真・恋姫無双〜項羽伝〜三国編
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第五章13話   こぼれ落ちていく

 

 

 

 

 

「・・・・・さあ行くぞ」

 

「はい」

 

闇夜に紛れて二人は宮殿の中のさらに深くえ進んでいく

 

大事な娘を助け出すため

 

自分の―――――――

 

そう感じ出したのは何時からだろうか?

 

娘の元へと向かいながら一刀は思い浮かべていった

 

まるで、昔の事を振り返るかのように・・・・

 

音色からの報告があり、恋との子供小夜叉が部屋に訪れた時は始まっていた・・・いや、気づいたのか?それより前からコレは起きていたように思える・・・・・

 

時が経つにつれ何か心(ここ)が・・・・少しずつ崩れていく・・・・

 

最初は何も思わなかったし、感じなかった

 

いや、気づく暇も無かったのか?

 

この世界に来て色々起きたし、経験した

 

大切な者との出会いと別れ

 

この世界での母や友・・・そして大切な妻や娘達

 

沢山の人達から支えられ、生き抜いてきた

 

そして、それ以上に人を殺してきた

 

最初は罪悪感があった

 

だが、戦を続けるにつれ、守る者が増えていくにつれ罪悪感は薄れていた

 

しかし、殺していった者達の怨嗟の声は聞こえていた・・・・聞こえ続けていた

 

建業に置いてきた二本の刀

 

あの二本に隠された力なのだろう

 

最初は小さかった

 

だが殺していった者達が増えるにつれ、その声は少しづつ、確実に大きくなった

 

それでも俺はそれを気にしなかった

 

これは俺の罪だから

 

罪悪感は無くとも罪を背負わないつもりは無かった

 

だから、この声を聞き続けた

 

しかし、あの時、娘達の失踪で大きく変わった

 

決壊したのだ

 

枷が

 

抑えれない

 

こみ上げてくる

 

あの怨嗟が、今まで殺してきた数えきれない者達の声が

 

そして、心が崩れていく

 

今は娘を涼刀を助けると言う目的があるから、まだ保てている

 

けれど・・・・・・・

 

「・・・さま。・・・ずとさま。一刀様!」

 

「!ああ、悪い。如何した凪?」

 

「?どうかされたのですか?」

 

凪は一刀が返事をしなかった事に疑問と不安が浮かび心配の声を伝えた

 

「いや、何でもない。それで・・・・・ああ、着いたのか」

 

「はい。ここが明命の報告があった場所です」

 

「しかし、報告では警備が厳重と聞いたが?」

 

一刀は簡単な氣で気配探索をしたが部屋の周辺には誰も居ない事に疑問を抱いた

 

「私もそれが疑問で一刀様に意見を聞こうと思いまして」

 

「ああ・・・・・しかし、ここで迷っている時間はないか・・・・進むぞ」

 

「わかりました」

 

二人は少しずつ警戒しながら、部屋の前へ

 

そして、部屋の扉を開いた

 

キ―――

 

 

 

 

 

 

 

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「グスッ・・・・ごめん、ごめんね。思春」

 

「ッ・・泣くな愛紗。それより急いで行くぞ。一刀様が危ない」

 

そう言って思春は左の腕の変色した傷跡の上を強く縛り上げて走り出した

 

 

 

何太后の屋敷向かった二人に何があったのか

 

それは・・・・・・

 

 

 

 

 

「速く!速く思春!!」

 

愛紗は大事な妹を助けるため、急いでいた

 

勿論、今向かっている場所に涼刀が居るとは限らない

 

でも、大事な父の手伝いが出来る

 

父に受けた恩

 

自分を娘だと言ってくれた父

 

あの時、不安と恐怖で何もわからなかった自分を家族と言って迎え入れてくれた父

 

自分は敵の将だと言われた

 

でも、そんな事関係無く接してくれて、そしてあの時何も無かった私に繋がりを、北郷と言う名前をくれた大切な父

 

そんな大好きな父から頼まれた仕事

 

そして、血は繋がっていないけど私を姉と慕ってくれる妹

 

歳はかなり離れているけど、それでも『愛紗お姉ちゃん』と呼んでくれる大切な妹

 

私の事情を知りながらも、一緒に育ち仲良く過ごした愛しい妹

 

そんな妹を助けることができる

 

この二つが愛紗の気持ちを急かしていた

 

二人が屋敷の前に付いた時

 

「愛紗止まれ!」

 

「如何したの思春?速く行こう。せっかく屋敷の見張りが居ないのに」

 

「それだ。おかしいと思わないのか?」

 

「う・・・・でも、これはチャンスじゃないの?今見張りが居ないから入るのは簡単だよ」

 

「いや、これは罠の可能性が有る。一度、様子を見てくる。愛紗は此処で待っていてくれ」

 

思春は自分が偵察に出ると伝えた時

 

『〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

 

微かに音が

 

『〜〜〜〜も〜〜〜ながる〜』

 

歌が聞こえてきた

 

「これは?」

 

「歌?!!歌だよ思春」

 

「歌なのはわかるだが・・・あっ待て愛紗!」

 

思春が考えていると、愛紗がその歌が聞こえる方

 

屋敷の中へ走り出した

 

「歌だよ思春!きっとあの幽霊が言っていた歌だよ!」

 

愛紗は走る

 

歌の元へ

 

屋敷の中、その奥へ

 

くしくもそこは明命の報告に在った部屋へ

 

部屋の前に着いた愛紗は部屋の扉を慎重に開けるとそこは地下へ降りる階段だった

 

「思春、此処に階段があるよ」

 

その階段は狭く薄暗い者で人が一人通れる物だった

 

「地下か。私が先行するから愛紗は後ろからついて来てくれ」

 

思春はそう言って慎重に階段を下りて行くと

 

そこにはいくつかの牢があった

 

そして、その牢の一つに何か人の様な物があった

 

「涼刀!」

 

『まって!!』

 

愛紗は声を聞かずにその何かに向かって駆け

 

ガキン

 

牢を壊し中に入った時

 

ビュッ

 

何かの後ろから矢が飛び出てきた

 

「チッ・・」

 

思春は本気の速さで愛紗の前へ躍り出たが、少し遅く矢を叩き落とすことができないと判断して弾くことにした

 

ガンガン

 

ビッ

 

矢は無事愛紗からそれた

 

しかし思春の左腕に少しかすった

 

かすっていしまった

 

「ごめんなさい思春」

 

「ああ、これ位なら大丈夫・・」グラ

 

思春が返事を返した時、体が急にグラついた

 

そして、体の中が沸騰するように熱くなっていく

 

「・・・・・・」

 

「どうかしたの思春?」

 

不安そうに思春の顔を覗く愛紗

 

そのとき

 

『急いで血を吸いだして!!』

 

また、声が聞こえた

 

『急いで!!その矢は毒が塗ってあるの!!だから急いで!!』

 

「誰だ!!」

 

思春はその声の主を探し辺りを見るが誰も居ない

 

『私はあなた達の前にいる物よ。それより速く手遅れになる前に!!』

 

思春はそれでも動こうとせず辺りを見て探し続ける

 

愛紗は謎の声に不安を抱くがそれよりも思春の顔色が徐々に悪くなるのを見て

 

「ごめん思春」

 

そう言って思春の手を取って血を吸いだした

 

「愛紗!何をしている。何時敵が襲い掛かってくるかわからないだろう!!」

 

「でも!!それに、あの声に敵意は感じないよ」

 

「しかし・・・」

 

思春はまだ警戒をしていたが、愛紗の言葉と何より自分の体は自分でわかる

 

さっきの矢には本当に毒が塗ってあり、それが自分の体を蝕んでいる

 

あの声が言った事は真実であると理解した

 

そうしていると、またあの声が聞こえた

 

『ありがとう。信じてくれて』

 

「それより、お前は誰だ?」

 

『私は張角。そこにある何かの成れの果て。それより急いで。あなた達はあの娘を探しに来たのでしょ?』

 

二人はあの娘が誰を指しているかすぐに察した

 

「何故あなたが知っているの?」

 

『ここにあの子も捕らわれていたから・・・・それよりも急いで。あの娘は宮殿に居る。そして、操られているみたいなの。』

 

「「!!!!!!」」

 

「一刀様が危ない」グラ

 

急いでここから出ようとした思春はまた体をふらつかせ倒れようとしたが愛紗が肩を取り支えてくれた

 

『急いで・・・・あの毒でないあなたなら、まだ間に合うかもしれない。解毒薬は何太后が持っているわ』

 

それを出口に向かう二人に伝え

 

二人が出て行った後

 

『ありがとう。私の妹達を弔ってくれて。・・・・・・・これでもう悔いは・・・うん。そうだね。最後に叶うなら私たち姉妹とちがって、あの娘達姉妹がずっと仲良く暮らせるよう願いを、歌おう』

 

二人を見送っていた張角の後ろには、生き別れた二人の妹達が居た

 

『『うん』』

 

そしてかつて歌姫と呼ばれた三姉妹が最後の歌が歌われた

 

『『『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』』』

 

 

 

 

 

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扉を開けた先には

 

「涼刀」

 

涼刀が椅子に座って俯いた姿があった

 

「やっとお出ましですか。どうぞ中に」

 

そしてその隣には何太后がいた

 

一刀と凪は警戒しながら部屋に入り進むと

 

「そこで止まってください」

 

何太后は涼刀に刃を突きつけてそう言った

 

「卑怯な」

 

凪は歯ぎしりをしながら何太后を睨みつけて止まった

 

「わかった。それで、お前が何太后か?」

 

「ええ」

 

「そうか・・・・・どけ」

 

一刀は怒りが膨れ上がるとともに、またあの声が激しく聞こえだした

 

「さて、今のげんじょ<スパ>うがわかった・・・・・え?どうして体が?え?え?」

 

何太后が何かを言おうとした時には首が切り落とされていた

 

一刀が持つ混沌の斬撃によるものだった

 

それがあまりにも一瞬だったので何太后は自分が切られたことに気づかなかったが、違和感を感じ体を見た時そこには床で目を見開いたとともにやっと息を引き取った

 

「涼刀、無事か?」

 

そう言って一刀は涼刀を抱きしめた時

 

ドス

 

一刀の胸に生ぬるい熱を感じたのだった

 

 

 

 

あとがき??

 

次回でたぶん五章の大詰で終わり、その次から六章に入ると思います

 

次回も出来るだけ早く更新出来たらなと思います。では待て次回

 

説明
そろそろ五章の大詰です
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コメント
色々とカオスになってきましたね…。(mokiti1976-2010)
まあ、『あの』話を見るに、あの時には多分・・・。(未奈兎)
タグ
真・恋姫無双 一刀  思春 愛紗 何太后 

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