真・恋姫†無双〜江東の花嫁達〜(流)
[全2ページ]
-1ページ-

(流)

 

 穏やかな風がベンチの上で眠っている老女を包み込んでは離れていく。

 

 遠い旅を終えようとしていた老女はゆっくりと閉じていた瞼を開けて夜空を見上げていく。

 

 屋敷の中では賑やかな声が聞こえてきていた。

 

 かつて一時代を築いた者達の大半は彼女を一人遺して彼女達が愛する男のもとで過ごしており、彼女を知る者はごく僅かになっていた。

 

「長い夢ね」

 

 自分がこうして生きている事すら夢のように感じる日々。

 

 老女はかつてこの身を強く抱きしめ愛してくれた温もりを未だに忘れる事などなかった。

 

「まったく……」

 

 気が付けばいつも自分ばかりが待たされるのような気がしてならなかった老女は思わず愚痴りたくなった。

 

 数十年という月日は老女を孤独にさせることはなかったが、寂しさを感じさせていた。

 

「一人でいるなんてつまらないわ。だからさっさと迎えに来なさいよ」

 

 いつまで自分を見世物にされていることが不愉快でならなかった。

 

「絶対に文句いってあげるから覚悟しておきなさいよ」

 

 杯に酒を注いでいく老女は何十年たっても変わらない不敵な笑みを夜空に浮かべた。

 

 彼女の望む味を失った酒はゆっくりと喉へ流れていく。

 

 一気に呑み干した老女は空になった杯へ再び酒を注いでいく。

 

 だがそれを持つことはなかった。

 

 ただ、誰かに呑んでもらおうと用意しているように見えた。

 

「文句を言われたくなかったらさっさとここにきて私が注いだ酒を呑みに来なさいよ」

 

 再び瞼を閉じて老女は屋敷の中から聞こえてくる笑い声に耳を済ませていく。

 

 彼女達が遺していったものがそこにはあったが、今更、自分が出て行くようなことでもないことを知っていた。

 

 いつしか鼻歌を歌っていく。

 

 今も愛している老女がこの世でただ一人、本気になれた男。

 

 彼のためなら何でも出来た。

 

 同時に彼女をもっとも美しくもっとも儚い華として遺していった。

 

「愛しているわ、今もずっと……」

 

 老女は酔いが回ったのか、ベンチにもたれるようにして眠っていった。

 

 その表情は穏やかなものだった。

 

 風は穏やかに老女を包みそして離れていった。

-2ページ-

(座談)

 

水無月:これを書いている時、明日試験だよ〜っていう状態です。当然、今日の投稿は奇襲作戦です!

 

雪蓮 :まぁあなたらしいわね。それよりも試験は大丈夫なの?

 

水無月:なんとか!

 

雪蓮 :まぁその試験が終わればいよいよ本格的に最終章ね。

 

水無月:そうですね。何とかここまで来れたのは皆様のおかげだと思っています。

 

雪蓮 :そういうわけだから最終章もよろしくね♪

 

説明
いよいよ最終章開始です。
長かったこのお話もこの第三期で最後です。

そして一刀と雪蓮の運命も一つの終わりを迎える事になります。

全ての愛し愛される人、これから愛し愛したい人達へ送ります「江東の花嫁」シリーズ最終章の前置きです。

最後までどうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
20105 15594 147
コメント
雪蓮は老いても綺麗なんでしょうね(ロックオン)
いよいよ最終章ですか。なんだか感慨深いですね(cyber)
munimuni様>なんとか頑張ってきました。(><)(minazuki)
クォーツ様>ありがとうございます。それは雪蓮かどうかは皆さんの想像の中でお願いします。(^^)(minazuki)
Poussiere様>ここからは全力でいきたいと思います♪(minazuki)
jackry様>督促状!?(minazuki)
cielo spad様>ありがとうございます。(><)(minazuki)
キラ・リョウ様>テストがようやく終わりましたので頑張っていきます♪(minazuki)
フィル様>雪蓮の想いはきっとありふれたもの何よりも大切な物だと思いますね。(^^)(minazuki)
まーくん様>人間というのは大きいようで実はちっぽけなものですね。(minazuki)
龍威旋様>いつもありがとうございます。(><)(minazuki)
tess様>はじめまして♪ヽ(´▽`)ノ最終章頑張っていきます♪(minazuki)
村正様>いよいよクライマックスです!(minazuki)
nanashiの人様>ありがとうございます。(><)(minazuki)
トーヤ様>そういっていただけると嬉しいです。(><)(minazuki)
お寿司様>誤字報告ありがとうございます。(><)(minazuki)
motomaru>(ノω`)人生の終着点のように思えますね。(minazuki)
テストと両立大変だと思いますが頑張って下さい。今回の老婆は雪蓮なのでしょうか? 次作期待(クォーツ)
いよいよ、最終章 さぁ、どうなるか愉しみだ! @テスト頑張って下さいw(Poussiere)
クライマックスだー!作品もテストもがんばってください!(cielo spada)
続きがはやく見たいです。   テストもがんばれぇ!!(キラ・リョウ)
いよいよラストですか。雪蓮は何を思うのか?期待して待ってますw テストー、ファイオー!!!(フィル)
やヴぁいwなんか惚れたwww悠久の時の流れの中の人は本当にちっぽけなものです。例え存在はちっぽけでも思いは無限大ですね(まーくん)
毎回、更新を楽しみにしながら読ませて頂いております。試験ガンバです!(龍威旋)
初コメ。最終章に期待大です!雪蓮カワイイヨ(´Д`//)♪テストもふぁいとぉ!(tess)
クライマックスですね!この前置きがどー絡んでいくか期待です♪テスト(,,゚Д゚) ガンガレ!(温泉まんじゅう)
いよいよクライマックスに向けて走り出すか・・頑張れ! ・・・テストモナー^^(nanashiの人)
自分が雪蓮の近くでこの様子を見ているような気がして良い文章だと思った。(トーヤ)
誤字:一時代を「気づいた」 ではなく一時代を「築いた」ですね(お寿司)
なんかウルッときた(motomaru)
タグ
真・恋姫無双 恋姫無双 恋姫 

minazukiさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com