マイ「艦これ」「みほちん」第41話<将校の想い>
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「参謀たちも、よろしく頼む」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」

:41話<将校の想い>(改)

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 既に、お昼に近くなった。青年将校は再びボードの方を向いて言った。

「今回の戦闘によって艦娘単独の鎮守府では具体的に、どの程度の編成が必要なのか、だいたい把握出来たように思う」

 

 それを聞いた私は悟った。

『軍令部でも艦娘の具体的な運用方法については未だ手探りの部分があるんだ』

 

 指令室のボードには戦況の殴り書きメモや艦隊のリスト、それに比叡や赤城さんの顔写真がペタペタ貼ってある。

 

 その資料を見ながら将校は腕を組む。

「比叡と赤城は美保への一時的な支援のつもりだったが……」

 

彼は少し考え込むような表情で赤城の写真を見詰めながら続けた。

「彼女らの異動も検討すべきだな」

 

 そこまで聞いた舞鶴の顔色がサッと変わったことに私は気付いた。そういえば比叡と赤城さんは舞鶴から来ていたな。

 

 将校は私のほうをチラッと見ながら言った。

「お前は、あの艦娘たちとは関わりがあるようだな」

 

思わず反応する私。

「はい……彼女たちとは何度か実戦を共にしました」

 

「なるほど……それは重要な要素だ」

 彼は再びボードに視線を向けて言った。

 

 中央の情報部ってのは実に細かい情報を掴んでいる……つまり今後も下手なことは出来ない。私は冷や汗が出る思いだった。

 

「あ……」

 さっきから舞鶴が口をもごもごさせて何か言いたそうだった。比叡や赤城さんの異動案に反論する気だろうか?

 確かに舞鶴所属の彼としては自分の鎮守府から主力級の艦娘が抜けるのは避けたいだろう。

 

 しかし相手は軍令部の将校だ。結局……物言いは諦めたようだ。まぁ舞鶴の性格からも将校に直接意見をするなんて無理だろう。

 

 ご愁傷様。

 

 何となく舞鶴の不穏な動きを察したのか将校は改めて振り返ると全体を見回して言った。

「正直に言えば軍令部でも艦娘については未だに評価が分かれている。誤解も多い」

 

 その言葉に軽く頷く祥高さんと大淀さん。

 

 彼は続ける。

「だからこそ一日も早く艦娘運用の標準型を定めて各鎮守府にも伝えるつもりだ」

 

 そして将校は改めて私の方を見た。

「美保にも、いろいろと協力して貰いたいのだ」

 

「ハッ」

私は反射的に立ち上がって敬礼をした。

 

 彼は周りにも声をかけた。

「参謀たちも、よろしく頼む」

 

『ハッ』

彼らも揃って立ち上がると敬礼をした。

 

「……以上だ」

艦娘も含めて指令室にいた全員が改めて将校に敬礼をした。彼もまた総括するように敬礼をした。

 

 長い時間が終わった。

 

 改めて時計を見ると、もうお昼だった。将校と参謀たちは美保鎮守府の1階にある応接室で昼食をとることになった。

 

 祥高さんと鳳翔さんが慌ただしく昼食の配膳準備をしている。祥高さんはずっと働き詰めだな。倒れやしないか?

 

「小さい鎮守府だと艦娘も役割が多くて大変ですね」

神戸も心配している。

 

 だが私は思った。祥高さんって自分から忙しくしているような印象も受けるんだよね。

 

 いつの間にか私の横に寛代が来ていたが祥高さんにつまみ出された。

 

 その光景を珍しそうに呉が見ている。

「まことに不謹慎な意見かも知れませんが。こういう老若男女が集う家族的な雰囲気も悪くありませんな」

 

 齢を重ねているせいか彼は言い難そうなことを、はっきりと言う。

 

 神戸も言う。

「この料理も男性とは違う細やかさがあります」

 

その褒め言葉に鳳翔さんが微笑んでいる。

 

 先ほどよりは少し緩やかな表情になった青年将校が応えた。

「艦娘たちも見た目は普通の女性と変わらない。しかし、いざとなれば彼女たちが自ら最前線に立つ気概があることは我々は決して忘れてはいけない」

 

 一瞬、参謀たちの箸が止まった。

 

 穏やかではあるが凛とした声で将校は言った。

「むしろ部隊に艦娘がいることで男性軍人は、より一層自分を律さねばならないだろう」

 

 意外に将校は艦娘を高く評価しているようだ。 

 

「しかし同性なら気兼ねなく接するのですが女性相手は、やり難いですなあ」

 呉が実感のこもった言い方をする。

 

「実はな……」

間をおいて将校が言った。

 

「本省にも数人、艦娘の制服組が居る」

『え?』

 これには参謀たちは改めて驚いた顔をした。

 

「だから今後は地方にも少しずつ艦娘の指揮官が現れるかもしれない」

 将校は何食わぬ顔で食事を続けた。なるほど彼が艦娘を高く評価するわけだ。軍隊の男性といえどもウカウカ出来ない時代になっていくのだな。

 

 私を始め参謀たちも互いに顔を見合わせながら改めて襟を正される思いになるのだった。

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。

説明
将校の話は午前中で終わり昼食となる。その場でも衝撃的な事実をいろいろ聞かされるのだった。
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美保鎮守府 二次創作 ア艦これ みほちん 将校 

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