マイ「艦これ」「みほちん」EX 第2話『不安』
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「着水の許可が下りません!」

 

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マイ「艦これ」「みほ3ん」(第参部)

 EX回:第2話『不安』

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 ここはブルネイ泊地の上空だ。やはり気温は高いく湿気もある。

 

 機内の艦娘たちも長旅の疲れだろう、かなりダレている。あとの半分は寝てる。仕方ないよな。私はハンケチで汗を拭きつつ手元の資料をめくった。

 

 ブルネイ泊地:公用語はマレー語で英語もいける……って? 日本語はダメってことか? やれやれ……いざとなったら金剛に頼るしかないのかなあ。まあ泊地の中、鎮守府の敷地内なら大丈夫かな。

 

 改めて窓から覗く。ガントリークレーンが見える。その辺りが鎮守府らしい。

しかし、さっきから同じ景色だ。

 

「あれ?」

 そこで私は気付いた。何をくるくる旋回し続けているんだ? 

気になったので前の操縦席へ移動する。

 

 そこには軍本部から技術参謀に従って操縦してきたパイロットがいる。通信担当は美保鎮守府の寛代だ。ただ操縦席の雰囲気は妙に緊張している。何かトラブっているようだな。

 

「どうした?」

 私は聞いた。

 

機長は振り返って答える。

「司令……実は着水の許可が下りません」

「はあ?」

 

副操縦士も応える。

「はい、先方が認識コードが一致しないの一点張りで、埒が明きません」

 

私は呆れた。

「なんだ? 我々が行くという情報が相手に伝わってないのか?」

 

「分かりませんが」

 

私は一計を案じた。

「構わん、緊急事態コードで通せ。こっちは日の丸付きの大艇だぞ。誤コード如きで、いきなり撃ち落されはしないだろう」

「了解」

 

 機長は寛代に目配せをする。彼女はパネルを操作して、ぶつぶつとマイクで何かを喋りながら緊急事態信号を送信したようだ。

 

 暫く上空で旋回を続けていた大艇だったが、程なくして向こうから「受理」の信号が返ってきた。操縦席は安堵に包まれた。

 

「では着陸態勢に入ります」

「うむ」

 機長は操縦桿を倒した。私はその様子を確認した後、自分の席に戻ってベルトを締める。

 

 ふと見ると、あの怖い技術参謀様は気が付いたようだ。ハンケチで口を拭いながら密かに照れ隠しをしている。その仕草は、妙に女性っぽくって少しだけ見直した。

 

 だが見てないと思うなよ。何かあったら青葉の秘蔵写真が出動だぞ。何気なく振り返ると青葉がブイサインをしている。良いぞ。

 

 あとは現地に降りるだけか……私は改めて二日前の出来事を連想していた。

 

 事の発端は一昨日、艦隊司令部からの指令文書だった。今日訪問するブルネイ鎮守府との艦隊模擬戦に参加するように……との指示が来た事だ。

 

 私は訝(いぶかし)んだ。そもそもナゼ地方の弱小鎮守府が、いきなり海外なのか? しかも、この時期か?

 

 すべて分からないことだらけだった。

 

……とはいえ軍隊なんて末端が、いちいち作戦理由など考えはしない。上から来た命令には従順に従うまでだ。

 

 弱小な美保鎮守府の艦娘なんて、誰を選んでも五十歩百歩だからな。くじ引きをする以前に私は独断で勝手に決めた。お盆休暇を取ったメンバーを中心にして海外遠征隊を組織したのだ。 遠征部隊は長時間行動を共にする。だから気心が知れている方が良いだろう。あはは、安直だったかなあ。

 

 でも艦娘たちからも特に異論も出なかった。本当は利根を入れたかったけど……実家での日向との絡みもあるからな。念のために利根は外した。

 

 そうこうしているうちに機体はブルネイ泊地へと着水した。その衝撃で、ほとんどの艦娘が目を覚ました。寝ぼけ眼(まなこ)で辺りを見回している。お前らは本当にのん気で良いよなあ。逆に羨ましいとさえ思うぞ。

 

 結局、道中ずっと目を開けていたのは、やはり祥高さんと日向。惜しかったのは、あの怖い技術参謀……気絶してたもんね。

 

 金剛姉妹は、さっきの変な電気ショックで気分が悪そうだ。夕立は「おえっ」とか言ってたよな。ほとんど全滅か?

 

「あらぁ〜、お祭り?」

龍田さんは窓の外を見て楽しそうだ。うちの主軸で元気なのは日向と龍田さんだな。

 

 私も窓から改めて外を見た。向こうには煉瓦造りの鎮守府本庁舎が見える。同じ海軍だからな。基本的な造りはどこも同じようなものか。

 

だが、なぜ岸壁や敷地の至る所に屋台が立ち並んでいるのか?

 

 ……ちょっと考えて私は合点がいった。

 

模擬演習ってのは何かのイベントの一環として行うわけなのだ。それなら多少は気楽か?

 

 無線マイクを外しながら機長が言う。

「直接、接岸は出来ないようです。いま先方から内火艇が迎えに来ます」

 

「そうか」

それでも私には、なぜか「敵地」に乗り込むような変な緊張感がずっと消えない。

 

 同じ海軍のはずなのにずっと妙な違和感い……海外だから? いや、違うな。こういう悪い直感ってのは私の場合なぜか、よく当たる。出来れば外れて欲しい。

 

 直ぐに船が近づく水の音がした。内火艇か……。

 

『ガコン』と言う感じの音がした。来たな。

 

すると航空戦艦が立ち上がる。

「全員、スタンバイ!」

 

 私は言った。

「日向……初っ端から、かっ飛ばさなくてもいいよ」

 

ちょっと、はにかんだ日向。

「いえ……私の性分ですので」

 

「そうか」

私は思った。お前も以前より変わったよな。明るくなったというか。

 

「んしょ!」

重そうなバックを持ち上げる青葉さん。

 

「カメラとかレンズとか重そうだね」

私が言うと彼女は苦笑する。

 

「最近、筋肉付いちゃって〜」

「そおか? フットワークは相変わらず軽いけど」

 

「えへへ」

 最近はムードメーカーな青葉さんだ。

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第参部」の略称です。

説明
提督たちの乗った二式大艇は、何とかブルネイ泊地に到着。しかし司令は、なぜか不安が消えないのだった。
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艦娘 艦これ 艦隊これくしょん 美保鎮守府 二次創作 「みほちん」 ブルネイ 

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