幻想卿に男が降り立ったようです6(中篇
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どうみてもただの子供にしか見えないのに雰囲気が甘美な大人にしたてあげている。

 

その雰囲気に呑まれながら今も動く欲望は一つ。  

 

オレを、、飲む事らしい。

 

「、、オレが、、なに?」

 

「やめなさい!レミリア!この人間はただ、、」

 

「問答無用よパチェ。そろそろ人を襲ってもいい頃合いだしね、その人で佐々と済ませて咲夜のおやつを満喫するのよ。ただその前の食前酒じゃない?」

 

小さな女の子の声には見た目どおりの声の高さ。

予想通り、そこいらの子供と何も変わらない、、と思う。

しかしソレにビクッとパチュリーは体を跳ね上げる。

「、、パチュリー、、?」

 

「、、、あら?仲良くなった、、てことかしら。珍しいわね。パチェ、、でも。」

そう言って腕を振り上げたその手が漆黒の雲に覆われる。漆黒の綿は腕をうっすら包み悪意に満ちた殺気を放つ

 

「  そんなのより私の大事な飲料水なんだから、、そんなの関係ないのよ?パチェ、、  」

 

そう言って手の黒い雲を握る。瞬間黒い雲は紅い羽根になった

 

           冥符「紅色の冥界」

 

そう聞こえた。手を振り下ろす瞬間が見える。その紅い羽根は鋭く飛びオレに突き刺さろうとする。

 

一波が来る。ソレをしゃがみこみ左右に跳ぶ事で一波を避ける。一波は全て大理石に当たり、

そこ周辺の大理石全てを粉微塵に切り崩した。

 

「、、、、!」

二波が来る。

二波は凄い数に膨れ上がっている。辺り一面紅だらけだ

そして逃げ場がないのに気づく。

 

しゃがんでも跳ねても必ず当たってしまう

また何か悟る様に左手で二波の一本の羽根を下から上へ払う様に叩く。

するとオレの体を切る事無く羽根は叩かれた上の天井に向かい突き刺さりビシッ!と大きなヒビになる。

 

ゆっくり一つずつ上から天井の欠片が降って来る。

 

「!、、、、?」自分の手の平を見る。左手を見ておもう。

なんだ、、?これ、、? 

一つの扉が粉砕するほどの威力を誇る何かを打ち返したり、大理石全てがサイコロステーキより小さくなる様な刃物が飛んで来ても、、無傷。

左手が瞬発的に動いただけだ。あの時を思い出し受止めようと、、しただけなのに球とは訳が違うものに触れて、、無傷なんて。

疑問を通り越し恐怖すら覚えてくる。

 

「、、、くっ、!」

その声を聞いて反応する。その声はこの刃物を飛ばした少女だった。

上から降って来る天井の破片が次々降ってきている。ソレを避けるのに苦労している。

ソレを見て走る 少女に向かい走り出す。

上から大小さまざまな破片が降り注ぐ中を駆け抜ける。

そして少女の目の前を通り過ぎ扉があった場所を素通りして逃げ込んだ。

 

「、、チィ」

レミリアは舌を鳴らす。その音に反応する様に落ちてきた壁は柔らかい光に包まれ浮かんで行く。

淡い淡い光の塊が何個も何個も出来上がりソレが破片に触れ、そして飛び上がる。

 

「、一刻も早く修正して!、、ちょっと、レミィ!」

指示を下しているのはパチュリーだった。

パチュリーはコンクリの粉を吸い込み咳き込みながらこちらに走る。

 

「なんて事を、!図書館がめちゃくちゃ、、」

「こんなの一日あれば妖精達にやらせてれば直るわ、、それより、」

レミリアは二の腕を反対の手で抱え込む、

 

「、、何者、、かしら?私の攻撃を打ち返してきたけど、、?」

そう。私の攻撃を反応し一瞬で弾き返してきたのはあの男だ。

あの男が弾いた私の槍は私の隠れる扉を打ち抜いた。以前に、弾いたのが大問題だ。

弾く?どんな原理で弾いてるのか?不思議で堪らない。

 

「、、パチェ、、」

 

パチュリーに質問をするのはレミリア。

「、、なに?」

 

「、、、、彼って、、能力者よね、、たぶん。」

 

「、、だとおもうわ。人間が吸血鬼の攻撃を打ち返す事ができるってのよ、」

「、、それだけだと思ってるの?」

レミリアはそう言った。二人は会話をしている。その間も光は破片を持ち上げ空の空いた暗い夜を埋めていく。パチュリーは小首を傾げ

「、、どういう意味よ、?」

レミリアはゆっくり考えながら話す

「、、、私の攻撃、アレは、、あれ程も攻撃力はないはずなの」

あれというのはただの弾幕用の弾発だった。

しかも最小限に威力を抑えたものだった。

「、、、ましてや。この図書館を守る防壁レベルのあの扉を粉砕するなんてアリエナイ程度の威力の筈だったのに、、。」

「、、どう言う事、、、?」

パチュリーは半ば気づきながらそう言った。だが信じられないから。そんな力があったとしたら私達は絶対あの少年に勝てないから。

「、、彼は、攻撃の威力を増幅させて、、跳ね返している。って言ってるのよ、それも、倍レベルまで威力を跳ね上げて、、ね?」

 

「、、、、そんなこと、」

絶句。それだけがそこに残った。

「、、まぁ。アレがただの人間に宿っても意味は成さない筈、、」

 

「、、なんで?」

 

「、、推測だけど、、どこかからだの一部にしか影響が出てないから、かしら?」

 

「、、つまり、彼自体全身にその力が張ってるわけじゃないって事、、?」

 

「言ったでしょ?推測よ。、、だとしたら、その能力の張ってある場所に攻撃を当てる必要があるはず、だけど、私たちの攻撃をただの人間が見てましてや受止める、など可能かといわれれば不可能に私は一票だけど。」

レミリアの目に力が込められる。ただの食事から別の何かになってしまったソレを、どうしようかと頭を捻った。

 

 

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「ハァ、、ハァ、、ぶぇぇ、、おえぁ」

息切れを超えて吐き気に達した自分の体を休める。

息を整えようにもお腹がグルグルしている様で休む事が出来ない

喉を摩りながら、目を片目だけ開けて休憩する。

体中からグルグルする感覚が少しずつ抜けていく。 やっと落ち着いてくる。後ろを何度も見ながら逃げたんだから、、だいじょぶ、かな?

 

「ぇ、、ゲホンッ、、あぁ、、なんだよ、、ココ」

ここに来てからとんでもないことに、、ハァ、、

ため息がリアルに出た瞬間後ろに気配と足音がする。すぐ息を止める。息を止めて、出来るだけ自分の気配を隠し通す。

ドンドン近づいてきているのに気づくと息を殺しながら隠れる所を探す。足音は気づかれない様に進む俺と違い早くやって来る。

角を曲がると横に部屋があった。すぐ息を殺し音を立てない様に部屋に入る。

扉に背をくっつかせながら音が通りすぎるのを待つ。

 

「、、まったく。メイド長たら!いつも私達を安月給でアレホレやらせて!!」

 

「そんな事言ってもあの人達には勝てないでしょー?所詮私たち妖精なんだしー。、、正直、無理矢理連れて来られたんだけど。、、あぁソレと、そんなの言ってると怒られちゃうよ?十六夜様意外とどこにでもいるから」

 

「だいじょーぶよ。あの人、なぜかフランドール様の部屋の付近はレミリアの指示がないと寄り付かないんだもの」

 

「あ、レミリア様の事呼び捨てすると。十六夜様に切られちゃうよ?」

 

「言ったでしょー?ここには寄り付かないんだってばさーwww」

 

スタリスタリと足音が通り過ぎていく。

扉の横を通りすぎるとやっと胸をなでおろす。、、妖精ってあんなまともな人間みたいな会話するんだなー。メイド長ってどんな人なんだろ、、、?

 

頭を切り替え、目を開けると目の前にあるのは真っ暗な場所。小さなランプが灯っていて、周りの壁が真っ赤であるのがわかる程度だ。

目が暗いのに慣れてくると少しずつ部屋の間取りが判ってくる。

暗い部屋にはいろんなものが置いてある。

 

部屋は上下で4mから5mある物だったが、小さなピンク色のタンス その上にいっぱい乗ってるぬいぐるみ、そして色んな小物入れ

その部屋はまるで、、、女の子の部屋。

 

ずっ、、

 

部屋の中で何かが動いてる。焦りながら息を殺す。目の前が真っ暗なのにその何かが動くのに耳より先に目で気づいた。そこには紅の光がふたつあったからだった。ソレが眼光であるのに気づくのは何秒も掛からなかった。

 

「、、、、、だれ?」

声が聞こえる。幼い。とっても幼い声が聞こえる。さびしげな、とても悲しそうな声。

 

「、、だれか、、いるんだよね、、?」

悲しすぎる声。なぜか声を出さないと気が済まなかった。

 

「、、あぁ。いるぞ、、」

「、、おにいさん、、だれ?」

「、ただの、、おにいさんだよ」

 

声が出ているかな、、?

聞こえてるのかな、、?

ちょっとだけ前に歩く。そして、見えた。女の子だ。うずくまって膝を抱えている。

女の子は金髪で真っ白なふわふわした帽子と服。それは図書館で襲い掛かってきた女の子と極似している。背中に何かが付いている。羽根の芯にある一定の間隔でひし形の宝石が七色でくっ付いている。

「、、なんでこんな暗い所にいるんだ、、?」

「、、、明るいのを見るのは、、恋しくなるから、やめてるの」

「恋しく、って?」

「私、、、ここに閉じ込められてるの、、」

その声は小さくほっそりと、かわいらしい高い声があまりに辛そうな声をしている。

「閉じこ、、っ!」

「お姉さまがね。出ちゃだめだって」

「、、そんなの無視して、、!」

「ムリだよ。私はここから出られないもん」

「、、え?」

「ここの扉ね、外側でしか開けられないの。内側からは絶対開けられない」

「、そんなはず、、」

そう言って後ろにある扉の取っ手に手をかける。

「、、ん?」ガチャガチャ、、

び、、ビクともしない、、!!!

「う、、くぉ、、!!」

ガイチャガチャ、、

反応などない。あけるときはあんなに手ごたえなんてなかったのに、、!!!

「、、ね?」

 

「、、、、あぁ。」

腰を下ろす。下にちょうどかわいらしい座布団があり、そこにぼふりと乗っかる。柔らかい布と綿の感触が心地よい。

壁を見渡す。壁が真っ赤。ソレはある意味異変だ。この子供っぽい部屋に

バラの様な赤、、コレはどういうこと、?

「なぁ、、なんで、壁は全部真っ赤なんだ、、?」

オレがなんとなしに聞いた

「あたし。赤が大好きなの。」

たんなる好みか。

そう納得しようとしたとき

「赤って、人やいろんなものに流れてるじゃない?この部屋を赤にするのって時間掛かったんだよ?」

え?

何を言ってる、?喉元から納得のなるほど。の声が消えて無くなった

意味が理解できない。どういう意味だ、、、あ、あぁ。ペ、ペンキか。ペンキで赤にするのに時間が掛かったってこと、、だよな

「皆、絞っても全然でなくて、時間掛かったんだから、、」

ゾクゾクゾクッ!

異様な寒気。体中の震えが収まらない。

、シボル? ジカンガカカル? ミンナ?

なぞの単語に首を捻る。

首を捻りながらなぜか流れるイヤな汗が気持ち悪い、

理解不能な状態が続くのが気味悪い。

「あ、、えと、、そのなんだ、と、、ぇ?」

判んなくて声もでないのだ。言葉も選べないのがなお怖くさせる。

「、、お兄さんにも流れてるものじゃ、直ぐ乾いて便利だからぁ、、楽だよ?」

 

ナガレテル? スグカワク? ラク?

 

「、、、、、、、、、、!!!」

想像の付く点が一つになった。

だがソレがほんとならこの女は何を言ってるのかイミフメイ

もしほんとならこの女の子、、、、、

イカレテル

 

そう想像すると気持ち悪くなって立ち上がり後ずさる

 

数歩後ろに歩いていくとベタリッと手が壁に張り付いた。

「あ、、、」

赤色の壁は乾いていなかった。濡れてまだ水っぽかったのだ。

そこを触った事で紅いペンキは落ちて白黒い手形がひとつだけ残った。

掌にペンキが張り付いた。

「あぁ〜!」

ビクッ、!!

「あ、、ゴメん、、」

「もぅ!お兄さんだめだよー!」

そう言って少女は手の中で転がしていた子供大のぬいぐるみを、、握り潰した。

グシャリと音が鳴る。

、、え?ぬいぐるみが握りつぶされたのに、、グシャリなんて音。鳴る、、、か?

ぬいぐるみの首が堕ちた。

そのぬいぐるみには、綿ではなく、、、肉が詰まっている。

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、ぁ、、」

喉元がキュゥ、、と絞まった

体中が冷えて腹が痛くなる

目眩を起して鼓動が以上に高まって、、吐き気が立ち上った

ソレは、、ぬいぐるみじゃなくて、、人の子だった。

イヤ、背中から羽が生えている。その点を読むと、もしかしたら妖精かもしれない。

その考え一つ一つが時間をたっぷり考えて作り上げていく

だけどその考えひとつずつで頭が痛いのだ腹がキリキリ冷たくなり、痛くなる

 

「、、、、、、、ぉ、オボ、、ゲェ、!、、、ゲェァ!!」

吐き気が立ち上り数滴ゲロが地面を抜ける。喉元のゲロが凄い酸っぱさと痛みでうまく意識を、、、、、、ハタラカセルコトガデキナイ、!

ゆっくり立ち上がりその女の子はこっちに歩いてくる。

ソレを見ただけで恐怖で体が震える、

身の毛が弥立ち歯がガチガチなり響く、

そして、、少女が手を伸ばしてくる、

 

その手が、、、赤々しい血で濡れて滴った手が、、

 

ボクの視界を覆って、、、、、、、

 

説明
ガタガタぶるぶる。
そんな話にしたつもりです。
次の話がオチですので、
ヨロシクおねがいしますー!
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タグ
血、フランドール

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