Silent Melody
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レスタニアの昼下がりーー

 

「これでよし、と」

 

装備の整理を終え、女性覚者ーーアヤはベッドに腰掛ける。

 

書斎を見れば、彼女のパートナーポーンである青年ーーショウが熱心に読書をしていた。

 

(本当…勉強熱心だなぁ)

 

暇があれば、読書や書き物をしている。

 

『書を読む事も、主の為』

 

以前、ショウに読書は好きか聞いた時の返答。

 

ポーンは覚者に付き従う存在。

当たり前の返答と言えばそれまでだが…

 

(色々見に行きたいとか、意欲的なのよね)

 

自発的な意思を持たない筈だが、最近は要望を言うようになった。

 

感情の表現等も体得したらしく、誰が見ても人と変わらない。

 

(成長は嬉しい…けど)

 

もし彼が

 

私の元を離れて外の世界を見たいと

或いは私以外の別のーー大切と思う人を見つけて

 

私から離れて行くとしたら…

 

「じ…主??」

 

自分を呼ぶショウの声に、アヤはハッとして顔を上げる。

 

「如何された?」

 

?をショウに触れられ、アヤは初めて自分が泣いてる事に気付いた。

 

「あ…」

 

瞬きすれば瞳に溜まった涙が溢れ出し、ショウの手を濡らした。

 

「何処か具合でも」

 

「…から」

 

アヤの声に、彼女の涙を拭うショウの手が止まる。

 

「もしショウが他に大切な誰がを見つけたら…迷わず私から離れていいからっ」

 

そこまで言って、アヤははぁと一息吐く。

 

「…ごめん」

 

ショウの困惑した表情を見て、アヤは俯く。

 

ショウが離れて行くーー

 

考えただけで無性に哀しくて。。。

 

 

本格的に泣きそうになるのを堪えながら、アヤは無意識に?に触れるショウの手を握る。

 

「主への返答になるかは不明だが…ひとつ質問したい」

 

握られた手を握り返しアヤに問えば、アヤは少し驚き頷く。

 

「ポーンに欲は存在しないーーが最近は、主と常に共にある未来を考えてしまう。これが“願う”ということか?」

 

顔を上げれば、ショウの真剣な瞳がぶつかる。

 

「もし世界中の全てが主の敵となろうとも…私は最期までお傍にーー」

 

迷いのない真っ直ぐな言葉。

 

「…ありがとう」

 

ショウの真っ直ぐな言葉と想いに、アヤから更に涙が溢れる。

 

「やはり何処か具合でも?」

 

心配そうにショウがアヤの顔を覗き込めば、アヤは首を横に振り

 

「ショウの言葉がとても嬉しくって…嬉し泣き。嬉しくても涙が出るのよ」

 

クスッと笑えば、ショウは「了解した。」と軽く微笑む。

 

「私は泣き顔よりも主の笑顔が見たい」

 

ショウの指がアヤの涙を拭い去れば、

アヤの表情が完全に笑顔になる。

 

「主のその顔が一番好きです」

 

そう言ってアヤの前に跪き、アヤの手を取る。

 

「っ…」

 

手の甲に口付けられ、アヤの?が赤く染まる。

 

「男性が女性に敬愛の意を示す時は、手の甲に口づけると聞く。」

 

上目遣いでアヤと視線を合わす。

 

「この命尽きるまで、主と共にーー」

 

ショウの視線を受け、アヤは深く頷き

彼の手をきつく握り返した。

 

 

fin.

説明
シーズン2.2締めくくり&舞台裏よく続いた記念で書いてみました。青年ポーン×女性覚者 オリジナル小説。名前は単純に自分とポーンから(笑)サムネイルは私とパートナーポーン2ショットですが、登場人物のイメージになればと(〃ω〃)
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