艦隊 真・恋姫無双 107話目
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【 脅迫 の件 】

 

? 司隷 洛陽付近  洛水 にて ?

 

 

戦艦棲姫「アッハハハ…………アーッハッハッハッハッ!!」

 

愛宕「……………………!!」

 

ーー

 

戦艦棲姫は、愛宕達を見て愉快そうに嗤う。 あまりにも仕掛けた悪戯が、予想以上に上手く作動し得意気になった幼子のように。

 

愛宕や他の艦娘達も、洛陽を狙う16inch三連装砲の口を見て、艤装の砲塔を力無く下方へ向けた。 しかし、重巡棲姫が油断なく艦隊の動きを注視、砲塔を左右に動かして警戒を続ける。

 

ーー

 

戦艦棲姫「貴様等ガ………待伏セスルナド………分カッテイタ。 アマリニモ……単純……芸ガ無イ。 ソウソウ……支援艦隊モ……知ッテイル。 情報収集………ハ………大事ダカラナ………」

 

龍驤「───白波賊っ!?」

 

戦艦棲姫「………………白波賊? アア………私達ニ尾ヲ振ル……駄犬ノ事カ。 ヨク……働イテイルゾ………クックックッ」

 

那加「ファンを大事にしないアイドルなんてぇ、すぐ落ち目になるんだよ!」

 

天津風「───違うでしょ!? でも、やっぱり洛陽の城の中にも………」

 

ーー

 

戦艦棲姫の言葉に、龍驤が該当する集団の名前を叫ぶ。 那加がボケて天津風が突っ込むが、それはさておき──戦艦棲姫は、それなりの肯定する言葉を出している。

 

つまり、深海棲艦と白波賊は………繋がっていると。

 

そして、白波賊の事を語った戦艦棲姫は、勝ち誇ったように笑顔を向けて、艦娘達を侮辱する言葉を浴びせていく。

 

ーー

 

戦艦棲姫「フッ………貴様達ガ……取ルニ足ラヌ……害虫共ヲ………大事ニスル事……私達ニモ………届イテイル。 ソンナ弱味ヲ……簡単ニ敵ヘト見セルトハ……愚カ。 貴様等ヲ束ネル者ハ……実ニ………無能ダナァ!」

 

龍驤「ウチらが………大人しゅうしてんのに、いい気に………」

 

高雄「て、提督を侮辱するなんて───『待ってぇ!』──愛宕!?」

 

愛宕「駄目、攻撃しちゃ駄目ぇぇぇ!!」

 

龍驤「───う、うっぷぅ!? ウグゥ、ウグゥゥゥッ〜!!」

 

高雄「離しなさい! 私達自身が作戦ミスで、敵に制裁を加えられても仕方ないわ! だけど、提督の考えまで汚されるのは、さすがに我慢できない!!」

 

ーー

 

高雄が、一度下げた砲塔を再び上げる直前、振り返った愛宕が腕を伸ばして制止! 驚いて目を丸くする高雄に、愛宕は必死に説得する。

 

因みに、高雄の横に居た龍驤は、愛宕の胸に密着。 兇悪な肉体的精神的ダメージをコンボで喰らい続けているようだ。 

 

ーー

 

愛宕「…………今、動いちゃ駄目! 動けば………あの艤装から、砲撃されて……洛陽の街が………破壊されちゃうのよ!? それに──私達の大事な!!」

 

高雄「─────!」

 

龍驤「ぷ、ぷはぁっ! ───せ、せやかてなぁ! この敵艦は危険や! 早う轟沈せな、ウチらがぁ──」

 

愛宕「駄目ったら駄目ぇっ! ───皆も動かないでぇ!」 

 

山城「愛宕…………」

 

那加「…………」

 

北上「………面倒な事に巻き込まれないんなら……いいよー」

 

大井「北上さんが………そう言うのなら………」

 

ーー

 

しかし、他の艦も攻撃する意思表示を出して来たため、愛宕は両手を広げ大声で艦隊に中止するよう呼掛けた!

 

ーー

 

愛宕「……お願い…………お願いだからぁ……………」

 

扶桑「…………仕方ないわね………旗艦の命令に従いましょう?」

 

天津風「…………ふん! 借りは、ちゃんと返して貰うわよ!」

 

ーー

 

こうして、愛宕達は………抵抗を完全に止めた。

 

艦娘達の動きを監視する重巡棲姫だったが、愛宕達へ成敗は加えなかった。 

 

実質的な危害も無かった事もあったが、戦艦棲姫からの命令も無い。 それに、戦艦棲姫としても、さも面白い芝居を観たと言わんばかりに、上機嫌の顔をしていたからだった。

 

 

◆◇◆

 

【 要求 の件 】

 

? 洛陽付近  洛水 にて ?

 

艦娘達が悔しそうに自分達を睨み付ける様子を、実に愉快そうに嗤う。 しかも、それだけで足りないようで、軽い挑発も仕掛けてくる。

 

ーー

 

戦艦棲姫「クックックッ……物分カリガ良クテ………助カル。 …………イヤ………選択肢ガ……無イダケカ………? 何ニシテモ……貴様等ハ………終ワリ……ダ!」

 

高雄「そ、そんな卑怯な事されれば………どうしようもないでしょ!?」

 

戦艦棲姫「卑怯………卑怯……カァ! ハッハッハッハッ!」

 

高雄「───な、何が可笑しいのですかっ!」

 

戦艦棲姫「哀レナモノダ。 ………アレホド分カリヤスイ……弱味ヲ持ツ者方ガ………悪イノニ……何故……貶サレナクテハナラン! 『戦イトハ……非情ダ』ト…………少佐モ……言ッテイタダロウ? クックックッ!」

 

愛宕「……………………」

 

戦艦棲姫「………サテ……貴様等ヲ……壊滅サセル前ニ……ヒトツ問ウ………」

 

天津風「な、何よ! 深海棲艦なんかに………教える事なんかぁ………」

 

戦艦棲姫「教エレバ……助ケテ………ヤロウ………! ソコノ………二隻ノ艦以外ハ………………」

 

那加「愛宕と…………高雄は………駄目なの?」

 

戦艦棲姫「ソウダ………。 ダガ………安心スルノハ……マダ早イ。 気紛レ故、直グニ……気ガ変ワルカモシレン。 返事ハ……早イ方ガ良イ………ゾ…………!」

 

山城「…………アンタが得たい情報って………なんなのよ!?」

ーー

 

戦艦棲姫は、艦娘達を少々からかい気味に話した後、急に真顔になり──ある事を尋ね始めた。 

 

この話は、餌を揺らして情報を得ると同時に、その仲間の絆も壊す離間策でもあるが、戦艦棲姫の飽くなき悲願を叶える手立てでもある。

 

戦艦棲姫──サウスダコタが追い求め、打倒を目指す金剛型戦艦!

 

ーー

 

戦艦棲姫「………『霧島』ダァ! 『霧島』ノ居場所ヲ……教エロッ!」

 

「「「「「「 ──────!!! 』」」」」」」

 

ーー

 

その声は鬼気迫る物を含む、比較的整った戦艦棲姫の白い顔には、狂気が宿りし怨念の炎が揺らぐ。 霧島と過去に何があり、どんな因果で………このような怪物が生まれたか………知りたいと思う艦娘達であった。

 

 

◆◇◆

 

【 復讐の誓い の件 】

 

? 洛陽付近  洛水 にて ?

 

愛宕「……………覚えもないわねぇ?」

 

戦艦棲姫「………貴様等ガ……覚エガ無クテモ………私ハ受ケタノダァ!! 貴様等ノ様ナ……鉄屑如キ艦ニ………何故、最新鋭ノ私ガダァアアアッ!!」

 

高雄「──失礼なっ! 自分の弱さを……面識も無い私達の原因するなんてぇ! ただ単に貴女が弱かっただけではないの!?」

 

戦艦棲姫「………私ガカ………? コノ私ガ…………アーッハッハッハッハッ!!」

 

高雄「な、何が……可笑しいのよっ!?」

 

ーー

 

高雄が反論すると、戦艦棲姫の目が丸くなると……高笑いを上げる。 

 

高雄は馬鹿にされたと思い、更に語気を強めて問うと、意外な事を語り出した。 それは───戦艦棲姫自身の正体を示す、過去の出来事!

 

ーー

 

戦艦棲姫「…………前ノ大戦デ………霧島ト合同デ……砲撃ヲ喰ラワセタ……貴様等ガ……ソンナ事ヲ使ウノカ? イヤハヤ………分カラナイ………モノダナ………」

 

高雄「霧島さんと──ですって? 前の大戦で………共同の………?」

 

戦艦棲姫「貴様等モ………私モ………変ワッタ。 ダガ………アノ怨ミ……屈辱……幾星霜経トウガ………忘レル訳ガナイ!!」

 

愛宕「霧島さんと……私達が合同で砲撃………敵艦に当てた………えぇ!?」

 

戦艦棲姫「アノ暗キ闇ヲ切リ裂キ……浴ビセラレタ……サーチライト! 撃チ込マレ……火炎ニ包マレル船体! 味方デアル………艦隊モ……貴様等ニ轟沈、モシクハ……呆ケルダケ! 無様ニ……霧島……貴様等カラ……受ケタ……恥辱!!」

 

愛宕「………………あ、貴女───」

 

高雄「サウス………ダコタ………!?」

 

 

★☆★

 

 

ここで、過去の話をさせて頂くとしよう。

 

提督諸兄も御存知かと思われるが、第三次ソロモン海戦で、霧島がサウスダコタに砲撃を仕掛けた……というのは有名な話。 当時、最新鋭艦であったサウスダコタを、旧型の霧島が集中砲撃を与えてボコボコにした出来事である。

 

そのような理由になったのも、サウスダコタが戦いの真最中に、全電源が落ちた事で動作不良に陥ったり、僚艦であるワシントンが、敵艦と味方艦の位置が把握できず攻撃を中止していたとか、原因は色々とあるようである。

 

ーー

 

『おいっ! 艦内通信は? 無線も駄目か!? こんな戦時中に、何で停電なんかぁ───『発見しましたよ?』───ヒイッ!?』

 

『速度と火力………ふふっ、夜戦開始よ! 狙い──前方敵艦! 全門、斉射ー!!』

 

『────グワァッ!? て、敵艦は…………霧島!? い、いや──霧島だけじゃねぇ………艦影が複数!?!?』

 

『───喰らいなさい!』

 

『馬鹿め…と言って差し上げますわ!』

 

『Don't fuck with me!(ざけんなぁ!)…………貴様等ぁあああっ!!』

 

ーー

 

そんな獅子奮迅の活躍を見せた霧島も、僚艦ワシントンの反撃により大破、その後………自沈。 

 

霧島に付いていた艦も、この海戦では生き延びたもの……後に潜水艦で撃沈されたり、他国で処分されたりと──サウスダコタ自身の手で引導を渡す事無く………世を去る。

 

大破までいかなかったサウスダコタは、結局生き延び……ワシントンと共に逃れた。 その後の騒動は……此処で語る事も無いだろう。 

 

だが、身体こそ修理で癒えたが、あの時の恐怖、絶望を味わい、彼女なりに心へ深い傷を負う事になった。 

 

そして、数年の後……大戦が終わる。

 

ーー

 

『私に………こんな侮辱を与え、自分は自沈しただとぉ!? 他の艦共も……居ない!? これ程、侮辱を与えて負け逃げなんて……許されるかぁ……!!』

 

ーー

 

暇になったサウスダコタの元にも、敵国の情報が入り、自分を砲撃した艦を確認できた。 『霧島』『愛宕』『高雄』………だが、どの名の艦も……今は───全て居ない。

 

サウスダコタに頭に横切るのは、ワシントンに引っ張られて撤退する時に観た、霧島の嗤い顔。 あの嗤いが………当時、どう意味かは解らなかった。 

 

だが、もしかしたら………この事を既に予見していたのかと思うと、怖さと同時に歯噛みする! 

 

そして、此処から、サウスダコタが霧島達を追う起点になったのだ。

 

ーー

 

もし、霧島に問えば……

 

『ああ……アレですか? 悔しかったので嗤ってみたんです。 ちょっとした意趣返しです………ね。 相手が深く考えれば、ドツボに嵌まってくれればいいかな的みたいな。 はい、所謂(いわゆる)《孔明の罠》ですよ』

 

と、にこやかに語る程度の……悪足掻きだったのだが。

 

ちなみに、ドツボの意味は野壺。 俗に言う肥溜である。

 

……………だが、『艦隊の頭脳』と言われる(自称)霧島の策は、あまりにも効果が効きすぎた。 相手は『艦隊の疫病神』と言われる艦!

 

まさか───ここまで効果があったとは、予想外だった!!

 

ーー

 

『…………I'll be sure to get his revenge! Iro wait!! (必ず復讐してやるっ! 待っていろぉ!!)』

 

ーー

 

───彼女は、後に役目を終え解体されたが、その船霊だけは残り、艦娘になることも、深海棲艦に堕ちることも許否し、宙を漂う選択を取る。

 

そして……………彼女は探した。 サウスダコタとして矜持、復讐の念が消えぬ限り………探し続けた。 居ない、居ない、居ない! 何度も繰り返し、落胆に心が折れそうになるが、霧島憎しの一念で立ち上がる!

 

ある時は争い、ある時は取込み、自分の力を強めていく。 自分のプライドを砕き、逆に恐怖を刻み込んだ──霧島達へ復讐の刃を届ける為に!

 

そして、この世界に召喚され───遂に知る霧島の存在。

 

しかし、彼女には器が無い。 戦うだけの武器も無い。 だから、取り合えず自分を招き寄せた召喚主に取り憑いた。 

 

だが、生身の身体に憑依して戦ったが役に立たない。 霧島の影を掴んだが、異性の身体による邪魔な生存本能により、行動が阻害されてしまった。

 

『強固な身体、巨大な艤装、目指すは最強の力を!!』 

 

そう考えたサウスダコタは、金剛達との戦闘で再び身体を失った後……機会を待ち、あれから潜伏。 そして、昨夜……チャンスは訪れた。

 

それが───戦艦棲姫の大破! 

 

サウスダコタは、別の肉体に取り憑き、昨夜の戦いで大破した戦艦棲姫に近付き乗っ取ろうとした。 ニ、三の会話を交えれば──戦艦棲姫は元ワシントンだったと判明。 だが、そんな些細な事は──即座に斬り捨てた。

 

自分を囮にして、霧島を大破させた彼女だ。 サウスダコタにしては、憎しみはあれど感謝も恩など無い。 虫ケラの如く扱い、なんの躊躇もなく身体を乗っ取る。 そして、なに食わぬ顔で深海棲艦側に入り込んで行った。 

 

そして、身体が無い時に取り込んだ『物』を深海棲艦化して服属。 鬼灯率いる深海棲艦勢も、近い内に逆転して己の手足として、動き始めるだろう。

 

どれもこれも、皆───

 

『ソロモン海戦デ………受ケタ屈辱! ───晴ラサズベキカッ!!』

 

自分に対して行った事への───復讐だったのだ。

 

そして、今回の作戦に参加し、敵対する艦隊に近付いた時、戦艦棲姫は歓喜に打ち震えたのだ! 

 

霧島に助力して砲撃していた重巡洋艦『高雄』『愛宕』が居る事を!

 

 

★☆★

 

戦艦棲姫は、愛宕と高雄の言葉と様子に満足気に頷く。

 

愛宕と高雄は………声を出す事を忘れ、昔の敵であるサウスダコタ──いや戦艦棲姫を、黙って見つめるしかなかった!

 

 

 

◆◇◆

 

【 妙手 の件 】

 

? 洛陽付近  洛水 にて ?

 

戦艦棲姫「───理由ハ……納得………シタカ? ナラバ……早ク答エヨ!」

 

愛宕「みんなぁ………私達の事は…………いいからぁ………」

 

高雄「………霧島さんも………許してくれる筈です………」

 

ーー

 

戦艦棲姫が、口角を上げながら催促を行う。 人質の効果に疑いを懐いていないのだろう。 必ず、情報を得られると確信している顔だ。

 

愛宕と高雄も覚悟を決めている様子。 自分達が犠牲になれば、洛陽の民も、守りたい者達も………皆が助かると考えている為なのか? 静かに目を閉じ、仲間達からの声を待っている。

 

他の艦娘は、一斉に龍驤へ顔を向けると……頷いて前に出た。 

 

龍驤は気負った風も見せず、ユックリと水面を歩き、前に居る愛宕や高雄を越えて戦艦棲姫の前に立ち、対峙する。 先の話を聞いていたのに、怯えたところは全く無い。 小さい身体を向けて……その返答を答えようとしていた。 

 

ーー

 

戦艦棲姫の要求は、確かに無理難題である。 

 

だが……人質は、洛陽に居る者全員。 戦艦棲姫の昨夜の実力からしても、洛陽に広大な被害を与えるのは間違いないだろう。 

 

直撃で無くても、かなりの被害を与え死傷者を出した。 鍛えた兵士でも被害が出るのに、普通の民だと被害は更に増加する。 電文で連絡すれば、洛陽内に居る艦娘達が動いてくれるが、守る民達の数が多すぎる。

 

この場合───艦娘達が取る行動は決まっている。

 

愛宕、高雄の命を戦艦棲姫に渡し、霧島の居場所を教え、残りの艦娘は残りの仲間達の場所へ向かう。 戦艦棲姫の助けるという意味は……この場所から無事に逃走を許すとの事だろう。 次に会う時は……容赦しないと。

 

だが、ここで策を講じ、霧島の居場所は教えるではなく、洛陽に出張して貰えば、時間が稼げ戦艦棲姫打倒を狙う事も出来る。 あくまで戦艦棲姫が認めればの話だが………条件付きで交渉すれば、上手く話が纏まるかもしれない。

 

 

 

────だが、龍驤はハッキリと言い放った!

 

ーー

 

龍驤「よう………分かったでぇ! せやけどな、ハッキリとウチの答え、聞かせてやるわぁ。 答えはなぁ………一昨日きぃやぁぁやぁっ!!」

 

「「「 ───────!! 」」」

 

龍驤「………ウチらの絆を舐め腐りおって! ええかっ!? そんなんでぇ、仲間を裏切るって思うんのが……大きな間違えやで! 馬鹿も休み休み言え!」

 

ーー

 

龍驤の答えは──『拒否』を明快に関西弁で示す!

 

愛宕と高雄は勿論の事、戦艦棲姫でさえ………その様子に目を丸くする。 

 

しかし、龍驤は自信漫々で話を続けたので、戦艦棲姫の顔が険しくなり、目が吊り上がる! そして、再度問い質すと同時に……16inch三連装砲に発射を促すようを命じた!

 

ーー

 

戦艦棲姫「ホウ…………コノ様子ガ………目ニ入ラナイノカ?」

 

16inch三連装砲「グルルルゥゥゥッ!!」

 

龍驤「んなデカイもん、どおやって目に入れるんや!」

 

戦艦棲姫「…………ボケデ返ストハ………トンダ愚カ者ダ。 ナラバ………大局ヲ見レナカッタ……自分ヲ………恥ジルガイイ………! ヤレェ!!」

 

16inch三連装砲「ガァアアアアッッッ!!」

 

龍驤「へぇへぇ、お好きなようにぃ………っと。 だけど、それを撃つのは、ちいっとばか………遅かったわぁ!!」

 

戦艦棲姫「何ィ───ウッ、ウワァ!?」

 

ーー

 

だが──それでも、龍驤は揺るがない。 それどころか龍驤は、懐より巻物を取り出すと命じる! 重巡棲姫が阻止しようと砲塔を龍驤に向けた!

 

だが、別に艦載機を今から発艦させる訳では無い。 それでは『間に合わない』のだ。 先程まで偵察で空の上に滞空していた艦載機達が、重巡棲姫と戦艦棲姫達に接近し、攻撃を行い行動を阻害して行く!

 

ーー

 

戦艦棲姫「オノレェ! 私ヲ……謀ッタナアァァァ!?」

 

16inch三連装砲「グオッ! グウウゥゥゥ………ガァアアアア!!」

 

重巡棲姫「──────アレハッ!?」

 

ーー

 

戦艦棲姫や重巡棲姫の慌てる様子を見定めた後、龍驤は足下を見てニヤリと笑顔を浮かべる。 この辺りの出来事は、先に飛ばした艦載機達を通して『観察』を行い状況を把握していた。 

 

そう、水路で磯風達と戦闘を開始する───軽巡棲鬼の様子さえも!

 

好機到来と見た龍驤は、愛宕と高雄が此方に来ている事を確認すると、足下に呼び掛けた。 水面下に潜むは『潜水艦』──軽巡棲鬼の追撃から免れ、龍驤の水面下で待機していた──艦娘!

 

ーー

 

龍驤「さぁて、出番やでぇ! 酸素魚雷、発射ぁ!!」

 

イク「んしょっと! いっひひひひ………イクの魚雷攻撃、行きますなのね!」

 

ーー

 

イクが発射した酸素魚雷は三本、其々の敵艦に向かって行く。 

 

酸素魚雷と言えど、航跡は発射した数百b範囲なら残る為、白い帯状が水面上に浮かび上がる。 イクの狙い通り、魚雷は敵艦に吸い込まれて行く。

 

艦載機に気を取られていた戦艦棲姫達は、酸素魚雷に気付くのに遅れた! そして、無防備な場所に───酸素魚雷が突き刺さる!

 

 

──────!!!

────────!!!

──────!!!

 

三本の水柱が高く上がり、その威力を思い知らせたのであった!!

 

 

ーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

相変わらず、他のサイトでの小説に嵌り込み、読んでは文書の作成方法を参考にしたり、楽しんでいます。

 

その分、投稿が遅れますが、一週間に一回は何とかしたいと、思っています。

 

 

 

説明
洛水での争い前編です。
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コメント
スネーク提督 コメントありがとうございます! はい、その通りです。軽巡棲鬼は磯風達が相手を、イクが潜水してきた訳です。 絵師様曰く『横から見れば……』との御回答があるので、完全な平では無い………? (いた)
龍驤ナイス!まな板とか言ってごめんなさい(土下座)軽巡棲鬼は他の艦隊が相手をしてイクはそのままこちらに来たってことか(スネーク)
雪風提督 コメントありがとうございます! どちらも大切なんです。 さて、この後どのような結果になるのやら。 (いた)
制空権も大事だけど、足元の制海権も大事ね・・。(雪風)
天龍焔提督 コメントありがとうございます! 早い話………慢心です。 ………作者もか。(いた)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 勿論というか……当然というか………後半に続きます。(いた)
反撃開始…でもサウスダコタがこのままで終わるとも思えないですね。(mokiti1976-2010)
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