来ない。

咄嗟に装備してたオルトロスを盾変わりにするが防ぐ事は出来ずに破壊されてしまう。

爆発は両手を持って行き、更には貫通したビームが右足にも当たる。

姿勢制御が出来ないザクは背部から破壊された甲板の上に落下した。

 

「っぅ〜!! やられた」

 

「ルナマリア、無事だな?」

 

「えぇ、でも機体はもう使えない。整備班、回収頼みます」

 

また1機、戦力を減らされる。

傷1つ付いてないフリーダムは確実にザフトの戦力を減らしつつあり、モビルスーツは全て武装や両手足、頭部のどれかを破壊されて撤退を余儀なくされて居た。

残されたレイは諦める事なくビームライフルをフリーダムに向ける。

だがその先で懸命にフリーダムに接近する機体が1機。

 

「青いグフ、ヒイロか」

 

テンペストビームソードを片手に接近戦を挑むヒイロ。

接近戦を仕掛けるグフに対して長距離からの援護は出来ず、コンソールパネルに手を伸ばしたレイはアスランに通信を繋げた。

 

「隊長、こちらからではヒイロの援護は出来ません。セイバーと2機で攻めれば可能性はあります」

 

レイは呼び掛けるがセイバーに搭乗してる筈のアスランから返事はない。

 

「隊長、応答願います。隊長!! くっ!! ザクでは空中戦は出来ない。ヒイロに任せるしかない」

 

諦めたレイはこれ以上は何も言わずに接近するグフを見守った。

 

///

 

レーダーに反応するグフの存在。

キラは人差し指に力を込めてトリガーを引く。

頭部目掛けて発射されたビームだがアンチビームコーティングのシールドに防がれる。

 

「甘いな」

 

「この機体もミネルバから?」

 

「ヤツの戦闘力は危険だ。ここで排除する」

 

接近しようとするグフに距離を取ろうと後方に下がりながらビームライフルの正確な射撃。

普通のパイロットなら何も出来ずに撃ち抜かれ戦闘不能にされてしまうがヒイロのグフは回避する。

 

「お前の射撃は正確だ。それ故に読みやすい」

 

「普通のパイロットとは違う。それなら!!」

 

連続してトリガーを引く。

メインスラスターの出力を上げてビームを振り切るグフ。

けれどもパイロットの技量が合わさっても量産機では限界がある。

シールドでビームを防ぎながら接近戦を狙うグフにフリーダムはクスィフィアスで左脚部を撃ち抜く。

カバーは間に合わず片足を失うがヒイロは構わずにペダルを踏み込み機体を加速させた。

テンペストビームソードを振り下ろす。

フリーダムはシールドでコレを防ぎながら頭部バルカンでグフの頭部を撃つ。

モノアイが潰され装甲もズタズタにされてしまいコクピットのモニターが見えなくなる。

それでもヒイロは右手に握る操縦桿を力一杯押し倒しシールドにテンペストビームソードを押し付けた。

ラミネートアンチビームコーティング製のシールドだが排熱が追い付かず徐々に表面が真っ赤に焼け爛れて来る。

 

「まだ動くなんて!?」

 

ビームライフルを腰部にマウントしビームサーベルを手に取りなぎ払う。

テンペストビームソードごと右肘から先は切断された。

 

「残りはビームガンとスレイヤーウィップだけか」

 

残された左腕のスレイヤーウィップを伸ばし横一閃。

だが電磁パルスが白い装甲に当たる事はなく、袈裟斬りされると斬り落とされてしまう。

戦闘力の失くなるグフだが撤退する様子はなくキラは警告を呼び掛けた。

 

「もうその機体では無理です。離脱して下さい」

 

「敵の話を聞くつもりはない」

 

「死にたいんですか!!」

 

「お前にやられるつもりはない」

 

コクピットのハッチを開放するグフ。

メインカメラが機能しなくなりヒイロは直接目視する事でフリーダムに左腕のビームガンを向ける。

連続して発射されるビームの弾。

だが背中を青い翼を広げて高速接近するフリーダム。

ビームを回避しながらも左側を通過した瞬間、もう片腕も肘から先が斬り落とされる。

全ての武器を失い両腕と片足もない状態。

それでもまだヒイロは諦めて居らず、ペダルを踏み込みフライトユニットのメインスラスターを全開にさせてフリーダムと密着しようと試みる。

執念深く戦う様にキラは声を上げた。

 

「何をそこまでして戦うんですか!! 僕は殺したくなんてない!!」

 

「お前にわかる筈がない。俺は自分の意思で最後まで戦うだけだ」

 

「この戦いの先に何があるのかわかってるんですか?」

 

「同じ事を言わせるな。敵と話をするつもりはない。お前が俺を落とさないなら俺が落とすだけだ」

 

「もう止めろぉぉぉ!!」

 

まだ戦う姿勢を見せるグフ。

叫ぶキラは背中のフライトユニットの右翼にビームを放つ。

翼は1撃で破壊されて機体は姿勢を維持出来ずに煙を上げながら在らぬ方向に飛んでしまう。

高度も維持出来ず、ハッチを閉鎖したグフは数秒後には海に落下した。

 

「ゴメン、でも……」

 

その言葉がヒイロに届く事はない。

アブクを上げながらグフは海の底へ沈んで行く。

 

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第12話 疑惑

 

艦艇でザフトを待ち構えてたネオは混乱する戦場を目にして顎に手を添えた。

ブリッジから見えるフリーダムの快進撃を止められるモノは居らず、ザフト、オーブ共にモビルスーツを次々に落とされて行く。

フリーダムの強さを良く知るネオはすぐに決断した。

 

「潮時かな。これ以上戦闘しても無駄だろ。被害が出ない内に撤退だ。先鋒さんもな」

 

ネオの指示に従い裏で待機してた連合軍はザフトと一戦交える事もなく撤退を始める。

オーブも同様に後退を初め、フリーダムとアークエンジェルも戦域から離脱して行く。

ネオは今回のフリーダムの登場を見て頭を悩ませる。

 

「厄介事が増えるねぇ。次も相手にするかもしれないとなると、アレを投入する事もあるかもな」

 

かくしてダーダネルス海峡での戦闘は終わった。

オーブ軍、地球連合軍は撤退し、交渉が通じないと見たフリーダムとアークエンジェルもこの場から姿を消す。

戦うべき相手が居なくなったザフトも損害が出たこの状況でこれ以上戦う事は意味をなさず、出撃させたモビルスーツ部隊を帰還させる。

 

「全部隊に通達、ミネルバは現空域から離脱します。モビルスーツ隊は帰還させて」

 

「了解です。全部隊に――」

 

通信士のメイリンはタリアの指示をインカム越しに復唱し部隊に通達させる。

艦長シートの隣に立つアーサーは声を震わせた。

 

「に、2年も前のモビルスーツがこんなに!?」

 

「あの機体にはニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されてる。普通に考えればアナタの言うように2年も前のモビルスーツかもしれない。でもフリーダムの性能なら現行の量産機が束になって戦っても敵わない。それが、ついさっきまで目の前に居た」

 

「あんなのを相手に勝てるのですか? 艦長?」

 

「次もまた私達の前に現れるような事があれば、また戦う事になるでしょうね。そうなった時、勝てなければ死ぬだけよ」

 

「そんな……」

 

アーサーは顔面蒼白になりながらスクリーンに映るフリーダムの姿をもう1度見た。

背中の青い翼を大きく広げ、フリーダムとアークエンジェルはミネルバの索敵圏外にまで行ってしまう。

撤退を始めるミネルバの甲板上に居るレイのザク。

損傷して海に落下したヒイロのグフを探す為、コンソールパネルに指を伸ばしレーダーを活用して機体の反応を探る。

 

「居た、9時の方角、距離は120。そう離れてないな。ヒイロ、聞こえるか? こちらレイ・ザ・バレル。応答願う」

 

通信を送るとすぐに反応が返って来る。

雑音混じりで声はほとんど聞こえないが、まだ生きてる事は確認出来た。

 

『こ――ヒ――き』

 

「すぐ救出に向かう」

 

端的に言うレイは操縦桿を握り締めザクで海の中に飛び込んだ。

太陽が昇る時間帯とは言え視界は暗くレーダーを使用しなければ数メートル先もハッキリとは視認出来ない。

右足でペダルを踏み込みメインスラスターから炎と共に大量の泡を発生させてザクは海中を進む。

赤いモノアイの先、海底に沈むのは周囲の色に紛れ込みながらもボロボロに破壊されたグフの姿。

 

「見つけた。コクピットに水漏れは起きてないな?」

 

『問題ない。ノーマルスーツの生命維持装置も作動してる』

 

「ならこんな所からはすぐに移動するぞ。機体を引き上げてミネルバに帰還する」

 

損傷したグフを抱えたザクはメインスラスターの出力を最大にして海底から浮上する。

ヒイロは邪魔になるフライトユニットをパージして機体重量を軽くし、2機は海上へ飛び出した。

装甲の隙間からは大量の海水が流れだす。

 

「こちらレイ・ザ・バレル。ヒイロのグフを確保した。すぐに帰還する」

 

『こちらミネルバ、了解です。良かった、みんな無事で』

 

通信からはメイリンの声が聞こえて来る。

飛行出来ないザクは長時間空中に留まる事は出来ず、速やかに帰還した。

 

///

 

両軍共に作戦は失敗に終わり、損傷したミネルバは修理の為にマルマラ海の港へ進路を取る。

シンのインパルスはフライヤーを取り替えればすぐに戦闘復帰が可能だが、ルナマリアのザクとヒイロのグフの修理には時間が掛かる。

港に到着したミネルバは急ピッチで修理が行われ、フリーダムに破壊されたタンホイザーを優先して取り掛かった。

特に損傷の激しいヒイロのグフは修理は間に合わないと判断され新しいモノが用意される。

艦と機体の修理が終わるまでパイロットは休む事しか出来ず、シンは各々の機体調整をモビルスーツデッキで見ながら突然乱入して来たフリーダムに毒を吐く。

 

「何なんだよアイツら!! アイツらが変な乱入なんかしてこなけりゃ、こんなことにはならなかった!!」

 

フリーダムが破壊したタンホイザーの被害に合い数名のクルーが戦死し、その遺体が艦から運び出されて行く。

ルナマリアも攻撃を受けており、何も出来なかった悔しさにうつ向く事しか出来ない。

アスランもシンに返す言葉がなく口を閉ざした。

怒りをあらわにするシンにレイだけは傍に立ち寄り肩に手を添える。

 

「今は何もする事は出来ない。次の戦いに備えてやれる事がある筈だ」

 

「次……アイツらはまた来るのか?」

 

「フリーダムは来る。必ず……」

 

「フリーダム……」

 

因縁の相手の名前を胸に刻むシン。

2人の様子を見ながらも、アスランは気配を消して歩を進める。

心の中では以前のフリーダムとアークエンジェルの事がグルグルと渦巻いて居た。

 

(キラとラクスは何を考えてこんな事を? 兎に角、1度会う必要がある)

 

向かった先はタリアの居る艦長室。

壁に設置されたパネルのボタンを押しブザーを鳴らす。

数秒待つとパネルのスピーカーからタリアの声が聞こえて来る。

 

『誰なの?』

 

「アスラン・ザラです。艦長、少しお話が」

 

『あまり余裕がある訳ではないのだけれど。少しなら聞きましょう。入って』

 

「ありがとうございます」

 

返事を返すと目の前の扉が自動で横にスライドした。

室内に足を踏み入れるアスランはデスクで書類を片手に座るタリアの元へ進む。

目と鼻の先にまで近づき、ようやくタリアはアスランに視線を向ける。

 

「どうしたの? 出来れば手短にね」

 

「はい。艦長、今回のアークエンジェルとフリーダムの介入の件は自分に任せて貰えませんか?」

 

「任せる?」

 

疑問を浮かべるタリアにアスランは息を呑んで緊張感を高める。

 

「艦長もご存知だと思いますが、自分は2年前の大戦でアークエンジェルと共に連合とザフト、父でもありプラント最高評議会議長のパトリック・ザラと戦いました。恐らくフリーダムのパイロットもアークエンジェルのクルーも当時と変わってないかと。もしもそうなら自分がよく知る人物です。だからこそ、今回の事が納得出来ません」

 

「アークエンジェルとフリーダムは、アナタ程ではないにしても少なからず知ってます。確かにアナタの言う通りではあるけれど……」

 

タリアは書類には目を通したまま思考する。

自身を見ようともしない態度にアスランは不審に思いながらも言葉を続けた。

 

「彼らの要求はオーブ軍の戦闘停止、及び撤退です。ですがこんな方法は間違ってます。そのせいで両軍にも要らぬ犠牲が出ました。この事で本国と司令部も何らかの対処を進めるでしょう。でも自分なら彼らと接触出来ると考えました。また今回のように介入して来る可能性がないとも言い切れません。そうなる前に真意を確かめ、このような事がないように説得します」

 

「今回の件の犠牲は大きい。出来る事なら金輪際こんな事が起きて欲しくないと私も思う。でも出来るの? アナタに?」

 

「はい。FAITHを与えられた者として責任を果たします」

 

疑いの眼差しを向けるタリアにアスランは力強く応えた。

緊迫した空気が場を支配する。

鋭い視線を向けるアスランにタリアは口から息を吐きだし、持って居た書類をデスクの上に置いた。

 

「FAITHの権限を使うのなら、私に止める事は出来ません。わかりました。アークエンジェルの件はアナタに任せます」

 

「ありがとうございます。では30分後に出港します」

 

敬礼したアスランは踵を返し艦長室から出て行く。

自動で扉が開閉し、1人になったのを確認してからタリアは右手をデスクのパネルに伸ばした。

 

「メイリン、ヒイロとルナマリアを私の部屋に呼んで」

 

///

 

準備を整えたアスランはカバンを片手に自身の機体であるセイバーの元に向かった。

モビルスーツデッキではまだ整備班が慌ただしく動いており、何人かがセイバーの調整を行って居る。

アスランは早足で近づくとその内の1人、ヴィーノに声を掛けた。

 

「おい、セイバーは損傷してない筈だ。何かあったのか?」

 

「あ……スイマセン。整備ミスで回路をショートさせちゃって。急いで修理するんで」

 

「急いでって……どれくらい掛かるんだ?」

 

「どんなに早くしても2時間は」

 

「2時間、そんなに待ってる時間はないぞ」

 

どうしようもない状況にヴィーノでは対処出来ず、アスランにも解決策は見つけられない。

悩んでる所に整備班の班長であるマッド・エイブスが様子を見て駆け付けて来た。

 

「どうした、隊長さん?」

 

「あ、いえ……セイバーが動かせるようになるまで2時間は掛かると言われて。それまで待ってる余裕もないもので」

 

「さっき艦長から聞いた。グゥルならすぐに使える。アレでどうだ?」

 

モビルスーツ支援空中機動飛翔体グゥル。

ザクのように空中で活動出来ないモビルスーツの土台に使用する事で飛行させる。

悩んでる暇はないと考えたアスランはその提案を受け入れた。

 

「わかった、それで頼む。すぐに出撃出来るか?」

 

「推進剤は満タンにしてありますので。オートで稼働させ続けても5日は持ちます」

 

「なら後は頼んだ」

 

アスランは用意されたグゥルに向かって歩を進める。

ヴィーノは遠ざかる背中に向かって敬礼し、見られてないのを確認するとマッドの元に立ち寄り小声で話し掛けた。

 

「良いんですか? セイバーどこも壊れてないんですけど?」

 

「艦長からの指示だ。モビルスーツは使わせるな、だとよ」

 

「やっぱこの前のアークエンジェルと関係があるんですか?」

 

「そんなの整備班が知るかよ。それよりもまだ仕事は残ってるんだ。さっさと終わらせろよ」

 

「わかってますよ」

 

2人の会話は聞かれる事もなく、アスランはグゥルのコクピットに乗り込んだ。

エンジンを起動させるとグゥルは単体でミネルバのカタパルトから出撃する。

 

「アスラン・ザラ、出るぞ」

 

雲1つない青空の中、太陽光を浴びながらグゥルは飛行する。

モビルスーツとは異なり広いコクピットの中でアスランはコンソールパネルを叩き自動操縦に切り替えると、シートの上に体重を預けこれからの事を考えた。

 

「あの時、俺はアークエンジェルとフリーダムに攻撃しなかったからな、艦長や本国に不審がられても無理はないか。まずはダーダネルス海峡に向かう」

 

加速するグゥルは以前戦闘したダーダネルス海峡に飛んだ。

そこから見える1番近い街。

アスランはグゥルを見つからないように海岸に隠し、持って来たカバンを片手に街へ上陸した。

昼時で街には人の姿が大勢見え、アスランは視線を避けるように人数の少ない場所へ歩く。

小型携帯端末を片手にパネルを触る。

通信を飛ばしソレを耳に当てると、繋がるのをただジッと待った。

10秒、20秒と経過しても通信は繋がらない。

けれども交信を止める事はなく、端末を握る指に力を込めてその時が来るのを待った。

 

『はい……』

 

「聞こえるな? アスランだ」

 

『アスラン!? アスラン・ザラ?』

 

聞こえて来るのは女の声。

そしてソレはアスランがよく知る人物。

 

「少し会って話がしたい。この近くに居るんだろ?」

 

『良いけれど……なら1時間後に会いましょ。場所は7番街』

 

「わかった。見つけたらまた連絡する」

 

手短に要件だけを伝えると端末の通信を切る。

伝えられた7番街にアスランは向かう。

サングラスを着用し、ひと目見ただけではすぐに彼だとはわからない。

そうしながらもなるべく人が多い所は避けるようにしながら、陽の光が当たらない路地を歩き目的地へ進む。

けれどもその背後から一定の距離を保ちながら尾行する影がある。

アスランは気が付く事もなく、時間に合わせて7番街に到着した。

ここは住宅密集地で人通りも中心部に比べれば少ない。

周囲を見渡し、住宅街の片隅にある喫茶店を見つけるとアスランはそこへ向かった。

木造建築で風情が感じられる店の前まで来ると、出入り口の扉を開け店内には鈴の音が響く。

中に客は3人しか居らず、その内の1人の女性はカウンター席でカップに入ったホットコーヒーを口にする。

アスランは彼女の隣の席に座ると小さな声で囁く。

 

「ミリアリア・ハウ、久しぶりだな」

 

「アナタもね、アスラン。2年ぶりになるのかな」

 

「そうだな。大戦が終わって、キミは戦場カメラマンか。プラントでディアッカに会った。アイツとは上手くやってるのか?」

 

「あぁ、ソレはもう良いの」

 

「ソレ?」

 

ミリアリアの言い方に疑問を感じたが、カウンターの向こう側から初老のマスターが注文を聞いて来た。

無視する訳にもいかず、チラリとミリアリアが持つカップを見る。

 

「ご注文は?」

 

「俺も彼女と同じので」

 

「ホットになりますが?」

 

「それで良い」

 

「かしこまりました」

 

注文を聞いたマスターは棚に飾られた複数のビンからひとつを選ぶと、フタを開けコーヒー豆を取り出し専用の機械に投入させる。

粉砕され粉になる豆からは芳ばしい香りが漂う。

仕切りなおして、アスランはミリアリアに本題を伝えた。

 

「それよりもアークエンジェルとフリーダムだ。この前の介入は知ってるか?」

 

「えぇ、表向きには公表されてないけれど。あの時、私も遠くから見てたから」

 

「なら話が進めやすい。理由はわからないがキラ達はザフトとオーブの間に割り込んで来た。そのせいで現場は混乱した。要らぬ犠牲も出た。俺はキラ達が何を考えてあんな事をしたのか知りたい」

 

「私を呼び出したのはそう言う理由ね。アークエンジェルと接触したいって事でしょ?」

 

「そうだ。友人だからと言って見過ごせる事ではない」

 

「そう……。アスラン、アナタはまたザフトに戻ったのね」

 

ミリアリアはカップをテーブルに置くと視線を俯けながらそう言う。

かつては敵同士だったキラとアスラン、戦乱に巻き込まれながらも手を取り合う事で2年前の大戦を乗り越える事が出来た。

けれどもアスランはまたザフトに戻り、キラはフリーダムに乗り戦場に現れる。

 

「今と言う状況を考えれば、こうするのが最善の方法だと思ったからだ。俺だって戦いたかった訳ではない。でも連合軍は一方的にプラントに攻撃を仕掛けて来た。戦争を早く終わらせる為にも、俺に出来る事をしたまでだ」

 

「アナタの言い分はわかる。今回の連合軍の攻撃は確かに強引だった。火の粉を振り払う為に戦う。私達も2年前はそうだった。でも……またキラと戦うかもしれない。それでも良いの?」

 

「そうならないように、戦う以外の方法で決着を付ける為にキミを呼んだ」

 

サングラスを外し真剣な眼差しを向けるアスラン。

それに対してミリアリアは数秒だけ考えると、カウンターの上の乗せて居たカバンからメモ帳とペンを取り出した。

開けたページにボールペンでスラスラと文字を書いていく。

書き終わるとメモ帳を閉じ、ペンもカウンターの上に置いた。

 

「暗号回線は教えて貰ってるから繋いであげる。けれども条件がある」

 

「何だ?」

 

「ザフトとしてではなく、アスラン・ザラ個人として会いに行って。それが条件」

 

「わかった。約束する」

 

その言葉を聞き、ミリアリアは先程書いたメモ帳の用紙を手でちぎりアスランに手渡した。

 

「明日の15時、その場所で待ってて。絶対って確証はないけれど」

 

「これだけでも充分過ぎる。俺は手掛かりすら知らないからな」

 

「じゃあ、もしキラやラクスに会えたらよろしく言っておいて」

 

ミリアリアはカップに残って居る冷めたコーヒーを飲み干すとカウンターから立ち上がった。

ポケットから紙幣を取り出しカップのすぐ傍に置いて。

その瞬間からアスランの事は視界に入れず、赤の他人のように無視して店から出て行く。

アスランも横目でチラリと後ろ姿を見ただけでこれ以上は何も言わない。

 

「はい、お待たせ」

 

カウンターの向こう側からは初老のマスターがホットコーヒーを目の前のカウンターに置いた。

淹れたてのコーヒーの香りが漂う。

 

「あぁ、ありがとう」

 

カップを手に取り口に運ぶ。

苦味とほのかな酸味が口に広がり、焙煎した芳ばしい香りが鼻を通る。

 

「上手いな。あの人が喜びそうな味だ」

 

「上手いかい?」

 

「俺はそこまで味がわかる訳じゃないが、知り合いに好きな人が居てね。ブレンドだとか何とか、色々試行錯誤してたのを覚えてる。普段はインスタントでしか飲まないから、それに比べたら違うよ」

 

「ありがとうございます」

 

マスターは笑みを向けながら、ミリアリアが飲んで居たカップと置いた紙幣を手に取った。

 

「マスター、1つ聞きたいんだが」

 

「わたくしにわかる事でしたら。こんな老人に言える事などしれてますがね」

 

「連合とプラントはまた戦争を始めた。戦争なんて誰もが嫌だと思う筈なのに。アナタはこの戦いをどう感じますか?」

 

マスターはステンレスのシンクでカップを洗いながら、アスランが今聞いて来た事を自分なりの考えで答え始める。

 

「産まれた場所、育った地域。それぞれによって人の考え片は変わって来ます。わたくしは産まれも育ちも幼い頃からこの土地でしたから、宇宙のプラントで生きてる人とは価値観が違うでしょう」

 

「まぁ、わかる話です」

 

「2年前の大戦。ナチュラルとコーディネーターの対立が火種となり地球全土と宇宙を巻き込む大きな戦争になった。どちらが正しい、どちらが間違ってる、そんな事はわかりません。ですが、価値観の違いと言うモノは時としてこのような、戦争にまで発展するのだと言う事は有史から続いて来た人間の歴史でもあります。ナチュラルの価値観、コーディネーターの価値観、それぞれがわかりあう事が出来るのかもわかりません。2年前の大戦でも、地球連合を倒せば世界は良くなる、ザフトを滅ぼせば平和は訪れる。そのような両者が話し合いで理解し合うのは容易ではありません」

 

目の前で語り掛けるマスターの言葉が胸に響く。

新型モビルスーツを強奪する為にヘリオポリスに潜入した時に友人であるキラと出会ってしまった。

その時のアスランはプラントのザフト兵としての立場でしか物事を考えて居ない。

相手の考えを理解する余裕などなく、それは連合軍に入隊したキラも同じだった。

そして互いにモビルスーツに乗り、本気で殺意を孕んで殺しあう。

相手を殺せば平和が訪れる。

この両者の間で和平が成立する日が果たして来るのか。

 

「では今のプラントと地球連合はどうすれば? このままではまた悲劇が繰り返されてしまう」

 

「小さな喫茶店のマスターが政治を語るのは恐れ多いです。ですが、あえて言うとすれば宗教と言うモノは人々の懇願なのです。願いを少しでも見える形に変化させたのが宗教でもある」

 

「願い……」

 

「左様、ナチュラルとコーディネーターの願いもまた、違うのかも知れません」

 

(俺が思う願い、カガリが思う願い、キラが思う願い。それぞれ違うのか……)

 

壁に立て掛けられた古い時計の針だけがゆっくりと時を刻んでいく。

 

///

 

喫茶店の外で2人は車の中で息を潜めて状況が動くのを待った。

指向性マイクを向けて店内の音を広い会話を聞き出そうとしてるのはヒイロだ。

ヘッドフォンを装着し、僅かな音も聞き逃さないように意識を集中する。

 

『ア――の言い分はわか――今回の連合軍の攻撃は――強引だった』

 

遮蔽物がある中で音声は正確には拾い切れず雑音が交じる。

ヒイロは聞き取れる少ない情報から内容を読み取りロジックを組み立てて居た。

その隣のシートで彼女、ルナマリアは事が終わるのを待って居た。

 

「店から女の人が出て来たけど普通の客?」

 

「いいや、アスランと何らかの関わりがある」

 

「だったら二手に別れて尾行する?」

 

「アスランは明日、目標と接触する。このまま後を付けて居れば良い。リスクは減らす」

 

「了解。にしても追跡任務だなんて。アスラン、アタシ達を裏切ってるの?」

 

「それを確かめるのが俺達の任務だ」

 

タリアに呼び出された2人はアスランの追跡を命じられた。

かつてはアークエンジェルの一員でありフリーダムと共に戦った仲間であるアスラン。

以前の戦闘介入でザフト軍本部は軍に復帰したアスランに目を付けた。

その命令を受けてアスランの動向を探らせる為にタリアは2人を向かわせ今ここに居る。

 

「行くぞ。ここにはもう用はない」

 

「明日の出方を待つだけか」

 

「機密情報を漏らす場合も想定される。その時はお前に任せる」

 

「出来るなら味方を撃つなんてしたくないんだけど」

 

言いながらルナマリアはチラリと後部座席を見た。

シートの上には黒く細長いアタッシュケースが寝かせてあり、中には長距離射撃が出来るスナイパーライフルが収まってる。

ヒイロは指向性マイクとヘッドフォンを外してこれも後部座席に置くと、尾行してる事がバレないように車を走らせた。

 

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第13話 それぞれの想い

 

深海に隠れる天使、アークエンジェル。

あの戦闘介入から連合とザフトの追手から逃れる為にダーダネルス海峡で息を潜めて居た。

長距離を移動するのではなくこの場に留まる事で相手の思考の逆を付く。

両軍ともに損傷しており、捜索の為にダーダネルスに出向けば再び接触する可能性もあり迂闊には出せない。

アークエンジェルにとってこの場に留まる事が最善の策だった。

そのブリッジで艦長であるマリュー・ラミアスはクルーの1人であるアンドリュー・バルトフェルドからコーヒーの入ったマグカップを受け取る。

ブリッジに居るクルーは全員、白と青を基調としたオーブ軍の制服を身に纏って居た。

 

「ありがとう」

 

「いいえ。探してた豆が手に入ったんでね。良ければ感想を聞かせてくれ」

 

「私の感想で良いのなら」

 

マリューは受け取ったマグカップを片手に艦長シートに腰を下ろし、スクリーンに表示された文字に視線を向けた。

CIC担当のダリダ・ローラハ・チャンドラII世はマリューに送られて来た電文を読み上げる。

 

「艦長、ミリアリアからの暗号通信です」

 

「ミリアリアさんから? 内容は?」

 

「ダーダネルスで天使を見た。正義の騎士がアナタを探してます。会いたい。以上になります」

 

「正義の騎士……」

 

意味を探るマリュー、そこへブリッジのドアが開き着物を着たラクスも入って来る。

彼女は場の雰囲気を感じ取り、すぐにマリューの元へ歩み寄った。

 

「どうかなさいましたか?」

 

「えぇ、ついさっきミリアリアさんから暗号通信が届いたの」

 

「まぁ、ミリアリアさんから。もうあれから2年になりますものね」

 

ラクスは軽く触れる程度に両手を合わせると、久しぶりに聞いた名前に喜びを表す。

笑みを浮かべる彼女にバルトフェルドはまたコーヒーの入ったマグカップを手渡した。

 

「ありがとうございます。あの、お砂糖は?」

 

「勿論、入れてますよ。個人的には豆本来の味を味わって貰いたいのですがね」

 

「すみません、ブラックはちょっと。それでミリアリアさんは何と?」

 

「ダーダネルスでアークエンジェルを見たらしい。それは良いんだが正義の騎士って部分……これはアスランの事か?」

 

正義の騎士、2年前の大戦でアスランはザフトが開発したジャスティスに搭乗し、戦争を終わらせる為に単機で多くのモビルスーツを撃破した。

最後はジェネシスのレーザー砲が地球に発射されるのを阻止する為に機体を自爆させデータベースから抹消される。

 

「アスランもあの場に? ミリアリアさんと一緒なのですか?」

 

「そこまではわからん。だが、もしかしたらアスランはザフトに戻った可能性もある」

 

「ザフトに……」

 

「そうだ。だから悩んでるんだよ。後ろにザフトが居るならそう安々と出て行けないからな。この前の件で俺達はお尋ね者だからな」

 

重苦しい空気が流れる中、またもブリッジのドアが開いた。

その先にはオーブの制服を着たキラが立って居る。

 

「どうしたのラクス? 何かあった?」

 

「ミリアリアさんから電文が来まして」

 

「ミリアリアから!?」

 

驚くキラ、戦場カメラマンとして活動する彼女とはもう久しく会えてない。

バルトフェルドはキラに視線を向けると事の次第を説明した。

 

「この前の介入をアスランも見てたらしい。だがそれと同時にザフトに戻った可能性もある」

 

「アスランが?」

 

「そうだ。俺達と接触したいらしいが、ザフトに戻ったとなると話は別だ。確証がないとこっちも動けない」

 

この話を聞いてキラは即決で判断した。

悩む素振りすら見せず、皆の前で堂々と言う。

 

「会いましょう。アスランに会えるのなら今のプラントやザフトの情勢もわかる筈です。でもアークエンジェルが動くのはまだ早いです。ここは僕だけで行きます」

 

「1人でなんて……」

 

「大丈夫だよ、ラクス。ただ会って話をするだけだし」

 

「ですが……」

 

1人で行くと言うキラを気にするラクス。

それは他のクルーも同じで仲間であるキラを危険に晒したくはない。

頑ななキラにバルトフェルドは1歩前に出た。

 

「だったら俺も行こう。それなら心配ないだろ? キラもだ。万が一と言う事もある」

 

「バルトフェルドさん、わかりました。ならアスランとは僕と一緒に」

 

「あぁ、所で肝心な日時だ。アスランは何処で俺達と会うつもりだ?」

 

ダリダはコンソールパネルを数回タッチしモニターに表示された映像を見る。

ミリアリアの暗号文には座標位置と時間だけが端的に打ち込まれて居た。

 

「明日の15時ですね。座標をモニターに出します」

 

ブリッジの大型モニターにも表示される座標位置。

バルトフェルドはマグカップのコーヒーをひと口飲むとこれからの事を考えた。

 

「場所はそんなに離れてないな。フリーダムを使えばひとっ飛びだ」

 

「でもモビルスーツを使えば目立ちますよ」

 

「海から行けば良い。そうすれば誰にも見えない。それまでは狭いコクピットで2人仲良く缶詰だがな」

 

「海……それなら確かにあまり目立ちませんね」

 

「なら決まりだ」

 

///

 

アスランはミリアリアから渡されたメモを頼りに言われた場所に来た。

時間は14時58分、約束の時間は近い。

周囲は見渡す限りの砂浜。

青空に輝く太陽、潮の流れが耳に届く。

サングラスを付けたアスランは季節外れの砂浜に1人で立って居る。

 

「ミリアリアを信じるしかないか」

 

今のアスランにはアークエンジェルクルーの誰かが来ると信じて待つしか出来ない。

時間を頻繁に気にしながらも、待つ以外の手段はなかった。

 

「うん?」

 

岩場の影から2人の姿がチラリと見えた。

アスランは注意深くその人物に視線を合わせ、相手が何者であるのかを確かめようとする。

歩きながらゆっくりと近づいて来る2人。

それは幼い頃からの友人であるキラ・ヤマトと同じザフト軍だったアンドリュー・バルトフェルド。

 

「キラ!!」

 

サングラスを外したアスランはキラの元へ駆け寄った。

キラもアスランが居る事がわかりいつものように声を掛ける。

 

「アスラン、プラントに居るって聞いてたけど」

 

「こっちにも事情があってな。バルトフェルドさんもキラと一緒に?」

 

「そうだ。単刀直入に聞くぞ。お前、ザフトに戻ったのか?」

 

バルトフェルドの問にアスランは視線を下げてしまう。

それだけでもアスランがザフトに戻った事は簡単にわかったが、あえて何も言わず彼の口から語られるのを待つ。

キラも同様にこの件に付いては何も言及しない。

2人の視線を浴びながら、アスランは重たい口を開いた。

 

「プラントが攻撃されたと聞いて居ても立っても居られなかった。自分にも出来る事を考えたらザフトに戻るのが最善だと判断したまでだ」

 

「それじゃあアスランはあの時もモビルスーツに乗ってたの?」

 

「あぁ、だからアークエンジェルとフリーダムも見た。キラ、何故あんな事をした?」

 

アスランは強い口調でキラに言う。

キラも目を細め、確固たる信念の元に応えを返した。

 

「止めたいと思ったから。オーブにはカガリも居る」

 

「それはわかってる。だが今の世界の動きを見ればそんな事も言ってられない。プラントの敵として来るのなら撃つしかない」

 

「ならアスランが僕達に会いに来た理由は何なの?」

 

「こんな戦闘介入は止めさせたいからだ。こんな事をしてたらオーブにもザフトにも被害が及ぶ。要らぬ犠牲が増えるだけだ。この戦争、切っ掛けはユニウスセブンの落下事件だ。パトリック・ザラ……父の意思に同調したコーディネーターが部隊を編成してテロに打って出た。何とか地球への落下は阻止出来たが、その後の動きはどう考えても連合が悪い。プラントは交戦の意思など示してないのに」

 

「アスランの言いたい事はわかったよ。でもプラントは本当にそう思ってるの?」

 

「どう言う事だ?」

 

「また始まった連合とプラントの戦争。デュランダル議長は本当に早期解決を目指してるの?」

 

「当たり前だ。お前だって議長の言葉は聞いてるだろ」

 

「なら、あのラクスは何なの? 偽物を使って」

 

本物のラクス・クラインはアークエンジェルに居る。

大衆は今活動してる人物をラクス・クラインと信じて疑わないが、キラ達には彼女が偽物だと言う事は当然わかった。

アスランもその事には気が付いてる。

そして偽物のラクス・クライン、ミーア・キャンベルとも会った事があり、デュランダルの思惑に付いても多少は想像が付く。

 

「戦争が始まってプラントの情勢は不安定だ。ザフトの士気を高める為にラクスの存在を使ったのかもしれない」

 

「だったらどうして本物のラクスが殺されそうになるの?」

 

「何だと!?」

 

「オーブに居た時、僕達はザフトのモビルスーツに襲撃された。だから僕はもう1度フリーダムで戦った。もう誰かが死ぬなんて嫌だから。もしアスランが言う事が本当なら、どうしてラクスが狙われないといけないの? それがわかるまで、僕はプラントもデュランダル議長もすぐには信用出来ない」

 

「それは……」

 

初めて聞く情報にアスランは喉を詰まらせる。

必死に頭を回転させるが詳しい情報ない今は答えを導き出す事は出来ない。

キラは黙ってアスランの表情を眺めるだけ。

緊迫し張り詰めた空気が流れる中、隣に立つバルトフェルドの視線が鋭く光った。

 

(この感覚は……)

 

///

 

ヒイロとルナマリアはアスランの姿を追ってこの海岸にまで来て居た。

双眼鏡と指向性マイクを持つヒイロは、アスランとキラの会話を見つからないようにして聞いて居る。

ルナマリアは別地点でスナイパーライフルのスコープを覗き、通信機からヒイロの合図を送られるのをジッと待つ。

貫通力の高いライフルの銃口は正確にアスランの頭部を狙って居る。

 

「目標が接触した。合図を送るまでは待機しろ」

 

『了解』

 

ヒイロは双眼鏡で相手の動きを観察しながら指向性マイクが拾う声を聞く。

情報漏えい、裏切りと見られる行為、アークエンジェルと今も密接な関係があると判断した場合、即刻排除するようにタリアからも命令を受けて居る。

慎重に注意深く、アスランの出方を待つ。

 

『こんな戦闘介入は止めさせたいからだ。こんな事をしてたらオーブにもザフトにも被害が及ぶ。要らぬ犠牲が――』

 

(どうやらアークエンジェルとの関係は2年前に終わってるらしいな。だが動向は探る必要がある。敵になる可能性がある限り、これからもマークする必要があるな)

 

 

狙撃の合図はまだ送らない。

上層部を通してタリアから命令を受けて居るが、繋がりがあると言う事は向こうの情報を引き出す事も出来る。

その逆もまた然りだが、判断を下すにはまだ早い。

 

『戦争が始まってプラントの情勢は不安定だ。ザフトの士気を高める為にラクスの存在を使ったのかもしれない』

 

『だったらどうして本物のラクスが殺されそうになるの?』

 

キラの発言を聞いたヒイロは息を呑む。

表舞台に立つラクス・クラインが偽物だと言うのは見抜いて居たが、本物が狙われる理由は初めて聞く情報。

アスランと同様に情報が少ない現状ではヒイロも全てを知る事は出来ない。

 

(だが連合とプラントの裏で何らかの組織が暗躍してるのは確かだ。デュランダルが言ったロゴスの事か?)

 

思考するヒイロだが双眼鏡のレンズの先に居る3人に動きが見えた。

キラの護衛の為に一緒に来たバルトフェルドが懐から銃を抜き周囲を警戒する。

それを見てヒイロは通信機に手を伸ばす。

 

「引くぞ。気付かれた」

 

『何で? 600メートルは離れてるのに』

 

「直感的に気が付いた可能性もある。位置を見てもグゥルに忍び込むのは無理だ。別ルートからミネルバに帰還する。後は自己の判断で行動しろ」

 

スナイパーライフルのスコープには光りが反射しないように処置も施されて居る。

それでもバルトフェルドに気付かれたのは長年の経験と勘、第六感が感じ取る自分に向けられる殺意。

ヒイロの通信を聞いてルナマリアはアタッシュケースの中にスナイパーライフルを収める。

行きはアスランが乗るグゥルに隠れてここまで来たが、この状況で再び見つからずに忍び込むのは困難だ。

言われた通りにルナマリアは速やかに狙撃位置から離れて行く。

ヒイロはこれ以上は情報を聞き出す事は出来ないと判断し、ルナマリアと同じく現場から離れた。

 

(ロゴス……調べてみる価値はあるな)

 

影を悟られないように逃げる中、ヒイロは本物のラクス・クライン暗殺を企てた首謀者の事を頭の片隅で考えた。

一方、狙われて居たアスラン達は岩場へ姿を隠す。

遮蔽物に囲まれれば被弾する確率も下がる。

バルトフェルドは銃を構え周囲を警戒しつつも、アスランに視線を向け重い口調で話した。

 

「断言出来る訳ではないが、お前はザフトに狙われてる」

 

「ザフトに!?」

 

「2年前の大戦と今回の事で繋がりがあると疑われてるんだ。無理もない話だがな」

 

「そんな……」

 

「兎に角、今はミネルバに戻れ。俺達と行動を共に出来ないと言うのなら、そうするのが1番安全だ」

 

言いながらバルトフェルドは構えを解き銃口を足元の砂浜に向けた。

 

「引いたか? 気配が消えた」

 

「アスラン、僕には僕の出来る事をする。やっぱり、このままオーブを見てる事なんて出来ない。カガリだって居る」

 

「それはわかってる。だが、お前のやり方に俺は賛同出来ない。幾らお前とフリーダムが強くても、たった1人でどうにか出来る問題ではない」

 

「アスラン……」

 

悲しげなキラの瞳。

アスランはそれ以上何も言わず、グゥルの元に歩を進める。

遠ざかってく背中をキラとバルトフェルドは見つめるだけだ。

 

「良かったのか? アイツはこれからもプラントの為に戦うぞ。俺達がまた戦闘に介入すれば、アイツとも戦う事になる」

 

「今はまだわかりません。僕とアスランが想う願いが違うかもしれないから。でも、カガリを想う気持ちだけは同じだと信じてます」

 

「想いと願いねぇ」

 

陽は沈み始め、海岸は赤い光に包まれる。

 

///

 

アスランが出た数時間後アーサーからの指示でロドニアへの探索任務が言い渡された。

シン、レイはミーティングルームに集まり任務の概要を聞く。

「地域住民からの情報なんだが、連合軍の息のかかった基地があるらしい。今は静かなそうだが以前は車両や航空機、はてはモビルスーツまで出入りしてたかなりの規模の施設らしい。2人には明朝、この施設の調査に行って貰いたい。連合が秘密裏に進める計画を入手出来るかもしれない」

 

「こんな仕事に俺達が?」

 

地味な仕事に不満を漏らすシンにアーサーは続けた。

「そんな仕事とか言うな。ミネルバの移動ルート上にこの基地がある。もし武装勢力が立て篭もってたらどうする? そう言うのも含めた探索任務だ」

「了解しました」

 

「了解」

 

レイとシンは椅子から立ち上がりアーサーに敬礼をした。

けれどもシンは乗り気にはなれず、その声からも覇気は感じ取れない。

 

「良し、明日は早い。きちんと体は作っておけよ。準備も抜かり無くな」

 

言うとアーサーはミーティングルームから出て行く。

扉が閉まるのを確認して、シンは敬礼を崩し椅子の上に座る。

 

「何で俺がこんな事を。ルナとヒイロはどっか行っちゃうしさ」

 

「シン、これも作戦だ。俺達は完璧に遂行する義務がある」

 

「でもさ〜」

 

「行きたくないなら俺1人でやる。任務が終わるまで部屋で待ってろ」

 

「わっ、わかったよ」

 

レイに注意されようやく真面目にやろうと考えるシン。

このミーティングから6時間後、シンとレイはパイロットスーツ姿でモビルスーツデッキに来た。

シンはコアスプレンダーのコクピットに乗り込み、発令を待たずにカタパルトから発進する。

 

「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!!」

 

操縦桿を握り、右足でペダルを踏み込むとスロットルを上げる。

メインスラスターから青白い炎を噴射し推進力を生み出すと、コアスプレンダーは空に飛び立つ。

同時にチェストフライヤーとレッグフライヤーもカタパルトから射出される。

ガイドビーコンで位置を固定させコアスプレンダーと各フライヤーはドッキングした。

背部にはフォースシルエットを背負い、バッテリー電力が供給された装甲は鮮やかなトリコロールに変化する。

変形したフォースインパルスの後ろにはグゥルを土台にして空を飛ぶレイのザクが居た。

 

「敵影ナシ。上空を飛行して目的地へ行く」

 

「了解。レイ、ザクで行けるのか? 今ならセイバーもグフもあるのに」

 

「使い慣れた機体の方がやりやすい。それにグゥルはシミュレーションでも確認しておいた。問題はない」

 

「なら良いけど」

 

「では行くぞ」

 

2機はメインスラスターを噴射させミネルバの進路上を先行する。

アーサーから指示された施設はそこまで離れておらず、飛行して30分でそれは見えた。

コンクリートで作られた巨大施設。

手入れどころか使用すらされておらず壁は黒ずみひび割れて居る。

電力も供給されておらず、室内から人の気配は感じ取れない。

 

「見えた。やはりモビルスーツは探知されないな。着陸して内部を探る」

 

レーダーを確認したレイは通信でシンに伝えるとザクの高度を下げさせた。

入り口近くに機体を着陸させるシンとレイ。

ハッチを開放しワイヤーで地面に降り立つ2人は、目の前にそびえ立つ施設を見上げた。

 

「ここは……一体?」

 

「中に入って確かめるしかない。だが警戒は緩めるな」

 

頷くシンは銃を取り出し右手に構え、左手には逆手でフラッシュライトを握る。

レイも防衛の為に銃を取り出してタクティカルライトを装着し、2人は施設内部へ足を踏み入れた。

中は一切光りがなく、静まり返った室内では足音だけが良く響く。

設置された機器の元へ向かいパネルを触るレイ。

長期間触られてない機器には埃が積り、指で触った部分に痕が付く。

けれども電力は供給されてない為、パネルをどれだけ触っても機器に反応はない。

 

「ダメか。だが兵器を開発してたようではないな。もっと別の何か」

 

「なぁ、レイ。この臭いって何だ? もっと奥から来てる気がするけど。嗅いだ事のない臭いだ」

 

シンは眉を潜めながらも奥に向かって歩いて行く。

その先に悪臭の原因がある。

反応がない機器を後回しにしてレイも後から続いた。

暫く暗闇を進んだ先には隔離されるように巨大で頑丈な鉄の扉が広がって居る。

しかし今は僅かな隙間が開き、悪臭と共に冷たい空気が流れ込んで来て居た。

 

「この先か。レイ、左を頼む」

 

「わかった」

 

2人は左右に別れて鉄の扉を力一杯スライドさせる。

サビ付いたレール上の車輪がゆっくり動き出し、中からは耐え難い異臭と冷たい空気が流れ込んで来た。

 

「何だ……何なんだよコレは……」

 

そこには円柱のカプセルのようなものが複数立ち並び、濁った液体が充満して居た。

フラッシュライトで照らし中を覗き見ようとするが、濁った液体は光りをほとんど通さず、けれども何かの影だけは見える。

目を凝らして良く見ると、それは人の手の形をして居た。

驚きで心臓が締め上げられる。

息をするのも忘れて手に握るライトを他に向けると、そこには悪臭の正体があった。

 

「う゛っ!?」

 

思わず目を伏せたシン。

向けられたライトの光りの先にあったのは人間の死体。

床には流れ出た血がもう固まって居る。

死んで腐敗した肉が部屋を覆い尽くす悪臭の原因。

しかもそれは1つや2つではない。

広い部屋の中を見渡すとそこかしこに死体は転がっており、とても長時間ここに居る事は出来なかった。

 

「レイ、ここは普通じゃない。1度ミネルバに戻ろう。レイ?」

 

返事を返さないレイ。

その表情は大きく目を見開いて強張っており、普段と違い血色も良くない。

口は魚のように開いたり閉じたりを繰り返しており、次第に体が震え始め立つ事も出来なくなった。

 

「う゛ぅっ!! ハァハァハァッ、ググッ……はぁ、ハァハァハァ!!」

 

「レイ!! 大丈夫か、レイ!!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ!! カハッ!!」

 

「ミネルバに戻ろう。ここに居たらダメだ」

 

レイの肩を担ぎシンはこの部屋を後にする。

悲惨な現場はもう見るきにすらならず、死体の腐敗臭をこれ以上嗅ぐのも嫌だった。

呼吸をするのもやっとのレイと一緒にシンは足早にこの施設から出て行く。

 

(連合軍はここで何をして居たんだ? 兎に角、ミネルバに報告しないと。レイだって……)

 

思考は後回しにして今は外に出る事を優先した。

待機させたインパルスの足元にまで来るとレイを地面に降ろし安静な状態にさせる。

中に居た時と比べれば呼吸は落ち着いており静かにまぶたを閉じて居た。

 

「良かった、取り敢えずは大丈夫そうだな」

 

シンは伸びたワイヤーに掴まりコクピットハッチまで上昇する。

ものの数秒で登り切ると開放されたハッチからコクピットに滑り込みコンソールパネルを叩いた。

緊急でミネルバに通信を送る。

 

『こちらミネルバ。シン、探索はどうだった?』

 

聞こえて来るのは通信士のメイリンの声。

 

「言われた施設には来たけど、中が普通じゃない。上手く言えないけどおかしいんだ。それにレイも倒れた」

 

『レイが!? すぐに艦長に報告するから』

 

「頼む。それと捜索隊の準備も進めてくれ」

 

『了解』

 

言うべき事を手短に伝えるとシンは通信を切る。

 

///

 

艦艇のブリッジでネオは上層部から送られて来た作戦指示に頭を悩ませる。

ミネルバと介入して来たフリーダムのせいでオーブ軍のモビルスーツは大打撃を受けた。

連合軍の機体には被害が及んでないが、増援がない状態では物量で劣ってしまう。

片手に持った書類をマスク越しに見ながらネオは愚痴を零す。

 

「どうしたモンかね。ポンポン新型を出して来るミネルバをそう何回も相手出来る程、こっちの戦力は充実してないからな。それにフリーダムの件もある。オーブ軍を使えば、また現れる可能性もある」

 

「上層部からの指示はミネルバの足止め。可能ならば撃沈させよ、との事ですが?」

 

「簡単に言ってくれる。最前線で戦う俺達の身にもなってくれ」

 

「そうではありますが……」

 

「あぁ、無視する訳にもいかんしな。完膚なきまでにやられたら、逃げる事も出来るか。それなら文句言われまい」

 

下士官と冗談交じりに話すネオ。

そこにブリッジの扉を開けてステラがやって来た。

彼女の表情はいつもと比べると暗く、視線も下の方ばかりを見て居る。

 

「ネオ……」

 

「ステラか、どうした?」

 

「何だか気持ちが悪い。ざわざわする」

 

「医務室には行ったのか?」

 

「そう言うのじゃない。よくわからないけど違うの」

 

不安がる彼女の腕を掴むネオ。

肌のふれあいから伝わる感覚にネオも危機感を抱く。

 

(鳥肌が立ってるな。何かを感じてるのか?)

 

数秒後、ネオの予感は的中する事になる。

ブリッジに通信が繋がり、スクリーンには『SOUND ONLY』の赤い文字が表示された。

 

『こちら爆撃班。緊急事態です』

 

「何があった? 状況を報告しろ」

 

『はい。ロドニアのラボのすぐ傍まで来てます。ですが我々よりも早くにザフトの機体が敷地内に』

 

「何、本当か?」

 

『はい。あれは……ザフトの新型とザクです。どうしますか? 我々だけではモビルスーツに対抗出来ません』

 

爆撃班はロドニアに建設されたラボ破壊命令を受けて向かってる最中だった。

だがミネルバのモビルスーツ隊の方が一足先に到着しており、モビルスーツが居るとなっては爆撃班は内部に侵入出来ない。

 

「無理に動いてこちらの足取りを掴まれるのも厄介だ。撤退するしかあるまい」

 

『撤退ですか?』

 

「そうだ。今からではどうにもならん。相手に見つかるなよ」

 

『了解です』

 

それを最後に通信は途切れた。

次々に起こる問題にネオはまた愚痴をこぼすしか出来ない。

 

「やれやれ、どうしてこうも良くない事ばかり起きる」

 

「ネオ、ラボってなに?」

 

「ラボって言うのは……そんな事聞いてどうする?」

 

「何か……忘れてるような」

 

ステラの出生を知ってるネオはこの言葉に焦りを抱く。

コーディネーターよりも優れた兵士として開発されたステラ、彼女は強化、開発の為に数年前まではこのラボに居た。

そして開発が終了しファントムペインとして戦闘する頃には、かつての記憶は邪魔になると催眠治療と薬物投与で消されてしまう。

けれどもそれが今、何らかの要因によりほつれが見え始める。

 

(マズイな、昔の記憶を思い出して来てる。1番長く居たのがあのラボだからな。データみたいに人間の記憶を完全に消し去る事は出来ないか)

 

「ステラ、確かめて来る」

 

言うと彼女の行動は早かった。

誰の許可も受けずにブリッジからモビルスーツデッキ目指し走り出してしまう。

ネオが止めようとした時にはもう、ステラは走り出して居た。

 

「待つんだステラ!! チィッ!! 今日は本当にツイてない!! モビルスーツデッキに回線繋げろ。ステラをモビルスーツに乗せるな!!」

 

走るステラは全速力でモビルスーツデッキに向かった。

止めるモノは誰も居らず、数分でデッキに到着すると立ち止まり自分の機体であるガイアを探す。

右へ、左へ視線を移すと装甲が灰色のガイアが直立してケージに収まって居る。

また走り出す彼女の前に、ネオの命令を受けた連合軍兵士が銃を構えて立ち塞がった。

 

「止まるんだ!! モビルスーツには――」

 

「邪魔するなぁ!!」

 

一瞬で詰め寄ったステラは手首を締め上げ銃を奪い取る。

弾が装填されてるのを瞬時に確認し、左の太腿に銃口を密着させるとトリガーを引いた。

 

「ガァァッ!!」

 

甲高い銃声が響くと次には激痛に喘ぐ連合軍兵の悲鳴が聞こえる。

飛び散った血が銃とステラの右手を汚すが、そんな事は一切気にせず開放されたガイアのコクピットの中に滑り込んだ。

慣れた手付きでコンソールパネルを操作しハッチを閉じると、OSを起動させてバッテリー電力を供給させる。

 

「ハッチを開放して。でないと弾き飛ばす!!」

 

装甲に色が宿りツインアイが輝きを帯びる。

握ったビームライフルを向けるガイアに連合軍兵は慌てふためくしか出来ない。

 

「クーデターでも起こすつもりか!!」

 

「ビームはマズイ!? 言う通りにしろ!!」

 

ケージを跳ね除けるガイアはゆっくりと歩きながら閉鎖されたハッチ前にまで来た。

ステラの要求によりハッチは破壊される前に開放され、ガイアはカタパルトも使わずにメインスラスターの出力を上げる。

背部の羽から青白い炎を噴射して、ガイアは艦から飛び出して行く。

 

「ラボ……みんなが居る所……」

 

モビルアーマー形態に変形するガイアは加速して地面を駆け抜ける。

 

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第14話 ステラとの約束

 

アスランの偵察から戻ったヒイロとルナマリア、ミネルバの中は物々しい雰囲気に包まれて居た。

報告の為に艦長室に向かったがタリアは居らず、ブリッジに出向くとタリアとアーサーがスクリーンに映された映像に顔を歪めて居る。

 

「ルナマリア、帰還しました。何かあったのですか?」

 

「えぇ、ミネルバ進行上の連合軍施設をシンとレイに調べて貰ったのだけど、内部の状況が見過ごせるモノではなくてね」

 

タリアの説明にルナマリアも表示されるスクリーンに目を向ける。

新たに装備を整えて向かった偵察部隊が送る映像。

そこに映るのは真っ暗な中で血に染まる人間の亡骸。

 

「っ!?」

 

目を見開いたルナマリアは思わず口を両手で塞ぐ。

彼女と同じくタリアに報告する為にブリッジにやって来たヒイロもスクリーンの映像を見ると、鋭い視線に切り替わり映る情報を頭の中で整理する。

巨大な円柱のカプセル、濁った液体と中に居る死体。

血で汚れた壁や床。

赤く染まった白衣を着た男、銃を握る子どものこめかみには風穴が開き乾いた血がこびり付いて居る。

 

「内乱か。この施設の人間は戦力として利用されて居たと考えた方が良いな」

 

「それだけなら良いのだけれど。現実は非情みたいね」

 

タリアの言葉に続いてスクリーンの映像が切り替わる。

既に電力供給はストップして居るが設置された機器のデータはまだ生きて居た。

保存されて居た莫大なデータを抽出しミネルバへと送られると、解析されたモノからスクリーンに映し出される。

それには10代の少年少女の顔写真と身体データが記載されて居た。

だが状況を理解出来ないアーサーは思わず声に出してしまう。

 

「このデータ……一体何なんです?」

 

「連合軍が秘密裏に進めてるエクステンデッド。アナタも噂くらいは聞いた事があるでしょ? 遺伝子操作さえしなければ何をしても良い。薬物投与、記憶操作、戦闘訓練、その為の実験台がコレ」

 

「コレって……」

 

「まさに連合の狂気そのモノ。人間を実験体に仕立て上げ、私達コーディネーターを倒す為にと強化する。

遺伝子操作がどうこう以前の問題。狂ってるとしか言いようがない」

 

アーサーは口を開けてスクリーンを呆然と眺める事しか出来ない。

その間にも送られて来る被験体のデータは100人を超えており、それだけの人間が犠牲になった事を示してる。

だが突如として警告音が響き渡った。

 

「艦長!! 敵影が施設に接近してます!!」

 

メイリンはタリアに振り向きながら大声で叫ぶ。

レーダーには高速で接近する機体の反応が映し出されており、表示される形式番号からその機体は奪われたガイアだと確認出来た。

瞬時に思考を切り替えるタリアは目付きを変え指示を出す。

 

「こちらの動きを察知された。データ解析が終わるまでは敵を近付けさせないで。パイロットは順次発進して。ルナマリア、お願い」

 

「了解です」

 

「コンディション・レッド発令、各員戦闘配置。アーサー、医務室のシンとレイは?」

 

「シンは大丈夫みたいですが、レイは……」

 

「ならシンの出撃を優先させて。インパルスの機動力が1番高いから」

 

「了解しました」

 

タリアの指示を受け敬礼したルナマリアはモビルスーツデッキに向かって走り出す。

アーサーもコンソールパネルに手を伸ばすとモビルスーツデッキにインパルスの出撃を優先するように指示を送った。

 

「ミネルバ上昇、敵機の迎撃に向かいます」

 

「艦長、アスラン隊長から通信が繋がってます」

 

「すぐに廻して」

 

言われてメイリンは回線を繋ぎ、スクリーンに今度はアスランの顔が映し出された。

アスランが乗るグゥルはミネルバの後方に迫って居る。

 

『艦長、ミネルバは出港してるようですが』

 

「緊急事態が発生しました。帰還後、すぐにモビルスーツで出撃して貰います」

 

『緊急事態!? 了解、速やかに帰還する。セイバーの準備頼みます』

 

「先陣はインパルスに出て貰います。ミネルバ、微速前進。他にも敵が居る可能性は充分にあります。周囲の索敵急いで」

 

タリアの声を背にしてブリッジを出たルナマリアはモビルスーツデッキに走る。

けれどもその時にはもう、彼女の視界のどこにもヒイロの姿は見えなかった。

医務室に居たシンは人体に異常がないか精密検査を受けてる最中だったが、敵の存在を確認していつまでも悠長にしてる暇はない。

医師は聴診器を背中に当てて居たが、シンはそれを振り払って椅子から立ち上がる。

 

「警報、敵が近くに居るのか?」

 

「出撃か? なら検査は後回しだ。今の所異常は見られない。体で痛い部分もないだろ?」

 

「大丈夫です。レイの事を頼みます」

 

「あぁ、死ぬなよ」

 

赤の制服を着たシンは医務室から出て行く。

残ったのは白衣を着た軍医と白いシーツが敷かれたベッドの上で眠るレイ。

施設に入った時の症状は今は収まり、目を閉じて静かに眠ってる。

まどろみの中に沈むレイには艦内に響き渡る甲高い警報が聞こえない。

モビルスーツデッキに向かうシンとルナマリアだが、1番初めに到着したのは2人ではなくヒイロだった。

インパルスの出撃準備を進めて居たヨウランは誰よりも早く来たヒイロに驚く。

 

「ヒイロ? 早過ぎないか?」

 

「敵の妨害は充分に予測出来た。グフで出る」

 

「でも艦長からはインパルスを先に出せって言われてんだけど」

 

「気にするな、俺は気にしない」

 

「お、おい!!」

 

言うとヒイロはパイロットスーツも着ずに緑の制服のままでグフのコクピットに入り込んだ。

慣れた手付きでコンソールパネルを触るとハッチを閉じ、バッテリー電力を機体に供給させる。

戦闘モニターにはモビルスーツデッキの壁が映し出され、起動したグフはゆっくりとエレベーターに歩いて行く。

ヨウランが近くに居るにも関わらず動くグフの左足。

数センチ先で動く鉄の塊に、ヨウランは堪らず後ろに飛び退いた。

 

「うわぁっ!! アイツ本気かよ?」

 

『早くしろ』

 

「わかったよ!! 後で艦長に何言われても知らねぇからな!!」

 

外部音声でヒイロはヨウランを急かし、出撃の準備を進める。

グフがエレベーターの位置にまで来ると同時に上昇が始まり、数秒後には開放されたカタパルトから外の景色が見えた。

操縦桿を握りスロットルペダルに足を掛けるヒイロはグフのフライトユニットを展開させる。

けれどもその合間にメイリンから通信が割り込んで来た。

 

『ヒイロ!? 出撃はインパルスが−−』

 

「先に出る。俺から行く方が早い。出撃後の護衛はルナマリアにでもやらせろ」

 

『え、でも−−』

 

ヒイロは一方的に通信を切るとカタパルトから発進する。

高速で射出されるグフ、背部に接続された電源ケーブルを切り離すど同時にペダルを踏み込みメインスラスターを全開にした。

陽も沈んだ夜の空を青いグフは飛ぶ。

 

「敵機の反応確認。狙いはあの施設か。速やかに撃破する」

 

レーダーに反応する奪われたガイア。

ヒイロは一直線に機体を敵の方向に向けさせ最短距離で接近する。

画面に映るのはモビルアーマー形態に変形し4脚で地面を蹴り高速で進むガイアの姿。

シールドからテンペストビームソードを引き抜き、左腕の4連ビームガンで先制攻撃を仕掛けた。

発射されたビームは上空からガイアを襲う。

 

「上から!? クッ!!」

 

ガイアに搭乗するステラの反応も早い。

スラスターの出力を上げてビームの弾を回避し、右へ左へトリッキーにジャンプする事で軌道を読ませないように動く。

初めて戦うタイプの機体だがヒイロは臆する事なく接近を試みる。

 

「セカンドシリーズの機体データは把握した。確実に仕留めてみせる」

 

「邪魔だァァァッ!!」

 

ガイアは背面の姿勢制御ウイングから青白い炎を噴射して加速、前面のグリフォンビームブレイドを展開してグフに突撃する。

対するヒイロも引く事はせず、テンペストビームソードをマニピュレーターで握り締めガイアと交差した。

上空で交わる瞬間、グフは前傾姿勢になる事でグリフォンビームブレイドをくぐり抜る。

テンペストビームソードはガイアの左ウイングを半分に切断した。

 

「くっ!? コーディネーターめ!!」

 

瞬時にモビルスーツ形態に変形、着地と同時にビームライフルを引き抜きグフに照準を合わせトリガーを引く。

発射されたビームは正確で一直線にグフに向かうが、ヒイロはそれを予期しており振り向きざまにシールドを構えてこれを防ぐ。

だが攻撃はこの程度では終わらない。

2発3発と次々に迫り来る強力なビーム。

ヒイロは回避行動は取らずにシールドで防ぎきり、メインスラスターを吹かし更にガイアに詰め寄った。

 

「一気に方を付ける」

 

「早い!? でも!!」

 

サイドスカートに左手を伸ばすガイアはビームサーベルを引き抜き目の前に迫るグフを振り払った。

眩い閃光が両者を照らす。

激しく飛び散る火花はグフのシールドから発生しており、ガイアに握るビームサーベルは構えたシールドにより防がれて居た。

密着した状態でステラは操縦桿のトリガーを引き頭部バルカンを連射する。

量産機のグフにフェイズシフト装甲は採用されておらず、連続して発射される弾は青い装甲に穴を開けて行く。

ボロボロに破壊される頭部、特徴的な角がへし折れ煙が上がるが、ヒイロは構わずにメインスラスターを全開にした。

強引にパワー勝負に持ち込み、姿勢を崩させようとする。

 

「コイツ、機体が!?」

 

ステラは両足を使って匠にガイアを操縦するが地面には脚部がめり込み、片翼しかないせいでスラスターのパワーバランスも良くない。

2機はもつれ込んだまま地面に倒れ大きな衝撃が生まれる。

ステラは舌を噛まないよう歯を食いしばり衝撃に耐えた。

シートベルトが制服の上から肌に食い込み脳が痛みを訴えるが、目の前の戦闘画面にはまだモノアイを光らせるグフが居る。

痛みなどは無視して、ただ眼前の敵を倒す事だけに集中した。

 

「負けるもんか!! コーディネーターなんかに!! 私は……わたしはァァァ!!」

 

「敵は確実に倒す。今のお前は俺の敵だ!!」

 

メインスラスターを噴射したままのグフはそのままガイアを地面に押し付けながら引きずって行く。

ヴァリアブルフェイズシフト装甲はダメージを通さないが、激しい衝撃が持続的にコクピットを襲う。

殺意をむき出しにして敵を睨むステラ。

右脚部を動かすとグフを蹴り上げ強引に引き剥がした。

姿勢を立て直すガイアはビームライフルを向ける。

けれどもグフの動きも早く、右腕から伸ばすスレイヤーウィップがビームライフルに絡み付く。

 

「遅い!!」

 

「しまった!! ぐっ!!」

 

素早い反応でビームライフルを手放すステラ。

次の瞬間には高周波パルスが流し込まれビームライフルは爆散した。

かろうじてマニピュレーターにもダメージが通ってないガイア、そのまま右手にもビームサーベルを握り二刀流で接近する。

 

「うあああぁぁぁ!!」

 

右手に握るビームサーベルを振り上げるガイア。

ヒイロはまた避ける事もなくシールドで防ぐが、度重なる攻撃に耐久力は下がっておりビームが接触すると激しい火花と閃光が飛ぶ。

高エネルギーのビームはシールドを赤く焼け爛れさせ、ジワジワと半分に切断した。

だがヒイロは付け入る隙を与えず脚を踏み出しテンペストビームソードを突き出す。

 

「っ!! 今までの敵と違う」

 

「チッ、武器が重すぎるんだ!!」

 

寸前の所で姿勢を横に反らし回避するステラ。

一方のヒイロは未だに使い慣れないテンペストビームソードに不満を漏らす。

突き出された右腕に、ガイアはすかさずビームサーベルを振り下ろした。

テンペストビームソードが握られた右腕は肘から先を切断されて地面に落ちる。

それを見てステラは操縦桿を動かしグフから距離を離す。

モビルアーマー形態に変形し縦横無尽に動き回るガイア。

片腕を失っても冷静に状況を判断するヒイロは、地面に落ちるテンペストビームソードを左手に握る。

 

「来るか……」

 

「バランスは悪いけどスラスターはまだ使える。行ける!!」

 

地面を蹴り上げ加速を掛けるガイアは再びグフに向かって一直線に突き進む。

シールドも使えなくなったヒイロは真正面からソレを迎え撃つ。

その行為には一切の緊張も焦りも見受けられない。

 

「はあああァァァッ!!」

 

「叩き落とす」

 

グリフォンビームブレイドを展開するガイアの頭部目掛けテンペストビームソードを突き立てた。

だが切っ先を空を切る。

飛び跳ねたガイアはグフを踏み台にして更に上へ飛び上がりモビルスーツ形態に変形した。

姿勢を崩すグフは背面から倒れてしまう。

 

「貰った!!」

 

「詰めが甘いな」

 

ビームサーベルを逆手に握り降下するガイア、その右脚部にはスレイヤーウィップが絡み付いて居た。

左腕を動かすと空中に居るガイアは何も出来ずに地面に引きずり降ろされる。

 

「そんな……グゥッ!!」

 

「終わりだ」

 

「っ!! まだ−−」

 

地面への衝突に耐えるステラの両手にはまだしっかりと操縦桿が握られてる。

機体を立上せようとするが既に遅く、目の前にはテンペストビームソードを振り上げるグフが居た。

シールドを構えるが肘の関節ごと切断されてしまう。

 

「ぐあああァァァっ!!」

 

その切っ先はコクピットハッチにまで到達し大きな切れ込みを作る。

次々にショートする回路、飛び散る火花がステラを襲った。

咄嗟に両腕を交差して顔を守るが、砕け散った画面の破片が左腕に突き刺さり鮮血が流れ出る。

あまりの衝撃に意識を失う。

だがコクピットに穴が開いただけで機体もパイロットもまだ生きて居た。

トドメを刺すべく詰め寄るグフ、だがそれと同時にインパルスとセイバーが遅れて現場に到着する。

様子を見たアスランはコンソールパネルに指を伸ばす。

 

「遅れてスマナイ。ガイアは仕留めたのか?」

 

「まだパイロットは生きてる。確実にトドメを刺す必要がある」

 

「機体は爆発させるな。まだ施設の調査が残ってる」

 

「了解した。機体はそのまま、パイロットには死んで貰う」

 

輝くモノアイは横たわるガイアを睨み付ける。

セイバーと同じく合流したシンも同様に、動かないガイアのコクピットの中を覗き込む。

瞬間、緊張が走ると共に鳥肌が立つ。

 

「ガイア!? って事は」

 

メインカメラをズームさせ穴の開いたハッチの中を良く凝視する。

目を見開いた先に居るのは以前戦闘した時と同じパイロット、腕から血を流すステラ・ルーシェの姿がそこにはあった。

ペダルを全力で踏み込み機体を加速させたシンは、セイバーを追い抜きフルフェイスのマイクに向かって大声で叫ぶ。

 

「やめろぉぉぉ!!」

 

攻撃態勢に入ったグフの動きが一瞬止まる。

すぐ近くに着地したインパルスはガイアをかばうようにして立ち塞がった。

 

「待てヒイロ、殺すな!!」

 

「ソイツは連合軍のパイロットだ。俺達の障害になる」

 

「わかってる、でも!!」

 

「邪魔をするな。さもなくば死ぬ事になる」

 

「ステラは戦いをするような人じゃない!!」

 

「そうか……」

 

立ち塞がるシンに対してヒイロは敵意を向ける。

ガイアとの戦闘で機体はボロボロにも関わらず、片手に握るテンペストビームソードのみでインパルスに戦いを挑もうとした。

一方のシンもソレを感じ取り、バックパックからビームサーベルを引き抜いた。

 

(コイツ、本気だ……)

 

戦闘が終わったにも関わらず再び緊迫した空気が場を支配する。

一触即発の事態。

だが2人が刃を交える事はなく、アスランのセイバーがインパルスの隣へ着地すると握って居たビームライフルの銃口をグフに向けた。

 

「ヒイロ、前にも言った筈だ。味方を攻撃するな。でないと俺もお前を撃つ事になる。シンもだ。このパイロットは捕虜としてミネルバに連れて行く。それで良いな?」

 

「わかりました……」

 

「了解した。帰還する」

 

テンペストビームソードへのエネルギー供給を切ったヒイロは一言だけ言うと、メインスラスターを吹かし地面からグフの脚を離す。

シンもビームサーベルをバックパックに戻し、横たわるガイアをインパルスで抱え上げる。

 

///

 

モビルスーツ隊がミネルバに戻ると、連れて来られた連合軍の兵の事で話題になって居た。

ヒイロのグフとの戦闘で切断されたガイアの左腕も回収されて、今はモビルスーツデッキで再び使えるように修理が行われて居る。

パイロットであるステラはケガをして居たが命に別状はなく、すぐに医務室へと運ばれた。

軍医によりケガの治療を受け、血で汚れた肌を拭き取られた彼女のベッドの上で静かに眠って居る。

シンはステラが眠るベッドのすぐ傍で彼女の手を暖かく握って居た。

 

「ステラ、もう大丈夫だから。先生、ステラの様態はどうなんですか?」

 

「ケガは問題ない。安静にしてればすぐに治るだろう。治療と一緒に彼女の体を軽く検査させて貰った。シン、キミは彼女の体の事を知ってるのかい?」

 

「はい、推測でしかありませんが。たぶん……ステラはエクステンデッドです」

 

「そうか……薬物投与などの反応が確認出来た。詳しくはこれから調べるが、通常の捕虜としての扱いは出来ないかもしれない」

 

「そんな!? ステラは無理やり戦わされてただけなんですよ?」

 

「そうかもしれない。だが彼女は普通じゃない。暴れ回ってこちらにも被害が及ぶ可能性だってある。それにザフトにはエクステンデッドを治療出来る技術はない。薬物の副作用が出てもどうにも出来ない。最悪の場合、死ぬ事もありえる」

 

「っ!?」

 

突き付けられた現実にシンは愕然とした。

目の前で眠る彼女は穏やかな寝顔をシンに向けるだけ。

そんな彼女とようやく再開出来たにも関わらず、助ける事が出来ない。

 

「ステラ……」

 

呟く言葉は彼女に届かない。

医務室の扉が開かれ、軍医から報告を受けたタリアが室内に入って来た。

タリアは横目でシンとステラの表情を一瞬見て軍医と話す。

 

「報告は聞きました。彼女の様態は?」

 

「今は寝てます。ケガも軽傷です」

 

「結構。治療が終わったのなら拘束具を着用させて」

 

「わかりました」

 

話を進める2人の間に割り込む事も出来ず、シンはステラの手を握る事しか出来ない。

だが突如としてヒイロが医務室に入って来る。

 

「ここに居たか」

 

「ヒイロ? アナタには別の−−」

 

タリアの声を無視してベッドまで行くヒイロは懐から銃を取り出しステラに突き出した。

銃には弾が装填されており、セーフティーも解除されてトリガーに指を掛ける。

いきなりの事に全員が驚くが、シンは瞬時に立ち上がりステラを守った。

 

「何をする気だ?」

 

「決まって居る。そいつを殺す」

「ステラは敵なんかじゃない。ただ操られて居ただけだ!!」

「関係ない。そいつは邪魔になる」

「ステラは俺がなんとかする!! みんなの邪魔になんてならない!!」

一歩も引かないヒイロとシン。

ヒイロは今すぐにでもトリガーを引くつもりで居るし、シンもヒイロが動きを見せたらステラを守る為に捻じ伏せる気で居た。

互いの鋭い視線が交差する。

 

「待ってヒイロ。いくらなんでもこの場で殺す事は許可しません。銃を下ろしなさい。シンも、この捕虜の事は上層部の判断を待ちます」

 

タリアの一言でなんとかこの場は治まる。

ヒイロも手に持った銃を懐に戻すと、シンに背を向けて歩いて行ってしまう。

それでもまだ、室内には緊迫した空気が漂って居た。

シンに睨まれながらもヒイロは医務室の扉を開け、同時に振り返ってシンに言う。

「やるからには最後までやれ」

「あ……あぁ!! 約束するよ。ステラは俺が守る!!」

 

それを聞くとヒイロは出て行った。

何も起こらなかったとは言え、タリアは今回の事で更に頭を悩ませる。

自室に戻りながらヒイロは先ほどの連合軍のパイロットに付いて考えて居た。

 

(エクステンデッド、あの施設のデータは見た。戦う事しか知らない人間、俺と同じ存在。俺も戦う事でしか生きてはいけない。他の生き方も出来ない。だがリリーナの存在が俺を変えた。シンが居るなら俺のようにあの女も……)

 

自身と似た境遇のステラを思うヒイロは、かつての自分を増やさない為にもシンに期待する。

「リリーナ……」

ひっそりと呟いた声は誰にも聞こえない。

 

-5ページ-

 

第15話 包囲網突破

 

ファントムペインの指揮官でもあるネオは自室で通信機と向い合って居た。

度重なる任務の失敗、更には金の掛かってるエクステンデッドを2人も失い強奪したザフトの機体も1機だけしか残ってない。

先日、突然ガイアに搭乗し出撃したステラは機体と共にザフトに奪われてしまった。

その事を報告するネオの表情は仮面に隠れて見る事が出来ない。

 

『私はキミに期待して居たんだ。だから任務の失敗を攻め立てる事もしないし、出来る限りの支援は行って来たつもりだ。だが無条件でこれまでの事を水に流す事はしない。キミの仕事はなんだ?』

 

通信機から聞こえて来る声。

その主こそ今回の戦争の引き金を引いた主犯格、反コーディネーター組織ブルーコスモスの盟主で、連合軍を裏で操る軍産複合体「ロゴス」の一員であるロード・ジブリール。

その彼に対してネオは従順に返事を返す。

 

「任務の遂行です」

 

『そうだ、それこそキミが成すべき事であり最優先事項だ。エクステンデッドとは言え、戦闘ともなれば死ぬ時は来る。機体も同じだ。その事に付いて今更言うつもりはない。だがこのままではこちらの計画にも支障が出る』

 

「それは理解してます」

 

『なら、さっさと言われた通りに任務を遂行するんだ。ファントムペインには金を掛けてる。ザフトのミネルバに手を焼くのはわかるが、これ以上好き勝手されては邪魔だ。なんとしても沈めろ』

 

「了解です」

 

『目障りなコーディネーター共は地球の害虫だからな。一掃せねばならん』

 

言うとジブリールからの通信は切断させた。

ネオは目前に迫るミネルバとの戦闘を前に、たった2人になってしまったファントムペインがこれからどう動くべきなのかを考える。

新型のモビルスーツを多数搭載したミネルバと正面切って戦うにはそれなりの戦力が必要だ。

だが現状では強奪したカオス以外は量産機しか用意出来ない。

 

「やれやれ、上層部は無理難題を言ってくれる」

 

ネオはいつもの様に軽口を叩くが、状況はそう単純ではない。

通信機に手を伸ばしパネルを触り、次はオーブ本国に通信を飛ばした。

数秒で回線は繋がり、小さなモニターには代表であるカガリとその後ろにユウナの姿がある。

 

「こちらは連合軍ファントムペイン部隊、ネオ・ロアノークであります」

 

『そっちではもうすぐザフトと戦闘だと聞いてる。何かあったのか?』

 

「いえ、ミネルバとの関係も因縁浅からぬものではありますが、次の戦闘では確実に仕留めて見せましょう。その為にオーブ軍にも来て頂いてるのですから」

 

『勿体ぶった言い方だな。他に言う事がないなら切るぞ』

 

「とんでもない、本題はここからです。ミネルバは次第に戦力を高めてます。こちらもそれの対策は取りましたが、戦いは拮抗するかと。当然、戦死者だって出て来ます」

 

『それは……』

 

モニターの向こう側でカガリは視線を反らした。

オーブの理念に反した行為、その為に戦死者が出る。

感情ではこんな事は止めさせたいと思うカガリだが、どうする事も出来ないのが現実。

連合と同盟を結んだ時点でこうなる事は見えてたし、指示に従えないのなら同盟を解かれる事も充分にある。

そうなればオーブの軍事力だけでは自国の自衛はままならず、再び戦火が襲い来るだろう。

理想と現実の狭間に葛藤するカガリだが、悩む暇もなく後ろのユウナが代わりにマイクを手に取ってしまった。

 

『戦闘になるのだろ? 当然だ。この戦いが後のオーブ、引いては世界の平和に繋がるのなら犠牲は止むを得ない。我が軍の兵士はオーブの平和を維持する為に居る。その為になら自らの命を犠牲にしてでも戦う覚悟がある。そうでなければ兵士になる資格はない』

 

「ユウナ殿はその辺りを良く理解してるようで」

 

『これが現実だよ。それよりもこんな事の為に専用回線を使ったのかい?』

 

「そちらの代表はまだ若い。だから前の戦闘でも艦艇に搭乗して前線を見ていましたね。ご自身の国の兵士が死ぬ事の辛さ。すぐに慣れる事は無理でも克服しなければなりません」

 

『何が言いたい?』

 

「我々も全力を尽くします。ですが、それだけ被害も大きくなると言う事です」

 

『変わった男だ。用が終わったのなら切るぞ』

 

カガリの返事を待たずしてユウナは一方的に回線を切断してしまう。

ネオは座ってたイスから立ち上がると、先程言われた事を染み染みと感じて居た。

 

「変わった男ねぇ。そうだな、俺らしくもない……俺らしい?」

 

ネオは自らの言葉に疑問を浮かべるが、答えはわからず喉に引っかかったような感覚は消えない。

 

///

 

医務室で眠るステラは酸素マスクを付けた状態で暴れられないようにベルトで手足を固定されて居た。

シンはあれから頻繁にステラの様子を見に来てるが様態は日に日に悪くなる一方で、軍医もエクステンデッドの知識はない為に手の施しようがない。

辛そうに呼吸する彼女の手を握るシンはただ祈る事しか出来なかった。

 

「先生、ステラは大丈夫なんですか?」

 

「正直言うと良くない。体は薬物投与のせいでボロボロだ。向こうに居た時は一定期間で何かしらの薬物を投与してたんだろ。でなければ体も精神も保たない」

 

「そんな……どうにもならないんですか?」

 

「出来る事ならしてやりたいが……こちらも万能って訳でない。これ以上は連合軍の研究データが必要だ」

 

突き付けられる現実にシンは愕然とする。

ようやく再開出来たにも関わらず、このままでは彼女と共に居る事は出来ない。

その時不意に、ステラのまぶたがゆっくり開いた。

 

「シ……ン」

 

「ステラ!? 大丈夫?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「ステラ……」

 

シンの呼び掛けに応える気力すらなく、荒く呼吸を繰り返す事しか出来ない。

額には汗がにじみ目を開く事も辛かった。

連合から連れ出す事は出来たもののこのままでは死ぬ事すら有り得る状況に、シンは何も出来ない自身の無力さを呪う。

ステラの呼吸音だけが響く病室で、入り口の扉が開かれた。

視線を向けた先には緑色の制服に身を包むヒイロの姿。

 

「ヒイロ……」

 

「例の施設に残ったデータは全てプラントの研究施設に送られて居る。お前がここに居た所で何も出来ない」

 

「あぁ、わかってる。でも少しで良いからステラと一緒に居たいんだ」

 

「その女が気になるのか?」

 

以前のようにいきなり殺そうとする事はないが、ヒイロが向ける視線はいつもの様に鋭かった。

 

「このままだとそう長くは保たないかもしれない。非人道的な強化のせいで体がボロボロなんだ。遺伝子操作で生まれたコーディネーターはダメで、こんなのは許されるのかよ!! クソ……何なんだよ、ブルーコスモスって」

 

「反プラントを掲げる主義者か。シン、お前の怒りは人として正しい感情だ」

 

「何が言いたい?」

 

「遺伝子操作を受けてるコーディネーターだろうと人間には変わりない。ブルーコスモスの様に大義の名の下に思考を停止する事の方が在るべき人間の姿ではない。周囲の環境や状況に流されるな。自分の感情で行動しろ」

 

「それが正しい人間の生き方……」

 

「俺はそう学んだ。だからその感情を忘れるな。怒りも悲しみも抱えるのが人間だ」

 

ヒイロの言葉にシンは静かに頷く。

そして2人がこれだけ長く会話するのはこれが初めての事だ。

 

(そう言えばヒイロとまともに話するの初めてだな。無口で何考えてるかわかんないヤツだけど、こう言う事も言えるのか)

 

初めてヒイロの人間性を垣間見るシン。

だが状況はそんな2人を戦地へと誘う。

ミネルバ艦内に警報が響き渡り戦闘が開始する事を知らせて来た。

視線を合わせた2人は医務室から飛び出すとまっすぐにモビルスーツデッキに走る。

 

「また連合軍が来たのかよ!!」

 

「いいや、以前の様にオーブ軍が居る可能性もある。どちらにしても数では相手が有利だ」

 

ブリッジの艦長シートの上でタリアは敵軍の素早い動きに舌を巻いた。

当初の予定通りジブラルタルへ向けて発進したミネルバ。

だが進路上にはオーブ軍が待ち構えており、退路も抑えられており突破する以外に方法はない。

数だけを見ればヒイロが言った様に相手の方が多かった。

航行を続けるミネルバに、再び連合軍とオーブ軍の同盟軍が戦闘を仕掛けて来る。

 

「コンディション・レッド発令。これより戦闘態勢に入ります。モビルスーツ隊は順次発進して」

 

『コンディション・レッド発令。パイロットは搭乗機にて順次発進』

 

「面舵30、進路を東に」

 

タリアの指示を聞いてメイリンはインカムのマイクに復唱し艦内放送で各員に伝える。

ミネルバの前方に待ち構えるオーブ軍艦隊、その数は護衛艦を入れて7隻。

全ての主砲はミネルバに向けられており、射程圏内に入ると一斉射撃を始めた。

大気を揺らす巨大な弾はミネルバに向かう。

 

「敵艦隊より砲撃です!!」

 

「モビルスーツ発進停止、対空砲火急いで!! 面舵、更に10!!」

 

タリアの声に従いミネルバは機敏に動く。

対空砲火により撃ち落とされる敵の弾、だが爆散する弾の中からは更に散弾が発射された。

ミネルバの頭上で雨のごとく降り注ぐ散弾は広範囲で、容赦なく装甲をズタズタに破壊する。

 

「くっ!! 自己鍛造弾。被害状況は?」

 

「表面装甲第2層まで貫通、甚大な被害です。2時方向よりオーブ艦、更に6」

 

「インパルスとセイバーを出させて。トリスタン、イゾルテで迎撃。目標、敵艦郡。どこかに連合軍の艦隊も居る筈。索敵を急がせて」

 

ミネルバに設置された巨大な砲身がオーブの艦隊に照準を定める。

強力なビームは空気を焼き払いながら敵艦へ発射された。

敵からの攻撃を遠ざける間にモビルスーツ隊を発進させる。

コアスプレンダーに搭乗するシンは祖国であるオーブともう何度目かの戦闘に複雑な心境だった。

 

(またオーブか!! そうやってまた俺達の前に来るなら倒す!! 倒すしかないじゃないか!!)

 

今は悲しみを怒りに変えて、迫り来る敵をなぎ払うしか生き残る道はない。

コックピットに入り込み操縦桿を握り締めるとペダルを踏み込んだ。

 

「シン・アスカ。コアスプレンダー、行きます!!」

 

メインスラスターから青白い炎を噴射してカタパルトからコアスプレンダーは発進する。

同じくしてアスランのセイバーもカタパルトに脚部を固定させ発進態勢に入った。

「アスラン・ザラ。セイバー発進する」

 

発進したセイバーの装甲はバッテリー電力が供給されて色が変化する。

コアスプレンダーも各フライヤーとドッキングしフォースシルエットに変形するとメインスラスターを全開にした。

迎撃に出るオーブ軍のムラサメにビームライフルの銃口を向ける。

 

「落ちろ!!」

 

ビームライフルはモビルアーマー形態で空を飛ぶムラサメの胴体を正確に貫いた。

機体はコントロールを失い、黒煙を上げながら海に落下し爆発する。

シンは向かって来る敵に対してビームライフルのトリガーを引きまくった。

 

「こんな所で死ねるか、俺はステラを守るんだ!!」

 

次々に撃ち落とされるムラサメ。

だが敵の数は膨大で落としきれなかった無数の機影が後方のミネルバに向かって飛んで行く。

 

「クソ!! 数がいつにも増して多い!!」

 

その中でセイバーに搭乗するアスランもオーブ軍のモビルスーツを撃退して居た。

向けられた照準は正確でモビルスーツ形態に変形したムラサメの頭部を撃ち抜く。

メインカメラが破壊され視界が完全に効かなくなる。

次の敵に照準を合わせたアスランはビームサーベルを引き抜き機体を加速させ接近戦に持ち込む。

 

(またオーブか!! 俺に撃たせないでくれ!!)

 

プラントの為に戦うと言ったアスランだが、その心の中にはまだ甘さが残って居た。

接近するセイバーに銃口を向けるムラサメ。

発射されるビームは高速で迫り来るが、アスランは寸前の所で回避すると一気にメインスラスターを吹かして詰め寄る。

右手に握ったビームサーベルを振り上げ袈裟斬り。

高出力のビームは装甲を容易に切断し、頭部と右肩に掛けて破壊する。

 

(これなら帰れる筈だ)

 

戦闘能力を失ったのを確認したアスランは標的を切り替える。

レーダーに反応する連合軍の機体。

それはアーモリー1で強奪されたカオスだった。

アスランは背中のフォルトゥス砲を向けるが操縦桿のトリガーを引くのを躊躇してしまう。

 

「コイツはダメだ。強力過ぎる」

 

「寝ぼけてんのかよ!! 今日こそ落としてやる!!」

 

「クッ!!」

 

アスランの感情など知る由もないスティングはビームライフルの銃口を向けてトリガーを引く。

迫り来るビームに回避行動を取るアスランだが、カオスの機動兵装ポッドが死角から来た。

ポッド内蔵のビーム砲がセイバーを襲う。

 

「コイツ、使い慣れてる」

 

「オラオラ!! 反撃して来ねぇのか!!」

 

「このくらい!!」

 

スラスターで姿勢制御するセイバーは発射されるビームを匠に回避して行く。

そしてビームライフルのグリップを再び握り締め、照準をポッドに合わせた。

大型のスラスターにより空中を自在に動き回るポッドだが、アスランは先読みして動く先に向かってトリガーを引く。

発射されたビームはポッドの1つを貫いた。

 

「カオスは元々ザフト軍のモノだ。行動パターンは把握して居る」

 

「スラスターがやられた!?」

 

「あと1つ、そうすれば!!」

 

「やらせるかよ!!」

 

残るポッドに照準を合わせようとするアスランだが、スティングはさっきの動きを見てすぐに呼び戻した。

機体に回収される前に破壊しようとトリガーを引き続けるアスランだが、ビームが直撃する事はなくカオスの背面に取り付く。

機動力を確保したカオスはメインスラスターを吹かしセイバーに詰め寄りながらビームライフルを向ける。

アスランはシールドを構えて回避するだけで攻撃する意思を見せない。

 

(キラのように上手くは出来ない。こうするしか……)

 

オーブ軍の量産機相手ならパイロットを殺さずに無力化する事は容易いが、機体の性能も高くパイロットの技量も備わってる相手にはそう簡単にはいかない。

アスランはセイバーをモビルアーマー形態に変形させると瞬時に加速してカオスから距離を取る。

 

「逃げんじゃねぇ!!」

 

スティングは素早くトリガーを連続して引くが、発射されたビームは雲の中へ消えてしまう。

 

///

無数のモビルスーツが出撃しオーブ軍の空母からは砲撃の雨がミネルバに降り注ぐ。

 

「回避しつつミサイルを撃ち落して!! 」

 

タリアの指示に従い甲板上に居るレイとルナマリアのザクが動く。

ビームライフルとオルトロスの砲撃で迫るミサイルの雨とモビルスーツ軍を撃ち落とす。

ヒイロは今回は前線には出ずにザクと一緒にミネルバの防衛に入って居た。

モビルアーマー形態で高速で接近するムラサメにグフの4連ビームガンを向ける。

 

「戦闘レベル、ターゲット確認。排除開始」

 

 

バラ撒かれるビームの弾は1発では致命傷にはならないが、ビームライフルよりも攻撃が当たりやすい。

当たらずとも牽制には充分で、ビームは装甲をかすめてダーメージは通って居た。

敵は容易に接近出来ず変形を解き、ビームライフルでグフを仕留めようとする。

だがモビルスーツ形態になれば機動力や運動性能は量産機止まり。

テンペストビームソードを引き抜くグフはムラサメ部隊に突っ込んだ。

 

『は、早い!?』

 

遺伝子操作を受けてない同じ人間でも戦闘技術はヒイロが圧倒して居る。

振り下ろされた右腕に敵パイロットは反応出来ず機体は両断され炎に包まれた。

ペダルを踏み込むヒイロは機体を加速させ次の敵に迫る。

 

『来るぞ!! 3機で囲い込め!!』

 

正面、左右からグフを囲むムラサメ。

だがヒイロは構わずに正面の敵に突撃する。

ビームをシールドで強引に防ぎながら攻撃が届く距離にまで近づき横一閃。

けれども切っ先は装甲に触れる事はなく、敵パイロットは寸前で後退する。

 

「甘いな」

 

すかさず次の攻撃を繰り出す。

左腕の4連ビームガンがムラサメの右脚部を捉え、連続して発射されるビームにより破壊されてしまう。

 

『しまっ−−』

 

爆発により姿勢を崩す機体。

動けない隙を付きコクピットに切っ先を突き立てる。

搭乗してたパイロットは絶命し、制御を失った機体は海へ落下した。

 

『やってくれたな!!』

 

味方が倒された事に逆上したパイロットはビームサーベルを引き抜き加速を掛ける。

目前に迫る敵にヒイロは振り向くと同時に左腕からスレイヤーウィップを伸ばし振り払った。

高周波パルスの流れる鉄の鞭は赤く発光し、鋭くムラサメの胴体に叩き付けられる。

スレイヤーウィップが打ち付けられた装甲はえぐり取られ、パイロットは攻撃された事にも気が付かずに消し飛んだ。

 

「残り1機」

 

『コイツ強いぞ!! 新型でもないのに!!』

 

「逃がすか!!」

 

背を向けて逃げようとするムラサメにヒイロはメインスラスターの出力を全開にする。

恐怖に駆られるパイロットに冷静な判断は出来ず、追い掛けて来るグフに怯えるだけ。

 

『く、来るのか!?』

 

機体を追い抜くと同時にテンペストビームソードで斬り抜ける。

上半身と下半身に分断され、爆発がグフを包む。

 

「敵機撃墜確認。まだ来るか」

 

破壊してもまだ敵モビルスーツ部隊は存在する。

ミネルバから離れて居たヒイロは1度合流する為に敵軍に背を向けた。

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

ガナーザクがオルトロスで高出力ビームを照射しモビルスーツ部隊の連携を分断させる。

散開する敵機、そこにレイがビームライフルで確実に撃ち落とす。

合流したヒイロもグフの両手を突き出しビームガンを連射した。

無数に飛び交うビーム、弾、爆発。

レーダーを確認したヒイロはミネルバで砲撃を続ける2人に通信を繋げた。

 

「敵機残り40機以上、奇跡でも起こらない限り勝ち目はないぞ」

「だがやるしかない。出来なければここで死ぬだけだ」

 

「そうよ、こんな所で死ねない!! このぉぉぉぉ!!」

 

『インパルス、敵を抑え切れません!! 右舷よりムラサメ5機、グフは迎撃を』

 

「了解、直ちに破壊する」

 

通信士のメイリンの声を聞くとヒイロはまた前線に向かって機体を飛ばす。

モビルアーマー状態のムラサメに真正面から突っ込むヒイロ、ぶつかる寸前に左マニピュレーターで主翼を強引に掴んだ。

 

『コイツは!?』

 

「無駄だ」

 

SFSのように乗る形となったグフは変形を解かれる前にテンペストビームソードを機体に突き刺す。

黒煙が吹き上がり高度が下がる。

機体が爆発する前に飛んだグフは4連ビームガンを向けビームを撃つ。

迫るムラサメにビームが直撃し爆発、もう1機に照準を合わせトリガーを引く。

無数のビームの弾が装甲を破壊し高度を維持出来なくなった機体は海へ落下し巨大な水しぶきを上げる。

だが残りの2機はグフを通り抜けてしまって居た。

 

「そっちに2機向かった」

「こっちは任せて!!」

 

ルナマリアがオルトロスでヒイロが撃ち漏らしたムラサメを撃ち抜く。

高出力ビームに直撃したムラサメは一撃で爆発し、その炎にもう1機も巻き込まれてしまう。

 

「ヒイロ、大丈夫?」

「問題ない。お前の射撃は当てにしてる」

「当たり前でしょ」

 

「そうだな、次が来るぞ」

連合軍から数え切れない数のムラサメが飛んで来る。

そして射程距離内に入ると大量のミサイルがミネルバに放たれた。

ブリッジでは余りの数にアーサーが冷や汗を流す。

対して艦長であるタリアは一瞬たりとも怯んだりはしない。

「トリスタンで撃ち落して!! 取り舵!!」

 

対空砲火が迫るミサイルを撃ち落とす。

だが全てを破壊する事など出来ず、撃ち漏らしたミサイルが直撃しミネルバから煙が上がる。

損傷したのはミネルバだけでなく、レイのザクもミサイル攻撃により左腕を失って居た。

「この程度、なんともない!! ルナマリア、ミサイルとモビルスーツは俺達でやる。敵艦を撃つんだ!!」

 

「了解!!」

 

レイのザクは残った右手でビームライフルを撃ち続けるがミネルバは完全に防戦一方になって居た。

さっきのムラサメ部隊が旋回しもう一度攻撃を仕掛けて来る。

 

「右舷後方からムラサメ、来ます!!」

「敵を寄せ付けないで!!」

ブリッジではタリアの激が飛ぶ。

だがモビルアーマー形態のムラサメは機動性が高く撃ち落すことは困難、ルナマリアでも1度に10を超える数は捌き切れない。

雨のようにビームと弾が降り注ぐ中、迎撃を掻い潜った1機がミネルバの眼前に来てしまう。

モビルスーツに変形したムラサメはブリッジにビームライフルを向けた。

 

(クッ!! 突破された)

 

顔を歪めるタリア。

だが上空から一筋のビームが飛んで来ると正確にムラサメの右腕だけを破壊した。

レーダーに反応するのは以前にも現れたあの機体。

説明
コズミック・イラ73年10月。
地球連合軍とザフト軍による大戦から2年が経過し地球圏、プラント、共に平和な日々が続くかに思われた。
しかし、人類が戦いを辞める事はない。
地球へ向かって降下するユニウスセブンを止めるべくザフトの新造艦ミネルバは動く。
そこに所属するシン・アスカも新型モビルスーツ、インパルスへ搭乗しユニウスセブン落下を阻止するべく行動に移る。
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コメント
遅ればせながら投稿乙です。ついにキラとアークエンジェルが戦場に。キラの気持ちもわかるだけにアスランとのすれ違いがまた切ないです。で、記憶が正しければ原作よりも早くステラと2度目の邂逅をしてますね。原作でもシンは無力感を感じていましたが、今作のシンはどうするんでしょうね。オーブ、ザフト、ロゴスの思惑が交差する中どうなるんでしょうか。続きをお待ちしてます。(田吾作)
2P目:飛行出来ないザフは長時間空中に留まる事は出来ず〜→「ザク」でいいんでしょうかね?(田吾作)
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