恋姫外史医伝・華陀と一刀 五斗米道の光と影 16話
[全4ページ]
-1ページ-

治療を終えた後、一刀が目を覚ましたのは三日後の事だった(貂蝉は一日で目覚めた)

 

その間に集められた名医たちは半ば追い出されるような形で帰らされており、やってきた医師で残っているのは一刀と華陀のみとなっていた。

 

そして目覚めた後、一刀は華陀と共に謁見に呼ばれ、すっかり元気を取り戻した帝は一刀と華陀に対し褒美を取らせようとしたのだが、

 

「「医師として仕事をしただけであって、特別何かしてもらうような必要はない」」

 

二人揃ってこう言われてしまったので、困ってしまった。

 

その際、二人を宮廷医師として高給で雇うのはどうかと張譲が口を挟んだが、華陀は自由に医療活動を行いたいと言って断り、一刀は曹操の所が今の自分の家だからと断った。

 

自分達が必要な時は呼んでくれれば駆けつけるからと付け加えて、一刀と華陀はその話を切り上げる。

 

その後、どうしても褒美を与えなければ気が済まないと言う霊帝に対し、華陀は洛陽での医療活動の許可を望み、一刀は自分が困った時一度だけ助けてくれるように頼んだ。

 

霊帝は二人の頼みを快諾し、加えてかなりの額の金を二人に渡した。

 

華陀は遠慮しようとしたが、一刀がまた揉める事になるぞと説得。

 

渋々華陀も金を受け取り、謁見は終了したのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

-2ページ-

謁見の間の前で待っていた貂蝉、卑弥呼と合流し、一刀と華陀は廊下を歩いていた。

 

「やれやれ・・・・・・ああいう場は肩が凝って仕方無いな」

 

「同感だ。それにしても、これだけ金を貰ってもどう使えばいいのか・・・・・・」

 

金の使い道に迷う華陀。

 

「お前はどう使うつもりなんだ?一刀」

 

「俺か?俺は色々と医療器具を作ってくれてる職人に全額渡すつもりだ。材料費も馬鹿にならないからきっと喜ぶだろうよ」

 

「ふむ・・・・・・なら俺のも使って・・・・・・」

 

「いや、それはお前が持ってたほうがいいだろう。薬の材料買うなり、貧民街で炊き出しするなり使いようはいくらでもあるだろう」

 

「・・・・・・確かに」

 

「だろ?さて、俺は華琳の所に帰るとするか」

 

伸びをしながら言う一刀に、貂蝉が語りかけた。

 

「ちょっとご主人様?」

 

「ん?」

 

「アタシも連れて行ってくれないかしらん?」

 

「・・・・・・」

 

貂蝉の頼みに渋い顔をする一刀。

 

「そんな嫌そうな顔をしなくてもいいじゃない」

 

「別に嫌じゃないさ。今回の事でおまえには借りもあるし・・・・・・ただ・・・・・・」

 

 

 

 

一刀は大きくため息をつき、言葉を続けた。

 

 

 

 

「お前を見て、華琳がぶっ倒れなけりゃいいんだが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

-3ページ-

そのころ、華琳は自室で桂花の訪問を受けていた。

 

「何の用なの?」

 

「まずはこれを見てください」

 

そう言って桂花は書簡を華琳に手渡した。

 

首を傾げつつ書簡の内容に目を通す華琳。

 

書簡を読み進めていくと共に華琳の表情が険しくなっていく。

 

「これは、信用できる情報なの?どこかの下衆の妄言ではないの?」

 

そこに書かれていたのは、一刀が医術を学んだ五斗米道から破門されていたという事実だった。

 

「いえ、部下に調べさせた結果です。五斗米道の総本山まで行って得た情報らしいですから間違いありません」

 

「あなた、私の許可も得ずにそんなことを・・・・・・」

 

「勝手な行動のお叱りは甘んじてお受けします」

 

華琳に跪き、桂花は言葉を続ける。

 

「しかし、この事が世間に知れたら華琳様の評判にも傷がつきます。こんな不名誉な過去を持った男はすぐに解雇するべきです!」

 

「・・・・・・」

 

椅子に寄りかかり、天井を見上げる華琳。

 

「・・・・・・桂花」

 

「はい」

 

「この事は他言無用にしなさい。いいわね?」

 

「は、はい。それであの男は・・・・・・」

 

「一刀が戻ってきたらこの事について話を聞かせてもらうわ」

 

「あの男の話なんて聞く必要は・・・・・・」

 

「なら聞くけど、一刀が破門になった理由は調べたの?」

 

「い、いえ・・・・・・関係者はあの男が破門された事実のみしか語らず、理由については誰もが口を閉ざしたそうなので・・・・・・」

 

「なら理由を聞かない事には始まらないわね。まあどちらにせよ即解雇何て真似をするつもりは無いけど」

 

「華琳様!」

 

「桂花」

 

華琳の黙れと言わんばかりの鋭い視線に、桂花は蛇に睨まれた蛙の如く硬直した。

 

「どうもあなたは一刀の事となると視野が狭くなりすぎるというか・・・・・・馬鹿になるわね。あなたは頭で考えて仕事をする人間なのに、そんなことでどうするの?」

 

「そ、それはどういう・・・・・・」

 

「桂花。一刀は今何処へ何をしに行っているか言ってみなさい」

 

「は?ら、洛陽へ帝の治療に・・・・・・」

 

「もし一刀が帝を治したとしたら、一刀の功績は計り知れないものになるわね。帝との繋がりも出来る。そんな男の過去を穿り返して追い出して、私にどれほどの得があるのかしら?」

 

「し、しかしあの男が治せると決まった訳では」

 

「治したとしたら、解雇なんて馬鹿馬鹿しい事はもう言い出さないでしょうね?」

 

「・・・・・・」

 

黙り込む桂花。

 

「まあ、全ては一刀が帰ってきてからの話よ。下がりなさい桂花」

 

「は、はい・・・・・・」

 

華琳に背を向け部屋を出て行こうとする桂花。

 

その背中に向けて華琳の言葉がかけられた。

 

「もう一度言い含めておくけど、この事は他言無用よ。そして、もしまた一刀の事で勝手な真似をしたら相応の処分を下すから・・・・・・分かったわね?」

 

「・・・・・・はい」

 

激発しそうな感情を押さえ込みながら、桂花は華琳の部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

自室に戻った桂花は握り締めた手を壁に叩きつけ

 

 

 

 

歯軋りをしながら呟いた

 

 

 

 

「・・・・・・諦めないわ。時機を待ちましょう。そして必ずあの男を・・・・・・処分する」

 

 

 

 

 

-4ページ-

どうも、アキナスです。

 

どうやら一刀君の過去が明かされる時が来たようですね。

 

一刀君の破門の真相とは?

 

次回に続きます・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
帝を治療した一刀たちは・・・・・・
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3015 2491 21
コメント
桂花には空箱を、一刀には自由を、そして華琳の元には誰もいなくなった……的なみらいが見えますね。(神城)
桂花や華琳の思いとは関係なく将来的に魏を出て行きそうな一刀ではありますが(ry(M.N.F.)
ミヅキさん:貂蝉の場合、筋肉より容姿が問題だと思いますが(アキナス)
未奈兎さん:どう説得するんでしょうね?(アキナス)
アルヤさん:それを言っちゃあおしまい(アキナス)
アストラナガンXDさん:明るくは・・・・・・ないでしょうな(アキナス)
mokiti1976-2010さん:普通のやり方じゃあ駄目でしょうね(アキナス)
Jack Tlamさん:まあ、この外史の桂花は特に極端ですよね(アキナス)
きんにくきんにくイエイイエイ(≧∇≦)/!!…・…というレベルじゃねーよな貂蝉(ミヅキ)
なお主人公は華琳が卒倒するような筋肉を連れてくる模様(未奈兎)
時期とかもう来ねーよwww(アルヤ)
自滅コースまっしぐらな桂花の未来(あした)はどんな世界やら。(アストラナガンXD)
これ以上一刀に何かしようとしても不利になるのは桂花の方な気がするのですが?(mokiti1976-2010)
ここまで一刀に対して敵対的な桂花も珍しいような……空箱フラグが早くも成立したのか、どうなのか。(Jack Tlam)
タグ
外史 北郷一刀 恋姫†無双 真・恋姫†無双 

アキナスさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com