語られし者たちとIS 世界樹大戦 第48話 脱落者出現 殺し屋の本気
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世界樹大戦の第2回戦が発表された次の日の朝

 

医務室に女子生徒が横になっている。参加者であるダリルである

 

意識はあるものの体のあちこちに包帯が巻かれており、特に右腕はかなりひどい

 

どうやら右腕は一度切断されたようで、緊急手術で何とかくっつけることに成功しているが動かせるようになるまでにはかなり時間がかかるらしい

 

その情報を聞いた多くの生徒が医務室に駆け付けていた

 

大きな騒ぎになっていたが、千冬の一喝で生徒達に授業を受けるように指示を出す

 

ダリル自身まだ眠っているため、無理に残る生徒はいなかった

 

それでも休み時間や昼休みに様子を見に来る生徒は後を絶たなかった

 

放課後、彼女が目を覚ましたという情報が出回ると彼女のISのパートナーであるフォルテはすぐに医務室に向かう

 

彼女が横になっていたベッドの周りには更識姉妹とその従者たちや教員である真耶、そして一夏に鈴とシャルロットもいる

 

だがフォルテはそんなことを気にせず、ダリルに質問する

 

「せ、先輩!? 一体誰が!?」

 

「……フォルテか……やったのは殺し屋のマンジだ……言っておくが敵討ちとか考えるなよ……いくらおまえでも数分以内に殺されるだけだ」

 

彼女が言おうとしたことを先に封じる

 

フォルテもそう言おうと思っていたのだが、自分が一番信頼している人にそう言われては何も言えなくなった

 

「ごめんなさい。今からダリルさんに話を聞きたいからフォルテは少し席を外してくれないかしら?」

 

そう言いながら楯無はダリルにだけ何かメッセージを記載した紙を見せる。その内容を見て彼女を楯無の対応に頷く

 

「私からも頼む。話し合いが済んだらまた呼ばせてもらうから」

 

フォルテは納得していなかったがダリルの言うことは基本的に信用しているため、しぶしぶ部屋の外に出る

 

「さてと……私の覚えている範囲で話す。昨日の夜、2回戦の話が終わってから1時間ほど後になったころに学園の外に出た。目的はある人物と情報交換すること。悪いけど、今その人物については関係ないから話すつもりはない。さて」

 

そして彼女は話し始める。昨日の夜何があったのかを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(約束の時間は午後10時、20分も早く着いちまったか。まああの人のことだから10分もすれば来るはず)

 

(なあダリル、一体誰に会うんだ?)

 

夜9時40分、IS学園から離れた港の倉庫付近にダリルとリッドがいる

 

(……仕事の仲間さ。悪いけどここであったことは他の皆に言わないでほしい)

 

リッドはあまり納得していないようだが、お互いに自分たちに干渉しないようにしている

 

それが最初に会った時に決めた約束であった

 

(どうやら来たよう……!?)

 

(……ダリル……やばいのが来たな)

 

倉庫の奥から2人組の男性がやってくる

 

ピンクの髪をした男と赤い髪をした男性、ハスタとマンジである

 

(よりにもよってこの二人かよ……)

 

「ハジメマシテ、お嬢さん。わちきはハスタです」

 

「わかっていると思うが、マンジだ。君も国家の代表候補生なら知っているだろう? 俺のことを」

 

「ああ、殺し屋のマンジだろ。数年前から軍に所属しているISの操縦士を何人も殺害している要注意人物という話を聞いている。指名手配もされているはずだ」

 

そう言いながらお互いに戦闘態勢に入る。マンジは異世界から自分の身長ほどある大きな剣を取り出す。

 

この時間帯、この港の倉庫には誰も立ち寄る人がいない

 

そのため誰かに見られる心配はないということだ

 

「さっそくフラッグの取り合いか? だがまだ私は一つも……」

 

「勘違いしないでもらいたい。俺が欲しいのはフラッグじゃない……貴様の参加権利だ!!」

 

その瞬間、ハスタとマンジは一気に間合いを詰めて、ダリルに襲い掛かる

 

リッドはすぐにハスタの攻撃を防ぎながら1対1にできるようにハスタを誘導し始める。同時にダリルも両腕だけISを展開し、攻撃を防ぐ

 

(さてどうするべきか? このまま時間を稼いで待つのも手だ)

 

ダリルは防御には自信がある。学園ではフォルテと組むことでその防衛の力はさらに増すが、一人でもISの実力だけで言えば、学園最強の楯無と同じくらいと言われている

 

だから守るということ、さらには時間を稼ぐということにはかなりの自信がある

 

だが彼女には気になっていることがある

 

(マンジはISに乗っている状態の軍人たちを倒している。一体どういう手を使っているのかが気になる。果たしてISをこれ以上展開するべきか……)

 

「考え事とはずいぶん余裕だな」

 

彼の身長ほどある太刀が彼女を襲う

 

何度も攻撃を受けるたびにダリルの状況が不利になっていく

 

さすがに相手は何十人も殺害しているだけあって戦い慣れている

 

(これはまずい、まだ闘気もたまっていないのに……仕方ない、本気で守りに入らないと)

 

そう思い、ダリルはISを完全に展開する。展開したことを確認したマンジは右肩を叩いた瞬間

 

「がぁぁぁぁ!!?」

 

「ダリル!?」

 

ISを完全に展開したダリルが急に苦しみ始める

 

(な、何だ? まるで頭を万力で締められているように痛い……いや、頭だけじゃなくて体全体に激痛が……)

 

「御嬢さん、ISを解かないと痛いよ。マンジさんには……」

 

「ハスタ! ネタバレをしなくてもいい。冥途の土産など必要ない」

 

リッドと戦いながら少々興奮しているハスタがマンジの力を説明しようとしたが、それを止めるマンジ

 

だが、ダリルはハスタの一言を聞き逃さなかった

 

(ISを解かないと痛い……つまりISを解除すればいいはずだがすべて解除したらそのまま殺されかねない。リッドは今ハスタと交戦中だから助けは期待できない。なら少しずつ解いていくしかない)

 

リッドの方は、離れたところでハスタと戦っている。幸いどちらも互角で手を出さなくても時間を稼ぐのならば問題がない。そうダリルは判断した

 

そのためまずは自分のことだと言い聞かせ、足回りの武装を解除する。すると、痛みが少々減ったように感じた

 

「ハスタめ……だが、お前はもう終わりだ」

 

マンジはその言葉と同時にオーバーリミッツを解放する

 

オーバーリミッツが解放されたことにダリルは焦ると思われていたが、今までどおり冷静に対処している

 

だが、重い攻撃を受け続けているからか次第に彼女の顔から余裕がなくなっている

 

守ることに手がいっぱいになっており、次第に体勢が崩れていく

 

そのうち、彼女に一瞬だけ隙ができる。その一瞬マンジは見逃すことはなく

 

「くらえ! 獅子戦哮!!」

 

獅子の形をした闘気を彼の拳から繰り出された

 

今までとは比べ物にならないほど重い一撃であり、防ぎきる事が出来なかったダリルをコンテナのあるところに吹っ飛ばした

 

「がはぁ!」

 

ぶつかった衝撃で、懐にしまってあったブローチが彼の足もとに飛んで行ってしまう

 

ブローチを見つけたマンジはすぐに大きな太刀を振り下ろし、ブローチを真っ二つにしてしまう

 

「ブローチを破壊した……だと?」

 

「おやおや知らないんですかね? で・す・が最後まで俺と戦ってちょ?」

 

リッドはマンジがブローチを破壊した理由が分からなかった

 

それは彼にとってただ異世界に行くためのものだという認識であるから

 

だが、ハスタとマンジにはブローチに秘められた別の役割を知っている。そのように感じた

 

マンジは吹っ飛ばしたダリルの下に歩み寄る

 

「これで終わりだ」

 

彼の持っている大きな太刀でダリルの右腕を切断した。ISの操縦者を守るために本来発動する絶対防御が何故か発動せず、すんなりと切られていた

 

「……は?」

 

ダリルには何が起こったのか少しの間理解ができなかった

 

切断されたところから噴き出す血を見てようやく現状が理解できた。自分の右腕が切られたのだと

 

理解した瞬間、痛みを感じ激痛で叫ぶ彼女。そんな彼女のこと眼中になくマンジは次の行動に移す

 

「さてと……この装置を使って……」

 

切断したダリルの右腕を持ち、一つの面が男性の手のひらと同じくらいの表面積ほどの立方体を懐から取り出した

 

その立方体を彼女の果実の模様に近づけた途端、少しずつ模様が消えていく

 

正確には模様が立方体に吸収されるように見える

 

模様がすべて消えた瞬間、リッドの体が少しずつ消えていく

 

「果実の模様が消えた? 脱落したら消えるというのは知っていたけど、それ以外の時に消えるなんて聞いたことがないがないぞ」

 

「……貴様は知らなくてよい。さらばだ。異世界の参加者よ」

 

そのままリッドは消えてしまった

 

(ウソだろ……? 本当に世界樹大戦の参加権が消えたのか?)

 

目の前で起こったことがいまだに信じられないダリル

 

すでに戦う気力もなくし、ISの武装は完全に解除されて待機状態になっている

 

ここからどうすればいいか何もわからない。だがそんな彼女でもひとつわかることがある

 

(ああ、ここで死ぬのか……すまねえな、フォルテ……私みたいな女といれて……)

 

そのまま彼女は気を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が話せるのはここまでだ。気が付いた時にはこのベッドの上だ。そして世界樹大戦の参加権もなくなった。この通りだ」

 

そう言いながら右手の甲を出す。そこに会った果実の模様はなくなっていた

 

部屋の空気が重くなる

 

「お前たち、気をつけろ。敵の力はかなりでかいぞ……」

 

「ありがとうございます、ダリル先輩。話してくれて……それにしても参加権を奪うって言ったのよね、一体どういうことかしら?」

 

脱落ではなく奪う。まるでほかの人物に参加権を与えるためにダリルから奪ったように思える

 

なぜそのような事が出来るのか、一体誰に渡すのか、ここで考えていても答えは出ない

 

全員が黙っているとジュディスは何か思いついたのか異世界に行ってしまう

 

それと同じくらいに待ちきれなかったのかフォルテが部屋に入ってきた

 

とりあえず世界樹大戦の参加者たちは医務室から出ることにする

 

敵の目的が分からないまま、第2回戦は続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット ダリル気絶後

 

ダリルが気を失った後、マンジは彼女にとどめを刺そうと近づこうとした時

 

「随分と酷い事するのね、か弱い女の子に男性二人がかりなんて」

 

後ろから声が聞こえたため、振り返ると金髪の女性がこちらに歩み寄る

 

「面白いこと言う叔母さんだね、マンジさん。殺しちゃいます?」

 

「ISなどという兵器を持っている時点でか弱いという言葉はあり得ないはずだ。亡国企業幹部のスコール」

 

マンジには足音と声で誰が来たのかが分かったため、振り向かずに話を続ける

 

ただハスタにとっては、その女性は自分たちに殺されるためにやってきた一人と考えている

 

「その子を渡してもらえないかしら?」

 

「IS学園に通っている奴を亡国企業の幹部が必要なのか……いや、ちがうな。目的はこいつの専用機だろ? ならハスタ、器用にやれ」

 

「御意」

 

ハスタはダリルの持っていたISを槍で貫き破壊した。その行為にはさすがのスコールも驚く

 

「これでこのガキを渡す理由がないな。これから依頼主へ報告をしなければいけないから貴様の相手はまた今度してやる」

 

「まあ、おばさんじゃあカップ麺程度の価値しかないかな? 行きましょうぜ、マンジさん」

 

そのまま二人は姿を消した

 

(……貴重な戦力が消えてしまった……ということ感情だけで片づけたくないわね。一応この子の叔母だもの)

 

亡国企業のアジトに連れて帰ろうとも考えたが、専用機を破壊されたダリルを連れて行くには、色々と面倒なことになりそうである。ならばIS学園に渡した方が安全であると思った彼女は、救急に連絡をした

 

「すみません。IS学園の女子生徒が重傷で倒れています。住所は……」

 

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毎度更新が遅くて申し訳ありません

ダリルとリッドペアが脱落しました

 

 

どうでもいいですが、テイルズオブフェスティバル楽しみです

ベルセリアの情報もですが、特にザビーダ役の津田さんはすきなので

 

感想・指摘等あればよろしくお願い致します

 

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