機動戦士インフィニットストラトスF91
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マルチフォーマルスーツ、インフィニット・ストラトス(IS)が開発され、人類は生活の場を徐々に宇宙に移すとも言われて.....3年、人類は...新しい土地を開拓せず、人類同士での戦いにISを使用するようになった。女性しか扱えないISの台頭により、女尊男卑が進んでいた。イギリスの名門貴族オルコット家当主である、シャロー・オルコットは、女性第一主義を掲げ、私兵クロスボーンバンガードを結成した。

 

 

 

 

 

「セシリー!セシリーッ!!」

 

俺は中学校内を歩き回り、セシリーこと、セシリア・フェアチャイルドを探していた。

 

「もう!何ですの?私は慣れないお母様のドレスに苦戦しているのですけど?」

 

「もうミスコン始まっちゃうよ!」

 

「仕方ないでしょう!」

 

仕方ないって言われても...よし!

 

俺は閃いた...歩きづらいのなら...抱っこかおんぶすればよくね?

 

思いついたら即実行!!!

 

「セシリー!ちょおっと失礼するぜ!」

 

「なっ?!何をするんですの!!」

 

「何って...抱っこ?」

 

「そういう意味じゃありませんの!!」

 

「まぁ、まぁ...さあって、急ぐぞ!!!」

 

「いやあああ....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{次は!我がアナハイム中学の最強のお姫様!セシリア・フェアチャイルドだ!}

 

学校一のイケメンことドワイトがセシリーのコールをした。これなら...間に合う!

 

人並みの近くでセシリーを降ろし、背中を押す。

 

セシリーは悲しそうにこちらを振り向いた。

 

「やっぱり...気乗りしませんわ...」

 

「いいんだよ、美人なら!なんだっていいのっ!」

 

「え、えぇ...?」

 

もう一度背中を押して、人並みに押しやる。

 

歓声が沸き上がる中、壇上にセシリーが立った。番号は11番...今回のtotoの結果は決まったな...これで今月分のリィズのお小遣い分にはなる、ズサァァンッ!!!...な?

 

校舎の上に軍のパワードスーツが落ちてきた...な、な、なんだよ...?

 

そして、

 

あれは...二つ目で、ガスマスク付きの...IS?

 

{我々はクロスボーンバンガード!女性の権利を保障するために参上した!}

 

クロスボーン...バンガード...?

 

{これより、このフロンティア市を、女性のための国コスモバビロニアと建国する!}

 

コスモ...バビロニア?女性のための国?!

 

 

上から今度は軍のISが宣言の声を上げた二つ目のISに突っ込んだ。

 

!!!!.....「「「ああああああああ?!」」」先ほどまでミスコンを見ていた観客の上に、大型のIS、ジェガンが落ちてくる。

 

セシリーは!

 

ステージの方を見る。...セシリー!

 

彼女のドレスのスカートには鉄パイプが刺さっていた。

 

「セシリーっ!」

 

「...シーブック!」

 

「大丈夫、じゃないよな...」

 

「私、一人で大丈夫ですから!シーブックはリィズさんと逃げて!」

 

「そんなわけにはいかないだろうっ?」

 

スカートを引っ張り、鉄パイプから引っこ抜く。

 

「逃げるぞ!」

 

「逃げるってどこへですの?!」

 

「シェルターがある!」

 

「シーブック!」

 

「どうしたんだよ、ドワイト?」

 

「そんなのんきなこと言ってられないんだよ!ここらへんのシェルターは満杯で、入れないんだ!」

 

「それってホントの話か?」

 

「あぁ...」

 

「まずいよ、それは...」

 

「とりあえず、街外れの戦争博物館のシェルターが開いてるかもしれないって、親父が言ってた。」

 

「港の海軍基地のお偉いさんか...」

 

「とりあえず、1度家に帰ってから、もう一度集合しよう!」

 

「わかった。30分後に!」

 

「ああ!」

 

「分かりましたわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドワイト...どうだった?」

 

ドワイトや、道中で出会ったアーサー達がシェルターを探しに行き、外で見張っていると...ドワイトが戻ってきた。

 

「だめだ...ロイ将軍ってやつは、シェルター自体を埋めちゃってたんだ。」

 

「どうする?」

 

「港に行くしかない...沖には、軍の艦船が来ているらしい。」

 

「わかった。でも、アーサーは?」

 

他に出会った友人たちの姿は見えても、アーサーだけが見つからない。

 

!!!

 

パワードスーツ?違う!戦車だ!

 

出てきたのはパワードスーツの胴体に、下半身が戦車の奇妙な機体が出てきた。

 

そして、アーサーは胴体の上にあるキャノピーから体を乗り上げていた。

 

「皆!俺がこのガンタンクで道を開く!」

 

「バカ!アーサー!そんな目立つ機体じゃあISに殺されちまうよ!」

 

「大丈夫大丈夫!」

 

「アーサー、クロスボーンのパワードスーツだ!」

 

先ほどの二つ目のISを小さくしたようなパワードスーツがとがった武器をアーサーに向かって発射した。

 

「「「アーサーっ!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーサー!アーサー!こんなことをしている時間はないだろ?目を開けてくれよ!」

 

アーサーは、ガンタンクの近くに着弾したクロスボーンの武器の爆発に巻き込まれ、30mは飛ばされていた。

 

「もう、眠らせてやれ...」

 

そう、話しかけてきたのはドワイト。

 

だって...だって...

 

「だってよ...アーサーなんだぜ....」

 

「シーブック...」

 

「シーブック今は、港に行って脱出ボートを探そう。」

 

「シーブック!クヨクヨするなんて、貴方らしくないですわ!」

 

セシリー...

 

でも、ここから港まで7キロはあるのに...どうすればいいんだ。

 

そうだ、ガンタンク!

 

ガンタンクに駆け寄り、状態を見る。

 

履帯も切れてないし、幸い爆発の影響も受けてないみたいだ。これなら、港まで行ける。

 

リィズ!セシリー!ドワイト!ジョージ!ドロシーも!皆ガンタンクの上に乗って!早く!

 

「シーブック...操縦できるのか?」

 

「大丈夫だドワイト。学校のパワードスーツと.....同じだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

港に着く。そこは、もうすっからかんで、誰も居なかった。

 

「脱出艇はもう無いのか?」

 

ガンタンクを港で走らせながら、ドワイトに話しかけた。

 

「あぁ、見たところ全部出て行ったみたいだ。地下港に潜水艇ならあるかもしれない...そこから地下港に入れるはずだ。」

 

「分かった。」

 

ガンタンクを地下港への入り口に入れる。かなり、余裕に入ることができた。

 

 

 

「あった、シーブック!あったぞ!」

 

目の前には、10名用の脱出用潜水艇。

 

助かった...

 

「スペースボートの操縦は俺がやる。」

 

「ドワイト?」

 

「親父に習ったからな。」

 

 

「...え?」

 

セシリーが、突然地下港の入り口の方に歩いていくと、それに合わせたかのように、クロスボーンのISが入ってきた。

 

{セシリア・フェアチャイルド!...いや、セシリア・オルコット様!}

 

ISのパイロットは、セシリーを呼び始めた。

 

セシリア・オルコット?それってセシリーの名前なのか?

 

ISは、セシリーをマニュピレーターで持ち上げ、逃げようとする。

 

{そこのIS!セシリーに何の用だ!}

 

{私は、ここにおられるセシリア・オルコット様の妹、アンジェリカ・オルコットですわ。これ以上近づくのならば、そのパワードスーツもどきを爆発させますわ!}

 

そう言って、ISのパイロット、アンジェリカはレーザーライフルをこちらに向けてきた。コクピット内にアラームが鳴り響く...。どうするんだよ...撃つか?でも、こんな骨董品は打てないだろう。

 

{セシリー、ごめん!}

 

ガンタンクを後退させ、攻撃の意思がないことを示す。

 

{よし、それでいいですわ。では、ごきげんよう。}

 

そう言って、ISは飛び去って行った。セシリーを連れて。

 

セシリー......「シーブック、今はセシリーの事は忘れろ!」

 

「ドロシー、無理だよ...]

 

「バカ!そんなクヨクヨしてたらまたセシリーに笑われちゃうよ!」

 

「くっ....分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは、港に残っていた潜水艇でフロンティア4番島を脱出した。

 

その後、水面に出ると。軍の大きな潜水IS母艦がいた。

 

母艦は、港に停泊していた海軍の練習艦だそうだ。

 

「あなたたちが、フロンティア4の生き残りなのね?」

 

「生き残り?それって一体どういうことですか、レアリー艦長?」

 

「代行です。それに君は、副指令のご子息ね?」

 

「えぇ。」

 

「それで、生き残りっていうのは、貴方たちが私たちに会う前に浮上しなかったからなのよ」

 

「まさか...」

 

「そう、クロスボーンバンガードは脱出艇を全部フロンティア4に帰還させたの。つまりは、住民たちを捕虜にした。コスモバビロニアの国民に仕立て上げるつもりね。」

 

「そんな...」

 

ドワイトと艦長が話していても、俺は心ここにあらずだった。セシリー...

 

「そこのご兄弟は...?」

 

「あ、僕の学友のシーブック・アノーと、妹さんのリィズ・アノーです。」

 

「シーブック君と、リィズさんね...アノー?...もしかして、モニカ・アノー博士のご子息ですか?」

 

モニカ・アノー、それは俺の母親の名前だ。でも、おふくろはバイオコンピューターの研究をするために家を出て行ったきりだ。

 

「おふくろは...リィズが小さい頃に出て行ったきりで...」

 

「...すみません。では、皆さん方にも、このIS母艦、シーアークの手伝いをしていただきたいと思います。」

 

「分かりました。行こう、皆。...シーブックも」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一仕事を終え、飯を食っていると、メカニックのグルスさんが話しかけてきた。

 

「シーブック、ちょっといいかな?」

 

「なんですか?」

 

「いやぁ...何というか、少しわからないことがあるんだ。」

 

おそらくお袋の作ったバイオコンピューターで、わからないところだろう。

 

「どういうものなんですか?」

 

「八掛の吊り橋の謎を解けば、回線が構成できるっていうのんだけどね...」

 

「それなら、すごい簡単だわ!」

 

「リィズ?」

 

「リィズちゃん?」

 

おもむろに現れたリィズは手にあやとりを持っていた・

 

「「あやとり?」」

 

「そうよ、こんなもの暗号でも何でもないわ。」

 

「でも、あやとりって...「見てて!」」

 

リィズは慣れた手つきであやとりを進めていく....ってあれは!おふくろがいつもリィズに見せていたやつ!

 

「あらあら、どうしたのよ?」

 

「あ、ピリヨさん?」

 

「お姉さんのことはローラさんと呼びなさいと言ったでしょ?」

 

このナイスバディな人は、このシーアーク唯一のIS、ヘビーガンのパイロット、ローラ・ピリヨさんだ。訓練生にありながら、フロンティア4では敵のパワードスーツ、デナンゾンを2機も落としている。

 

「ってこれは、あやとり...吊り橋ね?懐かしいわね...」

 

「こ、こ、これだ!!!すごいよリィズちゃん!」

 

突然グルスさんが閃いたようだ。

 

「上の橋脚の部分がコアからの回線で、下の部分がバイオコンピューターのパラレル回線になるんだ!!!」

 

「で、グルス?そのバイオコンピューターって何なの?」

 

「男がISに乗れる可能性を生み出し、ブリュンヒルデほどの性能を引き出すことができるんだよ!」

 

「へぇ、じゃあさ...シーブック、そのIS触ってきなよ?」

 

「えぇ?!何でですか!」

 

「だってパイロット居ないし、そこのリィズちゃんにパイロットなんかやらせられないでしょう?」

 

「...っ!分かりましたよ、まだ動くとも分かってないのに早すぎですよ...」

 

グルスさんについて行ってISの整備室に入った....目の前には小さなフルスキンのIS。

 

「このISって何て名前なんですか?」

 

「あぁ、F91って言うんだ。」

 

そうか、F91って言うのか。

 

「グルス軍曹?F91は動くのかしらね?」

 

そこへ、艦長がやってきた。

 

「えぇ、リィズちゃんのお陰でバイオコンピューターのパラレル回線が動けるようになったんでね。」

 

「で、シーブック君で本当に男でもISが動かせるのか確かめるのね?」

 

「えぇ...よし、シーブック!そのF91に触れてみてくれ!」

 

「触れるだけでいいんですか!」

 

「あぁ!」

 

F91に触れる...

 

ああああああああ?!

 

脳内にF91の情報が入ってきて脳が焼けそうになる。

 

「大丈夫かシーブック!」

「大丈夫、シーブック君?!」

 

そして...周りが光り始め、目の前にあったF91の装甲が分割され、量子化される。

 

体の周りに先ほどの装甲が現れ、装着されていく。

 

「「シーブック(君)!」」

 

「って驚いてる場合じゃないな、シーブック!フェイスガードを閉じろと念じろ!」

 

フェイスガード?閉じればいいのか...閉じろ。

 

そう念じると即座にフェイスガードが閉じる。

 

「...確かこんな感じの顔をしたISがあったわね...ガンダム...。ねぇ、グルス?F91のコードネーム、ガンダムにしない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シーブック!本当にやるのかい?」

 

格納庫でF91の整備をしていると、ドワイトがやってきた。

 

「セシリーが心配だからな。」

 

「それにしても...艦長なりローラさんに相談しろよ!」

 

「止められるだろう?」

 

「当たり前だ!クロスボーンの本部に潜入するなんて...ましてやF91を使うことなんてできないぞ!」

 

「止めないでくれ!」

 

 

 

「何事ですか!」

 

「艦長?!シーブックが!」

 

レアリー艦長が格納庫に入ってきた。

 

「シーブック君、軍艦にいる以上、一般人といえども軍紀には従っていただきます。セシリアさんが、オルコット家の長女であり、バビロニアの姫として祭り上げられるということは、とてもつらいことだと思いますが、耐えなさい。」

 

「...でも!」

 

 

「...ですが、私が偵察を命じたことにすれば問題ありません。慣らし運転がてら、地下港から潜入してきてください。しかし、していいのは、ISに乗っての偵察だけです。何としてでも帰ってきてください。」「艦長?!」

 

「分かりました。F91、シーブック・アノー、出ます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人では生きられないし...覚悟もつかない...

 

シーブック、ドワイトさん、ドロシーさん、リィズさん、忘れられるわけがない。今でも、時間を巻き戻したいと思う。ロングに伸ばしていて、シーブックにきれいな髪と褒められた自慢の金髪も...切ることにした。

 

...はさみを持つ。

 

「セシリー!」

 

....?!

 

「シーブック!」

 

窓から入ってきたのはシーブックだった。

 

「ここから出よう!みんなが待ってる。...その髪、切ったのか...」

 

「もう...私はオルコット家の娘として生きようと決めたのです....」

 

「でも...!」

 

「おそいですの...もっと早く来ていただけたのならば...決意もつかなかったのに!」

 

「セシリー...ごめん。」

 

シーブックは、部屋に近づく足音を聞き、窓から行ってしまった。

 

謝ってほしいわけじゃないですの...でも!この髪を切らなかったら、ついて行けたのに...

 

「お姉様、ご教練のお時間です。」

 

「分かりましたわ、アンジェリカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリーが...あの髪を切ったのか?!

 

....遅くなったからだ...もっと早く...もっと早く助けられたらっ!

 

{シーブック、そのまま、甲板に着艦しろ!}

 

{...了解っ}

 

{シーブック君?大丈夫かしら?}

 

{え...えぇ...}

 

シーアークからの、レーザー誘導で甲板に着艦する。

 

 

 

 

 

「命令は、偵察だけだったはずですが...?」

 

「すいません、レアリー艦長...どうしてもセシリーの事が気になってしまって...」

 

「つまりは、自分の女にこだわったわけね。「やめなさい、ローラ少尉!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は...クロスボーンバンガードのIS母艦、ザムス・ギリの格納庫で、自分の専用機「ブルーティアーズ」に、アンジェリカにもらったミニブーケを付けていた。

 

こんなもので、生き延びれるとは思えないのですが...

 

「お姉さま、街での噂聞きましたか?」

 

「知りませんわね...いったいどういう物なのですか?」

 

「我々の作戦により、多数の死者が出ているというデマなのですが。」

 

「デマではないですの...」

 

シーブック...貴方は今どうしておられるのですか?...いけない、私はもうオルコット家の女として生きていくと決めたのに...

 

{アンジェリカ大隊、発艦準備に移れ!}

 

「では、お姉さま。先に参ります。」

 

「えぇ。(来なさい、ブルーティアーズ!)」

 

青、白...差し色に黒。大きなレーザーライフル、スターライトmkV。アンロックユニットである、ビット、ブルーティアーズ。私の専用機であり、第3世代として作られた、ノンフルスキン装甲のIS。

 

{セシリア様、カタパルトへ。}

 

{分かりましたわ。セシリア・オルコット、ブルーティアーズ、行きますわ!!!}

 

{アンジェリカ大隊は、フロンティア1番島の資源採掘島に真っ直ぐ向かいますわ。パワードスーツ隊は、正面の艦艇、パワードスーツに攻撃。IS隊は我のフラッグに続け!}

 

そう言って、先頭のIS、アンジェリカのベルガ・ダラスからビームフラッグが映し出された...オルコット家の紋章?

 

{お姉さまは、遅れている機体がいましたら、喝を入れてやってください。}

 

{分かりましたわ。勉強させていただきます。}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レアリー艦長が、整備室に入ってきた。

 

ここには、俺とローラさんしかいない...

 

「どうしましたか、艦長?」

 

「出撃です、フロンティア1にクロスボーンの混合部隊が来ているので、ローラ少尉、シーアークの停泊している港のブロックを守ってください。シーブック君は、待機。いつでも出られるようにしてください。」

 

「「了解。」」

 

 

 

 

ヘビーガン、海軍の開発した、小型ISの量産機であり、いまだ主力の座を保っている。しかし、クロスボーンの高性能ISの前では無意味であった。

 

「一体何機の敵がいるのよーー!!!」

 

 

 

 

{シーブック君!出撃しなさい。}

 

下手こかなきゃ...死にはしない...

 

{F91はシーブック・アノーで行きます!}

 

{シーブック君、PICを利用して機体を立たせられるわね?}

 

{やってます!やれてますよね?}

 

PICを起動させ、宙に浮き、機体を立てる。

 

{えぇ、1番上のレーザーライフルを使って!}

 

そこには、小型のレーザーライフル。

 

{えぇ?!合うんですか?}

 

{F91用よ、調整はすんでいるわ。}

 

{F91をカタパルトにのせろー!}

 

「動いて、良かったですね!」

 

「あぁ、リィズちゃんのお陰だよ。」

 

「(お母ちゃんがあんなものを作っていたなんて!)」

 

{シーブック!カタパルトに乗れ!}

 

「お兄ちゃんが?」

 

{ガンダム、行きますっ!!!}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ム?港に潜水艦が隠れている?!...あれは!IS。)」

 

カタパルトから射出されると、シーアークのすぐ右上に飛んでいたデナン・ゲーが、こちらに気づき、肩部3連ミサイルを発射してきた。

 

こいつぅっ!

 

左腕のビームシールドを展開して、ミサイルを全弾爆破する。

 

左サイドスカートから、レーザーサーベルを掴む。胸部、頭部のバルカン4門を撃ちっ放しにする。「来るっ?!」デナン・ゲーもレーザーサーベルを展開して、切りかかってくる。サーベルを右手で、下から逆袈裟切りのように、切り上げる。サーベル同士がぶつかり合い、一瞬距離をとる。

 

スラスターを吹かし、一気に最接近する。

 

「でやあああああっ!」

 

そして、デナン・ゲーに、サーベルを突き立てる。爆発、ISから緊急脱出したパイロットがゆっくりと降下傘で、降りていく。

 

「落ちていく....ローラさんは?」

 

体制を整えようとするヘビーガンに、2機のデナン・ゾンが攻撃を仕掛ける。

 

1機はライフルを連射し、もう1機はサーベルをもって、突っ込んで来た。ロッテ戦法のように編隊を組んで攻撃してくる2機に向かって照準を合わせる。

 

pppppppi!

 

ロックオンの表示が出る。

 

右手に再展開したライフルを、2機に向かって2連射する。

 

1発は外れたが、もう1発の閃光が下側のデナン・ゲーの腹を突き抜け、頭部を胴体から吹っ飛ばす。そして、勢いは衰えず上で驚いていたパイロットの頭部を消し去った。

 

やれた?!...パイロットは、死んだ......死んだか.....

 

 

 

 

 

 

「碌な戦力など残っていないはずなのに、3機も撃墜されたの...傲慢がほころびを生むというのですか。{お姉さま、撤退しますわ...お姉さま?!}」

 

{アンジェリカ、私は!会わなければならない人がいますの!}

 

そう言うと、ブルーティアーズは部隊を離れ、港の方角に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{ローラさん!}

 

{F91やれるのかしら?!}

 

{何とか...}

 

ppppppppp!

 

アラート?

 

センサーの示す方向には、青色のISがいた...

 

ズーム...画像解析...ISのハイパーセンサーは即座に処理が行われる。

 

あれは...セシリー?!

 

{セシリーっ!}

 

オープン回線を使って、青いISに話しかける。

 

{シーブック!やっぱり、シーブックですのね?}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{艦長?}

 

{何ですか、ローラ少尉?}

 

{あの二人の通信聞きます?}

 

{しなくていいわ、何を話しているか想像はついているし、子供の戯言なんて聞く気もないです。}

 

{さいですか。通信終了!RTB!}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母様...お姉さまが脱走しましたわ。」

 

目の前には顔を隠した母親がいる。

 

「そう、まぁ...いいわ。フロンティア1にバグを投入します。私も沖に出ますわ、アンジェは島内に突入しなさい。」

 

「承知いたしましたわ。」

 

 

 

 

 

 

 

シーアークは、フロンティア1の港の端に停泊している。

 

「シーブック君、整備は終わったのかしら?」

 

「えぇ、セシリーも俺もシールドエネルギーは満タンにしてあります。」

 

「そう、では少尉とセシリアさんを呼んできてください。作戦会議をします。」

 

 

 

 

 

 

 

「では、作戦会議を始めます。」

 

「は〜い質問!」

 

「何ですか、少尉?」

 

「投降してきたあのクソリア充はどうすんの〜」

 

ローラさんのテンションがおかしいのはいつもだけど、昨日からは特にひどい。あの初陣から3日後、クロスボーンのパワードスーツが投降してきた。

 

しかもパイロットはエースパイロットのザビーネ・シャルとアンナマリーさんだ。

 

二人はリィズの面倒も見てくれるいい人たちなんだけど...

 

「あの二人も次の作戦には出てもらいます。今回は、偵察だけ。その後出てもらいます。」

 

「「「了解...」」」

 

 

 

 

 

 

 

「シーブック...!」

 

「何だい?」

 

「私たち...生きて元の生活に戻れますわよね?」

 

「....あぁ!戻れるさ!」

 

「二人とも、目の前のことから考えなさいよ。」

 

「もちろんですわ、ねぇシーブック?」

 

「あぁ。」頷く。

 

 

{少尉!カタパルトへ!}

 

{了解。}

 

「シーブック、セシリアも!}

 

{{了解!}}

 

 

 

 

 

 

港から発信して、今は中心街に向かっている。

 

{静かね...街の方も静けさがするわ。}

 

オープン回線からローラさんの声が聞こえてくる。

 

{人の気配もしないなんて不思議ですわね。}

 

{IS部隊!緊急事態です。クロスボーン軍がフロンティア1に虐殺兵器を投入しました。即座に見てきてください。}

 

{了解}

 

代表でローラさんが答える。

 

{シーブック、セシリア!私が先陣をきるわ!ついてきなさい!}

 

{了解!}{分かりましたわ!}

 

 

 

 

 

 

来たッ?!何だこの円盤....刃が回っている。

 

{バグ?何故ここに!}

 

{セシリー、一体何なんだ、これは!}

 

{分からないですわ、クロスボーンだって一つではないですの!}

 

セシリーが、ビットを放ち、瞬く間に4つ落とした。

 

{ローラさん?!迂闊です!}

 

 

{だって、街が焼かれているのよ?!この!この!}

 

{ローラさん、もっと動いて!}

 

{逃げてくださいましーッ!}

 

{人間だけを殺す機械なの?!イャアァァァぁァァアアァぁ}

 

{ローラさん!?}

 

{少尉?!}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ローラさんが落とされた?!

 

{セシリー!少尉がやったみたいにサーベルを回せ!}

 

{そんなので落とせますの?}

 

{あいつらISに向かって寄ってきてるんだ!}

 

{分かりましたわ!}

 

レーザーサーベルを回しながら、島の上を飛び回る。

 

「もっとだ!もっとこい!」

 

{シーブック!これではキリがありませんわ!}

 

{あと少しだ!もう少しで!}

 

段々とバグの数が減ってきた。

 

サーベルを回すのを止め、1つ1つずつ丁寧に斬りさばいていく。

 

「よし、これで最後!」

 

{シーブック!クロスボーンですわ!}

 

レーダーを見ると、5機の反応。1機がISのビギナ・ギナで、あとはパワードスーツのデナン・ゲー。デナン・ゲー達が三連装ミサイルを斉射してくる。

 

{セシリー、指揮官機をやってくれ!}

 

{了解ですわ!}

 

 

今まで、使わなかった武器、ヴェスバーを展開する。背中から、左脇に降り、トリガーが展開する。

 

ppppppppp、pi、pi、pi!

 

ロックオン、高収束のビームを撃ちこむ....

 

先頭のデナン・ゲーは、爆発を起こした。

 

「ち、超スーパーすげぇどすばい...」

 

これが...世界初のビーム兵器の威力...。

 

ppppp、pi!

 

もう1機にも照準が合う。

 

ppppp、pi!

 

右側のヴェスバーも展開、別の敵にロックオンする。

 

トリガーを引く。

 

高収束のビームの光が残像として残り、一筋の爆発への道となった。

 

4機撃墜、残る1機は逃げようと向きを変えている。

 

「逃がすか!」

 

ビームシールドを展開、ビームの部分をバックパックに当てる。

 

{やめろぉっ!}

 

{お前らが攻めてきたんだろ!}

 

{うわぁぁァぁァ?!}

 

「ハァ....はぁ...せ、セシリーは?」

 

セシリーのいる方向をみると、ビギナ・ギナが落とされるところが見えた。

 

幅寄せして、接触回線を開く。

 

{無事か?}

 

{えぇ、問題ないですわ。}

 

{二人とも、ローラ少尉の機体を確認してきて下さい。}

 

{了解です、レアリーさん。行こう、セシリー。}

 

{えぇ。}

 

 

 

 

 

 

 

ローラさんの墜ちた池をハイパーセンサーで確認する。

 

{セシリー、見つかった?!}

 

{シーブック...あそこ、ですわ...}

 

{あそ....ローラさん!}

 

セシリーの指す場所は砂地になっている部分。

 

そこには、完全に破壊されたヘビーガンの装甲と....ローラさんが倒れていた。

 

ガンダムを降りて、走る。

 

「ローラさん...ローラさん!」

 

 

 

 

 

 

 

「ミンミさん...ローラ少尉は?」

 

「艦長...その、今目を覚ましたところなんですけど...」

 

「そう...心にきついものが?」

 

「みたいです。」

 

「シーブックとセシリアさんには?」

 

「伝えない方が良いと思います。戦闘に支障が出るかもしれないですからね。」

 

「では、そのようにします。...少尉を、お願いします。」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......ロー...ラさん...

 

もっと早く...あの時、代わりに盾になっていれば...

 

後悔は数えきれない...もう、この戦いで敵味方構わず人が死に過ぎた...

 

「シーブック...?」

 

相手は人間...どうせなら地球外生命体とかなら、迷いなく殺せただろう......ヴェスバーは強力すぎる...それ以外も軍事用ISとして開発されたF91は、通常のIS改造機であるクロスボーンのデナン・ゾンは、胸部メガマシンキャノンでさえも絶対防御を発動させるレベルだ...こんなもの、IS...ましてやパワードスーツに撃ち込めば、パイロットは見るも無残になってしまう。こいつを使う資格があるのか、俺には?セシリーも...こんな戦いが始まって...敵の機体を倒すことに躊躇していない...皆が狂っている。戦争はこういう物なのか?

 

「シーブック?...もうっ、シーブックったら、しっかりなさいまし!」

 

「せ、セシリー?どうしたんだ?」

 

「パイロットスーツが届いていましてよ。」

 

「あぁ、なんか...あったねそんなの。」

 

「すぐに来てくださいね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの...グルスさん?」

 

「どうしたんだい、シーブック?」

 

「ヴェスバー、片っぽ外したんですか?」

 

「あぁ...どう考えても次の作戦に合わないからね。何よりも、バイオコンピューターを積んでいるからBT兵器を積まなきゃもったいないからね。」

 

「でも、なんだって片っぽだけ?」

 

「射撃武器がないじゃないか?」

 

「でも...!」

 

「でも?」

 

「何でもないです。BT兵器はビット?」

 

「あぁ、でもセシリアさんのよりも射程も、威力も低いけどね。普段は排熱板についてるけど、射出されるようになってる。最大稼働時には排熱板が展開するんだ。理論上では、世界一高機動なISになるよ。」

 

「ありがとうございます!でも、ヴェスバーの出力、競技用まで下げてもらえませんか?」

 

「...艦長に相談してみるよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、ミーティングを始めます。」

 

俺、セシリー、ザビーネ、アンナマリーさんがミーティングルームに呼ばれた。

 

「貴方達、航空戦力要員を呼んだのは他でもありません。...この紛争が最終局面と化し、とうとう巨大ISを展開したという情報が入りました。ですから、我々シーアーク隊で、鉄仮面とアンジェリカ・オルコットを抹殺する作戦を発動します。」

 

「母と、妹をですか?」

 

「セシリアさん、これは軍の作戦です。私情は禁物。いいですね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん?」

 

飯を食っているとリィズが話しかけてきた。

 

「どうした、リィズ?」

 

「大丈夫?元気ないけど...」

 

「...大丈夫、大丈夫。何とかなるさ...」

 

「そうは思えないよ。」

 

「何でさ?」

 

「ご飯お代わりしてない。」

 

「パイロットは出撃前は小食なんだよ...」

 

「ふ〜ん...ISの保護機能があるのに?」

 

「...」

 

「...お兄ちゃんはいつもそうなんだから。」

 

「妹に頼る方がダメだろ?」

 

「ドワイトさんとかセシリアさんがいるでしょ?」

 

「...」「...リィズ、シーブック。」「お袋?(お母ちゃん?)」

 

「お袋!今頃になって、どの面して、リィズの前に現れたんだよ?」

 

「...ぉ母ちゃん...」

 

「リィズ、ボートの中で待っててくれ!」

 

「お兄ちゃん!お母ちゃんだって、お母ちゃんだって事情はあるのよ?」

 

「それとこれとは、話が違うんだよリィズ!」

 

「お兄ちゃん...」

 

「シーブック!もう、出撃ですわよ!」

 

「シーブック...まさか、貴方...F91に乗っているの?」

 

「パイロットがいないんだ、仕方ないでしょ?」

 

「あなたは、あのマシンに乗ってはいけないの!」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃないんだ!」

 

「通さないわ...シーブック。」

 

「退いてくださいモニカさん...撃ちますわよ。」

 

そう言ってセシリーはお袋に拳銃を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{攻撃隊発艦用意をしてください!}

 

{分かりました、レアリー艦長。アンナ、シーブック、セシリア様...お先に。}

 

{ザビーネこそ。}

 

{ザビーネ、頼りにしてますわよ。}

 

{お任せあれ...シーブック!ボケっとするな。{わっ、わかりました!}}

 

...どうしようもなく、頭の中で考えが回っていく....

 

お袋、何で今になって!...クッソ!「シーブック?大丈夫ですの?」

 

「...セシリー、君は、親を殺すなんて出来る...のか?」

 

「出来る出来ないじゃないですの...自分の血縁は自分の手で断ち切る。そう決めましたし、変える気はないですわ。」

 

「...行こう。この戦いを終わらせて、皆で、アーサーやローラさんの分まで生きよう!」

 

「えぇ!」

 

「(行くぞ、F91!)」

 

身体に装甲が展開される。

 

{ガンダム、発進準備完了。格納ハッチオープン!シーブック、出れるな?}

 

{行けます!...シーブック・アノー、F91ガンダム、行きます!}

 

{セシリア・オルコット、ブルーティアーズ、行きますわ!}

 

{ザビーネ・シャル、ベルガ・ギロス、出る。}

 

{アンナマリー機、発進。}

 

四機の鳥は、空へ飛び立っていった。

 

「...攻撃隊との通信が切れます!」

 

「...帰ってきてください...貴方達。」

 

 

 

 

「あ、あれは?」

 

「少尉?まだ体を起こしちゃダメです...」

 

「み、皆は!」

 

「行きましたよ...決着を着けに。」

 

「そう...なんだ。(シーブック、セシリア、リア充...帰ってきなさいよ。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...増援隊が全滅したのは本当ですね?長官。」

 

通信機の画面の前には上官。本土の安全なコンクリートに囲まれ、現状を知らない糞野郎。

 

「あぁ、レアリー艦長。君の部隊の生存を祈っているよ。」

 

それだけではないはずだ。

 

「で、本題は?」

 

「フロンティア市を明け渡す。」

 

「フロンティア市を全て、でありますか?」

 

「そうだ。これは、裏での取引で決まったことだ。」

 

「では...我々の作戦は無意味だと?」

 

「直ちに撤退せよ、それが上層部の命令だ。」

 

「承知しました。」

 

 

「レアリー艦長?」

 

「あぁ、ミンミ。どうしたのかしら?」

 

「ローラ少尉が落ち着いたので...面会しますか?」

 

「いえ、大丈夫です。これから、CICに籠るので。」

 

「体調管理だけは万全にしてくださいよ、艦長に倒れられたらどうしようもないんですから。」

 

「頭痛薬をもらえるかしら?」

 

「どうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視線をあちらこちらに回す。どっから来るんだ...精神を研ぎ澄める。感じろ...上?...来たッ。

 

{上からゲーが15機!}

 

報告する。

 

「(突然の奇襲も難なく予想するか...ニュータイプ、信じたくなるな。)」

{セシリア様!ここは私が引き受けます。シーブックを連れてラフレシアへ!}

 

{...分かりました、ザビーネ。行きなさい!}

 

{ハッ!行くぞアンナ!}

 

{了解。}

 

{セシリー行こう!}

 

{シーブックは、お二人の支援に!}

 

{なッ、何でだよ?一人でラフレシアに勝てるわけないだろう?}

 

{自分自身の事は自分でどうにかしますの。早く、お行きなさい!}

 

{こんな時に駄々をこねてる場合じゃないだろう?}

 

ブルーティアーズの左手を強引に引っ張る。

 

「...シーブックには...この不快感が何だか分かってないのです。まだ...あなたがニュータイプとしては未熟だから。この不快感は、悪意を感じ取った時の気持ち。シーブックは、これを知るべきではありませんわ...ニュータイプになるべき人ではないですの。」

 

{セシリー?何か言った?}

 

{い、いえ...何でもありませんわ!...いいのですか?私の母を殺すことになっても。}

 

{兎に角この戦いを終わらさなきゃいけないからな。うじうじしてる暇なんてないんだ。沖にラフレシアが出てきてる、行こう!}

 

{ぇ...えぇ!行きますわよ!}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{.........ァァァァァァァァ!!}

{どうした、マイケっ、うわぁぁァァァ?}

 

{.........}

{.........}

 

 

 

また、2つの命がラフレシアの前で散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこだ、ラフレシアは...

 

見つからないように資源地下港の波止場から沖合にズームする。

 

...あれ、か?

 

{セシリー、あれ?}

 

こちらの視覚情報をブルーティアーズに同期させる。

 

赤いボディに5枚の葉っぱ、接近する海軍のパワードスーツを撃ち落とすビーム砲、葉の裏から触手のように振り回されるロッド。いわば、あのロッドはラフレシアの放つ悪臭みたいなものか...

 

{...間違いないですわ。では、手筈通りにお願いしますわ。}

 

{おっけ!}

 

作戦としては、セシリーが突っ込み撃墜する。もし、セシリーが危なくなれば俺も参戦する。単純だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{何故お母様はこんなことをするのです!}

 

セシリーとラフレシアのパイロットがオープン回線で話している。

 

{庶民の10分の9を抹殺しろと命令されれば、このようにもなるでしょう!}

 

{機械がしゃべる事か!}

 

{私は機械ではない!任務遂行のためにエゴを強化したものだ!}

 

{エゴは貴族が持っていいものではないでしょう!}

 

{セシリア、あなたは悪い子ね。大人のやることに疑いを持つのはよくないの。}

 

{イヤぁぁぁあぁっぁ!}

 

ブルーティアーズの手足にロッドが巻き付く。

 

{セシリー!}

 

排熱板を全展開。ロール回転しながら、加速する。

 

「アッハハハ!怖いでしょう?しかも、脳波コントロールできる。感情だけで操れるISに乗るこの私を、セオと同じように見下すとは、つくづく庶民というものは御しがたい。}

 

{そうさせたのは素顔を見せない貴方でしょう?}

 

ラフレシアがブルーティアーズを曲芸のように回し、空へ投げつける。

 

{てめー、念仏唱えろーっ!}

 

肩部からフィンが展開し、顔を覆うマスクが展開し、F91本来のマスクが表れ、排熱板が真っ赤になり、全身のダクトは赤熱する。全身の塗装は剥がれはじめ、機体の構造材が剥離する。

 

{化け物!...質量をもった残像とでも?}

 

その時!ロッドが右手首、左足を削り取った。

 

「なんとぉぉぉぉぉっ!」

 

ティキーン!!!(スターライトを使ってくださいまし!)

 

「セシリー?」

 

ラフレシアの上に飛んでいたスターライトに、ヴェスバーを撃ち込む。

 

{何?敵が見えない!}

 

「(行け、ビット!)」

 

ビットを全て射出して、ラフレシアのロッドの付け根を破壊する。

 

サイドスカートからサーベルを展開、空中に浮いているロッドを切り裂き、ラフレシアの真上に跳ぶ。

 

「(ヴェスバー!)」

 

ヴェスバーを展開。最低収束、拡散ビームでラフレシアに撃ち込む。

 

{これでッ!ゲームオーバーだっド外道ーーーッ!!!}

 

 

 

 

 

 

小規模の爆発と共に、ラフレシアの花が閉じていく...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ラフレシアが、崩れていく。」

 

爆発の花があちらこちらに咲いていく。ロッドが爆発しているようだ。

 

{シーブック!無事か?}

 

突然軍の回線で無線が入ってくる。ドワイトの声だ。

 

{ドワイト?一体何処に?}

 

{下だよ下!}

 

{下?}

 

下には、潜水艇がハッチを開き、待っていた。甲板には、リィズ、お袋、ドワイト、ドロシー達が居た。

 

「皆!」

 

「「「シーブック...!」」」

 

海面まで高度を下げ、前部装甲を開き、潜水艇に飛び乗る。

 

「そうだ...皆、セシリーは?」

 

みんな口を閉ざす。重苦しい空気の中、ドワイトが口を開く。

 

「...ブルーティアーズの反応は消えてる。シーブック、セシリアは...もう......」

 

「そ...んな、そんな事ってあるのかよ...セシリー...」

 

 

 

pi、pi、pi

 

「「お袋?(お母ちゃん?)」」

 

お袋が、F91のバイオコンピューターをいじり始めた。

 

「何してるんだよ、お袋?」

 

「あなた専用にフィッティングしてるのよ...ニュータイプ能力で人を探すなんて無茶なことだけど...」

 

「...ありがとう。」

 

「行きなさい、シーブック。私に出来る事はここまでよ。」

 

「シーブック!セシリア連れてこねぇと、どうなるか、わかってるよな!」

 

「お兄ちゃん、頑張って!」

 

「シーブック、あんたなら出来るわよ!」

 

「皆...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリーを探し、海の上を彷徨ってかなり時間が経った。

 

「花...?」

 

{どうしたの、お兄ちゃん?}

 

{...あれはセシリーの花なんだ!」

 

{セシリアさんの...花?}

 

{そうだよ、セシリーに決まってるじゃないか!}

 

F91の足から下に手を伸ばし、花を掴む。

 

プリムラの花...セシリーのブーケの花だ。

 

1枚のプリムラの花弁が、風で舞い上がり、空へ飛んでいく...

 

それを目で追うと...青い装甲が波の狭間に浮いているのが見えた。

 

「セシリー!」

 

青い装甲を抱き上げる。

 

フェイス部分をパージして、顔に近づく。

 

「...セシリー!」

 

...

 

「................シー..ブック?」

 

セシリーの瞳が見える。

 

「...セシリー!」

 

「シーブック...世界は、人間という生物の身勝手さえなければ・・・」

 

「きっと天国だったんだよな...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

This is only the beginning

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1話 クロスボーンバンガード

2話 シーアーク

3話 八掛の吊り橋

4話 オルコット家の姫

5話 君を見つめて

6話 初陣

7話 人間だけを殺す機械

8話 ヴェスバー

9話 ミーティング

10話 ガラス色の雪

11話 ラフレシアは夢現に、イチイの花を咲かしていく。

12話 ETERNAL WIND〜光る海面の上で〜

最終話 プリムラの花

 

 

 

原作 機動戦士ガンダムF91(映画版、ボンボン版、小説)

 

 

 

説明
マルチフォーマルスーツ、インフィニット・ストラトス(IS)が開発され、人類は生活の場を徐々に宇宙に移すとも言われて.....3年、人類は...新しい土地を開拓せず、人類同士での戦いにISを使用するようになった。女性しか扱えないISの台頭により、女尊男卑が進んでいた。イギリスの名門貴族オルコット家当主である、シャローラ・オルコットは、女性第一主義を掲げ、私兵クロスボーンバンガードを結成した。

イギリスの小さな島によって構成されたフロンティア市。4番島にあるアナハイム中学に通う工学生シーブック・アノーは...軍の開発した最新鋭のIS、F91を動かしてしまう。


ボンボン版の展開の速さと!映画版のセリフ!インフィニット・ストラトスのキャラが登場する二次創作です。


普段はアイポッドタッチのメモで執筆していますが、試験的にパソコンで書いています。
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IS インフィニット・ストラトス ガンダム 機動戦士ガンダムF91 ボンボン版 メカ 

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