恋姫外史医伝・華陀と一刀 五斗米道の光と影 第30話
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計画の全容が伝えられた後、霊亀と応竜は山小屋を出ていき、その場には麒麟と鳳凰が残されていた。

 

「・・・・・・あやつらは放っておいてよろしいのですか?」

 

「?」

 

「霊亀の殺し損ねた華陀、卑弥呼の事です」

 

「ふむ」

 

「霊亀を退ける技量を持つ卑弥呼という男。そして華陀といえば・・・・・・」

 

「会った事は無いが、五斗米道でも稀有な才能を持つ人物と聞いているな」

 

「生かしておけば、我々にとって邪魔な存在となるやもしれません。そうなる前に・・・・・・」

 

「捨て置け」

 

「で、ですが・・・・・・」

 

「霊亀でさえ仕損じるような者達をどう倒すつもりだ?我々の勢力は決して大きくはない。動かせる人間は限られているぞ」

 

「応竜も動かせばあるいは・・・・・・」

 

「もしも二人が・・・・・・いや、どちらか一人でもやられたらどうする?有能な幹部を失い、天師道の活動にどれほどの支障が出ると思っている?」

 

「・・・・・・」

 

「奴らの動きを監視し、邪魔になりそうなら足止めで十分だろう。いかに華陀が名医でも、死人を生き返らせる事は出来ないのだからな」

 

「は、はい」

 

「それで、奴らは今どうしている?」

 

「はっ!どうも五斗米道の本部へと向かっているようです。我々に対抗する為に手を借りようというのでしょうが、今頃五斗米道は・・・・・ふふっ」

 

 

 

 

そう言って、鳳凰はいやらしい笑みを浮かべるのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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その頃、華陀は卑弥呼と共に五斗米道の本部へと辿り着いていた。

 

「ほう。ここが五斗米道の総本山」

 

「ああ。ここに来るのも久しぶりだ・・・・・・行こうか」

 

「うむ」

 

歩を進める華陀と卑弥呼。

 

建物の中に入り、途中で出会った顔見知りに挨拶をしつつ、二人は総帥の部屋の前までやってきた。

 

「失礼します」

 

華陀と卑弥呼が部屋に入ると、そこには立派な白髭を蓄えた一人の老人の姿があった。

 

「ほう・・・・・・」

 

細身ではあるが、その全身は無駄なく引き締まっており、卑弥呼はおもわず感嘆した。

 

「おお、華陀ではないか。帰ってきたのか」

 

「お久しぶりです総帥」

 

総帥に向けて頭を垂れる華陀。

 

「頭を上げよ。そちらの御仁はどなたかな?」

 

「お初にお目にかかる。私は卑弥呼と申すもの」

 

総帥に対し礼を尽くし頭を下げる卑弥呼。

 

「彼は共に旅を続けている仲間です」

 

「そうか。実に屈強な肉体をしておる。相当の剛の者とお見受けするが・・・・・・」

 

「何の。貴方こそその引き締まった肉体。相当やるでしょう」

 

「いやいや、わしはただの少々筋肉質な老いぼれ医師じゃよ。ほっほっほ」

 

「はっはっは」

 

どうやら意気投合したようで、互いに笑いあう卑弥呼と総帥。

 

「総帥。実は緊急の話があって戻ってまいりました」

 

「ほう。話してみよ」

 

「はい。実は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

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華陀の話を聞き、総帥は大きなため息をついた。

 

「そうか。お主らその場におったのか・・・・・・」

 

「その口振り、もしやこの件を知っておられたのでは?」

 

卑弥呼の言葉に頷く総帥。

 

「おぬしらが来る少し前に天師道を名乗る投書があったのじゃ。そこにはこの乱れた世の中を正すという天師道の目的、わしらと袂を分かった者達を皆殺しにしたことが書き綴られ、最後に五斗米道を存続させたいなら我らの邪魔をするなと言う脅迫文と死人の手が添えられておった。すぐにわしは幹部たちを集めて緊急会議を開いた」

 

華陀と卑弥呼はふと、殺された人々の埋葬中に、顔がグシャグシャに潰され、手を切り取られた死体があった事を思い出した。

 

「わしは五斗米道を悪用する者達を野放しにしておく訳にはいかぬと、総力を持って天師道とやらを止める事を提案した。じゃが、反対する者が予想以上に多くての」

 

「な、何故!?」

 

声を荒げる華陀を手で制し、総帥は話を続ける。

 

「脅迫に屈したんじゃよ。天師道を率いているものは相当頭の切れる男らしい。出て行った者達の中には五斗米道の中でも武において五指に入る猛者もいた。送りつけられた手はそやつのものじゃった。戦意喪失してもおかしくはあるまい」

 

「・・・・・・」

 

「今もまだ動くべきか動かざるべきかで揉めておる。この混乱が天師道とやらの狙いじゃろうな」

 

大きくため息をつく総帥。

 

「華陀。お主は助力を求めてきたのじゃろう。残念じゃが、五斗米道本部の者達はまだ動かせん。この足並みの揃っていない状態で強引に動かそうとすれば、内部から崩れていくじゃろう」

 

「・・・・・・話は分かりました。しかし、私は天師道のやる事をただ黙って見ている事は出来ません。一戦交えている以上、敵と認識されているでしょうし、何としてでも奴らの野望を阻止してみせるつもりです。行こう卑弥呼」

 

そう言うと華陀は総帥に一礼し、卑弥呼と共に部屋を出ようとする。

 

 

 

 

「・・・・・・華陀よ。すまぬ」

 

 

 

 

総帥の謝罪を背に、華陀と卑弥呼は五斗米道本部を後にするのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

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どうも、アキナスです。

 

大きな組織ほど混乱を引き起こしやすい・・・・・・という事ですかね?

 

さて、そろそろ一刀の現状でも書きますか。

 

では、また次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント
実力と智謀を備えたやつほど面倒極まりないなぁ(未奈兎)
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外史 北郷一刀 恋姫†無双 真・恋姫†無双 

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