異能あふれるこの世界で 第二話
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【大阪・末原家】

 

恭子「部はもう引退。いくらかは顔を出せるっちゅうても、練習は現役中心のもんになる。空気読まずに顔出しまくっても、実力の伸びは悪いやろなあ」

 

恭子「進路は大学。けど、問題はどこを選ぶか。まあ、麻雀部があるとこなのは決まりとしても……」

 

恭子「ああ、推薦って手もあるか。麻雀でもええし、勉強の方でもええ。私の希望と合う推薦さえ取れたら……」

 

恭子「そうやな。半年くらいは好き勝手できる、っちゅうことになる」

 

恭子「いっそ進路相談から始めた方がよさそうやな。推薦取れそうなとこ聞いて、行けそうな大学のレベル決めて、行きたい大学絞り込んで……」

 

恭子「あんまり勉強で無理したないもんなあ。同じ無理すんなら麻雀の方でやるわ。いっそ、個人でどっかの大会にでも出てみるか?」

 

恭子「まあそんなんより、姫松の大将としてインハイ準決勝まで行ったって方がええか。いらんことして負けてもうたら化けの皮剥がれてまうし」

 

恭子「インハイか……実際あの場で打ってみて、つくづく身に沁みたわ。あの異能どもには、どうやっても勝てる気がせん。あの対局を百回繰り返しても勝てんかもしれん。それくらいの差……ってよりも格の違いを感じたわ」

 

恭子「凡人でもあんなんに勝てる方法でも編み出さんと、私の麻雀に先が見出せんようになる。格の違いは承知の上で、それでも向かっていくためには……今までやってきた情報収集や分析なんかは継続するとしても、凡人が他にできることってなんかあるんかな」

 

恭子「姫松での部活は自分なりに頑張ったつもりや。けど、全国で団体戦の大将やるには実力不足が過ぎた。二人の監督にもよう世話になったのにこれって……もう、なにやったらええかわからんな」

 

恭子「ゆーか、まず私自身の目標を決めなあかんか。大学行くにしても、インカレで勝ちにいくんか、それとも部に縛られんと実力上げにいくんか」

 

恭子「強豪の大学選んで下積みから始めるんか、そこそこの大学選んで最初からレギュラーを狙うんか……」

 

恭子「ブレたらあかん。大学は4年あるちゅうても、実績を残すためには最低でも2年半くらいで強ならなあかん。3年の後半には有名選手に成り上がっとかんと……」

 

恭子「ああ、わからんくなってきた。私は麻雀で何になりたいんや?」

 

恭子「勝ちたいってだけやない。麻雀でどうなりたいんか、5年後10年後にどういう姿でいたいんか……」

 

恭子「……」

 

恭子「イメージするんや」

 

恭子「……」

 

恭子「ここ、人生の肝かもしれんな」

 

恭子「……」

 

恭子「考えるんや。頭回して、この先きめるで」

 

恭子「……」

 

恭子「一流でなくてもええ。そこそこでええから、プロとしてやっていきたい」

 

恭子「主将とも本気で戦いたい。負けるやろけど、たまには勝って悔しがらせたい」

 

恭子「姉帯とか宮永の妹とか、あいつらもプロ行くんやったら今度は勝ってやりたい」

 

恭子「ネリーとか獅子原とか、次にいつやれるかわからんけど、その時が来たら勝ってやりたい」

 

恭子「というか、私に勝った奴らみんなに勝てるようになりたい」

 

恭子「結果勝てんくっても、次は勝つって思えるようになりたい」

 

恭子「強く、強くなりたい……強なって、私は自分を――――」

 

 

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 麻雀 末原恭子 

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