マイ「艦これ」「みほちん」第67話<ガングロ突進>
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「あれ……艦娘か?」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」

:第67話<ガングロ突進>(改)

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 夜の港湾内に怪しく侵入してきた黒い軽巡……艦娘であることは間違いない。私は、たまたまポケットに入っていた小さい双眼鏡で堤防付近を見た。

 

 視界に入った黒い影……艦娘には思えないが、まるで深海棲艦のようにノッペリしている。

 

「何だ? あれは」

呉オジサンも気づいた。

 

「艦娘ですか?」

神戸も困惑している。

 

 要するに陸軍の戦車のように擬装しているのだが何かを被っているのだろうか? 

「いや顔に何か塗って……ガングロか?」

 

「あいつ撃つぞ」

無言で双眼鏡を覗いていた舞鶴が呟く。

 

「え?」

私は双眼鏡から目を離した。

 

 湾内では先に伊168が放った魚雷で被弾した敵で溢れているのだが、彼らは『ガングロ』に全く気づいてない。いや大井(?)的な『彼女』も何かの気配は感じているのだが発見出来ないようだ。

 

 そのガングロ軽巡は鎮守府港湾内に入るや否や、いきなり複数の魚雷を発射した。敵の駆逐艦周辺で立て続けにいくつもの水柱が立った。埠頭にも水しぶきが上がってくる。

 

「おい、あんなに至近距離で発射して大丈夫なのか?」

私は呆れたように呟いた。

 

 その艦娘は他の攻撃に巻き込まれるのを防ぐためだろう。

「わぁ!」

……と叫びながら、そのまま高速で突っ込んで来た。

 

「あれ……艦娘か?」

呉オジサンも少し驚いている。港湾内は更に大混乱になりつつある。

 

そのガングロ艦娘は、なおも止むことなく走りながら対潜爆雷をバラバラと投下している。海中が次々と盛り上がり水柱や火柱が水面に上がる。既に何隻かの潜水艦が撃沈したようだが……ガングロは止まらないで走り回っている。どこまでやる気だ?

 

 手持ちの爆雷も尽きたガングロは、今度はロケット砲までぶっ放した。

「あーっ」

 

……と思う間もなく、近くの深海棲艦を数体弾き飛ばし、流れ弾が鎮守府の地上設備を一部、破壊した。

 

「あいつはバカ者か?」

いつもは冷静な舞鶴までが艦娘の挙動に呆れている。

 

「あの艦娘は何者?」

神戸も呆気に取られている。

 

「あれは何も考えてないようだ」

私は断言したように言った。彼女が埠頭に近づくと艦娘たちの探照灯を浴びた。

 

「あっ、顔が真っ黒なのです!」

電が叫ぶまでもなく顔面を真っ黒に塗りたくっている。やっぱり何か勘違いしているような……基本的に美形が多い艦娘が完全に台無しだ。

 

「それで闇夜に紛れてるつもりか?」

私も呆れた。

 

 埠頭にいるメンバーは皆、伏せたり低姿勢で警戒していたのだが最初の魚雷攻撃に続いて、このガングロ軽巡の至近弾が次々と炸裂したから滝のように水しぶきがバッサバッサと容赦なく降りかかってくる。皆ずぶ濡れだ。

 ここまで来るともう、どーにでもなれ! ……って感じだけど。

 

「夏の夜で良かったな」

寛代に向かって開き直る私。彼女も苦笑している。

 

「ガングロ娘のお陰で敵も相当かく乱されたようだな」

ハンケチで額を拭いながら呉オジサンが言う。

 

「ムチャクチャだ」

これは舞鶴。眼鏡が濡れて見え難いらしくイライラしている。

 

そのガングロ軽巡は水柱をかい潜(くぐ)り、なおも走り回っていたが、ようやくこちらに向かって突進して来た。

 

大淀さんが叫ぶ。

「あっ! ぶつかる!」

 

彼女が指差した先には伊168と北上が居た。

 

「まずい」

……と言った168は、さっさと急速潜行した。潜水艦娘だからな。あとは低姿勢をとっていた北上だけ。彼女も水しぶきを避けながら半分顔を覆っていたのだが、ふと顔を上げた。

 

「なっ!」

目を丸くして驚いている。そりゃそうだ、もう真正面からガングロ艦娘が突進して来ているんだ。

 

「どいて、どいてぇ!」

どけるか! ……と思いつつ見ていると避ける間もなく北上とガングロは正面衝突した。

 

「あ痛っ!」

北上の叫び声。

 

「あ……」

「火花が散った」

いつの間に舞い戻っていた電と雷…… って、お前ら何処へ逃げてた?

 

 海上の北上は鼻を押さえながら、ものすごい形相で怒鳴った。

「もぉ、いい加減にしてよね!」

 

 北上が本気で怒っているところは私も初めて見た。

 

「普段、怒らない人が怒ると怖いんだ」

おい、響か?

 

「ご、ごめんなさい」

謝りながら、ようやく爆走娘は止まったようだ。

 

「伊168と一緒に来たのか?」

私が呟くと暁が言う。

 

「ガングロの茶髪って誰かしら?」

私の隣に偉そうに腕を組んで立った暁が濡れた髪を気にしながら言う。

 

伊168が少し離れた海上に再び顔を出して言った。

「ぷハッ……、あーあ派手にやったネ阿武隈、でも大丈夫?」

 

「うん」

額を擦りながら彼女は応えた。

 

それを見た私は言った。

「お前が阿武隈か?」

 

「はい」

彼女は真っ黒な顔(ガングロ)のまま敬礼をした。

 

「呉から参りました。よろしくお願いしますっ」

私は噴出しそうになるのを堪(こら)えながら敬礼を返した。

 

「ああ、ヨロシクな」

 

「敵の勢いは、かなり弱まったな」

 舞鶴の言葉に私も改めて様子を見る。夜の港湾内では一連の奇襲攻撃で深海棲艦も半減しただろうか?

 

 退避していた艦娘たちも探照灯を持って集まると港湾内を一斉に照らした。同時に艤装を着けた赤城さんと日向が港湾内の安全なエリアから海に入った。そして探照灯のバックアップを頼りに次々と艦載機を飛ばしてピンポイントで港湾内の敵を掃討し始めた。

 

「……夜戦だ!」

弾かれたように目をキラキラさせた川内がやって来た。

 

「ねぇ? 私も出て良いでしょっ!」

「ああ、さっさと行け!」

「了解っ!」

敬礼もソコソコに埠頭から海へ飛び込む川内。分かりやすい奴。

 

……それはともかく阿武隈が沈静化したと思ったら、今度は赤城さんや暴れる川内だからな。敵はあっという間に総崩れとなった。

 

「クゥ」

深海棲艦は悔しそうに呻いている。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。

説明
美保鎮守府港湾内は黒く擬装した軽巡まで加わり、大混戦状態だった。
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美保鎮守府 深海棲艦 北上 一提督 ア艦これ みほちん 阿武隈 

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