恋姫†夢想×三極姫 〜選ばれし英雄達〜
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 暁人には生まれた時からある能力があった。

 自分が寝ている時のみ、これから起こる未来を夢で見れるというものだ。

 この能力は彼には制御することは出来ない。だから、いつの未来なのかどんな時に起きる出来事なのかは不明であった。

 しかも、時には自分の知らない場所や人物達の出来事も含まれており、それらをただ黙って見るしかないことも多くある。

 この能力は『悪い未来』しか予言しない。しかも、彼にその能力を制御することも回避することは出来なかった。

 

 いや、能力自体は制御することは出来ないが、回避そのものは可能といえば可能のはず。彼の言葉を信じて、その反対の行動をすればいいだけのこと。

 しかし、誰が初対面の人間の言葉に耳を傾けるだろうか。ましてや自身を滅ぶ未来を言う人間に。

 

 結果、彼はそれらをただ黙って見るしかない運命に流されてしまっていた・・・今までは。

 

「北郷一刀・・・」

 

 義勇軍の中にいた一兵士しかない彼と歩む夢を見ていた。

 暁人自身もにわかに信じられないことだった。

 夢の通りならば彼は、この世界を救う救世主という意味。しかし、この男が本当に救世主となるのだろうか。

 だが、暁人は知っている。自身の夢は現実になることに。何度も何度も否定したけど、結局は現実になってしまった。だったら、その先にあるあの光景を信じても問題ない、と。

 

「暁人? どうかしたの」

 

 彼はきょとんとした表情で暁人の声に反応した。

 

「北郷はこの戦の先に、平和はあると思うか?」

 

 彼は一瞬だけ、考え、そしてこう言った。

 

「あるさ。きっと、みんなが笑える平和が」

 

「!!」

 

 彼のほほ笑みは眩しく、暁人にとって、たったそれだけに対して、傍にいたいと願うように思うのだった。

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黄巾の乱編 休息章 『英雄の心』

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 この世界に来て、だいぶ暮し慣れ始めた北郷はいくつか理解したことがあった。

 もちろん、それは銀河や暁人の教えや環境による自然な覚えもある。

 

 自身が来た場所は三国志に似た世界。

 土地や出来事などは歴史書に記載されていた通りだったが、人々が着ている服装や一部の文化などは北郷が住んでいた現代に似ており、旧時代というものではなかった。

 でも、鉄砲やミサイルなどの超化学的な兵器は実在してない。戦は弓や石火矢、武器は盾や剣、槍と騎乗で戦っていた。

 

「鉄砲がない時代に来ただけでも本当によかったと思うよ・・・」

 

 正直に、戦争時代に巻き込まれたとしても未知の魔法戦争や戦術兵器戦争などすぐに『死』に直結しそうな世界は北郷も嫌だった。無論、本音といえばこんな世界に来たについては困ってはいる。

 

「でも、やっぱり驚いたのは、英雄の人達が女性だったことだなぁ・・・」

 

 自軍も敵軍も大半が女性が多かったこと。大将も女性がほとんどで、男性の偉い武将はあまり見かけなかった。

 北郷の住む世界では、男性と女性の区別がハッキリと別れており戦争も男性が主軸。女性はあまり表舞台に立つようにされていない。しかし、銀河や暁人に訪ねてみるとそういう区別的な差別は多くはなかったらしい。

 ただ、あくまでも多くはなかっただけであり、男性は女性を自身の鬱憤の対象にしていることは変わず、女性の方もそれを武器に生き残り、名を挙げていった。

 

「・・・そういう時代でもあるから、二人ってある意味で童貞終わっているんだよなぁ」

 

 銀河と暁人は十歳のころに女性を抱いた。それはお互いに生き残るための一つとしてだ。

 ・・・が、女性経験でいえば二人は大先輩になる。

 

「俺もどうなるかな?」

 

 北郷は、この先の人生においての女性運を少しだけ考えてしまう。

 女性を抱くのは、お金か命かそれとも愛か。

 

「まぁ、今は目の前に集中しよう」

 

 まずはこの世界で生きていくこと。

 それが、今の北郷の目標だ。

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 銀河は少し不安を抱いていた。

 

 北郷から教えられたこの世界での未来予知話。

 最初の頃は、信じられなかったが名前や出来事に的中したり今後についても予想ありえる話だったため、信じてみようと思っていた。

 むろん、何よりもあの砂塵での出会いが決定的であるが。

 

「・・・劉備、曹操、孫権では国を平和にすることは出来ない」

 

 自身が『王』になる宣言をした決意の理由。

 この三人は一時的に国を安定はさせるが、百年もたたないうちにすぐに滅びてしまう定めらしい。

 そして、三国を統治した国もすぐに内戦が始まって、再び戦乱時代が舞い戻る。

 

「意味ないよ、そんなの・・・」

 

 銀河はきっぱりとその未来を否定した。

 未来を知ったからこそ今回の行動であり、三人を超えるような存在にならなけばいけない。

 

「でも、俺にそれが出来るのか?」

 

 不安は残る。

 三人を差し置いて、自身が統治することが可能なのか。

 三人の一人に、進言して統治するべきなのではないのか。

 

 銀河は決意とは裏腹にとても不安を感じながら、日々を過ごしているのだった。

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