寂しがりやな覇王と御使いの兄 改訂版 43話
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劉備と袁紹が決裂、曹操側に付くとの情報は、険しい山岳地帯に位置する益州、巴郡にも届いていた

 

 

桔梗「反連合の盟主【袁紹】の誘いを蹴り、曹操に味方するか。なかなか骨のある人物のようじゃの」

 

現在益州を収めているのは、漢の宗室である劉焉

この劉焉は袁紹の檄文に応じ、洛陽へと乗り込み帝を救出する…なんて考えの持ち主では無く、漢王朝とは別に、益州で独立王国建国の野望を秘めている人物。

現在でも漢王朝の命を聞かず、劉焉に敵対する豪族は自身が選りすぐった【東州兵】を用いて粛清。

 

敵対豪族を討った劉焉の次なる野望は…領土を広げ【皇帝を名乗る事】

 

この機会を耽々と狙っていた劉焉にとって、この反連合は絶好の機会。対外的には帝を助けると軍を興すが、その実態は益州の門【漢中】と旧都【長安】を奪取し、勢力を強大化させる事だった

 

長年好機を待ち続けた劉焉の動きは素早く、益州きっての名将【張任】と【李厳】を先鋒とした軍をすぐさま漢中に差し向け、敵対していた張魯を滅ぼし長安への足掛かりを掴んでいた

 

 

張翼「桔梗様、張任と李厳が漢中を陥落させたと報告がありました。劉焉も漢中へと向かっているそうです」

 

桔梗「漢中が落ちたか。成都の守りはどうなっている」

 

張嶷「冷苞、楊懐、高沛、呉蘭、雷銅と兵2万とのこと我らを警戒しての配備と思われます」

 

巴郡を収める桔梗は現政権には反抗的であり、そんな態度が気に入らない劉焉と度々東州兵を派遣しているのだが、益州一の武を誇る桔梗や、桔梗の配下である張翼、張嶷の知勇に阻まれ、ことごとく退けられている。

成都の守りの堅さは、桔梗をかなり警戒しているのだと読み取れる

 

桔梗「向かってくる敵を撃退するだけならば、地の理を生かして戦う事が出来るのじゃが」

 

張翼「こちらが攻城側、それも成都を落とすとなると…将兵共に足らないでしょう」

 

劉焉が勢力拡大の好機なのと同時に、桔梗達も成都を奪取するには絶好の機会には違いないのだが、どうやって守りの堅い成都を攻略するかの妙案が生まれない。

 

桔梗が採れる進軍経路は主に二つ。

一つ目は成都の北に位置する梓潼郡に向かい、葭萌関を落とし劉焉の退路を封じ、梓潼→綿竹関→成都へと迫る経路。

二つ目は江州から真っすぐ西進し成都を目指す経路

 

一つ目の経路は葭萌関、綿竹関を奪取に成功すれば成都は丸裸同然なのだが、天然の要害である葭萌関、綿竹関を攻略しなければならないので、成都へはかなりの日数を要するうえに、葭萌関攻略で時間がかかれば漢中・成都からの挟撃される危険が生じる。1つ目の経路はメリット、デメリット共に大きすぎる故に一か八かの進軍経路

 

二つ目は、道中に要害は無く一本道であるが、梓潼や綿竹関からの救援も来る可能性を考慮すると、攻略は時間と

兵力の消耗との勝負になるだろう

 

 

一つ目は挟撃、二つ目は兵力差。どちらも一長一短なのでどちらの進軍経路を採択するか判断が苦しい。そんな時、桔梗はある人物の名が出ていない事に気が付いた

 

桔梗「そういえば、先ほど法正の名が出ていなかったが、奴はどうしているのだ」

 

 

法正、字は孝直

史実では卓越した智謀の持ち主で、劉備に仕えた将の中で最も軍略に優れたと言われる、さらに法正が他者より優れていた点は、相手の性格を読み切る事が出来る洞察力。劉備が益州、漢中を奪取出来たのも、夏侯淵を打ち取る事が出来たのも、法正の功績が大きい

 

そんな法正を劉備は重用し、意固地になった時でも彼の言葉はすんなりを聞き入れるるほどの親密な仲。それを証明する出来事と言えば、夷陵の戦い敗戦後に諸葛亮が言い放った、「ああ、もし法正殿が生きていれば殿を止められただろう。仮に止られなくてもここまでの敗北は無かっただろう」からも読み取れる。

 

事、軍事面において、劉備と水魚の交わりと言われれば【法正】の名が挙がるだろう

 

 

 

それほどの才覚を秘めた法正の行方が解らないと、今後の行動に大きく支障をきたす可能性が高い。そう不安視する桔梗の下に、一人の男が姿を現した

 

 

「私を呼びましたかな、厳顔殿」

 

桔梗「お主、法正か!なぜここに居る!」

 

 

姿を現したのは話題となっていた、法正その人である。

急に姿を現した事に驚き、なぜ現れたのか問いただすが、当の法正は飄々とした姿を崩さず、淡々とその問いに答えた

 

法正「なぜとは随分な物言いですな。私は厳顔殿と同じく、”かの英雄”をこの益州に招く為にこちらに参ったとだけ言っておきましょう」

 

 

かの英雄

 

張翼と張嶷はこれを指す人物が解らず首をかしげるが、桔梗だけの表情が強張る。

法正の言う人物と、桔梗が主にと仰ぐ人物は一致している。そこだけで見れば、何も問題はないのかもしれないが、なぜ誰にも面識があると話していないのに、法正には知らせているか

 

法正「そう怖い顔しないで欲しいですね。あの方が天水に居座るまでの経路と、私は”かの英雄”としか言っていないにも関わらず、厳顔殿は一瞬視線を背けた。これでは面識があると言っているようなものですよ」

 

 

法正は確信を得るために、あえて桔梗に揺さぶりをかけたのだ。その揺さぶりに一瞬だが動揺した心境を見逃さない

 

 

桔梗「ええい、わしの負けじゃ。お主の言う通りじゃ」

 

張翼「あの、桔梗様。法正とのお話に挙がっている【英雄】とはだれなのでしょうか」

 

 

桔梗と法正のやり取りが終わったとみるや、蚊帳の外だった張翼が誰の事を話しているのかを質問する。桔梗は遅かれ早かれ話す事にはしていたので、隠さずに話し始める

 

桔梗「わしと法正の指す人物は、現在天水の太守となっている【呂珂】じゃ。以前この巴郡を旅している時に、たまたま語り合う機会があっての。いつかは呂珂殿に益州を任せたいと思っていたのだ」

 

張嶷「あの・・・呂珂ですと!?」

 

幽州代郡での黒山賊の殲滅、汝南で山越軍を蹴散らし、天水では韓遂・西羌連合軍を撃破など、武勇伝には事欠かない人物。張翼、張嶷共に武人として【呂珂】の勇名を尊敬している。その人物が巴郡に来た事がある…これはどうしても聞き逃せなかった

 

張翼・張嶷「桔梗様!」

 

二人から鬼気迫る勢いで近寄られ、流石に呂珂を擁立するのには反対か・・・?と桔梗は思ったが、二人が言いたい事はそこではない

 

 

張翼・張嶷「「なぜその時に私たちを呼んでくださらなかったのですか!!」」

 

反対されるかもと身構えていた桔梗は、二人の言葉を聞いて思わずズッコケてしまった。反対ならば説き伏せる!と意気込んでいた気合いを返せと言いたい気分だろう

 

桔梗「呂珂を向かい入れる事に反対ではなく、合わせなかった事が不満なのか」

 

 

当たり前です、むしろ向か入れる事には大賛成です、っと言わんばかりに肯定の意を示している二人に桔梗は何か言いたそうにしているが、今は時間が惜しい。二人への突っ込みを入れたい衝動を堪え、法正を交えて軍議を再開する

 

桔梗「何はともあれ、反対意見がないのと法正が味方なのは僥倖。お主たちの知勇期待しているぞ」

 

 

 

 

益州最強の武人【厳顔】、大陸屈指の軍略家【法正】、益州を代表する知勇兼備の名将【張嶷】【張翼】

 

 

劉焉の野望を打ち砕く為に、益州の民の明るい未来への為に立ち上がった

 

 

 

 

 

 

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改訂版7話まとめて投稿となりました。

基本的なルートはそのままにしつつも、結構細かい所を書き直してるので違った見方ができるとは思います?

もしかしたらですが、最終回の展開も変えるかもしれないです

 

 

改訂版は結構進んでいるのですが、アフターと新たな英雄の方が全く進まない・・・

時間が無いとかではなく、話が思いつかずに停滞してる感じです。

思いつけば一気に進められるんですけど・・・

アフターと英雄の方を待っている方がいらっしゃいましたらすみません。。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
立ち上がる益州の喧嘩士
7話分投稿しましたので、前回の続きはこちらからになりますhttp://www.tinami.com/view/861232
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コメント
寂しがりやシリーズはもう無いのかな?残念なのです(金傘@だるな)
いつも楽しみに読ませて貰ってます。今後も色々あると思いますが、あまり無理せずに自分のペースで頑張ってください。(聖龍)
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