デイライトガン&ムーンライトガン 第35章 拠点『ツクヨミ』
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 一行は、これからの道中で必要な、携帯食、水、携帯医療用具等を補給してから、準備を整え、希が最後にココの火の元、水道のチェックをし、裏口と玄関の鍵をかけてから、アラヤドタワーに出発した。

 

テンニャン「厳重アルね」

希「ここは、オレの店だ。これからどうなる事になっても、終わったらココに帰ってこようと思う。それに戸締まりはココにいたときの日課だったし、別に特別な事ではないよ」

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(某月某日 午後1:10 アラヤド公園)

 

 一行は、特に呼び止められる事無く、地上部分が“ツインタワー”となっている目的地“アラヤドタワー”の隣にある公園“アラヤド公園”に到着した。

 

 アラヤド地下街での“対テロリスト対策”は収束した事になっており、警察とガーディアンフェザーによる騒ぎの沈静化も徹底していたので、希達が地下街にいた時間〜お昼休みまでには、いつもの平穏な街に戻っていたのである。

 

希「凄い事態解決能力だな。向こうにも理由があるにせよ、こういう所はガーディアンフェザーに感謝しないといけない。こうやって問題無くここまで来られた」

テンニャン「でも、なんで、公園アルか? タワーは目の前アルよ?」

 

 そこで黒崎と蛭子が活躍するのである。

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黒崎「テンニャン、残念ながら、アソコの正面ゲートから入るわけには、流石にいかない。一応アソコは“庁舎”であり、事態が収束していても、ゲートのチェックは通常通り厳しく、すぐにガーディアンフェザーへ連絡される」

蛭子「希のお母さんが“待っている”って書いた暗号通りなら、あそこのゲートの先の場所であるはずがないのよ」

 

 そして黒崎は、公園の端にある、地下鉄の入り口を指さした。

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黒崎「チェックもなく、一般の人が気軽に入れるのはアラヤドタワーの地下街、所謂ショッピングエリアだ。無論タワー内部に入るゲートは同じくチェックが厳しいから、常識的に地下街での待ち合わせとなるだろう」

 

 そこへ、帽子を深くかぶり、紙袋を持った、風貌がちょっと汚い新聞を読んでいたおじさんが、ふらふらっと希の所に近づいてきて、小声で話しかけた。

 

希「な、なんですか…」

おじさん「地下街B1Fにある洋服店“STAR”で、店主に『ツクヨミの服を試着したい』と言え」

 

 そう伝えると、おじさんはふらふらっとベンチに戻っていって、新聞をまた読み始めた。

 

黒崎「…どうやら組織のメッセンジャーだな。おじさんにこれ以上接触すれば、我々もおじさんも危険になる。黙って地下街に降りて、その店へ向かおう」

 

 流石に希も、こういうシチュエーションは初めてなので、面食らったが、慣れている黒崎と蛭子の誘導により、希自身も立ち寄った事のある、“アラヤドタワー地下街”に向かうことにした。

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(某月某日 午後1:15 アラヤドタワー地下街B1F)

 

 ガヤガヤ… ざわざわ…

 

地下街は地下鉄や在来線の改札にも隣接しているため、とても賑やかだった。一行は、おじさんに伝えられた洋服店“STAR”を探していた。

 

希「俺たちが、その“場所”に行くわけだから、こう、あんまり盛況でなく、ひっそりしているはずだよね、やっぱり…」

 

 だが、希の予想は外れていた。

 

黒崎「あれ・・・・か?」

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女の子「やっぱ、このキャミじゃないとダメだよねー♪」

女の子「ねえねえ、このコーデ、どうかな?」

 

 確かにお店の看板に、“ファッションブランド STAR”

 

 と書かれている。しかも、大盛況である。

 

希「こ・・・ここでいいのか・・・母さん・・・・」

蛭子「そうよ! 『木を隠すなら森』よ。人だかりの方が隠しやすい…んだと思う…たぶん…」

リキュール「お母さん、大胆ね…」

黒崎「詮索しても仕方ない。とりあえず店が女性向けだから、ここは“カップル”作戦でいく。先頭を希とテンニャンにして、二人をカップル、残りはダチ、これで行く」

テンニャン「やったアル♪ 思わぬボーナスアル♪」

希「すまん、ぬこみん、ここは許してくれ…」

 

 そういうと、先頭を腕をカップルつなぎした希とテンニャン、他は◇形で、黒崎、蛭子、スイート、リキュールが後ろを歩いて、店に入っていった。

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女の子「うわー、可愛い彼女。チューカな感じぃ?」

女の子「隣のマスターみたいなカレシもイイカンジじゃない?」

女の子「後ろのイケメンと黒服も、なんかイケてるし、これ、ギョーカイの人達なのかな?」

女の子「あのバーテンの女性も、素敵…」

女の子「えー、でも、おばさん付きだよ〜。たぶん、家族で来たんだよ〜。それより、この服どうかな〜?」

 

 蛭子はプルプル震えて、こらえていた。

 

蛭子「ぬぉぉぉ・・・・・・」

黒崎「蛭子、耐えろ、ここで騒ぎを起こしたら、元も子もない…」

蛭子「こ・・・・この店の服で・・・・見返してやる・・・・」

 

 そうこうして、希とテンニャンは、店の奥のカウンターに座っている店の女性店主に話しかけた。

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希「『ツクヨミの服を試着したい』」

 

 店主は一瞬目線を細めて希を見たが、すぐに笑顔に戻り、営業トークに変わった。

 

店主「それでは店の奥にどうぞ♪」

 

 一行は店の奥、所謂バックヤードに通された。

 

待機店員「マスター? どうしたんですか?」

店主「お客さんが、倉庫管轄の服をご所望だから、直接見てもらいたいから、特別に通したの。ちょっとだけ席を外すから、店の方、お願いね」

待機店員「わかりました〜♪」

 

 希達と店主は、店の奥の扉を開け、倉庫に入っていった。

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希「な・・・なんか・・・スパイ映画そのものだなぁ・・・・・」

黒崎「確かに、木を隠すなら森、だな。灯台もと暗し、というか…」

 

 店主は倉庫の奥の目立たない外観の施錠された“クローゼット”の鍵を開け、扉をスライドさせた。

 

 中には“地下へ通じる階段”だけがあった。

 

店主「案内する。ついてきて」

 

 カンカンカン…

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(某月某日 午後1:25 アラヤドタワー地下街B2F 隠し通路)

 

店主「ここは外部から通じていない通路。我々関係者だけが入れるエリアだ」

黒崎「ガーディアンフェザーに流石に見つかるはずだが…」

店主「周りに防音と衝撃吸収素材を敷き詰め、B2Fの店のエリアに隣接しながら通路を作ってある。ガーディアンフェザーでも、店にはやたらに干渉できない慣習がある。大丈夫だ」

 

 そうこうしているうちに、奥の“扉”まで到着した。

 

店主「鍵はかかってない。ここは、希さん、あなたが最初に開けた方がいい」

 

 希には何となく意味がわかった。なので、扉のノブに手をかけ、そして扉を開けた。

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(某月某日 午後1:30 アラヤドタワー地下街B2F 拠点『ツクヨミ』)

 

 ガチャ

 

 目の前に立っていた男性と、椅子に座って待っていた女性は、希が一番逢いたかった二人だった。

 

希「母さん・・・・・・父さん・・・・・・」

 

一 文恵(以降、文恵)「望! 待ってたわ!」

一 門司(以降、門司)「良く来たぞ! 立派だ!」

 

希「うわぁぁあぁあああ」

 

 ガシッ!!!!

 

 ようやっと、ようやっとの、親子の抱擁である…。

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テンニャン「私、こういうの弱いアル…」

蛭子「えぐっ、こういうの、いいよね…」

黒崎「ふぅ、やっと到着ですよ、文恵さん…」

リキュール「マスター、良かったね♪」

スイート「親子の絆、大事な物だよな、マスター」

 

 そして、しばしの抱擁の後、中身はこれからの事となる。

説明
☆第35章、拠点到着です!
☆サイバーパンクで神話の入ったガンアクション小説です。

☆ラストまでのプロットをちゃんと書いてあるので、形式は、少しずつ続きを書いていく、章区切りの長編となります。
☆『pixno』(URL:http://www35.atwiki.jp/pixno/)に参加しております。

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Cast

・一 希(にのまえ のぞむ。“一 望”ver.1.0):主人公。元・喫茶店“望名”のマスター。現在、ムーンライト居住エリアのカフェバー“vona“の店長(カフェタイムのマスター)

・ぬこみん:(本名は、猫目 音子=ねこめ ねこ)→カフェバー“vona“の明朗快活なウェイトレス。猫コスプレがチャームポイント♪ こう見えても、”カラテ“の使い手。

・テンニャン(本名は、天仙娘々(てんせんにゃんにゃん)):カフェバー“vona“の女性コック。中華なカンフー娘だけど調理の腕は一級品。とっても優しい♪

・スイート(本名は、金 志久波田(キム シクハダ)):カフェバー“vona“の男性パティシエ。すらっとしたクールイケメン。料理にこだわりを持っている。テンニャンとデザートの味でぶつかることも。テコンドーの使い手。

・リキュール(本名は、坂田 魅子(さかた みこ)):カフェバー“vona“の女性バーテンダー。スマートで姉御なオトナの女性。まとめ役で軍曹。マーシャルアーツの使い手。

・ステロイド(本名は、田路 唐男(たじ からお)):カフェバー“vona“の力仕事など全般の雑用。言動の通り、筋肉が全ての尺度の人。意外に博識で人生経験豊富。パワー系全般を取得。

・黒服(本名は、黒崎 八咫烏(くろさき やたがらす))、:世界統治機関“ガーディアンフェザー”のエージェント。黒サングラスに黒いスーツで仕事をしっかりこなす。“拘束(バインド)”のデイライトガン『サタメント』のガンナー。黒服Aが、希の担当

・一 望ver.2.0:“一 希”(元の“一 望”)のヴァージョンアップ版。デイライト居住エリアで主人公と交代で生活。
(第33話にて更新)
希に代わって“喫茶店『望名』”のマスターを第32章直前まではやっていたが、第32章時点で到着した希に代わっている。最強のデイライトガン、“抹消銃・デリーター“のガンナー。草薙達に対して暗躍して、ガーディアンフェザーの乗っ取りを画策。最も危険な人物となっている。

・志奈津 蛭子(シナツ ヒルコ):ガーディアンフェザー所属のガンナーで韋駄天のごとく足が速い。疾風スキルを有する彼女専用のデイライトガンである『疾風銃・シナトベル』の使い手。少々(?)派手な姿で、一見して企業所属のガンナーに見えない。かなりキレやすい。

・平 与一(タイラ ヨイチ):ガーディアンフェザー所属の狙撃専門のガンナーで、デイライトガン“狙撃銃『ナスーノ』”の使い手。自分の位置を特定させないため、SNSへの書き込みで相手へ連絡する癖がある。結構強い。

・八握 脛(やつか はぎ):ガーディアンフェザー“特殊戦術部門チーフ”のガンナーで、自分の所持するデイライトガン“ワイヤー銃『土蜘蛛』”と、自分が遠隔操作する小さいデイライトガン“ワイヤー銃『子蜘蛛』の使い手。自分と対象物を傷つけずに固定し、ターゲットを締め付けて始末する、特殊ガンナー。さて、腕前は?

・ガーディアンフェザー対テロリストチーム:その名の通り、対テロリスト専門の複数名で構成される、デイライトガンというか鎮圧用サブマシンガン“バタピオン”のガンナー部隊。希のデイライト地下街初戦の相手。

・赤穂吉良の助(あこう きらのすけ):ガーディアンフェザーの秘密機関“秘密兵器開発ラボ”の改造人間。デイライトガン、“捕縛銃『ジュエルジェイル』”のガンナー。宝石型の弾丸を障害物に当てることでネットを張り巡らし、相手を捕縛してから宝石弾で銃撃する。

・美佳(みか):喫茶店『望名』のウェイトレスであり、元、希のカノジョ。今は、ver.2.0の相方でガーディアンフェザーのガンナー。魅了銃“リリシアン”と遠隔操作の対の銃“リリミアン”の使い手。相手の男性を魅了でき、同士討ちを得意とする。
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