英雄伝説〜灰の軌跡〜
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〜アルバレア公爵城館〜

 

「ええい、オーロックス砦やルーファス達からの援軍はまだなのか!?」

「…………」

リィン達がバリアハートに突入する少し前次々と報告され続ける自軍の劣勢にいらついているアルバレア公爵は怒りの表情で声を上げ、ユーシスは辛そうな表情で黙り込んでいた。

「ほ、報告!オーロックス方面よりメンフィル軍が奇襲、並びにオーロックス方面でも戦闘が始まりました!以上の事からオーロックス砦は既にメンフィル軍によって陥落したと思われます!」

「!!」

「何だとぉっ!?」

その時兵士が入室して凶報を伝え、それを聞いたユーシスは目を見開き、アルバレア公は血相を変えて声を上げた。

「おのれ……!ルーファスやパンダグリュエルにはまだ連絡がつかぬのか!?」

「はっ、パンダグリュエル、ルーファス様の専用艦共に通信を続けているのですが未だ通信がまったく繋がりません……!」

怒りのアルバレア公爵の問いかけに対して兵士は表情を青褪めさせて答えた。

 

通信妨害をされていないにも関わらず、貴族連合軍の旗艦である”パンダグリュエル”やアルバレア公爵の長男であり、貴族連合軍の”総参謀”であるルーファス・アルバレアに通信が繋がらないのは理由があった。

 

それは貴族連合軍の”主宰”であるカイエン公、更にルーファス・アルバレア共にアルバレア公とカイエン公が主導権争いをする事によって貴族連合軍を内部から崩壊させることを防ぐ為に最初からアルバレア公爵やバリアハートからの連絡を遮断していた事だった。

 

その影響によって不運にもバリアハートの窮地の状況がパンダグリュエルやルーファスの専用艦に届かず、またカイエン公達もメンフィル帝国の侵攻を未だ把握していなかった。

 

「くっ、ルーファスめ……まさか私を切り捨てるつもりではあるまいな!?」

(兄上………)

アルバレア公爵が怒りの表情で声を上げている中ユーシスは辛そうな表情で兄の事を考えていた。

「ほ、報告!西口、東口の防衛部隊の被害が甚大な事になっております!既にバリアハートの防衛部隊の全体の5割が壊滅!このままでは西口、東口共に防衛部隊が全滅し、メンフィル軍がバリアハートに雪崩れ込んで来てしまいます!」

「何だとぉっ!?……くっ、このままでは………ええい、口惜しいが命には代えられん!これより私はバリアハートから離脱する!緊急避難用の飛行艇の離陸の準備を直ちに行え!」

更なる凶報を伝えられて声を上げたアルバレア公爵は唇を噛みしめてバリアハートから離脱する事を決意し、兵士達に指示をした。

「!?父上、まさか我が身可愛さに兵達だけでなく、バリアハートの領民達を見捨てて、御自分だけ逃亡するおつもりですか!?それは四大名門の当主―――いえ、領地を預かる貴族として最も恥ずべき行為です!」

父親がバリアハートから逃亡する事を知ったユーシスは血相を変えてアルバレア公爵に意見したが

「黙れ!貴様は私の言う事にだけ従っておけばいいのだ!――――行くぞ!」

「「ハッ!」」

アルバレア公爵はユーシスの意見を無視し、そしてバリアハートから離脱する為に急いで兵士達と共に部屋を出た。

「…………俺はどうすればよかったんだ………」

アルバレア公爵が部屋を出た後ユーシスは辛そうな表情で肩を落とし

「……ユーシス様、今は生き延びる事が先決です。生き延びさえすれば、いつかバリアハートを奪還できる機会や離れ離れになったクラスメイトの方達とも再会できる機会が必ずあります。ですから、お辛いでしょうがユーシス様もすぐに公爵閣下や私達と共にバリアハートから離脱してください。」

「……………わかった…………」

執事の言葉を聞いて少しの間黙り込み、やがて自身もバリアハートから離脱する事を決めて執事と共に部屋を出た。

「典型的な三流貴族ね〜。息子の方はまともだったようだけど………―――ま、運が悪かったわね。さてと、緊急避難用の飛行艇って言っていたから多分あそこと思うけど、念の為にご主人様達が来る前に確認だけしておきましょう。」

一方その様子を魔術で自身の姿を消して外から見守っていたベルフェゴールは姿を現して呆れた表情でアルバレア公爵達を評価した後アルバレア公爵達が向かう場所を確認する為に転移魔法でその場から消えた。

 

〜バリアハート市・貴族街〜

 

アルバレア公爵達がバリアハートからの離脱行動を始めているその頃、地下水道に繋がっている領邦軍の詰所の地下から地上へと上がったアリサ達が領邦軍の詰所から出て来た。

「まさかかつて捕まった場所の正面から堂々とバリアハートに出てくる事になるなんてな……」

「詰所に誰もいないなんて正直驚きましたね……」

「まあ〜、今バリアハートはメンフィルの挟撃を受けている状況だからね〜。しかも肝心の援軍がいるオーロックス砦も占領されたから今のバリアハートの防衛部隊に詰所に人を残すような余裕がある訳ないよ。」

「けど、こっちにとっては好都合だったね。」

詰所から出て来たマキアスは疲れた表情で溜息を吐き、信じられない様子でいるエマの疑問にミリアムが答え、フィーは静かな表情で呟いた。するとその時複数の何かの音が聞こえてきた。

「な、なに……?この音は……」

「”何か”が近づいてきているようだが……」

音を聞いたエリオットは不安そうな表情をし、ラウラは真剣な表情で考え込み

「!この音は……馬が走る時の音だ……!」

「ええっ!?」

「!あれは……!―――皆さん、すぐに詰所の中に退避してください!」

音の正体がわかったガイウスの答えを聞いたアリサが驚いたその時、何かに気づいたクレア大尉がアリサ達に警告し、警告を聞いたアリサ達は慌てて詰所の中へと入るとシグルーン率いる突入隊が詰所の前を走り去った!

 

「今のはまさかメンフィル軍の別働隊か!?」

「状況から考えて間違いなくそうでしょうね。それにしても騎馬隊で市内に突入するなんて、まるで大昔の戦じゃない……」

シグルーン達が去った後詰所から再び出て来て声を上げたトヴァルの言葉に頷いたセリーヌは呆れた表情で溜息を吐いた。

「今の状況を考えると先程の別働隊の行き先は間違いなくアルバレア公爵家の城館だろうな……」

「別働隊の目的は恐らくアルバレア公達にバリアハートから離脱する暇も与えず、確実にアルバレア公を殺害するか拘束する為かと。」

「それってかなり不味いじゃない!」

「城館にいるユーシスが危ないよ……!」

アルゼイド子爵とシャロンの推測を聞いたアリサとエリオットは表情を青褪めさせた。

「――――いえ、好都合よ!城館もさっきのメンフィル軍の別働隊による奇襲で混乱しているでしょうから、その隙にユーシスを城館から連れ出してバリアハートから離脱するわよ!」

サラはシグルーン達の登場が自分達にとっても好機である事を説明した後アリサ達に指示をし

「はいっ!」

サラの指示に頷いたアリサ達は城館へと急いだ。

 

「なっ!?騎馬隊だと!?まさか北クロイツェン街道とオーロックス峡谷で戦闘しているメンフィル軍は囮か!」

「クッ……絶対にここを通すな――――ッ!!」

アルバレア公爵家の城館前を守っていた見張りの兵士達はシグルーン達の登場に驚いた後、武器を構えたが

「旋月槍!!」

「「え――――ギャアアアアアア――――――ッ!?」」

ペガサスに騎乗したシグルーンによる上空からの奇襲攻撃を受けて絶命して地面に倒れた!

「これより館に突入し、各部隊に別れてアルバレア公爵夫妻を討ち取りなさい!ただし、非戦闘員には決して手を出してはいけませんっ!!」

「オォォォオオオオオオオオオオオオォォォオ―――――――――ッ!!」

シグルーンの号令にメンフィル兵達が雄叫びで返した後それぞれ馬から降りてアルバレア公爵家の城館に突入し、メンフィル兵達やリィン達の突入が終わるのを見守っていたシグルーンは上空から城館を監視し、アルバレア公爵の逃亡を防ぐ為にペガサスを空へと舞い上がらせて城館の上空を飛行しながら周囲の警戒を始めた。

 

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今回の話を読んで予告していた閃陣営がメンフィル陣営の誰とぶつかりあう事になるのか、予想できた方もいるかと思いますwwそれと暁ですがルシオラ、他の人達も仰ってますが原作以上にスタイルがwwその事もあって(勿論性能面でも)リーシャ並みに欲しいですが私は未だゲットできていません……まあ、リーシャの時と違い、推薦状は現在800枚近くありますからいざとなれば最終手段で手に入れますがw

説明
第12話
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コメント
本郷 刃様 まあ、だいたい予想通りかとw ジン様 さすがにサラ達を一人で余裕で戦闘不能は無理でしょう……(冷や汗) リョウ様 まあ、今までの閃の二次創作にはない展開でしょうしね(sorano)
いつも楽しく読ませていただいています。このルートではリィンとユーシス達の立場的に敵同士なので、先行きにハラハラしています(リョウ)
リィン一人でも余裕で戦闘不能にできるからどんな戦闘になるのか楽しみですね^^^(ジン)
リィンとZ組の戦場での出会いが近づいている感じがしますね、どんな風になるか気になります(本郷 刃)
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