真・恋姫無双〜魏・外史伝26
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第十二章〜今再び、君の元へ・後編〜

 

 

 

  下図、前回のあらすじを一つ絵で表したもの。

  題名「散々自分を振り回してきたねずみをやっとの思いで捕まえ、優越に浸る猫の図。」

  

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  一刀と華琳が、無事陳留にて再会を果たしていた頃・・・。

 

  ビュンッ!!

  どこからともなく放たれた火矢が一軒の家を打ち抜く。

 そして矢の火はすぐさまに家に燃え移る・・・。

 しかし、そこに気弾が叩き込まれ、火は一瞬にして消火される。

  「楽進将軍!東地区の火が強く、消火に移れません!!」

  「分かった。ならば、ここはお前達に任せるぞ!!」

  「「「はっ!!!」」」

  凪は真桜、沙和と共に街の各地で発生する火事の消火に回っていた・・・。

  「あ、凪ちゃん!こっちなの〜!」

  凪を見つけた沙和は大きく手を振って、凪を呼び寄せる。それに気づいた凪は沙和に駆け寄って行く。

  「沙和!どうした!!」

  沙和が指を指す方向に、凪は目をやる。その先には家が消火が遅れ、すでに半焼している家があった。

  「この家の中に逃げ遅れた人がいるみたいなの!」

  「分かった!私が先陣を切る!!沙和、私の後に!!」

  「うん、分かったの!!」

  凪は再び、右拳に気を込める。

 そして、家の玄関に気弾を叩き込むのであった・・・。

 

  ここ、魏の洛陽・・・、つい数刻前までは平穏であったはずの街が、今ではあちらこちらにて黒煙を上げ、

 街中を人々が逃げまどい、消火に回る者や、人々の避難の先導に回る者・・・そして、街で暴れる所属不明の

 武装集団と戦う者がいた・・・。

  「ちょおりゃぁぁああああ!!」

  「どぉおおりゃぁぁああああ!!」

  ブウウゥゥゥウウンッ!!!

  ボオオォォォオオンッ!!!

  季衣と流琉が一撃を放つ。

  「っ!?!?」

  「っ!?!?」

  その一撃によって、敵はあさっての方向に吹き飛ばされるのであった。

  「季衣、流琉っち!」

  馬に乗って二人に近づいてくる霞。

  「霞ちゃん!」

  「霞さん!」

  「何や連中、猿みたいにあっちこっちにすばしっこく動いてやりづらいったらありゃせんわ!」

  「うん、さっきから全然当たらないよ〜・・・。」

  「そっかぁ・・・。春蘭達はどないしとん?」

  「春蘭様は秋蘭様と一緒に、北地区で交戦しています!凪さん達は風さんの指揮の元で火事の消火に!

  稟さんは住民の誘導をしているはずです!」

  「春蘭秋蘭は北地区にいるんやな?なら、うちは南地区を回って見るか?」

  そう言って霞は馬をさっき来た方向の反対へと走らせた。

 

  「はあああああああっ!!!」

  ブゥンッ!!!

  「っ!?」

  春蘭が振り下ろした斬撃が敵を斬り倒す。

  「・・・くそぉ!次から次へと・・・一体どこから湧いて出て来るのだ!?」

  何処からともなく現れる所属不明の敵、街の外からではなく街の中から忽然として現れ、街を襲撃する

 ・・・。一体どういった手段で街に誰にも気取られず、侵入したのか?

  「夏侯惇将軍!現在、中央地区が襲撃され、被害が出ているとの事です!夏侯淵隊もすでに中央に向かっています!」

  「何だと!?一体いつの間に!?・・・よし!急ぎ中央に下がるぞ!!」

  「「「応ーーーっ!!!」」」

  

  「凪ぃ、大変や!!今中央の方が襲撃くらって被害が半端無いって報告が入ったで!!」

  消火、住民の救助に当たっていた凪と沙和の元に、新たな情報を持ってきた真桜がその内容を報告する。

  「良し!沙和、ここはお前に任せていいか?」

  「大丈夫なの!任せてなの!!」

  沙和はピースサインを出してそう答える。

  「行くぞ、真桜!!この街を・・・、隊長の街を守り抜くぞ!!」

  「当たり前やろ?隊長がもうじき帰って来るんや!その前に、この街が御釈迦にさせるにはいかへんで!!」

  凪と真桜は急ぎ、中央地区へと向かって行った。

 

  「稟ちゃ〜ん!住民の皆さんの避難はどうなっていますか〜?」

  住民の避難を誘導していた稟の傍に風が駆け寄って行く。

  「風・・・。北と西、東はすでに完了しているけれど、中央と南地区がまだ逃げ遅れた者達がいる!

  南地区には霞殿達がいるから問題無いと思うけど、中央区は今・・・。」

  「中央は恐らく洛陽の街で一番危険な区域ですからねぇ・・・。春蘭ちゃん達や凪ちゃん達も向かって

  はいますが、・・・敵の方達も良く調べたものなのですよ。こちらの警戒網を見事かいくぐり、なおかつ

  こちらの戦力を程よく分散させられてしまいました・・・。」

  「敵の狙いは、中央のこの国の中枢・・・。華琳様が不在だった事が不幸中の幸いでしょうか?」

  「とはいえ、戦力が薄くなっていた所に総攻撃されては中央区は大打撃を免れませんねぇ。・・・我々

  だけで果たしてどこまで持ちこたえられるか。」

  風の顔に一瞬、不安がよぎった・・・。

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  「がはっ!!」

  「ぎゃああっ!!」

  洛陽・中央地区・・・。大通りにて攻防戦が展開していた。

 しかし、攻撃しては退却するという見慣れない攻撃に兵士達は対応しきれず、苦戦を強いられていた・・・。

  「はぁぁあああっ!!!」

  ブゥンッ!!!

  春蘭が敵に放った一撃は空を切る。目の前にいた敵は、その異常な飛躍力で家の屋根に足を付けた。

 そこにすかさず別の敵が春蘭に攻撃を仕掛けていく。

  「何のぉっ!!」

  春蘭はその攻撃を剣で切り払うと、そこから斬り返すが、またしても回避されてしまうのであった。

  「くそぉっ!!さっきからこちらの攻撃が当たらない・・・!」

  春蘭は攻撃が敵に見事なまで避けられ続け、焦りを見せ始めていた。

  「姉者!!無事か!!」

  そんな所に妹の秋蘭が現れる。彼女を姿を見たからか、春蘭の顔から焦りが消える。

  「秋蘭!・・・何なのだ奴等は!五胡なのか?それとも正和党か!?」

  「分からん。・・・ただ、以前呉の領地にて目撃された白装束の者が率いていた武装集団と酷似している

  が・・・。」

  「春蘭様!秋蘭様!!」

  そこに凪と真桜がやって来る。

  「凪、真桜!!お前達も来てくれたか。消火の方はどうなっている?」

  「はっ。消火は一通り完了しました。沙和に指揮を任せています。」

  「そうか。では凪、お前は我々と共に敵の撃退を。真桜は後方の桂花と合流して、桂花の指示に従ってくれ!」

  「はっ!!」

  「了解や!!」

  そして、真桜は後方へと下がって行く。

  「よし!秋蘭!凪!行くぞ!!」

  

  「春蘭ちゃん達が頑張ってくれているおかげで、住民の皆さんの避難も順調のようですねぇ〜。」

  「ええ。・・・しかし、奴等は一体如何な手段を用いて・・・この街に侵入したのだろう。ねぇ、風?」

  「ぐぅ〜・・・。」

  「このような時に寝るな!」

  稟はビシッと寝ている風に突っ込みを入れる。

  「おぉ・・・!ここ最近、眠る間も惜しんでお仕事していたせいでつい・・・。」

  「それは私とて同じですよ。」

  「まぁ、それはともかく。五十万の五胡が押し寄せて来た時以降、人の出入りを厳しく取り締まったり

  と、不審者の警戒は厳重にしていました。」

  「そう、確かに・・・警備隊の数も通常の倍以上の数を動員し、不審者の取り締まりを徹底させてきた。

  今回の五胡の侵攻は、向こう側に情報を流す協力者によってそれを許してしまった。その協力者を炙り

  出すために、三国の情報網に様々な工作などを施して、情報漏洩を最大限抑えてはきた。」

  「情報の制限をして、その上で情報が五胡の人達に流れてしまった場合は、制限がなされていない所と絞る事が

  出来るというわけですがぁ・・・。」

  「協力者と思しき人物が、この魏領内にいる事まで絞る事が出来た。しかし、そこから先への糸口すら

  見つけられないでいる。魏の中で怪しい人物はしらみつぶしに当たっては見たが、どれも的を得た結果は

  得られませんでした。・・・となると、協力は魏の中の者でない、外部の人間となってしまう・・・。」

  「ここにいる人間であり、なおかつここにいない人間・・・。まるでとんちの類ですねぇ〜・・・。」

  風は溜息とつくとふと、空を見上げる・・・。

  「・・・そこで止むを得ず、魏領内の警戒態勢を強化し、協力者を炙り出すという強引な手段をとった

  わけだけど・・・。その上で、五胡とは別の・・・正体不明の武装集団の暴動を許してしまうとは・・・。

  ひょっとして連中こそ、その協力者なのか・・・?それとも全くの無関係なのか・・・?

  風、あなたはどう思う・・・?・・・風?」

  稟は風に意見を聞こうとしたが、返事が無い。いつものように寝たふりをしているのかと風を見る。

 だが、肝心の風は寝ているわけでは無く、空を見上げた体勢のまま固まっていた。一体の何を見ているのだろう?

 稟は、風が見上げている先を見た・・・。

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  別の頃、春蘭達は敵に翻弄されつつも、戦況を押し返しつつあった・・・。

  「よおし!その調子だ!!そのまま一気に連中をしとめるぞ!!」

  「「「「応ーーーっ!!!」」」」

  春蘭の檄に、兵士達がそれに合わせ呼応する。とそこに・・・。

  「春蘭!!助けに来たでぇーーー!!!」

  と叫びながら、馬に乗った霞が騎馬隊を率いてやって来た。

  「おお、霞!そちらの方は片付いたのか!!」

  「おうよ!うちにかかればあ〜んな連中・・・、と言いたい所やけど正直かなりきつかったわ。」

  そう言って霞は後ろを振り返る。それにつられて春蘭も後ろを見ると、騎馬隊の兵達は皆血みどろで

  ぼろぼろな姿であった。

  「・・・そうか。お前の隊でも苦戦を強いられたいたのか。」

  春蘭の言葉に、霞は顔を悔しさに歪む。

  「ああ・・・。まるでうちらの動きが読まれているかのように、連中動き回りおってからに。

  こんなん、今までに無かったで・・・!」

  「全くだ・・・。・・・何と言うのか・・・、その・・・こちらが次にどう動くかをすでに分かって

  いるような・・・そんな動きをしよって。まるで我々をおちょくっているかのようだ。」

  さっきまでの戦いを思い出してか、その時の苛立ちが再び顔に現れる春蘭。

  「霞様!ご無事でしたか!!」

  そこに、秋蘭と別行動を取っていた凪がやって来る。

  「おう、凪ぃ!見ての通りやで!!」

  「凪。そちらの戦況はどうなているのだ。」

  「問題は無いさ、姉者。」

  「おう秋蘭!・・・何やぁ、お前も総大将が板についとるやないかぁ?」

  霞はからかうように秋蘭に話しかける。それに対して秋蘭は、軽く鼻で笑い飛ばす。

  「華琳がいなくて、代わりにお前が総大将って聞いた時はちぃとばかり面喰ったが、

  中々のものやないかぁ?」

  「・・・まぁ、それでも華琳様には遠く及ばないさ。」

  「何やぁ、謙遜しちゃって・・・。なぁ、凪?」

  と、凪に話を振る霞。

  「はい!秋蘭様の指揮があったからこそ、被害を最小限に抑え、敵の侵攻を食い止める事が出来ました!」

  「ふふっ・・・。褒めても何も出て来んぞ・・・。」

  そう言いながらも、秋蘭は何処か誇らしそうであった。

  「春蘭じゃこうはいかへんやろうな・・・。」

  「ちょっと待て、霞!!それはどういう事だ!?」

  霞を追い詰めて、詳細を求める春蘭。

  「春蘭さまぁーーー!!!」

  自分の名を呼ばれ、すかさずその方向に顔を向ける春蘭。

  「ん?・・・何だ、季衣と流琉ではないか。お前達も手を貸してくれるのか?」

  「あ、いえ・・・その、むしろその逆・・・というか。」

  春蘭の問いに、季衣は困った顔で、いまひとつ歯切れの悪い答えをする。

 そんな季衣に、春蘭は頭に?を浮かべる。

  「どうしたのだ、流琉?そちらで何かあったのか?」

  代わりに秋蘭が、流琉に尋ねる。

  「あ、はい!実は・・・。」

  秋蘭に尋ねられた流琉はそれに答えようとした時・・・。

  「ぐわああっ!!!」「があああっ!!!」「ぶぎゃああっ!!!」

  季衣と流琉が来た方向から複数の叫び声が上がる。それにいち早く反応した季衣はすぐさま後ろを振り返る。

  「やばっ!!もう来ちゃったの!?」

  「来た・・・って、何が来たのだ?」

  「っ!?姉者・・・、どうやらあれの事だろう・・・。」

  そう言って、秋蘭はあれを指差した。

  彼女の指が示す先、そこには常人の倍はあるだろう長身に、五胡のそれとは異なる鎧に身を纏う大男が、

 その手には異様な巨大な剣がが握りしめられていた・・・。

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  「な、何だあいつは!?」

  「今までの奴等とはまるで別格な感じやなぁ。」

  「恐らく、奴こそ・・・敵の総指揮官、という事だな。」

  その秋蘭の言葉に春蘭が強く反応する。

  「では、奴を倒せば我々の勝ちという事か!!」

  そう言うと、春蘭はその敵に向かって突撃していったのであった。

  「春蘭様!!」

  「ちょ!春蘭!!季衣と流琉っちが逃げ出すような相手に突っ込む奴がどこにおんねん!?」

  「姉者!!不用意に近づくな!」

  季衣と秋蘭の静止の言葉など耳を傾ける事も無く、春蘭は剣を振りかざした。

  「はああぁぁあああ!!!」

  ブゥンッ!!!

  春蘭が振り下ろした瞬間、鈍い金属音が大通りに響く。春蘭の剣撃はその大剣を片手に、敵に難なく

 はじき返した。そして、敵に弾き返された剣は春蘭の両腕を背中方向へともっていくのであった。

  「春蘭!!」

  「まさか・・・あの春蘭様の一撃を軽くはじき返すとは。」

  「いかん・・・、姉者!逃げろぉ!!」

  「な・・・、あっ!?」

  秋蘭の言葉に春蘭が気が付いた時には、敵はその大剣を振り払おうとしていた。

  「くっ・・・!」

  ボゥウンッ!!!

  「・・・・・・っっ!!」

  すかざず防御の体勢を取った春蘭放たれた敵の一撃は自分の剣にて喰い止めたが

 その重さまでは受け止める事は出来なかった・・・。

  春蘭の体はなす術も無く、右横の家へと爆音と共に衝突し、家の壁は破壊され、

 そのまま春蘭は家の中へと消えて行った・・・。

  「しゅ、春蘭さまぁーー!!!」

  「ちょ、まじかいな・・・。春蘭を、一撃で・・・!!」

  「姉者・・・、姉者ぁぁああーーー!!!」

  秋蘭は一人、単身で突撃する。

  「ちょっ!秋蘭待たんかい!!一人で突っ込むなや!!凪!」

  「はいっ!!」

  霞と凪は単身突撃する秋蘭の後を追いかける。

 が、他の敵達がそれを許さなかった。二人の進路を遮るように、敵達が立ちはだかったのだ。

  「なっ・・・!?またお前等かいな!?邪魔すんなやぁあああっ!!!」

  霞は偃月刀を振りかざし、そのまま突撃していった・・・。

  「姉者ーーー!!!」

  秋蘭は、春蘭が消えて行った家へと向かう。その先には春蘭を吹き飛ばした大男が立ちはだかっていた。

  「邪魔をするなぁあーーー!!!」

  ビュンッ!!!

  秋蘭は走りながら、矢を数本放った。その大男は自分に放たれた数本の矢を大剣にて薙ぎ払う。

 そしてそのまま秋蘭に横薙ぎを放った。しかし、秋蘭はそれを滑り込むように、横薙ぎの下をかいくぐった。

 大男が放った一撃は空を切り、隙が生じる。それを見逃す事無く、秋蘭は矢の一撃を放つ。

  ビュンッ!!!

  「ッ!?!?」

  その矢は大男の左肩を刺し貫き、大男はその場に膝を折る。

 秋蘭は家の中を確認すると、奥の方で倒れている春蘭の姿を見つける。

  「姉者!」

  秋蘭は家の中へと入ると、すぐさま春蘭の元へと駆け寄って行った。

  「姉者!姉者っ!!目を開けてくれ!姉者ぁああっ!!」

  秋蘭を春蘭の名を呼びながら肩を揺すり続ける。

  「・・・ぅ、ぅう・・・しゅ、しゅう・・・らん?」

  「姉者・・・!」

  意識を取り戻した春蘭を見て、安著する秋蘭。だが、春蘭の顔が一瞬にして青ざめる。

  「秋蘭!!」

  「?・・・っ!?!?」

  春蘭を青ざめさせたもの・・・、秋蘭の後ろに立っていた大男であった。

 だが、秋蘭は春蘭に気を取られ過ぎていたため、後ろの大男に気が付かなかった。

  「が・・・ぁ、あっ・・・ぁあ・・・!!」

  秋蘭が後ろを振り返ろうとした瞬間、大男の手が彼女の細い腰を乱暴に掴む。

 秋蘭は腰をしっかりと掴まれ、逃げる事が出来なかった。秋蘭はすかさず手に持っていた弓・餓狼爪の鋭く

 とがった先端で自分の腰を掴む手に刺す。すると、その痛みからか大男は掴んでいた秋蘭を振り払うかの

 ように投げ飛ばした。秋蘭は壁にぽっかりと空いた穴から再び外へと飛び出すと、地面をごろごろと

 転がっていった・・・。

  「しゅ、秋蘭・・・ぐぁっ・・・!!」

  春蘭は立ち上がろうとするが全身に痛みが走り、思うように立ち上がれなかった。

 大男はそんな春蘭に目をくれる事無く、投げ飛ばした秋蘭を追いかける。

  「ぐ・・・、ぅうぅ・・・ぁあっ!!」

  秋蘭は地面に打ち付けた体の痛みに顔を歪ませながらも何とか起きあがろうとする。

 そんな彼女を大きな影が覆い尽くす。それに気が付いた秋蘭は顔を上げていく・・・。

 そこには、直立不動の大男が大剣を携え、こちらを見下ろしていた・・・。

 秋蘭は餓狼爪を探すが・・・、それはちょうど大男の後ろに落ちていた。

 そして大男の大剣がゆっくりと・・・振り上げられる。

  「あかん!!もう間に合わん!!」

  「秋蘭様!!」

  「秋蘭さまぁああ!!」

  「秋蘭様ぁぁあああっ!!」

  「しゅ、秋蘭ーーーーーーっっ!!!」

  彼女達の声は、秋蘭の耳には届かなかった・・・。

  秋蘭の脳裏に、一人の青年の姿がよぎる・・・。

  二年前、彼に救われたこの命・・・。ここで尽き果てるのか・・・。

  ―――北郷っっ・・・!!!

  ボゥウンッ!!!

  大剣が振り下ろされた瞬間、彼の名を心の中で叫んだ・・・。

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  ガッゴォオオッ!!!

  「「え・・・?」」

  「なっ・・・。」

  「なんやて・・・?」

  「あれは・・・。」

  「まさか・・・。」

  そこに居合わせていた者達は、目の前で起きた事が理解出来ず、一瞬時が止まったか

 のように思考が停止した。そして、彼女達の視線は一人の人物に注がれていた。

  一方、敵は・・・何故か後ろに倒れていた。

 そして・・・、秋蘭の、彼女の目の前にいたのは・・・。

  「大丈夫か・・・、秋蘭?」

  「お、お前は・・・。」

  呆然とする秋蘭。そんな彼女を確認しようと、後ろに目をやる。

  「・・・待たせたな。」

  「・・・北郷。」

  懐かしい・・・彼の横顔を見て、秋蘭は彼の名をつぶやいた。

説明
 こんばんわ、アンドレカンドレです。
暑い日が続きますね〜。でも今日は比較的過ごしやすかった
ですね。夏休み中に全てを書き終えようって休み前は思って
いたりしていましたが・・・、さすがにそれは無理じゃね
と思い至ってしまった僕・・・。

 今日は、第十二章・後編。許昌で一体何が起きたのでしょうか?全24章構成予定のこの魏・外史伝。ここが切り返し地点となります。残り半分、一体どのような物語が綴られていくのでしょうか?

 そんなこんなで真・恋姫無双〜魏・外史伝〜第十二章
〜今再び、君の元へ・後編〜をどうぞ!!
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コメント
Daisuke_Aurora_0810 さん、感想コメントありがとうございます。ぶっちゃけた話、この章のヒロインは秋蘭ですwww(アンドレカンドレ)
あまりにもヒロイックで王道的な一刀の登場と、それをあえて後姿で魅せるアンドレカンドレさんの筆力・画力に脱帽です。 てか、この一刀はあまりにもカッコよすぎだろうw この一話だけでもう秋蘭がメイン・ヒロインにしか見えないw (Daisuke)
ただ今改訂前の作品を1話から読ませて頂いておりますが、目に見えて画力が向上していて見ていて気持ちがいいですね。そして26話の一刀の後姿を見て「おおっ!」と思わず声に出してしまうほど感動し、これはもう感想をつけるしかあるまいと思い、レスをさせて頂いた次第。(Daisuke)
なんて登場の仕方!これが主人公補正w(haruto)
ナイスタイミングできましたねwww(brid)
秋蘭の拠点が見たくなってきましたww(悪来)
Poussiereさん、報告感謝します!!(アンドレカンドレ)
一刀・・・・・・・カッコ良すぎwwwwwwwwwwww  やばいな・・・・カッコ良すぎで一刀が一刀で無いように見えるぜw 次回も愉しみです^^w(Poussiere)
誤字 3p目  凛は風に意見を聞こうとしたが & 凛は、風が見上げている先を見た・・・。 稟の間違い・・・。(Poussiere)
誤字ー 2p目  住民の避難を誘導していた【凛】の傍に風が駆け寄って行く。  稟の間違いですね。(Poussiere)
一刀カッコェ!・・・でも何か一刀の姿に違和感があるような?(スターダスト)
ちょっとなにこのすばらしいほどのヒーロー気質!!これだれでも落ちるだろ!!(motomaru)
ヒーローは遅れてやってくる!(cielo spada)
いいところでやってくるな、この色男め!!(キラ・リョウ)
一刀カッケェ…。(ぬこ)
かっちょえぇ!!まさにヒーローな登場だぁ!(摩天楼銀河)
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