真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三??†無双』 其の六十八 冥琳A
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第二章  『三??†無双』 其の六十八 冥琳A

 

 

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん) 六歳

 

本城 孫呉館 冥琳自室            (時報:桂花八人目 妊娠三ヶ月)

【冥琳turn】

 

 すっかり夜も更け、窓の外には満天の星空と秋の虫の声。

 仄かな明かりを灯した私の寝室では娘の冥龍が小さな寝息を立てている。

 私にしがみ付く様に眠る小さな姿は、つい先程まで妹が私の胎内に宿ります様にと一生懸命にお祈りをしていた。

 口には出さないが、雪蓮が懐妊した冰蓮を羨ましく思っているのが判る。

 約束もしているし私も出来るだけ一刀たちから子種を貰う機会を逃さない様にしていたのだが………明日は赤一刀が来る日だ。

 今までとは攻め手を変えてみるつもりだ。

 懐妊には一刀たちの気分が関わっている可能性も有るというのが丞相室の纏まった見解だ。

 皆も色々と策を講じている様だが、今の所は音々さんと音々音以外まだ芳しい成果が出ていないのが現状だ。

 この日の為に準備もしてある。

 実験の意味合いも強いので、果たして成果が得られるか………いや。

 堅苦しい事は考えずに楽しませて貰おう♪

 

 何より冥龍が父親との楽しい思い出を作れる様に♪

 

 

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房都 本城 北郷学園初等部

【冥龍turn】

 

「きょうは赤??が冥龍のところにくる日だね♪」

「うん♪今日は何してあそぼうかなぁ♪」

 

 冰蓮が教室に入ってくるとまっすぐわたしの所にきて言いました。

 冰蓮はかかさまに赤ちゃんがきてくれるとわたしも金桂ちゃんのお家にお引越するから、それを待ってます。

 わたしも冰蓮といっしょにいたい。

 それに金桂ちゃんのお家にお引越すると朝から聖刀ちゃんに会える♪

 

「あっ♪ととさまとあそぶより冰蓮みたいにいっしょにお祈りしなきゃ♪」

「それじゃあ桂花媽媽にぎしきのおねがいしにいかなきゃ♪」

 

「ちょっと待って!冥龍!冰蓮!」

 

「「え?」」

 

 蓮紅お姉ちゃんの大きな声にわたしと冰蓮は驚いてふり返りました。

 なんだかまっ赤なお顔をしています。

 

「「どうしたの、蓮紅お姉ちゃん?」」

「ええと………その…………」

 

「冥龍。冰蓮。桂花媽媽は柊ちゃんのお世話で大変なんだからダメよ。」

 

 今度は眞琳お姉ちゃんに言われました。

 大きなお声じゃないけど、蓮紅お姉ちゃんよりなんかこわい……。

 

「えーっ!?なんでーー!冰蓮ははやく冥龍も金桂お姉ちゃんのお家でくらしたいのにーーっ!」

「冰蓮ちゃん。桂花媽媽がたいへんなのは毎朝見てるでしょ?」

「香斗お姉ちゃ?ん……」

「香斗の媽媽は桂花媽媽にぎしきしてもらわなかったけど、ちゃんと赤ちゃんきてくれたよ♪」

 

 不満そうな冰蓮に香斗お姉ちゃんは笑って言ってます。

 

「それにね♪音々媽媽に教えてもらったんだけど、??がきたからって夜ふかしして遊んでもらわずに、ちゃんと早くねると神さまがいい子にしてたごほうびに赤ちゃんをさずけてくれるんだって♪ねえ♪金桂ちゃん♪」

 

 香斗お姉ちゃんが金桂ちゃんを見ます。

 でも、金桂ちゃんはなんか困ってる?

 

「う、うん………えっとね、わたしの媽媽って??たちにキビシイでしょ。だけどね、本当はナイショなんだけど、他の媽媽達がいないところではやさしくしてるの♪わたしは??たちがもっと媽媽を好きになってくれるように、??たちと媽媽がお話しできるように銀桂たちをねかせてわたしも早くねるようにしてるんだ♪」

 

 金桂ちゃんはすぐに笑顔になってそう教えてくれた。

 

「そうなんだぁ………うん!わたしも今夜は早くねて神さまにいい子だってみとめてもらう!」

 

 ??とあそべないのは残念だけど、かかさまに赤ちゃんが来てくれる方が大事だもん!

 

「ほら席に着けーーー!朝の学級会を始めるぞっ!」

 

 白蓮先生が扉を開けて教室に入ってきました。

 わたしたちは急いで自分の席にすわります。

 

「みんな、おはようっ♪」

『『『おはようーございます!』』』

「今日も全員揃ってるな♪それじゃあ昨日の試験の答案を返すぞ♪眞琳、蓮紅、愛羅、嵐、金桂、冥龍♪満点だ、偉いぞ♪」

 

「「「「「「はーい♪」」」」」」

 

 これを見せたらととさまほめてくれるかな♪

 

「香斗、烈夏、宴。もうちょっと頑張れよ。」

「「「は?い………」」」

 

 香斗お姉ちゃんはニコニコしてて気にしてないみたい。

 でも、烈夏お姉ちゃんと宴ちゃんは青い顔してる………媽媽に怒られるんだろうな………。

 

「それと冰蓮…………」

「はーーーい♪」

 

 白蓮先生がすごいこわい顔してるのに、冰蓮ったらまるで気づいていないで笑ってる………。

 

「これは算数の答案用紙でお絵描きの試験じゃないっ!」

 

 白蓮先生が見せた答案用紙いっぱいに猫の絵がかいてありました。

 

「え?っ!?かわいくかけてるのに??!」

 

 冰蓮ったら全然反省してない。

 帰ったら雪蓮媽媽におこられるってわかってないな、これは………。

 

 

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本城 孫呉館

【赤一刀turn】

 

 今日の仕事を終えて後宮に行った後、俺は冥琳の部屋を目指していた。

 

「冰蓮にも困ったもんだ。雪蓮のお腹が大きくなって嬉しいんだろうけど、ハシャギ過ぎだな。雪蓮は冰蓮を捕まえるのがいい運動になるなんて笑ってたけど……」

 

 そんな独り言を言いながら冥琳の部屋の前までやって来た。

 さて、雪蓮と冰蓮の相棒は私生活ではどんな変化があるのか。

 

「おーい、俺だけど。入ってもいいか?」

 

 ノックをして声を掛けると中から直ぐに冥龍の返事が聞こえて来た。

 

「ととさまっ♪」

 

 扉を開けて冥龍が可愛い笑顔を見せてくれた♪

 うんうん♪これだけでも天に昇る気分になるよ♪

 あれ?

 

「冥龍、新しい服だな。」

「うん♪かかさまが買ってくれたの♪」

 

 そう言って冥龍は嬉しそうにしながらも、少しはにかんでいた。

 新しい服だけど特別おめかししている訳では無い。

 言ってしまえばとても普通も服だ。

 

 俺の元居た世界ではだが。

 

 胸に大きくキ〇ィちゃんのプリントがされたピンクのTシャツと赤いミニスカート。

 この世界ではまだまだ珍しい服ではある。

 

「可愛いぞ、冥龍♪さすが俺と冥琳の娘だ♪」

「わあ♪ありがとー、ととさまっ♪」

 

 俺の胸に飛び込んで来た冥龍をしっかり抱き締める。

 

「わたしこの木亭ちゃんが大好きなの♪二刃叔母さまが考えてくださったから♪」

「あ、ああ…………そうだな?………」

 

 二刃が子供達の為にと描いた絵が見事に受けて、今は徐々に巷へと広がりつつある。

 著作権が及ばない外史とはいえ二刃…………程々にな………。

 

「冥龍、ととさまへ先に言う事が有るだろう。」

 

 奥から冥琳の声がして姿を見せた。

 その冥琳もいつもの服ではなく………サマーセーターにロングスカート、シンプルなエプロンを身に着けている。

 

「「お帰りなさい、ととさま♪」」

 

 冥龍の肩に手を置き、微笑む冥琳。

 俺が思い描く極一般な家庭のイメージそのまま………いや、冥琳の姿は俺の母さんと同じ格好だ。

 

「た……ただいま………」

 

 俺は思わずそう口にしていた。

 

「冥琳………その服は………」

「二刃に見立てて貰った♪…………どうかな?」

「……ああ………とても似合ってるよ……冥琳………」

 

 冥琳は返事の代わりに優しい微笑みを浮かべる。

 それがまた母さんと重なって見えた。

 身長は冥琳の方が高いし、胸の大きさに至っては正反対だが………。

 

「丁度食事の用意が終わった所だ。話は食べながらゆっくりしよう♪」

 

 俺は冥琳に誘われるままに食卓へ着き、並べられた料理にまた驚かされる。

 

「ハンバーグだあ♪わたし大好き♪」

 

 冥龍が手放しで喜ぶ。

 その姿が今度は幼い頃の二刃とダブった。

 

「ははは♪冥龍はハンバーグが好きか♪俺も大好きだぞ♪」

「ととさまも?だったらかかさま!わたしにもハンバーグの作り方教えて!」

「はいはい♪次は一緒に作りましょう♪だから早く食べて♪冷めてしまうわ♪」

 

 冥琳が滅多に口にしない女性らしい口調。

 基本雪蓮に対してしか使わないが、周りに人が居るとまず聞く事は無い。

 でも待てよ?冥龍の話し方はこっちに近いな。

 普段二人だけの時はこの話し方なのか。

 母さんも道場の時と普段じゃまるで違ったな。

 服とハンバーグは意図した物だろうけど、こういった普段の習慣はそうはいかない。

 ヤバいな………懐かしさと幸福感で涙が出てきそうだ………。

 

「ねえねえ、ととさまっ♪わたし算数の試験で百点だったのよ♪」

 

 冥龍は俺に見せたくてポケットにしまってあった答案用紙を広げた。

 

「おおっ!スゴいぞ、冥龍♪これはご褒美をあげないとな♪」

 

 俺が頭を撫でるとくすぐったそうに目を細める。

 

「お前たちは本当に子供達に甘いな。冥龍も無理なお願いをしては駄目よ♪」

 

 そんな事言ったって可愛いんだからしょうが無いじゃないかっ!

 二年前に冰蓮に『大嫌い』と言われた時のショックは二度と味わいたくないんだよ!

 

「かかさまはととさまがわたしばっかりほめるからヤキモチをやいてるのよ♪ちゃんとかかさまの作ったハンバーグをほめて♪」

「あ、そうか!うん、美味いよ、冥琳♪」

「そんな取って付けた様に言われても嬉しくないぞ。」

 

 さすがに憮然とした顔をされてしまった。

 でも何だろう?いつもなら恐い顔が今日はどこか可愛く見える。

 

「この味付け、二刃に教わっただろ♪母さんのハンバーグと同じ味がする♪ありがとうな、冥琳♪」

 

 これで冥琳は許してくれたらしく笑顔になった。

 

「上手く出来ていたか………良かった♪」

「このハンバーグ………ばばさまの味なんだ………」

 

 冥龍は箸でつまんだハンバーグをしげしげと眺めている。

 奇跡でも起きない限り会う事の無い祖母を思い浮かべているんだろう。

 俺も懐かしい母さんの味に冥琳の愛情の籠もったハンバーグを良く噛み締めて食べたのだった。

 

 

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 食後の一服も会話と笑顔が絶えない温かな空気に包まれていた。

 

「そろそろお風呂に入りましょう♪」

「うん♪」

 

 冥琳がそう言うと冥龍は椅子から立ち上がった。

 

「ん?どうした?一刀も入るんだぞ?」

「へ?俺は二人が上がるのを待つんじゃ……」

「ええ?!?ととさまも一緒に入ろうよ?!みんなで入る時は一緒に入ってくれるのに?!」

「いや、冥龍………あのね……」

 

 確かに月に何度かは子供達と風呂に入る。

 その時に母親達も入るのだが、臨戦態勢にならない様に意識を父親モードにして維持するの大変なんだよ?

 

「冥龍だってもっとととさまと話がしたいんだ。お風呂の時間だって勿体ないよね、冥龍♪」

「うん!もっとお話したい!」

 

 俺は慌てて冥琳の耳に口を寄せて囁く。

 

「(俺、冥琳の裸をみて反応を抑える自信ないぞ!)」

「(頑張って隠せ♪)」

 

 そう言って微笑んだ冥琳は俺の手を引いて部屋を出ようとする。

 冥龍も一緒になって俺の手を引くので振り払う事も出来ず、そのまま孫呉館の風呂に引っ張られてしまった。

 結局押し切られるままに脱衣場にやって来ると、早速冥琳は冥龍の服を脱がせ始める。

 

「ほら、お前も早く脱いで冥龍を入れてやってくれ。」

「お、おう………」

 

 まあ、娘を風呂にいれるのは慣れているので問題は無い。

 そうだ!これはいつもと同じなんだ!

 と、自分に言い聞かせる事にしよう………。

 

「ととさま、早くー♪かけ湯してあげるー♪」

「ああ、お願いな♪」

 

 娘に笑顔で言われると条件反射で相好が崩れちゃうな。

 すっぽんぽんにも拘わらず何の恥じらいも無い無邪気な笑顔は正に妖精だ!

 この子を邪な目で見る奴がいたら俺自らの手で八つ裂きにしてくれるっ!

 具体的にはインテリの事だが!

 

「ととさま、マジメなお顔になってるけど、どうしたの?」

「え?ああ、ごめんごめん♪冥龍を悪魔の手から守るぞって心に誓ってたんだ♪」

「ととさま、かっこいいーー♪」

「はっはっは♪任せなさいっ!先ずはお湯で冥龍をバイ菌から守るぞーーーー♪」

 

 湯船から手桶でお湯を掬って足先からかけてやる。

 初めは熱がったが、直ぐに慣れて全身を流してあげられた。

 

「次はわたしの番ね♪」

 

 冥龍が小さな手で頑張ってお湯を掬いお湯をかけてくれた♪

 

「ととさま、手ぬぐい取ってくれないとちゃんとかけられないよー!」

「えっ!?こ、これは取っちゃダメ!」

「どうして?」

 

 困ったぞ………冥龍は頭が良いから下手な言い訳は混乱させる。

 眞琳と蓮紅と烈夏も最近は隙あらば見ようとするし…………まだ男女の事を知るのは早いとパパは思うんだよ!

 

「なんだ、まだ入っていなかったのか。」

 

 って!何でこのタイミングで入って来るの?冥琳っ!せめてタオルで体隠してえっ!

 

「さあ!冥龍!早くお風呂に入ろうなあっ!」

 

 冥龍の脇の下に手を入れて一気に体を持ち上げ湯船に入れる!

 俺の手拭いで隠した部分から視界を外し、冥龍を風呂に入れ、しかも冥龍は久々に高い高いをしてもらって喜んでいる!

 一石三鳥の一手だ!

 

「さっきととさまが格好いいと聞こえたわよ♪何をしてたの?」

「ととさまがわたしを守ってくれるって♪」

「ははは♪そうか♪うん、ととさまは格好いいのよ♪」

 

 冥琳が膝を着いてかけ湯をしながら笑っている。

 そんな色っぽい姿を見せないでくれ!

 反応しない様に抑え込むのもほぼ限界なんだから!

 

「ととさまはね…」

 

 そう言って俺の腕を引き………俺と冥琳で冥龍の左右になる様に風呂に導いてくれた。

 

「私にも同じ様な事を、冥龍が生まれるずっと前に言ってくれたのよ♪」

「へぇ?♪」

「冥琳も雪蓮も絶対に死なせやしないっ!って、ね♪」

 

「えっ!?ちょ、それはっ!」

 

 あれは炙叉の親父さんが羌族を率いて攻め込んで来た時の話だ。

 自分達が死んでも孫呉が大丈夫な様にって蓮華とシャオを建業に戻すと言い出した時の………さすが冥琳の記憶力!じゃなくて!

 

「それを今、冥龍に教えるのっ!?」

「良い機会じゃないか♪なあ、冥龍♪私はととさまのあの時の言葉が有るから、今こうして冥龍と一緒に居られるのよ♪本当なら私は冥龍を産むずっと前に病気で死んでたの。」

 

「え?…………………」

 

 冥龍がこれまでに見せた事の無い顔で驚き、母の顔を見上げた。

 

「駕医先生が治療をしてくれたけど、駕医先生も本人に生きる気力が無いと治らなかったって言ってたわ。その、生きる気力をくれたのがととさまの言葉と……」

 

 冥琳はそっと冥龍の肩を抱いて顔を寄せる。

 

「絶対に冥龍を産んで育てるんだって思う事だったのよ♪」

「……………かかさま…………」

 

 冥龍は自分がどれだけ冥琳に愛されているか、心に染み込んだに違いない。

 冥龍の手が冥琳と俺の手を握る強さでそれが伝わって来た。

 

 その後、冥琳が冥龍の体と髪を洗ってあげる姿を、俺はとても穏やかな気持ちで見守る事が出来たのだった。

 

 

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 風呂から上がった俺達は部屋に戻って一息着く。

 

「冥龍♪何して遊ぼうか?象棋でも囲碁でも相手になるぞ♪」

 

 まあ、俺が相手になるのは今の内だけだろうな。

 きっと、あっと言う間に俺なんか足下にも及ばなくなるに違いない。

 

「ううん。わたし、もう寝るよ♪」

 

「「えっ!?」」

 

 いつもなら最低でも一局は相手しないと寝ようとしないのに!

 冥琳も驚いているから別に言い聞かせてた訳じゃないみたいだし………。

 

「あのね♪さっきの試験のごほうび、かかさまの赤ちゃんがいいの♪」

 

 冥龍っ!?もしかして眞琳と蓮紅から聞いちゃったのっ!?

 

「眞琳お姉ちゃんと蓮紅お姉ちゃんが…」

 

 ああああああああああああああああああああああああっ!!

 

「早くねると神さまがいい子だってみとめてくれて、かかさまに赤ちゃんをさずけてくださるっておしえてくれたのっ♪」

 

 おおおおっ!眞琳っ!蓮紅っ!お前達は何て良い子なんだっ!

 

「だから、ととさま♪かかさま♪おやすみなさーい♪」

 

 そう言ってパジャマ姿の冥龍は自分の部屋に行ってしまった。

 閉じられた扉を見詰め、俺と冥琳は呆然としてしまう。

 

「…………眞琳さまと蓮紅さまはやはり聡明でお優しく育っておいでだな♪」

「知的好奇心が強すぎる気もするけど………華琳と蓮華の子だし、仕方ないか………」

 

 俺達は顔を見合わせて微笑んだ。

 

「さて、冥龍が部屋に行ってしまったから、私が象棋で一局相手をしてやろう♪」

「え゙っ!?」

 

 それって俺が容赦なくボコボコにされる結果しか考えられないんだけど!

 

「(冥龍はああ言ったがそう直ぐには寝付けんだろう。完全に寝付くまでの暇潰しだ♪)」

「(ま…まあそうだろうけど…………)」

 

 冥琳の暇潰しにボコられるのか…………。

 

「(三十手持ち堪えられたら、今夜は一刀の望み通りにしてやるぞ♪)」

「(何っ!!)」

「(三十手未満で詰んだら私の言う通りにして貰うが、どうだ♪)」

 

 冥琳は母の顔から女の貌に切り替わり、妖艶な笑みを浮かべて俺を誘ってきた。

 

「(乗った!)」

 

 冥琳が俺の気分を盛り上げる為に演出してると理解しているが、ここは有難く乗ろうじゃないか♪

 

 で。

 結果は何とか俺が三十手を凌ぎ切った!

 三十一手目で見事に玉を取られたけど、条件は三十手凌ぎ切る事だからな!

 掛かった時間は一時間弱………さすがに冥龍も寝付いただろう。

 俺がグッタリと卓に突っ伏すと、冥琳は冥龍の部屋にそっと入って行ったが直ぐに戻ってくる。

 

「大丈夫だ♪冥龍は熟睡している♪」

「そうか♪………」

 

 冥琳が俺の両頬を支えてキスをしてきた。

 

「ふぅ……さあ、約束通り今夜は一刀の望みを聞いてやるぞ♪」

「それじゃあ………」

 

 俺は椅子から立ち上がり、冥琳の肩を抱いて寝室へ向かった。

 

 

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【冥龍turn】

 

「んにゅ………なんの音だろ……………?」

 

 なんだかパンパンって音がして目がさめました。

 

「ととさまとかかさまが神さまにお祈りしてるのかな?」

 

 どんなお祈りをしてるのか見たくて、わたしはベッドからおりて、お部屋を出ました。

 

「冥琳っ!」

「一刀ぉおおおおおっ?」

 

 突然かかさまのお部屋からととさまとかかさまの声が聞こえてビックリしました。

 

(あ、トビラが少しあいてる。)

 

 わたしは音を立てないようにゆっくり近づいて、そっと中をのぞいてみました。

 

(かかさまがエプロンしてる…………ととさまは…………ねてる?)

 

 どうやら一足おそくてお祈りは終わってしまったみたいです。

 

「愛してるよ、冥琳♪………子供、出来てるといいな………」

「これだけ注いで貰ったからな♪」

 

(やっぱりお祈りしてたんだ♪………あ!早くねないと神さまがいい子だってみとめてくれない!)

 

 わたしは急いでお部屋にもどり、ベッドに入りました。

 

(神さま!わたしはいい子にしますから、かかさまに赤ちゃんをさずけてください!)

 

 目をつむってわたしもお祈りをしてからねむりました。

 

 

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本城 医務室

【冥琳turn】

 

 赤一刀から子種を貰って五日。

 検診の日がやって来た。

 

「どう?冥琳♪この前の、色々と準備をしてたみたいだけど♪」

 

 付き添いに雪蓮が来てくれて、ニヤニヤと私を肘で小突いてくる。

 

「まあね♪…っと、駕医の準備が終わったからまた後で。」

 

 何か言いたそうな雪蓮を置いて、駕医の前に一歩踏み出す。

 二刃も真剣な顔をして見守る中、駕医の氣がいつもの様に大きくなった。

 

「はぁあああああああああ!母の胎内に宿りし光よ!神の恵みし児の命!我にその姿を示さん!!胎児恵光おおおおおおおおおおおっ!!」

 

 結果は…………。

 

「おめでとう、冥琳っ♪懐妊だっ♪」

 おお!?なんとっ♪

 

「おめでとうございますっ♪冥琳さんっ♪」

 

 駕医の言葉に二刃が空かさず私の手を取った。

 

「ああ、ありがとう、二刃♪」

 

 二刃に礼を言ってから雪蓮に振り向く。

 

「おめでとう、冥琳♪でも、遅いわよっ!」

「冥龍の時はお前に酔い潰されてだったからな。その分じっくりと時間を掛けたんだ♪」

「もう!まだ根に持ってたの!?」

「当たり前だ♪今回は酒を一滴も入れてないしな♪」

 

 私と雪蓮の遣り取りを、二刃は不思議そうにみている。

 これは二刃には言えんな。

 冥龍の時は酔い潰れた私と一刀たちがした時だなんて知ったら、間違い無く一刀たちが二刃にボコボコにされるだろうから♪

 

「先ずは一刀たちに報告だ♪それから冥龍を学園まで迎えに行くか♪」

 

 今回の実験報告を丞相室にも提出しなければな♪

 

 私は二刃と駕医に再度礼を言ってから雪蓮と共に皇帝執務室に向かったのだった。

 

 

 

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あとがき

 

 

改めまして、明けましておめでとうございます。

 

1年8ヶ月ぶりの三??†無双はいかがでしたでしょう?

【おまけ肆】娘からの質問〜??をどうして好きになったの?(冥琳・冥龍)

こちらも含んだ形でお送りしました。

 

戦国恋姫三人の御遣い二十七のあとがきにも書きましたが、おまけはそれぞれ独立した形で投稿します。

合わせましてリクエストの募集を終了いたしました。

 今までいただいたリクエストを先ずは書き切る事が大事だと思いましての決断ですのでご了承お願い致します。

 

 

《次回のお話》

 

次回の三??無双は

 

☆二喬A        24票

 

と、なります。

 

《現在の得票数》

鈴々B        23票

真桜A&凪A&沙和A(三羽烏)

           22票

紫苑B        21票

麗羽A&斗詩A&猪々子A(三バカ)+白蓮

           21票

華琳C        15票

雪蓮B&蓮華B&小蓮B15票

音々音B       12票

音々B        12票

炙叉A        10票

ニャン蛮族B     10票

桔梗A         8票

明命A&亞莎A     7票

風A          6票

季衣B&流琉B     6票

春蘭A&秋蘭B     6票

華雄A         4票

張三姉妹A       3票

祭A          3票

璃々C         3票

桂花C         2票

思春B         1票

 

 

【子供達一覧】

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀ツ(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 ?仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 ?信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽?(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八?(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀?(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 ?宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂j(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄(阿猫)の長女 華剛(かごう) ?莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀?(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真?(ましん)

48)桂花の四女 荀(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文?(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘?(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)美以の次女 孟鉄(もうてつ) 仁亜(にあ)

69)トラの次女 キジ

70)ミケの次女 タマ

71)シャムの次女 ソマリ

72)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

73)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)

74)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)

75)翠の次女  馬承(ばしょう) 駿(じゅん)

76)恋の次女  呂空(りょくう) 恋々恋(れみ)

77)音々音の次女 陳蕃(ちんはん) 韵(いん)

78)音々の三女 陳嶺(ちんれい) 唯音(いおん)

79)小蓮の次女 孫翊(そんよく) 美蓮(めいれん)

80)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

81)秋蘭の次女 夏侯覇(かこうは) 恵蘭(けいらん)

82)月の次女 董旻(とうびん) 有明(ゆうみん)

83)詠の次女 賈訪(かほう) 探(たん)

84)蓮華の次女 孫慮(そんりょ) 蓮火(れんふぉ)

85)季衣の次女 許定(きょてい) 春季(ちゅんりぃ)

86)流琉の次女 典堂(てんどう) 騾螺(らら)

87)桃香の次女 劉永(りゅうえい) 桃花(とうふぁ)

88)冥琳の次女 周胤(しゅういん) 

B)桂花の九女 荀Z(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀?(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

【その他のオリジナル設定】

北郷二刃(ふたば) 一刀の実妹 字:子盾

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華?(かふ) 真名:祉狼(しろう)

陳越(音々音の母) 真名:音々(おとね)

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(めんふぉん)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張? 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

黄乱 真名:明兎(みんと)

馬良 真名:鷲羽(わしゅう)

馬謖 真名:耶麻(やま)

荀攸 真名:素英(そえい)

魯粛 真名:命佐(めいさ)

董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)

曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)

喬玄(大喬と小喬の母) 真名:玄(げん)

劉玄(桃香の母) 真名:桜香(おうか)

 

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん) 蘿蔔(すずしろ)

鮮卑:軻比能(がびのう) 菘(すずな)

?:千万(せんまん) 芹(せり)

羯:石周(せきしゅう) 薺(なずな)

烏丸:阿羅槃(あらばん) 小鬼田平子(こおにたびらこ)

 

華雄 真名:阿猫(あまお)

高順 真名:杉(すぎ)

徐庶 真名:康福(こうふく)

黄月英 真名:雛菊(ひなぎく)

陳震 真名:菫玲(すみれ)

伊籍 真名:早苗(さなえ)

 

 

 次の投稿は

『北郷二刃奮闘記』

王様ゲーム        5票

の予定です。

 

 

Hシーンを追加したR-18版はPixivに投降してありますので、気になる方そちらも確認してみて下さい。

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7656857

 

 

説明
得票数23 冥琳Aのお話です。

1年8ヶ月の間があきましたが、三??無双本編の再開です。
再開に当たり色々と変更した事が有りますが、ご了承ください。
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コメント
匿名希望さん>ありがとうございます。真名を考える苦労は確かにありますが、それが楽しくも有るんですよ♪(雷起)
初めて読んだけど、真名考えるのに苦労してそうだなww(匿名希望)
味野娯楽さん>ありがとうございます。今年は三国系、戦国系共に頑張りたいと思います(^ω^)(雷起)
緋縅力弥さん>誤字を教えていただきありがとうございます。修正させていただきましたm(_ _)m(雷起)
殴って退場さん>馬家は蒲公英が勝手に教えそうですねw猪々子の場合はまた斗詩の苦労する姿が目に浮かびますwww(雷起)
殴って退場さん>一刀の娘ですからDNAは受け継いでいるので、母親次第でかなりおませさんになりますよねw(雷起)
神木ヒカリさん>種馬皇帝の一刀ですからきっとやりますねwww(雷起)
明けましておめでとうございます。姫初めが冥琳とは嬉しい限りです、一刀や祉狼の活躍が楽しみな一年になりそうですね、ますますのご活躍をww(味野娯楽)
あけましておめでとうございます。元祖・三人の御遣いの「三??」再開で年明けとは嬉しい。ただ、誤字報告を。「金桂媽媽が……」桂花媽媽のまちがいではありませんかね?(緋縅力弥)
長いので続きで、そうなるとそっちの方で、恥ずかしがりやなタイプな翠や凪とか無頓着なタイプな春蘭や猪々子らがこういう事について、どう教育するのかある意味見物だがw。 (殴って退場)
明けましておめでとうございます。今年、最初の姫始めは冥琳か。しかし子供によっては、もうあっちの知識が身についているな。 (殴って退場)
あけましておめでとうございます。なるほど、一刀の気分次第で子供ができるのか。そうすると、聖刀に子供ができても一刀は子供を作りそう。孫より年下の子供、一刀君ならやってくれる!(神木ヒカリ)
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